2011年5月

酒屋のとても愛しい女房 
誘う巨乳美人妻
黒薔薇昇天
年上の女(ひと) 男と女と嘘 恋人たちは濡れた 悶絶!!どんでん返し 岳 ガク
桃尻娘 ラブアタック あんにょん由美香 ちちり 反逆のメロディー
へばの 痴漢電車 夢詣で尻めぐり スケベな住人 
夜も昼も発情中
人妻ナース 三日三晩の恋
農家の嫁 夫婦交換の村 実録 六本木監禁レイプ 八日目の蝉 これでいいのだ!!
 映画・赤塚不二夫
ゴーストキス GANTZ PERFECT ANSWER プチ濡れメール白書
アラサー、よっこらしょッと! 主人のいぬ間に
〜疼く(うずく)美人妻
実録外伝 大阪電撃作戦 ヒットマン

酒屋のとても愛しい女房 誘う巨乳美人妻


日時 2011年5月24日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはallcinema onlineで)


美也子(愛奏)は酒屋の女房だ。主人(諏訪太朗)は高利貸しから金を借りていて、取り立ての男に美也子は体を与えていた。先日主人は家に泥棒に入られた時に相手をした時に怪我をしてしまって片腕が今は不自由で、仕事に支障をきたしていた。
アルバイトを募集し、無職のトオル(吉岡睦雄)が応募してきた。トオルの家にはこれまた無職の女・聖子(鈴蘭)が転がり込んでいた。
美也子はトオルとも関係を結んでいくのだが。

いまおか作品は全体的にイマイチでもどこかワンシーンぐらい印象に残る作品を作っていた。
でもこの作品はだめだった。
何にも印象に残らないというか、「いいなあ」と思うシーンやカットがないのだな。

まず登場人物たちが好きになれない。
酒屋の主人は母親が死んだときにやけになって競馬(競輪だったかな)に手を出し300万の借金を作った。
まずばくちで借金作るなよ。あと300万ぐらいなんとかしろよ。借金とりが来てるから2、3000万ぐらいかと思った。その上、映画の後半では闇金に金を借りてしまう。事態はどんどん悪くなる。

そして肝心の酒屋の女房。
後半になって突然(に見えた)に25万の毛皮のコートを買ってくる。夫が返済に借りてきた300万から使って。
この辺から心理が理解できなくなるが、それを夫に責められて夫をぬんちゃくで殴ってしまう。
夫が死んだと思った美也子はトオルの元に転がり込む。
で聖子たち(聖子の横にいつも意味不明な男がいるのだな)を追い出し、トオルと暮らし始める。
でもどこかおかしいので、トオルは聖子と逃げ出す。
当然だと思うよ。

で、ラストに至っては美也子は仕方なく様子を見に酒屋に帰る。そしてら死んだと思っていた夫は生きていて、自分を抱きしめて許してくれる、という展開。
酒屋の主人が生きていたというのはイージーすぎると思う。

そして本筋にはあんまり関係ないけど、トオルの家に転がり込んでいる聖子。
トオルが働いていても何もせずに昼寝して部屋は散らかすだけ。トオルに「出ていけ」といわれて出ていくけどまた戻ってくる。
さらにわからんのは聖子にくっついている妙にオカマっぽい男。せりふ一つもないけどなぜかいる。話にも関わってこない。

唯一だめ人間っぽくないのがトオルだ。
今は無職生活だけど酒屋でバイトを始めてなんとか稼ごうとしている。こういう努力している人間は好きになれる。

ダメ人間がたくさん出てくるけど、ダメ人間って好きじゃないので、作品自体も好きでなくなる。
ヤクザもダメ人間だけど、映画に出てくるヤクザはやっぱり一生懸命になって何かをしている人間なのだよ。
だから好きになれる余地はあります。
って映画での話ですが。



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黒薔薇昇天


日時 2011年5月24日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 神代辰巳
製作 昭和50年(1975年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


十三(岸田森)はブルーフィルムの監督。自分の作っているものは芸術だと言って女優を無理やりやる気にさせていた。
ある日、撮影中に女優のメイ子(芹明香)が女優を辞めたいと言い出す。男優の一(谷本一)の子供が出来、今度結婚するというのだ。
十三はまたエロテープの作成もしていて、今日も動物の声などを録音、編集していた。
ある日歯医者の声を隠し録音したのだが、若い色っぽい女性・幾代(谷ナオミ)が歯医者と関係を結んでいる声が録音されていた。
十三は探偵だと名乗り、幾代に近づく。幾代はてっきり自分の「パパ」が探偵を雇ったと勘違いし、十三に従わざるを得なくなる。
十三は幾代を自分のブルーフィルムに出演させる。一との絡みを撮り始めるのだったが、一はイってしまう。
メイは怒りだし、一を幾代から引き離す。カメラマンは「まだ2分しか撮ってへんで!これじゃ売り物にならん」とこちらも怒りだす。
十三は「まだまだ修行が足らんのや」とつぶやくのだった。

神代辰巳をこれで3本続けてみたが、これもだめだった。
話としてはブルーフィルムを真面目に撮る男の話で題材としては面白くなりそう。
でも話の展開は悪いし(前にちっとも進まない)、挿入されるエピソードも少なく、とにかくテンポが悪いのだよ。
撮影してたら近所の人に通報されて警察がやってきたり、女の子をスカウトしたらヤクザが出てくるとか「ブルーフィルム制作の悲喜劇」みたいなにぎやかな映画を作れそうだが、そういうのはなく、幾代を口説こうとだらだら話すシーンばかり。

そうは言っても映像的に見所はあった。
幾代と十三はデパートの屋上にあるゴンドラで相談をするのだが、二人が乗った隣のゴンドラにカメラも乗り込み窓越しに撮影する。
また二人が一旦はタクシーに乗るのだが、幾代が反対の扉から降りてしまう。
そして十三が降りて追いかけてまた同じタクシーに乗り込む。カメラはタクシーの助手席から客席側を狙って撮っていく。
ストーリーとしては特に面白味もないが、ハンディカメラでしか入れない所を使った画作り面白い。

あとはなんと言っても主演の岸田森だろう。
岸田森ファンの間でもあまり話題になることがないような気がする本作だが、氏の怪演ぶりは相変わらず堪能できた。



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年上の女(ひと) 男と女と嘘


日時 2011年5月23日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはallcinema onloineで)


アヤコ(葉月蛍)は朝起きたら夫がいなくなっていた。夫の友人に聞いてみると夫は昔の同級生と同窓会で再会し付き合い始めて子供まで出来たらしい。
アヤコは仕方なく昔勤めていた塾で講師を始める。
その中で知り合い夫がいなくなったストレスがきっかけで一人暮らしをしている生徒・優弥(久保田泰也)と一夜を共にする。
一晩だけのつもりだったが、真剣になった優弥を前にその気持ちに負けて交際を続けていく。
優弥を想う女子高生レイナ(相楽かごめ)はその関係に気付き始める。

いまおかしんじ監督のオリジナルビデオ作品。
30過ぎの大人の女と高校生という割とよくある題材。

作品の中ではレイナの存在がキーポイントになる。
レイナはクラブで知り合った電話番号も知らない男の子供が出来てしまい、それを堕ろす。
その病院行きに優弥についてきてもらう。

このシーンは二人で病院らしい建物に入っていく。
でも観客には遊んでそうな女の子が真剣な顔して建物に入って行けばそれで「子供を堕ろすんだな」とわかる。
説明過多の映画を見させれることが多い昨今ではこのくらいの方が気持ちいい。
そしてレイナは優弥についてきてくれたお礼をいうシーンになる。
ここで冗談を言い続けるレイナと落ち込んでいる優弥。
当人が冗談を言っている方がその寂しさが表現されていた。
(この後もこの道路は数回登場するが、後ろに車が通っているにも関わらず、道路の真ん中で撮影しているシーンが出てくる。人よけをしているスタッフはない。どうやって撮影したのだろう?)

そして優弥とアヤコの関係も続き、レイナとの約束を断ってアヤコのマンションに入り浸る優弥。
そこでレイナが部屋にやってくる。
ここで普通なら「やっぱりこの部屋にいたのね!」的な修羅場になるのだが、そうはならない。
3人がテーブルを囲んで食事をしているシーンになる。
そして(ここからは長いカットになるのだが)箸を3本持ってきて2本に印をつけるレイナ。3人で引いて印がついているのを引いたもの同士がキスしようという。
実はこのレイナ役の相楽かごめが素人以下のへたくそさで(最近ここまで下手な演技は久しぶりにみた気がする)台無しになりそうだが、いまおかマジックのおかげでものすごい緊迫感を感じる。
クライマックスだ。

てっきりラストでアヤコと優弥は別れるのかと思ったらさにあらず。
優弥はレイナを抱いて彼女の気持ちにも応えてやり、なおかつアヤコともつきあい続ける。
この相手をどちらか別れないで両方とつきあうというのは、ピンク映画的ビデオ作品らしい強引さでちょっと納得行かない。
でも二人の女性にとってはある意味、別れないというハッピーエンドだったのかも?

面白かった。



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恋人たちは濡れた


日時 2011年5月22日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 神代辰巳
製作 昭和48年(1973年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


男(大江徹)はある漁港の映画館で働き始める。他の映画館からプリント缶を運んだり、上映後の掃除をしたりの雑用係りだ。
映写技師やら街ゆく人々から「お前、中川克だろ?久しぶりだなあ」。
克と呼ばれる男はそれを否定する。
映画館の館主は若い女と浮気中。テケツをしている館主の女房(絵沢萌子)はそのさびしさから男の体を求める。
ある日、男は克の同級生の光夫と洋子(中川梨絵)が草むらでセックスするのを見かける。
翌日、映画館で会った光夫と洋子は喫茶店で男と話し、気乗りしない男に女を紹介するという。
その女、幸子と会う男。幸子もまた「中川克でしょ?」といい、それに腹を立てた男は幸子を強姦しようとする。
数日後、再び幸子たちがやってきて克の母親と男を引き合わせる。お互いに認めない二人。

「悶絶!!どんでん返し」に続き神代辰巳鑑賞。
う〜ん、参ったなあ。いやストーリーは解るのだが、心にい引っかかるものが何もなかった。
男が克なのか映画を見ていてもはっきり明示されない(と思う)。ところがデータベースを読むとはっきり克だと書いてある。
身分を偽って帰ってきても狭い町だ、どうせ克が帰ってきたとすぐに知れ渡る。まして働く場所は映画館という不特定多数の人が集まる場所。その辺からして主人公の考えがよくわからない。

そしてラストは「おれは金をもらって人を刺してきた」と告白する。そしてその直後に殺される。
逃亡中ならますますもってわからん行動だ。
特別な用事が故郷にあったようにも思えないし。
この若者の逃亡ということは当時の学生運動の挫折とかの空気感から生まれてきたのだろうか?

またこの克と呼ばれる男を演じている大江徹という男にまるで魅力を感じなかった。
これが見ているだけで存在感のあるような俳優が演じていればまた映画自体も違った魅力を放ったろうに。
髪型とか服装はなんとなく松田優作を意識しているように思える(松田優作が「太陽にほえろ」に出演したのは73年。ちょうどこの映画の年だ)

映画の内容とは直接関係ないけど、タイル張りの外壁とか、(掃除の時に床を水で流しているから)コンクリートのたたきとかいかにも昔の映画館で懐かしかった。
上映している映画は「淫獣」といういかにもポルノ映画なタイトルだが(洋ピンなのかも知れない)入り口のテケツには「学生、子供料金」まで書いてあった。普段は一般映画を上映しているのだろうな。
ピンク映画を上映している映画館でエッチなことをする、「ピンク映画版ニューシネマパラダイス」って作ったら案外面白いかも知れない。
そんな余計なことも考えてしまった。



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悶絶!!どんでん返し


日時 2011年5月22日
場所 TSUTAYA宅配DVDレンタル
監督 神代辰巳
製作 昭和52年(1977年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


北山(鶴岡修)は若い東大出身のエリートサラリーマン。ある日先輩たちとピンクサロンに行き、そのホステスのあけみ(谷ナオミ)のアパートに転がり込む。さあこれからという時に実はあけみの男の川崎が登場した。川崎と北山は賭けをして北山は負けてしまい、川崎に犯されてしまう。
川崎は子分の丸山(粟津號)と女子高生をつかって美人局をしていた。
ある日、引っかかった男を見るといつかの北山だ。再会した北山は川崎の男の魅力に負けてしまいオカマになっていく。

いまおかしんじ監督が大好きな神代作品。とりあえずどんなものかと思い、いまおか監督の「罪」に関するインタビューに登場したこの「悶絶!!どんでん返し」を観てみた。

オカマの描き方がいかにもって感じでいまでもああいう「オカマ然」とした人いるのかなあ?
という疑問は沸くが、実際にいたかどうかは別として映画の中における「お決まり」的な描き方ではある。
(後半、オカマバーのシーンがあるが東郷健も登場)

それよりも毎回話がとんでもな方向に動いて行き、まさに「人生、どんでん返し」と言った趣だ。
高校生を使って美人局をすればカモのジジイは女子高生の上で腹上死、オカマになった北山と「男とやっても感じない」という女子高生に北山が「お姉さんと呼んでごらん」とレズビアンをしてみる、北山はいつの間にか川崎の女の地位になってあけみの立場は無くなる、北山のサラリーマン時代の婚約者があけみのアパートにやってきて北山の姿をみて仰天する(このシーンではついに北山は豊胸手術までしているのだ)
またまた美人局をしているところになんと刑事がやってきたが思わず刑事を刺してしまってどんどん悪い方になってしまう。
最後に川崎は逃亡の旅に出るが連れていくのはあけみ、北山は捨てられる。
エリートサラリーマンの地位をすてオカマになって、そして今度は男にも捨てられる。
「人生、どんでん返しの連続」となってしまう悲喜劇だった。

音楽は民謡の「あんたがたどこさ」を70年代ロック(?)で歌い上げるとか当時のヒット曲を口ずさんだりしてのアレンジで使用し、興味深い。

ややインパクトには欠けるけど、まあ面白かった。



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岳 ガク


日時 2011年5月21日21:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン9
監督 片山修

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
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椎名久美(長澤まさみ)は長野県警の山岳救助隊を志望し配属された。
配属初日にさっそく遭難事故に出くわす。その時に要救助者を救ったの島崎三歩(小栗旬)という青年だった。
山を知り尽くしている三歩は数々の遭難事故で救助をしてきた山岳ボランティア。久美は彼の指導で成長していく。
ある日、山を吹雪が襲った。
街にいた三歩だったが、天候の急変に不吉なものを感じ、山に戻る。
案の定、3組のパーティが遭難した。そのうちの一組に久美が救助に向かう。
父と娘の二人組、娘はヘリコプターで救助したが、天候がますます悪くなり、ヘリは父を残したまま帰ることに。久美は父を助けるために残ることに。
それを聞いた三歩は久美たちを探しに出かけるのだが。

フジテレビの「海猿」のヒットを受けて(たぶん)制作された山の救助隊を描いた映画。
海に対抗して山、という発想のイージーさには少し笑いを禁じえないが、まあそんなもんだろう。

全編的に「泣かせよう、感動させよう」という意図がミエミエ。
親子で山に登って父親(宇梶剛士)が遭難するとか、父親と娘が山に登って娘だけを助けて父親を残すとか。
その辺のドラマ作りがどうもあざとい。
「海猿」みたいに「お前を愛している」などという男女の愛情に絞らないだけまだましかも。

原作を読めば解るのかも知れないが、いったい三歩という男はどうやって食べているのだろうか?
「山荘の息子で親のすねかじり」なら解るけど生活費はどうしているのだ?
もしくは山の写真家とか。
見ている間どうしても気になった。

そしてスローモーションとか360度パン(人物の周りをカメラが一周する手法)とかいかにも「さあさあ盛り上がってください!」というあざといシーンが多く、ちょっと辟易した。
で久美が雪の隙間に落ちてそれを三歩が発見するシーンで、三歩が以前久美にあげた赤いマフラーが発見のしるしになるのだが、そのマフラーを上げるシーンを回想で挿入するのはないと思う。
それは見てれば解るよ。
多分テレビ放送を意識して、テレビは途中から見ても解るようにするのが基本だからその感覚で入れてしまうのだろう。
でも映画館なのだから途中から見ることは普通ないわけだし。
テレビ放送の時に再編集して「映画公開時とは違った新たなカットを入れたニューバージョン」とか言って穂そうすればいいのに。

欠点ばかり書いたけど、山の風景をとらえたカット(特にエンディングの夕景や空の青さ)は素晴らしい。
山岳映画として十分な出来だ。
また三歩役の小栗旬がいい。
日焼けしてすこしもっさりとしてただのイケメンではない味わいがある。
彼の代表作にしていいと思う。
それに引き替え長澤まさみはなんだかもう一つだ。
佐々木蔵之介は山岳救援隊隊長役だが、ずいぶん出世したと思う。

難点も多少あるけど、まあおもしろかった。
「わかりやすさ」を第一にしたテレビドラマのような映画だった。



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桃尻娘 ラブアタック


日時 2011年5月18日20:00〜
場所 渋谷シネマヴェーラ
監督 小原宏裕
製作 昭和54年(1979年)

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レナ(竹田かほり)と裕子(亜湖)は高校の同級生で親友にしてライバル。
ある日、裕子はレナに相談があるとやってくる。妊娠3ヶ月だという。
堕ろしたいのでお金を貸してほしいと頼む裕子。
そんな時、レナの友人でホモの木川田(高橋淳)は以前に関係を持った岡田という便器を作っている会社の部長から迫れて困っていた。レナと木川田はそのおじさんからお金を取ろうとするが母親の邪魔が入って失敗。
クラスでおっとりしたお嬢さんが実はピンサロチェーンの社長の娘と知り、裕子と二人でバイトするレナ。
お店ナンバーワンのドヌーヴさん(原悦子)に負けじとがんばる二人。

この映画は私が高校2年の時に初めて見た18禁映画。(GW公開)
当時前作「桃尻娘」がキネ旬で話題になっており、高校生も批評を書いていた(ような気がする)ぐらいで、「映画ファンならこういう映画も見なければだめなのだ」とドキドキしながら見に行った憶えがある。
もっとも第3作は「あんまり高校生が見に来るから」という理由で成人映画ではなく一般作品として公開された。

前も思ったけどセックスに関する話ばかりだけど、裸の露出は非常に少ない。
主演の竹田かほりも全裸シーンが多少あるけど、おっぱいもちらっと映る程度でほとんど映らない。
これじゃあエロ映画とも言いにくい。エロコメディではあるけれど。

話の柱は裕子の堕胎の費用の工面。
木川田に迫るオヤジから金をせしめようとしてオヤジが木川田にあてた手紙を預かるレナだがそれを親に見つかてしまう。
母親はレナに当てられた手紙と勘違いしてレナが「明日いけなくなった」と電話するというのだが「私が電話する」と言って母親が木川田の家に電話をしたら出たのは木川田の父親(小松方正)。
ここでトンチンカンな会話がなされるのだが、小松方正が電話を取った時点で爆笑した。

話はピンサロに移って、働き始めたレナと裕子がトイレにいるときにドヌーヴさんが手を洗いにやってくる。その時にお客の精子がついていてそれを洗おうとしたのだが、そのときにビールを手にかける。蛇口の水ではなくビールをかけるのに何か意味があるのかと昔は思ったが、たぶん意味はないのだろう。この歳になってもビールでなければならない理由は思いつかない。

で、ピンサロの慰安旅行でみんなで温泉にいき、男性従業員とホステスさんは乱交。最年長のホステスが今度クビになると聞き、レナは店長(山下洵一郎)と関係をもってそのホステスをクビにさせないと言う、優しさ。この辺のレナの性格のよさも魅力なのだな。

でめでたく堕胎の費用も出来て、話は文化祭へ。
その間に木川田くんは先輩が好きなのだが、自分はあまり興味がない後輩から好かれている。その後輩と家の部屋で抱き合っているところを父親に見られてしまう。
それで病院へという展開。この映画では万事この木川田くんと父親が面白い。
ちなみに病院の先生は福地泡介。
木川田くんがそのあこがれの先輩と喫茶店にいるときに偶然例の岡田のオヤジと出くわす。「お知り合いなんです、息子さんと」というオヤジには昔も今も笑った。
さらに木川田くんの親父がやってきて、その岡田とは仕事上のつきあいだったというオチ。
さらに文化祭の打ち合わせで、木川田くんの家にレナとピンサロのお嬢様がやってきたときは親父が喜ぶシーンも面白い。万事この小松方正の親父が笑わせてくれた。

文化祭はピンサロの内装を借りてなんとか成功。
お化け屋敷にぶら下がっているちょうちんが「ピンサロロリータ」と書いてあったり、こんにゃくの代わりに水の入ったコンドームをぶら下げたり。
このコンドームのカットは妙に刺激的だった気がするなあ、高校生の時の私には。
そして裕子やピンサロのお嬢様はお化け屋敷の教室の机を積み重ねた中で早速お楽しみ。

しかし今回思ったのはレナは意外と身持ちが固い。
それに他人の為に一肌脱ぐ男気もある。
ピンサロの店長とも寝たけど、それは自分の楽しみの為じゃなく、最年長のホステスさんのため。
そういう面倒見のいい部分が見ていて気持ちいい。
そんなレナのキャラクターがこの映画の面白さなのだろう。
見ていない1作目、見たか見てないかよく覚えていない3作、両方見たくなった。



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あんにょん由美香


日時 2011年5月17日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 松江哲朗
製作 平成21年(2009年)

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林由美香は1970年6月27日生まれ。1989年の19歳の頃からAVやピンク映画で活躍し始める。
2005年6月26日自宅にて急逝。彼女の死後、彼女は韓国の成人ビデオ映画「東京の人妻純子」に主演していたことが知られた。彼女と親交もあった監督の松江哲朗はこのなんとも不思議なアダルトビデオに興味を持ち、何故彼女が出たのか、関わった人間はどう思っていたのかを聞いて行く。
あわせて林由美香の代表的作品「硬式ペナス」(ビデオ)の監督・カンパニー松尾、林由美香との不倫自転車旅行のドキュメント「由美香」の監督平野勝之、ピンク映画の「たまもの」の監督いまおかしんじ、彼らに作品のロケ地を訪ねてもらい、その思い出を伺っていく。

いまおかしんじ関連のDVDを検索するとこのDVDも出てくる。
林由美香は「たまもの」の主演女優ということだけの接点しか僕にはなく、彼女そのものにはあまり関心がない。

映画の構成としてはその謎の韓国の成人向けビデオの「東京の人妻 純子」とはいかなる映画であったかを縦糸に展開していく。
いまおか監督とか他の林由美香に関わりのあった人のインタビューだけでは映画として面白くない。
ミステリー的面白さで観客を引っ張っていく。

「東京の人妻 純子」は2000年頃作られた韓国のビデオエロ映画。日本のAVのようにセックスだけではないからピンク映画のような感じ。
仕事に忙しい夫に飽きた妻(林由美香)が若いイケメンの水道検診人と浮気をし、実はそのイケメンの彼女が純子の夫の秘書で純子の夫と浮気をしていた。一方純子は友人の紹介で会った男(入江浩治)とも関係を結んでいくのだが。という展開。

韓国人の男優や女優も日本語を話すというおかしさ。
まず韓国の映像文化に詳しい北海大学の教授にインタビュー。日本文化へが流行った時代の作品だという。
今度は同時期に撮影された同じ監督の「赤坂エロ通信」に出演した日本人俳優・横須賀正一さんに林由美香や監督の思い出を聞いていく。

でもみんな低予算のエロ映画だし、別段思い入れもないようだ。それもそうだろう。別に次につながった訳ではないだろし、基本日本未公開だから周りから何か言われることもなかったろう。
林由美香も人づてに柳田友貴さん(カメラマン)の紹介で出ただけで特に何かがあった訳ではないのようだ。

どういう形でか脚本を手にいれた松江監督はラストシーンが完成版と違っていることに気づき、それを出演の入江浩治さんに聞いてみる時の答えがよかった。
「(撮るのが)めんどくさくなちゃったんじゃないですか?」まあそんなもんだろう。なくても話は困らない。

最後までこの作品を追求したい松江監督はこの映画の日韓のコーディネーターをしたハ・テヒさんに会う。
ハさんは「韓国ではこういう作品に関わったことは恥になる」という。どうやら日本よりずっとずっとエロに対する地位が低いようだ。これは後に登場する純子の夫役キム・ウォンボクも言っていた。「韓国ではこういう作品に出たことがわかるともうそれで俳優の仕事にありつけない」

ついに韓国まで行って監督のユ・ジンソンに会う。
日本で言えばBC級映画の監督だろうが、ぺ・ヨンジュンの初主演作「初恋白書」も撮ったんだそうだ。なんかすごい!

で「純子」に話を戻すとラストシーンは純子と別れたイケメン(これがホントにイケメンでまるで韓流アイドル歌手にいてもおかしくない顔〜このイケメン君、今は連絡先が解らなくてたどり着けなかった。林由美香がちょっと挿入させたとかの話も出てくるのだけど)が新宿の三井ビルあたりで「ちぇ、また他の女でも探すか」と「韓国語で」言う。
それまで日本語をしゃべっていたのにこれはなんだ?
何か日韓併合までさかのぼるような理由でもあるのか?

と期待させたが監督の答えは「別に意味はないよ」
は?
「もともとせりふが韓国語か日本語かなんて意味がない。俳優が気を使って日本語をしゃべってくれただけ。私としては日本語と韓国語で会話してもかまわなかった」
それすごいなあ。そっちも見てみたかった。
日本人の観客は絶対突っ込むぜ。

松江監督はその撮られなかったラストシーンを撮ろうという。これもなんだかばかばかしい。でも面白い。
俳優の入江さんもキム・ウォンボクも出演で助監督はいまおか監督だ。
すごいねええ。

林由美香の他の作品にはそれほど興味がわかない私だが、この「東京の人妻 純子」について追いかける部分は面白かった。こういうBC級の映画にもドラマはそれなりにあるのだ。

(ちょっと気になったが映画の紹介シーンでは入江さんの役名がナカノと言っていたが、ラストシーンを撮る話の時はノムラと言っていた。これなんだろう?いつか松江監督に会う機会があったら聞いてみよう)



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ちちり


日時 2011年5月16日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 いまおかしんじ、サトウトシキ他
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)



5人の監督による1話15分のオムニバス。小説家を目指す好子、彼女と結婚することになった勇磨、彼らとともに同人誌を作っていた友人たちがある喫茶店に集まって・・・
というのが基本設定。これらを各監督がふくらましていく。
舞台は喫茶店から出ないということも設定。
あと漫才をしている二人が出てきたり、松ぼっくりも出てくる。
サトウトシキ監督は10分、窪田将治監督は18分、あとは15分。

細野辰興の「ちちり―盗―」
好子はが応募した小説が佳作入選になった。勇磨は「入選しなかったら結婚する」ということで結婚になったが、パーティの席で「招待客のリスト作っておいたから」と渡した紙が好子の原稿用紙の裏紙だったということで好子が怒って離れていくという結末。第1話だけにストレートな一篇。

いまおかしんじの「ちちり―蒼―」
婚約を祝うパーティが喫茶店で開かれているが、気づくと主役の好子がない。探してみるとトイレにこもり「結婚はやめた」と言う。
彼女を説得する勇磨だが、という流れ。
最後には好子は出てきて丸く収まるのだが、「こういうのはやめてね」と裏紙にされた彼女の原稿用紙が出てくる。
いまおか作品なので少し何かを期待したが、特に記することはなかった。
なぜかこの映画の一部にだけせりふに日本語字幕がつく。
実は他の作品で役者の滑舌が録音機材の問題からかせりふが聞き取りづらい時があった。
そのためにわざと出したのだろうか?

五十嵐匠の「ちちり―現―」
結婚パーティに勇磨が遅れてくるのだが、文学を捨てサラリーマンになった事をみんなから責められる。今度は逆に勇磨の方から去るという話。
まあでも同人誌をやっているような人が全員小説家になるわけではないだろうから、サラリーマンになることを僕は否定しない。

サトウトシキの「ちちり―欺―」
好子はまたも文学雑誌の応募に落選。いまは風俗ライターで暮らしている。
勇磨と好子は結婚を決め集まった席で、友人が「懺悔大会をしよう。勇磨と好子はそれぞれ隠していることを告白する」として勇磨はその中にいる女性と寝たことを告白し、座は大混乱。でも実はそれは好子が人間観察のために仕組んだことだった、というオチ。
好子が今回は「小説のためならなんでもする」といういやな女でなんとなく後味が悪い。
それにタイトルが「欺」と言う段階でネタバレしてる気がしないでもない。

窪田将治の「ちちり―哀―」
好子は文学賞は最終選考には残ったが、入選には至らなかった。でも妊娠した。
学生時代の友人たちが集まって席で、友人から好子の小説が出版される見込みだと編集者を連れてくる。
だが妊娠の話題になるとそこにいた4人の男たちが騒然となる。好子は彼ら全員と関係を結んでいたのだ。
編集者に言わせるとここにいる男たちが小説のモデルらしい。編集者が最後に小説にまだ他の男が登場するがこれは誰?ということで実はまだ別の男とも関係していたというのがオチ。

FAITHentertainmentというところが行ったワークショップ(学校より規模の小さい塾的なものか?)に参加した俳優たちを使って作った作品だから、要は卒業制作的な作品なのだろう。
あまり映画としてどうこういう映画ではないような気がした。



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反逆のメロディー


日時 2011年5月15日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 澤田幸弘
製作 昭和45年(1970年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


大阪の大きな組の淡野組は解散した。
その幹部だった哲(原田芳雄)は自分の腹違いの兄が組長を務める鹿島の竹原組を訪ねてみる。
組長はいま懲役中だったが、その留守を面倒見てやってくれと言われた矢東会(曽根晴美など)が幅を利かせいいようにされていた。それを追い出す哲。
哲は鹿島に来て流れ者のチンピラ・ゲバ作(佐藤我次郎)と出会う。ゲバ作は哲を兄貴と慕ってついてくる。
そして竹原組を快く思わない星野(地井武男)や淡野親分を殺したいと思っている滝川(藤竜也)も登場。
鹿島に巨大工場を作ろうとする大企業と結託して鹿島に乗り込んでくる淡野組長。
彼らの対立の行方は?

日活ニューアクションの傑作。
アウトロー原田芳雄のイメージを定着させた作品と言ってもいいのではないか。
デニムのジャケットを素肌に着てジーンズをはいている姿は70年代で多かったアウトロー原田芳雄のイメージそのままだ。
今日は澤田監督のトークイベントがあったが、監督の話では原田さんからの提案だったらしい。
一応ヤクザなのでヤクザらしくなくなってしまうので、冒頭の解散式のあたりはスーツで出てそれからジーンズにすると言うことになったそうだ。
また屋根のないジープを乗り回す。これもヤクザじゃない。原田流アウトロー像だ。

佐藤蛾次郎は「ゲバ作」という学生運動の時代を彷彿とさせるキャラクター。でも蛾次郎の役そのものが学生運動家ではないけれど。
後半、淡野組のむちゃな工場建設に反抗し、単身戦いを挑み死んでいく。
そこで原田が病院に行くと「俺もあいつの本名を知らねえんだ」と答える。
同じようなシーンをどっかで観たなと思ったら「新仁義ない戦い・組長の首」だ。
ここで三上寛が「コバヤシアキラ」と名乗る流しを演じていて、殺されて本名を誰も知らないという展開になった。
きっと深作監督と高田宏治(脚本)がパクったのだろう。

あとは地井武男。
これも敵ながら原田芳雄と仲良くなるキャラクターだが、宍戸錠の時代からの定番。
でも原田芳雄と待ち合わせに1時間早く来て「気の合う相手なら早くから来てるもんだぜ」と言う。
そしてお互いの腕時計を交換しあう。
最後には一緒に淡野組が肩入れする大企業に原田芳雄と殴り込みに行くときに「気の合う相手と喧嘩するのは気持ちがいいぜ」とか言って出かけようとする。
そのとき、摺りガラスの扉の前にたち扉を開けようとしたとき、カチャンと音がする。
しばらくすると地井武男が倒れてガラスの向こうから刀が出ているという不気味な殺され方。このシーンはよかった。

あと基本はヤクザの抗争だけど敵と見なすのは地上げをして工場誘致をしようとする大企業。単なるヤクザ同士の狭い世界ではなく、大企業を巨悪ととらえるあたりは東映とは違うアプローチで面白かった。



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へばの


日時 2011年5月15日11:00〜
場所 渋谷 光塾 COMMON CONTACT並木町
監督 木村文洋
製作 平成21年(2009年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
(公式HPへ)


紀美(西山真来)と治(吉岡睦雄)は青森県六ヶ所村の核物質再処理工場で働いていて、結婚間近のつもりだった。
しかし工場で事故が起き、治は被曝した。健康に影響はないと言われたが、自分の子供に影響が出るかも知れない。子供を望む紀美。治は紀美のもとを去った。
3年後、紀美は治が村に帰っているという噂を聞く。
治は見知らぬ女性と子供連れで暮らしていた。
その頃、再処理工場の計画当初から参加していて人生の大半を再処理工場と暮らしていた紀美の父親が亡くなった。
治はその訃報に新聞で接する。
3年ぶりに紀美の元を訪ねる治だった。

六ヶ所村の再処理工場と核をモチーフにした映画。
声高に反核反原発を言うのではなく、二人の男女の愛と子供への影響への「漠然とした恐怖」を描いていく。
このテーマに対し、高所から言うのではなく、「子供を作るべきか否か」で悩み別れる二人を描いていくのは面白い。
力のある作品だ。

治は子供はいるが自分の子供ではない。映画中では詳しく説明されないが、妻の連れ子だ。
しかし紀美の父の弔問に訪れ彼女を愛していると再確認し二人で車に乗り「東京に行こう」といい、再処理工場が見える海岸に車を止め、愛し合う。
この辺はピンク出身の吉岡睦雄の見せ場だと思う。
運転席で抱き合うときにクラクションをお尻で鳴らしてしまい、時折その音が入るのは彼らの心の叫びにも聞こえてくる。

翌朝、治はやっぱり紀美のもとを去る。
治は次のカットで再処理工場前の海岸に立つ。
そこで突然撃たれる。
このシーンで治が撃たれるのは唐突だ。唐突すぎる。
彼がここで死ぬのは映画な流れからは理解できる。
死なないと物語が終わらない。
しかし撃ったのは誰かという疑問は残る。
今日は上映後に監督と観客の座談会と称する意見交換会があったが、その場で一番最初に出た質問がそれ。
監督の話では六ヶ所村の再処理工場にカラスなどがきてそのカラスの羽に放射性物質が付着し、どこかに巻かれるのを避けるため、猟銃で鳥を撃っている係の人がいるんだそうだ。その人に撃たれてしまった訳で。
「奥さんに撃たれたと思ったと言われたことがあります」というのは監督の弁だが、まあそう思われても仕方あるまい。

そして映画は紀美が赤ん坊を抱えているカットで終わる。
その子は治の子供だろうか?
男女の愛と再処理工場が旨くミックスされた力のある映画だとは思う。

とよかった部分だけを書いてきたけど、欠点も多い。
まずテンポがのろい。私が編集をしたらあと30分は切れたろう。映画は80分と比較的短い方になるのだが、長くて辟易した。
冒頭、再処理工場のロングカットから始まり、それが延々と続いてから1分ぐらいかけて治と紀美が裸で抱き合っているカットにオーバーラップする。
このテンポのだるさはたまらんなあと思っていたらその後も延々とテンポがだるくつらかった。
まあ僕のテンポの生理と監督の生理は違うのだから監督が悪いとは言わない。(言いたいけど)あとは技術的なことだが音の問題。
自主映画のレベルだから機材の性能もあるだろうけど、音のバランスが悪いのだな。
主人公が話しているときの扉が開く音とか、物を置く時のコトンという音がやたらでかいのだ。
自主映画を観る度に思うのだが、なんとかならないんだろうか?

最後にエンディングで流れる歌。これがきついんだ。
ピアノがリズムだけをとってそれで高い女性の声で絞り出すように歌うので、それこそ寺山修司の世界である。
やっぱり青森だから寺山修司の世界観が監督に受け継がれているのだろうか?

それにしても福島第一原発事故のあとで観ると全く絵空事ではない映画になっている。
3月11日以前に観たらまた違った感想を持ったことだろう。



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痴漢電車 夢詣で尻めぐり


日時 2011年5月14日16:30〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 加藤義一
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはピンク映画データベースで)


女子高生、就職活動を始めたばかりの引きこもり、倦怠期になりかけの夫婦、夫を交通事故でなくした未亡人。
彼らは同じ満員電車に乗り、女子高生、未亡人は痴漢に触られていく〜。

グリソムギャングでの「ピンク映画祭り2011」で上映。
登場人物のモノローグで映画は語られ、女子高生その他の群像劇だ。
一人の独白が続くと、最後の部分で別の人物にモノローグは引き継がれていく。
「私は不覚にもその痴漢の指先に」
「感じてしまった」
というように続いて行くのだ。

見始めた時は面白かった。「ピンク映画なら許される冒険、実験だなあ」と思って見ていたが、それが延々と続くと少し飽きてくる。
事実後半、ちょっと寝た(1分ぐらいだと思うけど)

上映後のトークイベントで加藤監督から洋画(タイトル失念)にあったやり方で脚本の小松さんに「そんな感じで」とお願いしたそうでそれを受けた小松さんはその映画は見ていなかったがなんとか書いたそうだ。
撮影現場では画が足りなくなるといけないので、脚本を読みながら芝居をみて尺を確認していたそうで。
だから本と役者の演技を両方見ていたそうでだから「考えてみたらあんまり演技見ていないんです」ということだった。

上映後のトークイベントには加藤監督、もう一本上映した竹胴哲也監督、両方の脚本を書いた小松公典さん
(この「夢詣で尻めぐり」は別名の近藤力名義)女優の倖田李梨さん、ほたるさん参加。
竹胴監督はこの映画のチーフ助監督も務める。
小松さん、加藤監督は饒舌で面白かったが、竹胴監督はまったくと言っていほどしゃべらない方。
その対比が面白かった。

ほたるさんは本作では未亡人役で出演。
トークの中で作品数が多い話になったが、ピンクの世界では主演女優が突然いなくなるのは時々あることだそうで、そういう時は信頼のおけるベテランに代役を頼むのだそうだ。
「代役を頼まれるようになったらベテラン」と加藤監督(だったと思う)もおっしゃっていた。

倖田李梨さんはとても魅力的な方。
今回の上映作品では両方ともコメディリリーフとして出演。
この映画では女子高生が後にイメクラ嬢になるのだが、その先輩で、ランドセルを背負った小学生プレイが得意なイメクラ嬢で出演。

ピンク映画の世界もなかなか侮れない。



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スケベな住人 夜も昼も発情中


日時 2011年5月14日14:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 竹洞哲也
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはピンク映画データベースで)


青森一郎と和歌山次郎のやくざな兄弟は家賃をためてアパートを追い出される。
パンツなしで追い出されたがたまたま交通事故にあって相手の車をぶんどることに成功。
ある海辺の町に着く。
そこの海岸にいたときに、水着の美女が倒れているのを発見する。彼女の足に魚がついていたから「人魚だ!」と騒いでいると若い男がやってきて「そんなわけないだろ!」と言って自分の住んでいるアパートに連れていく。
彼女は記憶喪失で何も思い出せないでいた。
一郎次郎もそのアパートに住まわせてもらうことに。
実は若い男はかつて殺し屋で、彼にかつて腕を撃たれた男が復讐にやってきた!

グリソムギャングのピンク映画祭り。
竹洞哲也監督作品。
冒頭、一郎次郎が家賃をためて佐々木麻由子の大家から「金がないなら体で払いなさい!1回1000円で」と言われて「こりゃたまらん」と飛び出すところから映画は始まる。
佐々木麻由子が大家のアパートが舞台になるのかと思えばさにあらず。
舞台が変わったので意外な滑り出し。

新しく住んだアパートには倖田李梨扮する大学受験を20年(?)しているめがねをかけたコメディリリーフが登場。ヒロイン女優が牛乳瓶めがねをかけていて、なかなか笑わせてくれた。

後半、およそ殺し屋らしくないデブが復讐の殺し屋として登場。海岸に現れた若い男にかつて右腕を撃たれて不自由になってしまい、左手で拳銃を持つ。
でも例の記憶喪失のヒロインとその若い男が出来ててしまったため、一郎次郎が代わりに対決。

この対決シーンでは拳銃を投げつけ相手の拳銃を落とすというコミカルな、でも目新しい展開。
休憩中に聞いた関係者の話では拳銃を撃てば弾着が必要になり、弾着をする予算がピンク映画にはないらしい。
だからそれを逆手に取った発想とか。
なるほどねえ。

ヒロインの藤崎クロエは巨乳でなかなかの美人。これからも活躍が期待されるだろう。
「ただ裸が出ればよい」的なピンクではなく、ちょっと面白かった。

最後の最後にクレジットが終わったところで、例の記憶喪失の彼女が記憶を取り戻す。「思い出した!」の一言。
結局彼女の背景はよくわからなかったけど(いや説明されていたのかな?例の殺し屋の抗争に関わっていたとか)どうでもいいだろう、それは。



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人妻ナース 三日三晩の恋


日時 2011年5月11日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはallcinema onlineで)


看護婦の祥子(星野あかり)は昔つきあっていた男・田川が自分の病院に入院しているのを知る。
同僚は彼とセックスしているのを見てしまったが、彼女に聞いてみると田川は癌で余命3ヶ月、すでに手遅れで治療は行わずに退院になると言う。
翌日退院する田川。祥子はたまらず夫を残し、田川のアパートに行ってしまう。
祥子の夫は病院で田川のこと聞きだし、彼のアパートに行き、祥子を一旦は連れ帰る。
一週間後、祥子の夫は田川を呼び出す。祥子がむくれてもう1週間も口を聞いてくれないという。

「島田陽子に逢いたい」と同じ頃のオリジナルビデオ作品。
2010年は「ゴーストキス」とこれと「島田陽子〜」で、すべて「死」と「生きているうちにやり残したくないこと」に関わっている。
この「人妻ナース」と「島田陽子〜」は両方とも癌で余命3ヶ月で病院から出てくる男の話だ。
「島田陽子〜」公開時に監督にお会いしたときに「最近死についてばかり考えるんですよ」とお話になっていた。
たしかに2010年の作品はすべてそうなる。

「島田陽子〜」は大女優と映画共演を果たすという夢の規模が大きいが、こちらはそこまでの夢はなく話が小さい、というか地に足が着いている。
田川は昔カメラをやっていてカメラマンになるのが夢だった。しかしそれでは全く食えずにカメラは売ってしまって今はチラシのポスティングで食いつなぐ生活。

祥子は再び彼にカメラを与え(このシーンについては後に書く)田川は祥子の写真を撮り「俺って本当に写真が好きだと改めて思った」という。
本当に好きなことを死ぬ前にやっておきたいという、いまおかしんじの心の叫びなのだろうな?

最後に祥子は夫の元に帰り、数日後、祥子の夫と田川は居酒屋で酒を飲む。
その時に田川は封筒を夫に預ける。「俺が死んだら祥子に渡してくれ」と。
その後別れ際に「じゃ」と田川は夫に握手を求める。
夫の妻の元彼で不倫相手という考えてみれば不思議な関係だが、田川の祥子の夫への謝罪も感謝も別れも伝言もすべてがこもったいいラストだった。

次のカットは祥子と夫が田川の葬式からの帰り道。
夫が預かった封筒を祥子に渡す。中に入っていたのは、先ほどのシーンで撮った写真だったというオチ。
当たり前すぎてもう一つだった。

あとさっき書いた祥子が田川にカメラを渡すシーン。
二人で中古カメラ屋に入るのだが、祥子が万引きしてしまうのだ。
ここはちょっといただけない。
僕だったら祥子が店主に「まけて〜」とお願いするが店主は首を縦に振らない。そこで祥子はおっぱいを出す。次のカットで「スケベだね〜すぐまけてくれた」というとか、そういうのがよかったな。
何となく祥子は万引きをするキャラじゃない。



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農家の嫁 夫婦交換の村


日時 2011年5月9日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成20年(2008年)

(詳しくはallcinema onlineで)


トマト農家のタカヒロと敦子(小鳥優 恋 たかなしれん)はもう3カ月も
セックスをしてない。タカヒロがいざという時に勃たなくなってしまうのだ。
ある日、タカヒロは友人の家で飲んで酔っぱらって帰り、「日本が沈没したら
どこで待ち合わせるか」と聞いてくる。「東京タワー」と適当に答える敦子。
翌日、その友人がタカヒロのもとを訪ねてくる。その友人は夫婦関係が冷えているのだが
昨夜、お互いの妻を交換して夜這いあおうと決めたというのだ。
「困った」と頭を抱えるタカヒロだったが。

いまおかしんじのオリジナルビデオ作品。
彼の作品にありがちな幽霊とか河童とかの異形のものはでてこない。変にストーカーじみた人もでてこない。
ちょっとエッチな普通の夫婦のラブストーリーだ。

物語は結局タカヒロは友人の妻とセックスし、敦子は当然拒否し、翌日怒って東京にでていった学生時代の友人(男)を訪ねて数日過ごす。
その友人も離婚してしまい子供の養育費に苦心する道路工事の警備のバイトで食いつないでいた。
結局友人のアパートを出る敦子。
東京を歩き回ったあとにたどり着いたのは?
一方タカヒロも父親に「何が何でも敦子さんを探してこい」の言葉に押され、東京へ。
そして二人が出会った場所は?

という展開。
実は二人が出会った場所は東京タワー!
前半の「地震がきて津波が来たときの待ち合わせ場所は?」の答えがこういう形で出てくるとは全く予想していなかった。思わず膝を打ってしまう展開だった。

主演の小鳥遊恋はいかにも田舎の農家の嫁といった都会的雰囲気は皆無の女性。見た目はいいのだが、いかんせん芝居が下手だと思う。
また父親が数ヶ月前に妻を亡くし放心状態なのだが、この父親があとでなにか重要なポジションになるのかと思ったらそうでもなかった。
すこし期待はずれ。

あとカットつなぎで思ったこと。
敦子が東京の友人のアパートで「お前何かあったのか?」と聞かれ事情を説明するわけだが、こういうとき、普通は時間の経過を示すために、アパートの全景とか何か物のアップをインサートする。だが本作は二人がちゃぶ台で向かい合って話しているフルショットで「お前なにかあったのか?話してみろよ」。
で次のカットが友人が笑って「そんなことかあ」と言っているアップ。
そうか、時間の経過を示すインサートはいらないんだ。
妙なところで感動した。



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実録 六本木監禁レイプ


日時 2011年5月8日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 今岡信治
製作 平成11年(1999年)

(詳しくはallcinema onlineで)


六本木のキャバクラENDMAXは今日も男と女の駆け引きが行われていた。
そんな中で暗い男がいる。お目当てのキャバ嬢にもつれなくされている。
翌日、シャブ中の男は売人からシャブを買ったが、支払いが滞っていて、支払いを求められていた。
そしてその日の夕方、例の暗い男はお気に入りのキャバ嬢の出勤前に待ち伏せし、菊の花束を渡す。
だが「お店でね」と断られ、「でもお金が・・・」と答えるとさらに「菊の花束なんて非常識、あんたクサイ」と罵倒される。
シャブ中の男はこの暗い男と道で出会う。
「お前、一暴れしたそうな顔してるな。一緒にやるか?」と誘う。二人は迷わず今日の営業を終えたENDMAXへ。

いまおか監督がまだ漢字名義の時代のオリジナルビデオ。
AVみたいな内容かと思ったら、上映時間は70分でストーリー性もあり、フォーマット的にはピンク映画と同等だ。
正直AV並かと思っていたので出来は期待していなかったが、面白い。
まあ二人が店に入ってからホステスを責め出すとちょっとストーリーなくなるのだが、この暗い男のホステスに対する愛情には共感する。
この男がまずはバーテンを刺す。
シャブ中男は他のホステスを責めるが、彼は自分のお気にいりのホステスに執心する。
ストッキングを脱がせ足の指をなめるあたりはその愛情の強さ(たとえ一方的であっても)を感じる。

そして女は「あたしを助けたかったらあの男を倒して」とささやく。
最後になってこの暗い男あシャブ中に向かっていくのだが、割とあっさりやられれしまうのにはちょっとがっかり。まだまだこの男には活躍してほしかった。

翌朝、売人はシャブ中男を見つけ、支払いを頼む。
すると封筒に入ったものを渡し、シャブを受け取る。
男はシャブを口から飲んでいく。
シャブの狂気が感じられるいいラストだった。

あと店にカラオケ修理の男がいるのだが、この男が何か後半やらかしてくれるかと思ったらそれはなかった。
ちょっとがっかり。

話そのものも面白かったが、ヤクの売人の元締めが「集金してこい」とばかりにガード下で殴り倒すシーンはロングのフィクスで長いカットで撮っており、この辺のちょっとさめた感覚がいまおか監督らしいカット割だと思った。
やはりいまおか監督の映画だった。



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八日目の蝉


日時 2011年5月8日15:45〜
場所 ユナイテッドシネマ豊洲・スクリーン2
監督 成島出

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
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1993年、赤ん坊・秋山恵理菜を誘拐し4年間も逃走し育てていた野々宮希和子(永作博美)は懲役6年の判決を受けた。
彼女は秋山という男の不倫相手で、自分も妊娠したが秋山に言われて中絶し、秋山の妻からも別れるように言われ、相手の赤ん坊の顔を見てすべてを諦めようとしたが、つい連れ去ってしまったのだ。
時は流れて今、恵理菜(井上真央)は大学生になって一人暮らしをしていた。彼女はバイト先で知り合った岸田(劇団ひとり)と不倫関係にあった。
そこへ安藤千草(小池栄子)が事件のことを聞きたいと訪ねてくる。

原作の内容もろくに知らずに、赤ん坊の誘拐事件が発端となっていると聞き、てっきりミステリーだと思っていたら全く違っていた。
母と娘の話でまあ「生みの親より育ての親」といった感じの内容だ。
見ていて途中で失敗したと思った。

まず登場人物が好きになれない。
まず秋山と希和子の関係だが基本不倫だよね?
ここでは不倫は許そう。相手に不満があるときは不倫になることもあろうから。
で不倫相手とセックスするのも許す。しかしなんで避妊しないのだろう。子供が出来たら困るだろうに。なんでコンドームをつけないのか?
いやコンドームをつけたって100%避妊が出来るとは限らないのだろうが、自分の行ったことには責任を持とうね、男も女も。

そしてあろうことか大人になった恵理菜も不倫している。
親子そろって馬鹿である。
不倫して妊娠したら話がややこしくなることぐらいわからないのかなあ?
結婚している人なんか好きになっても仕方なかろうに。
未婚の私には馬鹿にしか見えない。

物語はその後、現在と過去をいったりきたりする。
希和子は子供の育て方がわからず、友人を頼ったり、女性の駆け込み寺のような自給自足の新興宗教の施設に入ったりする。
そこも危なくなるとその施設で知り合った人の実家を訪ね雇ってもらうことに。
そこで祭りの時に撮った写真が新聞の写真コンクールで入賞して新聞に掲載されたことがきっかけで逮捕につながる。
逮捕される時、子供を保護している警官に「その子はまだ食事をしていません。よろしくお願いします」と言ってそこが泣き所らしい。実際少しはうるっときたし、場内もすすり泣く声が。

でもねえ、根本的に登場人物が好きになれないので(自分の言動に責任をもてない奴は嫌いなので)映画自体も好きになれなかった。



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これでいいのだ!! 映画・赤塚不二夫


日時 2011年5月8日13:30〜
場所 ユナイテッドシネマ豊洲・スクリーン7
監督 佐藤英明

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昭和42年。小学館の新入社員入社式で売れっ子マンガ家の赤塚不二夫(浅野忠信)は新入社員に「バカになるさんす!」と言って「シェー」のポーズをさせる。
少女マンガの編集をしたい武田(堀北真希)は赤塚不二夫を殴ってしまう。しかしその事がきっかけで赤塚に気に入られる武田。
少年マガジンに「天才バカボン」が始まり、「おそ松くん」は終了になるが「もーれつア太郎」の新連載のヒット!
快調にいっていた二人だが、フジオプロの経理不正事件、赤塚の母の死によって天才赤塚不二夫にもスランプが訪れる。

亡くなった赤塚不二夫の伝記映画。
赤塚不二夫を知らない人はいないし、知らなくてもマンガのキャラクターは知っているだろう。
そのマンガの誕生の裏話とかのおもしろエピソードいっぱいの映画かと思ったがさにあらず。
完全に外された。ヒットしていないようだが、それも仕方のない出来だ。

まず基本的に実際は男だった主役の編集者を女性に変えたのが失敗。女性主人公にすれば集客が見込めると考える発想が貧しいとしかいいようがない。
次、浅野忠信。結構赤塚本人に似ているのでいいかなと思っていたが、武田と出会った頃は30歳ぐらいだろう?
堀北真希と並ぶとおじさんと若い女の子になる。
大卒の新入社員と30歳ぐらいのマンガ家ならもう少し若い役者のほうがいいんじゃないか?
先輩後輩ぐらいの方がよかったろう。

そして「もーれつ!ア太郎」を生み出すあたりではゲイバーでバカ騒ぎばかりしているが、見ているこっちにはまるで面白くない。他人が酔っぱらっている姿を見るだけでは面白くも何ともない。
原作本では爆笑エピソードがあったのかも知れんが、まるで笑えない。脚本演出が悪いか、はたまたもともと字で読むと面白くて画にすると面白くない内容なのか?

さらにひどいのが後半。
年老いた母のいしだあゆみがげっそりしていて、なんだかゾンビに生気を吸い取られた後みたいだけど、あれメイクなのか?地なのか?
それはさておき、赤塚がスランプになってから「レッツラゴン」なる世界文学をパロディにしたようなマンガを始める。
いや私が無知なので申し訳ないのだが、そんなマンガ知らんかった。
さらに旅館にこもってそこにいた爆弾作りの過激派と警官隊とマンガをミックスした不思議な映像が続き、私は取り残される。
まるで面白くない。
ひょっとして何かの「天才がスランプで苦しむ映画」を参考にしたのだろうか?
赤塚不二夫を題材にして映画を作るときのアプローチをどこかで間違えたとしかいいようがない。

赤塚不二夫のマンガは爆笑だったが、赤塚自身の映画はまったく笑いも起きなかった。
スタートの時点で間違えているとしかいいようがない。



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ゴーストキス


日時 2011年5月7日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成22年(2010年)

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キャバ嬢の康子(春野さくら)がアパートに帰ってきたら突如地震が起こる。
地震は無事収まったが、トイレの扉からみなみ(白井みなみ)という女子高生が出てきた。
戸惑う康子。しかしみなみの話からするとさっきの地震であの世とこの世がつながってしまったらしい。その出入り口が康子のアパートのトイレなのだ。
その頃、康子は同棲してる男・修一(豊川智大)の浮気を疑っていた。
またみなみだけでなく女子高生の格好をした中年男性3人や工事人の格好をした男も部屋に入ってくる。
彼らも幽霊なのだが、彼らの話ではみなみは死ぬ前に友人だった男の子六郎(深谷京祐)に言い残したことがあるらしい。
康子はみなみのために出来るだけのことをしようと思い、六郎を連れてくるのだが。

アートポートが主体で作った複数の監督たちで作った「青春の性と生」をテーマにした「青春H」シリーズの1本。
ポレポレ東中野でこじんまりと公開され、私はよく知らないまま公開が終わった。いまおか作品は宣伝があまりされないため、注意していないと見逃してしまう。

正直、面白くなかった。
最近のいまおか作品に見られる「死ぬ前にやっておきたいこと、生きているうちにやり残したこと」がテーマ。
でも女子高生が出てきて幽霊と言われて戸惑うまではよかったのだが、その後話がもたもたして進展がない。
テンポが悪い。正直30分もあればすむ話なのだな。
みなみたち幽霊は康子にしか見えないため、六郎を部屋につれてきてもみなみの想いがうまく伝わらないというのが展開だが、どうにも話がじれったい。
「青春H」という縛りのためか女子高生が主人公になったのが失敗だったのではないか?

僕だったら幽霊として出てきたのは男子高校生にするね。
「ああ、おれ女とやったことないんですよ!」とか言って初体験させるとか「やっぱり密かに好きな子に告白したい、その子とやりたい、いやでもきれいなままにしておきたい」とかの葛藤があるドラマなら私としては少年の気持ちが伝わってきてもっと気に入ったと思う。

さらに主役の春野さくらも白井みなみも魅力がない。
春野さくらはまず下手だし、白井みなみは第一顔が下膨れでお多福みたいな顔でかわいくない。
これが今時のアイドル顔なら映画の説得力もさらに増したのだが。

いまおかしんじ監督作品の中ではがっかりの1本だった。
もっともすべての作品が面白いわけないですが。



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GANTZ PERFECT ANSWER


日時 2011年5月6日18:35〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 佐藤信介

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玄野(二宮一也)たちがGANTZに呼ばれて星人と戦い始めて5ヶ月が経っていた。
そんな時、死んだはずの加藤(松山ケンイチ)が玄野の前に姿を見せる。
またまたGANTZに呼ばれ、戦いに向かった玄野たち。そこは地下鉄の車内だったが、いつもは一般の人々がいないところで戦いをするのに、乗客たちが乗り込んでくる。
「いつもと違う。何かがおかしい」。その頃、事故で消えた人々が実は生きているという情報を得てそれを追う男(山田孝之)がいた。
また黒い小さな球がモデルの鮎川映莉子のもとに届く。
どうやらこの球に示された人々を殺してGANTZのもとに送り届けるのが役目らしい。
いったいこれらの戦いの決着はどうつけられるのか?

今年1月に公開された「GANTZ」の後編。
あれだけ訳のわからない不思議な世界を示しておいたら(つまり話の風呂敷を広げたら)さぞかし後半困るだろうな、と思った。案の定、GANTZとは何なのか?、あのスーツの秘密は何のか?彼らはなぜ選ばれたのか?というあたりは説明なし。

今回は「星人」は「黒服星人」しか登場しない。
その黒服星人が「先に戦いを仕掛けてきたのはそっちだろうが!」という。
つまりは「戦いの連鎖」「報復の連鎖」である。
結局、GANTZの寿命(?)が終わりそうなので、GANTZが暴走している、GANTZのエネルギーのもとは中にいる男だろうということになっており、二宮和也が自分がそのエネルギー源となる代わりにGANTZに戦いを止めさせる。
映画とは全然関係ないが、先日アメリカがビン・ラディン殺害を公表した。
現実世界に起こる「報復の連鎖」を考えるとき、いまこそこのテーマは興味深い。
でも話をSF的にひねりすぎたために「設定の解りにくさ」が気になってテーマが伝わりにくくなっている感じが否めない。
それは私がおじさんだからなのか?

あと山田孝之が警視庁公安部の捜査員として失踪事件や都内で起こる謎の破壊事件を単独捜査するのだが、最後に偽加藤と玄野が戦いを始めた時に車で追いかけるのだが二人が戦い始めても一向に現場に辿り着かない。
おいおい何やってるんだ、という感じ。
それにGANTZの世界は「非現実的」なのでここで「警視庁」という現実的なものを出されても違和感が出てしまう。
結局彼は何も暴けないのだから、最初からこの役は必要なかったのでは?

私がこの映画にかかわったら前半の「星人」との対決はばっさりカットして後編を話の中心に据えて1本で終わらせる。原作ファンからは不満が出るだろうが、そもそも長大な原作を2時間で出来るはずがないから、それでいいと思う。

特撮は素晴らしく、偽加藤の松山ケンイチと本物の加藤の松山ケンイチのツーショットのカットなどカメラが移動しているからやっぱり素晴らしい。
もはや素晴らしいという表現は越えている。

あと出演では地下鉄シーンで乗客の一人で「なんか前の方で音がしない?」という若者役で藤井貴規が出演。
彼の映画も見たいものだ。



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プチ濡れメール白書


日時 2011年5月5日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 いまおかしんじ
製作 平成17年(2005年)

(詳しくはallcinema onlineで)


ミカ(三津なつみ)と達也(佐藤広佳)はつきあって何年にもなるカップル。デートの約束をしていたが、ミカの突然の残業ですっぽかされる達也。二人の行きつけのバーで働く直子(西野翔)もマスター(川瀬陽太)と付き合っていたが、マスターも浮気中。達也と直子は成り行きで達也の部屋でベッドをともにしてしまう。しかしことが終わった後にミカが達也の部屋を訪ねてしまい、二人は鉢合わせ。それを機にミカと達也は喧嘩状態。
ミカはどこかで知り合った顔も知らないメル友に日々のグチを送っていく。メールの返信に慰められるミカだったが。

いまおかしんじ監督のオリジナルビデオ。劇場公開はされていない(と思う)。allcinemaonlineのデータでは脚本いまおかしんじとあるけど、クレジットでは「脚本 桜井一紀」。たぶんデータが誤りだろう。

この後、話はマスターとミカがバーで結ばれたり、ミカのオナニーシーンがあったりする。
ミカはメル友にクリスマスの夜にデートする約束をする。
そこで待ち合わせにやってきたのは・・・達也だった、というオチ。

途中でミカのアパートに新聞の集金員がやってくるシーンがあるんですよ。なんか「遅い時間に来ないでよ」「すいません、早い時間はいらっしゃらないことが多いので」と答えるのですが、ここはこのストーカーめいた男がメル友だった、そして見直してつきあい出すのか?みたいな展開でこの集金人が関わってくれば面白かったのだが、相手が達也では何のひねりもないハッピーエンド過ぎる。

第一、メル友ではハンドルネームだった訳だけど、フリーメールとかじゃなくて携帯のアドレスでやってるじゃん。
携帯をお互い二つ持ってるわけじゃないし、どうなってるんだろう?
それにそもそもこのハンドルネームの二人はどこで出会ったんだ?
そういう基本設定がすこし気になった。

でも最近はmixiとかツイッターの時代だからこういう見知らぬ人メル友ってもう減ってきているのではないか?
この辺が携帯メールが急速に広まった2000年代前半の時代背景がでてる気がする。
このころは掲示板とかで知り合ってメールの個人アドレス交換してメールのやりとりを楽しむのがありましたからねえ。
ってことは数年経ったらmixiとかツイッターも古く感じるようになるのか?
時代を繁栄した話だった。



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日時 2011年5月5日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 フェディリコ・フェリーニ
製作 1954年(昭和29年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


貧しい家に生まれたジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)は今まで旅回りの大道芸人のザンパノ(アンソニー・クイン)の助手をしていた姉にが死んで、その代わりにと買われていく。
ザンパノの芸は胸に鎖と巻き付け、それを胸の筋力で引きちぎるものだった。
少し頭が足りないジェルソミーナは毎日怒られながらもザンパノについて行く。
ある日、サーカスが綱渡りをしているのを見かける。ザンパノたちはそのサーカス団に入れてもらう。しかしその綱渡りの通称イル・マット(「きちがい」の意味)(リチャード・ベイスハート)はザンパノとはウマが合わず、イルマットがからかい、ザンパノが追いかけるのを繰り返していた。
ある日、ついに大ゲンカをして警察沙汰になりザンパノもイルマットもサーカスを首に。サーカスに誘われたジェルソミーナだったが、ザンパノについていく。
偶然、イルマットの車がパンクして修理しているのに出くわす二人。
二人の喧嘩がまた始まり、ザンパノは誤ってイルマットを殺してしまう。
それがショックで芸が出来なくなるジェルソミーナ。
面倒になったザンパノは彼女を捨ててしまう。
数年後、ザンパノはジェルソミーナがイルマットから教えてもらっていつもトランペットで吹いていた曲をある村で耳にする。
聞けばある気違い女がよく吹いていて、その女は数年前に死んだという。
それを聞いたザンパノは夜の海で泣き続けた。

今年見た大森一樹監督の「世界のどこにでもある、場所」の佐原健二のエピソードで彼の思い出の映画としてタイトルだけ登場した映画。フェリーニは「8 1/2」ぐらいしか見たことがないし、ちょっと興味もわいたので鑑賞。

正直言うけど、私はこの映画はだめ。
ザンパノのような野卑で自分勝手な男がこちらは見ていて好きになれない。
成瀬の「浮雲」の森雅之も女に手を出してばかりで好きになれなかったが、あんな感じ。
「浮雲」の時はそれについていく高峰秀子も好きになれなかったが、今回のジェルソミーナは「頭が弱い」という設定。
「頭が弱いけど心は純真」みたいな設定が類型的で手垢が付いている。ただしこれは昔の映画(例えばこの「道」)がそれをやり、後に続く映画がそれを模倣したためにそう感じるのかも知れない。

イルマットがジェルソミーナに「小石だって何かの役に立っている。世の中すべてのものが何かの役に立ってるはずだ」という説教をたれるのもいただけない。
そういうありきたりな説教は聞きたくないとへそ曲がりの私なんかは思ってしまう。
チャップリンの映画もそういう説教じみたところもあり、大人になってから好きになれなくなった理由かも知れない。

名作というのを否定はしないが、私にはあわない映画だった。



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アラサー、よっこらしょッと


(公開時タイトル「肉体婚活 寝てみて味見)
日時 2011年5月4日16:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 森山茂雄
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはPG‐Web‐Siteで)


ありさ(上原優)は30過ぎてそろそろ結婚に焦る年頃。
今日も紹介で出会った人とお見合いデート。収入はいいみたいだが、アニメオタクで、マクドナルドのポテトが大好物という変わった人。それでも家に誘ってみた。
同居人(みずなれい)がありさがいないときにけしかけたものだから、そのオタクとはその夜のうちに結ばれるが早漏で白けてしまう。
そうこうして同居人とありさが夜飲んだ帰り道である男が歩道橋から飛び降りようとしているのを助ける。
実は自殺ではなかったが、その男は顔に大きなほくろがあってそれをコンプレックスにして自信のない男だった。
絵本作家をめざすその男をみずなれいは励ますようになるのだが。

森山茂雄監督の新作。
特に森山監督が好きというわけではないのだが、なるべく映画は浅くても広く見ようと思うので、グリソムギャングでの上映を機会に鑑賞。
本来なら上野オークラまで行ってみるのがピンク映画ファンだとは思いますが。

正直、あんまり面白くない。
どこに原因があったかというと、(上映後の森山監督のトークの時に監督がおっしゃって気がついたが)主人公が入れ替わるのだ。
最初、30代女性の結婚話で、彼女が主人公と思いきや、後半になって同居人のみずなれいとほくろ男の話になってしまう。
これがアニメオタクの後にこのほくろ男と出会って(ベタではあるが)「お金じゃなくて男は心意気だ」みたいな展開になればもう少しすっきりしたと思う。
または最初のアニメオタクと出会うのが、みずなれいの方ならその心の変化もありなのだが。

それと絵本作家の男が書いている絵本が「羽に白い模様のあるカラス」の物語。「自分のことじゃん」とみずなれいに指摘されるが、「いじめにあってるカラスがやがては自分を理解してくれる雌カラスが現れてどうした」となる。
最後はその雌ガラスが「個性と考えて自信をもとう」的なことを言って絵本作家が自信をつける話だが、そんなのもっと簡単にやればいいのに、雌ガラスがなにか延々と話す。(詳しくは忘れたけど)
その辺も含めて佐野和宏のシナリオの練りが足らない気がした。

あと絵本作家のほくろ男が巨根でみずなれいがこの男と見直すきっかけになるというのはピンク映画らしいベタな展開で嫌いではない。
絡みのシーンで佐野和宏がマスターのバーで、主人公の二人のほか、ゲスト的出演の倖田李梨が佐野和宏と絡む。

最初のアニメオタクが最後に倖田李梨とカップルになって登場のオチもあってよかったのでは?と思う。

他、本日は15分の短編「女優・水原香奈恵」も上映。



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主人のいぬ間に〜疼く(うずく)美人妻

(劇場公開時タイトル「濡れる美人妻 ハメられた女」
日時 2011年5月4日
場所 DVD
監督 今岡信治
製作 平成13年(2001年)

(詳しくはPG‐Web‐Siteで)


修二(松原正隆)は焼身自殺しかけるが、いざという時になって怖くなって逃げ出してしまう。
逃げ出した先である車が排気ガスを引き込んで男が自殺してるのを発見する。
その男はなんと修二にそっくりだった。
だが修二は自転車にはねられ、頭を打つ怪我をする。持ち物から彼の妻・なずな(沢木まゆみ)が迎えに来る。二人は修二のうつ病が原因で別居中だった。
二人は改めて一緒の生活を始めるのだが。

今岡信治(いまおかしんじ)監督のピンク映画。
中古がアマゾンで安く売っていたので内容は解らないけどいまおか作品だということだけで購入。

いまおか作品らしくせりふも少な目で、しかも画面はフィクスのままで長いカットも多い。
そういう「いまおか監督らしさ」を感じることが出来たが、内容は印象に残らない。

ピンク映画らしく、塗れ場も珍しく多い。
まずは修二が別の男の服を着て、とりあえずソープへ。
なずなは別の男とセックスして(バイト先のレストランの店長らしい)なずなの元へ連絡が入り、夫婦(?)が再会するのが上映時間の20分過ぎ。

ここから話が始まることになるが特に二人の間には事件もない。
データベースのHPを見るとこの後修二がなずなの夫の死体と山に埋めるとあるがそんなことはない。
放置車両のため死体が警察に発見される(そのシーンはないけど)

なずなは人が違ってもやっぱり夫(修二)を愛おしむようになる。
一人でいたくないということで。
結局なずなと修二は夫婦として暮らしていくという結末。

二人の心のやりとりを示すエピソードとして、真っ黒焦げになったハンバーグを修二はおいしいと言って食べ、次の朝も真っ黒になったトーストを食べ、次も真っ黒になったフレンチトーストを食べる。
二人の関係を示すアイテムとして「真っ黒焦げの料理」が使われているのが面白かった。

でも主役の松原正隆も沢木まゆみも印象に残らず、その辺が映画としての印象の薄さにつながっているのか?
いやそもそも話もありきたりで面白くないか。
もっと弾けて「別人なのがばれそうになってそれを取り繕う」的なコミカルな様子があればそこそこ面白かったかも知れないけど、だからといって特別面白くなったわけではないような気がする。



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実録外伝 大阪電撃作戦


日時 2011年5月2日21:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 中島貞夫
製作 昭和51年(1976年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


昭和35年大阪。当時の大阪は多数の組織が乱立していたが鶴橋を縄張りとする新興の双竜会(会長・趙〜室田日出男)が勢力を拡大しようとしていた。
大阪の昔ながらのヤクザ南原組(組長・南原〜織本順吉)とは対立していたが、神戸の川田組(会長川田〜丹波哲郎)の山地(小林旭)の息のかかった大東(成田三樹夫)が南原の縄張りに店を出したことから対立が始まる。
南原組の幹部・宮武(梅宮辰夫)と高山(渡瀬恒彦)は双竜会をけしかけ、幹部・安田(松方弘樹)に一気に山地を殺させることにした。
だが山地の乗った車は防弾ガラスで銃撃は失敗。高山も加勢するが顔を見られてしまう。
それで南原組が山地を襲ったことが解り、南原は山地に呼びつけられる。
南原はあっさり山地と兄弟分に。
大阪戦争は終結に向かうかに見られたたが、ある日、大阪のサパークラブで安田たちはある歌手が飲みに来ていた席に絡んでしまう。
ところが同席していたのが川田組組長自身だった。
この事件のオトシマエをつけるため、川田組の大阪侵攻が始まる。
南原はもちろん山地に加担するが、高山は山地襲撃以来気の合う安田に加担する。
こうして大阪戦争は激化していく。

高田宏治脚本・中島貞夫監督コンビの実録アクション。
最近ラピュタでみた「東映現代やくざ」の中では一番面白かった。
仲間内では大きいことを言うくせにいざとなるとビビり出す、という実録やくざものでは定番の親分に織本順吉。こういうキャラが出てこそのやくざ映画だ。
そしてそれに反発する武闘派に松方弘樹、渡瀬恒彦、中間幹部に成田三樹夫、梅宮辰夫、もうちょっと上になって小林旭、大親分に丹波哲郎。という「仁義なき戦い」をそのままもってきたような(ほめ言葉です)絶妙なキャスティング。

敵味方、攻守がころころ早い展開で変わっていき、これこそ私のイメージする「実録ヤクザ映画」の見本。
面白い。
松方の女房をそれとは知らずに渡瀬が気に入って「抱かせろ!」という展開になるけど、ほとんど女性が登場しないのもこういう男性映画としてはいい。

展開が早いのでどっちがどっちだがややわかりにくくなるときもあるけど、それはまあいい。
要はそれぐらい攻守逆転しているんですから。

キャラクターの中でも成田三樹夫の横にいつもいる目黒裕樹がいい。
東映ヤクザものではあまり見かけない顔だけど、片目を少し白目にしてなかなかの迫力。
小林旭は相変わらず太っていて大幹部の貫禄。
また郷瑛治が川田組の応援に駆けつける九州のヤクザ。ちょっと出番が少ないのが残念。
あとは川田組に捕まってドラム缶に入れられて下から火をつけられて松方弘樹たちの居場所をしゃべってしまう片桐竜次が印象に残る。

そして捕まった松方だが指を詰めて手打ちの席へ。そこで会の始まる前に身体検査を受ける。
「今更何もせんですよ」と言っておきながら・・・・の展開。
さすが高田脚本は最後の最後までいつもながら目が離せない。

理屈的な部分で思うことはないけど、僕のイメージの「実録ヤクザ映画」らしいヤクザ映画で、久しぶりにヤクザ映画のおもしろさを堪能しました。



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ヒットマン


日時 2011年5月1日
場所 TSUTAYAレンタルDVD
監督 チュン・ウェイ
製作 1998年

(詳しくはallcinemaで)


香港で日本人実業家・塚本(佐原健二)が侵入してきた何者かに殺害された。塚本はかつて日本軍時代に中国で略奪を行い、それを元に財を築いた悪人。誰から殺されてもおかしくない。そのために事前に殺し屋を雇う基金1億米ドルを用意していた。彼の死後、その準備通りに各地から殺し屋が集まってくる。塚本の孫もその一人だった。
そんな時、ジェット・リーの特殊部隊出身だが、人のいい男も殺し屋の仕事斡旋所からこの話を聞き、塚本ビルへ。
そこで自称殺し屋の詐欺師と知り合う。
ジェット・リーや詐欺師は塚本を殺した奴を突き止められるのか?

佐原健二さんが出演した香港映画、ということで鑑賞。
事件の発端になる冒頭で殺される悪い奴、での出演。
だから当然、このシーン以降出演シーンなし。あとは葬式会場の遺影写真とかかつて顔写真が載った新聞記事とかそういう形だけの出演。がっかりした。観るの止めようかと思ったが、一応最後まで観ることに。

その後、ジェット・リーたちは遊園地である男を殺すことに。しかしジェットリーがたまたまさっき遊んだ子供の父親だったことから殺せなくなる。
ここで他の殺し屋が殺そうとしたところを助けたことになるのだが、殺すはずだった男が最後に挨拶して金を渡していく。
この男がその後の話に絡んできたり(たとえば窮地に陥ったジェット・リーたちをちょっと助けるとか)するかと思えばそういった伏線はなし。
惜しいなあ。

で、その後、その詐欺師の娘が出てきたりするのだがそれがやたら美人の弁護士。
殺された塚本の胃から昔の日本軍の小切手(軍票か?)が入っていたことので死後塚本の口に犯人が押し込んだと思われる。
その軍票のナンバーからある老人が浮かび上がるが、その老人はジェットリーたちが助けようとするが老衰で死んでしまう。
実はその詐欺師はその老人から小切手のことを聞いており、塚本を殺したらお金をもらう約束をしていた、別の男が殺したのだが、老人はお金を送ってきた、だから自分は殺されると告白。
今度は詐欺師やジェットリーが狙われるようになる。
エレベーターで下に降りようとした時に襲われるシーンは、アクション映画ではありがちとはいえなかなか楽しめた。

忘れないように備忘録で書いておくけど、塚本を殺したのは実は時々登場していた刑事。悪を許せずいままでの何人も悪党を殺していたのだ。
結局、ジェット・リー、詐欺師、刑事で塚本の孫を倒し、1億ドルを手にする。
塚本の孫が登場シーンで、祖父の骨壺から骨を出して飲んでしまうところはなかなかの悪党ぶり。
でも全体的には凡庸なアクションドラマ。



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