2012年3月

僕等がいた 前編 青いソラ白い雲
栄光への5000キロ 黒部の太陽 ヒューゴの不思議な発明 3D おかえり、はやぶさ 3D
桜蘭高校ホスト部 スカイパニック 昭和元禄 
TOKYO196X年
黒い潮
怪獣ゴルゴ クロネズミ 完全なる飼育 
メイド、for you
同じ月を見ている

僕等がいた 前編


日時 2012年3月31日21:45〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 三木孝浩

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北海道釧路の高校。高橋七美(吉高由里子)は2年生になってクラス換えで矢野元晴(生田斗真)と出会う。
矢野は去年のクラスでは女子の3分の2が好きになったというモテる男だ。七美も最初は関心がなかったが、屋上で物憂げな表情をしていた矢野を観るうちに意識し始める。
矢野は人望があり、クラスをまとめるのもうまかった。
同じクラスには陰のある少女、山本(本仮屋ユイカ)がいた。実は山本の姉、奈々とかつて矢野はつきあっていた。しかし奈々は別の男と車に乗っているときに交通事故にあい、去年亡くなっていた。
奈々と一緒にいた男は奈々が以前つきあっていた男で、DVを働く男で矢野はその男と別れさせていたと思っていた。しかし彼らは続いていた。
矢野はまだ彼女に裏切られたことにこだわりがあり、七美に対してもいまいち本気になれなかった。

生田斗真主演の恋愛2部作。
3月に前編公開で、4月に後編公開だ。
正直面白かった。
生田斗真、その親友竹内役の高岡蒼輔ともに高校生には見えないが(生田は現在27歳)、後編できっと年齢があってくるのだろう。

矢野は以前の恋を引きずっている。しかも彼女に裏切られ、彼女からの弁明も聞けない。もう一度やり直すことも出来ない。なぜ?だけが残る。
その謎めいた過去について親友の竹内や竹内の姉が解説をしてくれるという展開で二人の恋愛は進む。

でも高校生のくせに(あえて「くせに」だ)大人びた恋愛をしてるなあ。
高校3年生かと思っていたらそれより一つ下の2年生。
ってことは矢野が奈々とつきあっていたのは1年生。
高校1年生で「俺が守る」とか「俺が幸せにしてやる」とかいうなよ、などとおじさんの意見を言ってはいけない。
奈々に裏切られた代用として妹ともセックスをしてしまった矢野。
高1でセックスかあ。
こういうことを言うのをおじさんの嫉妬という。

好きだった相手に実は男がいて裏切られるという基本設定は自分の恋愛経験とダブルところがあり、妙に親近感がわく物語で、物語にのめり込めた。

同じく北海道の高校生を題材にした「ハナミズキ」があったが、あれは生田斗真がガテン系の高校生でいまいち似合わない感じがしたが、本作では勉強も出来、運動も出来、しかもクラスの人望もあるという優秀な男。こういう男のほうが生田斗真には似合う。

生田斗真の親の離婚で生田は東京へ。
七美も大学受験を東京にして東京での再会を誓う。
しかし東京での再会はならなかった、というところで今回は完。後編が楽しみだ。

加えて言えば矢野や竹内といつもつるんでいるが、しかしその他大勢でしかない同級生役に藤井貴規が出演。
後編への出演も期待。



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青いソラ白い雲


日時 2012年3月31日18:50〜
場所 新宿K’cinema
監督 金子修介

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2010年12月24日、お金持ちのお嬢様の小林リエ(森星〜ヒカリ)は友人を呼んでクリスマスパーティ。そこには女友達だけでなく、自分は彼氏のつもりの翼(近江陽一郎)もやってきていた。
翌年2月14日、リエの両親は離婚した。9月からアメリカの大学に行く予定のリエは3月10日にロスに向かった。3月11日、日本は東日本大震災に見舞われた。
リエはガイガーカウンターを持ち、帰ってきた。
しかし再会した父は途端に詐欺で逮捕、借金のカタに自宅は押収され、路頭に迷ってしまう。
クレジットカードは父の逮捕と借金で差し押さえで使えない。ロスに帰る航空券も盗られた。再会した翼は被災地のボランティアに向かい、被災して飼い主がいなくなった犬をリエに渡して去っていった。
リエは行く当てをなくしたが、高校の同級生梓が路上ライブをしているのに再会。なんとか彼女の家に居候させて貰うことに。

東日本大震災後の日本を堂々と舞台にした映画。
今公開されるテレビも映画も現代が舞台になっているのに震災などなかったような内容ばかり。
もちろん映画やドラマは架空世界なのだから震災などない世界なのだという反論もなりたつ。
しかしやっぱり変だ。

震災ですべてに変化があった日本を描く。
人々は「今は日本人は助け合わなきゃ」という。しかしその言い方をする人間がリエの航空チケットを盗み、犬の糞を押しつける。
震災で事業がだめになったと口々にいう。
しかし「それって何でも震災のせいにしていない?」と主人公は問う。

マスコミも嘘、政府も嘘をつく。もちろん悪意のないものもあろう。放射能が降ってくるなどという根拠のないチェーンメール。嘘をつくつもりはなくても結果的には嘘を流している。

逆に真実を言っても信じてもらえない。
梓は若林(大沢樹生)という男と同居している。この男は音楽プロデューサーと名乗り、そして自分は末期ガンという。しかしガンは嘘だという。
リエや若林、梓が住む家に自分は原発被災者だと名乗る女性が訪ねてくる。過去にこの家に住んでいたので懐かしくて訪ねてきたという。なんだかんだと言って住み着くおばさん。しかし料理の才能はあるので助かる。
リエも読者モデルの経験からモデルを始めるが所詮は素人と現場で罵倒される。しかし彼女はめげない。
リエも自分は8歳までアメリカに住んでいたから英語の発音には自信があると英会話教室の講師になる。
日本に住むのが夢だったという外国人にも出会う。

ラストに物語は急転回。梓と若林の本当の関係も明らかになり、ロスからリエの友人が迎えに来る。リエとて「震災後の日本が心配だったから帰ってきた」というのも嘘。
ロスから来た友人は「こんな放射能だらけの日本に将来はない」と言い放つ。

外国人は逃げないといい、日本人はこんな国捨てろという矛盾した混沌とした日本。

しかしラスト、若林の残したipodに入っていた歌を歌うリエ。歌には人間を元気づける力がある。
その時に初めてタイトルの意味が明らかになる。
この歌のシーンでは涙がこぼれた。

出演者では主演の森星(ヒカリと読む)がいい。
新人賞ものだ
黒木メイサを若くした感じの美少女で、お嬢様っぽさがいい。ほんとに生意気なお嬢様の雰囲気を漂わせる。
先日観た「桜欄高校」に登場したお嬢様とはえらい違いだ。
あとは大沢樹生。セルフパロディっぽさもあるキャラクターでこのキャスティングが絶妙。

一人でも多くの方に観て貰いたい映画だ。



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栄光への5000キロ


日時 2012年3月24日15:00〜
場所 東京国際フォーラム・ホールC
監督 蔵原衡膳
製作 昭和44年(1969年)

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レーサーの五代高之(石原裕次郎)はヨーロッパの独立チームに所属していたが、事故で九死に一生を得る。そのことがきっかけでチームは解散。
五代は高瀬専務(三船敏郎)の誘いで日本の日産に迎えられることになる。
日本グランプリではかつてのチームメイトで今はアメリカの自動車チームのピエールに敗退。
しかし高瀬は五代に次なる挑戦を依頼する。
それはアフリカの過酷極まりないサファリラリーだった。
ピエールも参戦する。
五代の恋人でファッションデザイナーでもある優子(浅岡ルリ子)は五代との関係を嫌い、落ち着いた生活を求めて前の恋人のジャックの元へと帰って行ったが、五代のことは忘れられない。
ピエールの妻も夫との生活に疑問を感じていた。

「黒部の太陽」と同じ理由でソフト化されなかった石原プロ大作。しかし公開当時の興行成績が影響しているのか、「黒部の太陽」ほど幻になってない。
去年、小樽の石原裕次郎記念館でこの映画のラリーシーンに使われた車を見た。映画を観た後だったら感慨もひとしおだったろうなあ。

はっきり言うけど前半は退屈した。
モンテカルロラリーで事故を起こすとか、危険な夫を待つのが苦痛な妻とかまるでジョン・フランケンハイマーの「グランプリ」の焼き直し。さらに自動車会社の重役で三船も出てるし。
さらに日本グランプリのシーンでこのときだけチームリーダーとして仲代達矢登場。
かつては仲代もレーサーで五代も関わった事故で右手が使えなくなったとかの設定があるけど、まるで生きてこない。
後半になったらチームリーダーは伊丹十三になるんだもん。(実は昨日の疲れもあって日本グランプリのあたりは少し寝たかも知れない)
アフリカのサファリラリーを五代が受けたところで1時間半で休憩。

ああ、このあとも盛りあがりに欠けるのかなあと思っていたら大間違い。
このアフリカのラリーのシーンはすごい。
本物の迫力だ。
「黒部の太陽」はなんだかんだ言っても(そりゃ出水のシーンでは実際に事故に遭いそうになったぐらいだったそうだが)国内のセット。
でもこちらはアフリカロケ。
実際のラリーもロケしてるだろう。
撮影の過酷さは想像に難くない。

このアフリカ篇が一番面白いし、良く出来ているのでここを中心に作っても良かったのではないか?
その方が上映時間も2時間強に出来るだろうし、大作感もあって良かったのではないかなあ。
3時間以上は観ていてつらいのだな。

それと例えば「グランプリ」は4人のドライバーがそれぞれの思いでレースに挑み、誰が勝っても面白いようなドラマ性があった。
でもこれだと「危険に賭ける男」と「それを待つ女」だけだもん。ドラマとしては弱すぎる。

子供の頃、この映画ゴールデン洋画劇場でカット版が放送されたことがあった。
2時間枠で放送(だったと思う)のカット版。上記のこと考えるとこのカット版も今や観てみたい。

この時に観て記憶していたカットはやっぱりあった。
ぬかるみにはまってタイヤが空回りする時に後部座席からセーターを取り出しそれをタイヤの下に挟むとぬかるみから脱出出来る。でもこのセーターは浅丘ルリ子がプレゼントしたものと後でわかる。ここは伏線として最初から出しておいてくれた方が、「浅丘ルリ子が救ってくれた」というシーンになって良かったのではないかな?
(それとも俺がセーターを貰うシーンを見逃しただけなのか?)

あと坂道を上りきって車がジャンプしながら着地するカット。記憶では車の下腹が全部見えたような気がしたが、そこまでジャンプはしていなかった。

「黒部の太陽」と同じく幻だった2本の映画を観ることが出来、満足した1日だった。
(あと観客全員に「焼き肉のたれ」「サラダドレッシング」「石原裕次郎カレンダー」の3点のおみやげ付き。どういうスポンサーだかよくわからんけど)



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黒部の太陽


日時 2012年3月24日10:00〜
場所 東京国際フォーラム・ホールC
監督 熊井啓
製作 昭和43年(1963年)

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昭和31年。高度経済成長が始まった日本において今後の電力供給能力を強化するために関西電力は黒部峡谷に黒部第四ダムの建設を決めた。
工事責任者となった北川(三船敏郎)だったが、難工事が予想されるため、辞令の辞退を申し出るほどだった。
しかし太田垣社長(滝沢修)の説得により、重い腰をあげることになる。
一番の難工事はトンネルの建設だ。黒部のあたりはフォッサマグナという破砕帯があり、地盤の中がどうなっているか解らない。しかしトンネルを作らなければ資材が運べず、ダムは完成しない。言い換えればトンネルさえ開通すればダム建設の見通しは立つ。
トンネルの建設は間組が請け負う。が実際に働くのは下請けの人々だ。その労務者を束ねるのが岩岡源三(辰巳柳太郎)だ。源三の息子剛(石原裕次郎)は父のかつてのトンネル建設のためならどんな犠牲でさえもいとわない父に反発していた。実は剛の兄もかつて父の無理な命令によって命を落としていた。
工事は始まった。心配された通り、破砕帯にぶつかった。
落盤と出水が全く止まらないまま何ヶ月も過ぎていく。


石原プロの幻の大作。裕次郎の遺言により、「スクリーンで観てほしい」という全くソフト化がされておらず、かといって上映する気もなく最近まで幻の映画だった。
しかし昨年、石原プロを長い間仕切っていた小林正彦専務が退職した(させられた?)ことにより風向きが変わって今年にはソフト化されるらしい。その前に全国各地で上映会が行われる。

以前熊井啓監督が出版したこの映画のメイキング本を読んでいたので、大体の話は知っていた。話の中心はダム建設ではなく、トンネルの話だということも。

実際にトンネル作りが始まるまでは会社のお偉いさんたちの会議会議が多くてやや退屈。
それに戦前の戦争を勝つために行われた無理な工事、それを推進した父と戦後民主主義の基に(そうは言わないけどそういう感じ)工事を行おうとする息子の対立。
しかし工事が進むうち、自分は労務者たちの仲間だと思っていたが、実は労務者たちからは「俺たちに工事をさせて儲けるということじゃ同じトンネルのむじな」と言われてしまう。

資本家、使用者、労働者の対立のドラマに持っていくあたりはいかにも熊井啓とも言えるかも知れない。

それに今観ると時代の違いを感じさせる。
もう高度経済成長そのものなのだな。
電力の為なら自然破壊もなんのその。第一この映画には自然破壊という概念がない。ダム建設の時代だけではなく、映画製作時にもなかったろう。

そして工事が停滞すると「シールド工法というやり方もありますが、予算がかかります」というと社長は「金で解決することなら遠慮せずに言ってください。金のことは私に任せて」と言い放つ。
311以降、原発問題で如何にコスト削減の為ならどんどん安全策を怠ってきた電力会社の体質を観ているので嘘くさくて笑ってしまう。
むしろコストがいくら掛かっても電力料金に上乗せすればいいから気にならないのか。

そして三船敏郎の娘は白血病で死ぬ。
父は仕事で見舞いもそこそこ。
家族より仕事を大切にする時代の価値観だなあ。
今ならこうはならないよ。

戦前派と戦後派の対立など今観ると隔世の感がある。
今じゃ高度経済成長世代とそのバブル崩壊以降世代の対立だもんなあ。
ラストの犠牲者の碑を大きく写すところに熊井啓の信条を観た。

映画的見せ場の中盤の大事故シーン。
水が一気にあふれ出てくるシーンはまさに圧巻の一言。
CGではない本物の迫力だ。
このシーンで途中でストップモーションになるシーンがあるが、この後きっとカメラも流されたので使えないカットだったのだろう。

ここで休憩が入るが、その後はなにをやっても水が止まらない八方ふさがりというシーンが続いてやや退屈。
同じプロジェクトものなら「富士山頂」の方が面白かったというのが本音。
なお寺尾聡と宇野重吉が親子役で共演。
寺尾聡はこれが映画初出演だと思うが、まだまだへたくそ。

でも全体としては大企業(関西電力や建設会社)の提灯持ち映画と言われても仕方ない気がする映画だった。
そうならないように熊井啓は努力してるけど。



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ヒューゴの不思議な発明 3D


日時 2012年3月20日19:50〜
場所 新宿バルト9・シアター5
監督 マーティン・スコセッシ

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1930年代のパリの大きな駅。
ここでヒューゴ少年は駅中の時計のねじを巻いていた。
父は時計職人で機械修理の名人だった。ヒューゴも子供の頃から機械いじりが大好きだ。
父が博物館で捨ててあったという機械人形を拾ってきて二人で一生懸命に修理する。
しかし父は突然の火事で亡くなり、ヒューゴは叔父に連れられて、この駅の時計係りをするようになったが、叔父はどこかへ出かけて行ったきり帰ってこない。
ヒューゴは食べ物は駅でなんとか調達していた。彼の夢は父の残したノートを基にして機械人形を直すことだ。
しかし駅のおもちゃ屋のおじいさんに泥棒呼ばわりされてその父のノートを取り上げられてしまう。
ヒューゴはそのおじいさんの家までノートを返してもらおうと頼みにいく。おじいさんはヒューゴを追い返したが、その家の可愛い娘はなんとかしてあげると約束してくれた。

マーティン・スコセッシの3D・CG作品。
「ギャング・オブ・ニューヨーク」で当時のニューヨークをセットで再現し、ジョージ・ルーカスに「CGにすればもっと安くあがるのに」と言われたという話を聞いたことのあるスコセッシだが、この映画ではCG使いまくり、そして3Dにも挑戦。
「スコセッシも考え方が変わったか」と思ったが、この映画に関してはそうなるのだろう。

おもちゃ屋のおじいさんは実は、トリック映画の父、ジョルジュ・メリウスだった!という映画ファンなら驚く展開。
なるほどねえ。それなら納得だ。
メリウスといえば世界初のSF映画「月世界旅行」を作った人。いわば世界初の特撮映画を撮った人だ。
そのメリウスの偉業をたたえるファンタジーだ。
CGや3Dにするのがこれまた当然だろう。
「映画の技術もおかげさまでここまでこれました!」という先人たちへの感謝をスコセッシは捧げたいに違いない。

3Dを意識してるので、雪とか機関車の蒸気とかいかにも3Dで効果が出そうなカットが並ぶ。
パリの街並みもCGで作った。
いかにも感満載で普通なら私も拒否するが、メリウスに感謝を捧げるならこれもありかなあ。
メリウスなら映画とは「驚き」という観点から解ってくれるのではないか。
この映画をメリウスが観たらどう思うだろう。

この映画を観終わった後、メリウスを検索するとウィキぺディアに記述があったが、彼の生涯の晩年は解らない。
この映画のようにおもちゃ屋をしていたのか?
ちょっと知りたくなった。
そして私も「月世界旅行」もまだ未見。
今度こそ観なくては、という気になった。

それにしてもこの映画では人工着色版「月世界旅行」が出てきたが、それって実在したのだろうか?
特撮にカラライズ、今の映画の方向性の基礎を作ったのはやっぱりメビウスなのだな。

映画自体はちょっと長くて退屈する部分もあったが、「メビウスに捧げる」というテーマには共感できた。
映画の先人たちよ、ありがとう!



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おかえり、はやぶさ 3D


日時 2012年3月20日16:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン7
監督 本木克英

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ストーリーは省略。
他のはやぶさものと大して変わらない。
でもスタート地点がどんどん遅くなっている。
FOX版は発射前の準備段階から、東映版は発射するところから、今回の松竹版はなんともう発射していて、火星探査計画が失敗するところから始まる。
どんどん短くなるなあ。きっと今度作られたら、はやぶさがイトカワにタッチダウンするあたりから始められるに違いない。

そして今度はついに3Dで登場。
でも3Dは私は日本の3Dは見限っているので、期待なし。でも前売り券が3Dで1500円というチケットが手には入ったのでこれを買った。
このチケットでもちろん2Dも観れるのだが、ついやっぱり3Dを観てしまうあたりが私も貧乏臭い。

主人公はロケットエンジン担当の大橋健人(藤原竜也)。
なんだかこいつは妙に自信たっぷりで、天才肌でちょっといやな奴。憶測だけど架空の人物ではないか?
だってそんな若い奴でプロジェクトを引っ張っていく奴いままでいなかったよ。
そして父親の三浦友和が火星プロジェクトの責任者でその失敗をうじうじしてる奴。これも架空ではないか。

映画のはじめの方で杏演じるJAXSAのメンバーが学校にプロジェクトの講演会にいく。
ここでは子供のなかなか詳しくてしまいには子供がマイクを奪ってしまいべらべらと説明しまくる。
なんかこういう形で子供が出てくると昔の児童映画を思い出してしまう。
それに上映時間が2時間を切ってるので、やたら説明部分が多い。
大杉漣も説明しまくりだ。

田中直樹の職員の妻が肝臓の移植手術でアメリカに行ったりとかまたまた脱線する。
どうして事実のドラマに徹しないのだろう。
やたらと創作ドラマを入れられるとげんなりする。

そしてやっぱり3D。
何の効果もない。
「はやぶさ」映画3本目としては3Dにでもしなければ売りがないというプロデューサーの都合も解るし、それを一概に責めたりしないが、やっぱり意味がない。
3Dにしなければならない苦渋は察するが、やっぱり無駄は無駄だと思う。
もっとも制作サイドもそんなことは解ってるんだろうけどさ。

結局「はやぶさ」は3本とも観たが、一番最初のが一番詳しくて、解りやすく説明してくれて(竹内結子の役がいいのだ)よかった。
これを最初に観たからあとはよく解った。



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桜蘭高校ホスト部


日時 2012年3月19日21:30〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 韓 哲

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日本有数の金持ちの子息が通う桜蘭高校。藤岡ハルヒは庶民の子だが、奨学金の特待生。半年前にホスト部の時価800万円の壷を壊してしまったことからホスト部に入部。
このホスト部は「人を喜ばすことがモットー」という部で部長の須王環(山本裕典)をはじめとして一風変わった人ばかり。
間もなく桜蘭祭が開かれ、そこで行われる「桜蘭祭バトル」で今年こそ優勝しようとホスト部の面々は張り切っていた。
そんな時、世界的企業のモナールの社長の妹・ミッシェル(篠田麻里子)が短期留学生としてやってきた。
ホスト部の面々は早速ミッシェルをもてなし始めたが、どうにも金持ちを鼻にかけたいやな奴。
しかし何か事情があるようだ。

コミックで有名な「桜蘭高校ホスト部」。80年代ぐらいのコミックだと思っていたが、パンフレットによると2002年から2010年にかけての連載だったそうだ。
あれ、勘違い。
で去年(私は知らなかったが)テレビドラマ化されて同じメンバーによる映画版。

内容や設定を全く知らずに観たのだが、それにしても少女マンガって似たような設定が多いのだなあ。
大金持ちの子息ばかりが通うといのは「花より男子」とか「花ざかりの君たちへ〜イケメンパラダイス」とか「タクミくんシリーズ」とか。
それにハルヒは男子と偽っているのだけど、これも「イケメンパラダイス」で堀北真希とかやってたでしょ。
横溝正史もある意味一つのパターンだし、これも私が知らなかっただけで一つのジャンルとして確立されているのかな。
タクミくんシリーズは親の年収はせいぜい1000万円〜1500万円位のイメージだが、この映画に登場するのはなんだか財閥クラス。

最近米韓FTAとかTPPでますます一部の金持ちだけに金が集まる構造に気になってる私としてはいかにファンタジーとしてもどうにもその作品の世界観に入れなかった。
ファンの読者たちは気にならないのか知らん。自分は絶対にその世界に入れない。だからこそせめてコミックの中で金持ち気分になりたいという気持ちも解らなくはないが、でもそういう金持ちが我々庶民を圧迫し、搾取しているのだが。

いかんいかん、話があらぬ方向へ行った。
もちろんそんなことは気にせずに、有り得ない金持ちの世界を空想して楽しめばよい。
コミックの原作らしく、CGを使って星やハートマークを描いたりでがんばっている。
でもそういうCGでマンガチックにする映像が好きではないので、どうにも馴染めない。
(でも自分でも解らないのだが、「スコット・ピルグリム」のような洋画ならそれほど気にならない。洋画なら完全に別世界だけど、日本人の登場する邦画だと妙に自分と近いのでその有り得なさが気になるのだろうか?)

そして語られるテーマが家族愛とかそんな話。
なんかもうこそばゆくなるのね。
完全に女子中高生向けとしか言いようがなく、やっぱり私が観て面白い映画ではなかった。

それでも観る気になったのは、山本裕典、川口春奈、千葉雄大などのちょっと注目中の若手が出演しているから。
山本裕典の初主演映画ということでさらなる活躍を期待したい。川口春奈は2年前のテレビドラマ「ヤンキー君とメガネちゃん」で覚えた子だが、去年の「もしドラ」もよかったがこの映画では設定上ショートカットにしたが、どうにも似合わない。しかし今後には期待しよう。今の堀北真希ぐらいにはなれると思う。
千葉雄大は一昨年の戦隊もの「ゴセイジャー」では中心となるレッド役だったが、今回は中性的な少年。なんかこっちのほうが似合ってる気がした。

それにしてもAKBの篠田麻里子は別に可愛くないなあ。
大金持ちらしい気品がなかった。



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スカイパニック


日時 2012年3月18日
場所 DVD
監督 ジョージ・マッコーワン
製作 1975年(昭和50年)

(詳しくはallcinemaで)


ニューヨークのJFK空港を飛び立ったロンドン行き502便。しかしJFK空港のファーストクラス専用ラウンジから「この手紙を読まれる頃は人が死んでいるだろう」という殺人予告状が発見された。
空港の保安部は早速機長(ロバート・スタック)に連絡。
機長はファーストクラスの客を警戒。ロンドン警視庁に研修に向かうというマイヤーソン刑事(ウォルター・ピジョン)に協力を養成。またスチュワーデス(ファラ・フォーセット・メージャース)にも乗客の動向を監視させる。
客の一人・グルンフルトはウォーカー医師に何か敵意をもっているようだ。今は人気のなくなったロックスター・マーシャルを複雑な思いで見つめる夫婦がいる。
ベストセラーミステリー作家は隣の乗客が「数年前に起こった銀行強盗で指名手配を受けた方でしょう?」と言っている。果たして誰が誰を殺そうとしているのか?

劇場公開作品ではなく、70年代から始まったテレビムービーの1本。日本で公開または放映されたかどうかは解らない。でも「エアポート」シリーズに代表される航空パニックものは好きなので買ってみた。

テレビムービーだし期待しないで見始めたのだが、これが面白かった。
密室殺人ものの典型的な設定。しかもまだ事件は起こってない。犯人も被害者もこの中にいる。
怪しい奴はたくさんいる。

もちろんウォーカー医師やロック歌手に敵意を持つ奴はいるけど、こうあからさまな奴はたぶん違うと言うことはすぐ解る。第一、保安部に対して手紙を書いたということは計画的だから、偶然乗り合わせて今日初めて知ったというような人間ではない。
それは解るけど、でも真犯人ではないということをどう見せていくか。彼らは何も行動しないのか?

そんな展開でじわりじわりと見せていく。
そして乗客の中の司祭が偽者らしいとミステリー作家は気づく、そしてその司祭が殺され、いよいよクライマックスへ!
で、ちょっと驚く意外な犯人。
火災パニックは付け足しのようなものだが、そのサービス精神は買おう。
一般席は全く写さず、アメリカ映画では珍しくミニチュアばればれのジャンボの全景と少ないセットでつないでいく。テレビ映画らしい低予算だが、それでも楽しかった。
脚本がいいのだろう。

しかもすべてが終わった後もちゃんとオチというかどんでんがつく。冒頭のスーツケースをひっくり返すことが重要な伏線になっている。

惜しいのは最初にファーストクラスのラウンジに発煙装置のついたびっくり箱を仕掛けた少年。
後半全く出てこず(写りもしない)中途半端なのが残念。
これだけ緻密に作られたシナリオだからきっと何かの都合で切ってしまったに違いない。
ちょっと惜しい。



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昭和元禄 TOKYO196X年


日時 2012年3月17日19:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 恩地日出夫
製作 昭和43年(1968年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


新聞記者の五代(伊丹十三)は3日前にベトナムの取材から帰ってきた。いつ死ぬかもわからないベトナムに比べればこの東京の平和さは異常な気さえする。
そんな時、同僚の村井(橋本功)から先日浅草で起こったフーテン刺殺事件の犯人の工員・乙三(出情児)についてレポを書かないかと頼まれる。村井の知り合いの週刊誌の編集長が彼の動向を押さえており、彼が自殺するかも知れないのでその間の動きを記事にしようというのだ。
五代たちは三流モデルのユリ(吉田未来)を雇い、乙三に近づかせ、彼との会話を録音させることにした。
ゴーゴー喫茶でユリは乙三と接触する事に成功。
二人は何度かデートを重ねるうちにユリは自分のしていることに疑問を感じ、乙三に自分は雇われていると告白してしまう。

ラピュタ阿佐ヶ谷の新聞記者特集の一本で上映。
先週「黒い潮」を見に行った時、ポスターを観てなんとなく興味を引かれたのだ。
恩地日出夫監督って実はほとんど観ていないのだが、前に夏木陽介主演の「若い狼」を観たときにも思ったのだが、「ATG映画みたいだなあ」と改めて思った。(または松竹ヌーベルバーグ)

オールロケでドキュメンタリー風の撮影。脚本は倉本聡だがせりふ一つ一つまで書き込まれていたとは思えない。
たぶん大まかなシーンの設定だけでせりふは役者が作っていったのではないか。そんな感じがする。

それにしてもベトナム戦争の影響が大きい。
五代はベトナム帰りで、映画は常にベトナム戦争を伝えるスチル写真が挿入され、「戦場のベトナムと平和な日本」が比較される。
映画の中で橋本功(じゃなくて週間誌編集長だったかな)が「ベトナム帰りからすると今の日本が異常に見えるかも知れませんが、太平の日本が正常で戦争のベトナムの方が異常じゃないんですか」というせりふがある。
と言ってる割には恩地監督はベトナムの戦場写真をこれでもかこれでもかと挿入させる。

太平の日本にいる自分を含めて日本人に対して怒りを思っているかのようだ。
対する日本の若者は自分の言葉の訛りをからかわれたことからゴーゴー喫茶でたまたまあった果物ナイフで人を殺してしまった少年が自殺するとかしないとかを大人も含めて論じていく。
新聞記事はベトナム戦争のことは小さく、国内の動物園の記事は大きい。

でもばかばかしいと一刀両断する訳でもなく、なんだか彼らを観る視点にも暖かさを感じた。
日本もそれなりに大変だとは思うけど、やっぱりベトナムのことも考えよう、みたいな。

それにしても1968年当時の新宿、銀座、赤坂、渋谷の風景がかいまみれる。
内田裕也がジャズ喫茶から出てきたところをファンに囲まれてサイン攻めに会う歌手役で出演。
また後に声優で活躍する二階堂有希子が出演。
(子供が出来る出来ないで喫茶店で離婚を話し合う夫婦役だと思う)



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黒い潮


日時 2012年3月10日16:50〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 山村総
製作 昭和29年(1954年)

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毎朝新聞のベテラン記者、速見(山村総)深夜にたたき起こされた。行方不明だった秋山国鉄総裁が轢死体で発見されたのだ。貨物列車に引かれたのは深夜12時6分らしい。
速見はこの事件のキャップとなって社会部部長(滝沢修)から取材の全権委任を受ける。
中には「これで面白くなるぜ!」と喜ぶ記者(安部徹)もいたが、速見は「人が死んだんだぞ」と戒める。
速見は自殺、他殺とも憶測で記事を書くのはよくないと警察発表を中心に記事を構成していった。
しかし他社は東大の「死後轢断」の鑑定を受け、他殺説へと一気になだれ込む。
他殺はつまり先日大幅な人員削減を行った秋山総裁に対する組合側の報復ということになる。
速見は慎重論、どちらかというと自殺説をとっていた。
実は速見はかつて自分の妻が他の男と心中したという過去をもっていた。
しかし彼には妻は自分を愛していたという確証があった。
だが新聞はおもしろおかしく書き立てた。
だからこそ人の死に対して憶測は避けたのだ。

「蟹工船」に続く山村総監督作品で主演作品。
事件の題材となるのはもちろん「下山事件」だ。
この映画のスタンスとしては真実を追求する、という形だけど、「自殺説」。
この場合の自殺説は他殺説では組合による「赤色テロ」に対する反論をしたいようだ。
もっとも今では他殺で、しかも犯人は組合ではなく、組合に罪をかぶせようとした一味がいた、という説が主流のようだ。それはGHQか、キャノン機関か、日本政府か?

この映画も警察側は自殺と発表しようとしたが、なんらかの圧力で「自殺説」は封印されるということで決着をみる。
組合つぶしのために「組合=人殺し」のイメージを植え付けることが大事だったということらしい。

そういう政治的圧力のためだけでなく、新聞の性質や世論と言ったもののも問題になる。
他殺説で押していったほうが新聞が売れるという寸法だ。
実際編集会議でも「営業の売り上げに影響するという声を無視できない」と発言される。
世論が好む記事を書いた方が新聞は売れる、「真実の追求だと?新人記者みたいなこと言ってんじゃねえ」というせりふも出てくる。

新聞そのものの宿命についても討議され、その点は今もまったく変わっていない。
「新聞は真実を書くんじゃない、売れる記事を書くのだ」
おそらく戦争中の新聞がそうだったという記憶がそう描かせるのだろう。
「大本営にだまされていたんじゃない。新聞は自らその方が売れるから大本営に協力したのだ」
直接的には言わないけど、つまりは「その頃と何も変わってない」と言う気持ちがこの映画に満ちている。

そんな迫力が実に伝わってくる。

出演は他に新聞社関係に信欣三、芦田伸介、下元勉、田島義文、千田是也、柳谷寛、左幸子、東大教授に中村伸郎、刑事に石山健二郎、謎の右翼(?)に進藤英太郎、速見の旧知の知人に東野英次郎、その娘に津島恵子。
実に豪華なオールスター。
また最初の方の新聞社の食堂のシーンで名和弘らしき人物がいた。そして風景に写る映画館の垂れ幕に「恐怖の報酬」の文字が。当時の封切り映画だったんですね。



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怪獣ゴルゴ


日時 2012年3月4日
場所 DVD
監督 ユージン・ローリー
製作 1960年(昭和35年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


難破船の調査の為にアイルランド近海にやってきた船長のジョー(ビル・トラヴァース)とサム(ウィリアム・シルヴェスター)。
船が故障し、近くの港に修理の間停泊することを頼んだが、責任者という学者に断られる。不審に思ったサムたちは海底を調べてみると沈んだ船に金貨があった。責任者の男はこれを知られるのを恐れているのだ。
しかしそれだけではなかった。島には隊長20mはある怪獣がいたのだ!
それ捕獲するサムたち。これを生きてイギリスへ連れ帰る。学者が提供してくれるよう願いでたが、サーカスの方が高値だったため、彼らはロンドンへ。
島の少年ショーン(ヴィンセント・ヴィンター)もサムたちとともにロンドンへ。
いよいよサーカスで公開が始まった。サーカスの団長によりゴルゴと名付けられたこの怪獣、実は幼獣だったのだ!

イギリス製怪獣映画。
日活の「大巨獣ガッパ」の元ネタになった映画として有名だけど、はっきり言って「ガッパ」の方が面白い。
この映画、まず脚本に魅力がないのだな。
「子供を捕獲しました」→「ロンドンでサーカスの見せ物にされました」→「親が助けに来ました」で終わりだもん。
起承転結もなにもありゃしない。

ゴルゴ上陸に際してイギリス軍も頑張ってはいるんだが、兎に角一方的にやられっぱなし。
多少は撃退したり、新兵器を考えたり、子供怪獣をどこかへ逃がそうとするとか知恵がない。
まあロンドンブリッジやビッグベンの破壊とかピカデリーサーカスを破壊するとか見所はあるのだが、ドラマ部分に魅力がないので、どうにも盛り上がらない。

怪獣を見せ物にするのに反対する少年ショーン登場だが、これが別に活躍もしない。
主人公のサムたちも子供ゴルゴを親に渡すべくどっかに移すとか、何か活躍がほしい。
ただ逃げてるだけだもんなあ。

あとゴルゴだが、空飛べないもん。
やっぱり怪獣は空を飛べないと迫力がでないですよ。
ゴジラ式にのっしのっしと歩くだけだもんなあ。
火も噴かないし。
このあたりがやっぱり「恐竜」の発想から抜けられないのかも知れないな。

でも魅力がないかというとそんなことはない。
ゴルゴの20m大の大きさのものをロンドン到着時にトラックに載せて、ロンドン中を走るカットは迫力があった。

しかしながらやっぱり本多=円谷の東宝特撮チームはすごかったということが再認識。
特撮がすごいだけでなく、ドラマ部分もしっかりしてたよ。
子供向けといって安易なドラマづくりをしなかった東宝特撮の偉大さを改めて認識した。



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クロネズミ


日時 2012年3月4日
場所 DVD(アメリカ版)
監督 深作健太
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


深夜の学校の教室。血まみれになったケンゴが何かからにげようと床をはいつくばる。
アスカが自殺して49日が過ぎた。アスカと仲のよかったケンゴ、リョウタ、タケシ(坂本真)、カナコ、サキ、ミサトが深夜12時に学校に集められる。
そこへネズミの頭だけねずみのぬいぐるみを被った女子高生が現れる。
彼女はスケッチブックに書いた文字を見せる。
「あなたたちの復讐をします」
クロネズミはそこへ血まみれになったケンゴを運んでくる。
そのクロネズミは一体何者なのか?
実はアスカも含めたこの7人はかつては仲良しだった。
しかし高校最後の文化祭でアスカはみんなでダンスをしようと提案。しかしどうもみんなは乗り気になれずに、アスカは空回りしたことがあった。

引き続き、深作健太監督作品。
エイベックス製作映画だが、なぜか日本ではDVD発売がない。アメリカでは発売されている。
エイベックスなら最初からDVD発売なのかと思うが、そうでもないのだろうか?

高校生が閉ざされた空間で殺しあう、というのは「バトルロワイヤル」的展開。
このネズミを被った復讐者は誰か?アスカの幽霊なのか?という謎で物語を引っ張る。
理論的でないアスカの幽霊でもよし、ミステリー的に誰かが犯人でもよし、どちらに転んでも楽しめる。

アスカが自殺した原因が「文化祭のことでみんなが協力してくれなかったり、リョウタと付き合っていたのにミキが途中からうばったとかの人間関係」ということらしいが、ちょっと弱い。
自殺するほどでもない気もするが、こういう仲間がイベントを使用として分裂したりするというのは後の「僕たちは世界を変えることができない」にも通じると思う。

ネズミ、という一見可愛いキャラクターが人殺しをしていくのが本作のミソ。
冒頭の血まみれのケンゴのシーンが、映画を見ているとキロネズミに最初にやられているシーン、と思わせておいて実は違うというのが作者のトリックですね。面白い。

そして犯人が後半明かされる。
てっきり7人の誰かかと思っていたら8人目が登場。
まあ仕方ないか。まさかアスカは死んでなかったという訳にもいかないしなあ。

でも顔が解らないのが相手という設定をちゃんと生かしていて、最後の復讐は犯人が変わっている。
これも面白かった。

低予算の映画だけど、十分楽しめた。
深作健太監督の良さが生かされた映画だと思う。
小品ながら見所のある映画だった。



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完全なる飼育 メイド、for you


日時 2012年3月4日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 深作健太
製作 平成22年(2010年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


秋葉原のマンガ喫茶の住み込み店長、椛島(柳浩太郎)はメイド喫茶・ほーむぱーてぃのメイドのイチゴちゃん(亜矢乃)に夢中になっていた。
でも店の常連客の大竹(前田健)というデブでハゲの男もイチゴちゃん目当てだった。
イチゴちゃんの誕生日、椛島は手作りクッキーをプレゼントしようと店に持っていく。だが大竹はもっと大きなプレゼントを持っていっていた。その日に行われたお客さん参加のかき氷早喰い大会でも大竹が優勝し、好きなメイドからちゅーしてもらえる特典を大竹が奪っていった。しかも大竹は唇にちゅーしたのだ!
挫折感にさいなまれる椛島。しかし翌朝、メイド喫茶が終わって帰ろうとするイチゴちゃんを裏口で見かける。
クッキーを渡そうとする椛島。しかし驚いたイチゴちゃんはパニックになり椛島に抵抗し、転んだショックで倒れてしまう。

「完全なる飼育」シリーズの7作目。
男性が女性を異常に愛して監禁する、というパターンで進むがストーリーは続き物ではないそうだ。

こういうお店の子を好きになるとかアイドルを好きになるのはなんだかよく解る。
観ていて切なくなった。こういう感情は解らん人には解らないだろう。
演じている柳浩太郎がいい。
若手役者のプロフィールを見るとよく見かける「ミュージカル テニスの王子様」出身。DーBOYSだ。

こういう変態的な役を本当にきもい役者が演じると(この映画で言えば前田健)本当に観客に不快感を与えてしまうが、本来イケメンの柳が演じるから素直に主人公に感情移入できる。

椛島はとりあえず自分がつとめるマンガ喫茶の一室に彼女を監禁する。最初は抵抗したイチゴだったが、彼の一途な想いをやがては受け入れることに。
その後、前田健の大竹が椛島がイチゴをかくまっていると思いこみ、マンガ喫茶にナイフをもってやってくる。
そこで逆に大竹は背中を刺されてしまい、傷害事件として警察沙汰になる。

ここまでは解るが、大竹がその後、背中にナイフが刺さったままで登場。大竹が刺されたことが傷害事件なのになんでそのままだろう?という疑問が残る。
まあ、大竹を悪者の異常者にしたい展開なのは解るけど、ちょっと気になった。

椛島とイチゴは彼女が住んでいた廃墟のビルに隠れる。
秋葉原のアイドル(ああいうのをアイドルというのは実は私は抵抗がある。アイドルってテレビ出たりして有名になって初めてアイドルだと思っているから)って実はかなり貧乏って聞いたことがあるから、そこは現実感があって面白い。

イチゴは店では違う日を自分の誕生日にしていたが、本当の誕生日を二人で祝う。そして二人の体は結ばれる。
警察に追いつめられた二人(いやその前に大竹がやってくるのだが、警察が表に来てるのになんで大竹と争う時間があるのだ?でもまあ細かい点をつっこむのは野暮だ)は屋上に逃げ、二人の場所へ。

結局二人はどうなったかは示されず、警官が空を見上げて星が二つ光る。
ここでまたストーリー上のつっこみは可能なのだが、二人の永遠の愛を祝福しよう。
面白かった。

坂本真と仁科貴がメイド喫茶の常連役で出演。



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同じ月を見ている


日時 2012年3月3日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 深作健太
製作 平成17年(2005年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)

鉄矢とドンは幼なじみで子供の頃から一緒だった。
ドンには人の考えていることを読みとる不思議な力があった。それを二人は「念力」と読んでいた。
彼らの秘密基地の近くにきれいな女の子が越してきた。
名前はエミ。心臓に持病があり、いつ死んでもおかしくない状態だった。
10数年後、鉄矢(窪塚洋介)は今は研修医として大学病院に勤務していた。エミ(黒木メイサ)の心臓を治すために。そんな時にドン(エディソン・チャン)が刑務所から脱走したと連絡が入る。
ドンはエミを訪ねようとしていた。その途中、やくざ金子(山本太郎)と知り合う。組内の不祥事の後始末で殺されかける金子。ドンはそれを助ける。
ドンは7年前、エミの家に放火したとして逮捕されていたのだった。

「僕たちは世界を変えることができない」の深作健太監督作品。健太監督の他の作品も観てみようと思って借りてみた。
窪塚洋介は2000年代前半は若手俳優として人気注目を集めたが、自宅マンションから飛び降り騒動などを起こして俳優を一時休業状態に。その復帰作がこれ。
だから当時ちょっと話題になった気がする。
もとより窪塚洋介はそんなに好きでもなかったので、公開当時は観なかった。

正直、観ていて退屈した。
最近は少なくなったけど「女の子の難病もの」だ。
これでもう受け付けない。
で男二人と美少女一人の三角関係。
これも正直見飽きたんだよなあ。

で、ドンちゃんが念力というか人の考えているものが解る能力があるのだが、その辺がまったく生かされない。
また唐突にやくざの金子が話しに絡んでくる。
というか唐突にドンちゃんは金子に絡んでいく。
苦境に立った人に自分を殺して助けるのが好きなんだろうか?鉄矢やエミのために自分が犠牲になるのは今までの友情からまあ解る。
エミの家が火事になったのは実はもとは鉄矢の失火が原因なのだ。

ドンちゃんは絵の才能もあったから、それが流れてたどり着いた山形県のあるお寺で才能を認められる。
で、そこでまた唐突に放火を繰り返す少年が登場する。
その子を助けてドンチャンは重傷。
少年が心臓病だと解るとドンちゃんは自分の心臓を提供する。
この少年の登場が、前の金子と同じく唐突。
なんでそんなすれ違っただけみたいな人のために自己犠牲をするのか。

その辺が理解出来ずにドンちゃんの「自己犠牲精神の尊さ」だけを描きたい作者の都合だけで話が進んでいくように見える。

それよかヤクザとの銃撃戦とかラストの例の少年が起こした倉庫での火事の様子を熱心に描くあたりが、アクション系の深作健太らしいこだわりに見えた。

仁科貴がドンを東京に送り届けるトラック運転手役でワンカット出演。



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