巨根伝説 美しき謎日時 2012年7月30日 場所 DVD(アメリカ版) 監督 中村幻児 製作 昭和58年(1983年) (詳しくはallcinemaで) 高名な作家、三谷麻紀夫(大杉漣)は若者を集めた私設軍隊を作っていた。 彼らはジムで常に体を鍛えていたが、その姿をジムで見ていた篠原は三谷らの行動にあこがれる憂国の士だった。 篠原は入隊を希望し、三谷に許可される。 先輩滝沢に教えを乞うように言われ、二人は共同生活を始める。 滝沢は男同士の契りと言って、篠原のお尻を犯した。それを受け入れていく篠原。 一方、麻紀夫も自分の部隊の若者、森脇と深い関係にあった。森脇に尻を犯され、歓喜の声を上げる麻紀夫。 彼らの訓練合宿で篠原は森脇にも犯されるのだった。 やがて三谷はクーデターを計画する。 ゲイポルノの1本。 明らかに三島由紀夫と盾の会がモデルになっている。 とにかく三島由紀夫と盾の会はホモ集団だった、という視点で作られているゲイポルノだから、まじめな三島ファンや右翼なら激怒するかも知れない。 盾の会の結束の固さや、三島由紀夫が裸になって日本刀を持っている写真を見るとそれこそゲイゲイしいものを感じてしまうだろう。 それは責められないと思うよ。 「三島ってなんだかホモっぽいよね」「盾の会ってそういう集まりだったかも?」と酒の話で出てしまうのも無理はなかろう。 今年公開された「11・25決起の日 三島由紀夫と若者たち」でもサウナで裸になっている時に密談しているから、あの映画を見ても妙にホモっぽい。 そして切腹の練習のシーンがあるが、篠原は気を使って紙吹雪の雪を散らす。 正直言ってここまでやるとちょっと三島をからかっているというかバカにしているというかあざ笑っているように見える。 いいのかな? そこまでは仕方ないにしても最後の展開に唖然とした。 三島はクーデターに同行するものとして(警視総監を監禁し、自衛隊を説得し、放送局や国会を占拠しようというもの)森脇の他、滝沢と篠原を選ぶ。 しかし滝沢と篠原は決起の前の晩、二人で激しく愛し合いすぎ、9時集合、11時決起と言われていたにも関わらず、二人が起きたのは10時42分だったという展開。 そりゃすごいなあ。 そういう展開になるとは思わなかった。 てっきり紙吹雪の中、みんな自決していき美しく称える展開だと思っていたから。 その二人のアパートで、自決だけでもしようとするが、結局滝沢は死ねない。 そして2年後、二人でオカマバーをやっているというオチ。 いや参ったなあ。 完全に三島をおちょくっている。 とんでもないものを見てしまった。 タイトルの「美しい謎」は三谷が「226のメンバーは美しい謎になった。私も同様に決起して美しい謎になるのだ」というせりふから来ている。 確かに三島の行動は謎ともいえる。 しかしホモ映画でからかわれるとは意外としかいいようがない。 あっ、実録映画ではないから、三谷の部隊の制服も盾の会の制服とは違い、スーツの今の自衛隊のようなデザインだった。別に実録映画ではないから私は気にならない。 (このページのトップへ) くちばっか日時 2012年7月29日21:55〜 場所 K's cinema 監督 今泉力哉 製作 平成24年(2012年) (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 高校生の中村みどりと市川はつきあい始めたカップル。 今日は市川の誕生日で、二人でお祝いをしようと計画。 二人とも処女童貞だが、今日はそういうことになるかも知れない。 お互い実家なのでふたりっきりになるために、みどりは一人暮らしをしているお姉ちゃんの部屋を借りることにした。 お姉ちゃんは今夜は遅くなると言う。でも実は市川はみどりのそのお姉ちゃんに告白して振られたらしい。 しかも今日は、「あの日」から1年の日だった。 もともとは「ヴァージン」という2012年5月に上映された10代、20代、30代の処女喪失をテーマにした映画の1本として上映されたもの。 だから本作は40分の中篇だ。 今回、今泉監督の新作「こっぴどい猫」レイトショー封切上映をきっかけに、毎週日曜日は今泉監督の旧作、そして他の監督の作品を上映していくイベントとして上映。 ちなみに今日の同時上映は今岡信治(いまおかしんじ)監督の「彗星まち」。こちらが目的で観に行ったが、こっちの方が面白かった。 高校生が特に美少年、美少女過ぎず、いかにもいそうなカップル。 カメラはカット割は少なく、しかもパンや移動も少なくフィクスで固定されたアングルのまま。 その中で役者の演技を見せていく。 みどりは母に「お母さんの初体験って?」と聞く。 そんなこと普通聞かないだろう?って思ったが(お母さんの答えは高校の先輩と)母と娘ならありえるかなと思ったが、今度は隣にいたお父さんに「お父さんは?」と聞く。(お父さんは大学時代に先輩に薦められて風俗で) そしてみどりは二人に同級生にも聞く。しかしみどりが去ったあとに判明するが、実は二人は処女。 ついにみどりと市川は二人きりで部屋へ。 「テレビでも見る?」「いや今日、どこもみんな同じだろうから」 どうも変だ。 その後、二人はぎこちなく服を脱ぎ(それもジャンケンで負けたほうが脱いでいこう、となる。そのぎこちなさが妙におかしい) やがて今日は3月11日でしかも市川の誕生日だと解る。 そうなのだ、何があっても誕生日の人はいる。 でも市川は「俺たち不謹慎かなあ」「しょうがないよ、たまたまだし。それにみどりの誕生日だって絶対誰か死んでるよ」 そうなのだ、震災で死ななかった人は生きていく。生きていけばセックスもする。 今日が震災から1年の日とはあらかじめ示されない。 しかし会話から徐々に解っていく台詞の作り上げ方は面白かった。 そして二人は終わって部屋を出るとそのみどりのお姉ちゃんがいた。 実は市川がお姉ちゃんに告白したのは1年前の3月11日。 告白して振られて直後に地震が起きたのだった。 市川は「今はおねえちゃんのことはなんとも思ってない」 みどりも「市川がおねえちゃんのことを好きかとか気にしていない」 上映後、監督にタイトルと内容が関わっていない気がしますが、と聞いたところ、心とは裏腹のことを言ってしまう点が 「くちばっか」ということにつながるそうで。 正直、この点はピンと来なかったが、地震があろうと初体験をする人もいるという当たり前のことをもう一度示してくれた。 面白かった。 (このページのトップへ) 海を見に行く(井川遙「imagine」に収録) 日時 2012年7月28日 場所 DVD 監督 今岡信治(いまおかしんじ) 製作 平成13年(2001年) いまおかしんじ作品も数多くリリースしているオリジナルビデオ作品の制作会社のレジェンドのHPを観ていたところ、タレントの井川遙の初イメージDVD「imagine」を今岡監督が撮っていることを知った。 しかも短編ドラマも収録されているらしい。 早速アマゾンで購入。 井川遙のインタビュー、海辺でぱちゃぱちゃやっているイメージ映像が交互に出てくる。 その中で「海を見に行く」という短編が入る。 他の海辺のシーンやインタビューは当時のテレビ用に4:3で作られているが、この短編映画の部分だけ16:9。 しかもご丁寧に映画風な画面の傷加工までされている。 内容は以下の感じ。 井川遙以外誰もいない部屋で井川のモノローグ。 「あいつが死んだ」 そして冷蔵庫を開けると、麻袋に入ったあいつの死体らしきものが出てくる。 彼女はそれを冷蔵庫から出し、抱きしめる。 海。 彼女はその麻袋を砂浜に埋め、近くにあった流木を墓標代わりに立てる。 再び彼女の部屋。 「あいつ」を忘れられない彼女は再びその麻袋を埋めた海岸に行く。 そこには墓標の前に百合の花が咲いていた。 「その花は笑っているようだった」 「あいつは海を見たことがなかった」 彼女は百合を持ち上げて海の見える崖へ。 百合の花からしずくが落ちる。 「泣いているようだった」 こんな感じの13分半の短編作品。 「あいつ」が誰なのかは正確には示されない。 「あいつは突然死んだ」としてなぜ死んだかも示されない。 ひょっとしたら彼女が殺したのかも知れない。 そしてその死体を砂浜に埋める。 それは「たまもの」にも通じるモチーフであり、「海を見たことがなかった」というのは「若きロッテちゃんの悩み」にも通じる。 単なるイメージビデオだろうと思って見過ごさなくてよかった。 間違いなくいまおか作品だ。 もちろん井川遙ファンは「なんだこりゃ?」だろうし「こんなのいらんだろう」と思うだろう。 だからこのDVDはいまおかファンこそが楽しめる内容だと思う。 いまおかファンにこそ観てほしいDVDだ。 (このページのトップへ) ザ・ONANIE レズ(改変タイトル 「本番絶頂 女が女で濡れる夜」) 日時 2012年7月22日16:20〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 池島ゆたか 製作 平成3年(1991年) 小林礼子(橋本杏子)は広告代理店につとめるキャリアウーマン。実は男性が苦手でいずみ(上村けい)という若い女性とレズ関係にあり、同居していた。 礼子は会社の上司に誘われ、無理矢理犯される。 「今度引き抜きの話がある。君も一緒にこないか」と誘われ、出張先の名古屋でホテルまで一緒にされ、再び関係を持たされる。 しかしその上司の妻に知れるところとなり、その妻に家まで押し掛けられる。 上司は妻と別れて礼子と結婚したいという。 しかし自分勝手な言い分のこの男は礼子は信用できない。 またいずみとも上司の妻が家に来たことにより、礼子が男と寝たことを知り、二人の関係にもひびが入り始める。 池島ゆたかの第1回作品。 シナリオタイトルは「You are my cup of tea」。 レズカップルが男性とかつて結婚経験があったりで、男性との肉体関係が結べる人。だからレズでありながら男性とも出来る。 まあ現実の同性愛カップルがそう簡単に異性と出来るとは思わないが、異性愛の男性のための映画なのだから、そういうことはいちいち指摘するのは野暮。 というかそういう映画ではないので。 第1回作品ということですが、濡れ場もきっちりしており、冒頭の礼子がいずみの脇毛を剃るシーンなどエロチック。 上映後のトークイベントで池島監督は監督になるにあたって「自分の作りたい映画を作るのではなく、観客が喜ぶ映画を作るように」と製作会社のエクセスの社長から強く言われたそうな。 だから個性も感じられないが、かといって破綻もせずに実にピンク映画として手堅い。 それにしても感心したのはいずみ役の上村けい。 目のクリッとした日本人離れした容貌。ハーフみたいだなあと思ったが、ネットで調べてみたらロシア系のハーフだとか。 道理できれいなわけです。 21年前の映画ですが、その美しさは今でも通用する。 活躍の舞台はAVが中心だったので、ピンク映画はこの映画だけらしい。 AVで人気だったのを、ピンク映画監督以前にAVの監督、出演をしていたときに共演した縁があった池島監督が引っ張ってきたそうな。 なるほど、人気AV嬢だったのも納得の美しさだった。 あと山本竜一が礼子に振られる男性社員役でコメディリリーフ(兼エロシーン担当)で登場。 今回はニュープリントでの上映。 今後、オークラなどで上映される機会もあるかも知れない。 (このページのトップへ) 変態ハレンチ学園 危ない教室日時 2012年7月22日14:30〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 池島ゆたか 製作 平成12年(2000年) (詳しくはピンク映画データベースで) 杉浦ともみは前の学校で問題があって、新しい私立高校に新任教師として就職した。 校長先生は「本校はおおらなか学校ですから。生徒を押さえつけるから校内暴力とか問題が起こるんです。生徒を押さえつけなければ、こんなに平和なんです」と言う。 しかし案内された校内では白塗りの学生がいたり、トイレの洗面台でオナニーをする女生徒がいたり、授業では女性器の場所を説明し、教材の女性にバイブをいれたりしていた。 岬レオナという美少女に教師が告白している。しかしその教師は「私の言うことを何でも聞く?」と言われ夜の部室でレオナがSでSMプレイを強要される。 レオナに狂わされた男たちは次々に自殺していく。 ともみは野村先生に「好きです、やらせてください」と口説かれていた。しかし校長に相談しても校長は体育教師とホモ関係にあり「先生がもててるってことじゃないですか〜」ととりあってくれない。 そしてともみはレオナの男に対する敵対心は何かトラウマがあると重い、彼女の心を開こうとするのだが。 シナリオタイトル(オリジナルタイトル)は「危ない学校」のようで、池島監督にもらったサインでは「危ない学校」だった。 上映前の池島監督の前説では、この映画、非常に新東宝からは評判が悪かったそうで。たまたま新東宝の社長が劇場に見に行って同時上映がいまおかしんじ作品で、まあそっちの方は諦めていたが、「商業派の池島がこの映画とはなんだ!」としばらくほされるきっかけになったそうな。 しかしスタッフ受けはやたらいいので「ではピンク映画大賞では評判いいかな」と思っていたら40位台でやたら低くてがっかりしたそうです。 だから新東宝としてはなかった映画したいらしく、上映される機会も今後ない可能性が高いそうで。 話の方はその後、レオナは小学校の頃に兄に性器をさわられて、中学校で家出して援助交際で暮らしていたと告白。 その心のトラウマをともみは解こうとするが逆にレオナにベニバンで犯されてしまう。 また今はニューヨークにいるともみの恋人の雄一郎は別の女と結婚し、野村先生やレオナには襲われる。 以下ネタバレあり。 そういう破滅的な展開を迎えるが、実はここは精神病院であったというドンデン返し! 今までの学校生活はすべてともみの病院での妄想であったとオチがつく。 事実は他の女性と結婚間近であった雄一郎の婚約者をともみは刺してここに送られたという。 普通の映画なら「なんだよ、夢オチか」で終わるかも知れませんが、ピンク映画なだけに騙されました。 だってピンク映画ですよ。 エロに関しては痴漢も青姦も強姦もホモもレズもオナニーも教師と生徒も女同士も男同士も何でもありじゃないですか。 ですから学校の洗面台でオナニーしようと教室でバイブを使って授業をしようとこの映画の中ではありなわけです。 このおかしな世界も勝手に「ピンク映画ならこういう学校もありだよなあ」と信じきっている自分がいたわけで、それを完全に逆手にとられました。 この逆転には恐れ入りました、という気分です。 ラスト、無人の教室で一人で授業するともみ。 それを見つめる父親(池島ゆたか)。 不気味なラストシーンでした。 (このページのトップへ) 新任女教師 暴かれる過去日時 2012年7月21日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 サトウトシキ 脚本 今岡信治 製作 平成12年(2000年) (詳しくはallcinemaで) 福宮紀子(星河さとみ)は新任の高校教師。学生時代からの彼氏・木村がいたが、最近はあまり会えていない。 そんな日々のある日、紀子の昔の男の平林(岡田智宏)が訪ねてくる。 平林は今は借金を作っていて、紀子とつきあっていたときに撮った二人のセックスを記録したハメ撮りビデオをネタに金を要求してきた。 同じ頃、木村は会社の同僚・熊野に告白され、そのままホテルに行ってしまう。 紀子の学校の生徒の川島(麻場俊行)は父親がアル中で、家庭に問題を抱えていた。川島は密かに紀子にあこがれていたが、川島を好きな女生徒・山下綾香(河村栞)もいる。 金に困った平林は紀子の学校に訪れ、次に木村にビデオを買わないかと持ちかける。 今岡信治脚本ということで鑑賞。 つまらなくはないけど、特に面白いことはなかった。 個人的には脅迫された紀子や木村が平林に復讐するというサスペンスに発展すれば面白かったろうが、そうはならない。 川島にあこがれる山下は川島が振り向いてくれないあせりから、街で声をかけられた中年男と5万円でホテルに行ってしまう。しかし実は処女だったその山下は血を 出したために「お前生理だろ!」とホテルで中年男(鈴木一功)に乱暴されてしまう。 また木村もビデオの一件から紀子に不信を抱くようになり、心が離れていき、熊野とつきあい始める。 学校では川島が山下に乱暴したということで川島が罪を被っていた。 最後は失意の紀子は川島に抱かれる。 感想は先に書いた通りなのだが、その中で印象に残ってるせりふについて。 山下が川島にいうせりふだが、便所に書いてあった落書きだけど、として 「殺したい奴がいるからしばらくは目標のある人生だ」という。 これは川島にも伝染していくのだが、人を殺したいほど憎むという絶望の中に希望が沸いてくると言う逆説的な表現で、非常に気に入ったセリフだった。 また映画のトップシーンは紀子が学校の屋上で昼寝をしているシーンから始まる。それを起こしてくれた川島に言う。 「なんで起こしてくれないの?」 そしてラスト、川島と結ばれた紀子は翌朝、同じセリフを川島に言う。 紀子の無意識に川島に甘えている性格が現れて面白いセリフだった。 あと偶然かも知れないが「タクミくんシリーズ」と音楽が似ている。 エンドクレジットを見たが、音楽のクレジットはなかった。 (このページのトップへ) セックスフレンド〜発情〜(公開タイトル セックス・フレンド 濡れざかり) 日時 2012年7月17日 場所 TSUTAYA宅配DVDレンタル 監督 坂本礼 脚本 坂本礼 今岡信治 瀬々敬久 製作 平成11年(1999年) (詳しくはallcinemaで) 大助はコンビニでバイトをしているフリーター。恋人の美果とはセックスはするけど最近イマイチうまくいってない。 昨夜も二人でセックスした後の朝、突然大助の小学校の野球チーム時代の仲間、ツトムがやってくる。大助がバイトに出かけた後、美果に大助の近況を聞くツトム。 美果はデザインの専門学校に行っていてその方面に就職したいのだが、自信がない。 ツトムは帰っていったが、大助が帰ってくると部屋に置いてあった携帯がなりだす。出てみるとツトムの携帯で、忘れたから埼玉の児玉の実家に持ってきてほしいという。 いやがる大助だったが、仕方なく美果を連れだって車で児玉へ。 田舎の藪の中でカップルが野外セックスをしているのを見つける美果と大助。その男の方はかつてプロで活躍したこともある村井憲太郎だった。村井は大助やツトムが小学校の野球チームで対戦し、負けた相手だった。 ツトムの実家を訪ねる彼ら。しかしツトムは8年前に死んだという。 オリジナルビデオかと思ってみていたら、画質の感じがフィルムっぽい。しかも途中でロールチェンジのためのパンチを見たのでピンク映画かと思ったらエンドクレジットで「製作 国映」と出た。 うーん、突然現れたのがいったい誰なのか?という方向にミステリー風に展開するかと思ったらそうではなく、ツトムの幽霊、で片づけられる。 それはそれでもいいのだが、「何のため帰ってきたか」がはっきりしない。 大助や村井がツトムの墓参りに行くと再び携帯電話が鳴る。明日、荒川の野球場で野球をしようという。 翌日、大助が行ってみると村井やツトムもいた。 大助がピッチャー、ツトムがキャッチャー、村井がバッターという昔、大助が負けた時の対戦の再現だった。 で、結局村井がフライを放ち、大助もツトムも取り損ねる。 大助が昔の試合に負けたことを引きずっているならともかく、そうでもない。むしろ美果の方が今の自分、これからの自分に自信をなくしている。 ツトムが試合を再現することで、大助が新たな一歩を踏み出すなら、ツトムが試合を再現することに意味もあるだろおうが、肝心の大助に必然性もない。 むしろ美果の方が就職の面接に向かっていくというラストで、美果が元気になっても仕方ないのではないかと思う。 だから前にも書いたけど、ツトムが何しにきたのかさっぱりわからない。 大助もしくはツトムに、お互いが会わなければならない、もしくは会うことによって何かが変わる事情があればよかったが、それがなかった。 その点が納得行かない気がする。 いまおかしんじが脚本に関わっているが、死者がよみがえって会いに来る、というのが後の「おんなの河童」や「ゴーストキス」につながると言えるのかも知れない。 (このページのトップへ) サイコドクター 白濁のしたたり日時 2012年7月16日 場所 TSUTAYA宅配DVDレンタル 監督 サトウトシキ 製作 平成12年(2000年) (詳しくはallcinemaで) 黒田(小林宏史)は下着泥棒がやめられない男。彼は盗んだ女性のパンティを自分で履いて快感を得る。 ある晩、2階のベランダに昇ってパンティーを盗もうとしたところ、そのベランダの陰に女性・純子(中川真緒)がうずくまっているのを見た。純子はつぶやく「助けて」。 しかし窓の向こうから男がやってくるのを見てその場は逃げる黒田。 黒田は吉岡レディースクリニックで医師をしていた。 かつてはれっきとした産婦人科医だった黒田だが、下着泥棒で逮捕されたため医師免許を剥奪され、今は無免許の身だった。下半身不随で車いすとなった吉岡院長(諏訪太郎)に代わって吉岡の妻で看護婦のエリとクリニックで診察してる。 今は不能となった吉岡は自分と妻のセックスを黒田に見せ、快感を得ようとしていた。 ある日、純子が吉岡クリニックに診察にやってきた。 黒田は純子と再会する。 今岡信治脚本ということで見た。 下着泥棒を止められない産婦人科医という設定が面白い。 そして彼が偶然知ってしまった犯罪的行為に立ち向かっていくのか? 面白そうだなあと思ったが、そこまでだった。 話の進展が止まってしまい、退屈。 純子の夫を懲らしめようと素手で立ち向かえば、相手は空手2段で逆にやられてしまう。 黒田には靴フェチの変態仲間がいて、そいつが盗んできた靴の中から拳銃を見つけてしまったというのでそれを持って再び純子のところへ。 しかし純子の夫を追いつめたはよかったが、純子に逆襲されてしまう。 次に同じように夫の無茶な支配からエリを救おうと吉岡を追いつめるがこれもエリから逆襲にあう。 「夫婦の仲は他人にはわからない絆がある」的な結論でまとめられてしまった感がある。 正直がっかりした。 その中でよかったのは出演者の中で黒田を昔逮捕した刑事の佐野和宏。佐野はこういったねちねちとしたいやな奴を演じると絶品だ。 「ほくろ(ニコミホッピー)」のヒモの役もワンシーンの出演だが、実によかった。 人間性の嫌らしさがにじみ出ているのかも知れない。 あと黒田はゲームセンターに行くのが趣味だが、そこで子供とよく会うのだが、この子供のシーンがなぜかよい。 純子の夫を拳銃で脅し、追い出された後に子供の肩に甘えるようにもたれ掛かるシーンが印象的。 それにしても「変態男が偶然犯罪の現場を見てしまい、自分で解決しようとする」という設定が面白い。 いつか何かに使えそうな気がする。 (このページのトップへ) 新任バスガイド 汗ばむ秘所めぐり日時 2012年7月16日 場所 TSUTAYA宅配DVDレンタル 監督 今岡信治 製作 平成13年(2001年) (詳しくはallcinemaで) 孝子(小室佳代)はこの春田舎から出てきてバスガイドになった研修生。田舎の高校の先輩に恋いこがれて彼の住所も調べてその近くに住んだ徹底ぶり。 先輩のみさきを追っかけているストーカーの島村さん(松原正隆)に出会う孝子。みさきの話によると以前島村はお客さんで来て、その後2、3回会っただけだという。 実はみさきは同僚の運転手(諏訪太郎)と不倫関係にあった。その現場を孝子に見られそうになったみさきは、孝子が「やっぱり好きな人がいても急に押し掛けたら島村さんみたいになってしまいますよねえ」と言うのを聞いて「そんなことないよ。それは男の話。女の子が訪ねていくのはOKだよ」と適当に答えてしまう。 それを真に受けた孝子は早速先輩のアパートに。 先輩は「今日はだめだけど明日会おう」と言ってくれた。 いまおかしんじ(今岡信治名義)のVシネマ。 昔のVシネだから今の大画面テレビで見ると画質は悪い。 ネットでいまおか監督に関して検索しているときにこの作品が渋谷のアップリンクでイベント上映されたというデータに出会ったことがあるが、なるほどこの作品ならと思わせる出来。間違いなく今岡信治の初期の代表作に加えたい。 2001年作品だから、「たまもの」の前。 先輩と会う夜、島村さんに「みさきさんを呼び出してくれ」と言われそれをしている間に待ち合わせの時間に遅れてしまう。仕方なく先輩のアパートに行くと先輩の彼女がいた。その夜、先輩と彼女はセックスを楽しむ。 孝子は、道のゴミ置き場で自分の失恋を嘆く。 このシーンでゴミ置き場は坂道の脇にあり、島村がやってきてその坂道から孝子に声をかけるため、島村は上から声をかける形になり、なんとも構図が面白い。 そのゴミ置き場にあったバットを拾って島村に同じく捨ててあった車いすを島村に押させて先輩の部屋に逆襲する孝子。バットで先輩を襲う姿は何とも不気味。 しかし先輩の反撃で孝子は頭を怪我し、その晩は終わる。 翌日の勤務ではみさきと一緒の孝子。そこで島村はお客さんとしてツアーに参加。 昼休憩のドライブインで「あんたみたいなストーカーを見てるとムカつくんだよ!」と島村をなじる孝子。それは自分自身を攻めている。 その後、孝子はバスを降り、ドライブインの2階の運転手休憩所で休むみさきたちの前で、台所からひしゃくを取り出し、下の土産物売場で次々と客たちをはたいていくという奇行に出る。 このカット、孝子がバスを降りて2階に行き、1階の土産物売場に行ってバスに戻ってくるまでの約4分間がワンカットだ。動きもあって大変だったろう。 (撮影監督はいまおか作品の名手、鈴木一博だ) 孝子は島村を柄杓でなぐり、それを止めようとした運転手やみさきにバスを出すことを命じる。 バスを出し、道端に止めて、「そんなにやりたいならやりなさい」とみさきは島村に命じる。 しかし島村はうまく行かない。 孝子もバスを戻すことに承知する。 その晩、先輩を訪ねるが、先輩も「したかったんだろ、抱いてやるよ!」とセックス。 しかし全然盛り上がらない。 そうなのだ。セックスというはお互いの合意があって盛り上がるもの。どちらかの一方的な想いだけでは成立しない。 結局バス事件は早く戻ったせいか、大した問題にはならなかったらしく、孝子やみさきは勤務している。 島村と孝子は最後には結ばれてしまうのだが、そこは無理矢理なハッピーエンドのように思えてちょっと不満。 しかしストーカー的な一方的な愛だけでは恋愛は成立しないという主題には大いに共感した。 間違いなく今岡信治の代表的な作品に数えていい。 (このページのトップへ) 妹・綾香日時 2012年7月16日 場所 TSUTAYA宅配DVDレンタル 監督 いまおかしんじ 製作 平成18年(2006年) (詳しくはallcinemaで) 大学進学を機に上京した綾香(宝月ひかる)は兄・良男(松浦祐也)のアパートで同居する事に。二人は兄妹とはいえ血はつながっていない。 大学に進学したものの、綾香は大学の人々とうまくなじめない。新歓コンパで隣り合わせた島田となんとなくセックスをしてしまう。しかしもともと気が乗らない。 綾香は兄のことが好きなのだ。 兄はバイト先のまなみ(安奈とも)が好きらしい。 まなみと友達になった綾香は彼女には彼氏とかいないと聞き出す。 良男はまなみを飲みに誘い、それがきっかけで二人の仲は接近。自分も仕掛けたことだが、綾香はなんだか面白くない。 いまおかしんじのエロVシネ作品。 兄妹の愛という近親相姦の世界かと思ったら、(そうでもあるのだが)血はつながっていないそうだから厳密には違うのだろう。血はつながってないけど兄妹ということは親が再婚同士で、それぞれの連れ子だったのだろうか? いまおか作品らしいワンカットが長く芝居を重視した画づくり。 見所はまなみと良男がお好み焼き屋で食事をしているときに強引に割って入ってくるシーン。 兄には幸せになってもらいたい、でも自分は兄が昔から好きだ、という切ない気持ちが攻撃的になってしまう複雑な心情がよく出ていた。 「私はおにいちゃんとずっと一緒だったんだ」と訴えかけるせりふが「お兄ちゃんが好きだ」とは直接言わないけど、それがどんどん伝わってくる。 いまおかしんじらしい緊張感のある三角関係が伝わってくる。 こういう緊張関係の人間描写がやっぱりいまおかしんじはうまい。 でも非常に惜しいのは兄・良男役の松浦祐也。 髪の毛を長くのばし(ロン毛とはいえない)、なんとなくオタクっぽい不潔感が漂うので綾香が好きになる気持ちがピンとこないのだな。 まあこういったエロVシネでは女優は主役だから気をつかってそれなりのをキャスティングするけど、男優まで気を回せないという事情も察するが、どうにも惜しい。 「あんなオタクっぽいやつのどこがいいんだろう?」と思ってしまうのだな。 結局、まなみとうまくセックス出来なくて自信をなくした兄に綾香はセックスを手ほどき。 良男とまなみはうまく結ばれ、妹は兄の部屋をでて自立し、一度は喧嘩別れをした島田とも復縁。めでたしめでたし、というラスト。 ハートフルな終わり方でよかった。 (このページのトップへ) 不倫中毒〜私は男のおもちゃなの・・・?日時 2012年7月15日 場所 TSUTAYAレンタルDVD 監督 田尻裕司 脚本 いまおかしんじ 秋本健樹 製作 2011年 (詳しくはallcinemaで) 30歳、OLの友里香(山口真里)は恋人はいるにはいたが、相手は結婚していて不倫の関係だった。 不倫相手の男(吉岡睦雄)と夏休みに2週間のイタリア旅行の計画をしていたが、相手から「妻が妊娠した。一人には出来ないから旅行は出来ない」と言われる。また実家の母親から見合いを勧められ、断ると「ボーイフレンドを連れてきたら見合いを断ってあげる」と言われ困り果てる。 そこへレンタルボーイ「あっくん」の存在を知り、早速申し込んでみた。 あっくんシリーズ第2弾になる。観る順番は前後してしまったけど。 オープニングとエンディングで本屋が登場する。 この本屋が3作目で舞台となる本屋。店員の子が次の作品では主役となる仕掛け。そういうように関連付けはされている。 で、お話の方はあっくんを連れて実家の母の元に帰る友里香。友里香の実家は海の近くの田舎町。 すぐに帰るつもりが母がぎっくり腰で倒れたため、急遽しばらくいることに。心優しい母とあっくんの交流も始まるという流れ。 こういう心配をかけまいとして田舎の親などに嘘をつく、というのは人情喜劇ではよくあるパターン。 でもセオリー通りで素直に心もほっこりさせらる。 実は友里香の母も未婚で、父親がいない家庭で育った設定。母親の相手、つまり友里香の父についてはどうなっているかは説明されない。 でも察するところ不倫なのだろう。 途中3人で散歩にでたシーンで蛙を捕まえるシーンがある。蛙がきちんと画面に収まっているのがすごい。 撮影は大変だったのではないだろうか? 「蛙の子は蛙」というせりふが登場する。 その後、折り紙で蛙が登場し、それであっくんと母親が遊ぶシーンがうまくいえないがよい。 折り紙という小道具が二人の心の交流を画で現すことが出来たからだろう。 なかなか友里香が帰ってこない時間の経過を示すのにも蛙の折り紙は役立っている。 友里香は偶然再会した中学の同級生と遊びに行く。 「昔から好きだった」と言われ、セックスしてしまうが、あとで母親からその人は結婚していると知らされる。 またつきあう男が結婚していて不倫の関係。 自分が不倫の子だからか。 でも母親を恨んだりはしない。 そして素直なあっくんと海岸で結ばれる。 この後、あっくんとの別れがくるわけだが、そこは描かなくてよかった。べとつかないから。 あっくんシリーズで観た3本の中では一番よかった。 (このページのトップへ) 走れ、走りつづけよ!(公開時タイトル「爛熟性戯 うずく」) 日時 2012年7月14日16:00〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 佐野和宏 製作 平成13年(1991年) この映画、同じ佐野監督作品の完全なる続編だそうで、まず前作の説明が出る。 スチル写真とナレーションで説明が入るが速いテンポではなすので、解りづらい。 さらにこの日は前の晩も遅かったのに、今朝は「苦役列車」の初日1回目を観るために早起きしたので、眠気の差す中鑑賞。 案の定、寝てしまった。 佐野和宏ともう一人の丸めがねをかけた男がヤン坊、マー坊と呼び会っていたのだが、ヤン坊は前作で死んでしまう。ところがそのヤン坊とそっくりな男が現れるという始まり。そして殺し屋三人組が仙台から千葉まで追ってきて、マー坊の方の佐野和宏を最後に殺す。 というラストだった。 映画の内容がぜんぜん伝わらない。困った。 この映画に関しては感想めいたものも書けない。 上映後には佐野監督と、「それでも人生にイエスという」の監督の森山茂雄氏のトークイベントあり。 昨年佐野監督は声帯をとってしまう手術を受け、まったく声が出ない。以前饒舌だった監督にお会いしているので、意外な印象だ。 当然しゃべれないので筆談用ボードを使ってになる。 こんなトークイベント初めてである。 で、佐野監督がささっと書いて司会とか補助する人が出てきて読んでくれるのだが、途切れ途切れに読むので解りづらい解りづらい。 佐野監督も書き終わったら、客席にボードを見せるなりすればいいと思うのだが(後ろは見えなくても補助者が読み上げれば済む。用は区切りをつけて話をしてほしい。そういえば同時通訳をするときも、話す方が話をいったん区切ってくれないと訳すに訳せないし、訳したものを話すタイミングを無くす)、その辺は佐野監督のわがままな性格で司会者に向けてだけ解ればよくて客席に話す気がないのだろう、というか気が回らないのだろう。 だめだよ、お金払った人を優先的に考えなくちゃ。 「それでも人生にイエスという」については脚本を佐野監督が書いているのだが「せりふをただ読ませているだけで、せりふ一つ一つの意味が分かっていない」と一刀両断。 あれがだめこれがだめと連発だったが、客席から「それは 佐野監督が作った作品と見比べてみないと佐野監督の言い分が解らない。我々観客はできあがったものを観るしか判断ができないのだから」という意見が出たが、同感だ。 でも声が出なくなって落ち込んでいるのかと思ったら、終始笑顔。どうやら新作の準備が軌道に乗り出しているようで、映画が今年後半撮れそうな状況にあるらしい。 まあ、がんばってください。 観るかどうかは解りませんけど。 (このページのトップへ) それでも人生にイエスという(公開タイトル「あぶない美乳・悩殺ヒッチハイク」) 日時 2012年7月14日14:30〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 森山茂雄 製作 平成23年(2011年) (詳しくはピンク映画データベースで) 田舎町でヒッチハイクをするレイ(みずなれい)。地元の軽トラの兄ちゃん矢島(久保田泰也)の車に乗せてもらう。セックスが大好きなレイはヒッチハイクをしながら色んな人とセックスをして楽しんでいた。 河原で青姦した後、矢島の車を盗んでいく。 スーパーで出会った主婦(幸田李梨)の元に泊まるレイ。 主人が病気で寝たきりなので、セックスレスな彼女とレズプレイを楽しむ二人。 レイはどこに行こうとしているのか。 佐野和宏脚本の昨年末公開の新作。 まあ面白く観た。 レイが旅をしながら色んな男と出会っていくという設定なので、男が入れ替わり立ち替わりやってきても違和感はない。 そして彼女は誰に会おうとしているのかというミステリー的要素もある。 また彼女は色んな男とするけれども、バックプレイだけは嫌がる。それはなぜか。 そして彼女は会う人に「私を漢字一文字でいうとなに?」と訊く癖がある。それはなぜだろか? そういうミステリ的楽しさがあったから楽しめたのだが、残念なことに最後に会うのが父親というのは解った。 途中、「10年ぶりに会うんだけど、自分が会いに行く人はかつて結婚していた人で奥さんを亡くしてから飲めない酒を飲んでおかしくなった人」という。 謎めいた言い方をしているが、父親ではないかと推測する。 30代の女性なら色々男性関係もあったろうか20代の女性では父親だろうと察しがつく。 ラストで明かされたけど、やっぱり父親だった。 彼女は中学生(?)の頃に父親にバックで犯された経験をもっていたのだ。 父親でなくてもいいじゃないかと思ったのだが、佐野監督は家族をテーマにする事も多いので、その辺から「親子の和解」ははずせないテーマと解釈でいるのかも知れない。 で漢字一文字の方は特にあとに何かがでてくるわけではない。 監督に訊いたら「あれは完全に遊び。脚本の佐野さんの遊びなんです。遊びを遊びと見せられなかった僕の力量のなさです」とおっしゃっていた。 う〜ん、遊びをするのも難しいのだな。 あと役者では冒頭に車を取られる青年の久保田泰也がいい。 素直そうな青年役で好感が持てた。 ピンク映画やエロVシネにたくさん出ているようだから、これからもチェックしていきたい。 幸田李梨がちょっと疲れた主婦役で、いままで観たことのない幸田李梨だった。 最後に主演のみづなれいもおっぱいもきれいで顔もかわいく、よかったと思う。 (このページのトップへ) 苦役列車日時 2012年7月14日10:00〜 場所 丸の内TOEI1 監督 山下敦弘 脚本 いまおかしんじ (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) (公式HPへ) 北町貫多(森山未來)は小学校の時に父親が性犯罪を犯して、それが原因で一家離散。中学卒業後、日雇いの仕事をして酒と風俗に明け暮れる19歳の日々だった。 ある日、日下部正二(高良健吾)という同じ年の男と知り合う。友達らしい友達が初めて出来た貫多だった。 貫多の唯一の趣味は読書。今は行きつけの古本屋の子・桜井康子(前田敦子)とつき合いたいと思っていた。 日下部の協力のおかげで友達になった貫多と康子。 康子の部屋に強引に押し掛けた貫多。しかし彼女には今遠距離恋愛の彼氏がいるという。 それでも康子とやりたい貫多は彼女の手を舐めてしまう。 当然、康子はしばらく口を聞いてくれなくなるが。 昨年芥川賞を受賞した西村賢太氏の小説「苦役列車」の映画化。脚本はいまおかしんじ。 前田敦子が原作にはないオリジナルキャラクターとして登場。原作は読んだが、確かにそのままでは映画にしづらい。 さらに原作から膨らましたキャラクターで日雇いの先輩・高橋さん(マキタスポーツ)がいる。 初めの方で、貫多や日下部が昼休みに「お前等夢とかないの?歌とかさ。俺は昔、スカウトされたこともあったんだよ」と自慢話をする。 どうせただの負け惜しみの作り話だと貫多も私も思った。 しかしその高橋さんが、怪我をして治療費を貫多が持っていってあったスナックのシーン。「なにか書きたいんです」という貫多に「夢なんかなんだ」と否定的なことを言って他人が歌っているカラオケの「襟裳岬」のマイクを取り上げて歌う。うまいのだ。 正直、ここで涙が出た。 あのおっさん、正直歌うまかったんだあ。それでもうまく行かないのが人生なのだな。 さらに高橋さんは3年後のシーンでテレビで再会する。 たぶん素人参加の歌番組で自作の歌を披露する形で再会する貫多。 テレビで再会するというのは「GSワンダーランド」でも観た手なので、驚きは少なかったが、それでもチャンネルを変えようとする他の客からリモコンを奪い取って折ってしまうというアクションが際だつ。 その後、リモコンを取り合った客から表でボコボコにされる。ボコボコされ夢の中に迷い込み、海に行き、喧嘩別れした康子や日下部と再会する。しかし砂浜にあった穴に落ちる。すると次のカットで貫多のアパートの前のゴミの山に落ちてくる。貫多は小説を書き始めるというのがラスト。 うーん、「がんばれば成功する」というメッセージは嫌いではないのだが、最近落ち込むこともあって完全には共感できないな。 原作の西村賢太氏の私小説だが、結果的には西村氏は芥川賞を取って成功してしまう。 だから「がんばってもうまく行かないこともある」と言いにくいかも知れない。 その辺の矛盾を考えてしまう。 素直に「がんばればきっといいこともある」と受け取ればいいのだろうが。 あと出演では前田敦子が好演している。AKBの頃は「大してかわいいと思えないのになんで一番人気なんだろう」と思っていたが、本作では普通にいそうな女の子で、妙にアイドルとしての自己主張をせず、映画の一部として機能してた。 いまおかしんじ氏は2カット登場。 最初の方で北町貫多がバスに乗るところでバスの横にいる人夫役、同じく佐藤宏が貫多が日下部にしばらく泊めてくれるようバスの中で頼むシーンで後ろから「まあまあ北町君」と話しかけるカットの佐藤宏の後ろで座ってる人夫。 とにかくもう一度観たいと思う映画だった。 (このページのトップへ) 敏感テンプテーション〜初体験注意報日時 2012年7月11日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 田尻裕司 脚本 いまおかしんじ、秋本健樹 (詳しくはallcinemaで) 姉妹の二人で暮らす夏美(美里麻衣)と千秋(辰巳ゆい)の元にレンタル用セックスアンドロイトあっくんが届けられる。千秋がレンタルしたのだ。 早速はめまくる千秋に嫌悪感を持つ夏美。 夏美はバイト先の本屋で一緒の加藤君に好意を寄せていた。ある日、加藤君を飲みに誘い、その勢いでホテルに誘う。実は夏美は子供の頃に心臓の手術をして胸に大きな傷があった。自分が好きな加藤君には秘密を知ってもらいたかったのだ。 あっくんシリーズ第3作。いまおかしんじ監督が脚本なのでそれだけで観ている。 シリーズ2作目は観ていないのだが、「若きロッテちゃんの悩み」で好演していた辰巳ゆいが出演しているのでこちらを先に。でも結論からいうと特に辰巳ゆいの見せ場なし。 夏美は心臓病が弱いため子供の頃から「走っちゃいけない、あれしちゃいけない、これしちゃいけない、セックスもしちゃいけない」と言われ続けている。 でも好きになってしまった加藤君には抱いてもらいたい。 必死の覚悟で加藤君に挑戦。 その後、ホテルを出たシーンで「走ってみて、丈夫な心臓を見せて!」と言われて加藤君が全力疾走で50mぐらい走るのを2回繰り返すのだが、それをワンカットで一気に見せるシーンはよかった。 夏美の正直な気持ちがよく伝わって来たからだと思う。 姉がいないときに夏美はあっくんを連れてお散歩へ。 ゼンマイが切れて動かなくなったあっくんを助けるために加藤君を呼ぶ。 あっくんと親しくなる夏美と加藤君。 姉は新しい男ができてあっくんはもはや用なし。 あっくんを可哀想に思った夏美は加藤君のアパートにしばらくおいてもらおうと思ったが、加藤君は同じバイト先の安西と一緒に住むことに。 (この安西が1作目であっくんをレンタルした女の子のようだ。完全に忘れたけど) あっくんも完璧じゃない。夏美も完璧じゃない。 そんな完璧でないもの同士が共感しあって体を重ねる。 完璧でないものに対する弱者への暖かい視点がなんだか心地よい。 出演では主役の美里麻衣がやっぱり弱い。 だまっていると普通なのだが、笑うとはぐきがむき出しになるので、どうにも顔が崩れてしまう。 惜しいな。このあたりが映画と違ってVシネの予算からくる弱さだと思う。 (このページのトップへ) ザジ ZAZIE日時 2012年7月8日14:50〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 利重剛 製作 平成元年(1989年) (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 伝説のロックバンドのボーカル、ザジ(中村義人)が街に帰ってきた。かつてのバンド仲間の達夫(波方清)や洋介(ユーラ)は歓迎し、「また一緒にやろう」と誘う。 しかしザジは応じない。 やがてバンド時代からのファンだという砂田(杉本哲太)という男が現れ、ザジの復活を懇願する。 しかしザジはやる気はない。笑っているだけだ。 ザジはビデオカメラを買い、自問自答し、街に出て人々にインタビューする。 近くの喫茶店の女の子とも知り合う。 フィリピンからやってきてバーで働く女性とも知り合う。 フィリピンの子は「もっと日本にいたい。つきあっている人(このつき合っている人を演じているのは岡本喜八)とも一緒にいたい」という訳で日本永住のためにザジに結婚を申し込む。笑って受けるザジ。 やがてあるライブハウスに勝手にザジが出演するライブが組まれる。砂田が仕組んだのだ。 ポスターも作って告知開始した今、中止は出来ない。 ライブ当日、未だに煮えきらないザジを砂田は刺す。 利重剛監督の商業映画第1作。 監督の話では、最初ATGで撮ろうと言う計画があったが、東宝の子会社となったATGは映画製作を止める、となってしまい、企画が流れたそうだ。 そして音楽事務所のアミューズが映画を撮るプロジェクトをスタートし(うん、当時は景気が良かったのだな。こうやって異業種がどんどん映画に進出して赤字出してみんな撤退した)、それに企画が通って映画製作となったそうだ。 だから主役の中村義人なんかも俳優ではなくミュージシャン。だから出演者もアミューズの人が多いそうだ。 で、肝心の映画だが途中で帰りたくなった。 最近そういうのが多い。 ザジという男がなんだかだらだらとしているだけで物語が全く進展しない。 こういうやる気のないキャラクターが私は嫌いなので、どうにもついていけない。 かつての伝説のロッカーかも知れないけど、やる気のない奴のけつをいくらひっぱたいても駄目。 時間と労力が無駄になるだけである。 しかも武道館を満席にしたような伝節のバンドでもないでしょ。たかがライブハウスで数百人相手に熱狂させたレベルじゃん。それでやる気のないならもうほっとこうよ。 第一ザジって今なにやって食ってるの?仕事してる風もないし、こういう単なる怠けものは嫌いなのだ、私は。 ということでこの映画にはまったく乗れなかった。 途中ちょっとぼけたおばあちゃんを歯医者に連れていって「だめですよ、もう直ったんだから連れてきて」というあたりも、どう映画に関わってくるか理解できず、とにかくこの映画は私にはあわなかった。 で、撮影方法で面白い話を監督から聞いた。 映画の中でザジが撮ってきたビデオをテレビに写してそれをアップで映画カメラで撮影している。 ふつうテレビの画面を映画カメラで撮影すると、1秒あたりのコマ数の違いらしいのだが、走査線がちらちらと上下に移動するのが見える。 だがこの映画でテレビ画面のアップのシーンではまったくちらつきがない。どうやって撮ったのか監督に聞いたところ、テレビの方は録画したVTRを写すのではなく、単なるモニターとして、映画カメラで撮っている横で実際に役者がビデオカメラの前で演技していたのだそうだ。 録画したVTRだからちらつきがでる。単なるモニターならちらつきは出ないんだそうだ。知らなかった。 もっとも今の液晶ならそんな心配はないそうだ。 勉強になった。 (このページのトップへ) EMPTY NIGHT日時 2012年7月8日14:20〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 利重剛 製作 昭和62年(1987年) ある若い女性が仕事を終わり繁華街を通って家路につく。 途中スパゲティを食べ、服を汚してしまう。トイレで洗う。そのブラウスの汚れをちょっと隠す。 アパートに帰る。一人暮らし。寂しくなってテレクラに電話してみる。会おうと言われる。でもそんなつもりはなく寝てしまう。 しかし、しばらくして思い直し起きあがって目印の雑誌「JJ」を持って待ち合わせ場所へ。 しかしもはや誰も待っていない。 15分程度の短編8mm作品。タイトルの後に「習作」と出る。 タイトルが「ENPTY NIGHT」と出る。つづりが間違っているのはわざと(意味があって)ではなく、単に間違えたそうです(上映後のトークイベントで利重監督が言ってました) 87年頃、六本木のオムという自主上映会場(う〜ん、聞いたことはあるな。行ったことはあったか、なかったか)で利重監督作品を特集上映した際に「旧作ばかりじゃなんだから」ということで急遽作った作品だそうだ。 だからある女性の風景を描く、ということで来るべく長編のためにやってみたという映画のようだ。 ちなみに主人公の若い女性は室井滋である。 観てる最中「室井滋に似てるなあ」と思って、エンドクレジットを観たらそうだったので驚いた。 当時自主映画にはよく出ていたんだそうだ。 へー知らなかった。 (このページのトップへ) 教訓T日時 2012年7月8日13:30〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 利重剛 製作 昭和55年(1980年) ある高校の朝礼。生徒はざわざわしていて誰も校長や教頭の話など聞いていない。 突然、校長は「この高校でこれから徴兵制をしくことにしました。反対の人いますか?」という。 主人公の生徒は手を挙げたが、他の生徒は聞いていなくて反対もなくあっさり決定。軍事教練が始まり、女子生徒はもんぺ姿で竹槍訓練。 近くにある創立20年の勢いのある高校が、自分たちの高校の近くの高校に攻める先兵として自分たちは使われるらしい。 校長に退学届けを出すが受理されない。 やがて戦争が始まる。 この映画は実は製作された頃に観ている。 今関あきよし監督の「ORENGING79」と同時にぴあフィルムフェスティバルの入選作として上映されたのだ。 当時の時代背景を解説しておくと、当時アメリカは強いアメリカを目指すタカ派のレーガンが大統領になり、韓国はこれまたタカ派の全斗喚も大統領になり、日本では同じくタカ派の中曽根康弘が力をつけてきて、一挙に右傾化し、再び徴兵制の論議が出そうな勢いだった。 当時高校生だった私は自分にはまだ選挙権はないし、もし徴兵制となったら自分たちが徴兵される、と大いに危機感を持っていた。 「自分たちは戦争に巻き込まれるかも知れない」という考えていて、「日本がソ連に軍事侵攻されたら」という芝居を考えたことがある。 そんな時にこの「教訓T」を観たのだ。 「やられたなあ」と思ったものだった。 今だったら何とかしてこの利重剛に会うべくツテをたどったろうが、当時の私にはそんな度胸も勇気もない。 実は利重剛と私は同級生になる。 だから同じ年の男が作った映画として非常に印象に残った。 特に印象に残っているシーンは冒頭の朝礼のシーンである。あれあれ、という間に重大なことが決まってしまう、そのことの恐ろしさは今にも通じる。 当時社会科の教師が生徒たちの世の中に対する無関心ぶりに対し、「おまえ等な、あれあれって言ってるうちに世の中変わってしまうんだぞ」と言ったのをよく覚えている。 昭和ひとけた生まれぐらいのその教師にしてみれば、戦争に突入していく様を子供ながらに経験したのだろう。 その後、映画は生徒たちは軍事教練に参加せられ、やがては戦いにかり出され、救いもなく映画は終わる。 今回32年ぶりに再見したわけだが、正直、冒頭の朝礼のシーン以外はそれほどでもなかった。 しかし、ある日突然徴兵制がしかれ、しかも一応朝礼という形で民意に確認してから行う、しかしみんなそれをスルーさせてしまう、というインパクトは忘れられない。 このシーンの恐怖は一生残りそうである。 また観たいと思う映画である。 上映後、トークイベントがあったが、利重監督は岡本喜八監督のファンで手紙を書いて、この映画を観てもらったという。 岡本監督にすれば「近頃なぜかチャールストン」の準備中で、この映画を観たことで「高校に徴兵制がしかれるという設定がありなのだから、老人たちが独立国を作るという設定もありなのだ」と思い切りがついたのだそうだ。 それで「チャールストン」にも参加するきっかけになったとか。 利重監督には失礼かも知れないが、僕にとってはこの「教訓T」が利重監督の最高傑作だと思う。 (このページのトップへ) 宇宙戦艦ヤマト2199 第2章「太陽圏の死闘」日時 2012年7月7日21:50〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン3 監督 出渕裕 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 地球を無事出発したヤマト。イスカンダルは16万光年以上の距離。これを1年で往復するにはワープ航法によるしかない。未知の航法を試すヤマト。冥王星付近に到達するはずが、木星付近に到達してしまう。木星上空には浮遊しているオーストラリア大陸相当の大きさの大陸に着陸。 しかしここはガミラスの前線基地だった。 ワープについで波動砲のテストを行うヤマト。 大陸をも破壊するその強大な破壊力におそれをなすヤマトクルーたち。 しかし波動エンジンに故障が生じ、土星の衛星で補修材料のコスモナイトを調達することに。同時にそこからはSOS信号が発信されていた。救助に向かう森雪と古代進。 再びガミラスからの襲撃を受ける古代たち。 4月に観た「宇宙戦艦ヤマト」の続き。 今回は太陽系離脱まで。 前回まではリメイクとしてかなり前作と同じだったが、大ざっぱな区切りは同じだが、エピソードの詳細は異なっている。(と思う) 小惑星ベルトをヤマトの周りに展開させて、それを使ってガミラス艦からの攻撃を防御して戦うエピソードがあった(と思う)がなかったし。 でも細かいエピソードは前作にとらわれなくてもいいと思うし、新しい「ヤマト」が、観られるのだから観客としては歓迎だ。 土星での戦いではガミラス戦車も登場し、艦隊決戦だけでなく、地上戦のバリエーションも出てきて、「ヤマト」の持つ話の深さが楽しめそうだ。 またガミラス側も冥王星方面軍はガミラス軍の中でも位の低い劣等民族として扱われ、冥王星軍指揮官が直属の上司を飛ばして、直接デスラー総統に報告をするあたりは、敵の中での人間関係の複雑さが見えて面白い。 その割には「ガミラスでは撤退はない。勝利か死か、だ」とヒーロードラマの悪役の典型みたいなことを言うのがちょっと気になる。 そして冥王星海戦。 反射鏡を使ってレーザー攻撃をしてくるガミラスは、ヤマトにしてみれば死角なしの強敵。 それを撃破するために古代たち戦闘機隊が活躍。 戦闘機クルーにに主計課から転属した女性隊員が加わる。 この女性がなにやらいわくありそうで、その謎はお預け。 基本テレビシリーズとしての構成なので、映画ほど1話完結になっていないのが残念。 それにしても今後はオリジナルとも違った展開もあり得るわけで、楽しみだ。 (このページのトップへ) 愛と誠(2012)日時 2012年7月1日16:20〜 場所 渋谷TOEI2 監督 三池崇史 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 名門青葉高校に不良の大賀誠(妻夫木聡)が転校してきた。彼は青葉高校の美少女、早乙女愛が転校させたのだった。実は子供の頃、長野県でスキーをしているときに愛が事故にあいそうになったのを助けてくれたのが、誠だった。 今は手のつけられない不良となった誠をなんとか立ち直らせたいと愛は思っていた。しかしやはり誠は青葉高校でも暴れてしまい、退学に。 そして花園学園という不良のたまり場のような高校に編入した。誠を追って愛も転校する。愛を愛する岩清水(斎藤工)も転校する。 しかし花園学園には裏番長がいた。 それはいったい誰なのか? 何故か知らないけどリメイクされた「愛と誠」。 どうも「あしたのジョー」に続けと企画されたらしい。 確証はないのだが、そう言われると納得する。 で監督は「ヤッターマン」を成功させた(?)三池崇史。 公開前から妻夫木聡が試写会の舞台挨拶で「変な映画です」的な否定的な発言まで飛び出す始末。 映画を観てわかった。 正直、これは映画じゃない。テレビのバラエティ番組にあるようなパロディコントでしかない。 そりゃこんなベタベタの恋愛大河ドラマ(主人公の名前も「たいが」だ!)を今まともに映画化したら、失笑ものだだろう。それならいっそこっちからパロディのコメディにミュージカルにしちゃえ!と監督が考えるのもわかる気がする。 しかしならば反論しよう。 それなら断れよ。 どうにもこうにも数字しか見ないで企画した奴の言うことなんか聞く必要ないと思う。 妻夫木や武井咲が70年代歌謡曲を歌うのだが、(妻夫木は西城秀樹の「激しい恋」武井は「あの素晴らしい愛をもう一度」それもご丁寧にフルコラースで歌う)なんだかバカにされてるような気がしてきた。 それでもって90分くらいならまだ我慢できるが、この映画、2時間以上ある。 バラエティのパロディコントに2時間つき合うのはつらいつらい。 途中で帰りたくなった。 でも見所がなくはない。 暖色系で陰影のある映像は予算を感じられ実に美しかった。また花園高校の荒れたセットも(いや結果的によかったかどうかは別にして)予算を感じさせる豪華さだった。 とにかく予算をかけまくったバラエティのパロディコントで、正直勘弁して欲しい。 「妻夫木聡が出演している映画は全部観る」と決めているので観るには観たが、その方針も考え直したくなった。 今の映画界は政治以上に観客と作り手の心が離れてしまった気がしてならない。 (このページのトップへ) |