2013年2月

キャバレー日記 親友の恥母
白い下着の染み
人妻セカンドバージン
 私を襲って下さい
ライフ・オブ・パイ 
トラと漂流した227日
濡れた宅配妻 人妻派遣 
熟乱義母と発情息子
東京は恋する 二人の銀座 世界が燃えつきる日 メテオ
きいろいゾウ 超少女REIKO 誘拐 極私的ランナウエイ
男たちの夢音色 欲望同盟 星の長い一日 さよならドビュッシー

キャバレー日記


日時 2013年2月24日18:10〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 根岸吉太郎
製作 1982年(昭和57年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


新宿のキャバレー・ミスニッポンに勤める和田(伊藤克信)。彼は同じ店のホステス・宏美(竹井みどり)に惚れていたが、店でのボーイとホステスの恋愛は御法度だった。
店長(上田耕一)はこの店のキャバレーチェーンの店対抗の売り上げ競争になんとかして勝ちたいと朝礼の時にホステスたちに土下座して頼み込む。
店長や課長、係長、社員の和田、そしてもちろんホステスたちを巻き込んでの売り上げ競争が始まった!

日活ロマンポルノの歴史の中でも名作の一つに数えられる「キャバレー日記」。監督は根岸吉太郎。根岸の名前を世間に知らしめたのはこの映画ではなかったか。そして「遠雷」でさらにその名は高まることになったと思う。

それぐらい有名な「キャバレー日記」だが今回初めて観た。なるほど噂に違わぬ名作だろう。
店長に激しく売り上げのハッパをかけられる。
軍艦マーチをかけ、朝礼で「接客5箇条」みたいなものを唱和する姿を「軍隊的」と評したくなるのも解るけど、私はむしろモーレツ企業を見ているようだった。

その中で働くホステスたち。
働く女性ということで「その場所に女ありて」を思い出した。
冒頭、赤ん坊をおぶった「田舎から出てきました」という
表現丸だしの女性がキャバレーに入るところから始まる。
この店の源氏名はすべて芸能人。
桜田淳子、岩崎宏美、柏原芳恵のジャネット八田などなど。この映画の頃の女性アイドル、人気女優を反映していて懐かしい。
今なら前田敦子とか堀北真希とか剛力彩芽か。

実は淳子と課長の福永は出来ていた(店長、課長、係長、そして男性社員がボーイという次第)。
妊娠した淳子と福永は同じ頃店に来なくなる。
恋愛は御法度、「風紀」と呼ばれる規則があって罰金50万円の決まりがある。
福永が抜けたおかげで和田は係長に出世。

しかし宏美のことが気になって仕方ない。
表で呼び込みをやってる時に、お客に「誰がいい子だ?教えろよ」と言われつい「宏美さん。でも内緒ですよ」と教える。でも初めての客なのに宏美を指名したことでばれてしまう。(こういう行為を「つけ指名」と言って禁止されている行為らしい。たしかにホステスの売り上げに差が付くだろうから禁止されるのも解る気がする)
そういったこの当時のキャバレーのシステムも描いていく。

宏美も実は福永と関係があり、宏美も福永に惚れていたのだ。それを端で見ている和田がいじらしい。
店が終わった後に宏美を食事に誘いホテルにも連れ込む和田。しかし拒否されてそのまま諦める。
「初体験のことは酔っていてよく覚えていない」という宏美。

最後は宏美と和田は関係を持つのだが、和田の思ったように宏美は覚えておらず、やがて店も辞めてどこかに行ってしまう。
また店で働き続ける和田。その姿はなにやらいじらしい。
面白かった。

脚本は荒井晴彦、撮影は前田米造。
歌舞伎町ロケだがその新宿風景が懐かしい。
この映画に登場するキャバレーはセットだろう。そして登場するホステスさんは10人以上。脱がないけどやっぱりこれだけのセットと人数をそろえられるのが、ピンク映画じゃなくて日活ロマンポルノなのだな。



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親友の恥母 白い下着の染み


日時 2013年2月24日17:10〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 神野太
製作 (不明)

親のいないユウヤは大学生になったが、親友のケンジの妹ユミの家庭教師をしていた。
ユウヤはケンジの母、キョウコにあこがれていた。
ある日、キョウコの干してある下着をベランダから持ち出す。その匂いをかぎながらオナニーする日々。
しかしユミ(華沢レモン)はユウヤのことが好きだった。
ユミはユウヤを振り向かせようと、家庭教師の授業中にユウヤの股間に紅茶をこぼし、拭いてあげようとする。

熟女ものの1本。
タイトルも「恥母」だ。「ちぼ」と読むのだろうけど、そんな単語、日本語にはないピンク映画や官能小説の造語だ。すごい日本語の造語力だなあ。
まあピンク映画らしいピンク映画でこういう映画は肩がこらなくていい。ボーッとして観ていられる。
久保新二が出ていないとこういう静かなのかと思う。
先週観た久保新二の主演作は面白くもあったけど、サービス精神過剰でちょっとうるさく感じられる部分もあったのだな。よく役者がアドリブで乗ってくるけどやりすぎで監督が止めた、という話を聞くが、久保新二は往々にしてこの「やりすぎ」になっているような気もする。

この映画の場合は純粋に年上が好みのユウヤは友人の母に憧れ、洗濯機から洗濯前の下着も盗む。
そしてひたすらにユミはユウヤに迫る。
最後には家族で景品で当たった箱根旅行も「体調が悪い」と言ってキョウコは家で休むことに。

もちろんそれは口実で、実はユウヤとの関係を楽しむというもの。
男の主人公が中年だといやらしさが漂うが、やっぱり若い男だと青春映画的なすがすがしさ、恋愛の切なさが漂う。

そういう意味でも好きなタイプのピンク映画だった。



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人妻セカンドバージン 私を襲って下さい


日時 2013年2月24日16:00〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 城定秀夫

(詳しくはピンク映画データベースで)


ある若い人妻は夫は会社の女子社員と浮気をし家にもあまり帰らず、満たされない日々を送っていた。買い物に行った帰り、廃工場でクスリをしながらセックスをする男女を見かける。
夫のいないある晩、血の付いた服を来た男(吉岡睦雄)が家に乱入してきた。彼は自分の勤める工場の社長を刺してきたのだ。男は人妻を犯す。
人妻は騒がずに受け入れる。やがて男を屋根裏に匿い、夜は夫の帰りを待ち、昼は男とセックスをする二重生活を開始する。


城定秀夫監督は以前吉岡睦雄さんの出演作を連続して見ているときに知った監督。今のエロVシネなどでは侮れない監督だと思っていたが、その新作がこれ。
これは今年公開の新作映画らしい。
先週、いまおかしんじ監督の「たまもの」を観に行った時に予告編が(といっても1分ないような短いやつだけど)が上映され、それが印象に残ったのだ。
レイプされた女性が「私はこの人は実は優しい人だという気がして嫌いにはなれませんでした」というようなナレーションが流れる。刑事から供述調書を取られて読みあげているような淡々としたナレーションで先日観た「水のないプール」を思い出した次第。
結果的にいうとその予告編に出てきたようなナレーションはなかった。たぶんアフレコ時にまとめて録音したのだろう。

映画はまず吉岡睦雄がいい。
こういう犯罪者の役が似合うなあと思う。ピンクだけでなく、テレビの刑事ドラマでも変質的な犯罪者の役でもやればいいのにと思う。その素質は十分にある。

人妻は最初に男に襲われたときに持病の喘息がでる。
そのときに「その吸入器取って!」と言われて男はすぐに渡す。この時に人妻は男の優しさを感じ取ったのか。
人妻は男を屋根裏に隠し、やがては男が住みやすいようにと布団まで買ってきて持ち込む。
食事も作ってあげて夫のいない昼間に男が降りてきて食べる。
この奇妙な二人の生活のシーンが実にいい。
そして夜になると「屋根裏の散歩者」みたいに男は天井の隙間から夫と妻の寝室をのぞき込む。
天井の隙間から見える吉岡睦雄の目がいい。

妻は男にいてほしいがためにか、男が刺した社長は死んだという。新聞を見てもそのことは出ていないので、男は会社に電話して社長を呼び出すと「社長はただいま入院中でして」と答えたことから妻の嘘に気づく男。
いつまでもこうしていられないと妻が買い物に行っている間に男は自首をしようとする。男が外に出たところで妻は男と出くわす。
妻は男を例の廃工場に誘い、クスリを使ってセックス。
やっぱり男は警察に自首。
ラスト、浮気相手にふられたらしい夫を心の中で見下す妻。今まで数回挨拶だけに登場した男子高校生が「また遊びに行っていいですか?」「裏から入ってね」
妻もどうやら一皮むけたようだ。
高校生と出来ちゃう、というのがピンク映画っぽい強引な展開の気がしないでもない。

満たされない日常、「ここではないどこかへ」を求める妻、そこに現れた実は優しき侵入者。奇妙な共生生活。
そして妻は成長する。
よかった。やっぱり城定秀夫は侮れない。



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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日


日時 2013年2月24日12:20〜
場所 TOHOシネマズ日劇3
監督 アン・リー

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


カナダの若き作家はインドに関した話を書こうとしたが、うまく行かず未完に終わった。
しかしインドで出会った人に「私の甥でカナダ在住のパイを訪ねなさい。きっと面白い話を聞かせてくれる」と言われ、そのパイ氏を訪ねてみた。
パイ氏はもとはインドの生まれ。両親は動物園を経営していた。パイという名前は数学のπから来ているのかと思ったら、本名が「おしっこ」に通じる名前だったのでからかわれるので自分から「パイ」と名乗るようにしたのだという。
一家は市の援助も打ち切られることから動物園の閉鎖を決意。トラやオランウータン、シマウマなどの動物を売ってその金でカナダに行こうと決める。
貨物船に乗って動物とともにカナダに向かった一家だが、途中嵐に遭い、パイだけが救命ボートで太平洋に。
しかしそのボートにはパイの一家が飼っていたベンガルトラが乗ってきてしまった。

アカデミー賞11部門ノミネートという話題の映画。
予告編で漂流している夜の海で、鯨が海面から飛び出てくる幻想的な映像があったので、何となく気になっていた。
「トラと仲良くなる話」なのかなと思っていたが、そうでもないらしいと聞き、迷ったあげくに行ってみたがyっぱり観なくても後悔しない映画だった。

今回大枚はたいて(TOHOシネマズ日劇では3D料金で2100円。メガネは前に「ピラニア」を観た時にもらったメガネがあったがこれがなかったらさらに100円)3Dにしたが、別に3Dじゃなくてもよかった。
とにかくもう3D映画にはだまされないぞ!

2時間15分ぐらいの映画だが、最初の1時間はインドでの子供時代の話で、初恋をしたとかそんな話。別にいいだろう、そんな話。
で、嵐にあって遭難するのが1時間経ってから。
ボートで逃げることが出来たパイ、最初はオランウータンとシマウマだけだったのだが、実はテントの陰にトラが乗っていたことが発覚。
結局シマウマとオランウータンはトラが食べちゃったみたい。でもシマウマとかそう簡単には食べきれないと思うけど、腐ったりしなかったのかな?

そして例のクジラのシーンとか、夜の海の夜光クラゲとか幻想的なシーンが続く。
パイはボートに積んであった非常用食料と水とマニュアルを見ながらの生活。
トラと同じボートには乗れないので、オールと救命胴着でイカダを作り、ボートとロープでつないで生きていく。

海に落ちたトラなんか助けなければいいと思うのだが、「トラがいる緊張感がかえって生きる欲望につながった」みたいなことをいう展開。
そういうものかねえ。

一度無人島に上陸。
だがそこの池は夜になると酸性になって生物を溶かしてしまうとか、この島の植物は食虫植物のように生物を食べるとかいう話になる。
ここら辺から話の信憑性が怪しくなるのだが、そう思っているとボートは急にメキシコに漂着。
トラは一人でジャングルに入っていってしまい、パイと別れる時に振り返りもしなかったとパイは残念がる。
この後保険会社の調査員(船は日本の船だったので、調査員は日本人)にも矛盾点を指摘され、話を信じてもらえない。

結局パイの話は彼の妄想か真実か解らない。
でもトラと漂流した方が話としては面白いわな。
この映画に出てくるトラはオールCGらしい。
そりゃそうだろうなあ。海の上でトラに演技させることはいくら何でも不可能だろう。

CGでなければ出来ない話だったとは思うけど、3Dである必要はなかった。
2100円は高かったな。



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濡れた宅配妻


日時 2013年2月17日19:40〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 稲尾実
製作 (不明1970年代の後半)

久保新二は零細のアロー宅配便という宅配業を営んでいたが、「あっちがうまくても稼ぎが悪くてだめ!」と女房に逃げられる。
くさった久保新二は新聞広告を見て電話で女の子を呼ぶ。なんとその子は子供の時の同級生の妹だった。
久保新二が自分でも「ギャル特急運送」という看板で女の子の配達を始める。
お客の中にはレズがいたり、男を注文してきたと思ったら夫を他の女に盗られた女がうっぷんばらしにSMプレイを強要したりといろんな客たちから電話がかかってくる。

久保新二主演のコメディピンク。
監督はおなじみの稲尾実。
女性を宅配して売春させるというエピソードのつなぎあわせだからいくらでも話は膨らませそうな内容。
だからただお客から電話きました、女の子行きました、セックスしました、でも映画は成立するが、そこは一工夫がある。

レズの相手の時はお客は着物姿、SMのSとなってM役の久保新二を鞭でぶつ、普通のプレイ、とバリエーションもある。
しかもすごいなと思ったのは(それほどのことではないけど)、このSMプレイのお客さんは男性禁止のマンションに住んでいて、「宅配のお届けです」と言ってもガードマンがいて中に入れてくれない。
困った久保新二は大型テレビの空箱に入り、女の子に運転させ自分が入った段ボール箱を届けさせる。しかもガードマンにも配達を手伝わせて女性の部屋にたどり着く、という展開。

普通にマンションに入っても映画は成立するが、ここで人ひねりしている所が、スタッフキャストのサービス精神を感じてうれしかった。

製作年は不明だけど、「ちゃぷいちゃぷい どんとぽちい」「毎度毎度のお誘いに〜いやだいやだのホホホイのホイ」とかつて流行したCMソングを歌っているから70年代末ぐらいか。

映画の方は久保新二が自分の店の女の子に次々と手をつけ、今は久保新二を好きになった最初に雇った子に警察に密告され、久保新二は逮捕。
しかし釈放されて来て待っていたのは例の通報した最初に雇われた子。
今度は二人で便利屋となって力を合わせて働いていく、という形で終わり。
久保新二の相変わらずのコメディ演技が楽しめる映画。



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人妻派遣 熟乱義母と発情息子


日時 2013年2月17日17:35〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 川村真一


ここは熟女専門のデリヘル。店長のシズエ(小川真美)と着物姿が売りのミエ、そして夫が失業中の3人中では一番若い子(秋川典子)がいた。
シズエはトラックドライバーの常連さんがいて、真剣な
交際を求められる。ミエはある男の後妻となっていたが、義理の息子(樹かず)とも愛し合うようになってしまう。
若い子の夫はリストラされ今は失業中。昼間から妻が出勤する前にSMプレイなどを仕掛けてくる。

いまおかしんじ監督の「たまもの」がこのピンク映画館で上映されるので行ってきた。この映画はその前に上映されていた映画。
考えてみればいまおか作品をピンク映画館で観るのは初めてだ。ポレポレ東中野とかDVD、あるいはTOHOシネマズ六本木ヒルズ(!)で観ただけだ。
やっぱり普通のピンク映画が上映された後で「たまもの」を観ると別の味わいがある。(ような気がする)

ピンク映画なので製作年の情報はなし。ただし樹かずがでているから90年頃かなあ。
樹かずは以前ゲイピンクでも観たことがあったが、普通のピンクにも出ていたのだな。

お話の方はミエと息子が「だめだめ」といいながら関係を結び(夫の方はたしか病気で死ぬ)、リストラの夫は妻を縛ってそれをポラロイドで写真を撮ったりしている。
シズエはトラック運転手が自分でトラックを買って独立して、それをきっかけに結婚を申し込む。
で、デートの約束をしたが現れない、捨てられたか?と思ったが翌朝「急に仕事が入って抜けられなかった」ということで無事に結ばれる。

この3人の事務所にいつも酒を飲みに来ている野上正義がコメディリリーフで登場。
樹かずを見れたのが懐かしかった。

この後いまおかしんじ監督の「たまもの」上映。これが目当てで観に行った。



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東京は恋する


日時 2013年2月17日14:45〜
場所 銀座シネパトス1
監督 柳瀬観
製作 昭和40年(1965年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


看板屋で働く明夫(舟木一夫)は銀座で雨に遭ったとき、同じ場所で雨宿りした女の子に一目惚れした。
その子が落としていったペンダントを拾い、再会したときに返そうと思う。
明夫は高校時代の友人・健次(和田浩治)と久々に再会。健次は今近所の若者とバンドを組んでいて将来はプロデビューをねらっていた。歌のうまい明夫を健次は無理に自分のバンドに引き入れ、そして自分のアパートに引っ越させる。引っ越したアパートの近くで例の銀座の女の子・ミチコ(伊藤るり子)と再会。しかしミチコは実は健次の恋人だった。
今健次はバンドデビューのことで頭がいっぱいでミチコのことまで頭が回らない。だからミチコは田舎からの見合いの勧めに乗ろうか迷っていた。

舟木一夫主演映画。
でも正直、つまらん。同じ日に観た「二人の銀座」は80分だがこの映画は95分と長い。
それに暗いのだな。
親友の彼女を好きになってそれを言い出さずにひたすら彼女にとって一番いいことだけを考えるというパターンだ。
観ていて暗くなる。

で親友の健次がいい奴なら話も解るが、これがいい加減な奴なんだな。
歌手になる気のない明夫を自分がデビューしたいばっかりに半ばだまして歌を歌わせる(もっともいつの間にかバンドに参加しなくなるけども)というような自己中心的なやつ。
そんな奴のために一生懸命にならなくてもいいと思うがなあ。

ミチコの祖父母が上京してくるので、自分の恋人代わりになってほしいと頼まれる明夫。一緒にハトバスに乗って銀座、浅草、靖国神社、国立競技場、駒沢オリンピック公園を巡る。
祖父母は明夫を気に入ってミチコに「お前の両親にはわしらからよく言っておくから」と言われるが、実際いずれは両親に紹介する時にどうするんだろう?という疑問が生じる。

で、最後は健次のバンドの方はなんとかプロデビューの道筋がつくが、メンバーはもともとそれぞれの仕事を持っているので、「今の仕事を辞めてまでバンドをする事は出来ない」といってバンドは空中分解。
はてはジャズ喫茶の社長の娘(山本陽子)に健次は「あなたは背伸びしすぎる」と言われてしまう。
落ち込む健次を励ますようにミチコにいう明夫。ってどんだけいい人なんだよ!
近所の中華屋の娘が明夫に惚れているので、そっちとつきあった方がいいと思うのだが。

そんな感じで明るさのない恋愛映画。舟木一夫の歌が何曲も流れる訳ではないのも残念。
そうそう明夫のつとめる看板屋の社長が葉山良二、看板描きの後輩に堺正章。堺はスパイダース結成以前になるのかな。



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二人の銀座


日時 2013年2月17日12:15〜
場所 銀座シネパトス1
監督 鍛冶昇
製作 昭和42年(1967年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


マコ(和泉雅子)は公衆電話で無断借用していた姉のノートに挟んであった楽譜を落とした。それは姉の玲子のかつての恋人が作曲した思い出の曲だった。
マコが公衆電話を終わるの待っていた健一(山内賢)はその楽譜を拾う。健一は学生バンドを組んでいたが、プロデビューを目指していた。今日もジャズ喫茶の小泉支配人に売り込みにいったが、「練習してうまく演奏できるのは当たり前。プロなら初見の楽譜もすぐに演奏できなければダメだ」と言われる。ドラムの秀夫(和田浩治)他バンドのメンバーはたまたま健一が持っていたさっきの楽譜を演奏してみる。曲を気に入った小泉は彼らのプロデビューも考えて見ることに。
とりあえず1週間健一たちを自分の店で演奏させてみたが、なかなか好評だ。しかし健一は自分の曲でない曲を自分の曲のように言われて気が気ではない。
マコは自分の落とした楽譜がいま銀座のジャズ喫茶で演奏されていると聞き、ジャズ喫茶に向かう。

大ヒットした「二人の銀座」の映画化。
この曲はTBSの「七人の刑事」で「二人の銀座」というエピソードがあり、その挿入歌として使われた。
これはTBSの開局何周年かの特番で観たことがある。(フィルム撮られた唯一のエピソードのため、現存している)
それは田舎から東京に就職した人間がうまく行かなくなってついに殺人を犯してしまう内容だったと思う。
話の暗さ、悲惨さに反比例した明るく幸せな銀座を歌いあげるこの歌とのギャップがかえって印象的だった。
だから僕にとっての「二人の銀座」の印象は暗さも合わせ持つ。

去年、浜田光夫さんの自伝を読んだとき、「この歌ははじめは浜田が歌う予定だった」と書いていて、この曲のことを思い出した。
そして銀座シネパトスの閉館に伴う「銀座特集」でこの映画が上映され、駆けつける。

学生の山内賢と洋裁店で働く和泉雅子のどこにでもあるようなラブストーリーにすることは可能だが、この映画は違う。
この映画は「曲の作曲者のもらうべきものは何か?」というテーマを扱う。

本来の作曲者はマコの姉の元恋人・戸田周一郎だ。
健一は成り行き上自分の作曲と思われてしまい、躊躇する。
訪れてきたマコとともに失踪した戸田の行方を追う。
このあたりの戸田を追う過程は偶然もあってかなり雑。
しかしここは目をつぶろう。

もともと戸田の失踪の理由もこの「作曲者は誰か?」という問題だった。
数年前に若き作曲家だったが、自分の作った曲がある有名な作曲家の曲として発表され、それを問題にした所逆に干されてしまったのだ。
そして今は場末のキャバレーのピアノ弾きに納まっている。
今更戸田に出てきてほしくない小泉はこの曲の権利を金で買おうとする。
今の時代ならこういう作品の権利が売買されるのは当たり前だけど、この時代はまだ「権利だけ売るなんて変」と思われていたんだろう。
結局戸田は受け取らず、健一たちはプロデビューを見据えたジャズフェスティバルで、「本当に作曲したのは僕じゃない、戸田周一郎さんです!」と訴える。

その後歌うのだが、曲の素晴らしさに作曲者はいい意味で関係ないのか、それとも正直な健一に心打たれたのか、大喝采の内で迎えられる。

この日は和泉雅子さんのトークイベント付きだった。
和泉雅子さんはほんとにこの近くでお生まれだそうで、まずは和泉さんの記憶にある銀座の話題。
とにかく和泉さんがあけすけで気取らない「下町のおばちゃん」タイプの方なのでトークも暴走気味。
和泉さんと会うのが初めてという司会の川本三郎さんは驚いていた。
「二人の銀座」の歌は越路吹雪さんから「あげる」と言われてもらったそうだ。
しかし「音痴な雅子」(本人談)ではだめなので山内賢とデュエットになったそうだ。
浜田光夫さんがご自身の本で「最初はあの歌は浜田が歌う予定もあった」と書いていたが、その話はでなかった。案外和泉さんは知らないのかも知れない。
山内さんはとにかく楽器は何でもこなす人で「歌は正確だけど味はない賢ちゃんと、歌は下手だけど味がある雅子」の二人で補いあって成り立つうただそうで、まるで「カレーライスのよう」と言われていた。
とにかくなんだかんだでレコーディングも3回ぐらい途中で中止になって4回目ぐらいでやっと行われたとか。
歌がヒットしたので映画も作られたが、添え物のB面扱いで白黒になった、とおっしゃっていました。でも話も設定もすべて覚えていないそうです。

そんな話をなさったのだが、その中でひとつ引っかかったことをおっしゃった。当時は外国人が作曲者の場合、自然といわゆる賞レースの対象からはずれてしまい、大ヒットしたにも関わらず、全く賞というものには縁がなかったそうだ。
映画を観てしばらく経ってから気がついたが、つまりこの一件が映画のヒントになったのではないか?
曲の評価というものはちゃんと作曲した人に与えられるべきだ、ということを。
映画の世界でも弟子の書いた脚本を大家の脚本家が書いて発表することもあったとか。
単なる金の問題でけでなく、「著作者の名誉」ということをテーマにする土壌でもあったのかも知れない。
芸能界のバックステージものだが、すごくシビアな問題を扱っていたように思う。

そしてオープニングクレジット、エンディングのフェスティバルも含め、練習中などでバージョン違いなどわずか80分の映画なのに7回ぐらいは(もちろんワンコーラスもあるけど)「二人の銀座」は歌われた。
この曲が好きな私としてはお腹いっぱい聞かせてもらえて、その点でも大満足だった。よかった。

(「海底軍艦」の小林哲子が出演していたらしいのだが、どこに出ていたか解らなかった。再見する機会があったら探してみたい)



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世界が燃えつきる日


日時 2013年2月16日16:20〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 ジャック・スマイト
製作 1977年(昭和52年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


ついに第3次世界大戦が勃発。米ソは核ミサイルを撃ち合い、人類はわずかを残して消滅した。
数年後、生き残ったアメリカミサイル基地のデントン少佐(ジョージ・ペパード)は特殊装甲車ランドマスター号を作り、わずかに電波が聞こえてきたオークランドに向かうことに。
自分とはそりのあわなかったタナー(ジャン・マイケル・ビンセント)たちと出発する。
しかし行く手には嵐、殺人ゴキブリ、強盗化した人々などかずかずの困難が待ち受ける。

この映画も公開当時かなり期待して行ったが外された映画。
また宣伝もそれなりにすごかったのだ。
ランドマスター号のレプリカ(というか普通のワンボックスカーに少し装飾をしただけのしょぼい車)を作って日本全国を回ってキャンペーンをしたのだ。私は当時中学生だったが見に行った。CBCの前の広場にこの車が来てラジオパーソナリティが司会をして車の紹介などをした。終わってからそのパーソナリティにみんながサインをもらっているので、私ももらった。これが人生初のサインをもらった経験だ。
でもその車、実際見たら映画のスチルで観るランドマスターとは全く別のものでがっかりした覚えがある。

それに当時「博士の異常な愛情」などをテレビで観て終SFに興味があったのだろう。だから同様なSFを期待して見に行ったのだ。また予告編を何度も観て、砂漠で巨大サソリ相手にバイクアクションをするシーンがあり、それも見せ場の一つだと思っていて大いに期待していた。

ところが封切りで観てとにかくがっかりのしょぼい映画だったのだ。例の巨大さそりとバイクのシーンも冒頭にちょろっと出てくるだけ。
その後、いろいろ出てくるがクライマックスのシーンが嵐に巻き込まれてしまうだけで(このシーンが公開の時に暗くてよく解らなかったから余計に)ぜんぜん盛り上がらなかったのだ。

そんな訳でがっかり度合いは半端ではなかった映画として記憶されていて、その後テレビ放送とかあったようだが、全く36年間観なかった。

だが今回見直してみたら案外面白かった。
「メテオ」はやっぱりつまらなかったが、この「世界が燃えつきる日」は面白かった。それは観る側のハードルが下がったこともあるが、こちらもSF特撮映画をいろいろ観て許容範囲が広がったのだろう。

まずはランドマスター号。
それほど秘密兵器があるわけではないのだが、バイクも搭載して機動力があり、無骨なデザインもなかなか愛着が出てくる。ランドマスター号ファンもいるらしいがそれも納得だ。

そして空。
大量の核兵器の使用で地球の地軸が傾き、常に空はオーロラのようなものが浮かんでいる。
マスクが切っての合成なのだが、これがなかなか手が込んでいて、人物が移動してカメラがパンするようなカットでもマスクを切ってオーロラ空が合成してある。感動ものである。

それに嵐によるランドマスター2号の事故、殺人ゴキブリの襲来、野盗化した人々との対決、嵐にあって濁流に間がされるランドマスター号などなど、90分の映画なのに10分に1回の見せ場がある。
努力している。
巨大な予算があったようだけど、現場に回ってきた予算は少なそう。でも頑張ってる感があっていいなあ。

主演のジャン・マイケル・ビンセントはこの頃「ビッグ・ウエンズディー」があって売り出し中。実際の人気はそれほどついてこなかった感じもあるけど。
そして「がんばれ!ベアーズ」の不良少年ジャッキー・アール・ヘイリーの出演も楽しみの一つだった。
しかし両方ともそれほど活躍なし。
出演時間はそれなりに長いのだが、印象に残るシーンがないのだな。
なんかこの映画を見に行った時のことを思い出しましたねえ。たしか名宝スカラ座だった。

今回の上映は近日発売予定のDVDのイベントとして日本語吹き替え版での上映。
いろいろと楽しかった。



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メテオ


日時 2013年2月16日13:30〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 ロナルド・ニーム 
製作 1979年(昭和54年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


宇宙を巡る彗星が軌道を少しはずれ、小惑星地帯に入ってしまった。そして小惑星にぶつかり、それが隕石となって1週間後に地球にぶつかることが解った。直径8キロの大きさだが地球にぶつかれば粉塵が地表を多い太陽は遮られ氷河期が訪れる。
事態を重く観たNASAとアメリカ政府は以前開発した宇宙兵器・マーキュリーを使用することに。
マーキュリーはこういう事態のためにブラッドリー博士(ショーン・コネリー)が開発したものだったが、ソ連に向けてミサイルを発射出きるようにされた兵器に転用されていた。
今はNASAを辞めたブラッドリー博士だったが、急遽和ワシントンに呼び出される。マーキュリーを使ってこの近づいてくる隕石「メテオ」を爆破するのだ!

パニック映画ブームも終わりに近づいた頃、「隕石が地球に衝突」というSF映画では定番ネタ。しかも主演はショーン・コネリー、アメリカ大統領にヘンリー・フォンダという訳で映画ファンはかなり期待した。
僕自身、封切りの時は高校生で楽しみにしていった覚えがある。
しかしがっかりな映画で、細部は覚えていなかった。
ラストに隕石の影響で、ブラッドリー博士のいた指令室に水が入ってくるシーンは覚えていたが、そこだけ。

今回34年ぶりに観たのだが、つまらない理由が解った。
主人公のショーン・コネリーが何もしないのだ。
前半はまずこういう条約違反的な兵器をアメリカが持っていたことを公表するかしないかでもめる。
次にアメリカのミサイルだけでは威力不足ということになり、ソ連も同様の兵器(ピョートル大帝)を持っているからそれを共同で使おうという案が出されるがなかなかソ連は乗ってこない。
こんな感じで前半は会議ばかり。
でアメリカにもタカ派の将軍(マーティン・ランドー)はいて、「ソ連との共同作戦などありえない!」と反対する。その間主人公のショーンコネリーは何をしてるかというとただ観てるだけ。「俺は政治には関わらん」と逃げてしまう。そりゃ科学者だからそうなんだけど。

本来ならマーキュリーに故障が発見されてそれを修理するにはどうするか、誰かがいくのか、若い飛行士ではだめだ、俺がいくとショーン・コネリーが宇宙に行ってそこで数々の困難を乗り越えながら修理を完了させ、最後までためらっていたソ連もミサイルを発射させ、地球は救われた!とならなければならないのに、実際ではラストに指令室に泥水が浸入し(記憶では泥水ではなく普通の水だったのだが)逃げるだけ。(同じような展開の東宝の「地震列島」の方がよくできている。

で途中世界各地(アルプスの雪崩とか、香港の津波とか)あって、それなりにセオリーはあるのだが、特撮がしょぼい。特に香港の津波はマスクを切って香港の実景に水のショットが合成してあるだけだからがっかり。
香港のメンバーにクライド草津が出てるのがうれしかったけど。

そんな感じでトホホ大作の見本のような映画。
ソフトにならないのも納得の映画だ。



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きいろいゾウ


日時 2013年2月15日21:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン2
監督 廣木隆一

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売れない小説家のムコ(向井理)はツマ(宮崎あおい)と結婚し、田舎暮らしをしていた。ムコは小説だけでは食えないので、近くの養護施設にヘルパーとして週に数日勤務していた。ツマは動物や植物の声が聞こえ、彼らと対話するのが好きだった。
近所にはツマたちの家にあがってはビールを飲んでいくおじさん(柄本明)やその妻(松原智恵子)がいる。おじさんの妻は最近ボケてきて食事の時に何にでもミロをかけてしまう。
近所の家にはその家の孫の大地くんがいた。大地君は学校の国語の授業で「姉さん」を「ねえさん」ではなく「あねさん」と呼んでしまい笑われたので、恥をかくことが怖くなり、学校を休んでいた。その大地が好きで何かと絡んでくる女の子ジェニーがいる。

向井理、宮崎あおいという現在一番人気実力とも随一の二人の競演。
でも正直私は乗れなかった。だめ、というほどではないし、話がさっぱり訳わからんというよな拒否してしまうようなことはないのだが、どうにも映画の世界に入れない。
それはよく考えれば観る前から想像がつきそうだが、じゃあなんで観たかというと予告編で観た向井理が気になったからだろう。
ちょっと無精ひげを生やし、めがねをかけた姿は今までと少し違っていた。
「僕たちは世界を変えることができない。」以降、彼が出ていれば何でも観るというほどのファンではないが、他の俳優に比べれば存在を追ってしまう役者なのだ。

という訳で向井理を観る観点からこの映画には参加した。
予告では少ししか写らなかったが、彼の背中には孔雀のような色彩鮮やかな鳥の入れ墨がある。
この入れ墨の意味が最後には明かされる。数年前に知り合った画家の女性に気に入られて、彼女の子供は重度の障害をもって生まれてきてそのことで彼女は精神的に不安定だったのだ。そしてムコの背中に絵を描く時間が落ち着く時間だったという。
ここでその画家とムコが肉体関係があったかは何となく不明。あったかも知れないし、なかったかも知れない。
その夫(リリー・フランキー)に咎められ二人はもう会うこともなかったが、その夫から「妻のために会ってほしい」と手紙が来る。

彼女に会うために東京に行くのだが、そのことはツマには告げずに東京に行く。前の晩、東京行きに動揺しているツマは「蛇口から水が漏れる」ことから二人の会話が始まって、ムコの手を食器でなぐり続けるシーンは何か圧巻の迫力。

あとは宮崎あおいもほぼノーメイクなナチュラルな感じ。
でも現実にこんな女がいたら機嫌が悪くなって怒ったり何かとめんどくさそうな女。現実にいたら関わりたくないな。
あと大地君(濱田龍臣)。テレビなどで人気子役だそうだが、私は初めて。なかなかの美少年でこれからの活躍にも期待。

最後になったけどムコとツマ。変わった呼びあい方だが、向井理の方は武コ(コの字の漢字がない)で宮崎あおいは妻利という名前。まあ後付けだとは思いますが。



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超少女REIKO


日時 2013年2月10日
場所 レーザーディスク
監督 大河原孝夫
製作 平成3年(1991年)

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9月末、10月に行われる文化祭を前にしてある高校では怪奇現象が話題になっていた。この怪奇現象の謎を解くべく緒方生徒会長(大沢健)をはじめとする有志6人でESP研究会を結成した。彼らが夜校内を巡回していると怪奇現象に遭遇、それを救ってくれたのは1年生の九藤玲子(観月ありさ)だった。さらに彼らを止めるつもりの教師の山川(佐藤浩市)も巻き込まれる。
玲子が有名な霊媒師の光霊(菅井きん)の孫娘と知った彼らは幽霊が出るのを待つのではなく、こちらから行こうと降霊会を決行。霊は現れた。
その正体は女子高生だった。彼女は何故玲子たちの高校に出没するようになったのか?

「平成ゴジラ」シリーズで有名な大河原孝夫監督のデビュー作(助監督は手塚昌明)。
大河原監督による脚本は城戸賞受賞作。
学園もののホラー(というほど恐くはないが)だが見直してみると東宝特撮ならではの技術が見受けられる。

調理室で粉が散った床の上に足跡がついていくとか、降霊会のシーンで断崖の上に空中浮遊するシーンとか、割れる蛍光灯とか怪獣映画で怪獣が現れる予兆のようなシーンで使われる画が多い。
特撮ドラマとしても楽しめる。

降霊会などを行い、自殺した女子高生の霊がやってきていると判明。その自殺した子は実は玲子たちに転校してきた演劇部のイケメンに捨てられて自殺したらしい。
しかも妊娠していたようだ。
彼女の霊を供養すれば事件はすべて解決すると思われたが、不思議な現象は続く。
事件を起こしたのは別の玲子たちの高校の生き霊だったという展開。

話の方は特別どうという面白さもなかったが、かといってつまらなかったということはない。
出演は当時アイドルとして売り出し中だった観月ありさ。
最近は見かけないけどどうしているだろう。
そして大沢健も若手としてちょっと期待されていた存在だったなあ。
そしてモデル出身の長澤ユキオ。
これが俳優初出演だが、特に見せ場となるシーンもなく、剣道部の生徒だが特にそれが生かされる設定やエピソードもなく、何のために存在しているのか。なんとなく数合わせで作られた役に見える。
あとは観月ありさの祖母役で菅井きん。
夜、学校の屋上で霊と対決するシーンはなんだか初見の時は印象に残った。
あとは観月ありさの父親で佐藤B作。

かつてのNHKの少年ドラマシリーズのような、ライトノベルのような気楽な作品で面白かった。



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誘拐


日時 2013年2月9日14:30〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 大河原孝夫
製作 平成9年(1997年)

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東昭物産専務・跡宮が箱根のゴルフの帰り道に誘拐された。担当するのは津波警部(渡哲也)やアメリカかえりの若手新人刑事・藤(永瀬正敏)たち。
犯人からの要求では系列会社の東昭開発の神崎に身代金3億円を運ばせろという。しかも翌日の身代金受け渡しをテレビ中継しろというのだ。
翌日、神崎が身代金をもって指示に従って都庁まで行けばそこにある公衆電話が鳴る。今度は30キロある3億円のカバンを抱えて歌舞伎町に行けという。そして今度は国立競技場へ。次々と移動させる犯人。神崎が力つきようというとき、公衆電話の下の電話帳に挟んであった犯人からのある文書のコピーを受け取る。それを見た神崎は驚いて倒れてしまう。
今日の取引は中止、しかし今度は別の人物を指名し、翌日また身代金の受け渡しは行われた!

城戸賞受賞の映画化。
大胆なロケーションが話題になった映画だ。何しろ身代金を運ぶ神崎などを何十台というテレビカメラが取り囲む。その何十人、野次馬通行人をいれると百人単位の人物が、新宿、銀座を歩いていく姿は壮観だ。許可を得てやっているかと思ったら無許可のゲリラ撮影だったらしい。
数人の出演者でのゲリラ撮影だったのなら解るけど、これだけの規模となると関係者の苦労が想像するだに計り知れない。

映画の方は翌日も別の東昭グループの重役が同じように身代金を運ぶ。しかし今度も倒れ、代わりに津波が身代金を新橋まで運び、津波も倒れ今度は藤が運び、首都高速の非常停車帯に置く。しかし誰も3億円が入ったカバンを取りに来ない。犯人から「3億円は受け取った」と連絡があり、調べて見ると中身はすり替わっていた。

ここから捜査に入るのだが、被害者が誘拐される前日に折田という弁護士と会っていたことが解る。その弁護士は26年前の山梨県であった公害訴訟の弁護士だった、ということから事件は急転回。事件の目撃者も関係者はすべて公害訴訟の原告で誘拐された人物、及び身代金の運搬人の神崎らは公害の原因の責任者だったのだ。
しかも(書いちゃうけど)津波も公害問題で妻と生まれたばかりの子供を亡くしていた、という結末。

公開時も見ていたがあまりいい印象は持たなかった。
「主人公が犯人」という私が一番やめてほしい結末だったのでがっかりしたのだ。
それに山梨県警の警官は後に警視庁の刑事にはならんよ。

しかも消えた身代金の謎も津波が新橋の喫茶店に入った際に電話ブースに仕掛けがあってすり替えたというもの。このシーンが急に昔の探偵小説みたいな仕掛けにばかばかしくなった記憶がある。
さらにラストは癌で死期がせまった津波が病院をぬけだし、山梨県の今はダムのそこに沈んだ事件のあった村に行き、そこの湖畔で延々と藤が事件の謎解きをするのだ。
ここはもう台詞だけで飽きてしまう。

前半が画的に盛り上がった分、後半が説明調になってしまい、残念。
初見の時も主人公が犯人じゃ映画館を出るときにがっかりしながら出たと思う。
今回観てもその感想は変わらなかった。
また初見の時は柄本明が捜査本部長の警視を演じ、「そういう偉い役をやるようになったかあ」と妙なところで感心した。



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極私的ランナウエイ


日時 2013年2月9日18:40〜
場所 トリウッド
監督 河合健


カメラマンになる夢を持って田舎から上京したが、今はティッシュ配りのバイトに明け暮れる蚊崎(櫻井拓也)。後輩にもバカにされる最近だ。そんな時、街で倒れていたサラ(有元由妃乃)という女の子に「ねえ、今晩泊めてよ」と言われ、つい自分の部屋に連れてきてしまう。
傍若無人なサラのペースに巻き込まれ、サラは自分の体を蚊崎に提供しようとするが、童貞だった蚊崎はためらってしまう。蚊崎はサラの金髪に赤いメッシュの髪を誉めると蚊崎の髪を金髪に染めてくれた。
金髪のせいでバイトを首になった蚊崎。サラから「あてのない旅をしよう!」と言われ、車で旅にでる。
サラの希望で北へ向かう。栃木の町で「子供たちの写真を撮るのが好き」というカメラマンに出会う。
カメラマンにあこがれる蚊崎はその人をすっかり信用し、その晩泊めてもらう。
しかしサラはこの男が実は児童ポルノ写真を撮っていると見抜き、警察に通報する。カメラマンは蚊崎たちの乗っていた車を奪って逃げていった。
ヒッチハイクで宮城に物資を届けるボランティアの車に乗せてもらう。
そして秋田に向かう二人。実は秋田にはサラの姉がいて、サラは姉を訪ねていったのだ。


自主映画。でも先日「私の映画爆弾」を観て20代の監督の作った自主映画も面白いなと思うようになったので、グリソムで紹介されて観に行った。
正直、面白かった。
主演の櫻井拓也がいい。
先日「青二才」を観てすぐの再会だが、「田舎出身の控えめな童貞」にぴったりなキャラクターだ。
「青二才」も似たようなところがあるけど、「青二才」は倒れていた正木佐和に自分から声をかけてホテルに連れていく積極性があったけど、今度は終始サラに押されっぱなし。そういう役の方が似合っている。

「ここではないどこかへ」行こうとする青春映画。
秋田に行ったら姉は結婚していて、自分とは違う生き方をしていることを知るサラ。孤独感にさいなまれたサラは町で今までしてきたように男を漁る。でも今回は「タダでいいよ」しかし出会った男が最悪で、SMプレイを強要され捨てられる。
サラを探していた蚊崎となんとか再会。
どこへも行き場を失ったサラだったが、蚊崎は彼女を受け入れる。髪を今度は赤に染めてもらう蚊崎。

この髪を染めてもらう途中で、蚊崎はサラに覆い被さるのだが、この髪が塗れている状態なのが画的に面白い。
またこの髪を染めているときのサラ役の有元由妃乃の何ともいえない優しい表情がいい。サラも実は美容師を目指してがんばっていた時期もあったのかも知れない。

結局サラは東京に帰る途中で再び姿を消す。
途中で撮ったサラの写真には結局なにも写っておらず、サラの記録はない。
何かが変わってやり直す蚊崎君がよかった。

細かいところに疑問不満(旅の最初に乗っていた車は蚊崎の車なのか?児童ポルノ男はすぐに解った、姉を訪ねて旅にでるというのはどこかで聞いたような話、カメラは秋田で海に捨てたはずなのに最後にフィルムの現像出きるのはなぜ?)はあるものの、「ここではないどこかへ」に行こうとする田舎青年の成長物語は観ていて希望があって心地よい。

青春Hシリーズみたいな話だが、よかった。
むしろ今度はほんとに青春Hでやってもらいたい。



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男たちの夢音色


日時 2013年2月3日17:50〜
場所 光音座1
監督 竹洞哲也
製作 平成19年(2007年)オーピー映画


ヤスはストリートミュージシャン。毎夜弾いていたが、自分の歌を聞いてくれた男がいて話しかける。
彼は仕事もなくインターネットカフェに泊まり歩くいわゆる「ネットカフェ難民」だった。
ヤスは男を連れて飲みに行き、そのまま自分の家に。
家と行ってもそこは空き家になった元幼稚園に勝手に住みついているだけ。同じように漫才コンビ・立食パーティーのオットゥとボーフラ、夢は正社員というセッケンも住んでいた。ヤスは翌朝、前夜のことをよく覚えておらず、連れてきた男にも「君誰だっけ?」という始末。
そこからダレというニックネームがつけられる。
オットゥとボーフラはテレビの収録の仕事があったが、朝6時の仕事にも関わらず寝坊し、干されることに。

夢追う男たちの物語。
「夢」と言ってもローベル・アンリコの「冒険者たち」とはレベルが違う。
どっちかというとダメ人間の話だ。
とにかく私はダメ人間が受け付けられないのだよ。
たぶんピンク映画を作っている人にはダメ人間が多いのではないか?
だから自分たちの周りの感覚で映画を作るとこういうダメ人間の青春ものになってしまう。

漫才コンビはオットゥも年齢的に辞めたいといいだすが、ボーフラがそれを止める。二人は愛し合っていてそこで絡みがある。
このオットゥの方がなんだか、今「ワイルドだぜ〜」がヒット中の杉ちゃんに似ていて、ボーフラは如何にも貧乏臭そうなキャラクター。
いくら何でもこの二人のゲイカップルじゃお客さんは喜ばないのでは?

で、大阪に行って一旗あげようと何故かワンボックスカーは持っているこの漫才コンビは大阪へ。
他の3人も旅行がてらついてくる。
実はそれまでのシーンは別に土地が「大阪」とは特定されていなかったが、商店街のシーンで「梅田一安い」などの文字が見えたので、大阪が舞台と思っていたので大阪に行く展開になったのはちょっとびっくり。
とにかく全部大阪で撮影はしたらしい。

道頓堀とか通天閣とか淀川ロケがあったけど、結局ボーフラが事故で入院する羽目に。
このシーンがよく解らず、ボーフラが道を歩いているとベンチで寝ている男がいる、それを助けようとする、そこで持っていたたくさんの封筒を落とす、停車中の車の下にも落ちたので拾っていたら扉が開いて頭を打ってしまう、というもの。
なんか無駄な動きが多くてよく解らない。

で結局オットゥたち大阪に残して3人は元の自分たちのすみかへ。
そこへセッケンにも会社の採用通知が来て、ヤスとダレはついに結ばれる、という展開でエンド。

クレジットを観ていたら、ヤスが歌っていた曲のタイトルが出たのだが、「作詩作曲:吉岡睦雄」と出た。
吉岡さんが昔曲を作っていたとは聞いたことがあったが、こういう形で聞けるとは思わなかった。

製作年は映画中にあったデパートのウインドウに「2007SPRING」と書いてあったから、たぶん。



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欲望同盟


日時 2013年2月3日16:40〜
場所 光音座1
監督 浜野佐知
製作 平成7年(1995年)オーピー映画


ホテルで首を絞められた男の死体が発見された。
顔に精液を浴びていたことから、男同士のSMプレイの果ての殺人と思われる。
若手刑事(新田岬)と中年刑事の西村は、被害者と加害者がパソコン通信を通じて知り合ったらしいと推測する。
若手刑事がパソコン通信でオレンジというハンドルネームを使って男たちに会う。
まずは甘い蜜という名の若い男に会ったが、この男は殺しをしそうな男ではない。次にビッグハートというHNの男に会う。
この男は「死ぬほどのセックスがしたい」と言い放ち、怪しい。
オレンジはその日は別れたが、ビッグハートのことが忘れられない。

SM殺人を題材にした作品。やっぱり刑事もの、犯罪ものはそれだけで安心してみれますね。
たとえ犯人が意外じゃなくても観てる間はサスペンスがありますもん。

まだインターネットが登場する前の製作らしく、「パソコン通信」という言い方をしている。
マウスのないPCを使ってまだモニターもカラーではない。この頃からすでに「出会い系掲示板」に相当するものがあったのだな。
この頃はまだネットは「専門の趣味の人が楽しむもの」で一般的ではなかった。だからネット人工も少なかったと思う。

中年刑事の西山が最初に若手刑事が会った甘い蜜くんに「お前この間の殺人事件について聞きたい」と無理矢理ホテルに連れ込んで強姦する。
その際に手錠をかけ、ちょっとしたSMプレイをする。
ひょっとしてこの刑事が犯人、と観客はトラップを仕掛けられる。もっともこの刑事が犯人だとかなり強引な展開になるけど。

でも実は甘い蜜くんとビッグハートは同棲していた、という展開。これも強引だが、登場人物が予算的に限られるピンク映画なら仕方ないか。
そして二人の絡み。

刑事二人組は他に手だてがなく、再び新たに男と出会う。
若手の方が出会って、相手の男に「刑事で殺人の捜査をしている」と告げると「あの事件には噂があってネクロフェリア(死体愛好者)とかが絡んでるらしい」という情報を聞き出す。
でもそれって漠然として役に立たないと思う。

若手刑事は男同士の世界に興味を持ってしまい、例のビックハートを忘れられない。
そして再び彼のマンションで会い、ついに肉体関係へ。
で、ことが終わってベッドの下の引き出しを見ると、ロープとかがはみ出してる引き出しがある。
そっと開けてみるとそこには殺人事件の被害者のポラロイド写真が!
で、ビッグハートの「どう?解った?」みたいなことを言う顔のアップでエンド。

この後どうなったか解らない。
若手刑事は殺されてしまったのか?
余韻のある終わり方で面白かった。

刑事と甘い蜜やビッグハートは歌舞伎町映画街で出会う。
今はなくなったコマ劇場が懐かしい。
「ダイハード3」が東亜会館で上映されている看板が掛かっていたから2005年の製作だと思う。



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星の長い一日


日時 2013年2月2日21:00〜
場所 ポレポレ東中野
監督 いまおかしんじ

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


金のない星(荒井タカシ)はあるアパートに空き巣に入っておいてあった財布から1000円盗んだ。
その金でコンビニに行って早速おにぎりと水で腹ごしらえ。たばこが吸いたい。コンビニ店員の良江(藤崎エリナ)にたばこを分けてもらい、その後、良江のアパートに乱入。
「おねがい。やらして。最近全くセックスしてないんだ」
意外にも良江はOKした。ただしコンドームをつけて、という。
星はコンビニに行って万引きしようとしたが店長(守屋文雄)にとがめられて失敗。
仕方なく一軒の家に入ってコンドーム代を盗もうとする。そこへその家の男(川上洋一郎)と鉢合わせ。
星はその男に包丁で刺されてしまう。
男は驚いて外へ飛び出す。
そこへ謎のヤク中の男女アニ(佐藤宏)とシロ(水井真希)が入ってくる。
果たして星の運命は?


いまおかしんじ監督の青春H第3弾。
15年前に書いた「アニシロ」というピンク映画用の脚本がベースになっているそうだ。
その時は今回佐藤宏と水井真希が演じるアニとシロが中心の話だったらしい。でも今回青春Hで制作するにあたって、星という男を中心の話にしたそうだ。

データ的なことはさておいて映画はどうだったかというと私はだめだった。
まず話の展開が少ないし、テンポが悪い。
何しろ星が始まって30分ぐらいで刺されてしまう。
星がコンドームを手に入れるために泥棒して逃げてそれをアニシロが追いかけてきて、という動きの多い展開ならともかく、家で刺されて苦しんでいるところへアニシロがやってきて、ドラッグ(砕いた錠剤をアルミホイルにおいてしたからライターであぶって吸引する)で、星にもドラッグを吸引させて一時的にラリった星がシロを犯したりする。
一方、星を刺した川上洋一郎の方は外へでたら知り合いの女子大生に会って誘われるがままに彼女のマンションへ。
そこは冒頭で星が1000円盗んだ部屋だった。

ここでその女子大生が「マン、マン、マン(ピー音)のよいところ、体の真ん中ど真ん中」という訳の分からん歌を歌う。
こういう自作の鼻歌を歌うのがいまおかさんらしい。

で川上とこの女の塗れ場が結構長くてピンク映画のよう。
もともとピンク映画のシナリオだったからピンク映画らしさが残っているのかも知れないけど。

アニシロの不条理な行動がこの二人は人間じゃない気がしてくる。つまり天使(オチこぼれとか)そういう感じの存在。

いまおかしんじの独特の世界観(それも90年代の暴力がよく絡んでいた頃)が味わえるが、それにしてもテンポが悪い。
編集で70分ぐらいに短くすれば、もっと楽しめたのではないか?



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さよならドビュッシー


日時 2013年2月2日11:25〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン10
監督 利重剛

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


名古屋の資産家・香月玄太郎(ミッキー・カーチス)の孫娘、香月遙(橋本愛)は従兄弟のルシアと子供の頃から仲良しで、ルシアの両親が仕事でアフリカに行き、そこで消息を絶って以降は一緒に暮らしていた。
ところが玄太郎、ルシアたちが住む離れが火事に遭い、玄太郎やルシアは焼死、たまたまルシアの部屋に泊まっていた遙も重傷のやけどを負った。
危篤状態だった遙だが、皮膚移植の手術を行い奇跡的に生き返った。
玄太郎の遺言が公開されたが、遙も12億円の遺産が残されたが、遙がピアニストになることが条件だった。
笑うこともままならない状態の遙だったが、賢明にリハビリを行う。その過程で岬洋介(清塚信也)と知り合う。
岬は指導が的確で、遙の回復はめざましく、早弾きの「熊蜂の飛行」を弾けるようになる。
遙の通う音楽学校としては彼女のリハビリぶりを売り物にして学校の宣伝に利用しようと学校推薦でコンクールに出場することに。

「桐島」の橋本愛主演の音楽ミステリー。音楽教師の岬をピアニストの清塚信也が演じることも話題。
監督は監督作としては10年ぶりの利重剛。
映画全編を引っ張るのはなんと言っても橋本愛の存在感だ。
気品ある美しさは橋本愛ならではのものだ。

映画は遙の周りで数々の事件が起こる。
階段の滑り止めがはがれ遙はあわや転倒しかける、松葉杖が折れる、天井からシャンデリアが落ちる、そして遙の母が豪雨の夜、表の階段から転げ落ち重傷を負う。

正直、ミステリーとしてはどうかと思った。
私の好きじゃない、主人公が観客に隠している事実があるという奴だ。
ネタバレになるけど、ラスト遙が「私、実は・・・なんです」と言ったときは最初意味が分からなかった。
「えっ?何か精神的にとりついているっていうタイプの展開?」と思ってしまった。

じゃなくて実際に遙が遙ではなかったという展開。
う〜ん、驚いたから意外性はあったけど、ミステリーとしては卑怯な手だと思う。観客が知っていることと主人公が知っていることはイコールにしてもらいたい。

探偵役の清塚信也は映画初出演とは思えない堂々たる役者ぶり。岬シリーズ第二弾も観たい。
あと名古屋が舞台なのだが(原作自体が名古屋が舞台らしい)名古屋弁を話す人が少ない。
三ツ矢雄二の音楽学校の先生ぐらいだ。
もっとも橋本愛が名古屋弁でやっていたら美しさも2割減にはなったろうけど。
オアシス21の屋上からちらっと見えるテレビ塔が懐かしい。



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