日時 2013年4月29日18:30〜
場所 テアトル新宿
監督 井上淳一
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
大平(村上淳)は北支で負傷し、右腕を失って日本に帰ってきた。
そんな頃、今まで飲み屋をやっていた女(江口のりこ)は旦那も亡くなり、配給もお酒も手に入りにくくなったので、常連客の作家・野村(永瀬正敏)の家で一緒に食らうことに。
大平は妻と子供との生活を再開したが、セックスの時にどうにも勃たない。
ある日、数人の男たちが女性を強姦するのを目撃する。一端は止めに入った大平だが、片腕ではどうにも勝てない。しかし彼らが女性を強姦するのを見て、興奮する自分がいた。その後、買い出し列車に乗る女性に声をかけ、米を分けてあげると誘い出し、次々と女性を強姦していく。
元文部官僚で映画評論家の寺脇研が制作。
4月24日にロフトプラスワンで公開記念トークイベントが開催され行ってきた。
そのときの寺脇さんの話では当初はピンク映画として戦争中にセックスをしていた男女の物語を作ろうと思ったそうだ。で、荒井晴彦と脚本を作っていく中で、坂口安吾の小説に同様の題材のものがあると知り、「安吾なら知名度もあって興行的に多少有利だし、著作権も切れてるし」ということで坂口安吾の原作も取り入れたそうだ。
それだけでなく、寺脇氏も荒井晴彦も戦争を経験していないので、戦争体験者の視点も入れたいということもあったらしい。
そうやって企画が膨らんでいき、後から参加した井上監督も資金を集め、1200万円ぐらいの予算で作ったそうだ。
その金額の割には焼け跡、闇市などのセットがしっかりしていて、安っぽさは感じない。
しかしながら正直、記憶に残ったのは安吾の原作にはない大平だ。言わずとしれた小平義雄がモデル。
もっとも事件と比べてみると特に一緒にはなっていないから、事件の再現には重きを置いていない。
強姦魔という画的に派手なこともあるが、中国で日本が行ったことを語る。
「中国では新兵に肝試しとして中国人を銃剣で殺した」
「やってるうちに人数の多さを自慢するようになった」
「村を襲ってどうせ殺すのだから強姦しまくった」
ラスト、逮捕された後警察の取り調べで
「自分は天皇の命令でやったまで。上官の命令は天皇の命令と言われた」
「東条はA級戦犯なのになぜ天皇は戦犯ではないのか」
もちろん戦争中に日本軍が中国で行ったことを暴くのがこの映画の目的ではない。しかし最近ここまではっきり言う映画はすくなかったので、印象に残る。
江口のりこの「女」は(原作でも脚本でも名前はない)戦後、アメリカ兵用の慰安所に勤めそこが閉鎖されると街の立ちんぼの洋パンになる。
「黒人はあそこが大きくて、痛かった。洲崎で働いていた頃よりきつかった」と語るがなぜか笑ってしまった。
戦争中も戦後もセックスで生き抜いていく強さを感じた。
出演ではピンク映画の常連、川瀬陽太(婦人会で軍事訓練する軍人)、佐野和宏(江口のりこを犯す農夫)が出演。寺脇氏の話ではピンク映画を作りたかった名残だそうだ。
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日時 2013年4月29日15:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン10
監督 橋本昌和
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
春日部では今B級グルメフェスティバルが行われ、しんのすけも行きたいとせがむがパパは仕事、ママはひまわりの注射で忙しくて行けない。
でもどうしてもテレビで見た「ソースの健」の焼きそばが食べたくて幼稚園の仲間、カスカベ防衛隊のみんなだけで会場に行くことに。
駅前で直通バスに乗ればすぐに着くはずだったが、みんながトイレに行っている間にバスは出てしまい、それとは知らないカスカベ防衛隊は山の中に迷い込んでしまう。
その頃B級グルメ会場はB級グルメを敵視するA級な人によって占拠されていた。
毎年、今年こそ観るのは止めようと思いつつ観続けているクレヨンしんちゃん。
今年はここ数年ブームの「B級グルメ」が題材。
B級グルメを敵視するグループとしんちゃんたちの戦いだ。
しかし今回は単調。
しんのすけたちは途中で「ソースの健」の秘伝のソースを会場に持っていくことをお姉さんに頼まれた訳だが、森に迷い込むというグルメ会場とはまったく関係ない方向に行く。
でいつまでも森から抜け出せずにうろうろするばかり。
一方みさえたちが会場に行くのだが、敵にさっさと捕まってしまって活躍がない。
ここはしんのすけたちと敵の攻防をもっとアクションを使って、場所も森、敵の飛行船内、グルメ会場、敵の基地等々場所もどんどん変えて戦っていくべきではないか?
そしてみさえやひろしも敵のアジト内でひと暴れしてくれないとなあ。
とにかく森ばかりで話がまったく前に進まない。
また「ソースの健」という焼きそば名人が登場するが、これも目立った活躍はせず、ただ待ってるだけ。
せっかくのキャラクターがもったいない。
第一、ソースの健の秘伝のソースを届けると言うが、そもそも会場では健はどんなソースを使ってたの?
ソースなくなったの?
ソースを届ける、という根本設定から疑問を感じた。
敵のグルメッポボーイは子供の頃に「焼きそば」を親から食べさせてもらえなかったという設定。
最後に食べて改心するというのは(ミエミエとは言え)泣かせる展開だったとは思う。
上映時間も1時間40分ぐらいあり、さすがに長い。
しかもアクションのテンポもないものだから、何度も寝そうになった。
来年はもう止めようかな。
でもまた名作にぶち当たる可能性を期待しちゃうんだよね。
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日時 2013年4月29日12:45〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 佐藤信介
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
昭和の終わり、多発する犯罪にホラー小説などの図書の影響が大きいとして「メディア良化法」が成立する。
昭和は終わって元号は正化。規制部隊はまずます過激になり、武装をし始めた。そんな頃、南多摩図書館が武装勢力に襲われる。これをきっかけに検閲に対する抵抗勢力「図書隊」が結成され、武力には武力で表現の自由のために戦っていた。
そんな図書隊に笠原(榮倉奈々)が入隊。実戦部隊を希望した彼女に対し、堂上教官(岡田准一)は厳しく指導し、笠原は堂上を敵視した。
笠原は高校時代、書店で検閲部隊に遭遇し読みたかった本を図書隊に救ってもらった経験を持っていた。そのときに出会った、顔はよく見えなかった隊員が彼女にとってあこがれの「王子様」だった。彼女はその隊員との再会を夢見ていた。
まだ読んだことはないが、現在テレビ映画化が多い作家・有川浩のベストセラー小説の映画化。
監督は「COSMIC RESCUE」の佐藤信介。うん、安心して観れそうだ。
と思ったのだが、突飛な設定に疑問があり、映画の世界に入れなかった。
まず図書隊って公務員なのか?
規制部隊は政府側の公務員というのは分かる。それに対抗するのも公務員なのか?国家の検閲に反対する市民団体というなら図書隊の資金はどこからか?あれだけの武器を装備してるんだぞ。民間組織ではあるまい。それとも大財閥が出てくるが、そこがスポンサーなのか?
となると民間人でも武器が持てるのか?
公務員だとすると公務員対公務員で戦うのか?
警察庁と文部科学省という管轄が違うのかな?
それにしても武器もって撃ち合いは過激すぎるだろう。
そもそも検閲した本を本屋を回って検閲してるのが分からない。検閲するならその前に出版社を襲った方がよくないか?そこで禁止本と認定されたら本屋は回収するシステムとか。あっ、回収命令を無視した本を回収してるのかな?
で、図書隊は「図書館のみは検閲されない」というルールがある。それで「見切り済み」と宣言すれば(これも階級によって行使できるできないがあるようだが)検閲を逃れられるらしい。図書隊が買い取ればいいみたいだけど、予算はないのかな?無制限に買えるのかな?
さっぱり分からない。
そういう設定に多々疑問を感じたので映画の世界に入れない。
そもそも「トワイライト・ゾーン」の30分なら成り立つかも知れないが、2時間やられるとあちこち疑問が目立つ。
でもう岡田准一とかマシンガン撃ちまくって戦争映画だもんなあ。でも世界観に入れないから、こっちはさっぱり盛り上がらない。
それに榮倉奈々のあこがれの図書隊員が実は岡田准一ってことは予告編を観たときから想像がつく。
だから榮倉奈々がバカにしか見えない。
映画では中盤で観客にはその「王子様」が岡田だと分かるのだからよけいに榮倉がバカに見える。
彼女はラストでやっと岡田に頭をくしゃくしゃされてその感触で分かるのだ(チャップリンの「街の灯」みたいだ)
そして最後の戦いで、敵に捕まった榮倉奈々と石坂浩二を岡田が一人で救出に向かう。このときのバッチをおいて向かう様が、「COSMIC RESCUE」を思い出した。
それにしても岡田准一、もう32だそうだが、オジサン臭くなったなあ。顔の肌艶なんかもうなくなってきたよ。
映画の中では背が低い、という設定だがその通りで、しかも体は鍛えてガチムチになったからなんだかゴリラみたいな体型になってきた。
10代の「学校へ行こう」の頃が懐かしい。
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日時 2013年4月28日19:21〜
場所 上野オークラ
監督 樫原辰郎
誰もいない酒場で老人(野上正義)と若い女が抱き合っている。
表では男が飛び降り自殺した。
死んだはずだったが、老人のもとで男は息を吹き返す。老人と男はポーカーで勝負。負けた男は老人からしばらく店を任される。バーテンの経験のある男にはなんとかやっていく事が出来た。
初めて来たのは女の客。しかし金は持っていないという。でも歌手だから歌って働くと言った。
歌手として彼女が働き出すとその店はたちまちお客でいっぱい。
酒を飲んで酔いつぶれた客がいたが、男の妻がやってきて連れて帰っていった。
GWにピンク映画大賞受賞式を控えた今年の上野オークラで、その前週に過去のピンク大賞受賞作を上映。
そのうちの1本。
男が自殺したのを観客はすでに知っている。
だか再び生き返ってバーテンをするには何か話の裏があるはず。ここはあの世の酒場なのだろう、ぐらいは想像がつく。
映画は歌手とバーマスター、例の酔いつぶれた客とその妻の二組が描かれる。
客の方は仕事もしないでブラブラしている男だったが妻の願いで男は仕事を始める。しかし勤め先の金を持ち逃げしたと連絡が入る。今すぐに返せばなかったことにしてあげると。男はその夜帰ってきた。旅行に行こうという。しかし妻はそんな夫を殺し、自分も死ぬ。
いつしか関係を持った歌手とマスター。ある日、古道具屋(ゴジラやの木澤雅博さんの特別出演)に二人で行くと歌手のレコードが売っていた。マスターが店の人に尋ねるとその歌手はレコード1枚で自殺したので今ではレアものだという。
例の酔いつぶれの客夫婦の家に行くとそこにはかつて心中した夫婦が住んでいて、今は空き部屋。
そうこの映画に登場したのはすべて死んだ人ばかり。正直、このオチは分かった。
だって先に書いたように主人公が死んでるんだもん。
そこは主人公の自殺をぼやかす流れにしたほうがよかったのではないか?
あとこの映画はバーとか夫婦の部屋が中心だが、外に出たとき、通行人、映画に関係ない人の姿が全く写っていない。
それが不気味でよかったとは思いますが。
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(原題:うたかたの日々)
日時 2013年4月28日18:11〜
場所 上野オークラ
監督 加藤義一
製作 平成21年(2009年)
(詳しくはピンク映画データベースで)
大学を辞め、漫画家修行中のヤナギ(津田篤)は彼女のアパートに住まわせてもらっている。ある日、エロ雑誌用の原稿が売れて数万円の現金が入った。先輩から「駅前にソープが出来たよ」と聞いていたので、金も入ってパチンコしてつい入ってしまう。
ところが出会ったソープ嬢は高校時代の同級生、三原(持田茜)だった。
こんなところでの再会にお互いに戸惑いながらもプレイをする二人。実は二人は高校時代にちょっとだけつき合った仲だった。近く引っ越すという三原と学校をさぼって二人で海に行き、そのあとホテルに行ったのだ。
三原には経験があったが、ヤナギは初めてだった。
家に帰ったヤナギだが、「せっかく金が入ったのに1日で使いきるとはなんだ!出ていけ!」と彼女に追い出されてしまう。
仕方なく三原のソープに舞い戻り、部屋に泊めてもらうヤナギ。
GWにピンク映画大賞2013がある上野オークラ。
今週の番組はその前哨戦で過去のピンク映画大賞受賞作特集。いまおかしんじ監督の「かえるのうた」が上映されるので行ってきた。上野オークラはデジタル上映で(しかも画質の悪い)正直、観るのはしんどい。
デジタル上映を何でも否定することはしないけど、これはしんどい。だから「かえるのうた」も観るのは迷ったけど、やっぱりいまおか作品をピンク館で観ておきたかったし、大賞を取るぐらい映画ならはずれも少ないだろうと期待して見に行った。
で、この「うたかたの日々」。よかった。
高校時代に好きだった子とソープで再会、そして再びつきあい始めたドキドキ感がひしひしと伝わってくる。
脚本は城定秀夫だが、さすがの安定感だ。
実は高校時代に引っ越した理由は自分が妊娠していたから。その相手は高校教師だった。
ソープで働いているいシーンで「ハゲの客なんかいやだろ?」と客に言われ「私ハゲの人好きだよ」と行って客が「またまたうそ言って〜」という会話をするシーンがある。
その言葉通りその高校教師はハゲ。
やがてヤナギは三原のひもになる。
そんな日々が続いていたが長くは続かない。その高校教師が三原を迎えにきたのだ。
二人で海に出かける。
落ちていた昆布を見て、「海にずっといてどうして出汁が出きってしまわないんだろう?」と疑問を持つ三原。
「根が生えてれば大丈夫なんじゃないかなあ?」
「あたし1日に何回もお風呂に入ってるからやがて出汁が全部出て捨てられないかと心配」と嘆く。
結局は、高校教師のもとに帰っていくんだろ、というヤナギ。
無理強いしたり「行くな!」と命令したりしない。
切なさを持った初恋との再会。
じんとくるなあ。
主役の津田篤と持田茜がいい。
持田を見てるとバカなんだけど、どこかかわいい三原のキャラが出色だ。
見てよかった。
何度も言うけどこういう拾いものがあるからピンク映画は止められない。
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日時 2013年4月28日12:50〜
場所 ポレポレ東中野
監督 ジャン・ユンカーマン
製作 2005年(平成17)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
日本国憲法について論じたドキュメンタリー。
その成り立ちから、イラク派兵の是非、韓国、中国を始めとした東アジア諸国への影響をアメリカ、日本、イラク、韓国等の知識人が語っていくインタビュー形式。
この映画が作られたのは小泉政権の時のイラクへの自衛隊派遣の頃。
従ってイラク派遣の是非についても大きく語られる。
この文章を描いているのは2013年4月28日。
数ヶ月後、数年後にこの文章を読んだときのために書いておくけど、ここに書くことは2013年4月28日の考えだ。後に世間や私が変わっていて、全く異なる状況になっているかも知れない。
小泉政権後の後継首相の安倍晋三は憲法改正に意欲的だったが、参議院選挙の敗北、体調不良のため1年で退陣。
その後福田、麻生と自民党政権は続いたが、民主党政権になり、憲法改正論議はなくなった。
ところがどう言うわけか安倍政権が復活。
2012年12月の総選挙で民主党政権の不人気に乗じてアベノミクスなる経済政策を打ち出し、自民党圧勝、安倍政権発足となったわけだ。
経済政策を全面に出していた安倍総理だが、徐々に憲法改正に意欲を表示し始め、夏の参議院選挙では争点にするという。まずは改憲手続きについて定めた96条を改正させる作戦。
その先に不安を感じる人々も多いわけで、この映画の再公開となったわけだ。
基本的に護憲派のスタンスで作られている。
映画は現在の日本国憲法に成り立ちについて語る。
占領下においてGHQ主導で作られたのは確かだが、「それを60年守ってきたのは日本人だ。アメリカは朝鮮戦争や冷戦時代には日本に戦争に参加させたかった。でも9条おかげで出来なかった」つまりは生みの親はGHQだけど育ての親は日本人だという。
イラク派兵は日本の誤り。単にアメリカに追随しただけ。
そして先の戦争における韓国の従軍慰安婦問題にも触れていく。
その中で記憶に残った発言は
「日本はアジアに謝罪をしていないというが、9条が謝罪そのものだ」
「基地があるから平和が守られるのではなく、基地があるから攻撃対象になる。だから沖縄など真っ先に戦争になったら狙われる」
「9条があるからこそ東アジアからの信頼をどうにか保っている」
「もし9条を廃棄したら日本は世界から信頼を失い、大変な損を被ることになるだろう」
「9条改正は世界に与える影響が大きい。国内問題として考えるのではなく、国際問題として考えるべきだ」
メモを取りながら観たわけではないので、詳細が違っていたらご容赦願いたい。
護憲派の人が作った映画なので護憲のスタンス。
そして私も護憲派だから大いに納得する。
今日、4月28日の読売新聞の朝刊に「もし今朝鮮半島で戦争状態になった場合、自衛隊は何が出来て出来ないか」という記事が載っていた。
ごめんなさい、内容に賛同できなかったので、途中で読むのをやめましたが、要するに「今の法律では韓国にいる日本人を自衛隊は助けに行くことが出来ない。だから9条は改正すべきだ」という結論だった。(そう読めた)
お説ごもっとも。
でも以前のイラク人質事件の時に日本政府は「自己責任」として救出に積極的でなかった。
あの時、別に「9条があるから出来ない」とは誰も言わなかった(と記憶する)。
要はやる気の問題なのだ。
北朝鮮の拉致問題が進展しないのは9条のせいだろうか?
仮に9条がなかったら「即、開戦!」だったろうか?
日本国民を守るために9条改正が必要というなら、年間3万人とも言われる自殺者をなぜ政府はそのままにしておくのか?
9条が改正されたって本気でその事態に政府が対応するのだろうか?
生活保護や医療費の問題など今の政府はすべて「自助努力、近所家族の助け合いでやってください」というスタンスに見える。
9条があろうとなかろうとソウルにいる日本人を助けにきてくれるのだろうか?
先の戦争が終わったときも日本人民間人は置いてきぼりにしてさっさと関東軍だけ逃げていったのではなかったか?
先日4月2日にロフトプラスワンで元外務官僚、元防衛大学教授の孫崎亨氏と鈴木邦男氏のトークイベントがあった。
その中で観客からの質疑応答で「9条改正をしないと外国から攻められたときに現行法では自衛隊は出動出来ないと思いますが。私は憲法改正すべきだと思います」という質問があったとき、孫崎氏は語気を強めて「そんな事はない!自衛隊員は必要とあらば命を捨てる覚悟で出動する!そう教育してきたし、彼らもそれに応えてくれると信じている!」と答えた。
どうやら孫崎氏は「いざとなったら超法規的に出動することが出来る、法律なんか関係ない!」と考えてると私は解釈した。
非常に頼もしい意見だが、くれぐれも行きすぎないことを願う。
つまりは信頼とやる気の問題なのだ。
今の政府(いや将来もだが)再び戦争をしない国家にしていく、国民の安全を第一に考える政府には見えないのだ。
信頼がないのである。
だから今の政府による憲法改正が行われるのは私は反対だ。
「この政府は日本国民のことを第一に考えてくれる」とそう思える信頼出来る政府なら憲法改正もやぶさかではないと思う。
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日時 2013年4月27日21:50〜
場所 K's Cinema
監督 大谷健太郎
工藤ヒロシ巡査部長(重田裕友樹)は今は別れた元恋人のアキラと違法売春組織の張り込みをしていた。
アキラは男のような名前がいやで子供の頃からいじめられ、いつしか男勝りの性格になっていた。
一方喫茶店「天地人」のマスターは面倒見のよさからお客さんの悩み相談を行っていた。そこに「2年前に初めてあいましたが、それから数回しか会ってないけど好きな人がいて悩んでます」という青年・ユウキの相談を受ける。
彼の相談がひと段落したところ、今日は午後から出勤予定のバイトのアサミの知り合いという女性から「ニシニホンについてアサミに話があるんですが」と言われる。
その一言に焦るマスター。
工藤たちも含めた彼らの間にはいったいなにがあるのか?
「集まった人たち」の出演者の一人、重田裕友樹さんが打ち上げの席で「今度出演した映画が公開されるんです」と紹介してくれたのがこれ。
刑事とその元恋人が張り込みをして、というプロットも面白そうだ。
正直、登場人物がバラバラになっていて「最後にどう関わってくるか」というのが話の引っ張りどころなのだろうが、回想シーンも混じったりして正直話が少し混乱した。
実はヒロシは結婚していて妻との離婚話が出てくるのだが、アキラとつきあっていたというのだから、これは過去の話(アキラとつき合う前の話)だと思っていたら現在の話だった。
ではアキラとよりを戻そうとする姿は現在危機にあるとは言え結婚している身なのだから話がややこしくなる。
もちろん不倫というのもあるわけだが、妻とは離婚従っていない、しかしアキラには復縁を迫るでは彼の心の方向が分からない。
結局、ヒロシの現在の妻は自分が今張り込みをしている売春組織にかつて所属していた女性で、自分が戻る代わりに、現在「天地人」でバイトしてる女性を助けるというのが事の真相。(あとニシニホンは100万円を意味する)
ところが(まあ私がバカなのだが)ヒロシの妻、連れ戻しにきた売春組織の女性が似たような感じなので(役者も知らない人だから)混同してしまって話が混乱した。
売春組織の女性は別の場所で逮捕され、妻は助かる。
一度は離婚を言い出した妻だがヒロシの元に帰ってくる。
アパートでヒロシの好きなオムライスを作ろうとするがどうにもうまくできない。
「今日は俺が作ってやる」というヒロシ。
演じる重田裕友樹がいい。
「集まった人たち」よりよかった。
あっ、ユウキはマスターの勧めで好きな人に送る歌を作る。でユウキはアキラの弟という関係。
ラストでユウキが好きだったのはヒロシだったというオチ。でもその場は笑ったが唐突すぎて「オチのためのオチ」にしかなってなかった気がする。
でも重田裕友樹を観るためにもう一度観たいと思う。
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日時 2013年4月27日21:00〜
場所 K's Cinema
監督 星野慶太
オタク高校生がいて「この学校に入って勉強するなんてバカだ」と同級生の女子からののしられていた。キモイとも言われている。
同級生のシュウジは女にモテて、公園の便所でやっていたり、校舎の裏で毎日違う女とセックスしていた。
オタク高校生があこがれる3年の水野マリとシュウジが校舎の裏でしているのを見てしまう。
オタク高校生はそれがきっかけでシュウジに「学園祭で漫才をしよう」としつこく誘う。
シュウジは実は19人のセフレがいて、保健室の先生とも関係があった。
シュウジはやがてその子たちに「結婚しよう」「心中しよう」と持ちかける。
やがてセフレたちがバッティングするようになり、保健の先生が呼びかけて「第1回セフレ会議」を開いた。
その中で水野マリは妊娠したと告白し、産むという。
ENBUゼミナールという映像のワークショップがあってその卒業製作の映画。
先日いまおか監督の「集まった人たち」を観たとき、その出演者が「今度別の映画が上映されるので観てください」と言われたのだ。もっともその人が出演したのは今日同時上映だった「男と女と百万円と裸の男」の方。
だからこっちは全くの期待や予備知識なしでみた。
モテないオタク男がいて、セックスしまくりの男がいて、女子高生がいて、という設定がなんだか「桐島、やめるってよ」っぽくて出だしは面白い。
パクリとか二番煎じには見えなかった。
「桐島」の登場人物はやはり美少女すぎたりカッコよすぎたりする。
ここに出てくる俳優はほとんどが素人同然なので、よりリアルだ。
そんな感じで出だしはよかったが、話の軸がシュウジに移ってしまい、オタク少年は出番がなくなる。
結局主人公がどっちなのか、対比なのか、そのあたりがたぶんに脚本が混乱していて、軸足が定まっていない。
登場人物の高校生ぶりがリアルな感じでよかった分、この話の混乱ぶりはもったいなく思う。
ちなみにオタク少年を演じた方が監督の星野慶太。
舞台挨拶では緊張していたのか「3月末に編集を終えてそれから観てなかったんですが、今観ると面白くないです。すいません」と恐縮しきりだった。
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日時 2013年4月27日16:40〜
場所 光音座1
監督 小川和久(欽也)
車の故障で困ってる女性を助けた元自衛隊員のタカシ。行く宛のないタカシは女性に誘われるままについていく。
ゲイバーのマスター、金森は自分の店で働くミナミとツバサをつれて温泉に来ていた。
金森は好きな釣りを楽しんでいるところを海上自衛隊員に話しかけられる。脱走した隊員を探しているという。
写真を見せられた金森だが、その姿は最近死んでしまったかつての恋人に似ていた。
旅館に戻って温泉に使っていると若い青年が入ってきた。それが先ほどの自衛隊員タカシだった。
たぶん80年代後半ぐらいのゲイピンクが作られ始めた頃の製作だと思う映画。
タイトルからして「薔薇物語」だもん。
今はなくなったが「薔薇族」がゲイ雑誌として有名だったし、「薔薇族」は男性同性愛を指す代名詞でもあった。
小川欽也監督は大蔵のピンク映画の創世記の頃からの監督らしいからなあ。
正直、お話もかなりテキトー。
温泉でマスターとタカシは親しくなる。タカシの方は温泉につれてきてもらった女に誘惑されるままにセックスするのだが、「ヘタクソ」と言われる始末。
女性の体は背中程度しか写さないという配慮はあるのだが、男女セックスシーンを入れないと気が済まないのはピンク映画のスタッフに対する配慮か?
タカシを引き取って自分の店で働かせるマスター。
自衛隊の上官はタカシが脱走したと言ったけど、その上官が迫ってくるのから逃げ出したというのがホントらしい。
上官の方は旅館でタカシが泊まっている部屋までたどり着き、その女を犯す。
後ろを犯された女は新しい快感にもだえるというまあピンク映画らしい展開。
タカシはゲイバーのマスターにつれて行かれたと思い、ゲイバーを当たって行く。
それでやっと金森の店にたどり着き、上官の方に連絡。
上官が店にやってきて銃を使って脅してタカシを連れ帰ろうとするが、撃った弾をマスターが体でかばうという展開。
マスターの体を張った愛情に心を打たれたタカシはマスターと愛し合うようになる。
ラストはマスターとタカシの温泉旅行。
この温泉旅行が結構長い。
さらにミナミとツバサの絡みもカットバックでつなぐ。
で「終」の文字。
昔のピンク映画はスーパーインポーズでクレジットされるが、後のピンク映画は黒地に白字のみ。
これも予算の関係らしい。
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日時 2013年4月27日15:30〜
場所 光音座1
監督 吉行由美
製作 平成11年(1999年)
高校2年生のタダシ(佐藤幹雄)はクラスメートのコータ(和田智)に恋していた。
しかしタダシは自分の恋に悩んでいた。「コータを好きになったその日、僕は自分のことが嫌いになった」
でもコータのことを思ってオナニーを繰り返す日々。
ヒロキ(深山洋貴)とシンジ(森士林)は同棲カップル。
そんな彼らにゲイ友達のケーゴ(岡田智宏)は問いかける。「ゲイって結婚出来ないんだぜ。軽く考えてるかもしれないけど、結婚すれば税金の面でも優遇される、でも結婚してないと保険金の受取人にも出来ない、下手すれば相手の葬式にも出れなくなる。二人が愛を誓いあっただけじゃなあ」
タダシは友達に「オカマ!」とからかわれてコータもつい同調してしまう。
そんな日、学校をさぼったタダシは山手線内でいちゃいちゃするヒロキとシンジのカップルを見かける。
渋谷で降りた二人のあとをついていくタダシ。
光音座で上映されるゲイピンクを今年に入ってから全部観ている。それ以前に観たことのあるゲイピンクも含めてベスト3に入る名作だ。
主人公は高校生で同級生に恋している。
そう「渚のシンドバッド」のような高校生の初恋だ。
そしてヒロキ、シンジのカップルにケーゴという先輩ゲイが登場。
ケーゴは「ゲイの結婚」というテーマを持ち出す。
そう、愛してるだけではこの世は生きていけない。
税金やらなんやら「社会的地位」というものも必要なのだ。
映画はシンジが仕事に行って一人になったヒロキがつけてくるタダシに話しかける。タダシはついその場から逃げ出してしまう。
追いかけるヒロキは交通事故に。
幸いけがが大したことなかった。ヒロキが持っていた履歴書からタダシはシンジやヒロキの母親に連絡する。
でも単なる友人という立場でしかないシンジは病室にも入れない。ケーゴの言っていたゲイカップルの社会的立場、というものを軽く思い知らされる。
このことがきっかけでヒロキ、シンジ、ケーゴはタダシと知り合う。
やがてケーゴとタダシはお互いに意識しあうようになる。
ケーゴは言う。
「いじめられたことのないオカマはモグリ。みんないじめられて強くなるの」
「タダシくんは今時の子なんだからホモじゃなくてゲイって言いなさい。その方が少しだけ偉くなった気がするから」
名台詞だ。
翌日タダシはコータに自分がゲイであることを告げる。
タダシも強くなる。
その前にケーゴは街で出会った男とトイレでしてしまう。
そうだよなあ、ゲイって肉欲だけで出来ちゃうこともあるけど、それはやっぱりむなしい。
その後、シンジとヒロキの計らいで4人でピクニック。
そしてふたりっきりになったケーゴとタダシはお互いの気持ちを確かめあう。
タダシの18歳の誕生日に二人だけの結婚式をあげる。
さわやかな後味の残る極上の青春ラブストーリーだ。
タダシを演じた佐藤幹雄がいい。
美少年すぎない、街で見かけそうな、いそうな感じの少年なのだ。
岡田智宏も前にゲイピンクで観たことがあるがこの映画の方がいい。
きっと等身大の役があっていたのだろう。
シンジもヒロキもコータも自分にとって初めての俳優さんたちの分、「ほんとにリアルにいそうなゲイ」っぽくてよかった。
「あなたがすきです、だいすきです」に匹敵するゲイピンクの名作。
永久保存版。DVD化はされてないけどダウンロードでは観られるようだ。
人に勧めたくなる名作だ。
あんまりよかったので続けてもう1回観てしまった。
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日時 2013年4月26日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 佐藤寿保
製作 平成元年(1989年)
私(伊藤猛)は街で偶然ボディビルのイベントのチラシを手にする。
それが思えばすべての始まりだった。ボディビル雑誌の編集もしている私だったが、そのイベントでキタニユキヒロ(隅井士門)という筋肉美の男と知り合った。
私たちの関係は最初はうまくいっていた。
だがキタニはサディステックに私の体を傷つけるようなセックスを求めるようになり、壊れてしまった私は逆にキタニに右腕を切り落としてしまった。
刑務所に入り、1年後出所した。
私はキタニとの再会を願う。
佐藤寿保監督のゲイピンク映画。
獅子プロ製作で瀬々敬久も助監督でクレジット。いまおかしんじ監督はもうこの頃は獅子プロに入っていたのかな?
ゲイピンクの形を借りているけど、筋肉フェチ、SM(それもかなりハードな形)、そしてパゾリーニに対するオマージュも捧げられる、というかなり「イチャッてる」映画。
劇場で観たら「勘弁してくれよ」と思ったろう。
こんな映画を観るためにゲイポルノ映画館に来たんじゃない。
「私」のムショ仲間が出てきて、その彼女がまたハードSM好きという設定。
途中なぜかルナシネマなる映画館を「私」は経営していてパゾリーニの「豚小屋」を上映している。(映像は出てこない)。そしてパゾリーニの遺作「ソドムの市」が刑務所に入っている間に公開されたので、日本でみれるチャンスはなく、イタリアに住む友人にビデオを送ってもらうが、「PAL方式なので現像所で変換してもらってください」とメモがつく。
で現像所に言ったら「無修正ものは出来ない」と断られ、その前のシーンで出会った男の街での男娼にそのビデオを壊されるというよくわからん展開。
で、「私」のところに「仮面舞踏会」の招待状が届き、さっき自分がやっていた廃映画館に行ってみるとキタニがいた。彼は復讐として「私」の右腕を切り落とそうとするが、私は「自分のやり方でやる」と言って自分の目を失明させるという「春琴抄」の世界。
行くところまで行ってますねえ。
私はついていけなかったですが。
途中、「昔自分は父母と妹と暮らしていて、そこに若い男が住み着くようになって、その若い男と家族全員が関係を持ち、家庭が壊れた」と自分の過去を話し(男娼が)、「私」が「それは映画の話だ。混同するな」と怒るシーンがあった。
何の映画なのだろう?パゾリーニ作品かな?
しかしパゾリーニも今ではまったく語られることのない監督になってしまったなあ。
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日時 2013年4月21日
場所 Blu-ray
監督 ケン・アナキン
製作 1975年(昭和50年)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
政情不安定な東南アジアの某国にイギリスからブラッドベリー(デヴィッド・ニーブン)がやってきた。3ヶ月後にイギリス駐在を控えた日本国大使・カゴヤマ(三船敏郎)が息子・弘一(安藤一人)のために雇った家庭教師だった。
ブラッドベリーは戦時中は勇敢な兵士で、勲章も3つもらった少佐だった。日本の天皇誕生日のパーティでブラッドベリーと知り合ったドイツのテレビ局のミューラー(ハーディ・クリューガー)はブラッドベリーに何か胡散臭いものを感じる。
ブラッドベリーの戦争中の勇敢な話は弘一少年の心をくすぐる。弘一はブラッドベリーのようになりたいと思うようになる。
そんな頃、反政府ゲリラによって弘一とブラッドベリーは誘拐されてしまう。
製作は1975年とある。この映画はキネマ旬報で知った覚えがある。「犬神家の一族」の頃からキネ旬は読み始めたからたぶんこの頃だと思う。
以前から日本人が出演した外国映画に興味が沸く性質なので、それで「観たい」と思ったのだと思う。
でも結局日本では公開されなかった。
それでついにDVD&ブルーレイ化を機に観てみた。
しかし日本公開日がネットで調べると出てくるから、東京だけの限定的な公開だったのかも知れない。
兎に角つまらなそうな臭いがプンプンだ。
タイトルからして「戦場にかける橋」のイタダキだ。
最初キネ旬で読んだ時には「ペーパータイガー」という原題のままで紹介されていた。
公開時のテコ入れ(になってるかどうかは別にして)として「太陽にかける橋」というタイトルになったらしい。
イギリス人と日本人の東南アジアでの話だからこんなタイトルになったのかな?
で観てみたけどやっぱりつまらなかった。
子供が誘拐される話だけど、誘拐されるのは40分ぐらい経ってから。
政府側も「政治犯60名の釈放要求は拒否する」と断る。
三船敏郎も「私があなたの立場ならそうするでしょう」と受け入れて自宅で刀の素振りをして心の動揺を納めるという(外国映画に出てくる)日本人らしい行動。
ここは政府が助けてくれないなら密かにハーディ・クリューガーあたりが隊長で独自に救出に行かなきゃ。
ブラッドベリーの方も捕まったけど、高床式の小屋から床板をはがして逃げるというイージーぶり。
それでちょっと銃撃戦とかあるけど、無事助かる。
身代金の要求があって街中でその受け渡しがあったり、ブラッドベリーたちも逃げだそうとするが失敗したり、そして最後には独自の傭兵が活躍したりと展開し、その間に弘一のブラッドベリーに対する気持ちが「尊敬→失望、軽蔑→見直す」と気持ちが激しく変化する動きのある展開があるべきでしょう。
これでは公開が限定的になったのも仕方ない出来。
三船の英語は吹き替えでした。
安藤一人少年もたぶん吹き替えだと思う。
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日時 2013年4月21日
場所 Blu-ray
監督 アルフレッド・ヒッチコック
製作 1959年(昭和34年)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
ニューヨークで広告代理店をしているロジャー・ソーンヒル(ケイリー・グラント)はプラザホテルで仕事の打ち合わせ中に二人組の男に拉致され、郊外の大邸宅に連れて行かれる。そこでタウンゼントという男(ジェームズ・メイスン)に仕事の協力を強要される。どうやらロジャーをカプランという男と信じきっているらしい。
断ると彼は酒を飲まされ、気付いたら車で断崖の近くを走らされていた。何とか落ちずにすませたロジャーだが、飲酒運転で警察に逮捕される。事情を警察で説明し、刑事とともに昨夜の大邸宅に向かったが、タウンゼントはいなくてロジャーが昨日ここで飲酒したとメイドやタウンゼントの妻が証言した。
タウンゼントは国連に行っていると聞いたロジャーはタウンゼントに会う。
そこで会った男は昨日とは違う男だった。事情を聞こうとするとその男は後ろから投げナイフで殺された。
逃げるロジャー。カプランという男はシカゴにいるらしい。ロジャーはカプランを追って寝台急行に乗り込む。しかし警察が。そこに現れたイヴ(エヴァ・マリー・セイント)という美しい女性が救ってくれた。
先日、「ヒッチコック」を観て以来ヒッチコックを再見している。
この「北北西」も学生(恐らく中学生ぐらい)にテレビで見ている。水曜ロードショーだったかなあ?とにかく誰かの解説付きで観た。
一番衝撃的だったのは、タウンゼントを訪ねていって彼が投げナイフで殺されてしまうところ。
写真を見せられてその直後に死んでしまうのだが、その時一瞬「写真を観て心臓発作でもしたのか?」と思わせておいてその後、倒れた背中にナイフが刺さっていたという展開。今回は知ってみているので、ナイフが飛んでくるのが分かった。このカットと続く国連ビルの屋上からの俯瞰カットでロジャーが一人で逃げるカットはよく覚えていた。
このカットのことを解説の映画評論家が「あのカットはロジャーの孤立感を表してるんです」と言って「そういうもん?」と思ったのでよく覚えている。
誰かに間違えられるという巻き込まれ型、殺人犯にされ真犯人を追ってアメリカ中を旅するという展開、謎の女、暗いマックスで高いところから落ちそうになる、という今までのヒッチコック映画によくあった展開の集大成的作品だということがよく分かる。確かにこれを作った後では「サイコ」のように今までの作風を崩すような意欲的な作品にチャレンジしたくなるのは納得。
もう巻き込まれ型の話はいいよ、と思ってしまうだろうなあ。
シカゴに着いてから赤帽に変装し、改札を抜けるロジャー。ここで警察が赤帽が沢山いるカットにつながった時、視覚的なおもしろさがヒッチコック的だなあ、と思う。
カプランのことをホテルでイヴに訊いてもらうと郊外で会おうと言っていると伝言をもらう。
行ってみると飛行機が襲ってくるという有名なシーン。
でも昔観たときも思ったが、はっきり言って迫力を感じなかった。怖くない。時代の差なのだろうか?
そして戻ってきてイヴと偶然再会。彼女は実は偽タウンゼントの一味だったのだ。
タウンゼント(実はバンダム)はオークション会場に行く。そこで再び命を狙われる
このオークション会場で、ロジャーは訳の分からんことを行って警備員につまみ出される、という方法で危機を切り抜ける。このアイデアは素晴らしい。何か別の映画でパクられそうだ。
ここでやっと実はカプランというのは架空の人間でスパイ組織が関わってきたことが明かされる。そのアメリカ側の「教授」と呼ばれる男が「0011ナポレオン・ソロ」の課長役で有名なレオ・G・キャロル!
まあこっちが先だからこの役があっての「ナポレオン・ソロ」だったのでしょうね。
でも正直このあたりで映画に飽きてきた。
面白いことは面白いのだが長い。そろそろ決着をつけて欲しい。
このあと映画はラシュモア山が見えるレストランでロジャーは殺された振りをしてイヴを助け、さらに身元がばれたイヴを助けようとラシュモア山の大統領のところで落ちそうになるという展開だ。
長い。
ラスト、ロジャーが落ちそうになるのはいいのだが、結局教授たちが助けてくれるというのもちょっとイージー泣きがした。やっぱり自力で助からなきゃ。
あとカットで不一致な点を発見した。
バンダムの別荘でイヴにメモを書いたマッチをロジャーが投げるのだが、このマッチ、書くときはマッチが少し減っていたのに、イヴが開いたらマッチが全部あった。
(IMDBにも同様のことが書いてあった。文章の行数も違っていたらしい)
それとヒッチコックらしいユーモアね。
ロジャーが前半でホテルから逃げる時、他の人が乗ろうとしたタクシーを強引に割り込み、追っ手も次に割り込むというつなぎ方。
そうそう書き忘れてましたがバンダムの部下にマーティン・ランドー。「スパイ大作戦」の前だけどこの映画に出ていたことを知りませんでした。
たぶん前にテレビで観たときは「スパイ大作戦」をあまり観ていなかったんでしょう。
それほど好きな映画ではないけれど、書く分量が多くなったのだから、それだけ印象深い映画であることは間違いない。
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日時 2013年4月20日22:48〜
場所 上野オークラ
監督 浜野佐知
雑誌「噂のチャンネル」の売れない編集者の町田は渋谷で若い女性・ミツルから「セックスしましょう」と声をかけられ、ホテルへ。
ミツルは肉と肉がこすれあう時に発生するイオンが世界を平和にするという。
「これだ!」と思った町田は彼女を雑誌に登場させ、カメラマンにはめ撮りさせる。これが思った以上に大好評。
しかし大手雑誌に同じような「ヤリマン素人女」の企画をやられてしまい、こっちがまねしたように思われてしまう羽目に。
編集長はテレビのプロデューサーを抱き込み、ミツルをテレビに登場させ巻き返しをはかる。
うまく行ったかにみえたが、町田の妻がミツルと町田の関係を疑い、ミツルがかつて売春をしていたと他の週刊誌にリークしてしまう。
それは全くのデマカセだったが、テレビとしては彼女を使う訳には行かなくなり、降板。
編集長は替わりにパクリ企画にでていた女性を「噂のチャンネル」に寝返らせる。
町田は渋谷を歩き、ミツルと再会。
再びセックスを楽しむのだった。
例によってピンク映画なので制作年がよく分からない。
町田がミツルを呼び出すのに「ポケットベルしか使えない」と言っていたし、テレビのプロデューサーは携帯を使っていた。
で、ポケベルが呼び出せなかった時、「こちらはNTTドコモです。呼び出したポケベルはお客様の都合で呼び出せません」と言っている。ポケベルから携帯に移行していく時代だから90年代前半か。後半になるとPHSとか携帯とか行き渡ってくるからなあ。90年代前半は携帯を持っていることがステータスだった時代があった。
そういう時代背景を楽しむぐらいしか出来なかった。
「セックスするとマイナスイオンが発生しどうしたこうした」という宗教的な話を出しても面白かったと思うが、どうも雑誌ではただの「街で見かけたヤリマン女」というだけの扱いのようだ。
また主人公の町田が陰気臭い顔をしていて映画全体が暗くなる。
「久保新二さんが出てくると笑いに走りすぎる」と否定的に思ったこともあったが、やっぱり多少の笑いというかユーモアは欲しい。(久保さんの場合は笑いが滑っていることも多いのだが)
もう少しなんとかして欲しかったな、というのが本音。
主役の葉月エリナは90年代風のファッションが似合う美女。それはよかった。
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日時 2013年4月20日21:42〜
場所 上野オークラ
監督 後藤大輔
製作 平成25年(2013年)
(詳しくはピンク映画データベースで)
さつき(周防ゆきこ)は夫がEDで最近欲求不満気味。
故郷の熊本で阿蘇山を見た後、たまたま拾った出張ホストのチラシ入りティッシュを見て電話してみた。やってきたのはジュリーと名乗る中年ホスト(なかみつせいじ)。
決してイケメンではなかったが、その一生懸命な姿に満足するさつき。
東京に帰ってきた夫だが、実は最近は会社がうまくいってないらしい。
さつきの妹・葉月も恋人はラーメンの修行中で、セックスの最中もラーメンのことを考えていてそこが不満。
その不満を街でもらった出張ホストのチラシを見てホストを呼ぶ。アニメキャラのバトーをコスプレ(?)をした男だった。
その男は声優志望だったが、今は夢に疲れていて10年前に自殺しようとしたところを助けた女性弥生と暮らしていた。
その弥生は熊本出身でかつては夫とレンコンの漬け物屋を営んでいたが、そこはつぶれて、それがきっかけで離婚した女だった。バトーと知り合って今は経営するブティックも軌道に乗っていた。
弥生もホストを呼んでみる。やってきたのはさつきの夫だった。最近はこういった副業もしているのだ。
弥生の両親はかつては子供の頃に離婚していて、弥生は父親に引き取られ、妹二人は母親に引き取られていた。
さつきは夫がホストをしていると知り、相手の客から「あなたの奥さんに」ともらったドレスから弥生と出会う。
弥生の話をいろいろ聞いているうちに弥生の夫が熊本のホストのジュリーではないかとさつきは思い呼び出す。
そしてさつきはジュリーと弥生、ゴトーを自宅で会わせる。そこへ葉月もさつきの夫もやってくる。
弥生はさつきたちが自分の妹と気付く。
今週の新作。
1月に後藤監督と会う機会が会ったときに周りから「今度の後藤監督の新作は面白い」と聞いていたので観てみた。
うーん、バラバラだった人間関係が繋がっていくドラマは「ご都合主義」と思うか「意外なところで人間は繋がっている」と楽しめるかで感想が変わってくる気がする。
僕自身は両方思ったので楽しめたと言えば楽しめたが、
あきれたと言えばあきれた。
ただしその前に観た池島作品の「初夜の前日 他の男と寝る女」があまりにお粗末な脚本だったので、比較して楽しめた。
周防ゆきこは笑顔が素敵である。
その笑顔を観てるだけでもほんわかした気分になれる女優さんなのでその点は楽しめた。実際ちょっと会ってみたい。
それにしても弥生が太った熟女、で現実的にはそういう女性はいらっしゃるので、ドラマとしてはありなキャスティングなのだが、太ったおばさんの裸を見せられても「勘弁して欲しいなあ」と思ったので、ピンク映画としてどうよ、と思ってしまった。
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日時 2013年4月20日20:41〜
場所 上野オークラ
監督 池島ゆたか
製作 平成19年(2007年)
(詳しくはピンク映画データベースで)
マリカ(日高ゆりあ)がある高級ホテルに入っていく。
家でも仕事をしている宇田川部長、携帯で呼び出され怪しむ妻をよそに「接待だ」と言って喜んで出かけていく。
マリカは以前宇田川の部下で二人はかつて不倫関係にあったのだ。ホテルで久しぶりのセックスを楽しむ二人。
ロックミュージシャンを目指す尚也は恋人がいて彼女とのセックスも楽しんでいた。そこへかかってきた電話。彼も喜んで出かけていく。そう、尚也はマリカの初めての男で久しぶりのセックスを楽しむ。
翌日、マリカは以前よく行っていた花屋に行く。そこで働いている青年洋介とホテルへ。洋介もマリカもお互い気になる存在だったのだ。女性は初めてという洋介に優しく手ほどきするマリカ。再会を望んだ洋介だったが、それは無理と断るマリカ。
実はマリカは来週結婚するので、かつての男たちを訪ねていたのだ。
数日の行方不明を婚約者カズヒコに詫びるマリカ。
聞けばカズヒコもこれから数日横浜の親戚の見舞いに行くという。優しく送り出したマリカだったが、カズヒコはホテルへ行き、そこから電話をする。
電話の相手は宇田川の妻。彼らはかつて出会い系サイトで出会って関係を持った仲だった。
ピンク映画なんだからセックスしてるシーンが繰り返し出てくればピンク映画として成立するし、それがある意味観客にも求められているとも言える。
でもセックスシーン・プラス・アルファの何かを求めてしまって私なんかピンク映画を見に行く。
そういう私が本来の客でないことは分かるのだが、監督:池島ゆたか=脚本:五代暁子コンビなので何かを期待してしまった。(池島監督はマリカの父親役でワンシーン出演)
外れた。ただのセックスの連続。
彼女がかつての男たちを呼び出しているのは分かったが、その理由に意外な理由があって驚かされる仕掛けを期待したのだが、ただの「マリッジブルー」なだけ。
がっかり。
こういう言い方はしたくないが、このレベルなら脚本いらないだろう。もちろん準備の都合があるからなにもなしでは現場は動かないから一応は必要だろうけど。
で男の婚約者もかつての女性を訪ねていき、それが最初に出てきた男の妻だったというオチ。
この女性が呼び出されるシーンは最初の夫が呼び出されるシーンと同じカット割りで、ドラマの相似系があるって別に解説するほどのことはないんだが。
でも男の方が次にミュージシャンの彼女とセックスするのかと思ったら、それはなかった。
それにしても1時間の映画で5回の濡れ場か。
頑張ってるな。
日高ゆりあのファンなら楽しめる映画だとは思うけど。
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日時 2013年4月19日21:45〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 出渕裕
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
ガミラス側の執拗な攻撃にも疲れが見え始めたヤマトクルーたち。さらに食料補給装置の不調で、食事にもクルーの不満が見え始める。
そんな頃、ドメル艦隊の攻撃が始まったがあわやというところで敵艦隊は撤退。実はガミラスのデスラー総統が暗殺されたのだ。(第15話)
近くのビーメラ星第4惑星が地球に似た環境らしいことがわかり、ヤマトは補給のため立ち寄ることに。
古代たちは上陸したが、そこにはおそらく330年前に死滅したと思われる文明があった。そして400年前にやってきていたイスカンダルの宇宙船も発見する。
そしてそこであるものを発見した古代たち。しかしその頃ヤマトでは保安部の伊東を中心としたイスカンダル行きを中止し、ビーメラに人類が移住しようという「イズモ計画
」のメンバーによる波乱が起こっていた!(第16話)
反乱は鎮圧され、ビーメラで発見した亜空間航路図を使って一気にイスカンダルへ行こうとするヤマト。
しかし途中にはバラン宙域ではガミラス艦隊が待ち受けていた。
一方ガミラス内部ではデスラーへの反乱が起こっていた!(第17話〜18話)
ヤマトシリーズいよいよ後半戦。
ヤマト艦内でヤマトクルーが食事に不満を言ったりしてなんだか人間的だ。そう思っていたら反乱が起きる。
おお!なんだかすごい。
旧ヤマトが今から思うと単純明快な子供向きだったとすれば、こちらは何かと大人向きだ。
こういう展開が起きるとは思ってなかった。
そして後半は亜空間を通過してハブ空間としてバランが存在する、という今の世界の航空図と空港の関係を観てるかのよう。
バランが今で言うならハブ空港の役目を果たしている存在だ。こういう設定が面白かった。
一方ガミラス側にも反乱の動きがあって、デスラー総統も暗殺されたかのように思われたが、実は死んだのは影武者。
正直両方とも反乱がテーマ、というか中心になる話だから同じネタで話を進められるのはきつい。
それにしても不満、というかあんまり魅力を感じない理由にキャラクターが散漫なのだな。
古代が主人公のはずだが、ヤマト反乱の時はビーメラに行っていて活躍がない。
ここは外から反乱を鎮圧する大活躍をする方向に持っていくべきでは?
保安部にいる若手が実は地球から「イズモ計画」の残党監視という特命を受けているクルーがいてそいつが解決する。
後半のバラン宙域へ偵察に一人の飛行隊のクルーが行くのだが、映画ならここは古代が行くべきだろう。
そういうサブキャラクターばかりが活躍して本来の主役の古代や沖田館長の印象がどうにも薄い。
まあもともと1時間40分の映画ではなく、テレビシリーズがフォーマットなのだから物語やキャラクターの構成方法が変わってくるのは致し方ないかも知れないが、それにしても主人公がばらばらになるのは寂しい。
そうそうヤマト内でアイドル的人気のある子が、実はサーシャに時々精神的に乗り移られていた、という展開あり。
次回はいよいよ七色星団決戦だ!
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日時 2013年4月14日17:45〜
場所 新宿バルト9・シアター2
監督 福田雄一
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
高校生の色丞狂介(鈴木亮介)は敏腕刑事の父とSMクラブで女王様をしていた母の間に生まれた。顔はちょっといかついが、喧嘩は滅法弱い。そんな自分を鍛えようと拳法部に所属していたが、まだまだ弱い。
そんな時に転校生の姫野愛子(清水富美加)がやってきた。愛子に一目惚れした狂介、しかも愛子は拳法部でマネージャーになってくれるという。
うれしさ一杯で帰宅するが途中でサラ金強盗が立てこもっている現場に出くわす。しかもたまたま通りかかった愛子も人質になっている。狂介は愛子を救いたい一心でビルの中の更衣室に潜入。犯人の一人を倒すことに成功。そいつが被っていた覆面を被って中に入ろうとするが、狂介は誤って更衣室に落ちていたパンティーを被ってしまう。
そのとき、父親から受け継いだ正義の血と母親の変態の血が騒ぎだし、彼の潜在能力は100%発揮され、正義の変態仮面になった!
マンガを読まない自分はまったく知らなかったが、かつて少年ジャンプで連載された人気コミック、「変態仮面」の実写映画化。パンティーで顔を隠し股間だけを隠したようなレスリング風タイツのイメージ画像で登場。
このイメージ画像がインパクトあったのでつい、観てしまった。
結論からいうと、過去にもアクションギャグマンガの実写化は何度かあったがそれと同じでやはり無理がある。
「ザ・サムライ」とか「ビッグマグナム黒岩先生」とか(実はこのジャンルはあまり観ていない)そういうのもかなり実写は観ていて痛々しかったが、今回もそんな感じ。
マンガのスピード感、場面展開のスピーディさ(同じことか)には実写映画はどうしても勝てない。
後半はかなりスピーディになった感じがあったが、(原作を前日に少し読んだこともあり)前半のもたもた感がすこしストレスを感じた。
もともと予算が多い映画ではなさそうなので(キャストはなじみの薄い人がほとんど)最初に変態仮面になるのが原作では銀行強盗だが映画ではサラ金強盗に変更された。同じく愛子の家も大豪邸だが、特に出てこない。たぶんセット費の問題だと思う。
後半、戸渡先生という狂介を上をいく変態が「ニセ変態仮面」として登場。鈴木亮介と違っておじさんなので、裸の姿はやはり見劣りするが、それでもがんばっていた。
それにしても「変態」「変態」をこれほど連呼する映画も珍しく、かつてないギャグ映画にはなっていたと思う。
大爆笑するほどではなかったが、くすくす笑いが続くコメディ映画だった。
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日時 2013年4月14日
場所 DVD
監督 リチャード・フランクリン
製作 1983年(昭和58年)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
あの「ノーマン・ベイツ事件」から22年。ノーマン(アンソニー・パーキンス)は責任能力なしとされ、22年の病院治療のおかげで退院した。しかしかつてノーマンに姉を殺されたライラ(ヴェラ・マイルズ)はノーマンの社会復帰に反対した。
ノーマンは元のモーテルの家に戻ったが、とりあえずは近くのドライブインで皿洗いを始める。
モーテルはトゥーミイという男が管理していたが、彼はここをラブホテルのようにして客に貸し、マリファナや麻薬を容認していたことに腹を立てトォーミイをクビにする。
ドライブインのウエイトレス・メアリーが友人から部屋を追い出されたと聞くとノーマンは自分の家に暫く住まわせることに。
しかしノーマンは自分の家に母親の影を見る。
そして勤めるドライブインでノーマンの手元に母からのメモが届く。
ヒッチコックの「サイコ」の続編。
この映画は封切りの時に観ているから30年ぶりの再見だ。物語の詳細は忘れていたが、面白かったことは覚えていた。
どう面白いかというとつまりはノーマンが正常に戻っているのか今でも母に支配されているのか不明な点だ。
トゥーミイを始め、家の地下室に入り込んでセックスをしようとした若者が殺されたりしていく。
これはノーマンの仕業なのか。はたまた他人なのか。
ライラ(前作と同じキャストだ!)は執拗にノーマンを追い詰める。やがて実はメアリーはライラの娘であることがわかり、彼女たちがノーマンを混乱させようとしたことであったという展開になる。
しかしライラは何者かに殺される。
やっぱりノーマンなのか?
という逆転逆転の展開。やがて真犯人も現れ、ノーマンは正常であったかにも見えたが、あっと驚く展開になる(正直、初見の時はここで驚いた)。
ノーマンは正常か否かで最後まで引っ張ってくれた展開で面白かった。
また最初にメモが回ってくるカットで大胆な広角レンズの使用によるゆがんだ映像が、クレーンを使った俯瞰映像がこれまた効果的でよかった。
でもなんとなくヒッチコックって同じサスペンスでの上品なのだな。暴力が直接的じゃないし、ヌードもないし、麻薬とかも出てこない。
それは単に昔は規制が厳しかったからというのもあるだろうが、そこが上品さにつながっていたと思う。
時代は違うからかも知れないが、その「品」が少し足りなかった気がする。
観たのはDVDだが画面比率が4:3。ネット情報によるとビスタサイズだったらしいからビスタをブラウン管サイズにトリミングしたバージョンらしい。VHSの時代にはよくあったが、このDVD素材はそれを元にしているらしい。
字幕も2つ3つのせりふが一度に表示されアメリカで字幕も作られたらしい。もうちょっといい素材を使って欲しかった。
でもこういう扱いしかされてないのがこの映画の評価なのだろうなあ。
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日時 2013年4月12日22:10〜
場所 K's Cinema
監督 高畑鍬名、滝野弘仁
キリシマとオオバヤシの二人はクラブミュージックを作っている。二人は一緒に住んでいた。でも別にゲイじゃない。
ある日、二人はクラブでかぐやという少女に出会い、家に連れてきてしまう。
オオバヤシが酔って寝ている間にキリシマは彼女をしばらく家にいていいと言ってしまった。3Pをさせてくれるという約束で。
かぐやは居候になったが、その晩から二人をベランダに追い出して男を部屋に連れ込む。
キリシマとオオバヤシは悔しがるが、翌朝かぐやから「私がセックス中にイッテしまう音楽を作ったら3Pさせてあげる」といいだす。
キリシマとオオバヤシは作曲に励むのだが。
ムージックラボ2013での上映。「救済」と同じ上映でついでに観させられた。60分の作品。
正直基本設定がついていけない。
かぐやがヤリマンで家に連れてきたのはいいのだが、男を連れ込ませて許すのがおかしい。
かぐやも男を連れ込んで援交でもして部屋代を稼いでいるのかと思ったら、そういうわけでもなくただ男を連れ込んで楽しんでいるようである。
そんなわがまま放題の女の言うことを聞いて音楽作りをするなどバカの極みだと思うよ。
そういう純情なところがまだ女性経験のないキリシマとオオバヤシ(こっちは童貞)なのかもしれないが、男を連れ込んだ段階で追い出していればいいんじゃないかなあ?
まあそれが出来ないのが優しい二人なのかも知れないが、いくら何でも自分たちをベランダに一晩追い出して中で知らない男とセックスしてるのを見せられたんじゃあ怒ってもいいんじゃない。
第一、順番ってもんがあるだろう。自分たちとセックスしてからなら男を連れ込んでも許す気がするが。
だから途中でオオバヤシがかぐやを押し倒すがそれも当然。
で、結局かぐやは新しく連れ込んだ男に殺されてしまう。
「かぐやって実はこうこうこういう子だった」というオチもなく、やっぱりただのヤリマンで終わる。
パンフを読むとヤリマンに振り回される二人の男の話をしたかったらしいが、なんでそんなにヤリマンに気を使うのか共感できず、私には合わなかった。
もっとも実は自分の姿だから見ていて返っていらいら知れしまったのかも知れないけど。
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日時 2013年4月12日21:40〜
場所 K's Cinema
監督 三間旭浩
10数年続けてきたバンドを解散し、就職することにした戌井ミチロウはある晩、暗い道で物盗りにあって殺されてしまう。
しかし精神は分離し、さまようのだった。
そして昔の友人(吉岡睦雄)に会い、テレパシーを教わる。戌井は街角にいた少女にテレパシーを送る。
ムージックラボ2013の1本で上映。
30分の短編。
何の予備知識もなしで観たが、吉岡睦雄さんが出てきたのでそれだけでうれしくなった。
でも正直その点だけなのだな。
音楽を続けなかった俺が過去の俺に対し手紙を書いたりして抽象的な展開があるが、夢を諦めて就職する悩みみたいなものがきっと作者にはあるのだろうな、と想像はされるが、そういう悩みは通過した僕には何にも響かない。
その点「私の映画爆弾」は将来に対する決意の宣言があり、好ましかった。
もっともそういう時期を経て、「そろそろどうするか」みたいな時期がやがて訪れるんだろうけど、そういう人に足しては「がんばってください」としか言いようがない。
自分の人生だから自分が納得する道を選ばなければならないのだから。
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日時 2013年4月12日21:10〜
場所 K's Cinema
監督 内藤瑛亮
中学生のあかり。父親はドメスティック・バイオレンスで母親(正木佐和)はどこか少しおかしくなっている。
学校ではいじめられていた。
ある日、いじめっ子のリーダー(小林香織)にCDを万引きするように強制される。
町のCDショップに行くあかり。外からはいじめグループが見ている。店のトイレに客の一人が入っていくのを見る。店員の隙を見てCDを自分のバッグにいれるあかり。
トイレに入った客を出てきたのを見たが、ウエストポーチを付け忘れていた。トイレに入ってみるとそのポーチがおいてあった。
CDをいじめグループに渡した後、家に帰ってポーチを開けるとそこには拳銃が入っていた。
20分の短編。「先生を流産させる会」「お兄ちゃんに近づくな、ブスども!」の内藤監督の新作。まずは面白かった。
「転校生」というユニットが「映画を作りたい」ということに協力していたことから監督をすることになったそうだ。
あかりがCDを万引きするシーン、CDを包んでいるパラフィンをさわる「パサパシャ」という音が強調され、そこにどきどきさせられる。
そして拳銃を持った手を手袋で覆い、学校に向かう。
あかりは今までと違って自信に満ちている。
学校帰りいつものようにいじめグループに河原に呼び出される。
そして拳銃をいじめグループに向ける。
一発、二発と撃つ。
「(川で遊ぶと)キケン」の看板に当たる。
足下の流木に当たる。
いじめグループのリーダーは失禁する。
ついに当たるか、と思われたが拳銃を撃っている反動であかりは拳銃を川に落としてしまう。
泣きながら川に入ったあかりだが拳銃は見つからない。
家に帰ってくると母親と薔薇の花が待っていた。
正直、面白かったがラストのインパクトには不満。
パンフレットを読むと「転校生」と「人を殺すか殺さないか」という点で意見が異なったそうだ。
この映画では最終的にはあかりは人を殺さない。
たぶんそれが内藤監督の良心、というか正義なのだろう。
その点は十分共感するが、ラストにはいじめグループには何らかの制裁が有った方が、僕は好きである。
だからラストにカタルシスのあるシーンが欲しかった。
この点がちょっと弱かったように思う。
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日時 2013年4月8日
場所 Bru-lay
監督 アルフレッド・ヒッチコック
製作 1960年(昭和35年)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
不動産屋で働いていたマリオン(ジャネット・リー)は、恋人との煮えきらない関係に焦っていた。そんな時、
顧客の金を預かって銀行に向かったがそのまま持ち逃げしてしまう。
遠くに離れた恋人サム(ジョン・ギャヴィン)のもとへ車で向かった。最初の晩は車で寝てしまったが、翌日は車を買い換えたが、やはり不安にさいなまれる。
そして彼女はノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)が経営する街道はずれのベイツモーテルに宿泊することに。ベイツは好青年だったが、どこか陰がある男だ。
ベイツ青年と話すうちマリオンはやはり帰る決意をする。
しかしその晩シャワーを浴びているときに・・・・
ヒッチコック最大のヒット作と言われている「サイコ」。
有名な映画だし、もちろん以前に観ている。「サイコ2」が公開されたときにはすでに観ていたから、大学生の頃か。日本語吹き替えで観た覚えがあるからテレビ放送だったのだろう。
インパクトのある映画で記憶には残ったが、好きかというとヒッチコックの中ではそれほど好きではない。
「鳥」とか「逃走迷路」「バルカン超特急」なんかの方が私は好きである。
理由はベイツモーテルにたどり着くまでが長いのだ。
映画はマリオンから始まり、マリオンを主人公にして話が進んでいく。だから最初観たときはマリオンが最後まで話を引っ張っていくと思っていた。
特典映像のメイキングを観ると「主人公はマリオンと観客に思わせておいて途中で殺してしまうという」裏切りをして観客を楽しませようとしたらしいのだが、この点が私は嫌いなのだ。
この場合「裏切られた快感」ではなく「だまされた不快感」になってしまったのだな。
だからこの映画は好きではない。
映画の方は消息不明になった姉を捜す妹のライラ(ヴィラ・マイルズ)と雇われた探偵のアーボガスト(マーティン・バルサム)、マリオンの恋人のサムが活躍していく。
アーボガストは聞き込みを続けていくうち、ベイツモーテルにたどり着き、マリオンがここに来たと確信する。
だが事件の確信に近づいたところで殺されてしまう。
そのアーボガストを追ってきたライラとサムによって犯人が暴かれるという展開。
前に観ているので映画史上有名な犯人は知っている。
でも楽しめた。
最後のベイツの母親の登場シーンなど映画的快感を感じた。二度目だから驚かなかったが、映画館で初見だったら飛び上がったに違いない。
(このシーンは後に「オーメン」に模倣されたと今は思う)
ノーマン・ベイツが警察の留置場で一人でいるカットも覚えていた。しかしその時にアンソニー・パーキンスが見せた不気味な表情は記憶以上だった。
そして車を引き上げるラストカットも覚えていた。
なんだかんだと言ってもかなり強烈に記憶に残っている。
それは私がまだ若かったということもあるが、それ以上にこの映画が素晴らしいということなのだろう。
それは認めなければならない。
前半が長いというところが嫌いだけれども。
(パラマウント配給なのに、ロサンゼルスのユニバーサルスタジオにベイツの屋敷があったのが不思議だったのだが、メイキングを観て分かった。撮影はユニバーサルスタジオだったのだそうだ)
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日時 2013年4月7日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 フィリッツ・ラング
製作 1929年(昭和4年)
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
飛行機会社のヘリウスは旧知の博士を訪ねる。その博士は30年前に「月に金鉱がある」という学説を発表し、学会を追放され今は貧乏ぐらしだった。
その博士の元で不穏なことが起きる。博士の学説を書いた論文が盗まれそうになったり、変な男が訪ねてきたりする。
博士はヘリウスに盗まれないように論文を預ける。
しかしヘリウスは車で帰る途中で論文を盗まれてしまう。
しかも部屋には怪しげな男が訪ねてきて家政婦が目を離した隙にその男によってヘリウスの家にあった大事なものが盗まれてしまう。
ヘリウスは会社の部下フリーデと結婚を考えていたが、彼女は友人のハンスと婚約してしまった。
今夜はその婚約パーティだったが、無理をしてそこを抜け出して来てもらうよう頼む。
それを待つ間にタナーというアメリカ人がやってくる。彼は実は先ほどの怪しげな男でヘリウスの家から重要なものを盗み出した張本人だった。
タナーは世界の金を支配する5人の人間の命令で月の金鉱を確かめるためにヘリウスたちに月に行ってもらうよう命令する。
フィリッツ・ラングの「メトロポリス」と並ぶSF超大作。上映時間も2時間40分もある。
今回グリソムギャングでの上映では活弁付き。
サイレント映画はどうもテンポがとろくて退屈な印象があったのだが、活弁付きなら当時の雰囲気も味わえるだろうと思って参加。
いや驚いた。
2時間40分の映画だが(今の映画でもこの上映時間は少々つらい)活弁付きなら飽きがこない。
これが活弁の音声が入ったもので観れば同じように思えるかも知れないが、これがやっぱり観客を前にした生で聞くと違う。
それはテレビの舞台中継は生で観る舞台とは別物だし、コンサートだって生で観るのとライブDVDを観るのでは違う。そういうことだと思う。
そうか、公開当時はこんな形で観られていたのだなあ。
いまサイレント映画を活弁なしで観るのはかなり違うということを実感した。
で、お話の方だが、東宝SFとかの夢のある宇宙冒険映画と思っていたら大違い。
そもそも金の資源の奪い合いというエグイ話なのだ。
びっくりする。
しかもそれを命じてくるのはアメリカ人。このころから米独の対立関係があったと観ていいのかも知れない。
そして金を支配する5人がいるが、その中に東洋人がいる。第一次世界大戦後で三国同盟前だから日本人とみていいのかも知れない。
お話の方はヘリウス、フリーデ、ハンス、博士にタナーで出発。しかしお決まりのようにヘリウスの近所に住んでいるグスタフ少年が宇宙船に忍び込んでいて参加する。
ロケットの発射シーンは発射台ではなく、ロケットをプールに沈めて発射させるという今では理解不能な描写があるが、当時としては最新の技術考証はしていたらしい。
宇宙に飛び出すことはものすごいGがかかるという描写もある。
そしてなにより素晴らしいのは宇宙空間で地球と太陽が重なり、金環食のような状態を見せるのだ。
ダイヤモンドリングも出てくる。当時としてはものすごい映像だったのではないか。
月の裏側には空気があるという設定になっていて、そこに降り立つ宇宙船。この到達シーンも操縦が難しくてなかなかハラハラさせられる。
そして月に到着すると博士は一人で降り立ち、金鉱を探し始める。それは無事見つかるがタナーにも見つかり逃げる途中でクレバスに博士は死んでしまう。
金を独り占めしようとすりタナー。
しかしハンスは旅の途中で怖じ気付き、地球に帰ることしか頭にない。そんなハンスとタナーで銃の撃ち合いになり、タナーは死んだが酸素ボンベに弾が当たり酸素が半分に減ってしまう。だから地球には3人しか戻れない。
(6人分の酸素が半分になったから3人しか乗れないという計算らしい)
ハンスとヘリウスは2本のマッチを引いて短い方を引いたら残る、それを3回勝負で決めるという賭をする。
もはや残る覚悟を決めているヘリウスは堂々としているが、地球に帰ることしか頭にないハンスは追いつめられている。
このあたり、3回やるのでさらにハラハラドキドキが増す。うまい。宇宙に舞台は移ろうとも人間ドラマは同じだ。
結局ハンスが負けるが、ヘリウスはハンスとフリーデに睡眠薬を飲ませ眠らせる。
グスタフ少年に発射の操作を任せて船を下りるヘリウス。
一応食料は残しておくので地球に帰ったものが迎えに来てくれるはず。
ロケットを見送るヘリウス。しかしそこにはなんとフリーデが!
資源の奪い合いとか女の奪い合いとかとてもじゃないが子供が観るような明るいSF映画ではなく、明らかに大人向けのSF映画。
活弁付きで観たのは僕にとって幸せなことであった。
無声映画に対する認識を改めさせられた。
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日時 2013年4月6日19:35〜
場所 オーデトリウム渋谷
監督 いまおかしんじ
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
シネマ☆インパクトの第3弾。いまおかしんじ監督作品だ。
リレー形式のオムニバス映画で、様々な「セックスしたい」人々を描く。
頼まれると誰とでもしてしまうヤリマンと言われる女と彼女を本当に好きな男。
そのヤリマンは実は心療内科の女医で、セックスはしたいけど女性恐怖症の男を診察する。女性恐怖症の男は彼女の手を偶然握り、惚れてしまう。
女性恐怖症の男は学生時代の後輩二人を呼び出し恋の相談をする。相談された後輩は「俺たちそんな暇じゃないです!」と怒って出ていってしまう。
後輩二人は会社の屋上で先輩にはつきあい切れないという。片方の後輩は経理の女子が好きだという。なんとなくもう一人(重田裕友樹)は「彼女に告白すれば」と言ってしまう。実は彼はその女子とつきあっていて、女子から「最近会ってくれないし、他の男に告白すればとは何事!」と切れられてしまう。
その女子はネットで知り合ったらしいロリコン男のコスプレにつきあっている。「きれいですね〜」と心にもないお世辞を言われてきれる。
ロリコン男は帰り道に裏DVD販売の男に声をかけられる。でも「この間のDVD、モザイクはいっていたじゃないですか」と文句を言っているとそのビデオ売りの男の元に女子高生がやってきて「お願いがあるんです」という。
彼女についていくと学校の進路指導だった。父親はいない、母親は娘に無関心、しかも担任教師はロリコンでさわってくる。
そのロリコン教師は同僚教師に自分がロリコンだと打ち明ける。「我慢してそれでも一生懸命生きてるんだ」というが否定される。
その同僚教師はデリヘルを呼ぶが来たのはどうみても40過ぎ。
そのデリヘル嬢は若い男とつきあっていたが、その男にデリヘルをしてることを知られてしまう。
その若い男は友人ふたりの相談するが、そいつ等はレイプを計画中。でもいざレイプしようとすると女性に負かされる。
その女性は不倫をしていて、相手の男は最近つれない。
相手の男が帰り道に二人のたちんぼに絡まれる。
一人は若いがもう一人は70過ぎのばあさん。口専門だが自称「宇宙が見える」というテクの持ち主。
その二人組が美容室で髪を整えているととなりにいるのは
冒頭でヤリマンの女との恋に悩んでいる男だった。
これだけのエピソードが登場。
シネマ☆インパクトは募集してきた役者志望の人たちがお金を払ってみんなで2週間で映画を作ろうという企画。
聞こえはいいけどね。
だから折角参加してくれた人々を平等に出してあげたいし、初日を迎えるまでどういう人たちが来るのか分からない。だから顔合わせしていろいろやってみてから1日で脚本を書いたそうだ。
だから登場人物名は役者と同じ。
完全な宛書きなのだろう。
不倫、ヤリマン、デリヘル、年の差カップル、女性恐怖症、様々な人々のセックスに対する欲望が描かれる。
ロリコンさえもここでは「我慢して実際に手を出さない限りはありだ」とする。ただしレイプだけは許さない。
レイプをしようとした奴は女性から反撃を食らう。
ただし徹底的な反撃ではなく、どこか許す心を持って描かれる。
そういういまおかしんじ監督のセックス感や彼の度量の広さを感じられ、とても心地よい映画だった。
もう一度観たい。
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日時 2013年4月6日19:00〜
場所 オーディトリアム渋谷
監督 熊切和嘉
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
ある夫婦がいた。妻は夫が今日は結婚記念日なのに帰りが遅いとなじる。夫は「仕事だから仕方ない」と答える。
妻は妹の家に行き、不満を聞いてもらう。
そこへ夫が迎えに来る。
次の日曜日、10数年ぶりの高校の同窓会だ。夫は高校の同級生なので二人で出席する。
ところが妹も「私は保護者だから」とついてくる。
そしてその同窓会の会場で・・・・
シネマ☆インパクトの第3弾の上映。
第1弾は去年の9月で深作健太監督作品や、山本政志監督作品にいまおかしんじ監督が出演したので観に行った。
で第3弾(第2弾は観ていない)。
いまおか作品と同時上映の32分の短編。
映画は同窓会の会場で、妻はスタッフに夫の分も含めて「生二つ」と頼むがスタッフが「一つですよね?」と聞き返され、「いや二つです。夫の分と」「いや一つですね」を繰り返し、結局夫は勤務先の工場で事故にあい、ずでに死んでいたが妻は精神に変調をきたしていたという話。
それほどのオチでもなく、正直面白さを感じなかった。
短い感想でごめんなさい。
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日時 2013年4月6日16:00〜
場所 ユーロスペース1
監督 大森立嗣
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
秋葉原の生活にも嫌気がさして長野県佐久市の工場に派遣社員としてやってきた梶(水澤紳吾)。女にもてない孤独な彼は「俺はイケメソじゃない。イケメソはみんな殺してやりたい」とインターネットの掲示板に書き込みを繰り返し、憂さを晴らしていた。でも晴れない。
一緒に面接して同じ日に入社した岡田(淵上泰史)は高校時代にスピードスケートをやっていそうで態度もデカく、終始岡田のペースに押されっぱなし。
岡田と梶はふたりで食事に行った晩、近所レストランで同じ会社に勤める田中(宇野祥平)と知り合う。いままで友達のいなかった梶だが、田中とは同じ人種の気がして「友達になろう」と言ってみる。
2008年に発生した秋葉原の連続通り魔事件の加藤をモデルにした映画。
ポスターの図柄もいかにもネクラ(そう言えば最近この言葉を聞かない)そうな若者の顔のアップ。
観るのを躊躇させる衝撃があったが、秋葉原事件をモチーフにしているというわけで観に行った。
はっきり言うけどこの映画、私にはダメでした。
とにかく主人公の梶がマイナス指向、ネガティブ指向で「僕はイケメソじゃないからもてないんだ。もてない奴は生きてる価値がないんだ」とかそういう呪詛の言葉をネットの掲示板に書き込み続ける。
こういうマイナス指向の奴が私はダメなのだ。好きになれない。
「苦役列車」の貫多もいまでいう派遣社員の仕事だし、のろいの言葉を吐き続けるが、彼は上昇志向がある。
風俗とはいえ女との接触は求めるし、友人に頼んで康子と友達なろうとしたり、女の子を紹介してもらおうとする。
そういう上昇志向、というか一生懸命生きている人が好きだし、そういう映画を観てこっちも励まされたい。
結果的にダメ人間でも「ここではないどこかへ」向かう人間が好きだ。
それで主人公が好きになれないので終始いらいらしっぱなし。
さらにこの岡田というのが、実は黒岩という岡田の同級生だった男で、黒岩が岡田を殺した後になりしましていたのだ。さらに黒岩は女性連続殺人犯で、死体を強姦する趣味を持っていた。その岡田の妹・ユリ(田村愛)にばったり再会したところからユリは命を狙われる。
という展開なのだが、秋葉原事件の映画を観たいと思ってきているから、これだけインパクトのあるキャラクターが映画オリジナルで出てくると違和感、というか現実感がなくなる。
梶の(嫌いだけど)現実にとなりにいそうなキャラクターだと秋葉原事件も自分の近くで起こった事件の感覚があるが、架空の強烈なキャラクターを出されると映画がとたんに現実味をなくす。
でもラストはいろいろと自分の気持ちを爆発させようと秋葉原に向かう。
しかし岡田に「さあ行けよ」と車のハンドブレーキを解除されるが、車のブレーキをまた梶は戻す。
そして慟哭の叫びをあげる。
現実の事件とは違うが、救いがあってよかった。
映画全体は好きになれなかったが、梶、田中というインパクトの強いキャラクターを演じた水澤紳吾、宇野祥平はよかった。
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日時 2013年4月5日22:00〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン9
監督 サーシャ・ガバシ
(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
「北北西に進路を取れ」で大成功を収めていた映画監督ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)。すでに年齢も60歳となり、意地悪なマスコミからは「そろそろ世代交代では?」などと言われていた。
まだ契約が残っているパラマウントから「次回作も『北北西』のような路線で」と言われる。
しかしヒッチコックにしてみれば同じような映画は撮りたくないし、まだまだ意欲的な作品を作りたかった。
そんな時、実際にあった猟期的連続殺人事件を元にした小説「サイコ」を読む。
これを原作に映画を作ることを決意するヒッチコック。
しかしパラマウントからは「単なるホラーにしかならない」「残酷すぎる」などの理由で企画に乗ってこない。
どうしても映画化したいヒッチコックは自宅を抵当に入れ資金を捻出する。
「サイコ」の製作の裏側を中心に描くヒッチコックについての映画。
伝記映画じゃないから彼の一生を描くわけではない。
「サイコ」はもちろん観ている。
いつどこで観たのか記憶が定かではないのだが、20歳ぐらいでテレビ放送だったと思う(日本語吹き替えで観た記憶があるから)。
それ以来たぶん一度も観ていない(と思う)。
でもシャワーシーンとかベイツモーテルとかラストカットなど印象的に残っている。じゃあ好きな映画かというとそれほどでもないのだな。
ヒッチコック作品なら「逃走迷路」とか「バルカン超特急」の方が好み。ホラー的な残酷描写よりハラハラドキドキ的なタイプの方が好きなのだろう。もともと血しぶきが出る映画は痛々しくて好きじゃないので。
それより「サイコ」という映画はユニバーサル映画だと思っていたが、パラマウントだったんですね。なぜyニバーサルと思っていたかというとロサンゼルスのユニバーサルスタジオに行ったとき、ベイツモーテルの家が建っていたし、マグカップとか「サイコ」のおみやげもたくさん売っていたから。だからいつパラマウントが配給を降りてユニバーサルに移るのかと思っていたらそうはならなかった。
そういう「サイコ」に関する個人的な思い出はさておいて、この映画を観ていてまず思ったのは「ヒッチコックってプール付きの豪邸に住んでいたんだあ」ということ。
もちろんヒッチコックぐらいの監督ならアメリカ映画ならあり何だろうけど、日本映画ばかり見ているとその辺の感覚がずれてくる。
そして妻のアルマ・レヴェル(ヘレン・ミレン)が重要な方だったんだなあということ。
黒澤映画で妻が語られることは少ないが、岡本喜八映画におけるみね子夫人のように重要なパートナーだったんだ。
その頼りにしている妻が別の脚本家と共同脚本を執筆しだし、映倫からはあれこれ言ってくる、撮影はトラブルがある、体調を崩してしまうがスケジュールは守らなければいけない、と八方ふさがりのようでもあるが、日本の映画監督の話を聞くと「このくらいまだ甘くない?」と言いたくなってしまう。
そして例のシャワーシーンはどのように撮られたか?的な「サイコ」の面白さの秘密というようなメイキング話を期待したが、それはほとんど語られない。
正直、その辺の不満点は残る。
とは言っても久しぶりに「サイコ」は見直したい。
それはそういう気分にさせられる。
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