2013年6月

ガメラ対深海怪獣ジグラ ガメラ対大魔獣ジャイガー
映画 立候補 選挙 ガメラ対大悪獣ギロン ガメラ対宇宙怪獣バイラス
ムネオイズム
愛と狂騒の13日間
尖閣ロック 男心、ゆれる愛 宇宙戦艦ヤマト2199
第六章「到達!大マゼラン」
キミニ惚レテル リアル
完全なる首長竜の日
みな殺しの拳銃 せつないかもしれない
恋心の風景
〜キャンプでLOVE〜
はじまりのみち 境界線の向こう側 優しすぎる獣
思いはあなただけ2
淫ら好き 4人でしゃぶる 思いはあなただけ 汗ばむ破壊者 愛がとまらない

ガメラ対深海怪獣ジグラ


日時 2013年6月30日
場所 DVD
監督 湯浅憲明
製作 昭和46年(1971年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


健一とヘレンの父親は海洋学者。ある日、父親たちの海の調査についてきた健一とヘレンそれぞれの父親の4人はやってきたジグラ星からやってきた宇宙船に連れ去られてしまう。
海洋生物のジグラ星人は自分たちの海を汚してしまったため住めなくなり、地球を征服しにやってきたのだ。
ジグラは科学力で地震を起こし、ついには東京にマグニチュード13の巨大地震を起こした。
健一たちの父親に催眠術をかけて動けなくしたジグラの人間だったが、子供たちの機転で何とか脱出。ガメラに助けられ、なんとか元の場所に戻った。
この子供たちを追ってジグラの人間もやってきた。
そしてジグラ星人は地球制服を宣言。
希望はガメラだ!

昭和ガメラシリーズ最終作。
「ダイニチ映配」と出るから、ヒットの有無に関わらず大映自体が消滅してしまったようだ。
かなり前に(VHSビデオの頃)にレンタルで昭和ガメラを見直したりしたし、他のガメラは子供の頃にも観た記憶があったのだが、この「ジグラ」は全く記憶がない。
そうすると初見なのかも知れない。

今までのように過去作品の使い回しはなし。
特撮シーンは少ない気がする。怪獣ジグラ自体が登場するのは映画も45分を過ぎてから。
今まで80分ぐらいの短めの映画だったが今回は90分ある。
特撮が少ない分、ドラマ部分が長い。

そうそうそれより一番がっかりしたのは東京大地震。
映画の紹介文などで「ジグラ星人は東京に大地震を起こす」と書いてあるので、東京ががらがらと崩れるカットがあると期待したが、完全にはずされた。
宇宙船にとらえられた主人公たちがジグラ星人によって「東京に地震を起こす」と言われてその後テレビ画面を見るとがれきの東京が映し出されるという具合。
がっかり。まあちゃんと壊してくれるとは思ってませんでしたが、とは言えねえ。

しかし子供が主人公なのはいつものことだが、それにしても小学校高学年の10歳ぐらいの子が今まで主人公だった。
それが今度は二人とも幼稚園児。
幼稚園児ではいい加減役に立たない。
やたらと父親たちについて行って足手まといになる。でも言うことは1人前以上のことを言うからかわいくないのだよ。もう見ていていらいらする。

で、ジグラの宇宙船から逃げ出してガメラによって助けられてある島に到着。ここがどこかわからないので困っているとボロボロの服を着た老人(吉田義夫)登場。
もう低予算だから、この小島を舞台にして映画は進むかと思ったら、老人に訊いたら案外自分たちの帰りたかった場所に近かったと解る。この老人はあとで出てくるかと思ったら出てこない。何のために出てきたやら。

ジグラの人間、とか上で書いたけどジグラ星人は完全に魚系。でも地球人と接するのは女性。これが月基地にいた女性を誘拐してコントロールしているのだな。
で、逃げ出した健一たちを追って地上にやってくるのだが、宇宙服では目立つので、近くを通りかかった海水浴に来ていた女性から服を奪う。(さっき東京大地震があったのにいい加減のんきなものだ)
これがビキニ姿だったから大変!ジグラの人間は健一たちを探してパニックになっている街に出るのだが、これがビキニ姿で目立つ目立つ。
ここ、笑っていいのか迷った。

最後はガメラとジグラの海中での対決になる。
言われてみれば海中で怪獣同士の対決って珍しい。
例によって緑の血を流しながら戦うガメラ。この海中のシーンでちゃんと血は水の中で出たようにもくもくと吹き出す。
あれ、どうやってんだろう?
普通海中シーンは水の中ではないはずだし。

これで昭和ガメラシリーズは終了。
「宇宙怪獣ガメラ」もあるけど、これは総集編的なもので新作とは言いがたい。
緑の血を流しながら常に一人で戦うガメラ。
かっこよかった。



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ガメラ対大魔獣ジャイガー


日時 2013年6月30日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 湯浅憲明
製作 昭和45年(1970年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


弘(高桑勉)の父(大村崑)は大阪で小型船舶を作る町工場で今度は万博の会場で子供が乗る小型潜水艦を作っていた。弘の友達のトム(ケリー・パリス)と妹のスーザン(キャサリン・マーフィ)は父親が考古学者で、今は万博会場で展示するウエスター島古代遺跡の石像移送の仕事に携わっていた。
そんな頃、ウエスター島の住民から「石像を移動させるとジャイガーが怒る!」と抗議を受けたが、そんな言い伝えは誰も相手にしない。
一方ウエスター島ではなんとか無事に石像が輸送船に積み込まれた。
しかしそこへ怪獣ジャイガーが出現した!

昭和45年3月21日公開。
3月14日に日本万国博覧会が始まったから完全にタイアップ映画だ。だから予算がついたのかよく解らんけれど前2作に比べると豪華だ。(というかギャオスの頃に戻った)
都市の破壊もあってビルが建ち並ぶ中をジャイガーが暴れまくる。(もちろんビルのセットは少ししょぼいが、ビルを壊すだけでも立派だ)
過去の映像の使い回しはオープニングクレジットの部分だけで本編にはない。(あるかも知れないけど解らないレベル)

ジャイガーを追ってガメラも登場。ジャイガーは頭の角の先から槍を発射しそれがガメラの4本の手足に刺さり、ガメラは手足を引っ込められないので、飛行形態になれない。
一方ジャイガーは大阪へ。
ガメラも何とか槍を抜き大阪に向かう。
しかし第2回戦でガメラは倒され、海岸に倒れ込む。するとガメラの頭や手足が透明になる。
科学者がレントゲンをとってみるとジャイガーによってジャイガーの幼虫がガメラの肺に植え付けられている可能性があるという。

そこで子供たちが例の潜水艦でガメラの体内へ。
(「ミクロの決死圏」の影響か?)そこで幼虫に遭遇するが、トランシーバーの雑音に弱いことが判明。
つまりジャイガーの上にあった遺跡の風穴がジャイガーが嫌う音を発生していたのではないかと仮説。
ならば自分の嫌う音を発生する遺跡を追って大阪にきた理由がよくわからないが、細かいことは気にしない。

ジャイガーの嫌う低周波の音をスピーカーで流し、ガメラに電気を与えて蘇生させる。
こうして人間とガメラの共同作戦でジャイガーを倒し、万博は無事開催される見込みとなり、メデタシメデタシ。
という訳。

子供中心で話が進んで行くし、自衛隊の応戦もほとんどないし、何よりジャイガーの形がバイラス、ギロンに比べ、どうにも特徴というか魅力に欠けるのでその分マイナス点も多いのだが、やっぱり怪獣映画らしい豪華さがあってよかったと思う。



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映画 立候補


日時 2013年6月29日19:00〜
場所 ポレポレ東中野
監督 藤岡利充

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


2011年秋、大阪は橋下徹大阪府知事が市長に鞍替えするのに伴う府知事と市長のダブル選挙が行われていた。
本命は橋下徹の大阪維新の会の幹事長の松井一郎。
この選挙、7名が立候補していたが、4名は泡沫候補と呼ばれ、マスコミからも無視状態だった。
全国の選挙に出馬し落選する羽柴秀吉も立候補するかと思われていたが、今回はガンで入院のため、立候補せず。
映画は同じく全国の選挙に立候補し続け各地で落選するマック赤坂を中心にして他の3名の様子を追う。

もちろんマック赤坂のことは知っていた。あれはいつだったろうか、2011年の東京都知事選の後だったと思うが渋谷109前で彼が街頭演説をしてるのを見たことがある。その前にYoutubeで彼の政見放送を見て唖然としたものだった。

僕自身、「単なるキテレツなおじさんが目立ちたい為に選挙を利用したパフォーマンス」と思っていた。
選挙に出るにはただでは出来ない。ポスター代、選挙事務所などの費用もあるけど、まずは選挙管理委員会に供託金を納めなければならない。
これは一定の得票数を得ないと没収。今回の場合は300万円!これがいわゆる「泡沫候補」は没収されてしまう。
選挙に負けたあげくに300万円の損。

そんな損することをなぜするか?
それが映画を作った人たちの素朴な動機だったろうし、見に行った私の動機でもある。
特に最近ではマック赤坂がそのキテレツなパフォーマンスによって一部では有名で、完全なキチガイ扱い。
政見放送は紹介のアナウンサーの真面目ぶりとは対極なパフォーマンスで思わず笑ってしまう。
実際彼が放送された政見放送を見るシーンがあるが、本人も笑っている。「俺が見てもおかしいからなあ、コイツ」という。
案外自分のこと客観的に見ているのだ。

映画は他の3人のいわゆる「泡沫候補」にもインタビューしている。
まずは選挙の届けをした後、選挙活動をしないことを主義のもと府庁職員の岸田修。まだ小さい娘一人を育てている中村勝。元教師の高橋正明。高橋は難波で街頭演説(というか町ゆく人に挨拶してるだけだが)で「中学の後輩です」と話しかけられ、「いや〜何十年ぶりやなあ」と喜ぶ。「こういうことがあるから300万円も無駄やないやろ」
300万円の効果としてはいかがかと思うが、その価値観は様々だろう。

驚いたのはマック赤坂は京都にも行く。大阪府知事選だから京都は関係ない。母校京都大学の前で演説して学生から「やめてください」と言われる。「そっちが選挙妨害だ!」と応戦するマック。そして四条の繁華街へ。
当然警官がやってくる。私は知らなかったが、公職選挙法に選挙運動が出来るエリアについては規定はないらしい。
従って立候補すれば選挙演説はどこでもしていいことになる。だから京都で街頭演説をしても法的には何ら問題はない。

マックの運転手兼助手の櫻井さん。
なかなか難しい性格のマックとともに活動を続ける。
「(マックには)腹立つこともあるけど、まあ言っても仕方ないし」と達観している。なかなか出来た人物だ。彼は生まれたばかりの娘が難病で1年持たないという。

クライマックスは圧倒的人気の橋下徹と松井一郎が難波高島屋前で最後の演説をするシーンだ。
マック自身もやってきてその前で演説をしようとする。
橋下のSPや演説を見に来た人々から止められる。
その中で
マック「選挙演説だから問題ない。弁護士呼んでこい」
SP「そこにいる」と言う。橋下弁護士のことを言ったのだが、大阪らしいユーモアと言うべきか。
さらに支援者からは「帰れ!帰れ!」のシュプレヒコール。これは見てるこっちは腹が立った。
でも松井候補も大人の対応で「マックさん、10分間先に演説してください」と余裕の対応。
橋下も最後に「マックさん、10度、20度、30度やってください」とマックに花を持たせる。
最近橋下のことは嫌いだったが、ここで少し印象がよくなった。(でもその後の監督が記者会見で質問したシーンで「ああいう風になだめなかったら、あの場が収まらなかったでしょうから」とあしらった発言をしてまた印象が悪くなった)
その後、橋下と松井の演説を見つめる自分との力の差を見せつけられたマックの表情は下手な役者より感動的。

さらに印象に残ったのはラストの秋葉原だ。
2012年12月東京都知事選と衆議院選挙の投票日前日。
秋葉原には圧倒的人気を誇る(一部のネット右翼だけとも言うけれど)安倍総裁(このときはまだ総理じゃない)の会場に乗り込むマック。
その前のインタビューで「親父の選挙運動は手伝わないし、仕事の宣伝にもならないし関係ない。親父がなぜああいったパフォーマンス的な運動をするか解らない」と言っていたマックの息子の戸並さん。
この最後の秋葉原の演説には手伝いに言ったのだが、そこでも(日の丸を持っているような)聴衆からやじられる。
「恥ずかしくないのか!」
戸並「こっちは一人で戦ってるんだ!お前も一人で戦ってこい」と応戦する。

正直ここは泣いた。
今まで父親に対しては否定的だった戸並さん。
インタビューとこの秋葉原のシーンの間に時間的な開きがあって映画では出てこなかった戸並さんの心境の変化があったのかと思ったら、パンフレットを読むとインタビューの直後に秋葉原に行ったようだ。
最後の最後にはマックの応援をする戸並さんの姿には正直心を打たれたし、感動させられた。

戸並さんが
「お金を使ってやり方変えて普通に戦って当選するより、いつか今のままの形で当選すればいいと思いますね」
と言っていたのが心に残る。

「負けると解ってなぜ戦う」
人はそう思うだろう。
しかし「負けるから戦わない」という選択枝の方が誤ってるんではないかと言う気がした。(もちろん実際の国と国との戦争は話が別)
今の世の中勝ち馬に乗ろうとする人が多すぎる。
負けたって戦う時が必要だとマック赤坂に教えられた気がした。



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選挙


日時 2013年6月29日10:40〜
場所 イメージフォーラム1
監督 想田和宏
製作 平成19年(2007年)

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2005年秋、川崎市宮前区では市議会議員が参議院に鞍替えしたために、補欠選挙が行われることになった。
当時の川崎市議会は自民党17、民主党17の同数。この補欠選挙の結果、第1党か否かが決まる。
いままで政治の世界ではまったくと言っていいほど無縁だった山内和彦が公募で選ばれた落下傘候補として立候補した。
川崎市長選、参議院補欠選挙も行われるため、自民党は党をあげての選挙戦となってくる。
政治に素人の山内さん、とりあえず名前を覚えてもらおうと一人で駅頭にたち、「小泉改革の自民党の山内和彦です」と名前を連呼する。
幼稚園の運動会、村祭り、支援者の集会に顔を出す山内さん。
やがて参議院に立候補した川口順子の応援演説に小泉総理もやってくる。小泉総理の駅頭演説にも相乗りする山内さん陣営。
はたして当選なるか?

この6月下旬から7月にかけて「ムネオイズム」「立候補」「選挙2」(この映画の続編)と選挙に関するドキュメンタリーが3本公開される。それに相乗りしてこの「選挙」の1週間モーニングでの再上映。
山内さんとは先日、6月19日での阿佐ヶ谷ロフトAでのこの3本(プラス「尖閣ロック」)のトークイベントでお会いしたし、山内さんが書かれた「自民党で選挙と議員をやりました」も読んだので、大体のところは予習して映画を見たから、それほど意外な印象はなかった。

でもそうは言っても本で読んだり話を聞くだけとは印象が違う。
いわゆる「どぶ板選挙」の実態を見る。
選挙戦も始まって朝早くから老人会の運動会に出かける。
そこでラジオ体操をしたりするのだが、一瞬あくびをする山内さんをカメラは見逃さない。
また2度ほど駐車場に車を止めて昼寝、休憩をする山内さんがなんだかいじらしい。そりゃあれだけ挨拶周りをしてれば疲れるわなあ。

映画は説明的なナレーションや字幕はない。
だからこそ選挙に出るに至った経緯は東京大学時代の親しい友人とホテルの部屋で同窓会を開くときに語られる。
監督自身も山内さんと東大の同級生らしい。

「妻」と言わずに「家内」というあたりはいかにも昔ながらの年齢層の高い人に支持者が多い自民党らしい。
(もっともラストの開票結果で解る通り、民主党がかなり追い上げており、自民党的なやり方も限界が見えてきてるとも分析できるが)

とにかく山内さんは第一印象として人当たりがいい。
いかにも「議員」的な高圧的な印象がないし、、腰が低くて人の話を聞くし、小泉純一郎に似た男前で若さと清潔感がある。
彼が今回の補欠選挙の候補に選ばれたのもこういう第一印象の良さではないだろうか?

でも今回の選挙は「補欠選挙」だから通常は同じ自民党でも別の市議を応援している人も「今回だけは」と応援してくれる。
映画には出てこないが、2期目に山内さんが出馬しなかったのは、自分の組織を持たないし、別の議員と対決することになるので、人間関係的に難しいものがあったからだそうだ。

そういう素人の山内さんだから選挙スタッフから「今朝7時半にくるとは何事だ!」と怒られるシーンがある。
詳しくはなんのことか解らないが、ベテランスタッフの前ではひたすらペコペコする山内さん。
そういえば「何をしても怒られる、何もしなくても怒られる」と同級生の前でグチってたっけ。

ラストの方でスタッフと山さんが「これだけの選挙が出来るのは自民党の組織、応援があってのおかげ。だから造反なんてのは言語道断」という。
その気持ちも解るし、そういう義理人情で動く世界なんだろうけど、政治はやっぱり政策、理念を中心にして欲しいなと思う。

日本の選挙の実態を描いた良質なドキュメンタリーであることは間違いない。



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ガメラ対大悪獣ギロン


日時 2013年6月28日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 湯浅憲明
製作 

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


明夫君(加島信博)とトム君(クリストファー・マーフィー)は宇宙や星が大好きで、いつも二人で夜空を望遠鏡で眺めていた。ある晩近くの裏山に宇宙船らしきものが着陸するのを目撃。
翌朝行ってみるとやはり円盤がいた!乗り込んだところ、その宇宙船は飛び立ってしまう。一緒に円盤のところまで来ていた妹の友子(秋山みゆき)は取り残され、兄やトム君が宇宙船に乗っていったことを駐在の近藤(大村崑)や母親、トムの母親(イーデス・ハンソン)に話すが取り合ってもらえない。
一方明夫君たちは謎の星にたどり着くが、そこでは銀色のギャオス、宇宙ギャオスと頭が鉞になった怪獣ギロンが戦っており、ギロンは頭の鉞でギャオスをバラバラにしていた。
やがてその星の住民、バーベラとフローベラに出会う明夫君たち。彼女たちの話ではここは太陽を挟んで地球と反対側にある惑星テラ。かつては文明の栄えた星だったが、科学の発達で間違いが起き怪獣たちが出現したという。

「ガメラ」シリーズ第5作。
前回に引き続き、低予算化が見える。
この映画は子供の頃にこの映画を音声ドラマ化したそのシートがあったので、何度も聞いている。だからこのギロンのデザインもよく覚えていたし、それでなくてもシリーズではギャオスに次ぐインパクトのある怪獣ではないか?
ギロンは直立怪獣のような形をしながら頭が重いのか、いつも四つん這いでお辞儀をしてるよう。しかしながら頭の鉞で何でも切ってしまって危険、残酷極まりない。
ギャオスなんか出てきてすぐに超音波を発射するが鉞で光を跳ね返されて自分の足を切ってしまう。
そしてギロンに翼は切られるは、落ちてきたら胴体をまるでキュウリを切るように輪切りにされるわで散々である。

バーベラとフローベラはいい宇宙人に見えて地球侵略をする力はないけど、明夫たちを食料にしようとする。それでまずは明夫の脳味噌を食べようとして頭を坊主に。
そこへ子供の味方ガメラ登場で、食べるのは中止。

そんな感じでガメラとギロンの死闘が始まり、バーベラたちの円盤はギロンに真っ二つにされる。
その後はガメラは甲羅を切りつけられ、ギロンの頭の横からでてくる手裏剣に痛めつけられ、いつも以上に痛々しい。そんな中でもガメラがギロンに振り回されて飛んでいったところで鉄棒のようにガメラが回るのはメキシコオリンピックの影響か?

バーベラが怪我をするとフローベラは「役に立たない者は死ぬのがこの星の掟」と殺してしまう。
結局ガメラはギロンを倒し、フローベラは死んで明夫君たちは壊れた円盤をガメラに直してもらって無事地球に運んでもらう。

冒頭に「この宇宙に宇宙人の存在の可能性はかなり低い」という見解を述べる博士役に船越英二。登場したときは「おっ」と思ったが、最初と最後だけに登場する特別出演。
過去映像の使い回しはやっぱりあって、「ガメラは子供の味方」を説明するために「ギャオス」や「バイラス」からの映像が出てくる。でも「バイラス」の時より控えめだ。
惑星テラの特撮セットもまあ豪華で、前作よりは予算があった感じがする。



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ガメラ対宇宙怪獣バイラス


日時 2013年6月27日
場所 DVD
監督 湯浅憲明
製作 昭和43年(1968年)

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バイラス星人は侵略地を求めて宇宙を旅していたが、その侵略目標として地球を発見。
しかしその直後、ガメラによって宇宙船を破壊され、一度は撤退。しかし再びやってきた。
正夫(高塚徹)とジム(カール・クレイク)はボーイスカウトでも仲のよい友達。ある日、キャンプ地の海洋研究所に忍び込み、そこの小型潜水艦のバッテリーのプラスとマイナスを逆につなぐといういたずらをする。
直後に隊長(本郷功次郎)やボーイスカウトのメンバーで研究所に見学に行ったが、隊長が乗った潜水艦は案の定、逆走。
その場をごまかして潜水艦に乗り込む正夫とジム。
そこへガメラがやってきて一緒に泳いでくれる。
しかしバイラス星人の宇宙船もやってきた!
彼らは正夫とジムを特殊な光線を使って誘拐。子供の味方のガメラはバイラス星人の宇宙船を攻撃出来ない。
手出しをしないガメラにコントロール装置を取り付けて、逆にガメラに地球を攻撃させるバイラス星人!

ガメラシリーズ第4作。
正直、ここからガクンと予算がなくなる。そして輸出を意識したためか、主人公が日本人と西洋人の少年の組み合わせに変わる。
そういう意味ではシリーズの変換期の映画だ。

予算がないというのは、地球についたバイラス星人がガメラのことを調べるために、「記憶を見てみよう」とガメラの記憶を見るとバラゴンやギャオスとの戦いのシーンが出てくる。これ、完璧にいままで映画からの挿入。時間にして10分ぐらいあるよ。
それにガメラに日本を攻撃させるのに使ったのがバルゴンでのダム攻撃シーンとか、1作目の東京攻撃シーン。
ここも5分ぐらい使ってる。80分の映画で、15分以上アーカイブを使用。
ガメラ1作目は白黒だから画面全体に紫っぽいフィルターをかけ、なんとなくカラーっぽい雰囲気にしている。

で、最後のバイラス星人との戦いなんか砂浜で暴れるだけなので、もう街のビルとかはなし。「ゴジラ」も「ヘドラ」「ガイガン」の頃はこんな感じだったけどもうすでにガメラ(大映)の体力のなさを感じる。

でも最後の方で、自衛隊もいるシーンではセットいっぱいに人がいる。ここだけ妙に人が多くて豪華なのだな。
大部屋さんを集めまくった感じ。

で、正夫と腕時計型トランシーバーで連絡を取った隊長は正夫たちに潜水艦と時と同じようにコイルを入れ替えればガメラに対する命令も逆になるはずだ、と命じる。
そんなアホな!と思わず画面に言ってしまう。
その前にバイラス星人からの降伏勧告が来るが、正夫たちが乗っているので攻撃出来ない。国連の会議で降伏か否かの決定の連絡が来るが、それが「二人の少年を見殺しに出来ない。人類は降伏する」。
おいおい、それはないだろう。降伏したら犠牲者は大変な数になるんじゃないかな?

結局のところ、そのプラスマイナス入れ替え作戦は成功し、正夫たちは宇宙船を脱出、ガメラは思い切りバイラス星人と戦う。
ガメラは緑の血を流しながら、バイラス星人も血を流しながらの流血の決闘。
バイラス星人なんかイカみたいな形状で、頭が槍みたいな形だからその先でガメラを突き刺すという残酷さ。
いや〜痛そうだねえ。これがガメラらしいと言えばそうなのだが。

あとバイラス星人の宇宙船が黄色い球体に黒のしま模様が入った球体がいくつもつながったデザイン。
単純だが特徴あるデザインだ。これはまた何かに登場してもいいぐらい。

出演ではボーイスカウトの副隊長的な役割で篠田三郎が出演。せりふもなく、特にキャラクターも与えられてないけど。

昭和ガメラの転換期の作品。



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ムネオイズム 愛と狂騒の13日間


日時 2013年6月23日13:00〜
場所 オーディトリアム渋谷
監督 金子遊

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2009年の民主党の政権交代選挙で新党大地代表として出馬した鈴木宗男の選挙戦を追ったドキュメンタリー。
映画は相模原で応援演説を行った鈴木宗男が北海道に帰るところから始まる。
その後、北海道各地を巡っていく。
松山千春や佐藤優も応援に駆けつける。

鈴木宗男は一時は自民党で飛ぶ鳥落とす勢いもありながら一方では「疑惑の総合商社」とまで言われたが、その後自民党を離党、今は新党大地の代表になっての出馬だ。
いわゆるどぶ板選挙と言われる徹底的に回ってチラシを配って握手する、その連続で政策論争などはない。
疑惑についても地元の有権者は「まあ誰でもやってる事だろうから、たまたま。気にしない」という意見が多い。
もちろん「来るな!」という罵声を浴びせられることもある。
そして最後の方で「仕事を紹介してください」という建設関係の業者からの陳情のカットもある。

鈴木宗男がそういうタイプの政治家であることは想像していたし、映画自体に実は驚きはない。
しかしそうは言っても新聞の情勢調査をスタッフと見ながら「もう少し行くんじゃないか、これは読売新聞だから自民よりの報道だろう」「朝日も1議席は大丈夫と認めてくれたようだね」という会話がなされる。
こういう生々しい姿は今まで見たことあるようでなかった気がする。

また札幌のススキノのバーを1軒1軒回って運動する姿は
「おいおい大丈夫かよ?」と思ってしまう。
鈴木宗男クラスなら店の人も出てけとは言わないし、公道ではないので、夜でも選挙違反とは言い切れないらしい。

彼としては2議席確保で2位の八代英太もなんとか当選させたいところだ。
しかし結局は1議席のみ。

そんな感じで鈴木宗男のイメージとは違う意外な一面は特になかった。
でもその中でも驚いたのは同じ北海道の「武部、町村、中川なんか絶対落ちろ!」とかなり辛辣に言っているのだ。
元は同じ自民党の幹部同士なのになあ。
上映後のトークイベントでは監督と「選挙」という映画で自らの立候補の模様を写した山内さんが登場し、その話をこちらからしてみたら「同じ北海道だからこそ、選挙区を争ったり、かつて宗男さんが中川一郎の秘書をして立候補したときに息子の昭一に公認を取られたりしたなどの確執がある」と教えてくれた。
そういうものかあ。同じ党でも争っているのだなあ。

映画とは直接関係ないが、今回は民主党と選挙協力をしていて選挙事務所には
「鈴木宗男殿
祈 当選
鳩山由紀夫」
と書いたポスターが張ってある。

確かその前の小泉解散の郵政選挙の時だったと思うが、まだ自民党の鈴木宗男と民主党の鳩山由紀夫が開票速報番組で、お互いの事務所を中継でつなぎ、キャスターが「鳩山さんは鈴木さんに何かお話になりたいことはありますか?」と話を振られ、
鳩山「あんた色々あくどいことやったんだって?色々聞いてるよ」
鈴木「何のことかさっぱり解りません」
という会話がハプニング的に流れたことがあった。
この時に鳩山、鈴木の素の姿が見られた気がしてよく覚えていた。
それがあったから鳩山由紀夫が鈴木宗男に「祈 当選」は驚いた。
まあ今は選挙協力をしてるから当然なんだろうけど複雑な思いで見た。

上映後には金子監督と山内さんのトークイベント。
その中で出た話では鈴木宗男が北方領土問題に関心が高かったのは(僕にしてみればああいう地元利益誘導型の政治家が、国際問題に関心があるとは思わなかったので意外だった)、北方領土が返還されれば、道東は観光や島の開発で潤うからという理由だったらしい。
なるほど、そのほうが合点がゆく。

トークイベントでは「鈴木宗男さんのような利益誘導どぶ板型の政治家はもう出てこないだろうなあ」おっしゃっていた。
確かに昭和の政治家は公共事業をしていれば国も経済も発展した。
しかしもう公共事業で作らなければならない道路も建物もない。
それがこの国の政治経済のこれからの難しさがある。
ある意味、田中角栄、鈴木宗男が役に立った時代は楽だったといえるかも知れない。



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尖閣ロック


日時 2013年6月23日10:30〜
場所 オーディトリアム渋谷
監督 園田映人

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


日本領土でありながら石油埋蔵の可能性が出てきた尖閣諸島を中国は1970年代より自国の領土と主張し始めた。
2010年頃より中国漁船による領海進入などに中国の主張は過激になり、ロック歌手、TOKMAは日本の領土とはっきり宣言する意図を持って尖閣諸島の魚釣島上陸を決意。
鹿児島の活動家、福沢峰洋が船などを手配し、監督、園田とともに上陸を2012年9月18日、決行する。

60分の短めの映画。
その後、TOKMAは幸福の科学の幸福実現党から東京都知事選に立候補。今調べてみたら幸福実現党との関わりは2012年10月からでこの映画の頃幸福実現党とは特に関わりがなかったようだ。

彼の主張は(私に言わせれば)いわゆる典型的な右翼で、「中国許すまじ」「自虐史観の払拭」である。
この映画のキャッチコピーは
「自分の国は自分で守る」
なのだが、その考えで行くと米軍の基地撤退となるが、それは映画の中では出てこなかった。

話は戻るが映画は上陸の前日に沖縄入りするところから始まる。
前日、沖縄で行われた「自国の領土を守る会」的なシンポジウムにゲストで出演。
このシンポジウムはアジアの中国に侵略された諸国の中からその国の国民に来てもらい、中国という国がいかに侵略をする国か語ってもらおうというシンポジウムらしい。
それが終わってから石垣島に飛ぶTOKMAと監督。
ホテルに着いたのは夕方。
夜は福沢峰洋と監督と3人でビールを飲みながら食事。
その後、深夜に石垣島を漁船で出航。

翌朝、魚釣島の目の前まで到着。
船長には戦時中に魚釣島で亡くなった人の追悼を行う、という名目なので、まずは菊の花を海に献花。
その後、福沢さん、TOKMAの順で海に飛び込む。
ここで船長が気づいたので、3人目(つまり監督)を生かせないために船は沖に向かう。

TOKMAもカメラを持っていったので、今度はTOKMAが自分撮り。
本当はギターを持っていく予定だったが、ギターを乗せるサーフボードが昨日、ホテルに着かなかったので仕方なく箒で歌う。
(もちろん掃除もした)

歌う歌が「I LOVE ZIPANG」
この曲がなかなか過激な歌詞で「憲法9条改正!」とイントロとサビで歌われるという感じ。
「9条を改正して軍隊を持って中国の侵略に備えよう」という発想。

こういう個人の行動を追ったドキュメンタリーの場合、撮影者(監督)はちょっと対象から一歩引く、あるいは否定する思いを持って撮ることが多いと思うが、この映画は園田監督はTOKMAに同調している。
というか(6月20日に阿佐ヶ谷ロフトAで行われたイベントの話では)園田監督がTOKMAをたきつけた部分があったらしい。
園田監督自身が尖閣に上陸したかったようだ。

ラスト、尖閣に上陸した中国人船長は帰国して英雄扱い、かたやTOKMAたちは軽犯罪法違反で逮捕される。
しかし、その頃中国の漁船団1000隻が向かっているところで、彼ら二人の保護目的で海上保安庁や海上自衛隊が動くことが出来、無駄ではなかったと強調する。

映画が終わったあと、監督及びTOKMAの舞台挨拶。
TOKMAは村山談話を踏襲する安倍政権にも不満を持っている様子。

まあ俺とは考え方が合わない人だな、とは思ったが、ヘイトスピーチを繰り返すような活動家よりは筋が通っている気がした。



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男心、ゆれる愛


日時 2013年6月22日19:50〜
場所 光音座1
監督 山崎邦紀
製作 

(詳しくはピンク映画・データベースで)


哲郎(中村英児)は女と同棲していて、自転車に乗っていると幸せという男だったが、ある日自転車で街を走らせ、休憩している時にローラースケートでやってきた真っ赤なドレスを着た女装の男にふとした時に盗まれてしまう。
そこへ高級車に乗ってやってきたサングラスの男が「一緒に探してあげましょう」と哲郎を車に乗せる。
車の男は哲郎を旅館のような家に連れていく。その家の畳の間に自転車はあった。
しかしそこで哲郎は車の男に犯されてしまう。

観ていて正直言うけどやめてほしいなあと思った。
なんだか抽象的な映画で訳解らん。
こういうタイプの抽象的な映画が苦手なのだよ、私は。

その後映画は旅館での行為はまるで夢だったのかと哲郎が車の中で目覚めて終わる。
翌日、同じように車の男に連れて行かれる哲郎。
今度はバーに連れて行かれ、女装の男が登場し、連れて行かれたのが牢屋。
その鉄格子の中に自転車があってまたまた女装の男や例の車の男に犯される。

その翌日もまた連れて行かれ、今度は大きなお風呂(銭湯みたいなじゃなく)に連れて行かれそこに哲郎が同棲している女がいて、一緒にお風呂に入ろうと言われて入ると
例の車の男がいてまた犯されるという展開。

映画は途中途中で水クラゲの映像がインサートされる。
で、この最後のお風呂のシーンで例のサングラスの男がコンドームをくわえているが、根元のゴムが丸まっているようなところがクラゲのように見えた。
だからって何かの象徴、メタファーに見えた訳ではないんだが。

ゲイピンクでこういう抽象的な映画はやめて欲しいなあ、と兎に角思った次第。
作り手がゲイじゃないからどうアプローチしていいか解らずこういう迷走が起こるんだろうか?
それにしてもこれはないだろう、という出来。
「ゲイピンクなんてどうせ誰も観ない」と思って好き勝手やったのかも知れないけど、たまには見る人もいるんでお願いしますよ。

主演の中村英児は若い頃の反町隆史のようなちょっとワイルド系の青年。
1999年制作らしいから、ちょうど反町も人気が高かった頃。
となると当時は旬なキャスティングだったのだろう。



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宇宙戦艦ヤマト2199 第六章「到達!大マゼラン」


日時 2013年6月21日22:00〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 出渕 裕

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


ヤマトはついにマゼラン銀河に到着。七色星団付近の宙域は近道だが、危険の多い航行になる。安全なルートを取ることを主張する者もいたが、「それでは敵の待ち伏せに会う危険が高い」として、沖田艦長はあえて七色星団を通るルートを選択した。
ガミラス艦隊のドメル将軍は「艦長が勇敢な男なら七色星団を通る」と判断。七色星団にての決戦に持ち込む。
迎え討つは宇宙空母4隻のドメル艦隊。ヤマトは突破なるか?

「宇宙戦艦ヤマト」もいよいよ佳境。
七色星団決戦は最初のヤマトでも最大のクライマックスだった。当然、期待する。待ってました、という感じで。
でも正直、盛り上がりが今一つだったと思う。
空中戦とか迫力があるし、細かいカットや短いシーンでいうと素晴らしいのだが、シークエンス全体でいうと盛り上がりに欠ける。
何故だろう?
こっちの期待が大きすぎるのか?
キャラクターや場所が増えすぎて散漫になったか?
前の時はなかった敵軍がヤマトに進入し、スターシャと間違えて森雪を誘拐するエピソードが追加されたせいか?
それともテンポが早すぎて、いわゆる「溜め」がなかったせいか?

七色星団決戦でドメル将軍は自決。
一方、スターシャと間違えられた森雪は収容所惑星に連れて行かれる。その時にヤマトで反乱を起こしたメンバーも一緒に連行される。
ところがその収容所惑星では反乱が発生。ヤマトの藪も何故かその反乱軍に巻き込まれてしまう。
この藪、一体どうなるのか?
次回の最終章での私の最大の関心事と言っても過言ではなくなった。
でもねえ、森雪とスターシャが間違えられるってのはちょっと無理がある気がする。
今の地球だってフセインがアメリカに拘束されたときだって、DNA鑑定をして本人と特定してたよ。
文明の進んでるガミラスならそれくらいしてもいいと思うがなあ。

という訳でガミラスに対する反乱軍とヤマトは共闘こそしなかったが、敵ではないということで、元ガミラス高官で反乱軍のリーダーの娘がヤマトに連絡要員として残ることに。

とにかくいよいよ次回でこの「ヤマト」は終結。
古代の兄はイスカンダルで生きているのか?
反乱軍の結末は?
とにかく前も書いたけど、登場人物が増えすぎて、古代すら目立たなくなっている感のあるこのヤマトだが、それ故に「あれ誰だっけ?」になって感動が薄れる事の無いように観てるこちらも気をつけたい。

次回が楽しみだ!



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キミニ惚レテル


日時 2013年6月16日
場所 DVD
監督 樹かず
製作 平成16年(2004年)

(詳しくはピンク映画データベースで)


章吾(千葉尚之)と浩平(神名弘)は高校時代からの親友。優等生で先生の受けもいい浩平と、劣等生の章吾だったが、なぜかウマがあった。
高校卒業後はそれぞれの道を歩んだ二人だったが、同窓会で再会。浩平は建築家になる夢で仕事が忙しく、歌手を夢見る章吾は売れないストリートミュージシャンでエロビデオのモデルのバイトもしていた。
そんな章吾だったが、ついに音楽事務所からデビューの話が持ち上がる。喜んで浩平に連絡しようとしたが携帯電話がつながらない。友人を通じて浩平のマンションに行ってみる。そこで会った女性は浩平の恋人だった。彼女の話では浩平は白血病に冒され入院しているという。


ゲイピンクだけでなくピンク映画で活躍する樹かずの第1回監督作品。
本人も冒頭のビデオ撮影のモデル役で出演。
第1回監督作品にゲイ映画を選んだのはなぜだろう?
普通のピンク映画では納得出来なかったのかな。そこらあたりはいつか会う機会があったら聞いてみたい。

章吾はデビューの話が決まり、プロダクションの社長から(もっとも社長兼マネージャーの弱小プロだけど)「恋人と別れなさい」と言われる。
実は章吾は男の恋人と同棲していた。これがゲイゲイしいい子だけど、朝にはスーツを来て出勤するサラリーマン。
別れる時は「うん解ってた」とあっさり承諾する素直な子。でも章吾の心はすでに浩平にあるので非常に影が薄い。ちょっと可哀想。

浩平の看病で通ううち、看護婦から今度病院で骨髄バンクのチャリティイベントがあるので出て欲しいといわれる。
その日はちょうどデビュー曲のPV撮りの日。
結局イベントの方を章吾は取ったのでデビューはなくなる。
でもこのイベントで浩平が聞いてくれるとか、この日に歌わないと死んじゃうとか言うわけでもなく、果たしてデビューをふいにしてまでも駆けつけるほどのイベントだったのかと思う。
まあその前に曲が自分のオリジナルから会社が用意した売れ線の歌になったとか、衣装が全然自分の好みじゃないとか、それこそ「GSワンダーランド」的な世界が展開されていたので、デビューをやめさせたいという展開は解るのですが、説得力的に弱いのですね。大ホールでのイベントというとピンク映画の予算的に無理という事情は解るんですが。
それとこのシーンのつながり、PVのスタジオの楽屋からイベント会場まで駆けつけるカットがワンカットでいいから欲しい。それがないと章吾の登場が唐突すぎる。

で、いよいよ浩平が危なくなったとき、浩平の酸素マスク越しに章吾がキスをするカットがいい。
切ない。

デビューを逃した章吾だが、結局自分が歌う予定だった歌で、自分が新宿で路上をしていた時に隣で歌っていた奴が歌うようになるというオチは、なんだか「急げ!若者」を思い出した。
章吾がゲイビデオに出ていたというのがデビュー前にばれてしまう、という展開になるかと思ったら、それはならなかったな。
でも総じて面白かった。



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リアル 完全なる首長竜の日


日時 2013年6月16日11:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン5
監督 黒沢清

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


藤田浩市(佐藤健)の恋人で漫画家の淳美(綾瀬はるか)は1年前に自殺未遂をして今は昏睡状態にあった。
生きてはいるが全く目覚めようとしない。
医者の相原先生(中谷美紀)の勧めによりセンシングという他人の意識に入り込んで彼女の意識を確かめる方法を取ることにした。
藤田は無事センシングに成功し、彼女の意識の中で対話に成功する。彼女は「子供の頃にあげた首長竜の絵がみたい」という。しかし藤田にはその絵の記憶はない。
相原の話ではセンシングの副作用として幻覚を見ることがあるという。
藤田はその後水に濡れた小学生ぐらいの少年の幻覚を見るようになる。

黒沢清の新作。
何で見に行ったかというと佐藤健が主演だし、予告編で観た首長竜の映像をもっと観たかったから。
怪獣とか恐竜が出てくるとやっぱりテンションあがりますから。

でまあ一言でいうと面白くないのだよ。
もっとも黒沢清の映画って幻覚とか幻像とかもう一人の自分が出てきて廃墟が登場しどんでん返しがあるってイメージがあるが、この映画もそんな感じ。

もうネタバレで書いちゃうけど、さんざん藤田が淳美を救おうとしてセンシングしていたということで話を進めておいて、実はそれも藤田の意識の動きで、実はセンシングをしてきたのは淳美という展開。
漫画家だったのは佐藤健の方。
スランプに陥っていた彼は酔っぱらって堤防を歩いていたときに誤って海に落ち、それが自殺未遂と思われたという訳。
彼の心のトラウマは例の少年。

小学生の頃、親がリゾート開発の仕事をしていた藤田はある島にやってきて、その島の娘だった淳美と知り合った設定。
そのときにいじめてきた島の子供を(どうやら淳美と仲良くしていた藤田に嫉妬していたらしい)海で死なせてしまい、それを助けられなかった二人はすべては首長竜のせいにしたという(なんかよくわからん)展開になる。

それで最後のセンシングでその死んだ島の子供が首長竜になって二人と対決するが、ここはCGっぽさが気になるが、まあ怪獣映画っぽいところもあるので、この最後の10分ぐらいは楽しんだ。

まあ元々綾瀬はるかって好きな女優でもないし、佐藤健も佐藤健でなければできない役でもない気がするし、楽しめるところが最後の恐竜のシーンだけだったなあ。
腹が立つほどの映画ではなかったけど、観なくても困らない映画だった。



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みな殺しの拳銃


日時 2013年6月15日15:00〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 長谷部安春
製作 昭和42年(1967年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


黒田(宍戸錠)は白坂(二谷英明)とともに赤沢興業の幹部。しかしボスの赤沢(神田隆)の命令で組織から逃げようとした女を殺す。その女は黒田に惚れていたのに。
それを知ったボクサーで弟の三郎(岡崎二朗)は兄を攻め、ここらが潮時と組をやめる黒田。
これからはキャバレーのオーナーの弟の英次(藤竜也)と兄弟3人でやっていこうとする。
しかし赤沢はそれを許さない。英次のキャバレーに殴り込みをかける。一時は我慢した黒田だったが、弟たちの説得により反撃に出る。
まずは赤沢の配下のボーリング場、ゲームセンターなどを自分の側に鞍替えさせる。
反撃をいう赤沢だが、黒田とは親友の白坂が仲裁に入り穏便にすませようとするが、黒田は拒否。
赤沢たちは黒田をおびき寄せ、殺そうとするのだが。

長谷部安春追悼としてのグリソムギャングでの上映。
この映画は初めて見た。
錠さん主演、藤竜也、二谷英明競演と聞き、期待したのだが、それほどでもなかったというのが正直な感想。
いや、モノクロの画面で画はかっこよく、それは素敵なのだが、話が面白くないのだな。

組を抜けようとする話の設定はよいのだが、その後がもたもたとして全く話が進んでいかない。
部分的にはいいところもあるのだが、どうにも話のテンポとかなさ過ぎ。それに映画の縦糸となる主筋がないように思う。
組を抜けようとする黒田たち、それを許さない赤沢たち、その関係を軸に近所で進む再開発の利権争いになるとか、大きな取引があるとかそういう主筋が欲しいんだよなあ。
だから設定だけでは映画はよくならないと思う。

ラストは結局弟の藤竜也は殺され、黒田は赤沢を殺し、報復に白坂が出てくる。
ここで開通前の東名高速(らしい)での白坂と黒田の対決。
黒田は白坂たちをおびき寄せ、櫓の上からライフルを撃って撃退する。
ここも正直長いな、と思う。「拳銃は俺のパスポート」のように一瞬で決める方が私としては好み。

弟役の岡崎二朗はよく知らない役者だったが、ちょっと洋風なイケメン。ただしその後は日活では主役を張ることもなかったみたいだ。
沢たまきが二谷英明の恋人のバーのマダム役で出演。
あとは岡崎二朗の恋人役でまだ若い山本陽子が出演。
途中、藤岡重慶のボーリング場支配人がプールで家族で遊んでいるシーンがあるが、これが読売ランドだったようだ。



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せつないかもしれない


日時 2013年6月9日16:40〜
場所 光音座1
監督 吉行由美
製作 平成16年(2004年)

(詳しくはピンク映画データベースで)


高木サトシ(千葉尚之)は念願の企業に就職。営業部に害属されたが初日から遅刻。部長(なかみつせいじ)にどやされる。優秀な先輩・古川(岡田智宏)について仕事を覚えていく。
古川先輩は仕事も出来て優しくてあこがれのヒーローって感じだ。好きになりかけた高木だが、古川先輩には同じ会社のかおり(林由美香)という恋人がいると知ってショック。
実は古川とかおりは今はうまくいっていなかった。セラピーに通う日々だったが、古川のトラウマは学生時代に部活の先輩(野村貴浩)に犯されたことが原因だ。
ところがある夜、道でばったりその先輩と再会してしまう。今度ゆっくり飲もうという先輩だった。

吉行由美のゲイピンク。
サラリーマン同士の恋愛という実は実社会では多そうだが(もちろん成就はしない)、でもゲイピンクでは少なかった題材。
映画となるとなんか非日常的な設定になるんですよね。
でも現実にはスーツを着て出勤するサラリーマンは多いわけだから会社の先輩後輩で愛情が生まれるのは当たり前。
もちろん相手は99%ノンケでしょうから、実際に恋愛には発展しないでしょうが、映画や小説ならありだ。

そういう意味ではテレビの恋愛ドラマのようでもある。
それとBL小説ね。
仕事がバリバリ出来る先輩と新入社員の恋ってなんかBL小説にありそう。

途中社員同士で日曜日に集まってホームパーティのシーンがある。これを機会に先輩とのツーショット写真を撮ろうとする高木だが、チャンスを逃し、先輩とかおりの写真を撮っただけ。そしてその場で別の女子写真から「高木君彼女いるの?」と聞かれ「彼女はいないよ。俺ゲイだから」とつい言ってしまう。その夜、先輩の写真を見ながらオナニーする高木がいじらしい。

そして金曜日の夜に高木と古川とかおりは飲みに行き、ベロベロに酔っぱらった高木は古川に自分の家に送ってもらう。ベッドで二人で寝るがもちろんその晩は何もない。
やがて古川は先輩に呼び出され体を重ね、自分がトラウマになっていたのは「男に犯されたこと」ではなく「それが快感だったこと」だと気づく。そしてそういう自分を受け入れる古川。

古川が仕事を休んだ日の朝、取引先から納期に届いていないというクレームがあり、それを一人で対応する高木。
古川のミスから始まった事だったが、高木がうまく対応してくれたこともあって何とかなった。
そのことがきっかけでようやく結ばれる二人。
しかし例の仕事のミスが原因で高木は倉庫係へ移動させられる。

倉庫に高木を訪ねる古川。「お前と仕事すると楽しい」「仕事だけ?」「仕事だけじゃない」と抱き合う二人という何ともBL小説のような甘いエンディング。
でもさっき書いたようにこういうサラリーマンものも必要ですよ。
ラストで先輩からもらった名刺入れを大切にしてるところとかよかった。

主演は「浮気なぼくら」の千葉尚之。前は金髪だったが今度は黒髪で断然こっちのほうがいい。
サラリーマンにしては髪型が自由すぎるので、もう少し刈ってさっぱりしたほうがよりよかった。
相手役の先輩には「僕は恋に夢中」で好演した岡田智宏。
うーん、悪くはないんだが、ちょっと二枚目のビジネスマンには見えないなあ。かと言って樹かずでも違うと思うし。
岡田智宏も千葉尚之と同じくもう少し襟足を短くしてビジネスマンっぽくすればよかったと思う。
各所に惜しいところはあるけれど、全体としてよかった。



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恋心の風景〜キャンプでLOVE〜


日時 2013年6月9日15:30〜
場所 光音座1
監督 吉行由美


英明は高校生の頃、近所の公園で自分を写生していた青年をよく覚えていた。ノンケでエロ本を見ながらオナニーする英明だが、その青年のことを考えると変な気持ちになってしまう。
数年後、英明と英明の彼女(華沢レモン)、英明の兄とその彼氏・リョウスケの四人でキャンプに出かける。途中、車がエンストしたときに助けてくれたのは宮古島(樹かず)というイケメンの青年。宮古島はキャンプ場の管理人と知り合いで、今からキャンプ場にいくところだと言う。
お礼に今夜のバーベキューを誘う英明たち。
ところが宮古島は管理人のハタノ(野村貴浩)と組んでキャンプ場で青姦する人々を撮影し、売りさばいて稼いでいた。
早速リョウスケが宮古島の餌食になって水くみに行った帰りにやられてしまう。
実はハタノこそかつて英明を写生していた絵の好きな青年だった。

吉行由美監督作品のゲイピンク。
このあと見た「せつないかもしれない」を含めて4本観たが、これが一番出来が悪い。
その原因は主に脚本にあると思う。
なにやらごちゃごちゃと撮影するしないで宮古島とハタノがもめていて、英明の彼女は英明とのセックスがよくないと言いだし、そこで宮古島が3Pを持ちかけるが、しかし宮古島の目的は英明を撮ることだから英明の彼女が怒り出したり、リョウスケと英明の兄が喧嘩を始めたりとかどうにもごにょごにょエピソードがある割には話が前に進まない。

キャンプ場で盗撮、というアイデアはよかったがその後の展開がまるでダメダメなのだな。
でハタノがかつての青年と気がついてノンケを自称していた英明も「ハタノが相手なら、」とゲイに目覚めていく。

コメディとして笑わせる方向に行っていればそれはそれで楽しめたろうが、コメディにもなってないし。

ハタノはこういう盗撮はいやだったが、宮古島に金に困っているところを助けてもらったので逆らえずこの稼業をしていたが、今回の件で「英明に顔向け出来るような人間になる」と一旦別れる。
まあ二人の今後を期待させるハッピーエンド。
絡みのシーンもそこそこあって、ゲイピンクらしいと言えばらしい出来。



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はじまりのみち


日時 2013年6月8日21:10〜
場所 ワーナー・マイカル・シネマズ板橋スクリーン4
監督 原恵一

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


松竹で「花咲く港」で映画監督デビューを果たした木下恵介(加瀬亮)。同時代の黒澤明とともに順風満帆の映画監督人生の始まりに見えた。
しかし「陸軍」がラストの出征する息子を母親が見送るシーンが戦意高揚にふさわしくないとして、続く作品が制作中止にされてしまう。不満に思った恵介は辞表を出し実家のある浜松に帰る。しかし浜松も空襲があり、本土決戦も叫ばれるため、家族でもっと田舎に疎開することに。
だが脳梗塞で倒れて寝たきりの母が心配だ。バスで運ぶには体に負担がかかるとして恵介は反対。50キロ先の疎開先までリアカーで運ぶという。
深夜12時に恵介、恵介の兄(ユースケ・サンタマリア)、便利屋(濱田岳)と出発する。

木下恵介生誕100年を記念し、「クレヨンしんちゃん」で知られる原恵一監督が初めて実写映画を演出!という売り文句で完成したこの映画。
以上の事しか予備知識を入れないで観たのだが、その物語の作り方に驚いた。
てっきり山田洋次の「キネマの天地」的な撮影所を中心にした話の展開になると思っていたら、その母をリアカーで送り届ける部分だけで木下恵介の全て(と言っても過言ではない)を描いたのだ。
これには驚いた。

濱田岳の便利屋が途中で「陸軍」を観た、という話をする。恵介は自分が映画監督で「陸軍」を撮った、とは言っていない。映画では濱田岳が語っている、という設定で「陸軍」のその問題になったラストシーンをじっくり見せる。
私は「陸軍」は未見なので、政府からは問題視されしかし恵介がこだわったシーンを理解することができる。

そして宮崎あおい扮する学校の先生が生徒を連れて歩くカットが挿入され、それは後の「二十四の瞳」を連想させる。
ラスト、敬愛する母に「映画に戻りなさい」と諭される。

この本の数日の映画や撮影所とは関係ない母を送り届けるエピソードを使って木下恵介の永遠のモチーフとして親子の情愛、戦争への憎しみにあると表現する。

木下恵介を全く知らない(私のような素人にも)木下恵介の本質を教えてくれた。
エンディングに10分以上木下恵介作品の紹介が挿入される。「お嬢さん乾杯」「破れ太鼓」「カルメン故郷に帰る」「楢山節考」「笛吹川」「喜びも悲しみも幾年月」「新・喜びも悲しみも幾年月」などなど。
これらの作品の多くが「親子の情」「戦争への憎しみ」というキーワードで彩られている。
特に「新・喜びも悲しみの幾年月」でそれまで映画のシーンは見せていたが、あえてせりふを聞かせていなかったが、海上保安庁に入った息子を見送るシーンが終わったあとで母親役の大原麗子が「戦争にいくのでなくてよかった」とつぶやくシーンはせりふを入れている。
そうかあ、このシーンは「陸軍」につながる重要なシーンだったのだな。
またこの映画で濱田岳がカレーライスについて語るシーンがあるが、それが「破れ太鼓」につながっているらしい。

そういう風に90分の映画で(映画紹介のカットが合計15分ぐらいあるから正味75分か)木下恵介の本質に触れることが出来、木下恵介という監督、及びその作劇法が非常に勉強になった。

また役者では濱田岳が好評なのが納得の好演。
母親役の田中裕子はほとんどせりふがない役だが、「二十四の瞳」のリメイク版では主役を演じている。
木下恵介とは浅からぬ縁だと思う。

それだけ意義のある映画なのだが、都心では新宿渋谷池袋では上映せず、東銀座の東劇のみ、あとは板橋とか西新井とかのシネコンでの上映。
新宿渋谷池袋で上映しないなんて、松竹ちょっとやる気がなさすぎないか?
木下恵介に対するリスペクトが低すぎると思う。
ちょっと憤る。



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境界線の向こう側


日時 2013年6月8日
場所 TUTAYA宅配レンタルDVD
監督 小谷内郁代
製作 平成10年(1998年)


ヒロシ(八幡現代)とトシヤ(西岡秀記)は一緒に暮らしているゲイのカップル。ヒロシは実は実家が会社をやっているが父に反発し家出をしている身。だが定職にもつかず、二人の生活はトシヤがネットで見つけた相手と援助交際をして稼いでいる。
ある日、金に困ったヒロシは旧知のバーのマスター(佐野和宏)から便利屋の仕事(実はちょっとやばそう)な仕事を紹介してもらうが、運ぶ段ボール箱を落とし、100万円の壷を割ってしまう。
仕方なく実家に戻ることも考えたヒロシは実家に連絡を取ると、父は病気で危ないという。
親の為に結婚を考えるヒロシ。トシヤに相談し、同じようなレズの女性と偽装結婚を考える。
偽装結婚相手を紹介するHPで綾子(佐々木麻由子)という女性と話がまとまり、彼女が住んでいる和歌山に会いに行こうとする。
その時、綾子の恋人・亜美(麻生みゅう)がヒロシたちを訪ねてくる。「絶対に綾子との結婚は許さない」
そこへバーマスターも金の取り立てにやってきて、逃げだしついでに亜美を綾子に届けようとするのだが。

小谷内郁代という馴染みのない監督によるゲイピンク映画。なかなか面白かった。前にも書いたかも知れないが、やっぱり男性監督より女性監督の方がゲイを描くのに適しているのだろうか?
男性だとゲイに対して嫌悪感違和感が先に立ってしまうだろうからなあ。その点女性の方がそういうマイナスの感情なしにBLと同じくファンタジーとして割り切って描けるのかも知れない。

親の為に偽装結婚を考える、というテーマがいい。
これってゲイにとって切実な問題だからなあ。男の方が相手が結婚を言い出したことに反対しないのがいい。そう、相手の男だってそれは解っているし、受け入れなければならない現実なのだろう。この映画を僕が好きになったのはその点なのかも知れない。
男の方が「僕のこと好きじゃないの?」ってヒステリー起こされるとかえって引いてしまう。

途中金が無くなって田舎道を歩いていた男に「この子、2万円でどう?」というが亜美じゃなくて「こっちがいい」とトシヤを指名するところは、ありきたりな感じとは言え笑った。

またロードムービーらしく、ある老人(野上正義)をヒッ
チハイクで拾う。このじいさんが「ヒッチハイクなのは私の流儀。みんなで泊まった方が楽しい」と温泉旅館に泊めてくれる。ところが野上正義が演じてるものだからてっきり朝になったらとんずらしていて旅館代はトシヤたちが払う羽目に、という展開になるのかと思ったら、そうじゃない。
じいさんは昔の恋人を訪ねていてそれがヒロシに似ている、という訳で一回濡れ場がある。
結局じいさんは恋人に会えなかったのだが、やっぱり好きな者同士、別れちゃいけないという教訓を残す。

ラストでは綾子が亜美を迎えにきて「やっぱり結婚はやめて亜美を大切にします」と結婚は不成立。
そしてヒロシも結婚をやめて親にトシヤを紹介するというエンディング。

結婚を考えるゲイ、っていう切実なテーマを明るく希望のあるラストで描き、よかったと思う。
好きな映画だ。



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優しすぎる獣 思いはあなただけ2


日時 2013年6月3日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 北沢幸雄
製作 平成14年(2002年)

(詳しくはピンク映画データベースで)


ヒデオの死後、酒に溺れる日々を送っていた私立探偵の松沢吾郎(川瀬陽太)だったが、ようやく仕事に復帰した。
それは浮気調査。国分というスポーツ振興会の理事(池島ゆたか)の妻が夫の浮気を疑って調査を依頼したのだ。
国分は浮気はしていたが、女ではなく男だった。
大学生の男に試合に出れるよう取りはからってもらうことを脅迫される国分。その一部始終を吾郎は盗聴した。
数日後、その大学生が殺されたと知る。
脅迫に耐えかねた国分が殺したか、あるいは国分の妻が腹いせに殺したか、いずれにしても吾郎には関係ないことだ。
しかしある日、吾郎は二人のチンピラに拉致され拷問を受ける。なんとか解放されたが、しかしなぜ自分が狙われたのか?

松沢吾郎ものの第2作。
似たような設定の別の話かと思っていたらつながっている。
しかしちょっと無理があると思う。

吾郎は拉致された時、チンピラの会話から一人が小岩という名前だと解る。そして国分の一件が絡んでるとにらんだ吾郎は旧知の刑事に国分の周りにヤクザがいないか調べてもらう。
自分に依頼した国分の妻の腹違いの弟が大町というヤクザだった。この大町という男、実はかつて吾郎の刑事時代の相棒だった、という展開。

大町もゲイで吾郎に惚れていたがやはり受け入れられず、その満たされない想いが大町を覚醒剤に走らせ、ヤクザになるきっかけを作ったという設定。
話のネタとしていいのだが、前作も二人の男に惚れられたてしまうノンケの話で、今度も実は以前にもそういう男がいた、という話だから一体何人のゲイから惚れられるんだよ、この男は!って思ってしまう。

だから東映ヤクザ映画みたいに同じような話でも、別人に変えて別ヴァージョンの話としてすれば素直にみれたかもしれない。
そうすればあわよくば第3弾も狙えたかも知れないのに。

でもゲイ映画で私立探偵ものというのは興味のあるジャンルなので、また作って欲しいなとは思う。
ゲイの私立探偵が様々な事件に巻き込まれていくシリーズものとか。
川瀬陽太はこういったノワールがよく似合う役者だと思う。今度は逆に悪役で登場してもらいたいと思う。
あともう少し謎解き、意外な犯人的なミステリーとしての面白さも欲しかった。
その辺が弱いのがピンク映画としての弱点か。



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淫ら好き 4人でしゃぶる


日時 2013年6月2日16:30〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 深町章


有名作家(なかみつせいじ)が亡くなり、その妻・より子(里見瑤子)は夫の本に書いたように海岸に散骨にやってきた。そこへ不倫相手だった今やちょっと売れなくなってきている女優の冬子(平沢里菜子)がやってくる。
冬子はいかに作家が自分を愛していたかを語る。
そこへ葵という作家の秘書がやってきた。実はこの2年間作家は書いておらず、自分がゴーストライターとして書いていたのだという。
より子や冬子が読んで散骨の事が書いてあった「セクレーンの歌声」という本も実は葵が書いたという。
もちろん葵と作家も関係があり、しかもSMの中で首を絞め合っていたらしい。
そこへ今度は女子大生・なお(華澤レモン)がやってくる。彼女も以前大学で作家の講演を行った時にお世話し、その後ホテルへも行ったという。

この週はいまおかしんじ監督・港岳彦脚本の「獣の交わり天使とやる(イサク)」に坂本礼監督、吉岡睦雄主演の「いくつになってもやりたい不倫(背徳におぼれて)」とこの映画の3本で上映。
だから目当てで行ったのは今書いた2本で、この映画はついでに観た。

ああもういかにもピンク映画にありがちな話も何もない、ただ濡れ場をつなぐだけのためにストーリーめいたもの(ストーリーではない)があるだけの映画。
砂浜に女優が徐々に増えていってそれぞれが作家との関係を語るだけ。こんなレベルなら脚本家っていらんだろう。

最後のなおが実は妊娠しているという話になる。
「誰の子か解ったものじゃない」というが「私はまだ後にも先にもセックスは先生とした1回だけ」と言う。
だから絶対に先生の子供という事だが、正妻のより子が自分がその子を育てると言い出す。
「あの人の子供なら欲しい。しかもみんなにやり殺されたのだからもう報いは受けた」と言ってすべてを許す、という結末。

海岸で話している4人のシーンとそれぞれの女優さんがなかみつせいじと絡むシーンをつなぐだけだからシーンの移動もないし、さぞ作りやすかったのでは?と勝手に想像できてしまう映画だった。
まあもちろんホントはいろいろ苦労があったかも知れませんが。



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思いはあなただけ I THOUGHT ABOUT YOU


日時 2013年6月2日
場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD
監督 北沢幸雄
製作 平成8年(1996年)


私立探偵の松沢吾郎(川瀬陽太)は久しぶりに依頼を受けた。
有名な作家の息子が誘拐され、帰ってきたと思ったら二人の男に陵辱されるのが写ったビデオを買い取れと言われたのだ。マスコミに知られるのを恐れたその作家は金を払ったが渡されたのはダビングした分だった。是非マザーテープを入手して欲しいという。
気乗りしない仕事だが金の為には仕方ない。助手でゲイのヒデオと引き受けることに。
その晩、二人で行き着けのバーに行ったが、そこでチンピラに絡まれる。だが吾郎が逆にそのチンピラをやっつけてしまう。
ヒデオは吾郎に惚れていたが、吾郎はノンケで見込みはない。苦しむヒデオは男漁りをしてしまう。
吾郎は元刑事で過去に妻を殺された経験を持っていた。
ビデオを見直しているうちにビデオに細野というヤクザが写っているのを発見する吾郎。
その細野は妻を殺した男を殺して刑務所に入った男だった。細野は吾郎の為に殺したのだという。
だが偶然にもヒデオは男漁りをしているうちに細野と出会っていた。

川瀬陽太主演の探偵もの。
とは言っても謎解きは主眼ではなく、満たされない愛情に身を焦がすゲイの物語。

ビデオ事件の方は詳しくは解らないが、ヒデオも前に細野の家でビデオでレイプしている男を見かけたこともあってビデオのダビング場所やマザーテープも入手して事件はあっさり解決。

でも話は終わらない。
細野が吾郎の妻を殺した男を警察より早く察知して殺せたのは、細野が仕組んだからではないかと疑念を抱く。
細野は吾郎を愛するあまり自分に関心を持ってもらいたくて妻を殺させ、その殺した男を殺し感謝してもらいたかったのだ。

ラストは細野はヒデオを誘拐し、吾郎に迎えにこさせる。
最初のバーで吾郎に倒されたチンピラは細野の舎弟に鳴っていて同じく吾郎を倒そうとするが、細野に「手を出すな」とはたかれる。

結局細野は吾郎に倒されるが、ヒデオも細野たちの暴力によって命を落としてしまう。
夜明けの海岸でヒデオの遺体を持って歩く吾郎でエンドマーク。

細野もヒデオも吾郎を愛したがノンケゆえに絶対に受け入れられない。
そんなゲイの愛のもどかしさが一人は狂気に、一人は純愛となって現れる。
そんなゲイの愛の悲しさがよく出ていた。

再び吾郎が活躍する第2弾もあるらしいが、どうなっているのか。ちょっと楽しみ。



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汗ばむ破壊者


日時 2013年6月1日21:00〜
場所 アップリンク・ファクトリー
監督 今岡信治
製作 昭和62年(1987年)


いまおかしんじ監督が大学の映研時代に撮った映画。
22歳の時の作品か。
ストーリーめいた物はなく、若い男とかわいい女の子が登場して若い男がその悶々とした思いを描いていく50分の映画。
8mmだけど壁に映した映画をビデオカメラで撮影したという感じでテレシネした映画。だから画面がやや斜めになっているが最初は気になるがやがて気にならなくなる。

冒頭、若い男が低い崖のあるところに登場し、そこに杭をうち始め、やがて全裸になって(股間が写って)杭をうち続ける。ここで驚いた。
(あとで聞いたら昔の8mmは現像に関してはノーチェックだったそうだ。今日の上映のデジタル版はぼかしが入っているが)
でサークルの部室の窓をぶっ壊すシーンなどが続き、あこがれの女の子のシーンが時々挿入される。

作家の初期の作品を観るとキューブリックの「恐怖と欲望」のように後の作品につながる要素が見て取れて面白いものだが、この作品もそうだった。

「暴走する愛情」というのは後の「たまもの」を始めとしていまおか作品にはよくあるモチーフだし、途中あこがれの女の子が江ノ電を降りてバスに乗り換えるシーンで赤い傘をさしている。
海辺、砂浜、(ラストにも登場する)というのは(いまおか監督時自身は特に意識はしていないそうだが)がたびたび登場するし、赤い傘は「白日夢」にも登場した。

その前に電車(たぶん江ノ電)の中で、男が吊り輪を引きちぎり、女の子の近くに行き、その吊り輪を示して掴まらせてあげる。
こういう行動が面白い。

またその後、江ノ電を女の子が降り、男もそれを追いかけて降りるカットがあるがそれをカメラは電車に乗ったままで電車が動いていくカットを窓越しに撮影する、バスに乗る女の子とカメラは一緒にバスに乗り、男がバスに乗れずに追いかけるカットを一番後ろの窓から撮り続けるカットなど「動きがあっていいなあ」と思った。

でも一緒に観たE監督によると「同時代の園子温とか平野
勝之とかの映画によく登場する、いかにも当時の自主映画好きが撮りたがるカットの連続」とおっしゃっていた。
当時の自主映画を実は私はよく観ていないので、そういうものかと思った。

あと主人公の若い男がオナニーする姿を延々と撮ったりし、さらには男が自分の乳首をカミソリでちょっと切って血を出すという(私はこういうカットは苦手なのだよ)という90年代のいまおか作品にあったバイオレンスショットもあり、いまおか作品の原点を感じられて観るべき物はあった。

でも映画単体としては別に好きな映画ではありませんでしたけど。



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愛がとまらない


日時 2013年6月1日19:30〜
場所 アップリンク・ファクトリー
監督 小口容子


高校生のサクラコの母(が主人公)は離婚していて、たまたま飲んでいたバーで別れ話を切り出され女に殴られていた男を見かける。
外に出たらその男が倒れていた。
サクラコの母は男を自分の家につれて帰る。まるで子猫を拾っていたかのように。
最後には結局男は出ていった。

8mmにこだわって映画を撮り続ける映像作家の小口容子の新作。
最初に書いておくけど小口容子さんというのは初めて知った。見に行ったのはいまおかしんじ監督のトークイベントといまおか監督の8mm作品が同時上映されるから。

8mmで撮るなんて今でも出来るのかと思ったら今でも何とか方法はあるらしい。編集は今でもフィルムをスプライサーで切ったり貼ったりしてるのかと思って、監督に終わってから聞いたが撮影後はデジタル化してパソコンで編集してるそうだ。その方がフィルムが傷つかないしやり直しも簡単だし便利だそうだ。でもフィルムの画質の方が「写ってる物がある」とこだわるそうだ。

フィルムとデジタルなんて上とか下とかの問題ではなく、絵にたとえれば水彩画か油絵の違いみたいなもので表現方法の違いかなと思う。
映画の場合は劇場の設備とかコスト(製作予算)と大きく関わってくるけど。

で映画の方だが、撮影時のカメラの回転音が入っていたりして音が聞き取りづらい。でも監督の意識としてはわざと、あるいは音が入ることは承知で入れているらしい。
もっと言えば回転音が入っているほうがいいと思っているらしい。
その考えにはついていけない。
やっぱり観客には音は聞かせ易くしなくちゃ。
あのカメラの音が入っているといかにも(悪い意味での)「自主映画」という気になるのだよ、私は。

でお話の方も働かないダメ男がいてそれを助ける女がいて、娘は不満たらたらという感じで進み、何のカタルシスもなく終わる。
どこで終わってもおかしくないような内容なので、エンドクレジットが出始めたときは「あっこれで終わりなの?」という感じ。

まあ本人もメジャーになるつもりは無いようだし、「自主なんだから自分の作りたいように作る」というスタンスだから、それでいいんでしょうけど。
ならば金取って見せないで欲しいな、とも思うけど、そこはお金をもらいたいというのが自主映画の悲しい性だ。

たぶんこの監督の映画は二度と観ることはないと思うけど、私には合わなかった。



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