2013年9月

ウルヴァリン:SAMURAI
許されざる者 兄嫁 禁断の誘い 痴女の盗み撮り
奥まで覗く
団地妻 隣のあえぎ
ゼンタイ ベッド・パートナー
BEDPARTNER
喪服の人妻 崩れる white room
〜止まらない愛
ハードコア・デイズ
ゲイビデオ・カメラマンの恋
母娘監禁 牝(めす) スナック桃子 同禽の宿 桃尻娘
ピンク・ヒップ・ガール
貞子3D2 スマ4D 恐るべき遺産
裸の影
オーガストウォーズ ガッチャマン

ウルヴァリン:SAMURAI


日時 2013年9月28日16:40〜
場所 新宿ミラノ座1
監督 ジェームズ・マンゴールド

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


不死身の体を持つローガン(ヒュー・ジャックマン)は太平洋戦争中には日本軍の捕虜となって長崎にいた。
B29の空襲の最中、一人の日本人将校ヤシマを助ける。
戦争が終わって何十年か経った現代、カナダの山奥にひっそりと暮らしていたローガンだが、ユキオ(福島リラ)という女性が訪ねてくる。「ヤシマが会いたがっている。彼はもう長くない。戦争中のお礼が言いたいと言っている」
渋々日本に向かうローガン。ヤシマは戦後ビジネスで大成功し、今や日本有数の資産家だった。
彼の息子・シンゲン(真田広之)はローガンを歓迎しない。シンゲンの娘・マリコ(TAO)とシンゲンもうまくいってないようだ。
ヤシダの主治医のヴァイパーという女性は何か謎めている。
ローガンと再会したヤシマは「君は不死身を苦しんでいる。君の不死身の能力をくれたら君を普通の体にしてあげよう」という提案をする。なんだか変だ。
結局その晩、ヤシマは亡くなった。
増上寺で行われる葬儀の席で何者かがマリコを誘拐しようとする。ローガンはマリコを助け、彼女の田舎の長崎の町にやってきたのだが。


基本的にアメコミものはここ数年観ていない。
「スパイダーマン」を観てから観なくなったからもう10年ぐらい経つんじゃないか?
爆発とかアクションとか迫力ある映像が続くのだが、逆に言えばみんな同じようなアクションばかりでいい加減飽きた。一言で言えばそういう理由だ。
だから最近のSFの大作アクション映画は観なくなったなあ。
ましてや「XーMEN」も観ていない。

という私だが何で観たかというと日本が舞台だから。
日本が舞台の外国映画を観るのがとにかく好きなのだ。
「トンデモな日本」を観るのが好きなのだよ。
相変わらずやってくれるのはヤシマの豪邸。
しかもマシンガンを持ったボディガード。いや日本で銃を持ってるのは警察と自衛隊とヤクザだけだから。
それで「何百年もヤシマ家に仕える忍者」が出てくる。
うーん未だにそのイメージか。
日本人がアメリカの田舎では未だにカウボーイがいてガンマンいて馬で旅してると思っているようなものか。
そう考えるとアメリカ人も今でも忍者がいるとは思ってないだろうけど、「映画のイメージ」としては忍者は欠かせなくなる。

増上寺でのシーンはよく許可されたなあとも思ったが、案外協力的なのかも知れない。(「東京SOS」にも出てきたし)
そして東京の街を逃げるシーンが続くが、これが秋葉原と高田馬場とか出てくる(解らなかったが、一部新宿でも撮影された)。もう東京の地理は無視である。
その後新幹線に乗って屋根の上での大アクション。
ここが一番迫力があったかな?

で鳥居のある海岸のある村になる。
うーん、確かに日本情緒な感じはしますなあ。

で話の方はヤシマは子供のシンゲンを飛ばしてマリコにグループの後継者にする遺言を残したので、シンゲンがそれを阻止しようとマリコを誘拐しようとする。
そのヤクザを操っていたのがマリコの政略結婚の婚約者の若手政治家にして「法務大臣」!
いや20代ぐらいで法務大臣はあり得ないだろう。

で、結局実はヤシマは生きていて強化ロボットみたいなのの中に入っていて、そしてウルヴァリンの治癒力を自分に移植して永遠の命を得ようとしてるが・・・という話。
結局はウルヴァリンにやられてしまうんだけどね。

パンフによると日本の撮影は去年の8月末から9月上旬だったようだ。
2週間ぐらいしかいなかったようだから、ほとんどはアメリカ(かどこかの)スタジオで撮影されているのだな。

まあ「トンデモ日本」はたくさん出てきたので、私としてはその点は楽しめました。
でも1週間たったら全部忘れそうな映画ですね。



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許されざる者


日時 2013年9月27日21:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン10
監督 李相日

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


明治の初め。釜田十兵衛(渡辺謙)は幕府軍として官軍の兵士を斬りまくり恐れられた存在だった。
だが幕府軍は降伏、今度は官軍に追われる身となり、北海道にまで逃げてきた。
何とか生き延び、今は百姓として細々と暮らし、アイヌ人の妻をもらったが、その妻も幼い子供を二人残し3年前に亡くなった。
そんな頃、開拓地のある村で酔った開拓民が「モノが小さい」と女郎に笑われたことがきっかけで、その女郎・なつめの顔を切りつけた。村の警察署長大石(佐藤浩市)は切りつけた開拓民堀田兄弟(小澤征悦、三浦貴大)に対し、女郎屋の主人に損をさせたということで、馬6頭を支払うことで解決させた。
そのことに納得がいかない女郎たちはお梶(小池栄子)が中心となって堀田兄弟に懸賞金をかける。
十兵衛の元にかつての戦友、馬場金吾(柄本明)がやってきた。「堀田兄弟を殺して懸賞金を二人で山分けしよう」
もう人は殺さないと誓ったからと一度は断った十兵衛だったが、貧乏暮らしに耐えかね、金吾とともに出かける。


クリント・イーストウッドの西部劇「許されざる者」を日本に舞台を移してのリメイク。
イーストウッド版は観ている。映画から離れていた時期に観たからビデオで観た。実はそれが具体的にいつだったか思い出せない。当時会社とかに不満を持っていた時期で「許されざる者」というタイトルで何か極悪な奴をイーストウッドのガンマンが倒すという、勧善懲悪ものを期待して観た。
正直言ってがっかりした覚えがある。
勧善懲悪的なカタルシスもないし、第一(たぶんにVHSでブラウン管テレビで観たせいだと思うが)映像が暗くてよくわからないカットもあって「観づらい映画だなあ」という印象で、とにかくいい記憶がないのだな。

というわけであんまり期待をせずに観たのだが、その期待は裏切られることなく、カタルシスはない。
もちろん堀田兄弟も署長も悪い奴だが、極悪非道というほどでもない。
だから「許されざる者」という訳でもなく、正直、この映画は私には取っつきにくい。

途中から十兵衛一行にアイヌ人の五郎(柳楽優弥)が加わる。アイヌ人の問題が関わってくるので、これはオリジナルでのインディアン(ネイティブアメリカン)の問題を移し変えたのかと思ったが、オリジナルでは別にそうでもなかったらしい。
しかしこの柳楽優弥がなんだか(監督の希望もあったのだろうが)「七人の侍」の菊千代っぽい。

話のテンポもまったりしてるし、カタルシスにも欠けるし、どうにもあわない映画だった。
オリジナルもまた再見したいと思う。今観ると違って見えるかも知れない。
もしオリジナルを再見してイーストウッド版が面白かったら、リメイクした方の責任と言い切れる。



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兄嫁 禁断の誘い


日時 2013年9月21日19:40〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 上野俊哉
製作 平成10年(1998年)


ケンジは結婚を約束していた女に突然「好きな人が出来た。別れたい」と言われる。
失恋し、東京から田舎に帰るケンジ。
田舎の家は兄、リュウスケがついでいた。
母はガンで長く入院している。
リュウスケは母の看護婦ミチコと不倫していて、今の妻と別れて結婚を考えている。


新東宝1998年作品。
1998年だと今から15年前になるが、ちょっとファッションが古い。眼鏡がね、昔は丸い形が多かったが、ここ数年は細長い形しかないのだな。
主人公がセルフレームの丸い眼鏡をしているのだが、この形はこの頃まではまだあったのか。

で映画の方だが、リュウスケとケンジが二人で居酒屋に飲みに行くとその店で働いているミチコを紹介される。
ケンジが翌日母の見舞いに行くとそこで看護婦をしていたのが昨日の居酒屋で働いていたミチコ。
その後、ケンジが一人で居酒屋に飲みに行くと「もうすぐ終わるから飲み直そう」と言われて飲みに行ってその後二人はしてしまう。

リュウスケの不倫を知っている兄嫁はケンジに「抱いて」と迫る。さすがにそれは出来ないとその場を去るケンジ。
その後、母が危篤。
リュウスケはケンジとミチコの件を知り、やっぱり不倫を止めると決める。
母は何とか持ち直す。が、これを機会に兄嫁はリュウスケの元を去る。

そんな感じの話でした。
ケンジも終始おどおどした感じの奴で好きになれない。
もっと堂々としてろよ。兄もやたら威張り散らしていやな感じ。でもその程度しか感想が出てこない。

現場協力として今岡信治氏と細谷隆弘氏の名前があった。
ふーん、そうなのか。



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痴女の盗み撮り 奥まで覗く


日時 2013年9月21日18:40〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 橋口卓明
製作 平成11年(1999年)



レイプの現場を撮影してそれをテレビにスクープとして売る女がいた。
今日もそのレイプ現場を撮影する。空き地でのレイプだったが、ジョギング中の男が目撃する。しかしレイプされた女性はジョギング中の男が見ているところで線路に飛び込んで自殺。
レイプの撮影は成功し、その映像はテレビのワイドショーで放映。
プロデューサーが登場し、「この映像はある勇気ある方からの投稿です」と答える。もちろんレイプの現場を撮影した女性とプロデューサーは関係があり、お金も動いていた。
例のレイプを目撃した男の部屋には自殺した女性の幽霊が現れるようになる。
男はテレビ局でプロデューサーが出てくるのを待ち伏せ、彼の家を突き止め、そして撮影していた女性を突き止める。

「痴女の盗み撮り」っていうからのぞき趣味の女が青姦を覗く話かと思ったらさにあらず。
看板にだまされた。まあピンクでは珍しいことではないので、だまされる私もなんですが。

で、映画の後半で、例のジョギング男がそのスクープカメラウーマンの部屋に行き殺してしまう。
「おいおいいくら何でもやりすぎだろう」と思ったらオチがあった。
男が部屋に帰ったら例のレイプされて自殺した女性の幽霊がいた、という訳。
どうやらその幽霊に突き動かされていたらしい。

正直退屈だなあ、と思っていた映画だったので、最後のオチで少し取り返した感じがあった。



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団地妻 隣のあえぎ


日時 2013年9月21日17:30〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 サトウトシキ
脚本 今岡信治 
製作 平成13年(2001年)


幸子は自分の住んでいる団地の空き部屋に忍び込んで昼寝をしていた。時々そうしているらしい。
隣の部屋から男女のあえぎ声がする。そこへその隣の部屋の夫婦の夫の勝男が入ってくる。妻が浮気して男を連れ込んでいるのだという。
幸子と勝男はそれがきっかけで親しくなり、翌日は二人でパチンコに居酒屋へ。
幸子の夫、五郎(伊藤猛)は妻が浮気してるのではないかと面白くない。


いまおかしんじ監督の脚本作。
この脚本はいまおか監督の脚本集で読んでいた。でも具体的な内容はさっぱり覚えていなかった。
きっとそのせいだとは思うが、映画を見ていて、既視感があった。まあ当然なのかも知れないが、でも映画を見る前はどんな話だったか説明しろと言われても出来なかった。
それでも見た気がしたのは脚本を読んでいたからだろう。

で、どうだったかと言うと正直、私向きの話じゃない。
団地に住む主婦の心の渇き、というか歳を取っていくことの焦り、かまってくれない夫への寂しさ、などがテーマ、というかモチーフ。
そういうのって私は物足りないんですよ。

もうちょっと振り切った感じの愛というか。
「白日夢」「たまもの」などの人を殺しちゃうほどの愛、「いくつになっても男と女」の何十年も思い続ける愛、「罪」の犯罪加害者と被害者家族の関係、そういうもっと追いつめられた感のぎりぎりの感情。
そんなドラマが描かれた作品が好きなので、正直もの足らない。

でも幸子が若い頃に着たディスコのお立ち台で着るような衣装を今着たところとか、同じく伊藤猛がラストで昔の踊りの衣装(「サタディーナイトフィーバー」みたいな感じ)を着て腰が痛くなって動けなくなるところなど、なんかいまおかさんっぽいユーモアだと思う。

監督作品だったらもう少し違った印象を持ったかも知れない。
機会があったらもう一度観たいと思う。
今岡作品は脚本、監督作品を全て制覇するつもりなので。



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ゼンタイ


日時 2013年9月20日21:30〜
場所 テアトル新宿
監督 橋口亮輔

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


「ゼンタイ」とは全身タイツのこと。その愛好者のことも言うらしい。
全身タイツ愛好者がいることは知っていた。何年か前にロフト・プラス・ワンで「変態ナイト」(というタイトルだったか)で様々な変態について扱ったイベントで紹介されていた。
タイツの持つ触感がなんとも言えず、それが全身(顔までも)を覆う感触はたまらないという。うん、やってみたいとは思わないが、何となくは理解する。

というわけでゲイという性的少数派の橋口亮輔が同じく性的少数者の「ゼンタイ」を描く映画かと思ったら違っていた。

もともとが最近よく見るワークショップが基本の映画なのだが、短いほとんど無関係なドラマをオムニバス形式でつないでいく。
「草野球」「コンパニオン」「発泡酒」「レジ係」「ゼンタイ」「主婦」などのドラマ。

「草野球」はなかなかメンバーが定着しないため、9人が集まらずそれを何とかしようとミーティングを開くが、相変わらず話が脱線しまくりで埒があかない、「コンパニオン」はスーパーの開店イベントにやってきたベテランコンパニオンと新人コンパニオンの世代間対立、「発泡酒」は居酒屋に来た仕事仲間が「発泡酒なんて酒じゃねえ。男はやっぱりウイスキーだ」ともめる話、「レジ係」はわがまま放題のバイトたちをまとめる、たぶんパートの先輩が後輩バイトから総攻撃される話、「ゼンタイ」は全身タイツ愛好者のカラオケボックスでのオフ会、「主婦」はミニコミ誌の編集をしている主婦が、主婦仲間のリーダーが自分のブログで書いたジュースのレシピを無断転載したとかでもめていじめる話。

要するに小さな人間関係でどうにも悩んでしまうような息苦しさを描き、それぞれのエピソードのいちばん困っていたメンバーが実はゼンタイ愛好者で、という展開。
この場合、ゼンタイは「性的フェチの一種」というより、「仮面をかぶることにより、自分以外のなにものになれる」という精神的な愛好者として描いている。
それも事実だと思うが、期待した内容と違っていたのでちょっとがっかりした。

それぞれのエピソードの人物がゼンタイ愛好者のオフ会に出席していたという件だが、そもそもゼンタイ着て顔を隠したら誰だかわかんなくなっちゃうよ。だから映画的な素材ではない気がした。

それと各エピソードは面白いと言えば面白いのだが、「ネチネチと同じ話をなんども蒸し返して人物をいじめる」というような話はよく小演劇で見かけたが、私はこれは話が前に進まないので好きではないのだよ。
この映画はもとは役者のエチュードが基本らしいのだから、そうなってしまったのか。
そういう訳で私の好きなタイプの映画ではなかった。



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ベッド・パートナー BEDPARTNER


日時 2013年9月16日16:10〜
場所 ザ・グリソムギャング
監督 後藤大輔
製作 昭和63年(1988年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


大型総合商社の総務課で係長として働く小宮鏡子。
営業のOLからは「仕事一筋で遊びをしない人」と思われているが、実は遊び歩いている後輩をうらやましがっていた。ランチも高級ではあるがいつも一人で食べている。
そんな時、後輩で一番遊んでいる由美子とバーでばったり出会う。「出張で東京に来ているサラリーマンと飲んでるんですが、一緒に来ませんか」とそちらのテーブルに誘われる。飲んだ後、男二人、鏡子とユミコは彼らの泊まるホテルに入る。別々に別れる鏡子とユミコだったが、男の強引な態度がいやになり帰ろうとする鏡子。だが帰りにユミコと男がベッドで激しくプレーしているのを見入ってしまう。
ある日、ユミコ宛にかかってきたユミコの彼氏、坂本の電話をとってしまう鏡子。そしてそれがきっかけで坂本の後輩、松本と知り合い、自分はユミコの振りをして松本と会う鏡子。
松本は徐々に自分に一途になっていく。


後藤大輔監督第1回監督作品。
同時ににっかつロマンポルノの最後の作品でもある。
製作は88年だが実に時代の空気を閉じこめている。

まず女性のファッション(服も髪型も)80年代ですねえ。服なんか派手な原色のスーツで(さすがにあれで出勤するOLはいないと思うが、ああいう服を着ている子はいた)肩パットが入ったような肩の張った服。
ワンレン、ボディコンという言葉があったが、そんな感じ。

そしてユミコが自分の誕生日パーティを開くシーンがあるが、バーを貸し切りでパーティしている。
今でも女子大生が誕生日会を開くことはあるだろうが、数人の飲み会だろう。
(もちろん今の女子大生やOLのことは詳しく知らないけど少なくとも映画に出てくるレベルではそんなイメージだ)
で、若い男女が音楽に合わせて踊る。
うん、80年代ならあったかもな、ああいう感じのパーティ。
とにかく昔のトレンディドラマを観るようだった。
特に意識したわけではないだろうが、当時の映画作家たちが描くとあんな感じになってしまうのは自然だったのだろう。

話の方だけど、ユミコに誘われていったユミコの誕生日パーティでこれまた坂本に誘われて来ていた松本とばったり会ってしまう。その場から逃げ出した鏡子だが、当然全て松本には解ってしまう。
でも(たぶん優しさから)松本は鏡子の家を訪れ表札を見て「小宮さんていう方と一緒に暮らしてるんだ」と話を合わせる。
結局は鏡子と松本は結ばれるのだが。

またこの映画の面白くないところは松本がまるで魅力がないのだ。
どう見てもモテなさそうな男で、映画的にも魅力を感じないのだな。別にイケメンでなくても何か人間的に魅力を感じればまた違った感想を持ったと思うけど、準主役の映画を引っ張る魅力がないんだなあ。

そうそう前半のユミコが出張男とホテルに入ったシーンで、氷を使ったプレイをするのだが、これが「喪服の人妻」でも使われていて、余程このシチュエーションが監督は好きだと思った。
原点は何だろう?
洋画で80年代前半で話題になったんだよな。見てはいないけど、話には聞いたことがある。

80年代の時代風俗ばかりが印象に残る映画だった。



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喪服の人妻 崩れる


日時 2013年9月16日15:00〜
監督 後藤大輔
製作 平成13年(2001年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


トミコ(佐々木麻由子)の夫は零細の印刷工場を営んでいたが今は事故で下半身不随の身。夫の母が亡くなったが、その葬儀もトミコが喪主代理を務めた。
夫は寝たきりだが、リハビリのやる気はなく、自暴自棄になっている。そんな時、坂田という男が印刷工として働き出す。経験はあるので役に立つ男だった。
だが夫が検査入院をした日、坂田はとトミコを襲う。
一度は抵抗したトミコ。しかし夫の担当の女医ともトミコは関係があったが、家でその最中にその姿を坂田に見られてしまう。
トミコはやがて坂田と関係を持つようになり、夫の介護で縛られている自分を抜け出してくれるよう頼む。


後藤大輔監督ピンク映画第1回作品。
ピンク映画の前はにっかつで助監督から最後のロマンポルノ「ベッド・パートナー」で監督に。その後、Vシネマで「0課の女」などを撮り、この映画からピンク映画に。

印刷工場の狭さがなんともいえない閉息感を感じさせる。
その印刷工場で坂田がトミコに襲いかかるシーンは、工場の機械の単調な音が妙に臨場感、緊張感を増していた。

となかなか緊張感のあるシーンで前半はいいのだが、結局犯された女が犯した男に惹かれていくという、こういうエロ系の映画(ビデオも含む)でありがちなパターンに陥っていく。
そういう話は乗れない。

坂田とトミコで高飛びしようとするが、坂田が競艇に夢中になっている間に飛行機に乗れなかったという展開。
賭事で身を崩すのは話に乗れないなあ。

最後は病院から帰ってきた夫を狭い階段で坂田が運ぶ途中で夫が暴れて階段から二人とも落ちて夫は打ち所が悪く死んでしまう。
このシーンは夫も坂田に対する嫌がらせで背中で小便をしたり、緊迫感があるシーンだった。

しかし先に書いたような「犯された女が男に好意を持ち出す」という展開がついていけず、私は乗れなかった。



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white room 〜止まらない愛


日時 2013年9月15日19:51〜
場所 光音座1
監督 関根和美
製作


サラリーマンのハヤトと現在無職のタツヤは同棲中のゲイカップル。二人の夢は二人でゲイバー開くこと。
そこへタツヤのかつての恋人の藤田がやってきた。しかし藤田は昔と違って全身整形し、きれいなニューハーフ、さやか(梅宮さやか)になっていた。
「男と別れて行くところがない。少しの間おいてほしい」というさやかの言葉を信じ、二人の部屋にしばらく居候に。
しかしハヤトには現在悩みがあった。
それは上司の娘とのお見合いだった。


将来二人でゲイバーを開きたいというカップルというのも珍しい。バーなんてのは、スタッフとして働いてノウハウを身につけてから開店するのが普通だと思っていた。
まあそれはいい。我慢しよう。

この映画は途中からついていけなくなったのだ。
ハヤトはタツヤの反対を受けながらも結局お見合いをする。
で、そこへさやかが乱入。
ハヤトたちにはお世話になってるから、この見合いはなかったことに「穏便に」そして「コミカルに」まとめるのかと思ったら、(実際映画の中ではさやかが「私に任せて」と言ってハヤトの席を外させる)ところがさやかは突然その上司の娘を犯してしまう。(さやかはペニスは無くしていない)

レイプになるのだ。
ゲイバーを開きたいと思ってるカップルのところへ、ニューハーフが乱入した「ラブコメ」と思っていたからこの展開には戸惑う戸惑う。
一方タツヤはハヤトのことで腹立ちまぎれに発展トイレにいってサングラスの男とやってしまうが、その男は実はさやかを追いかけてきた男。

とまあなんだか話がどんどんラブコメからバイオレンスものに変化していくのだ。
作品のトーンががらっと変わってしまうので、観てるこちらは気持ちの切り替えが出来ずに置いてきぼり。

さらにさやかは実はサングラス男のお金を数百万(あるいは1千万くらい)持ち逃げしており、男はそれを追ってきたのだ。
ハヤトの家にいるところにサングラス男がやってきて捕まってしまう。そして犯されながら首を絞められ、さやかも反撃。男も櫛の柄で刺し殺されてしまう。
で、出かけていたハヤトとタツヤが部屋に帰ってきてびっくり。そりゃそうだ、二人が死んでるもん。
でタツヤは偶然さやかが隠していた大金を見つけてしまう。
「警察、警察」って言ったけど大金に腰を抜かすタツヤ。
ところが次のカットではバーの物件を下見する二人。
で、終わり。

っておいおい。
その金はまともな金じゃないし、いくらまともでなくてもネコババしちゃまずいだろう。
第一警察呼んじゃったら死んだ二人の関係を調べるだろうし、そしたら大金のこともわかってしまうかも知れない。
まともな金じゃないかも知れないけど、やっぱりネコババは犯罪でしょう。
というかこの主人公たちにはそういう倫理感は持っていて欲しかったな。

とにかく「ラブコメ」と思って観ていたらどんどん違うテストになって戸惑うばかりの映画だった。



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ハードコア・デイズ ゲイビデオ・カメラマンの恋


日時 2013年9月15日18:07〜
場所 光音座1
監督 リチャード・グリツァー&ワッシュ・ウエスト
製作 2004年(平成16年)


映画の仕事がしたくてロスにやってきたショーン(マイケル・クーニオ)。
ある日「市民ケーン」をレンタル店でレンタルしたところ、中身は「市民カム」というゲイポルノだった。
びっくりしたショーンだったが、つい見入ってしまい、主演のゲイポルノスター、ジョニー(本名はマイキー)(スコット・ガーニィ)に会いたくなって、映像の仕事も志していることもあってそのビデオ会社にカメラマンとして就職しようとする。
面接をしたのはかつてはポルノスターだったが、今はその会社で人事を担当している男。カメラマンとしてよりも出演を誘われるが、さすがにそれは断った。
しかし人手不足もあってカメラマンとして就職。
そしてあこがれのマイキーと出会った。
彼は遅刻やわがままも多く、スタッフからは不評だった。
撮影時に勃たないので、監督に言われてマイキーのモノをしごく。マイキーもなんだかショーンには優しい。


ゲイポルノの製作現場が舞台だが、特にゲイポルノという訳ではない。
話はこの後マイキーの妻が登場し、彼女は妊娠している話になる。マイキーはクスリもやっていてかなりのダメ男。
妊娠をきっかけに妻は仕事のゴーゴーガール(バーでポールダンスをしている)をやめてマイキーにも堅気の仕事についてもらい、普通に暮らそうとする。

ポルノスターのマイキーに清廉潔白なまじめ人間を期待したわけではないだろうが、やっぱり自分にとってはスターだから通常の映画スターのような存在であって欲しいと思うだろう。
それがクスリをやっていたりのダメ男ならファンとしてはがっかりする。
となるとショーンの落胆ぶりなどを描いて欲しいが、どうもその辺が深く描かれることもなく、ショーンはヨガ教室で出会った青年とつきあい始める。

マイキーの妻の願いもむなしく、結局はマイキーは仕事の遅刻も多くなり、ついにクビ。妻は子供を堕ろす。
ビデオ会社ではカメラが盗難される事件があり、人事担当の男が怪しいと思って部屋に行ってみたら死んでいた。
マイキーが怪しいとなり捜索される。そこへショーンの車に現れるマイキー。
メキシコに逃亡させてほしいと言われ、メキシコに連れていきホテルで一泊する。そこでついに関係を持つ。
ショーンにとっては「これからマイキーもまともになって俺とやり直してくれるかも?」と一瞬期待したが、朝になったら有り金を全部と車も取られ、一人でメキシコに残されるショーン。
ヒッチハイクでアメリカに戻ろうかと思ったショーンだが、ふとこのままメキシコで暮らしてみるかと正反対に向かう。

ラストシーン。
マイキーとメキシコに来る前に会社でポルノスターたちに届いたファンレターを整理している時にマイキー宛の一通があった。みんなで捨てたが、その一通だけは隠し持ってきたショーン。
それを車の荷台で読む。
「ジョニーのビデオを観ました。1本観て気にいり次々と観ました。『市民カム』は今まで観たビデオの中でベスト1です。ジョニーの新作はいつ出ますか?」という内容。
無邪気なファンレター。
その気持ちはこの会社に入った時のショーンと同じ。
その夢が完全に打ち砕かれちゃって「あ〜あ」って感じだなあ。

ポルノスターがすべてダメ人間だと思わないけど(まだ私自身は夢を見ている)、ポルノ業界の裏側なんてこんなもの、と思わせる業界内幕モノ。
でももう少し業界の裏話とかが詳しいともっと面白かったと思う。
日本じゃビデオモデルはバイト感覚だけど、アメリカは専業の俳優さんとかいるみたいですからね。日本のAV女優ぐらいには仕事になってるんでしょう。
「1ヶ月で1000本売る大ヒット作だった」というせりふがありますから、向こうでもそんな基準なんですね。
勉強になりました。



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母娘監禁 牝(めす)


日時 2013年9月15日15:20〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 斉藤水丸
製作 平成元年(1987年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


水戸の女子高生3人組のサチコ、チヅル、ミサたち。冗談で自殺しちゃおうか?と言い合っていたが、ある日デパートの前で待ち合わせたが、サチコは屋上から飛び降り自殺。
チヅルもショックを受け、自分も同じ場所から自殺をしようと思ったが思い直し、テレクラで知り合った石川(加藤善博)という男のアパートに転がり込む、
石川はホテルの宴会係として働いているという話だったが、実は無職だった。
ずるずると暮らす二人。金がなくなると石川はテレクラで知り合った女を自分の友人に紹介し、金をもらっていた。
チヅルも友人のミサを呼び出し、石川や友人に抱かせる。


荒井晴彦脚本。ラストに今「風立ちぬ」で使用されて話題の荒井由美の「ひこうき雲」がラストに流れるという話題をツイッターで見た。
そうやっていろいろ話題にされるのだから、それなりの映画かと思ったら、私はダメでした。

まず主人公の女子高生の気持ちが解らん。
安易に「自殺しよう」と言って自殺したり、テレクラに電話して石川というダメ男と知り合ってそのままずるずると暮らしたり、行動の気持ちが解らない。
石川という男がいやなら逃げ出せばいい気がするのだが、そのままいる。

母親と連絡が取れ母親が迎えに来てくれるのだが、石川は「いままでチヅルがここにいた費用、100万円を払え!」とのたまう。
その時チヅルも初めて客を取った、と石川の友人たちとすき焼きパーティをしていたのだが、その友人の一人が「100万円はいくら何でも高いだろう?どうだい奥さん、俺たちにやらしてくれれば娘を返してやるぜ」と言われ、母親は3人の男に体を開く。

っておいおい、母親なんて40過ぎのおばさんだろう。
そんなんでいいのかよ?
主人公の行動といい、母親の行動といい、やっぱり女の気持ちは私には解らない。

自分にとっては納得のいかない映画だった。



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スナック桃子 同禽の宿


日時 2013年9月15日14:10〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 山内大輔


桃子(山吹瞳)は小さなスナックを一人でやっていた。
彼女は時折、顔に包帯を巻いた河原に住む浮浪者に「お父さん」と呼びかけながら食事を与えていた。
店の常連客の小田切は害虫駆除の仕事をしていたが、その消毒液のにおいが父を連想させ、いつしか関係を深めていく。小田切は結婚を約束してくれたが、彼には妻がいた。
その妻に二人の関係がばれ、妻は自殺を計った。
何とか一命は取り留めたが、一生後遺症が残った。
柿崎というカメラマンと河原で出会う桃子。
常連の若いサラリーマンの佐藤(久保田泰也)。二人の男が桃子を幸せにしてくれるかと思うのだが。


エクセスの新作。
今日は、新宿で朝「タクミくんシリーズ 虹色の硝子」を観て(27日からの「僕たちの高原ホテル」公開前のアンコール上映)新橋ロマンに来て夕方は横浜光音座、というわけで5本の初見の映画を見たが、これが一番面白かった。

まあ女の不幸一代記という感じでレディースコミックにもありそうな感じだが、私は好きである。
こういうバーの女に入れあげる男の話は好きなのだ。
店にいるとこういう子ってよく見えるんですよねえ。
仕事とはいえ、愛想もいいし。またキャバクラみたいにいかにも「金目当て!」という感じでもないから。

小田切は離婚してくれそうになるのだが、妻にばれ、妻に責められている間に妻は小田切が仕事で使う消毒液の噴霧器の先端を自分の股間に突っ込み、噴霧させる。
異変に気づいた小田切が助けるのだが、ワンカットで徐々に顔色が変わっていく妻の姿には迫力満点。
ここは恐怖が迫ってくるものがあって観たことも無いような迫力だった。
当然、結婚はなかったことに。

次に出会った柿崎。
彼は「あなたはいい人か残酷な人か解らない」という。
その真意をただすと「浮浪者に食事を与えてる様は復讐してるように見えたから」
桃子は父に対する複雑な感情があったのだ。
柿崎の妻にも知られ、彼女は桃子を刺す!

その場に居合わせた佐藤が看病してくれた。
幸い傷は大したことはなかった。「僕が桃子さんを守る」と言ってくれる佐藤。
二人はその晩結ばれる。
が、朝になってみると桃子はいない。
例の橋の下の浮浪者もいない。

実は桃子は高校生の頃父に犯された経験があったのだ。
幸福の一歩手前でいつもうまくいかない桃子。
彼女は今度こそ幸せになってくれるといいな、そんな気にさせるラスト。
映画全体に力があった。
面白かった。



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桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール


日時 2013年9月15日12:40〜
場所 新橋ロマン劇場
監督 小原宏裕
製作 昭和53年(1978年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


高校1年の榊原レナ(竹田かほり)は生理が遅れて悩んでいた。心当たりがあるのはあの日のこと。学校帰りに卒業して大学生の先輩にドライブに誘われ、そのままホテルに行ってしまった。レナは実は初めてで、先輩はゴムをつけずにしてしまい、妊娠したのではないかと心配なのだ。
そんな時、親友のユウコ(亜湖)が家出してしまったのだ。
ユウコは大西君という同級生と付き合っていたが、徐々に深まっていく関係にまだまだ戸惑う年頃だった。
大西君との関係を相談を受けていたレナは責任を感じ、ユウコの母親の話からどうやら安曇野に行ったらしいととりあえず「あずさ2号」に乗ったのだが、となりの席の女性がなにかと話かけてきてうっとうしい。


「桃尻娘」は当時話題になった映画で、どっちかというとポルノ女優というよりアイドルっぽい人気のあった竹田かほりの主演映画。
公開当時高校生だから観に行かなかったが、その年のベストテンに投票する高校生もいた。(その辺の話は「桃尻娘 ラブアタック」の感想のページで書いた)

で、長い間その1作目を見たかったのだが、ようやく機会に恵まれた。
正直言うけど、2作目の方が面白かった。
話が場当たり的で、どうにもまとまっていない気がするのだ。

安曇野に行って旅館を回ってユウコが地元の農協の男と昨日遊んでいたらしいと聞く。その男に会ってみるとすでにユウコは金沢に行ったらしい。
それで男に雪の中、車の中で犯されそうになる。
逃げ出すレナ。
で、金沢に行く電車の中で赤ん坊を連れた夫婦に出会う。
(夫は内田裕也)

この夫が刑務所帰りで、金沢でこの夫婦と再会したレナは旅館も満室なこともあって、ここに泊めてもらう。
ここでユウコと再会するレナ。ところが、内田裕也は実は昔のホステスとよりを戻そうとしたが、相手には男がいてホステスを刺してしまい、刑務所へ逆戻り。
それで仕方なく妻の方はもとの自宅売春に戻るのだが、レナはお世話になったんだから助けなきゃ!と頑張る。
ユウコは何も知らずに赤ん坊の世話などしていたが、売春をしていたと知ってショックを受けまたまた飛び出す。
そして京都で知り合った人とついホテルへ行ってしまってさらにお金をもらってしまう。

とまあどうにもポルノ映画にしてもピンク映画にしても行動の原理がよくわからない。
で、2作目に出てきたホモの木川田くんは出てこないのかと思ったら、レナの学校の回想で登場し、京都で木川田くんのあこがれの先輩といるところを再会!

だったらもっと先に出した方が良かったのでは?
レナが妊娠したかどうかを気にするところまでがアバンタイトルで、その次は新宿からあずさ2号に乗るシーン。
ここで「なぜレナはあずさ2号に乗ることになったか?」の回想になるから、木川田くんの登場する余地がなくなる。

というわけでなんだかまとまりが悪い話だなあ、安曇野、金沢、京都とそんなロケする必要もあったのかい?という疑問をもってしまう。

とは言ってもこの映画の魅力は竹田かほりだろう。
そのエクボのある笑顔がすばらしく、好きな女優だった。
彼女の魅力なくしてはこの映画は成立しないだろう。

付け加えるとこの当時、狩人の「あずさ2号」が大ヒットしていた。それが初めのあずさ2号のシーンに登場し、時代を感じさせた。



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貞子3D2 スマ4D


日時 2013年9月8日17:20〜
場所 TOHOシネマズ渋谷・スクリーン1
監督 英 勉

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


呪いの動画の貞子事件から5年後。
事件の頃に生まれた凪もいまは幼稚園児。凪は孝則(瀬戸康史)の子供だったが、母親・茜は凪が生まれた時に亡くなった。孝則は大学生の妹の楓子(滝本美織)に凪を任せ、病院の用務員の仕事をしていた。
その頃、何の理由もない人が突然窓から飛び降りたりする怪事件が続いていた。
その事件の周りには常に凪がいた。事件を追う刑事、堀内は5年前にもあった怪事件を追い今は引退している小磯(田山涼成)に話を聞きに行く。そこで「貞子」や「鮎川茜」の話を聞き出す。その話をした直後に小磯は車いすごと階段から落ちて死ぬ。
果たして何が起こっているのか?


去年の「貞子3D」の続編。今回はスマ4Dである。
スマ4D上映とただの3D上映があった。(今回は2Dの上映はないみたい)。TOHOシネマズ渋谷(私の嫌いな映画館の一つ。スクリーンが画面サイズに閉まらず、ビスタの映画でもシネスコのスクリーンで上映するのだよ)で観たが、3Dめがねが普通のメガネの上からかけても大丈夫な形にフレームが変わっていた。今年の初めに日劇で「ライフ・オブ・パイ」を観たときから進化している。
で、スマ4Dである。この文章は数年先に読むかも知れんから書いておく。

スマートフォン(アンドロイドでもiPhoneでもいい)に事前に「貞子3D」という専用アプリをダウンロードしておく。そして映画が始まるときに、案内が流れてスマホを機内モード(通信しない状態)にして、アプリを起動させる。そうすると音声認識機能を使ってアプリと映画がシンクロしていくのだ。(スマ4D上映でない上映もあるみたいだから、人間の耳には聞こえない信号音を出しているのだろうか?)
映画にあわせてスマホがバイブで振動したり、「ウイルス感染!」のメッセージが表示される。

具体的にどうなったかというと登場人物に電話がかかってるくるとこちらの電話もなる。電話を耳に当てると登場人物にかかってきた電話を聞くことが出来る。映画では画面に写っている人の声だけだが。
そして画面から「携帯を画面に向けろ」という指示があって画面をスクリーンに向けるとフラッシュが光って登場人物に「おい、こっちにフラッシュを向けるな」という台詞がある。また同様に携帯をスクリーンに向けて映画を観ていると携帯の画面がゴキブリに埋め尽くされていくとか、凪がいつも怖い絵を描いているのだが、その絵が携帯に表示され、「画面をこすれ」と指示が出て画面をこすると徐々に怖い男の顔になるとか、「携帯の裏を見ろ」と出て裏を向けるとフラッシュがたかれるとか、「この人がやばい」というメッセージが出たと思ったら、画面にさっき知らずに撮られた自分の写真が表示されるとか、「データ消去します」と表示され、電話帳や画像を「データを消去します」と表示されて実際に電話帳データが消されていく(ように見えるだけ)。まあそんな感じ。

もう完全に遊園地のアトラクションである。
まじめな映画ファンなら怒り出すだろう。
しかしこう行った企画は二度とないだろうから、後々の話の種に行ってみた。
まあ面白かったと思う。映画館でしか出来ないことをやる、という3Dと同じ考え方で、とにかく努力をして試行錯誤するのはいいことだ。
でもまたやってほしいとは思わなかった。

で、肝心の映画の方だが、スマホに気を取られ、見てる暇がないのだな。だからまるっきり怖くない。
それ以前に今回は3D効果がまるでなしで、ちっとも3D感がないのだよ。

瀬戸康史が前と違って暗い陰湿なキャラクターなので、同じシリーズでも別人の役かと思ったらつながっていたんですね。
山本裕典も前と同じ今は捕まって死刑を待つ身の死刑囚。実は凪は以前茜と貞子が一体化したときに出来た貞子の子らしい。ラストは貞子に連れ去られそうになる凪を引っ張ってきて(幻想の世界で)、凪をこちらに連れ帰ってきて終わり。

とにかくスマホの方に気を取られ、映画自体は全く楽しめてない。つまらない面白い以前に映画をまったく観れてないのだよ。これでは怖いとか怖くない以前の問題だ。
やっぱり映画は映画で楽しみたい。
こういう企画は今回だけにしてほしいものだ。



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恐るべき遺産 裸の影


日時 2013年9月8日13:00〜
場所 下北沢トリウッド
監督 若松孝二
製作 昭和39年(1964年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


女子高生・のりこはバレー部でみんなからも好かれている人気者。今日は18歳の誕生日だ。
自宅でみんなで誕生日パーティの後、両親から意外な話を聞かされる。のりこの父親は原爆で亡くなり、母親ものりこを生んですぐに亡くなったという。今のお父さんは実は母親の兄だというのだ。
両親と信頼の絆で結ばれていたのりこはショックを受ける。その頃からのりこはめまいに襲われたりするようになる。
そして自分の体に痣のようなものが現れ始める。
かかりつけの医者に行くと血液検査を勧められる。ショックを受けたのりこはクラブ活動も休みがちになる。
血液検査を受けるのりこ。書店で土門拳の「HIROSHIMA」という広島の原爆で被災した人々の写真を見て、自分も将来こうなるのかとショックを受けるのりこ。
自暴自棄になったのりこは不良グループと遊びに出かけようとする。
途中でバレー部仲間に見つかりその場は逃れるのりこだったが、後に「あの日、遊びに行くときに貸した服のことで女が怒ってる」と難癖をつけ、河原に呼び出される。
犯されそうになるのりこだったが、そこへ幼なじみ(たぶん)の服部君(花ノ本寿)が助けてくれた。


「若松孝二・幻の反戦映画、50年ぶりの公開」というふれこみに惹かれて観に行った。
結論を先に書くけど「発掘する必要なかったんじゃないかなあ」ということだった。
まるで面白くないのだ。

そもそもどういう形で公開されたのだろう?
このころの若松映画だからピンク映画かと思ったら違っていた。まあ不良グループに犯されそうになるとか、ピンク映画っぽい要素はあるけれども。
要素はあるが別にピンク映画ではない。

話の方は服部君は美術大学を目指しているような画が得意な高校生なのだが、「あたしを描いて!」と肖像画をお願いする。
そこで自ら服を脱ぎ、全裸になって裸の自分を描いてもらう。別に裸にならなくても映画は成立すると思うが、そこはやっぱり若松孝二だからなのか。
結局、医者の先生と学校の先生が「のりこくんはやっぱり原爆症だった」と立ち話しているの聞き、やっぱり自分の将来を悲観したのりこは広島に出かけ、そこで原爆ドームや資料館に行き、原爆の実態を知る。
そしてバレー部が合宿をしている海の旅館に行くのりこ。
「よく戻ってきた」と歓迎する先生やみんなだったが、のりこは翌朝海に入っていった。

で終わり。
テンポはのろいし、話は典型的だし、カタルシスもない。
映画としてまるで面白くないのだなあ。

今回の上映はフィルムセンターに所蔵されていたぼろぼろのプリントをデジタル化したもの。
(冒頭に「フィルムセンター所蔵作品」と出る)
でもメインタイトルはなく、いきなりキャストのクレジットからは始まる。
たぶんロールの頭の部分だと思うが、時々特に画面に(傷というか斑がはいり、音も激しいノイズが入る)

女子高生の合宿のシーンで風呂のシーンがあって、そこで元気な同級生たちがキャッキャとはしゃぎ、生命の躍動感を感じさせる。
それに引き替えのりこは・・・と対比を出したかった気持ちは分かるが、そこで風呂場を出すあたりは「ピンク映画の癖が抜けなかったのかな」と思う。

「18年も経ったのに・・・」というせりふがあるが、戦後18年で「所得倍増だ」「東京オリンピックだ」とはしゃぎまわってたと思われる風潮に若松孝二は反旗を翻したかったのかも知れない。

本日2013年9月8日、2020年の東京オリンピック開催が決定した。
福島第一原発は放射能汚染水の漏洩問題もある中、安倍総理は「大丈夫です。福島第一原発はコントロール下にあります」と東京の安全性を訴えて(それだけでもなかろうけど)開催が決定した。
2020年頃、「震災から9年も経ったのに」と言いたくなるような放射能被害が起こっているかも知れない。
くれぐれもこの映画に描かれたことが再現されないことを祈るばかりである。



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オーガストウォーズ


日時 2013年9月1日14:25〜
場所 渋谷TOEI1
監督 ジャニック・ファイジエフ

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


両親が離婚し、母親と暮らすまだ5歳のチョーマはいつもファンタジーの夢の中に自分をおいていた。正義のロボットと自分が邪悪な帝国の大王と戦って倒すのだ。
母親のクセーニアは今は金融関係の仕事をする彼と結婚を考えていた。そんな時、別れた夫から息子を自分の母親に合わせるため、田舎につれてきてほしいと言われる。
チョーマの父親は軍人で、今は南オセチアでグルジア軍の監視任務についていた。その南オセチアにチョーマの祖父母は住んでいるのだ。
夫の友人の軍人にチョーマを預け、自分は恋人と旅行の予定だったが、突如グルジア軍が南オセチアに侵攻を開始。
クセーチアはチョーマを連れ戻すため、南オセチアに向かう。
だがすでに戦争開始直前で、交通機関はない。
南に行きたい者だけが集まったバスに乗り込んだクセーチアだったが、戦闘は始まる。


ポスタービジュアルだけを観ると「パシフィック・リム」のロシア版のような雰囲気だが、看板に偽りあり。
完全に戦争映画である。
息子を取り戻そうと奮闘する母親の戦争映画だ。

ロボットとかはあくまで息子の夢想だから、言ってみれば「ゴジラ・ガバラ・ミニラ オール怪獣大進撃」みたなものだ。ただしこの映画のチョーマはヘタレで母親を助けたり、敵軍にいっぱい食わせたりしない。
後半母親と合流するが、怪我して意識がもうろうとしているだけで、母親の手助けにはならん。

その前に母親の旅。
これがすごいんだなあ。とにかく戦闘戦闘また戦闘。
「ブラックホーク・ダウン」みたいな戦闘シーンが延々と続く。
町の人とか兵士とかマスコミとか色んな人が途中出てきて助けてくれるが、その人たちはどんどん死んでいったりで、ずっと同行してくれる人はいない。
正直言うけど、迫力があっていい画が続くのだがずっと戦闘シーンばかりで飽きてしまい、少し寝た。
でも結局母親が息子にたどり着く所から復活したので、話は分かった。

モスクワ中央ではグルジアに対し戦争をするかどうかの会議が開かれた。和平を主張する者もいたが、「君はもう出てってくれ」と大統領に言われ、ついに開戦。
アメリカ映画では一応戦争は避ける方向に行くと思うからこの辺はロシア映画ならではのお国柄か。

たぶん軍事マニアからするとロシア兵器(銃、車両も含めてすべて)がたくさん出てくるからその辺が楽しみどころかも知れない。
とにかくロボット映画だと思ってたら完全な戦争映画。
こういうファンタジーとマジな戦争映画を組み合わせる発想はアメリカ映画にはないような気がする。



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ガッチャマン


日時 2013年9月1日11:35〜
場所 TOHOシネマズ渋谷スクリーン4
監督 佐藤東弥

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


21世紀のはじめ、ギャラクターという組織が突然世界各国を襲い始めた。まずはヨーロッパが落ちた。そしてアジアにも進出してきた。
そのギャラクターに対抗するISOはエージェントを訓練していた。アフリカで発見された結晶体は「石」と呼ばれ、その不思議な力はギャラクターの持つウイルスに対抗できるものだった。ただしその石の力を引き出せるものは限られていた。その適合能力のある者だけを集め訓練していたのだ。
ISOの幹部がギャラクターに対する迎撃方法を協議中に回転装甲車「キャタローラー」が中野に出現。
エージェントの健(松坂桃李)、ジュン(剛力彩芽)、甚平(濱田龍臣)、竜(鈴木亮平)が死闘を繰り広げる。
そこへ最後のエージェント、ジョー(綾野剛)も加わり勝利。
しかしギャラクター幹部、イリヤが亡命を求めてきた。
健たちはイリヤの護衛を命じられるが。


70年代の大ヒットアニメ「ガッチャマン」の実写映画化。しかし無駄なことするなあ。そんなことしたって叩かれるだけじゃん。製作費つぎ込んだってコケたら終わりだし。俺がプロデューサーならやらないね。
アメリカのアメコミはヒットしてるけど、ああいうのをまねて作ってみようって気になるんだろうね。
で、案の定評判は悪いけど、松坂桃李は「僕セカ」のつながりで嫌いじゃないので、映画の日で1000円だから観てみた。

まず私は原作のアニメを全く観ていない。70年代に「総監督 岡本喜八」で映画化されたことがあり、それは観ている。当時「宇宙戦艦ヤマト」の映画版が大ヒットしていて、そちらが舛田利雄が監督だったから、まるでそれに対抗するかのように「岡本喜八」だった。
でも全く覚えていない。
そんな程度だから原作とイメージが違う、というような先入観なく観ることが出来たのが幸いした。

まずよかったのは中野新宿決戦だよ。
中野サンプラザ前に突如として「キャタローラー」が出現する。怪獣映画でもそうだけど、「よく知ってる場所で異変が起きる」っていう設定が大好きなのだ。
その後の新宿中央公園付近、東口伊勢丹付近を経て新宿通り沿いに新宿一丁目、四谷三丁目付近まで戦いが繰り広げられる。この辺はよく知ってる場所なので、私は燃えましたねえ。

で、ここまではいいんだ。でも健もジョーもみんな敵に親を殺されたりして恨みを持っている。さらに恋人を殺されたとかどんどん私情が絡んでいく。
で、上司の南部博士(岸谷五朗)が任務遂行を仲間の命より優先させたりして、それに疑問を感じるメンバーが出て内部で対立が起きる。
そして「仲間を見捨てる訳にはいかない」「仲間を助ける!」とくどい。
昨日今日で「ザ・タワー」「ホワイトハウス・ダウン」「パシフィック・リム」など観て「たくさんの人を助ける為に多少の犠牲は仕方ない」と上司が命じて主人公が逆らって両方助けるっていう展開は多いけど、そんな「仲間」「仲間」「仲間」ってうるさくないよ。しゃべってないで黙って行動で示せよ!
とにかく後半「仲間」「仲間」「仲間」と説教臭くていかん。

後半、光石研の博士が作った宇宙からギャラクターを攻撃する装置を敵にコントロールを奪われて健たちが向かうんだけど、その「仲間」攻撃でテンション下がったなあ。
あのくどさがなければもっとよかったのだが。
(それにしても光石研が死ぬシーンでは吹っ飛ぶので人形に変わるのだが、それが人形丸わかりで、まるで「実録・私設銀座警察」みたいで笑った)

SFXはよかったんですが、やっぱり脚本で乗れなくなりましたね。どうしてこう下手なだろう。
脚本の善し悪しはそれほど予算規模とは関係ない気がいたします。それとも口挟む人が多いからだめになるのかな?



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