老人とラブドール 私が初潮になった時・・・日時 2014年2月23日17:20〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 友末直之 製作 平成21年(2009年) 上野(野上正義)は数十年メイド型アンドロイド(メイドロイド)・マリア(吉沢明歩)と暮らしてきた。上野がまだ子供だった頃、忙しい親が彼の世話をさせようとつれてきたのだ。 まだ少年だった上野はやがてマリアに夢中になっていく。 性交機能はついていなかったが、何とか解決。 結局結婚しないままマリアと過ごしてきた。 しかし今は彼女のバッテリーは切れ、動かない。 その頃街では謎のレイプ犯が現れていた。犯人は人間ではなくアンドロイドの可能性もあった。 女刑事がその事件を追う。 2009年ピンク大賞第2位作品。さすがに上位になる作品だけあって面白い。 キネ旬ベストテンは私の意見と異なることが多いが、ピンク大賞は比較的賛成できることが多い。 まずは何といっても吉沢明歩のかわいらしさだ。 メイド服を着て「ご主人様」と呼びかける彼女は、十分に魅力的だ。上野でなくても吉沢明歩がメイドなら大抵の男は参ってしまうのではないか? 何十年に及ぶ愛の物語だが、過去のシーンでは黒電話が出てきたりブラウン管テレビが家具としておいてあったりして微妙に現実とシンクロしている。 一方女刑事の捜査。秋葉原に行けば何か解るかもということで秋葉原のアンドロイド違法改造ショップへ ここでたまたま来ていた客に店員が新作を紹介するシーンが面白い。 「五段階バキューム機能付きです」「アナルの方も改造してあります」とか。ここは笑った。 結局強姦犯は捨てられた女性用のアンドロイドのホストロイドが自然に結合して出来たアンドロイドだと推測。 「優しい男性がいい」と口では言いつつ、その実乱暴な男を求めているため、捨てられたホストロイドは基本的に乱暴的なのだと。 女刑事は自らおとりとなって強姦アンドロイドを確保しにいく。 そして上野とマリア。上野の愛がバッテリーを使わなくてもよみがえらせるというハッピーエンド。 SFタッチというかアンドロイドと人間の愛の話で、面白かった。さすが第2位作品だけある。 (このページのトップへ) 女子大生の告白 赤い誘惑者日時 2014年2月23日16:00〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 加藤彰 製作 昭和55年(1980年) 女子大生の春子(紀ノ山涼子)は夜は高級クラブでホステスをしていた。同じ大学の教授である松村の愛人でもあった。ある日、松村が連れてきた作家の大谷と知り合う春子。春子はホステスを辞め、今度はストリッパーを目指す。 そんな時大谷と再会し、大谷はなんだかんだと春子の部屋に上がり込み、そのまま泊まっていく。そして居着いてしまう。 日活ロマンポルノ。どうも日活ロマンポルノには面白くないことが多い。こっちの方が金もかかってるのになぜだろう? 登場する女性が昔の女性で、今風の美人ではないからだろうか? この映画の紀ノ山涼子も現役女子大生で自ら書いた脚本で主演である。どういう経緯があったのだろう? 作家の大谷がずるずると女子大生同棲を始め、春子はストリップを始める。そういう話がずるすると展開される。 後半になって大谷が近所の老婆の元に強盗に入る計画を立てていると知る。しかし大谷は「小説のネタだよ。単なる僕の頭の中の話だ」と一笑に付す。 ところがやっぱりその老婆のところに大谷と春子が侵入し、大谷が「この女性は私の伯母だ。15の時に青森から上京して彼女に童貞を奪われた。その後も彼女と関係を続けていた」と告白。 その伯母はすでに死んでいたようだけど、結局どうしてここで唐突に伯母との関係が出てくるのかよく解らない。 観ていて苦手な映画だった。 (このページのトップへ) 昼下がりの教室 教壇に立つ女日時 2014年2月23日14:50〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 今岡信治 製作 平成13年(2001年) 原題 「高校牝教師 汚された性」 高校教師のサヨコ(仲西さやか)は夫のコウイチと二人暮らし。ある日、放課後の教室でレジ袋を覆面にした男に犯され写真と取られてしまう。 たまたま教室に戻ってきたタカオに介抱されるサヨコ。「誰か呼ぼうか?」というタカオに「誰にも知られたくない。黙っていて」というサヨコ。 家に帰ったサヨコだが、コウイチはまだ帰っていない。実はコウイチは会社の同僚と浮気の最中だった。帰宅したコウイチにそのままアパートのキッチンで求めるサヨコ。 タカオには彼女がいたが、最近はサヨコ先生のことで頭がいっぱいだ。タカオの彼女はタカオに「私を見て!」と屋上で訴える。 いまおか監督のエクセス作品。 ソフト化されていないピンク作品(パソコンのダウンロードはある)で初見。 いまおかさんらしい感情表現に満ちていて面白い。 冬にも関わらず、タカオの彼女はソフトクリームを食べている。彼女はタカオに言う。「いらいらするから甘いものばかり食べて太った」 そして「私を見て!ちゃんと見て!」と学校の屋上で訴えかけながら全裸になっていく。 サヨコの元にレイプされた時の写真が届く。教壇の上に置いてあったのだ。ショックを受けたサヨコは夫に電話をしたが、なんと出たのは浮気相手だった。「今夜コウイチは私とホテルに泊まります」 トイレにこもってしまうサヨコ。帰ってきたコウイチがトイレを開けようとすると開けない。 次のカットでは扉ごとはずされている。 今度は学校にも写真が届いてしまう。夫も頼りに出来ず、サヨコはタカオのアパートに向かう。そこでタカオを求めるサヨコ。何度も何度も求めるサヨコ。 カット変わってサヨコの部屋。コウイチが一人で便所に座って孤独になっている。 翌朝、タカオの彼女がやってくる。 彼女、ドアノブを引くが開かない。あまり引っ張ってドアノブを壊してしまう。 こうした裸になる、ドアごと壊してしまう、ドアノブを抜いてしまう、などの極端な行動がいまおかさんらしい感情表現だなと思う。 こういった針の振り切った行動にいまおかさんらしさを感じる。 結局サヨコを襲ったのは、サヨコが憎くて金で男を雇ってやらせたことだとサヨコの浮気相手が告白する。 あまりに激しい求め方にサヨコを拒否してしまうタカオ。 タカオの元を去るサヨコ。 タカオとタカオの彼女はよりを戻すが、二人で町を歩いているときに偶然レイプ男を見かける。 結局倒すとこまでは出来なかったが、一発殴るぐらいは出来た。 サヨコは町を歩く。(このシーンで犬がサヨコの後ろを歩くカットがあるが、それが絶妙なタイミングだ。たぶん偶然だとは思うけど、なんともすごい) いつしか夜の学校に戻ってくる。 そこへ浮気相手と別れたコウイチがやってくる。 求めあう二人。 タカオたちも元の鞘に収まってハッピーエンド。 いまおかしんじらしい、ピンク映画だった。 好きな映画だ。 (このページのトップへ) 赤×ピンク日時 2014年2月22日19:20〜 場所 角川シネマ新宿1 監督 坂本浩一 脚本 港岳彦 非合法の地下ファイトクラブ「ガールズ・ブラッド」。ここでは毎夜女たちの格闘技イベントが開催され、人気を誇っていた。 人気ファイターは皐月(芳賀優里亜)、SMクラブでドSもしているミーコ(水崎綾女)。そこへどう見ても中学生にしか見えないまゆ(小池里奈)や不思議な女性・千夏(多田あさみ)が加わる。 彼女たちはそれぞれ訳ありだった。皐月は体は女性だが心は男という性同一性障害で女性に対しての接し方に悩み、ミーコは他人の望む自分を演じるのに疲れていた。まゆは母親が精神を病んでおり父親は自分を助けてくれなかったことで人間不信になっており、千夏は有名な空手一門の安藤家の長女だったが、DV夫・乱丸(榊英雄)から逃避してきたのだ。 皐月の悩みを千夏は見抜き、皐月にとって千夏は離れられない存在になる。そんな時、乱丸が千夏を連れ戻しに来て、そして「ガールズブラッド」そのものをつぶそうとする。 彼女たちは安藤一門との勝負に挑む! 格闘技も興味ないし、女優さんにもあまり興味がない私にって、普通なら観ないような映画なのだが、脚本が港岳彦さんなので観てみた。 のっけから女性のバックヌードである。 とにかく女優さんの美しさ、凛々しさを前面に出した映画。女優さんにはそれほど興味のない私なので、「ふーん」という感じで観ていたが、戦い続ける彼女たちの姿は、凛々しくかっこよく男前。 で「ガールズ・ブラッド」をつぶそうとする乱丸が典型的な悪役で憎たらしい。 乱丸に手を引かせるためにオーナーは乱丸の弱みを握り、安藤一門と「ガールズ・ブラッド」の対戦イベントを開催。 まずはまゆが戦って惜しくも敗退。3本勝負なので、まずは負けからスタートの「ガールズ・ブラッド」。もう後がない。 そしてミーコが戦い、ラストは皐月と千夏の対戦! ラストはどうなったか書かないけど(こうすると後で自分が困ることがあるのだが。数年後自分でも忘れてる時があるので)、まあ書かなくてもわかるだろう。 女優同士の絡みでのレズシーンあり、妹キャラのまゆ登場とか、ドSのミーコ様とかいろんなタイプの美女が登場し、それぞれのファンにはたまらないだろうなあ。 勧善懲悪のストーリーで、しかも女優さんの裸もたくさんあって、キャットファイトも見応えがあって、そういうのが好きな方々にはたまらない映画だと思う。 港岳彦さんの次回作にも期待です。 (このページのトップへ) ウルフ・オブ・ウォールストリート日時 2014年2月22日15:00〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン3 監督 マーティン・スコセッシ ジョーダン・ベルフォード(レオナルド・ディカプリオ)は22歳でウォール街の証券会社に入社した。酒とドラッグと女をやりながら「客に株を買わせてとにかく手数料を稼げ。客が損したか得したかは関係ない」という先輩の教えに度肝を抜かれる。 しかしすぐに金融不況が起こり、ジョーダンは会社を首に。 妻の勧めで田舎の証券会社に入社した。そこは1株1ドル以下のペニー株を扱う会社。しかし通常の手数料が1%に対しここは50%と知り俄然意欲を燃やすジョーダン。 やがてレストランで知り合ったドニーとともに26歳でストラットン・オークモント社を設立。メンバーはドラッグディーラーなどの半端者だったが、そいつ等の方が商才には長けていた。 ジョーダンは大成功。酒とドラッグとセックスに明け暮れる日々。ある日パーティで知り合った美女のナオミ(マーゴット・ロビー)に惹かれていくジョーダン。結局貧乏な頃に苦労をともにした妻とは別れナオミと結婚した。 ますますの富をなしていくジョーダン。 しかしそんな彼をFBIが見逃すはずはない。 先にはっきり言っておくが筆者は株が嫌いである。 あれはギャンブルだ。証券会社は賭場である。 映画の冒頭で先輩がジョーダンに言っていたではないか。 「株の値が上がるか下がるかなんて誰にも解らない」 これがギャンブルでなくて何だろう。 デイトレーダーと言って株の売り買いで生計を立てている人がいるが、私に言わせればパチンコで生活している人と変わりない。 株は合法だがギャンブルは違法という違いがあるだけ。 ギャンブルでその人が破滅しても本人とか家族が困るだけだけど、株とか金融は経済にも影響を及ぼし、全く株など関係ない世界で生きてきた人の生活(いわゆる「景気」ですね)に影響を及ぼす。 迷惑な話である。 んでこの映画はその株の世界で大金持ちになった男の話。 正直、観ていていやになった。15分で映画館を出たくなった。「映画はつまらなくても最後まで観る」という主義の私だが、その主義を見直してもいいかも知れない。映画を観てる間中、終始不機嫌になったし。 セックスとドラッグをやりまくってる野郎がたちが世界の景気不景気に関わっている。こんな奴らに振り回されているのかと思うと(いや株屋だけが世界を動かしてる訳ではないけど)イヤになる。 結局FBIに逮捕され(司法取引もあって数年ですんだようだが)ややザマアミロとも思うが、出所後はセミナーの講師になっている。ああいう「誰も知らない成功の秘訣」みたいなビジネス本やセミナーは日本だけでなく、海外でも盛んなのですね。 そこで彼は「私にペンを売ってみろ」という。 これは最初に彼が会社を立ち上げたときに仲間に問うせりふだ。ヤクの売人が「ならここにサインをくれ。需要を生み出すんだ」という。 これ「男はつらいよ」にもあったな。 靴会社の営業に就職した満男に営業の極意を寅さんに教わろうとしたときに寅さんが「この鉛筆を売ってみろ」という。 その時寅さんがなんと言ったか覚えていない。 もう一度確認したいところだ。 それにしてもスコセッシ=ディカプリオのコンビは以前にも「アビエーター」で若くして成功した男の話をやった。 両方とも金があっても幸せはなれない。 「金だけがすべてではない」という人生訓を垂れるつもりはないけど、「金」を持ってると金目当ての人間が集まってくるんだよね。 そうすると金を持ってる人間からすると「コイツは俺が好きなのか、俺の金が好きなのか解らない」となって疑心暗鬼になってしまう。 もちろん貧乏すぎるのも困るけど、金持ちすぎるのも困った話のようだ。 それにしてもジョーダンの会社、創立メンバーの多くが残っている。フェイスブックなんか創立メンバー同士が喧嘩したりするけど、この会社ではそういうことはなかったんだな。 そしてジョーダンが会社で時々演説するけど、結構演説がうまかったのかも知れない。お客だけでなく、社員もその気にさせてしまうような。間近で接すれば人間的魅力はきっとあったと思う。そんな気がした。 (このページのトップへ) 土竜の唄 潜入捜査官REIJI日時 2014年2月21日21:20〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン3 監督 三池崇史 交番勤務の巡査・菊川玲二(生田斗真)はやや暴走気味の正義感の持ち主。その正義感を買われてヤクザ組織の潜入捜査官になった。表向きは巡査を首になってヤクザに転身した男。 酒見署長(吹越満)、潜入捜査官の教育係の赤桐和美(遠藤憲一)、厚生省麻薬取締官の福澄(皆川猿時)らのしごきにも似た協力を経て阿湖義組に潜入する事になった。 違法カジノで喧嘩を売り、若頭の通称クレージー・パピヨン(堤真一)に気に入られ、義兄弟となり阿湖義組の組長・阿湖(大杉漣)と親子杯を交わすまでに。 その頃大阪の蜂乃巣会も東京進出を計画しており、その切り込みとして猫沢(岡村隆史)が送り込まれ、玲二に喧嘩を売ってくる。 その喧嘩をまともに受ければ全面戦争だ。 一方、玲二は阿湖とその部下の月原(山田孝之)が合成麻薬MDMAを扱ってると知る。そして近々大きな取引があるらしい。 果たして玲二はこの取引をつぶし、阿湖たちの親分の轟周宝(岩城滉一)らを逮捕出来るか? 原作は人気コミックだそうだ。 ギャグマンガの実写映画化はあまり好きではない。「主人公が驚いて目が飛び出す」という表現がマンガではあるけど実写でやっても(私は)シラケるばかりだ。 生田斗真は好きな役者なので見に行った。 正直三池崇史も嫌いな監督である。センスがあわない。 そして脚本は宮藤官九郎。この人は「木更津キャッツアイ」以外面白かった試しがない(全部観てるわけじゃないが)。従って観る前から(生田斗真以外は)楽しめる要素がなさそう。 案の定である。 冒頭、いきなり生田斗真がベンツのボンネットに全裸で縛り付けられ(股間は紙で隠れてるけど)という笑いのシーンで始まる。ここからどうしてこうなったかの回想シーン。 テレビの洋画劇場で見せ場となるアクションシーンなどを出して視聴者の気を引く、という手法があったけど、これは映画でしょ?映画館なんだからチャンネル変えられる心配はないでしょ?どうしてこうなるのか? トップシーンで観客の心をつかむようなシーンを持ってくることは昔からあるけど、回想でもって来ちゃったら何でも出来ちゃいそうで、どうも好きになれないな。 それで出てくるヤクザも警察もとにかくマンガ。原作がそうだからといえばそれだけなのだが、おじさんとしてはついていけない。 それにしても堤真一って「地獄でなぜ悪い」でも似たようなヤクザ役。他に人はいないかなあと思う。 生田斗真の張り切りぶりは楽しんだけど、それ以外は(私には)全く楽しめる要素がなかった。 一応続編が作りやすいラストにはなっていた。 ヒットしたら作るつもりなのだろう。 (このページのトップへ) 濃厚不倫 とられた女日時 2014年2月16日17:40〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 女池充 製作 平成16年(2004年) 結婚を間近に控えた祥子(こなつ)は役所に婚姻届用紙を取りに行く。その窓口で離婚届を取りに来た男を見かける。元同僚のミカ(藍山みなみ)と食事に行く祥子。その店のオーナーシェフが役所で離婚届けを取りにきていた工藤だった。 ミカと別れた後、再びその店に行く祥子。結婚直前でマリッジブルーに悩む祥子は工藤に身を任せる。 工藤と妻(林由美香)の間は冷えきっていた。 二人には共通の友人・吉田(佐野和宏)がいたが、かつては吉田と工藤の妻がつきあっていたのだ。 今は酒に溺れた生活をしている吉田だったが胃に痛みを感じ、入院する。頼る者もいない吉田は工藤と連絡を取り、工藤の妻とも再会する。 国映作品3本立ての1本。この映画はピンク映画として封切り後、ポレポレ東中野で「ビタースイートBitter Sweet」というタイトルで再公開されたようだ。 こなつ(向夏)が魅力的である。この女優さんは私にとってはいまおか監督の「かえるのうた」の主演女優さん。 結婚前のマリッジブルーに悩む女性を好演。 吉田は実はガンで余命は少ない。 見舞いに来た工藤の妻に「俺は天涯孤独だからなあ」というと「あなたは天涯孤独じゃない。私の長男のミノルは実はあなたの子供」と打ち明ける。 結局婚約者とも別れる祥子。 工藤の元に行くのだが「本当にあなたが好きかわからない。体が動いてしまう。理屈じゃない」と言う。 うんうんその気持ち、ちょっと解る。とにかく体が先に動く時ってあるだろうからなあ。 工藤と妻は別れる。 妻は子供を連れて電車に乗り、子供が訪ねる。 「どこ行くの?」「ミノルに会いたいって言う人がいるのよ」 映画は走り去る電車のカットで終わる。 吉田との再会をべたべた描かない、余韻を残したラストがよかった。 (このページのトップへ) 淫らな唇 痙攣日時 2014年2月16日16:40〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 田尻祐司 製作 平成16年(2004年) カメラウーマンのミノリ(佐々木ユメカ)は雑誌編集者の樫山慎一(真田幹也)と女性エロ漫画家の森の元にインタビューに出かけた。森は一時は人気作家だったが、5年前から描かなくなっており、久々の連載再開でのインタビューだ。 しかし森は「描けない」と言いだし、ミノリの不躾な態度に気を悪くしたのかインタビューに何も答えなくなってしまう。 困った慎一だが編集長の命令でインタビューをでっち上げた。 ミノリには不倫の恋人・クシダがいたが、彼はミノリの親友の夫で、森の元担当編集者だった。 森のマンガに描かれるセックスはクシダが自分にしてきたプレイと似ていた。 国映特集という3本立て。どっちかというと大蔵作品より個性的な感じがする国映の方が好みである。 今日のもう1本「すけべ団地妻 奔放な下半身」はDVDで観た「草むら」なので、途中で出た。 その後喧嘩しながら慎一とミノリは関係が深まっていく。 二人でホテルで過ごした後、ミノリが起きるが慎一は起きない。 「キスしたら恋人になってもいい」といい、ミノリは10数える。しかし慎一は起きない。 このシーンはよかったな、と思った。 その後、慎一が何度か電話をしてくるが、ミノリは出ない。 しかし家に帰って自分のカメラのフィルムを現像してみると沢山の自分の寝顔が写っていた。慎一が撮ったのだ。 おおこれは是枝監督の「そして父になる」のラストと同じじゃん。 これは絶対是枝監督がパクってるよ! このラストだけでも観る価値はあった。 (このページのトップへ) ダークシステム 完全版日時 2014年2月15日21:00〜 場所 池袋シネマロサ2(地下) 監督 幸修司 製作 平成25年(2013年) 加賀美(宅野誠起)は片想いの女性、ユリ(鎌田優子)を友人の西園寺(古谷克美)にとられた。 その恨みをはらすため、彼女を自分のものにするために、「どんなカップルにも隙はある!」という信念の元に対抗することに。 「彼氏が浮気したとかで落ち込んでいる時に優しくすれば一発で落ちる!問題はその落ち込んでいるタイミングをどうやって知るかだ」という訳で秘密機能のついた盗聴機を開発。 その盗聴機を西園寺の部屋に持っていったのだが。(第1部) 第1部で何とかユリを自分のものにした加賀美。だがユリの前に突然男が現れ、「その男はきっとあなたを殺す」と言い、別れてほしいというユリ。 その男は10年前にユリをストーカーした高校生科学者。10年前、「タイムマシンを作った。10年後の俺の妻になったお前に会ってくる」と言い残し、だがタイムマシンは爆発してしまった。そのときの高校生が帰ってきたのだ。加賀美は再び新たな機械を作るのだが。 ツイッターで松江哲明監督とかが誉めていて、昨年3月の同じシネマロサでの公開の際には(私のフォローしている中では)話題になっていた映画。 昨年は見逃していたが、「テコンドー魂」を観に行ったその後すぐに上映されるので観てみた。 あっ、想像していた映画とは全然違った。自主映画ということは知っていたけど、「ダークシステム」というタイトル、ポスターチラシのビジュアルイメージからもっとハードSFをイメージしていたのだが、ラブコメだった。 それもヘタレなイケメンとツンデレの女子が・・・という話ではなく、自主映画を作ってそうなオタクイメージそのままの出演者たち。 コメディと言ってもゆる〜い深夜ドラマに出てきそうなクスクス笑いのレベル。実際TBSで1月から犬童一心監督、八乙女光主演でリメイクされている。 上映後に舞台挨拶があったのだが、ちょうど映画の1部2部のリメイクまでが放送され、次回の放送がドラマ用オリジナルに突入するとか。 レイトショーで疲れた頭で観ていたので詳しいギャグはもう覚えていない。 でも1部で作った盗聴機が模型のヘリコプターみたいな形で、「お前が彼女が出来た祝いにプレゼントを持ってきた」という無茶な理由でプレゼントを西園寺のアパートに持っていく。 西園寺は「彼女を譲ってやろうか?いくら払う?」「10万」「20万」「30万」「40万」(財布を見て)「42万!B級の女にそれ以上は払えん!」と言ったらそこに彼女がいた、という所は笑った。 結局、話は外に出ることなくアパートがほとんどで、その盗聴機からゴム弾が発射され、西園寺は倒れ、ユリは彼女になってエンド。 で第2部。 加賀美と相手が「ポーカーで負けたらユリを渡すんだ」と言われ「いい手だったら勝てばいい。悪い手だったら、人間を賭けることなど出来ないと言って降りればいい」とモノローグがあって(この映画はモノローグが多い)、勝負にでたらAの4カードにジョーカー。 「勝った」と思ったら相手が「やっぱり人間を賭けることなど出来ない!」と言って勝負放棄。 ここは笑った。 「未来を予測するマシン」を占いの本を元に作成。でもわかるのは8秒後のことだけ、という機械。 結局勝ってユリを防衛したわけだけど、まあゆる〜い笑いの連続の映画でした。 幸監督の今後の健闘をお祈りします。 (このページのトップへ) テコンドー魂 Rebirth日時 2014年2月15日18:50〜 場所 池袋シネマロサ2(地下) 監督 香月秀之 テコンドーの全国大会出場を決めた一色利通(井上正大)は父・辰夫(長嶋一茂)から道場を継ぐように言われる。 しかし利通は抵抗があった。利通には兄・新平がいて幼い頃から兄弟でテコンドーをしていて、大きくなったら妹・絵里(小池里奈)と3人で道場を守っていこうと誓っていたのだ。しかし大きくなるにつれ利通の方が強くなり、新平はテコンドーをやめ家を出てヤクザの舎弟をしていた。 利通は全国大会を前に水戸大学の後輩・石場(浜尾京介)、相田(橋本真一)、後藤(辻伊吹)らと山の合宿所で練習することになった。 だが途中、落石事故に巻き込まれ、4人は死んでしまう。 しかし利通、石場、相田、後藤の4人は天国に行くまでの間の世界をさまよっていた。 何をどう間違えると、というか製作の準備をしていくとこいう映画ができるのだろうか?「幻の湖」ほどではないにしろ、トンデモ映画である。 武術、兄弟、片方がヤクザにぐれた、道場の跡継ぎ、恋、などの要素があれば他にいくらでも過去の映画をお手本に話が作れたろう。 「道場が地上げにあってそのヤクザの側に兄がいて、葛藤の末に兄が助ける」とか「全国大会のチャンピョンが卑怯な手を使って棄権させようと後輩を怪我させてお前もこうなるぞと警告し、それをヤクザになった兄が助ける」とかさ。素人の私でもいくつかプロットは思いつく。 ところがこの映画はそうならない。 突如、霊界の話になり、「恨みを持ったものが魂が利通たち4人に襲いかかり、それを倒すとその魂は恨みのエネルギーが消え天国に行けて、利通たちは現世に戻れる」という理屈。訳がわからん。 その話を伝えるのが石橋蓮司でなかなかの怪演。 相田と後藤は「卒業後お笑い芸人になりたい」と言っていて(それもバカだと思うが)、相談に言っていたお笑い芸人が事故にあって重傷の体に転生する。 石場もまだ生きてるうちに大学でのスタントの現場のロケを見て「自分もあんな仕事をしたい」と言い出す。 結局撮影中に事故で重体になった体に転生して夢がかなうのだが。(ついでに自分があこがれていた女子大生となぜかそのスタントマンがつきあっていて、彼女もついでにゲットするのだが) でも正直3人ともバカである。もう少し将来について真剣に考えたほうがいい。中学生ならお笑い芸人になりたとかスタントマンになりたいとかいうのもありだけど、もう大学生だぜ。なりたいならなり方ぐらい自分で探しましょう。 肝心の利通だけど結局一番恨みのエネルギーが強い奴とワイヤーアクションも交えた戦いをして勝つ。で転生する相手は全日本チャンピョンで利通のライバルの男。試合中に事故で死にそうになった所へ転生する。 利通が死んでヤクザから足を洗った兄が道場に戻った所へ、利通は帰ってきて兄妹で道場をやっていくことになってメデタシメデタシ。 でも利通じゃなくて別の男でしょ?家族は利通とわかってるらしいけど。 エンドクレジットでも石場たちもそれぞれの姿で第2の人生を歩んでいる。よくわからん。 浜尾京介とか馬場良馬とか「タクミくんシリーズ」のメンバーが出ていたから観に行った。戦隊ものライダーものを経験した彼らには(主役の井上正大も含む)固定ファンがついていて、本日は初日舞台挨拶付きでシネマロサは満席。 ジャニーズの王道アイドルほどではないけど、固定ファンもいて、この程度の規模なら十分商売になるアイドルなのだな。 それはわかるよ。ファンイベントもあってジャニーズより彼らとの距離は近いだろうから。 舞台挨拶でも話題になったけど、部室でのメイン4人の着替えのシーンでは上半身裸になってファンとしてはいいサービスだったでしょう。 とにかく意味不明のトンデモ映画。 (このページのトップへ) 17歳日時 2014年2月15日13:50〜場所 新宿ピカデリー・スクリーン8 監督 フランソワ・オゾン イザベル(マリーヌ・ヴァクト)は夏のバカンスで家族と訪れた海岸でドイツ人の青年と出会う。 彼と初体験を済ませ、誕生日を迎え17歳となった。 夏が終わり、ドイツ人の青年とはそのまま別れた。 秋になり、イザベルはレアという名前で見知らぬ男と出会って300ユーロをもらってセックスを繰り返すようになる。 そんな中、ジョルジュという老人と出会う。ホテルだけでなく、家族と行った芝居の劇場でも偶然会ってしまう。悪びれもしないイザベル。 他の男たちとも相変わらずセックスをする中、彼は何度か指名してくる。 しかしジョルジュとセックスの最中にジョルジュが死んでしまう。動転したイザベルはホテルから逃げ出すのだが。 フランソワ・オゾンの新作。最近フランス映画は日本では人気を感じないが、それでも公開されることが多い監督だ。 予告編を観て17歳の少女が個人売春をするようになって偶然にも相手が死んでしまう、という展開に興味が引かれて観に行った。 なんて言うか「黒い画集〜あるサラリーマンの証言」的な「調子に乗って遊んでいるとストンと落とし穴に落ちてしまう」というサスペンス映画を期待してしまったのだ。 でも全然そういう映画ではなかった。 17歳の少女の話。 としか言いようがない。 ジョルジュが死んだことで同室にいたのはイザベルだと警察の捜査でわかる。 まあジョルジュの携帯のメールとかホテルの防犯カメラとかで、時間かければわかるわな。でもその辺の動きは全く出ない。 母親の元にいきなり警察が訪ねてくる。 でイザベルは母親によって精神科の医者にかかる。 精神科の問題ではないと思うが、母親はそう思ってしまうのだろうか? その後、友人につれられて行ったパーティで出会った男の子を大して好きでもないのに(そんな感じがした)キスして、家へつれてきてセックスする。 家族がいるのに彼氏とセックスとは驚くが、フランスではあることなのだろうか? 最後にはその彼氏とも別れて久しぶりに携帯にSIMカードをさして使ってみたら(親によって解約はされてなかったらしい)、会いたいというメッセージがあったらしく、イザベルはジョルジュと会っていたホテルへ。 そこへ婆さんがやってくる。これがシャーロット・ランプリング。彼女は死んだジョルジュの妻。 ちょっと思い出話をしてジョルジュが死んだ部屋にいって話しているうちにベッドでイザベルが寝てしまっていたら、誰もいなくなっていた、で終わり。 特にどんでん返しがあるわけではなかった。 フランスでもネットを使った援助交際的な個人売春はやっぱりあるんですね。別に援助交際は日本だけの話ではないらしい。きっとどこの国でもあるのかも知れない。 客の中でイザベルにオナニーさせてそれを見ながら自分もオナニーする男がいて笑える。でもその後に金をケチってはいかんよ。それはだめだ。(ちなみにイザベルの値段は300ユーロ。45000円ぐらいか) イザベルのマリーヌ・ヴァクトはきれいですね。 あとはイザベルの弟ヴィクトル。オナニーするシーンが可愛い。 (このページのトップへ) 僕は友達が少ない日時 2014年2月11日18:35〜 場所 渋谷TOEI2 監督 及川拓郎 羽瀬川小鷹(瀬戸康史)はイギリス人の母の血を受け継いで髪は金髪。しかもちょっと目つきが悪く、不良と思われることや転校が多かったため、学校に全く友達がいなかった。 ある日、放課後の教室で三日月夜空(北乃きい)が一人で話しているのを見かける。「幽霊でも見えるとか??」「いやエア友達のともちゃんと話してた」 お互いに友達がいないことを確認した小鷹と夜空だが、友達を作るために新しい部を作って部活を始める。 それは「隣人部」。そこには成績優秀、美人で市会議員の娘の星奈(大谷澪)、女の子に間違えられるような男でクラスでいじめにあっている楠幸村(高月彩良)、発明が得意でエロ小説が大好きな理科(神定まお)らの学校の変わり者が入ってきた。 特に何かの活動をするわけではなかった彼らだが、ゲーム大好きな星奈が「ゲームの中に入ってみたい」と言ったことから理科の作ったバチャールゲームに参加してみたのだが。 ライトノベル(ラノベと略すらしい)ではベストセラーの「僕は友達が少ない」の映画化。「原作」ではなく「原案」と映画ではクレジットされている。何かあったのだろうか? 話はそれるがラノベでは「シリーズ累計100万部のベストセラー」などと紹介されるが、100万部もベストセラーなら普通の本なら社会現象的な話題になるが、ラノベってまったく話題にならない。誇大広告なのか?それとも別物扱いなのか? 映画に話を戻すと、パンフレットを読むと後半はほとんどオリジナルらしい。 前半は正直笑った。友達がいない個性的な面々が集まってくれるところなど面白い。 エア友達と話すシーンなどもう少したっぷり見せてほしかった。 でも映画にするにはやはり友達がいないと話が動かせない。 バディムービーだけでなく、恋愛映画でもなんでも登場人物の人間関係の基本は友人とか血縁になる。友達がいないと話を作れない。(作れないこともないかも知れないが、作りにくい) だから結局、「友達をみんなで助ける話」になる。 理科が作ったバーチャルゲームに参加した彼らだが、戻ってみると世界が変わりつつある、星奈によって現実世界にバーチャル世界が進入し始めている、というSF的展開になる。 自分の家に他人が住んでいるという異常事態が起こりはじめ、「どうする?」という展開のあと、(ネタバレだが)結局それもすべてゲームの世界だった、彼らは最初にゲームに参加したままだったというオチ。 そもそもこの映画を観たのは「僕は友達が少ない」というタイトルと瀬戸康史主演だからだった。 コミュ障とか言われて「友達が少ない」ことがまるで悪いことのように言う風潮もある昨今。 そんな中で「僕は友達が少ない」っていうことを宣言した青春映画ってどんなもんだろう?と少し(あくまで少し)思ったのだな。 期待とは違った映画だったけど、「僕は友達が少ない」っていうタイトルは好きである。 自分の欠点(?)をあえてさらけ出すタイトル。好きです。 でもベストセラーの映画化にも関わらず、僕が観たときは祝日の夜の回で10数人。 まさに「映画館はお客が少ない」状態だった。 (このページのトップへ) 黒帯三国志日時 2014年2月11日16:10〜 場所 シネマヴェーラ渋谷 監督 谷口千吉 製作 昭和31年(1956年) 明治末期の九州。小関(三船敏郎)は汽車の中で近所の拳闘クラブの小鉄(藤木悠)が紀久子(岡田茉莉子)に絡んでるところを助ける。小関はこの町の正風館道場の強者で、道場主(佐分利信)は娘・静江(香川京子)と結婚させ道場をつがせようかと思っていた。 しかし小鉄をはじめとした拳闘クラブの連中は小関に仕返しを仕掛けてくる。喧嘩になり、そのことが原因で破門されてしまう小関。しかしそれは育ててくれた恩から東京へ出たいと言い出せないでいる小関への愛情だった。 小関は東京へ出て留学生試験を受験するが、試験に落ち、学費を稼ぐためにたまたま出会った男・譲次の紹介で北海道の建設現場で働き始める。しかしそこはタコ部屋で、給料など払われない。 1年経って約束の金をもらって離れようとする小関だが、譲次たちは相手にしない。そんな時黒眼鏡をかけた流れ者(小堀明男)がやってきた。 シネマヴェーラの谷口千吉特集の1本。 白黒スタンダード作品。 この日は「独立機関銃隊未だ射撃中」との2本立てで、ついでに観た次第。 要するに「姿三四郎」のような柔道家の話。 正直、面白いかと言われれば「別に」と言った感じだ。 見逃しても人生に影響を与えるようなことはない。 「いい仕事があるよ」と言ってホイホイついて行く小関も脇が甘いなあと思う。柔道ばかりやってきたお人好しのせいか。 話の方はこの黒眼鏡が実は譲次を逮捕しようとやってきた刑事。そんでもって久慈あさみの飯場で働く売店の女・お葉が過去に夫をこの現場で殺された過去を持つ。 お葉は小関に助けてもらおうとして、小関も賃金をもらって現場を辞めようとしたところで、刑事も加わって大混乱。お葉が盗み出したダイナマイトも爆発し、混乱の中、小関たちも現場を抜け出す。 で、東京に戻って試験を受け、今度は合格。 九州に帰ってみたら、道場は拳闘クラブに乗っ取られていた。 拳闘クラブの主の弟で空手の使い手でしかも肺病持ちに平田昭彦。 ラストは雨の中、平田昭彦と三船の一騎打ち! 平田昭彦が髪を伸ばして、ちょっと影のある悪役を好演。髪を伸ばすと今のキムタク風で、平田昭彦ってやっぱり2枚目だったと再確認。 岡田茉莉子と香川京子という2大ヒロインの他に、久慈あさみの熟女も加わり、モテモテの三船敏郎でした。 (このページのトップへ) RUSH ラッシュ/プライドと友情日時 2014年2月9日14:20〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン6 監督 ロン・ハワード 1976年8月のF1ドイツグランプリ。 首位争いをする二人の選手、ニキ・ラウダとジェームズ・ハント。雨の中のレースでラウダが事故に合い、重傷を負う。 二人の出会いは6年前で二人ともF3にでていた頃だ。 怖いもの知らずのドライビングテクニックで危険をかえりみないジェームズ・ハント、マシンに詳しくチューンアップの要求も多くはっきりした物言いで敵も作ったが彼の言うことが正しいというニキ・ラウダ。好対象な二人だった。 やがてそれぞれF1に昇格。 接戦のまま迎えたドイツグランプリ。 もともと危険なコースの上に、当日は豪雨という悪天候。 ラウダは主催者にレース中止を申し入れる。他の選手たちとのミーティングの席で投票が行われた。ラウダは現在トップなので「レース中止は自分を有利にするためだ」と言われ、ハントはレース開催を主張。挙手の結果、開催となった。ラウダの他の選手からの人気の差もあったようだ。 しかしラウダが心配した通り、事故は起こった。 「アポロ13」などのロン・ハワード作品。 ジェームズ・ガーナーの「グラン・プリ」や日本の「F2グランプリ」などのカーレース映画は好きな方なので、関心を持って観てみた。 ニキ・ラウダやジェームズ・ハントも名前ぐらいは私でも知っていた。 レースシーンもなかなかの迫力だが、どうも面白くない。 何故だろう、と考えてみたが、主人公二人がどうも好きになれないのだよ。 ハントは顔もよくて女にモテてセックスもしまくりで、男からするといやな奴。ニキ・ラウダも「この車はクソだ。重量を減らせ」とメカニックに無茶な要求をしていやな奴である。一緒にいたら友達にはなりたくない。 そういう訳で二人とも感情移入が出来ないのだな。 F1に詳しい人なら実際のニキ・ラウダやジェームズ・ハントを知っていて、その予備知識から「そうそうこんな感じの奴だった」とか「えっ?そういう人だったの?」というような気になるかも知れないが、名前を知ってる程度の知識だから、ただただ気に入らない奴が主人公なだけだ。 そういう意味でどうにも映画に入れない。 で、ラウダは事故後、病床からハントの活躍を見ながら復帰を目指していく。 復帰後、ラウダが「君の活躍があったら、それをバネに復帰の闘志を燃やした」とか言われると、勘弁してほしいなあとこっちが照れてしまう。 でもラウダの復帰会見で、「そんな容姿になって結婚生活は大丈夫ですか?」と質問した記者をハントがはり倒すシーンはよかった。 その年の最後のレース、日本グランプリ。 またまた悪天候。合計の点数で有利なラウダは早々に自らリタイア。ハント勝つか?というのはレースのクライマックスとして大いに映画に乗れました。 でも全体としては主人公が両方とも嫌いな奴なので、好きになれない映画でした。 残念。 (このページのトップへ) 地球防衛未亡人日時 2014年2月8日15:50〜 場所 角川シネマ新宿2 監督 河崎実 突如隕石が地球に飛来! 日中で領有権争いをしている三角諸島に落下した。中から怪獣ベムラスが登場。なんだか中国も領土問題を持ち出す中、ベムラスは移動。原発を襲う。ところが核廃棄物を食べ始めたのだ! 地球防衛軍日本支部(JAP)の天野ダン(壇蜜)隊員は攻撃中止を命令される。実はベムラスはかつて日本を襲った事があり、その際にダンの許嫁が亡くなっていたのだ。彼女はベムラスへの復讐のために地球防衛軍に入ったのだ。 ベムラスが核廃棄物を食べると分かって情勢は一変。 各国は核廃棄物処理にベムラスを使おうと依頼殺到。 アメリカのオズマ大統領も「対外的にはベムラスは日本のものだが、真の所有者はアメリカであることを忘れるな」と釘を指してきて、日本の宇部首相はホイホイ返事する始末。 ベムラスは巨大化していくが、ある日重大な事が解る。ベムラスは排泄をしていない。ではウンコはどこへ行ったのか? 河崎実の新作。「ギララの逆襲」ってこの間の映画かと思っていたら、2008年の映画。そんなに経つのかあ。 相変わらずの低予算、あまりおもしろくないギャグ、かつてのウルトラ俳優の出演、踊り、など河崎実テイスト満載の映画。 正直、怪獣ファンとしてのシンパシーは感じるが、映画監督としてはその作品は好きではない。 低予算で見ていて痛々しい限りだし、今回も森次晃嗣がタマオカ長官役、古谷敏がニュースキャスター役で登場など「いつまでやってんだ」という気になる。 これが大学生が撮った自主映画なら「おお将来ありそうだから、彼にきっちり予算をあげて1本怪獣映画を撮らせてやりたいものだ」と思うが、河崎実は笑いに走るだろうから、そういう気にもなれない。 ダン隊員は隊員になる前は芸者をしていて、そこで踊りがうまく(それがきっかけで結婚が決まったのだが)、実は「古事記」「日本書紀」に登場するアメノウズメの末裔という設定。 かつての婚約者に「怪獣もきっと君の踊りに魅了されるよ」というせりふがあったが、ラストは彼女が踊ってベムラスがおとなしくなるというオチ。 そうそうベムラスのウンチは腸がなかで四次元空間に言ってしまったという話。「筒井康隆の小説に同じネタがあったなあ」と思ったら、パンフレットにそこからもらったと書いてあった。 良くも悪くも河崎実監督らしいぶれない映画。 「電エース」も登場するが、こちらがちょっと(2、3分?)寝た間に登場シーンが終わっていた。 その程度の登場でした。 (このページのトップへ) 男狼トワイライト日時 2014年2月2日19:55〜 場所 光音座1 監督 関谷和美 製作 サラリーマンの隆一(三好友彦)はゲイバーに勤める浩太(天川真澄)とつきあっていた。 しかしつきあい始めた記念日のデートが出来なったことで浩太と喧嘩してしまう隆一。そんな喧嘩をしているところを不意に男に刺されてしまう。 気がつくと湖畔に浩太と立っている隆一。 隆一と浩太は草むらで絡む。その後で「実は前から言おうと思ってたことがあるんだ」とある告白をする。 浩太は両親もなく施設で育ち、15歳でその施設を出て一人で困っているところを今働いているバーのママ、一文字(なかみつせいじ)に拾われたのだった。 そして売り専として働き、一文字ママにも愛され、ペットとして可愛がられ、今や養子になっている。 「そんな大事なことなぜもっと早く言ってくれなかったの」と浩太を責める隆一。 それを聞いて浩太は手すりを乗り越え、湖に飛び込む。 あっと声を上げて見ると隆一は一文字ママの店にいた。 いったいどういうことなのか? うーん、何とも複雑な構成だ。 要するに浩太と隆一の仲を嫉妬した一文字ママが二人の邪魔をする話なのだが、別の次元の世界に隆一が飛んだりして話を複雑にしている。 でもさあ、ピンク映画なんだからわかりにくい話はやめてほしい。 それにこう言った複雑な構成にするなら、話がわかりにくい分、出演者の魅力で見せて行ってほしいのだが、正直それはない。 隆一役の三好友彦はいいんですよ。ちょっと田原俊彦似で美形に入る。 ところが天川真澄の方が単なるおっさん。 まるで魅力がない。このルックスで売り専でママにペットにされたって言っても説得力ないわけですよ。 第一、歳がどう見ても30後半と言った具合でまるで白ける。 その後、常連客(牧村耕次)のアドバイスもあったりしてやはり何か一文字ママが絡んでるに違いないとにらむ。 再び幻想の世界に入った隆一は浩太と再会したものの、彼(一文字ママ?)に首を絞められる。 気がつくと自分の部屋のベッドの上。 そして謎の女が登場し、彼女に連れられるままに次元の違う世界へ。そこから隆一がママの手下に犯されるのを見る。 それを助けたところで現実世界に戻り、最初の用に通り魔に背中を刺される隆一。 で、病院のベッドで寝ているとさっきの不思議な女が登場し、「あなたの愛が本物なら、浩太が迎えに来てくれる」という。 誰が来るかドキドキさせて(別に見てるこっちはしないのだが)浩太が来てほっとさせて、その浩太が隆一を殺そうとする、というところで目が覚めて、二人はキスしてハッピーエンド。 とにかくゲイ映画であまり実験的なことはしないでほしいな。 ともかくピンク映画なんだから。 (このページのトップへ) 狼の獲物たち日時 2014年2月2日18:55〜場所 光音座1 監督 サヴィエル 製作 1995年(平成7年) ダニエル(ヨハン・ポーリック)はまだ自分がゲイであるか迷っていた。でも街を歩いていてもついつい男ばかり見てしまう。 勇気を出してゲイバーに入ってみる。そこのバーテン(クリスティン・ジェンセン)の美青年ぶりに目を奪われてしまうが、彼は何もする事が出来ない。 そこにいた男娼に声をかけられるままついていくダニエル。 記憶と現在、妄想の中をさまようダニエル。 そして再びあのバーに行き、バーテンと再会する。 ヨハン・ポーリックはヨーロッパのゲイ男優として有名で、ウィキペディアにも項目があるくらいだ。 確かに顔はアイドル顔で、ヒゲマッチョ、というタイプではなく、ヒゲもなく童顔の美青年。 ほっぺがふっくらしたまだ少年の面影を残しながら、体は筋肉質で美しい。 これなら人気のほども納得出来る。 本作は彼のデビュー作だそうで。 (なお「チェイン・リアクション」という原題のままでDVD化されている。「チェーン・リアクション」で検索するとゲイはゲイでもキアヌ・リーブス主演の映画が出てくる) 古都プラハを舞台に、ダニエルの記憶のトレーニングジムでの体験、男娼についていった部屋の窓から見たイケメンの大工、男娼と入ったレストランのウエイター、そしてその大工が最初のバーにやってきてバーの倉庫で別の男とセックスする、そんなシーンが続いていく。 そして非常にソフトポルノ風に描写する。カットとカットはオーバーラップでつなぐことが多く、それがソフトさを演出している。AVのようなストレートさはない。 それが不満に思う向きもあるだろうが、とにかく本作はソフトさを全面に押し出したようだ。 ラスト、ダニエルはバーテンをきっと結ばれることを信じて翌日開店前のバーに行く。 そしてそのバーテンとしっかり結ばれる。 ハッピーエンド。 ヨハン・ポーリックをはじめとするヨーロッパのイケメンたちがたっぷり堪能出来るソフトな作品。 さっきも書いたけど、それじゃ不満な方もいらっしゃるでしょうけど。 (このページのトップへ) 小さいおうち日時 2014年2月2日12:45〜 場所 丸の内ピカデリー1 監督 山田洋次 健史(妻夫木聡)の大叔母・タキ(倍賞千恵子)が亡くなった。実はタキは生前ノートに自伝を書いていたのだ。 健史だけが事前に途中まで読んでいた。 タキ(黒木華)は山形の米沢の生まれ。戦前では子供は口減らしに学校を出たら奉公に行くのが当たり前だった。タキも知り合いの紹介で東京のサラリーマンの家庭に奉公に出た。 そこは玩具会社に勤める平井(片岡孝太郎)の家で妻の時子(松たか子)とまだ小さい息子の恭一の3人の家庭だった。恭一が小児マヒで足が悪くなったが、タキの賢明な看護でやがて足も治っていった。 正月に平井の会社のデザイン部に入社した若い板倉(吉岡秀隆)という男がやってきた。 南京攻略の話題で持ちきりの夫や会社の社長とは違う芸術家肌の板倉に時子はやがて惹かれていく。 しかし戦争は悪化。板倉にも召集令状が届く。 時子は決意をするが、そばで見続けていたタキも時子の行動にある提案をするのだが。 山田洋次の新作。 とりあえず妻夫木が出ているので見る。 観始めて思ったが、「東京家族」とキャストがかなりかぶっている。 妻夫木もそうだし、橋爪功と吉行和子が夫婦役、林家正蔵、中島知子らも出演。「男はつらいよ」時代からの吉岡秀隆、倍賞千恵子も出演だ。 となると本来中心人物の若き日のタキは蒼井優が演じるはずだったのではないか? どこかに田舎娘の面影を残したタキを演じた黒木華は蒼井優に似ている。スケジュール等の都合でかなわなかったのだろうか? それはさておき、この映画は昭和10年頃から昭和20年の終戦までの日本のある家庭を描いていく。 南京攻略の時は今の感覚ではちょっとピンとこないが、日本中が戦勝ムードに湧いていた。三越や伊勢丹の各デパートでは大売り出しがあったという。 まるでプロ野球の優勝記念セールのようだ。 小林信彦の「僕たちの好きな戦争」でも描かれたが、日本人もある時期までは戦争の利益を享受していたのだ。 映画の中でも現在の大学生の健史が「226もあって満州事変もあって戦争一色だったのでは?」という。 それが現代の感覚だが、東京オリンピックも決まっていい時代でもあったのだ。 最初は「アメリカとは戦争してはいけない」と言っていた人々もやがて「開戦やむなし」になり「あんな生意気な国一度はたたかなきゃいけないんだ」という。 後半では戦争も激しくなり、やがて映画の舞台の家も空襲で焼けてしまう。 家が焼けてしまうカットは静かにFIXで捉えられ、それがかえって怖かった。 時子と板倉は演奏会で一緒になったことから親しくなってく。やがて主人の命令で時子が板倉の縁談のことで相談に行くうちに関係を持ってしまう。 タキがそれを気づくのが、朝出かけたときと帯の向きが違うという些細なことからだ。 二人の仲が噂になりかけた頃に板倉も出征が決まる。 最後に会いに行こうとする時子を止めるタキ。これ以上噂になってはこの家が危ない。 タキは時子に板倉宛の「1時にお越しください」という手紙を書かせる。しかし結局板倉は来なかった。 この段階でオチはある程度は想像がつく。 そしてタキの遺品の中から、時子が書いた宛先不明の手紙が見つかる。やっぱり、という展開。 しかしラストになって恭一少年が生きていたという展開に驚く。(しかも演じているのは米倉斉加年だ) 昭和10年代のあの時代、その時代を楽しんでいた時期も日本にはあった。しかしあっと言う間に空襲で焼けて敗戦だ。 そんな時が来るとは想像しなかったに違いない。 今の日本でも、浮かれて自分に都合のよい展開ばかりを見ていると、想像もしていなかった結末を迎える。 そんなことも山田洋次は描きたかったんだろうなという気がする。 見応えはあった。でもちょっと長かったかな。 (このページのトップへ) 日本の悲劇日時 2014年2月1日15:50〜 場所 下高井戸シネマ 監督 小林政弘 製作 平成25年(2013年) 不二男(仲代達矢)は肺ガンで余命3ヶ月と宣言されながら退院した。一度は手術したものの、二度目の手術は拒否したのだ。そんな不二男を自宅に連れ帰ったのは息子の義男(北村一輝)だった。 義男は「リストラされて死ぬことばかり考えて、病院に行って戻ってきたら風邪一つ引いたことのなかった母さんが倒れて介護してやっとなくなったと思ったら今度は父さん。俺も就職して社会復帰しようと思ったがまた看病。そこへ震災。とも子たちを探しに避難所を回ったけど見つからない」とこれまでのことを一気に話す。 翌日、不二男は妻の遺影と遺骨のある部屋に立てこもる。 中から釘を打ち、外から開けられないようにしてしまう。 この親子にはいったい何があったのだろうか? 去年秋の公開だったが、時間が合わず見逃していた映画。 小林政弘監督は「バッシング」「春との旅」と2本観て、気に入らず「私の好みとはあわない監督だな」と思っていたが、今度はタイトルが「日本の悲劇」。 「日本の〜」というタイトルが私は好きなので、タイトルの勝ちである。 主演は仲代達矢。「春との旅」で組み始めた小林監督と仲代だが、よほど信頼しているのだろう。 「背中だけのカットが多かった」と仲代がインタビューで語っていたが、その通り。仲代の出演シーンの半分は後ろ姿ではないか? 映画は部屋に閉じこもった不二男の回想、あるいはカットバックの構成で、冒頭に義男が語ったこの数年の自分の境遇について描かれる。 とも子さん(寺島しのぶ)が「離婚します」と言ってきた日、義男が突然帰ってきた日、息子はリストラされ自殺願望にとりつかれ長野の病院に行っていたという、母さん(大森暁美)がスーパーで倒れたと連絡を受ける、不二男が変な咳をしているので病院行きを進めるが「大丈夫だ」としか言わない、母さんが遺骨になって帰ってきた日、地震が起きる。 リストラ、親の介護、自殺、大震災。 日本を覆う数々の悲劇(という単語が適切か疑問に感じる。「悲劇」という言葉には人知を越えたものという印象を僕は持ってしまうが、リストラも自殺も人間が起こしたものだ。「悲劇」という言葉は似合わない気がする)をすべて凝縮してしまうような家族。 そして父親は自ら断食という緩慢な自殺をする。 それは息子に自分が死んでも年金がもらえるようにするためだ。 この映画はほとんどがモノクロ。しかし義男ととも子が生まれた赤ん坊を連れて来た日だけはカラーになる。 「あの頃が幸せの頂点だった」と言うように。 いまおかしんじ監督が何かのトークイベントの席で「今日、『日本の悲劇』を観てきたんですが、観終わって隣の席のおばさんが『救いのない映画ねえ』と言っていた」という話をされていたので、どんなラストが待っているか思っていた。 ラストは食卓の上に仲代の写真(遺影のようだが、黒枠ではない)がおいてあり、散らかった食卓だが、義男が支度をして、「父さん、今日も面接行ってくるよ」と出かける。 もちろん事態は何も解決していないし、ハッピーエンドではない。しかし義男は前に行こう行こうとしている。 彼の努力が実る保証はないけど、でも前向きである。 僕は一筋の希望を観た。 北村一輝がこんないい役者だと思わなかった。 それと録音。ビッグバジェットの映画なら普通のことだが、こういう低予算の映画でも音の強弱で人物の遠近感を出していた。 FIXで長いワンカットの多い映画で、飽きずに観れたのはもちろん仲代の力がもちろん大きいが、録音をはじめとしたスタッフの力も大きいと思う。 見逃さなくてよかった秀作だった。 (このページのトップへ) 海底大戦争日時 2014年2月1日 場所 TSUTAYA宅配レンタルDVD 監督 佐藤肇 製作 昭和41年(1966年) 新聞記者の安部(千葉真一)は米海軍の潜水艦の新型ミサイルのマスコミ用テストに参加した。しかしそこで新聞記者たちは実験を見守るモニターに泳ぐ人影らしきものを見た。米軍の担当者・ブラウンは「あれは水死体だ」と主張したが、安部は納得しない。 実験終了後、安部は恋人の記者のジェニー(ペギー・ニール)とともに、人影を見た海域を潜水して調査。 ジェニーはそこで海底でも生きているモンスターを発見!写真に撮ったが、モンスターに追われて逃げる途中にカメラを落としてしまう。何とか戻ったものの、ブラウンをはじめ記者仲間もモンスターの話は信じてくれない。 安部とジェニーはカメラを探しに再び海へ潜るが、ついにモンスターの捕まってしまい、彼らの基地へと連れて行かれる。 そこでは天才科学者ムーア博士が世界各国の科学者を集め、独裁帝国を作ろうとしていた。 一方、戻らない安部とジェニーを心配したブラウンたちは彼らの捜索を開始する。そこでジェニーが海底で落としたカメラを発見。そこにはジェニーの目撃したモンスターがはっきりと写っていた! 東映が明らかに輸出を意識して作ったSF映画。そういえばこの路線で深作欣二も宇宙SFを作りましたね。 この「海底大戦争」もメインキャラクターでは千葉真一のみ日本人、あとは西洋人の設定。 地上進出を企む海底人と人間の戦い、という話だと思っていたらさにあらず。海底人は改造人間。 マッドサイエンティストが登場というSFの王道。 人間を海底人間に改造する様子を見せるのだが、コマ撮りで結構丁寧に見せていく。 ここはやや気色悪いが、本作のキモと言ってもいいと思う。 ここまではテンポが遅く、やや退屈だが、後半になって盛り返す。 ブラウンは米軍の潜水艦で捜索を開始するが、上から捜索中止命令。これが実はムーア博士が裏でアメリカとつながっていたという話になるのかと思ったが、そんなことはなく、単にブラウンの報告を信じていなかっただけみたい。 その後、ブラウンたちの潜水艦はムーア博士のミサイル攻撃を受ける。反撃して基地を破壊しようとする艦長。しかし安部、ジェニー、そして後に捕らわれた原子力の専門家が基地にいるかも知れないとミサイル発射装置のみの攻撃を主張。妙に二人は対立する。 実はムーア博士の海底基地の動力は原子力で、地上にある核のゴミの処理施設が海底に捨てたものを拾ってその動力にしたのだ。その空き缶(?)が海底に捨てられており、付近は放射能が高い。 結局ムーア博士の基地と潜水艦の戦いの余波でその核の空き缶も被害を受け、放射能が漏れ出す。 おいおい大変な事態だ!と思ったが、話としてそれは放置される。その後放射能物資をどうやって処理したかの説明はない。 311以前だったら何とも思わなかったかも知れないが、今は気になる。 で、ブラウンたちの攻撃で、改造人間のコントロール装置が壊れ、改造人間は基地の人間たちに襲いかかる。それでどんどん敵は滅ぼされていく。その混乱に乗じて安部たちも逃げ出す。しかし改造人間たちが何体も何体も襲いかかってきて、格闘に次ぐ格闘。さすが東映映画だ。 いよいよ基地も爆発する事態となり、ムーア博士と安部たちが脱出ポットを巡って争ってついにムーア博士も死ぬ。 哀れムーア博士は自ら作り出した怪物に殺されてしまうのでした。 んで何とか逃げ出した安部、ジェニー、原子力博士だが、安部とジェニーは改造人間にされる第一段階までされてしまったので、実は皮膚が少し変質している。 「こんな姿なら死んだ方がまし」と泣き叫ぶジェニーだったが、ラスト、救出された潜水艦内部では気がついた時は元に戻っている。 「博士が直し方を知っていたんだよ」という説明。 おいおいあんた原子力の専門家じゃないのかい?という疑問を口に挟むことはルール違反で、映画はめでたく終わるのである。 海でも生きられる改造人間(名前がないのが惜しい)が印象的な映画でした。 (このページのトップへ) |