2014年6月

アポロ My LOVE 海から来た男 東京大地震
マグニチュード8.1
あいときぼうのまち
フェイズW 
戦慄!昆虫パニック
孤獨の人 シャーロック・ホームズの
殺しのドレス
わたしのハワイの歩きかた
スイートプールサイド Oh!透明人間
インビジブルガール登場?!
ポンペイ 飼育される女
ゴジラ 4Kリマスター版 万能鑑定士Q
モナ・リザの瞳
危なく愛して たゞ独り死す

アポロ My LOVE


日時 2014年6月29日17:55〜
場所 光音座1
監督 小林悟
製作 


ショウイチは優良企業の社長の息子で遊んで暮らしてるような身分。父が社長だったが、今は父の後妻となった元秘書が社長をしている。
1年前、ショウイチは海岸でぼんやりしている青年、マサオと出会う。ひったくりに鞄をとられそうになったところを助けたのだ。
親兄弟もなく、親戚から謝金を押しつけられたマサオを自分の元へ住まわせるショウイチ。そんなショウイチをマサオは「アポロ」と呼ぶようになる。
ある日、義理の母に呼び出されて東京に行くショウイチ。
ヨットに一人残されたマサオだったが、そこへ男二人、女一人の賊がやってきた。


ポスターの下の方にわざわざ「薔薇族映画」と書いてあるからゲイピンクとしても初期の作品だろう。
そのせいか正直誉められたものではない、というかどう作っていいかわからずに作っている感じがする。

まずショウイチのキャラクターが滅茶苦茶(私に言わせれば)。
義理の母とは父の葬式の夜に犯してしまい、関係を持ってしまう。そしてこの日も母に呼び出された訳だけど、その晩も二人でホテルへ。
母親に「あっちの病気は直らないようね」と言わせている。
ホモを「病気」と表現してしまう。
作ってる方がホモに理解がないというのがバレバレである。
だから母親とショウイチのセックスという男女の絡みをつい(かどうかは解らないが)入れてしまう。

そして男女三人の賊は裸でいたマサオにいたずらを始める。パンツを脱がせ射精させ、女の方も「あたしもやりたくなちゃった〜」と言って男の年上の方の一人と始める。
で彼らの襲った理由だが、1年前に女がショウイチやマサオにレイプされたのを恨みに思っての行動。
これではショウイチも賊もどっちもどっちで悪い。

1年前にマサオと街をぶらぶらしていたときに女から「遊びに行こうよ」と声をかけられ、そして終いには父親の会社に忍び込んでそこでショウイチは彼女を縛って犯す。
それを見てマサオはショウイチを後ろから犯すというカオスな状態。
それをすっかり忘れていたショウイチ。

駆けつけたショウイチによって賊3人はヨットから放り投げられ、メデタシメデタシ。(でもないが)
ショウイチは女も男も犯し、親のお金で暮らすダメ人間。
こういう映画しか出来ないあたりがまだまだ普通のピンク映画しか作ったことがなかった為だろうか?

惜しいのはマサオを演じた青年がなかなかの美青年。
今で言うなら満島真之介風のハーフっぽい感じもするのだが、彼の美青年ぶりが生かされているとは言えず、その点も非常に惜しい。



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海から来た男


日時 2014年6月29日17:05〜
場所 光音座1
監督 武田英幸
製作 


サラリーマンの男は妻に逃げられた。「あなたは女一人も幸せに出来ないから」と置き手紙に書いて。
テレビでは南紀白浜の海岸でナカニシ・ケイという男が自殺してその同性愛の恋人が亡骸に抱きついている。
それを見てサラリーマンの男はかつて家族旅行で行った海岸だと思い出す。彼はそこで男と男が絡み合う姿を目撃し、それを見たい衝動を押さえられなかったのだ。
白浜海岸近くでサーファーの男とすれ違う。
海岸で海を見ているとさっきのサーファーが海からあがってきて、男の前で裸になり抱きしめる。
二人は思わず全裸になって求めあってしまう。


雑誌「薔薇族」で連載していた山川純一のマンガの映画化。山川のマンガは登場人物が男臭くなくて少女マンガっぽい美少年、美青年だったので好みが分かれたらしい。
ちなみに山川の現在の消息は不明。

まあねえ、日本のゲイピンクの欠点がもろ出てしまった感じ。
主人公の海から来たサーファー青年がまったくイケメンでない。
体も水泳体型なイケメンが演じていれば全く違う印象の映画が出来たと思うが、演じているのは完全に「どっかその辺からつれてきた」という感じの青年に演じさせている。
だからそもそも映画が台無し。

それでそのサーファー青年の話では自分の恋人ナカニシ・ケイが最近自殺してしまったという。テレビでやっていた奴だ。
ケイはかつて別の男と寝たことがあり、そのことをその男からしつこく言い寄られ、自分の恋人への後ろめたさもあってか自殺したらしい。

サラリーマンに声をかけたのも思い詰めた表情がケイとんていたからだという。
それでサラリーマンと体の関係を持ってしまうのだから、このサーファーも私に言わせれば尻が軽い。

最後には夕日がきれいな海へ(ここは撮影がすばらしい。ここまできれいな夕日はなかなかない)二人で入っていく。
ひょっとしたら海から来た男はサラリーマンの幻想で、かつて海岸で見かけたセックスしていたカップルを自らの頭の中で妄想で生み出しただけなのかも知れない。
そして人生に悲観した彼は入水自殺を図る。美青年とのセックスという願望を妄想として。

そんな幻想的な解釈も出来るラストだった。

あと加えておけば上映時間が50分。
通常のピンク映画60分より短い尺だった。



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東京大地震 マグニチュード8.1


日時 2014年6月28日16:35〜
場所 シネマヴェーラ渋谷
監督 西村潔
製作 昭和50年(1980年)


198×年。相模湾沖の海底で異変が起き、気象庁では地震の専門家が集まり、「近い将来東京に大地震が起こる可能性が極めて高い」という見解を出す。
直ちに内閣に報告されたが、総理(佐々木孝丸)や水原大蔵大臣(岡田英次)等によって「発表はまだ早い。防災対策をまとめてからだ」ということで国民には知らせなかった。その中で水原は娘に「1年間ぐらいアメリカに旅行に行け。秘書にチケットを用意させる」と言う。
秘書小林(千葉真一)いつも使っている新宿地下街の旅行業者に頼み込む。そのチケットをもって水原大臣の娘に会いに行こうとした17時55分、大地震が発生する。


1980年4月にテレビドラマで放送された作品。
テレビドラマであるが故に、またソフト化されてないのでなかなか観る機会もなく、今回初めて観た。
特撮監督は川北紘一。助監督に浅田英一、プロデューサーの一人が坂野義光。よみうりテレビと東宝映像の共同製作なので、坂野さんがいても不思議はないのだが。
1980年頃は土曜日の夜の土曜映画劇場が映画放送枠から2時間単発ドラマ枠に変更され、各社その流れに乗って2時間ドラマブーム。「火曜サスペンス劇場」とかあった。この作品は「木曜ゴールデンドラマ」枠の3話目で、シリーズスタートで気合いも入っていたのだろう。

関係ないがこの2時間ドラマ枠はアメリカでスピルバーグの「激突!」が日本では劇場公開され、それに触発され「テレビ=連続ドラマではなく、質の高い単発ドラマを作っていこう」という動きが日本のテレビ界にあったと記憶している。

で、今回のヴェーラでの千葉真一特集の1本として上映。
正直全体の出来としてはよろしくない。
特撮の方も公称1億5千万の製作費をかけ、「テレビドラマとしては」破格だろうけど、やっぱり「日本沈没」などと比べると格落ちの感はある。

それに第一お話がよくない。
「地震列島」も「大地震」もそうだけど、映画になるとどうにも面白くない。
映画という媒体ではどうしても少数の主人公(及びグループ)の逃避行となるが、それがどうにも時折無理な超人的な行動をとらざるを得なくなり、それが「アホくさ」「そんな無茶な!」という気持ちになってしまう。

今回も千葉真一のスーパーマンが登場する。
あと主要人物として竹下景子の海外旅行のツアーコンダクター江田が登場。この女性、江田が昼間に海外から帰ってきたら恋人(織田あきら)から「いつも君はいないし、会社の上司の娘との縁談があった」ということであっさり捨てられる。
で、会社に辞意を伝えにきたところを大地震にあう、という展開。

まずこの旅行会社の社員(穂積隆信、江木俊夫)たちがやたら小林に仲間意識を要求する。小林が「私はお嬢さんが心配ですのでここを離れます」というと「私たちを見捨てるんですか?!」と責める。
いや別に離れるのは当然と思うけど。

「絶対戻ってきますから」と離れた小林はガラスが降ってくるビル街を超人的能力でくぐり抜けていく。
ってヒーローものじゃないんだから、とつっこみたくなる。
お嬢さんはなんとか一人で堂々と助かって代々木公園の避難所に避難。そこで小林と再会。そんなにうまくいくのかね。
で大臣のいるであろう立川基地までいこうとしたら、陸自のパイロットの高木(柴俊夫)がたまたま知り合いで「乗せてくれ」と小林が頼むと「知り合いだからって優先は出来ない」とかっこいいことを言われ、小林は敗退。
それをなじるお嬢さんだが、「あんたも大したこと無いわね。あたしが直接頼んでみる」と別の隊員に頼むとあっさり乗せてくれる節操のなさ。

なんとか地下街の旅行代理店に戻った小林だが、出口はふさがれ、パニックになった支店長と若い社員とがれきの除去を行うが、余震で二人とも死ぬ。(ここちゃんと見せてほしかった)
で、客だったおばあちゃんとその孫と江田、旅行代理店の若いOLが残される。おばあちゃんは結局死亡。パニックになったOLが泣き出すと、まだ小学校低学年ぐらいの孫に「落ち着け!」とビンタを食らわせられる。
ここ、場内で笑いが出た。

その後、裏に金庫室があると知った小林たち。金庫の裏に今は使ってない扉を発見。扉は鍵がかかっている。「プロパンガスはないか?」と小林が言うとあっさり出てきて、そのガスが充満したところでライターを放り投げ、自分は金庫に隠れて難を逃れる、という無茶さ。だから「キーハンター」じゃなんだから。

孫に殴られたOLはそのまま一人でどこかへ逃げて、物語からいなくなる。
小林、江田、孫の3人で避難。途中、他の女性を母親と思った孫がその女性についていってしまって、火災の時の旋風で丸焼けになってしまうという怖さ。

一方自衛隊員の高木、救援物資を避難所に届けると暴徒と化した群衆に襲われて、あっけなく死亡。
ここ、あっさりしすぎだよ。もう少し活躍させてあげて欲しかった。

なんとか立川基地にたどり着いた小林たち。
総理や水原大蔵大臣は「世界史上最大でしょうなあ」どうも緊迫感のない様子。
さらにお重の弁当食ってブランデーなんぞ飲んでいる。
それを見た小林はさすがにぶち切れ!
「あんたもこんなところで弁当食ってないで外へ出て市民の状況を見たらどうだ!」と演説する。
そういった以上は小林も辞職。

江田と二人で例の孫を大分に送り届けると誓う小林だった・・・
で終わり。

政府の無作為さには腹が立ってくるし、311以降の日本を見ていると本当にあんな感じだなと思う。
戦争が起こっても政治家はああなのだろう。
あと高木が死ぬところはいささかやりすぎの感あり。
311では日本人は整然と列を作っていたと報じられたけど、あれは嘘だったろうか?
市民が暴徒と化すのは理解するが、もうちょっと説得力を持たせて欲しかった。

ドラマ部分ばかり書いたけど特撮シーンはすべて新規に撮影したもの。田中友幸プロデューサーから「日本沈没」のフィルムは使ってはならんと釘を刺されていてそうで。
コンビナート爆発のシーンはてっきり「沈没」だと思っていたので、驚いた。

この日は川北監督のトークイベント付き。
映画ではシネスコでこの映画はテレビ用のスタンダードサイズだが、その違いについては「スタンダードはパンフォーカスが出来るし、シネスコよりレンズの選択の幅が広がってやりやすい面もあった。『大空のサムライ』の時なんかシネスコでパンフォーカスが使えなかったらなあ」というお話でした。

ソフト化は「以前やろうとしたがよみうりテレビと東宝映像の権利の配分が難しくて結局まとまらなかった。それに今は地震をテーマにした映画は派手に売りにくいのでなかなかやっかい」という話でした。
でも時期が来ればきっとソフト化は出来るでしょう。
期待してます。



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あいときぼうのまち


日時 2014年6月28日13:25〜
場所 テアトル新宿
監督 菅乃廣


1945年福島県石川町。日本軍もウランを使った新型爆弾を開発するために福島で勤労動員の学生にウラン鉱石の採掘をさせていた。その中学生の一人草野英雄は父が戦争で死に今は母親と二人暮らし。そんな母は東京から来ている加藤大尉と関係を持っていた。
1966年福島県双葉郡。原発建設計画が始まり、土地の買収問題で町は賛成派、反対派に二分していた。
大人になった英雄は反対派だった。賛成派の町民たちから徐々にいやがらせを受けていく。英雄の娘・愛子も新聞配達のバイトをやめさせられる。そんな彼女に寄り添ってくれたのは同級生の奥村健次だった。
2011年福島県南相馬市(震災前)。愛子も61歳。孫の怜にフェイスブックのやり方を聞き始めてみた。そこでかつての恋人、奥村健次(勝野洋)と再会する。
2012年東京。愛子の孫娘、怜は16歳だが援助交際をしていた。そこで街頭募金をしている沢田と名乗る青年(黒木耕平)と出会う。「みんなが忘れてしまっている311や福島を思い出させているんだ。募金はその代金」と言う。


311、福島第一原発事故を中心に据えた問題作。
こういう野心的な作品を前にすると「誉めなければ!」という意識が先に立ってしまい、どうにも書きにくい。
しかし誤解を恐れずに言えば「映画として」どうにもまとまりが悪い。
いや私なんか原発反対派だし、映画ファンだから原発反対のスタンスで作られる映画は基本的に応援する。この映画も2週間しかテアトル新宿で上映されない。ヒットして欲しいと思う。しかし話題になっていないのか、2週目の土曜日の午後の回という比較的お客さんが入りやすい時間帯に関わらず、がらがらだった
残念である。

面白かった点を先に書く。
一番面白かったのは1966年の原発建設時の話。
原発反対派の英雄を賛成派の町民や東京電力の人が説得に来る。「原発は本当に安全なのか?」「私はそう信じている。それに石油はいつかなくなるんだぞ。その次のエネルギーのためになるんだ。これは日本のためなんだ」
日本では(いや他の国はどうか知らないのだが)自分の利益を主張するより集団の利益を尊重することが尊ばれる。
自分の為より会社の為。その会社の為になることが引いては自分の為になると考えられている。それはある面では正しいだろうが、「俺が会社を守っても、会社は俺を守らない」という時もあるので要注意である。
英雄は「戦争中も大本営は勝った勝ったといい続け、結局は負けた。政府の言うことなんて信用できない」という。

でも私が1966年に原発建設の是非の立場にいたらきっと賛成に回ったと思う。私は上記のように説得されたら断りきれない。
英雄は農業をしても誰も作った農作物を買ってくれなくなり、結局賛成し、自殺する。
このパートが一番面白かった。

2011年の震災前。フェイスブックで再会する健次と愛子。健次の息子は原発で働き、癌で死んだ。放射能で「癌になったと裁判を起こすが健次は「癌と放射能の因果関係は医学的に証明されていない」と裁判に及び腰だ。その事が原因で妻は出ていった。
愛子と健次はやがて関係を持つ。それは孫の怜の知るところとなる。愛子の浮気現場を見て耐えられなくなった怜は海岸で二人が会っている時に健次の車の鍵を投げ捨ててしまう。
そしてその時に地震と津波がやってくる!
怜が自分のせいで祖母を死なせてしまったと思いこんでも不思議はない。そしてその行為は無理もない。

1945年のパートは加藤大尉の妻と子供が東京からやってきて終戦もあって英雄の母は自殺して終わる。
そうすると2012年のパートが一番物語が作りにくいのだよ。特に物語りを終わらせるような事件がないからだ。
事件はこっちから作らねばならない。
沢田と怜は福島に行き、放射能を浴びた落ち葉を拾ってきてそれをビルの屋上から東京の繁華街に撒く。
それなりにインパクトはあるが、やっぱり弱い。
また沢田という人物がよくわからない。自分では「原発ジプシーだった」といい、後になって「あれは嘘。本当は売れないライター」という。
どうもこの人物の意味不明なので、どうにも消化不良感が残る。

いっそ首相官邸テロとか東電テロとかやってくれた方が映画的に盛り上がったのになあ。
でもそうなると「荒唐無稽」とかになってしまうか。
判断の難しい所だ。

とにかく皆さんに観ていただきたい、応援したくなる映画である。



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フェイズW 戦慄!昆虫パニック


日時 2014年6月27日
場所 DVD
監督 ソウル・バス
製作 1973年(昭和48年)  


ある年の春、宇宙に異変が起こった。地球には何も影響がないかに思えたが、昆虫学者のハッブス博士(ナイジェル・ダヴェンポート)は蟻の増殖を気にかける。
米政府に調査要求をし、自分と動物言語の解読を研究しているジェームズ・レスコ(マイケル・マーフィ)の二人で片田舎に研究のために赴く。
すでに住民は避難していて、一軒だけ頑固物の夫婦と使用人、その孫娘・ケンドラ(リン・フレデリック)がいるだけだった。
蟻の発する音を研究し、「進め、止まれ」などの単純な命令を解読するジェームズ。やがて蟻の大群が例の夫婦の家を襲う。逃げ出す一家だったが、ハッブス博士が研究所の周りに撒いた殺虫剤を浴びて死んでしまう。
なんとか生き延びケンドラは博士たちの研究所に避難するのだが。


ソウル・バス初監督作品。
ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」やジョン・フランケンハイマーの「グラン・プリ」のクレジットタイトルデザインで有名なあのソウル・バス。
日本では劇場未公開でVHS、LDでのみの公開だったらしい。今回DVD化されその事が「映画秘宝」に記事がでていて早速鑑賞した次第。「蟻対人間」とか面白そうだし。

で、観てみて思ったのが「こりゃ劇場未公開だな」。
はっきり言って面白くないのである。サブタイトルからして巨大化した蟻が人間を襲うとか、蟻の大群を火炎放射で焼き払うとかそういう派手な画を期待してしまいがちだが、そういうのはいっさいなし。
第一、画がつながっていないというか人物の位置関係がよくわからないところがあり(例の頑固物夫婦一家が博士の撒いた殺虫剤でやられてしまうあたり)、その辺はテキトーだ。

また話の方も蟻が高さ5mぐらいの塔(?)を数本作って上から70cmぐらいの所で口を開けたようにぱっくりと開いており、これを壊してみたことから蟻の襲撃が始まる。
そして今度は高さ50cmぐらいの表面が鏡面になった物体を博士の研究所の周りに作って太陽熱を反射して温度を上げて人間を攻撃するという技にでる。
こういう物体をどうやって蟻が作ったかの説明はなし。
作ってるシーンもないのでなんだかよくわからない。
でもこの映画の見所はそういうストーリーで見せることでは無いように思う。

この映画の見所、というか特徴は本物の蟻を使っての撮影だ。それも接写で行っているので、実際は2mmも無いような蟻の頭が画面いっぱいになり、その歯やアンテナのような角(?)や産毛まではっきり見える。口をパカポカあける仕草など本当に不気味。
そして中盤にクーラーを壊そうとした蟻をカマキリが捕食してそのカマキリが別の蟻に襲われるという対決シーン(?)は本物の蟻対カマキリで実に不気味。
子供が観たらトラウマになるかも知れないような不気味さだ。

博士が途中で右腕を蟻にかまれて、その部分が徐々に肥大化していくので、最後でその患部から蟻が大量に飛び出すのではないかと期待(?)したが、そういうのはなし。
例の頑固物一家の死体を調べたとき、手の平に開いた3つの穴から蟻がぞろぞろとはい出すのを観てしまったからだと思うけど。

タイトルの「フェイズ」は「段階、局面」という意味。
映画は「フェイズT」=調査開始、「フェイズU」蟻の反撃、「フェイズV」=博士やジェームズが女王蟻を殺して一挙に蟻を叩こうとする、という各段階を示す。
ってことは「フェイズW」は・・・というのは観てのお楽しみです。



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孤獨の人


日時 2014年6月20日19:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 西河克己
製作 昭和32年(1957年)


千谷吉彦(津川雅彦)は学習院高等科3年生。
同じクラスに皇太子がいる。ある日、皇太子のご学友の京極(青山恭二)から「お前も殿下のご学友になれ」と言われる。両親は「ご学友になれば、ご学友同士のつながりとか殿下とのつながりとか将来きっと役に立つ」と打算的で賛成できない。吉彦は父の弟(芦田伸介)の元妻の朋子(月丘夢路)と付き合っていた。
岩瀬(小林旭)も同じくご学友の一人。だが京極たちのように殿下にべったり寄り添っていることに疑問を感じていた。
彼らは奈良に修学旅行に向かう。行った先々では迷惑と思えるような大歓迎を受ける。


現在の天皇がまだ学習院高等科だった時代にご学友だった藤島泰輔氏が当時の思い出を元に書いた原作の映画化。
ちなみに藤島氏は現在のジャニーズ事務所のメアリー喜多川と結婚。だがら娘は藤島・ジュリー・景子。
原作発表は昭和31年。昭和8年生まれの藤島氏が高校生だったのは昭和20年代前半だったことになるから舞台となる時代はその頃となる。

原作がどうだったのかを知りたいのだが、津川雅彦と月丘夢路のあたりは映画オリジナルではないだろうか?
なんだか皇太子とは関係なく「既成の価値観への反発」という「太陽族映画」のような内容なのだ。
映画全体が「皇太子にもっと自由を感じていただこう」という「大人への反発」が中心だから加えたのかも知れないが、朋子は肝心の皇太子とまったく関わってこないので、正直、無理矢理くっつけたエピソードにしか思えない。
原作を確認したいところだ。(原作はとっくに絶版にまっているかと思ったら2012年に岩波から再販されている)

奈良に修学旅行に行くエピソード。当時の新聞のはしゃぎぶりがすごい。泊まる旅館名から今夜の夕飯のメニューまで掲載されている。今なら考えられないが、昔は緩かったのだな。緩かったから逆に今厳しくなったとも言えるのだが。

旅館の周りは人が多くて大騒ぎ。
「あんなに人が集まって」と誰だったかが言うと「そりゃ皇太子を一目見たいというのは人情だ」という。
夜になれば旅館の女主人が先生の元へやってきて「皇太子様がお泊まりになると決まってから新しい離れを増築しました。是非一晩泊まってください」と懇願する。
後で思ったが、たぶん「皇太子が泊まった部屋」として特別室として高い部屋にするんだろうな。皇室の政治利用ならぬ経済利用である。
翌朝は記念に松を植樹したいと付き合わされる。
皇太子も大変だ。

そんな皇太子も気になる女の子がいる。
カメラが趣味の仲間が撮った2人の写真を「みんなで記念に欲しい」などと言う話も出たりする。

そんな岩瀬は葉山で向こうから声をかけてきた女の子(芦川いづみ)とつきあい出すが、キスをしようとして拒否される。
あとでネットで調べてみたらこの女の子は「ご学友だから」という理由で岩瀬に近づいただけらしい。
皇太子だけでなくご学友も大変である。

その女の子とみんなで乗馬に行く計画を岩瀬がたてたりするのだが、侍従に拒否される。
そして例の皇太子と女の子の写真が週刊誌に出てしまう。
学友の誰かが写真を記者に渡したのだが、京極によって何となく吉彦のせいにされてしまう。
京極に言わせると「誰かを犯人にしなくちゃいけない。初等科からの仲間が犯人となると関係がおかしくなる。そこで一番最近のお前に犠牲になってもらった。殿下を守るためには誰かが犠牲にならねばならんのだ」
なるほど、そういう理屈ですか。

そしてついに岩瀬たちは皇太子を連れ出して夜の銀座を散歩する。
SP(安部徹)は大慌て。山手線では気づかれない。
しかし喫茶店に入ってもしばらくは大丈夫。ウエイトレスがメニューを持ってきて水を配るとき皇太子が一番最後である。
やがて客が気づき出す(その客の一人に岡田真澄)。店の支配人がうやうやしく挨拶をしてくる。
結局は騒ぎになってしまうので店を出ることになってしまう。
岩瀬たちは寮に帰ってから今まで自分たちに理解があると思っていた教師(大坂志郎)にまで「バカ野郎!」と言われさすがに意気消沈してしまう。

そんな所で映画は終わる。
正直おもしろくない。
面白くない原因の一つはさっき書いた津川と月丘のエピソード。全く関係ない。
そしてこの映画では皇太子自身がまったく写らないのだ。
手のアップとか肩越しとかそういうショットだけ。
結局皇太子自身が場面場面でどういう心境だったかが描かれていない。
笑ったとかむっとしたとか苦い顔をしたとかそういう表情がないのだな。感情を表に出さなかったというならそれなら無表情の顔が欲しい。

皇太子役は公募で選ばれた新人。
もっともその後の活躍はない。
役者にはやらせられなかったのかなあ?
この役をやった後では後に悪役も出来ないし、芸能スキャンダル的なことがあったときに「あの皇太子役の○○が〜」と言われてしまうかも知れないから、「無難な素人」にやらせてのたのかも知れない。
まあそういう判断が働くのも解る気がしますが。
今だって天皇の写真をツイッターにアップした子が「なんと不敬な」とアップされることがあるようですから。



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シャーロック・ホームズの殺しのドレス


日時 2014年6月17日
場所 DVD
監督 ロイ・ウィリアム・ニール
製作 1946年(昭和21年)


ダートムーア刑務所で一人の囚人が3つのオルゴールを作った。そのオルゴールはロンドンのオークションにかけられ3つとも売れた。
そのオークション会場にオークションが終わった後に「オルゴールは売れてしまったか?」と訪ねてきた男がいた。
その男、ガバナー大佐はオルゴールを買っていった人の住所を聞いていく。2人は解ったが、もう一人は解らないが常連なので次の木曜にまた来るだろうと言うことだった。
そんな頃、ワトソンの旧友ジュリアン・エモリーがワトソンを訪ねてきた。彼が頭にけがをしているのでホームズが問いただすと夕べ泥棒が入って安物のオルゴールを盗んでいき、その泥棒に殴られたという。
興味を持ったホームズはジュリアンの家に行ってみる。
確かにもっと高価なオルゴールがあるのに犯人はなぜ価値のないオルゴールを盗んでいったのか?
「これと同じようなオルゴールです」と見せてもらったのは例のオークションのオルゴールだった。
ホームズの心配の通り、ジュリアンは再び賊に襲われ、オルゴールは盗まれてしまう。


コスミック出版の廉価版DVDの1本。「ミステリーコレクション」として10枚組の1枚だ。
あんまり期待していなかったが、なかなか面白かった。
コナン・ドイルの原作ではなくオリジナル・ストーリー。
この映画は日本では劇場公開されていない。同じ役者がホームズを演じたシリーズが実は10数本あるそうだ(ネット情報による)。

観初めて「最初のオークションまではいらなかったんじゃないかな。ワトソンの友人が訪ねて来るところから始めた方がいいだろうに」と思った。それは「6つのナポレオン」を下敷きにしてあると気づいたからなのだが、観終わってみると作者たちはそんなことは折り込み済み。
最初から「6つのナポレオン」を下敷きにしているのはわかっていいのだ。

映画はオークションで売られた他の2つが狙われてると悟ったホームズが住所の解っている人を訪ねるが、惜しくも敵に奪われてしまう。
もう一つの買った女性を待ち伏せしてつけるガバナー大佐たち。案の定、雑貨店の店長だったのだが、ガバナーたちがオルゴールのこと訪ねると「先ほど買われた方がいます」「誰か解りますか?」「何かの時のためにと名刺を置いて行かれました」
でその名刺が「シャーロック・ホームズ」。
かっこいいねえ〜〜〜。

警視庁の調べでそのオルゴールを作ったのは造幣局から5ポンド紙幣の原版のコピーを盗んだ男だという。
しかもその原版は見つかっていない。きっと仲間原版の隠し場所を伝える暗号があるに違いないと調べるホームズ。
しかしレントゲンで撮影しても異常はない。
オルゴールの音色から暗号を解読したホームズは・・・
という展開。

ガバナー大佐とその女ボスのヒルダはホームズの持っているオルゴールを盗もうとする。
留守番をしていたワトソンをだまそうとして依頼人の振りをしてホームズの部屋を訪ねたヒルダは発煙筒を焚く。
思わず大事なものであるオルゴールの入った缶を持ってしまったワトソンだが、隙をみてヒルダがオルゴールを盗んでしまう。

私のホームズで好きなエピソードが「ボヘミアのスキャンダル」なのだが、この大事なものを相手に教えてもらうというネタが出てきたのでニヤリとした。
そしたら次のシーンでホームズが「相手は君の新作『ホヘミアのスキャンダル』を読んだようだね」と来た。
さっきの「6つのナポレオン」といい、ホームズファンにはニヤリとさせられる仕掛けなのだ。

僕なんか原作をずいぶん前に全部読んだ程度のファンだから見逃したネタもいっぱいあるに違いない。
テンポもよく、面白かった。
あっ、もちろんラストはホームズが暗号をといて紙幣の原版は取り戻されます。



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わたしのハワイの歩きかた


日時 2014年6月15日13:25〜
場所 新宿バルト9・シアター5
監督 前田弘二


小山田みのり(榮倉奈々)は弱小出版社の編集者で26歳。仕事は出来る方でみんなから頼られる。しかしそれは都合よく使われてるに過ぎない気がしないでもない。
ある日、大学時代の友人で今は国際線のキャビンアテンダントをしている愛子から自分がハワイで挙げる結婚式の2次会の幹事を頼まれる。何となく引き受けたみのりだが、考えて見ればハワイには行ったことがない!
社長(鶴見辰吾)に直談判しハワイのガイドブックを作ることを名目にハワイに行くことに。
ハワイで愛子に茜(高梨臨)をあるパーティで紹介される。その席で何やらビジネスの話をしている蒲田勉(瀬戸康史)とも知り合うみのり。
最初は反発したみのりと茜だったが話してるうちに意外と気があった。茜は夜な夜な金持ちが集まりそうなパーティに出かけ、何とか玉の輿に乗ろうとしているが、本間というイマイチ冴えない男に好かれていた。
またみのりでホテルで空き瓶拾いをしている知哉(加瀬亮)という男とも知り合った。


「婚前特急」で商業映画デビューを果たした前田弘二監督。いま「婚前特急」の感想を読み直したらボロクソである。今回観に行ったのは瀬戸康史と池松荘亮のお気に入り俳優が二人出ているから。二人が競演するシーンはなかったが。

今回も「婚前特急」に引き続き女子の婚活の話。
主人公のみのりは前ほどいやな女ではない。「私は頑張ってるのに評価されない」という被害者意識丸だしだが、まあ実際仕事は出来る方のようだ(少なくとも「仕事も出来ないくせに」という評価は登場人物の口からは聞こえない)。

実は結婚していて妻が妊娠中でちょっと関係を持ってしまった男(池松)、事業家を気取ってるけど実はただポリシーもなく色々手を出して失敗している男(瀬戸)、大金持ちの一族の一人だが仕事力のない男(っていう感じ)(加瀬)の3人の男が登場し、友達の茜は金も大して持ってなし歳も取ってるし顔もイケてない男(宇野)に惚れられているというのが基本の展開。

茜は結局この宇野祥平と結婚することにし、みのりは大金持ちとちょっと付き合うが結局は瀬戸康史と結婚すると言うラスト。割と意外感のない結末だった。

池松は日本のシーンしか出てこないかと思ったら、連絡のとれなくなったみのりを探してこいとハワイに行かされるこの会社、持ってないようでお金があるみたい)。
「おいおいどうやって探すんだよ」と思っていたら、道行く人に「この人知りませんか?」と声をかけるだけという展開。ここは正直笑った。池松君が登場する度に笑った。
もっとも終いには声をかけた女性と意気投合したのかフラダンスを踊ってる。(日本に帰って「お前なにやってたんだ」と社長に怒られるカットがなかったのは残念だったが)

私なんか海外に住む気も度胸もない人間だから海外で仕事をしようとする人間の気持ちがどうも想像出来ない(否定してるわけではない)。だからそれぞれの人物の海外にハワイに住むきっかけとか理由を描写してほしい気もしたが、婚活話がメインだからそれはいらない判断されたのかな。

あと瀬戸康史が色々と手を出して失敗してるというならもうちょっと年上(30半ばぐらい)の方がよかったかも。そういう意味では加瀬亮と瀬戸康史は役を入れ替えた方がよかったかな。

全体としてはほぼ全編ハワイロケという贅沢な作りになっており、先日観た「万能鑑定士Q」のようなハリボテ海外ロケでない分、贅沢な気分で観ることが出来た。
観てる間は十分楽しかった。
またハワイに行ってみたい気になった。



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スイートプールサイド


日時 2014年6月15日10:55〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン6
監督 松居大悟


太田年彦(須賀健太)は高校1年生。彼の悩みは毛のないつるつるした肌。いつもクラスメートの女子の坂下に「さわらせろ!」とからかわれている。しかし太田にとっては深刻な悩み。実は下の毛も生えていないのだ。水泳部の仲間に見つかって「こいつツルツルのツル彦だぞ〜」とみんなの前にさらされる始末。
ある日、同じ水泳部の後藤さんの悩みを知ってしまった。彼女は女子にしては毛深く、それを気にしているのだ。
お互い体毛についての悩みを抱えている太田に気を許した後藤さんは思いきって太田に頼んでみる。
「私の毛を・・剃ってくれない?」
太田は引き受け、後藤さんは悩みがなくなり水泳の成績もよくなった。しかし坂下は太田と後藤さんが仲良くしてるのが気に入らない。ある日、二人をつけた坂下は太田が後藤さんの毛を剃っているのを目撃してしまう。


「毛がなくて悩む少年で毛深い女の子の毛を剃ってあげる話」と聞いてなにやら思春期のちょっとHな感じがしたので観ることに。
それは予想通りで前半は面白い。

太田君が後藤さんの毛を剃るときに森の中で草や枝や木を切るイメージが沸いてきて、ついでにスカートの中も想像してしまうのは爆笑である。
そうだろう、そうだろう。童貞の高校生には刺激が強くてつらいだろうし、いろいろと想像してしまうのは仕方ない。
このあたりの描写は秀逸で、素直そうな須賀健太が戸惑いながら毛を剃っていくシーンは非常によかった。

ただ後半の展開には戸惑った。
元々後藤さんが毛を剃ってもらって悩みがなくなってクロールが出来るようになってタイムもよくなって、で話はお終いになってしまう。それで後半は実は太田のことを好きだった坂下が、後藤さんに嫌がらせをするという展開。

太田が後藤さんの毛を剃っている所を写真にとった坂下は「太田にこれ以上近づいたらこの写真をばらまく」と言って(それは後半に明かされるのだが、何となく想像はつく)、後藤さんは太田に毛を剃らせなくする。
後藤さんはクロールも出来なくなって、平泳ぎのタイムも悪くなる。
しかもコーチに来ている大学生のOB(落合モトキ)への恋心も絡まって衝動的に自殺未遂をしてしまう。
それを知った太田は化学の授業で知った「やけどして毛が生えなくなる薬品」を盗みだしプールに入れてしまおうとする。

正直後半の太田のエキセントリックな行動は引いた。
前半から破壊的な言動があれば納得もいったがこの太田の後半の行動は唐突感が否めず、後半映画に乗れなくなってしまった。
前半の毛を剃る一連のシーンのドキドキ感が良く出来ていただけに惜しい感じがした。



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Oh!透明人間 インビジブルガール登場?!


日時 2014年6月14日20:45〜
場所 池袋シネマ・ロサ
監督 右田昌万


荒方透留(飯尾和樹)は探偵社に勤める中年男。高校生の頃はイクラを食べると透明になったものだが、今はさえないダメ探偵。今日も浮気現場の証拠写真を撮ったものの、そのカメラをターゲットに奪われてしまい目的を果たせず仕舞。
透留の長女・美智留(岸明日香)は怪しいスカウトに引っかかりAVに出演させられそうになった所を藤堂(小谷嘉一)というホスト風の男に助けられた。
チャラそうな藤堂だが、自分を助けてくれたその優しさが気になってしまうが、藤堂には美人の彼女がいた。
ある日、透留の「イクラを食べると透明になる」という能力がなぜか復活。早速会社の女子更衣室に潜入してイイモノを鑑賞させてもらう。
そんな頃、美智留も自分に透明になる力が備わっていると知る。


標永久主演で大爆笑させられた「Oh!透明人間」の第2弾。今度は大人になった透留くんの活躍を描く。
大人と言ってもイケメン青年ではなく(原作では若手サラリーマン時代もあったようだが)、娘が二人いるおじさんになって登場。母親はなにやらパリに行ってるらしい(このあたり、せりふがよく聞き取れなかった)。
例の透明になる能力は何故か一時期失われていて何故かまた復活(このあたりは説明があったかも知れないが聞き逃した)。

前半の見せ場は透留が再び透明になって会社の女子更衣室に潜入し、着替えを覗く所。ここで女子社員が脱ぐのだが、ブラジャーを外しおっぱいまで見せたのは驚いた。
へー前作はアイドル系の女の子が中心だったためかおっぱいまでは出なかった気がするのだが。

そして美智留も透明人間になる能力があると知り、試してみる。行ってみるのは気になる男の藤堂の部屋。
ここで小谷嘉一のシャワーシーンをたっぷりと見せる。
お尻まで写すかと思ったら、そこは写さなかった。
そして興奮すると元に戻ってしまうのは父と同じらしく、シャワーの後藤堂が彼女といちゃいちゃしてるのを見ておかしな気分になってしまうと戻ってしまう。
裸になった彼女が段ボールで体を隠しながら、イクラ弁当を食べている(いやイクラは生物だから普通の弁当には入れない気が・・・)人からイクラを一口もらうあたりは笑った。

あとは美智留の様子が変だと思った透留が透明になって美智留の部屋に行き、向こうも透明なのでお互いが解らず部屋の中でバタバタするシーンは笑った。

後半、透留たちが失踪者捜索の仕事をしてるうちに失踪者がオカマになっている事件が多発してるのに気づく。
これは偶然だろうか。と疑問に思って調べてみると失踪者はみんなある製薬会社の薬のテストのバイトをしていたと解る。どうやらこの会社が怪しい、となって内偵していくという展開だが、急に話がでかくなる。

で藤堂の彼女もこの製薬会社でバイトしていてなにかやばいことをしてるらしいと知る。それで藤堂は彼女を焚き付け秘密を探らせるが彼女は監禁されてしまうという展開。

この後半が社会派的に話が大きくなってしまったが、結局監禁された彼女を透明になった透留と美智留が助けて終わりという中途半端なカタルシスの少ない結末で終わってしまい、風呂敷を広げた割には話が小さくまとまってしまった不満が残った。

でもこの会社の社長も薬のせいでオカマになっており(本来はオカマを笑いのネタにしてることがあまり好きではないのだが)、彼女を助けようとして捕まってしまった藤堂を襲うあたりの描写も結構細かい。
藤堂を薬で眠らせ、服を脱がせ藤堂の乳首をなめるまで写す。BL映画かゲイピンクである。
小谷嘉一はBL映画のはしり「BOYS LOVE」で知った役者だから違和感はないけど、私には。

その小谷嘉一ももう32歳だった。今日舞台挨拶に来ていたが、とても30過ぎには見えない、まだ20代前半の感じだった。
でも「BOYS LOVE」から10年ぐらい経つからそんな歳でも当たり前なのだが、ちょっと驚いた。



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ポンペイ


日時 2014年6月13日21:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン8
監督 ポール・W・S・アンダーソン


AD62年。ブリタニア(現イギリス)ではケルト騎馬民族の村をローマ帝国軍が襲撃。村人を虐殺した。
生き残った少年マイロも逃げられるかと思ったが奴隷商人に捕らえられてしまう。
AD79年になりマイロ(キット・ハリントン)は立派なグラディエーターとして鍛え上げられ、無敵を誇っていた。こんな田舎においておくのはもったいないとローマのポンペイにつれてこられる。
その途中で馬が怪我をしたために立ち往生している馬車の馬を楽に死なせてやるマイロ。その馬車に乗っていたポンペイの有力者の娘、カッシア(エミリー・ブラウニング)はマイロの優しさとたくましさに一目惚れする。
収穫祭でにぎわうポンペイの街。
そこへローマの元老院議員コルヴス(キーファー・サザーランド)がやってくる。
カッシアの父・セヴェレスはポンペイの街の開発の他面いコルヴスの援助を得ようとしていた。


AD79年、1日で火山噴火によって失われた幻の街、ポンペイを描く大作。
「日本沈没」みたいなデザスター映画好きにはたまらない素材である。
でも事前情報で、「奴隷とお嬢様の身分違いの恋い」のラストに火山の噴火というクライマックスがついているだけの映画らしいとは聞いていたので、かなり観るのを迷ったが、結局観た。

で予備知識の通り。
たくましいイケメンの奴隷に一目惚れするお嬢さん、金や権力にものを言わせて女を自分の物にしようとする悪党議員、主人公の敵からライバル、親友へとなっていく黒人のグラディエーターなどなど登場人物も王道と言えば聞こえがいいが、パターンというかマンネリというか飽き飽きしてくる。
(この「王道」と「マンネリ」の区別が未だにつかない。「王道」というと肯定的だが、「マンネリ」は否定的だし)

奴隷とお嬢様の恋なんて「そんなのあるかい」とか思うけど、成熟したローマ帝国では(このポンペイはローマに対する対抗意識があるようだが)「女がイケメンを買う」ということもあったようで(この映画でも金持ちの女が他の奴隷グラディエーターを金で買うシーンがある)、あながちなかった話ではないとパンフレットには強引に解説してあった。

でヴェスヴィオ火山だが、突然噴火するのではなく2、3日前から兆候があったという描写。
でもCG満載で破壊がきれいすぎるのだよ。
絵を描いたような破壊なのでどうも私には恐怖を感じない。
この辺がCGの限界なのか、それともCGを扱う人間のセンスなのか?

もし私が作ったら田所博士みたいな学者(がいなければ占い師でもいい)が火山の危機を訴え、住民は相手にしてくれない、そして火山の噴火が起こる、みたいなパニック映画になったと思うが、基本恋愛映画なので私の好みには合わなかった。

でもこの映画のいいところは上映時間の短いところ。
予告込みで1時間55分、予告10分でクレジットが7分ぐらいあったから1時間40分を切っている。
この位だから映画に飽きる前に終わってくれてよかった。



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飼育される女


日時 2014年6月7日
場所 DVD
監督 友末直之
製作 平成24年(2012年)


優作(佐藤裕一郎)は30歳になったサラリーマン。ちょっとアニメやアイドルが好きなオタクで実は未だに童貞。
30歳過ぎて童貞だとネットなどでは「魔法使い」などと呼ばれる。彼のアパートの入り口の階段は滑りやすくこの間も人が転んで重傷だ。
その誕生日の日、いつものように会社から帰ってネットのエロ動画を観ながらオナニーしているとマサミという女が現れた。
マサミは自分のことを「お前が今まで無駄に出してきた精液の精」と名乗る。しかしマサミの見た目はパンクファッションで命令口調で怖い。願いをかなえてくれるというので「童貞を捨てたい」と言ってみた。
すると家出した女子高生が泊めてくれる人、いわゆる「神」を探す掲示板を教えてくれた。
マサミはそこで真実(小林さや)という女子高生と話を付けてくれた。
優作は真実と会って部屋につれてくるのだが。


友末直之監督はピンク映画では見応えのある映画が多い監督なので気になっている。
新宿のDVDショップのワゴンセールで500円で売っていたのでとりあえず買ってみた次第。
60分作品なのでピンク映画かと思ってみたらオリジナルビデオだったようだ。

話はこの後、実は真実は美人局でイケヤマ(上田竜矢)という男の指示でここにやってきた。でもイケヤマは用事で来れないので優作がシャワーを浴びている間に優作の財布から金を盗んでづらかろうとした次第。
それを例の幽霊なのか精なのかよく解らないマサミの助言によって取り押さえる優作。
戸惑いながらも真実を縛って逃げないようにしてキスとかおっぱいをなめるとかフェラさせるとか初体験。
でも挿入しようとしたらその前に射精してしまう。
童貞から卒業したらマサミは消えてしまう設定なので、消えるタイミングを逃す(というか消えてしまうと話が進まなくなるので、なかなか消えない)

そうこうしているうちに朝になり、真実も優作の優しさにほだされてきたということで優作も安心したが、結局は真実は逃げ出してしまう。
「きっとそのイケヤマという男に無理矢理連れ去られたに違いない」ということで追いかけ始める優作だが、例の入り口の滑りやすい階段で滑って頭を打ってしまう。
そこでマサミ登場。
実はすべて優作が階段から落ちて死ぬ間際の妄想だったのだ。それも帰って来たときから。つまりは真実も夢なのだ。

とまあここまでのオチなら大して驚かない。
しかしマサミの姿は実は優作が階段から落ちて倒れているのを見つけてくれた女性の姿。そして真実の姿もこの女性からイメージしたものだというのだ。
つまりマサミと真実は同じ女優が演じていたのだ!
これには驚いた。
真実は髪を染めた女子高生でしゃべり方も甘えたな感じ。
一方マサミはパンクロック風ファッションで話し方もまったく違う。
メイクと演技でずいぶん違っていた。あわててもう一度早送りで見直し、真実とマサミがワンカットに収まっている画はないかと確認次第。あったのだが合成じゃなくてロングの画だから別人の吹き替えだったのだろうか?

これが有名な俳優なら事前に解ってしまったに違いない。
皆に顔を知られていない女優だからこそ出来た技。
恐れ入りました。だまされました。
やっぱり友松直之も侮れない。



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ゴジラ 4Kリマスター版


日時 2014年6月7日13:30〜
場所 日比谷シネシャンテ・スクリーン2
監督 本多猪四郎
製作 昭和29年(1954年)


ストーリー省略。
ハリウッド版「GODZILLA」の公開のプロモ、「ゴジラ」公開60周年を記念しての4Kデジタルリマスター版だ。
通常料金でも1000円だが、「GODZILLA」の前売り券をテケツで見せると500円になるという大盤振る舞い。
2週間の公開なのでゆっくり見に行こうかと思っていたが、初日の宝田明さんの舞台挨拶付きの追加があったので、2回目の上映に行ってきた。
初回は上映後、2回目は上映前に宝田さんの舞台挨拶。
1回目では来日中のギャレス・エドワーズも来てマスコミ用フォトセッションもあったようだ。

でも2回目の舞台挨拶では宝田さんのみでギャレス監督は登壇せず。さびしい。
で司会の倉敷さんが「昭和29年と言えば『ゴジラ』と『七人の侍』と東宝の2大看板が誕生したんですね」というと宝田さんが「そうそう黒澤さんは3大のカメラを同時に回すからフィルムの量がすごいんだ」と黒澤さんの話をする、で倉敷さんが「撮影や照明は成瀬組なんですよね」というと「そうそう僕は成瀬さんの映画は3本出たことがあって・・・」と終始脱線気味。
「あっ今日は『ゴジラ』の話をしなくちゃいけないんだよね」と言って、撮影初日に「主役の宝田です。よろしくお願いしますってスタジオで挨拶したら照明のチーフに『バカヤロウ!主役はお前じゃない、ゴジラだ』って怒られました」というエピソードなどを披露してました。

あと今度の「GODZILLA」で出演したけどカットされた話も司会から「あっその話は東宝からNGの合図が!」と言ったにも関わらず宝田さんは全部しゃべってしまいました。
まあギャレス監督もマスコミもいないので、気を許したんでしょうね。

で、映画の話。
4Kリマスターとあってとにかくすべてがくっきり。
画のクリア感、今まで見えなかった細部(特撮のアラ、ピアノ線とか)も見えてしまうことはあちこちで色んな方が書いておられるので、詳しくは書かない。

私がすごいなあと思ったのはむしろ音。
いわゆる「ガヤ」と呼ばれるその他大勢の方の細かいセリフがはっきりクリアに聞こえるのですね。
まるで今年の新作映画のようなクリアさでした。

その中で佐原健二さんのセリフが聞き取れました。
最初の方で「大戸島の漁船も沈没した」と連絡を受け、萩原(堺左千夫)らが電話に飛びつくシーンがあるのですが、その後ろにいる新聞記者。
ここで電話に向かって「もしもし!」という佐原さんのセリフが聞こえたのです。
遊覧船の客と新聞記者役だと聞いていたので、たぶんここだろうとは思っていたのですが、今日セリフを聞いて確信が持てました。(違ってたらごめんなさい)

さっき書いた昔は見えなかったピアノ線の話。
今ならデジタル処理で消せるけど、それは消すべきか残すべきかというのはファンの間でも意見の分かれるところ。
先日円谷監督の身近で働いたことのある方に、このピアノ線問題を聞いてみた。

「本来は見えて欲しくなかったピアノ線だから消してほしいとも思う。
しかしピアノ線を消しきれなかった我々の仕事の恥として残しておいて欲しいとも思う。
それに例えばキングギドラの頭を吊るピアノ線をどこにつけようかスタッフと侃侃諤諤と討論して付けた結果なのだから、後輩たちのためにも『どこで吊るしていたのか』を知ってもらいたいという気持ちもある」
(要約・筆者)

ということでした。
まとめると「そのままにしておいてくれ」というお気持ちのようです。


あと関係ないかも知れないが、今回のレジェンダリーゴジラでホノルル空港でのゴジラとMUTOのシーンをテレビで観るシーン、あれは芹沢博士(平田昭彦)がテレビで燃えさかる東京を観るシーンのオマージュではなかったかと気がついた。ちょっとこじつけかも知れないけど。



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万能鑑定士Q モナ・リザの瞳


日時 2014年6月6日21:40〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン5
監督 佐藤信介


凛田莉子(綾瀬はるか)は「万能鑑定士Q」という看板で何でも鑑定する鑑定士。豊富な知識、審美眼により持ち込まれたものがどれくらいの価値のあるものか瞬時に判断でき、それだけでなくその背景もいい当ててしまう天才だ。
ある日、レストランのオーナーから自分の店で開かれる貸し切りパーティが違法なものではないかの鑑定を受ける。
パーティそのものは違法ではないが、それは窃盗団が自分たちの犯行をくらますための偽パーティだった。
それを見抜いたことがきっかけで、ルーブル美術館のアジア代理人・朝比奈(村上弘明)から今度日本で行われるモナリザ展のスタッフとして参加してほしいと言われる。
彼女を取材しようと思った冴えない雑誌記者の小笠原(松坂桃李)とともにパリに向かい、ルーブルのスタッフから試験を受け、合格。
凛田は同じく日本人鑑定士の流泉寺美沙(初音映莉子)とともにモナ・リザをはじめとするダヴィンチについての講習を軽井沢で受けることになるののだが。


予告編を観て「ちょっと面白そうだけど、どうしようかな」と思っていたのだが、佐藤信介監督と知って観に行った。彼は「COSMIC RESCUE」の監督ですから、応援したいので観に行ってしまうのです。

一言で言えばテレビシリーズの初回2時間スペシャル版のレベル。
だから観て損したとは言わないが、見逃しても困らないレレベルだった。

「日本映画初のルーブル美術館ロケ」って自慢げに言ってるから映画の大半がルーブルなのかと思いきや、前半でルーブルに言ってテストを受けるだけ。
「新しい靴を買わなきゃ」みたいな全編フランスじゃない。

物語の大半は日本なのだからぱっと見に豪華に見せるテレビドラマのようだ。
で、講習で行われるのが12枚の中から1枚の本物を見抜く練習。2枚選んでペアの相手が1枚を戻すという回りくどいやり方。なんか変だなあと思ったら最後に解るのだが案の定、いわゆるマジシャンズ・セレクトという奴。(この言葉は古畑任三郎の山城新伍の回で覚えた)

途中、「モナリザの瞳を観た者は脳に異常をきたす」という話がでてくる。
こういう伝説は好きなのだが、後であっさり否定され、それは莉子を迷わす嘘だったと解るのだが、映画ではその話を信じたり、訳の分からんマジシャンズ・セレクトをやらされたおかげで莉子の体調がおかしくなり、鑑定能力が失われてしまうという展開。

あんまり謎が深くないし、敵のトリックとしてもあまりにも危うい。
結局軽井沢の講習も敵のインチキでモナリザ窃盗団が莉子をスタッフから外すための嘘だったという展開。
そんなあ、ちょっと無理があるなあ。
そんなトリック、ルーブルに問い合わせれば嘘だとすぐ解る話じゃん。

ラスト、モナリザが燃やされてしまうのがサスペンスなのだが、モナリザが燃えてしまうのは物語としてはあり得ないと思ってしまうので、ハラハラしながら一方で「あれは偽物に違いない」と思ってしまう自分がいた。
モナリザがどこかへ行ってしまうというならあり得るけど、燃えるのはあり得ないからなあ。

そして本物のモナリザを窃盗団はどこに隠した?というのは素人の私でも想像がつき、やっぱり看板の中。

ということで全体的にそこの浅いハリボテのようなミステリーだった。
うまくヒットしたらテレビでシリーズ化してください。
テレビで気楽に観る分には面白いでしょうから。

あっ莉子が一夜でフランス語を覚えてしまうのはいくら天才でもやりすぎ。そのシーンでCGを使って文字が浮き上がってくる映像も凝りすぎでかえってしらけた。



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危なく愛して


日時 2014年6月1日16:40〜
場所 光音座1
監督 池島ゆたか
製作 


ENKテレビのニュースキャスターの鳴滝和彦(平岡きみたけ・なかみつせいじ)は夜のニュース番組で高視聴率を持つ人気キャスターだ。ある女優との熱愛報道もされ、ワイドショーや週刊誌の記者たちから取材を受けるほどだ。
そんな鳴滝のテレビを観てオナニーに耽る青年がいた。ぞの青年、水野シンイチは鳴滝の熱愛疑惑報道の週刊誌を観て「鳴滝さんが女を好きな訳ないじゃん」と古い雑誌を取り出す。そのゲイ雑誌には鳴滝のふんどし姿のヌード写真が掲載されていた。学生時代の鳴滝だ。
水野はテレビ局を出てからの鳴滝の後を付け、鳴滝のマンションや行動パターンを調べる。
鳴滝が週末には赤坂、六本木、そして新宿二丁目のバーに行く習慣があると分かった水野は、二丁目のバーで偶然出会ったふりをする。
そして二人はホテルに行くのだが。


池島ゆたか監督・五大暁子脚本コンビのサイコサスペンス。
ちょっと頭の狂ったストーカーに人気キャスターが追いつめられていく姿をサスペンスフルに描いていく。

主人公水野を演じる杉本まこと(たぶん)がなかなか狂気なのだ。おかっぱ頭の妙な髪型で、まず見た目からイってる感じがする。

ホテルで関係を結ぶ水野と鳴滝。一晩だけの関係かと思いきや、水野は実はストーカーしていたことを明かし、鳴滝の部屋にやってきて関係を迫る。仕方なく応える鳴滝。
そんな時に海外留学していた鳴滝の彼氏、トオルが帰国する。
トオルの帰国をきっかけに関係を終わらせようとするが、水野はテレビ局各社に「鳴滝はホモです。夜な夜な男を漁ってます。僕もその一人です」という怪文書をFAXで流す。
仕方なく鳴滝はスタッフの女性と熱愛にあると嘘の記者会見をする。
水野は例の古雑誌をばらまくと脅迫。「返してほしかったら僕の家に来て」。鳴滝は水野の部屋に行くが監禁されてしまう。

鳴滝の失踪を伝えるニュース番組。映画の前半に出てきた鳴滝の先輩アナウンサーがにやにやしながら「心配です」と言っているのが面白い。このシーン、スタジオアルタの大画面に合成している。その前をウロウロする男役で池島監督が出演。

トオルは以前探偵に水野のことを調べてもらっていたため、水野のアパートは解っている。そこで一人乗り込むが逆に水野に捕まってしまう。
水野がトオルを犯そうとするが、キスした時に水野の舌を噛みきる。そして「お前なんかに和彦を渡さない!」と言って水野を殺してしまう。
「勝ったね。もう二度と浮気しちゃだめだよ、和彦」と言って血を流した口でニヤリと笑うラストは不気味だった。

プログラムピクチャの面白さを十分に持った快作だった。
やはり池島作品にははずれが少ない。



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たゞ独り死す


日時 2014年6月1日15:30〜
場所 光音座1
監督 新倉直人
製作 


ケンは独り海岸を歩いていた。ここはかつての恋人村岡(久須美欽一)と会った場所で、村岡はケンを愛し、ケンもそれに応えるようになった。
しかし半年で村岡は東南アジアに転勤、それを追ってケンは東南アジアに行ったが、村岡はヨーロッパの名前も聞いたことのない国に再転勤していて会えなかった。
その地で見知らぬ男に身をまかせた。
それから3年、ケンはマサシと知り合い一緒に暮らすようになった。しかしマサシは店の客と店の仲間に酔わされて犯されてしまう。
そんな頃、マサシと同じ店で働くフミオはケンに告白するが拒否されてしまう。


自分がHIVに感染したと不安でかといって検査に行ってはっきりさせるのが怖いという、正直私からすると「バカか?」と言いたくなる男の話である。
「1%の希望と99%の絶望がどうしたこうした」とモノローグが続く。

このモノローグがくせ者で、モノローグのおかげで話が返って混乱するという不思議な現象が起こっている。

ケンはどうも東南アジアで見知らぬ男からHIVに感染したと思っているらしい。
そこがはっきりしないのだ。
ゲイピンクなのだし、ここはアジア系の男とセックスするシーンをちゃんと映像で見せ、激しい生中出し的なリスキーなセックスをしたことをちゃんと描かないから話が盛り上がらないのである。
それがモノローグで「現地の男に身を任せた」としか言わないからはっきりしない。

そして次につきあったマサシなのだが、「客と浮気した」と言ってからお客にだまされて犯されるシーンになる。
モノローグで「客と浮気した」というからてっきりマサシも合意の上での行為と思ってしまう。
だからモノローグの内容と映像が違うので、混乱するのだ。

マサシはバーで踊ったりして客から喝采を浴びているのだが、スタッフのフミオが「あたし先に帰る」と出ていって、なぜかケンの部屋にやってくる。
それでケンに「マサシと会う約束をしたんだけどまだ来ないの。友達と食事にでも行ったのかしら?ケンさんのところで待たせてもらっていい?」と電話をしてやってくる。
その後、店では客と(客は「フーテンのHOMOさん」で主役の方)もう一人の店のスタッフに無理矢理酒を飲まされて犯されてしまう。
マサシを二人で犯すのだが、その時に店のスタッフが「この幸せそうな顔を滅茶苦茶にしてやりたいと思っていたのよ」と言って客と一緒に犯すのだ。
てっきりこのスタッフはマサシを憎んでると思うわな。

で、一方ケンの部屋ではフミオがやってきて泣き出してしまう。やっぱりマサシを犯されるのを知っていたのかな?と思うがその辺がはっきりしない。
で急にケンの回想になって「3ヶ月前から体調が悪くなり、マサシが求めて来ても拒むようになった」という。で医学本を読んだら自分がHIVに感染してるように思えてくる。

ここで現在に戻る。フミオが寝てるケンに体を求めるのだが、自分が病気かも知れないと思っているケンは拒否する。
でフミオは怒って帰る。

翌日ぐらいにマサシは何故かケンと暮らしていた部屋を出る。どうもあんまり拒否されるかららしい。
「さようなら」みたいな3行ぐらいの手紙をマサシが置いて出ていってケンは「二人の関係はこの紙1枚の重さだったのか」と暗くなる。
万事この男が暗いのだ。

それで3人で開店前の店でカップラーメンをすすりながら「ケンさんてHIVに感染してるのかしら?あたしたちも明日検査に行きましょう」と言って検査に行く。
マサシはフミオじゃない方のスタッフに無理矢理犯されたんでしょ?なんでそんな何もなかったようにラーメンをすすってられるの?

ケンの方はその後歯医者で看護婦が「あの人HIVに感染してるかも知れないからあたしいやです」みたいなことを
言ってるのを聞いてしまい、いやになって歯医者を出る。
おいおいどうしてHIVに感染してるかも?って思ったんだろう?

一方マサシ、フミオたち3人組は検査を受けて3人とも陰性。「よかった」と言ってて「ケンさんこそHIVだと思ってるんじゃない。でも体調が悪いのはガンかもよ?」とフミオは言っている。
HIV感染も大きな病気だけどガンも大きな病気だよ。

で、ケンが海岸でいよいよ身を投げようとしたとき、マサシは「この思い出の海岸にいるかも?」と思ってやってきて「HIVじゃないよ」と言って抱き合ってほっとする。
でもマサシが感染してないからと言ってケンが感染していないという保障にはならんと思うのだが。

なにかと話のつじつまが合わないし、かと言っていい加減にテキトーに作ったわけでもなく、まじめにやろうとしてるのにうまく言ってない見本のような映画だった。



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