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映画「眩しい一日〜空港男女」


「第10回釜山国際映画祭〜<WIDE ANGLE部門>」にて上映
日時 2005年10月8日21:30〜
場所 韓国釜山海雲台MEGABOX2

<作品紹介と感想>

(「空港男女」の詳しいストーリーを知りたい方はここをクリック!)


今回塩田くんが主演した「空港男女」は1本の独立した映画ではありません。
日本人と韓国人の交流を描いた40分ほどの中篇映画が3本集まって
1本の映画となる、いわゆるオムニバス形式の映画「眩しい一日」の第3話にあたります。
しかもこの映画には「光復60周年記念映画」という冠がつけられています。
皆さんもご存知だとは思いますが、1945年8月15日は日本にとっては敗戦した日、
しかし韓国にとっては勝利した日ですよね。

また昨今の韓国では日本の映画、音楽が解禁になったり(V6のコンサートも
韓国で行われた)、日本での韓流ブームによる日本から韓国への観光客の増加
したりなど、近年日本と韓国の敷居はずいぶん低くなったように感じていました。
しかしそこへ起こった竹島問題、日本海呼称問題、靖国問題などがニュースで
話題になるたびに「実は韓国人は心の底では日本人のことが嫌いではないのか?」
と不安になることが度々ありました。
ぺ・ヨンジュンの微笑みも見せ掛けだけの微笑みなのかと。

そんなところへ「光復60周年記念映画」です。
抗日、反日的な映画だったら困るなあと心配しました。
そりゃ塩田くんも役者だから内容について日本人として疑問を感じることがあっても
役となれば監督やスタッフの要求に最大限にこたえることが使命のはず。
しかし反日的な映画なら観てる日本人のファンとしてはつらいものがあります。

これは実はまったくの杞憂、取り越し苦労でした。
第1話「宝島」は日本人と在日韓国人の友情物語、第2話「Good-bye」は日本にいる
母親に会いに行くために詐欺的商売をする少年の話、そしてこの第3話「空港男女」
は言葉はまったく通じ日本人と韓国人の間に芽生えたほのかな愛情の物語。

この「空港男女」は正直言ってアメリカ人と日本人、中国人とイギリス人、日本人と
フランス人に置き換えても話は成立し、面白いラブコメが出来上がるでしょう。
しかし今回注目したいのはこれを韓国の映画界が「光復60周年記念映画」という
「冠」の元に作った映画だということなのです。
ニュースなどの反日的な運動とはまったく違う、日本人と韓国人の個人レベルでの
交流を描いています。
韓国の若い映画作家(※)たちは日韓の交流についてこのように友好的に考えている
のだなあと言うことを確実に確認できて、それが何よりうれしかった。
(※監督は3本とも30歳前後の若手)

日本での公開のめどは立っていないが、ぜひ公開して欲しいと思う。
ニュースにおける反日的な活動を見て韓国を嫌いになる日本人は多いかも知れない。
しかしそんな日本人にこそこの映画を観て欲しい。
ニュースで報道される姿も嘘ではないだろうが、若い韓国人は反日的な考えは持って
いないということがよくわかる。
日韓の新時代を予感させる素晴らしい映画でした。

また「空港男女」はこれからこの二人がどうなっていくか非常に気になります。
二人はドタバタの上再会し、言葉が通じないながらもソウルをデートする。
また今度はゴニィが日本にやってきて・・・・なんだか想像するだけでも楽しくなる内容です。
続編が作られないかと期待してしまいます。
それこそ日韓の新しい関係を描くことになるのかも知れませんが。

いろんな意味で日本での公開を願ってやみません。

(「空港男女」の詳しいストーリーを知りたい方はここをクリック!)


<塩田くんの活躍>

塩田くんの役柄は韓国語がまったく話せない旅行雑誌の記者役。
どうやらソウルには取材で来たらしい。
何か運の悪い男なのか、空港までのタクシーが故障し飛行機を乗り逃がすという
アクシデントに見舞われます。
しかしゴニィに出会えたのだからそれほど運の悪い男ではないかも知れませんが。

ちょっと頼りない感じがするが、愛嬌があって憎めない男、というラブコメでは定番中の
役どころ。
しかしやっぱりこういう役をやらせると塩田くんはぴったりします。
「のんきな姉さん」のような狂気的な美少年、も悪くはないのですが、塩田くんの持ち味が
100%発揮されるのはこういった「憎めない愛嬌のある男」役ですね。
その2枚目半的な持ち味を生かし、「日本語と韓国語のかみ合わない会話」は終始
笑わせてくれます。
特に北海道を話題にするあたりは私には爆笑ものでした。

上映終了後の観客からのサイン攻めを見ていると韓国の女性客にも塩田くんの魅力は
充分に通用するようです。
この作品がきっかけになって韓国での俳優としての活動が活発になることを願っています。

もっともそうなると日本のファンとしては彼の活動が観づらくなり、それはちょっと
痛し痒しなんですけど。







(05年10月17日更新)