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映画「眩しい一日〜空港男女」


「第10回釜山国際映画祭〜<WIDE ANGLE部門>」にて上映
日時 2005年10月8日21:30〜
場所 韓国釜山海雲台MEGABOX2


注:日本語と韓国語のセリフが交互に出てくる映画です。
日本語セリフは赤字、韓国語のセリフは青字で表記します。
また私自身、この映画は1回しか見ておらず、韓国語のセリフは英語字幕を読んで
内容を解釈したため、私の勘違い、記憶違いによる間違いが含まれている可能性が
あります。
(ストーリーは結末まで記してありますのでご注意ください)



<ストーリー>

韓国ソウル郊外の仁川国際空港に向かうハイウエイの路肩に止まっているタクシー。
そのタクシーの前方をスーツケースを引きづりながら空港に向かって走る青年・石田がいた。
どうやらタクシーで空港に向かう途中でタクシーが故障し、仕方なく走っている様子。

一方空港の書店で働くゴニィ(Go-nyと表記)は今日も店長からがみがみ怒られていた。
新刊本を補充しようと書店の倉庫から店に帰る途中で先ほどの青年が猛スピードで
走ってきて二人はぶつかってしまう。
床に飛び散るゴニィの本。
青年・石田は謝りつつもその場を急いで立ち去ってしまう。

しかし石田の努力もむなしく飛行機は行ってしまった。
今日の成田行きの飛行機は終わってしまい、明日の早朝便しかない。
国際電話で会社に連絡するもバツが悪い。
仕方なく夕食をマクドナルドで済ませようとするが何だが隣に汗臭いデブが座ってきて落ち着かない。

一方ゴニィの方も店長からいやみをたらたら。
「これはベストセラーで売れ筋なんだよ!あんたが床に落としたせいで傷ものになって
売り物にならなくなったじゃなかい!ほんとにボケなんだから」

いつものがみがみに落ち込むゴニィ。
同僚は「あんたにぶつかった奴を捕まえて弁償させればいいんだよ」などど一緒に怒ってくれるが
やさしいゴニィは「それもかわいそうだし・・」と怒りきれない。
そんな時、一人の客がやってくる。レジにたつゴニィだが、彼女はゴニィをみて
「あら、ゴニィじゃない」と話しかける。
「へえこんなところで働いてたんだ。ね、友達のよしみでこの本おまけしてよ!」
と買おうとした本を代金を払わずに持っていってしまった。
ため息をつくゴニィ。
そんな時、ふと書店の前を見るとさっきの青年、石田がいるではないか!

石田「さっきは本当にすいませんでした」
日本語で謝る石田の言葉はわからないが、その様子から心から謝っている事はよくわかる。
その姿を同僚が見て「誰?」とゴニィに尋ねる。
「ああ、さっき私にぶつかった人」
「あんた本代払いなさいよ!」

何が怒られているかわからずきょとんとする石田。
店先にでて「いいんですよ」という気持ちを伝えようとしたゴニィだったが、石田はそのとき
めまいを起こして倒れこんでしまう。

空港のベンチで目を覚ます石田。
どうやらゴニィがベンチに連れて行ってくれたようだ。

ゴニィたちも仕事を終え店を出る。
同僚と「明日の休みはどうするの?」など話しながら空港バスに向かおうとすると
石田がベンチに座っている。
「もう出発便はないはずよ。彼、どうして飛行機に乗らないのかしら?」と同僚が
問いかけてくるが、そんなこと彼女にもわからない。
空港バスで市内に帰ろうとする二人だったが、携帯電話を店に忘れてきたことに
気づくゴニィ。
「ごめん、先に帰って」と同僚に言い残し、店に帰る。
携帯電話はレジの裏に落ちていてそれを取ってバス乗り場に急ぐゴニィ。

ふと見ると先ほどの青年石田がベンチで鼻血を出して寝ているではないか。
見過ごせないゴニィはティッシュを鼻に詰め、鼻の付け根をぐっと押さえるという
応急処置をしてあげる。
目を覚ます石田。
ゴニィが自分の鼻をつまんでいるので驚く。
ゴニィ「びっくりした?あなたが鼻血を出していたものだから」
石田は自分の鼻にティッシュが差し込まれているのに気づく。
「君が手当てしてくれたんだね。どうもありがとう。スイマセン」
ゴニィ「私も子供のころ鼻血が出やすかったから、おばあちゃんによくこうやって直して
もらったの。あなたも鼻血の出やすい鼻なの?」

しかしゴニィの質問はわからない石田はまたキョトンとしている。

バスもなくなるのでその場を去ろうとするゴニィだが、全体の状況がわかっていない石田は
ゴニィが歩き出すのをみて「なにかあるのかな?」と思い、ゴニィについてくる。
ゴニィ「私は帰るの!ここから先はついてこないで!」と石田を制するが、石田には
理解できない。
ふと見ると石田はまた鼻血を出している。
もう仕方ない!とばかりに再びベンチで介抱するゴニィ。

ゴニィ「もう大丈夫ね。あなたの鼻ってホントに鼻血が出やすいのね。ところでなんでさっき
倒れたりしたの?」

石田「え?ああさっきのこと?ホントごめんなさい。僕、パニック障害って言ってね、わかる?」
キョトンとするゴニィ。
石田、仕方ないので勝手に話す。
石田「人がいっぱいいるところに行くと気持ち悪くなって倒れちゃったりするんだ。それに
子供の頃、空港でお母さんとはぐれて迷子になったことがあって。
ほんの数時間のことだったんだと思うけど。それから空港ってちょっと苦手なんだ」

ゴニィ、よくわかっていない。

ゴニィ「あなた英語できる?English?」
石田「English?ああ、Littleね」
ゴニィ、英語でも駄目そうだとあきらめる。
ゴニィ「で、どうして空港にいるの?飛行機は?」
石田「?」
ゴニィ「飛行機、飛行機。(手で飛行機が飛んでいくしぐさをする)」
石田「ああ、飛行機ね。空港までのタクシーが途中で故障しちゃって。それで明日の早朝便に
なったんだ。(飛行機のチケットを見せる石田)あっ、さっきはぶつかってホントにごめんなさい!」

ゴニィ「ああホントだ。明日の朝4時の飛行機なんだ。い・し・だ・ひ・で・の・り。ノリ、ノリ、ノリ」
石田「ノリノリノリってねえ、それは僕の名前。い・し・だ・ひ・で・の・り。君は名前なんていうの?」
今度はゴニィがキョトンとする。
石田「な・ま・え。な・ま・え」
ゴニィ「ああ、名前?ゴニィよ」
石田「ゴリン?ゴリンね」
ゴニン「ゴリンじゃなくてゴニィ。ゴリンじゃ魚の名前になっちゃうじゃない。子供のころ
さかな、さかなってよくからかわれたわ。ところであなたの仕事なに?そのバックの中はカメラなの?」

石田「カメラ?ああカメラね」とかばんからカメラをだす。
見せるだけつもりだった石田だが、ゴニィはそれを手に取る。
石田は落とされやしないかと気が気でない。
ゴニィ「すごい高級なカメラねえ。あなた写真家でアーティストなの?」
石田「あーてすと?違う違う僕は単なる記者だよ。そのカメラも会社のだし。あ、これが僕の
会社の雑誌」
とかばんから旅行雑誌を取り出し見せる。
石田「これ北海道の温泉特集の時のなんだ」
ゴニィ「ホッカイドウ?」
石田「北海道知ってるんだ!この取材の時の旅館のおじさんが親切でさあ。ほんとによかった
なあ。もう一回行きたいなあ」

ゴニィ「(雑誌の写真を観て)へーきれいな写真ね。これ、あなたが撮ったの?」
石田「え?僕は記者だから記事だけ」
ゴニィ「あなたホッカイドウに住んでいるの?へえ、こういうところに住んでいるんだ。
いいなあ、私も行ってみたい。今度あなたの家に行っていい?」

石田、キョトンとする。
ゴニィ「冗談よ。そんなマジにならなくても。あなたの家には行かないから」
ゴニィ、ふと時計を見る。
ゴニィ「しまった!終バスが行っちゃった!もう帰れない。あなたのせいよ!」

ため息をつくゴニィ。
ゴニィ「そうだ、いいところに連れてってあげる。私の秘密のスポットなの」
意味がよくわからないが、言われるままについていく石田。
空港内の従業員用通路などを通って表に出る二人。
そこは空港が見渡せて、しかも心地よい風が吹く気持ちいい場所だ。
ゴニィ「ここへ来ていつも風を感じるの。気持ちいいでしょ?」
階段のステップに座る二人。
ゴニィ「仕事でいやなことがあったりしたときにここに来るの。なんだかいやなことを
忘れさせてくれるから」

石田「ホントに風が気持ちいい場所だなあ。ありがとう、ここに連れてきてくれて」
ゴニィ「私の夢は世界中を旅することなんだけど、いつも旅に出る人を見送るだけの毎日。
いやになるときもあるけど、そんなときはここに来るの」

石田「僕達って不思議だね。勝手にしゃっべてだけなのに、なんか心が通じてる気がするよ。
なんだか君のおかげで空港が好きになれそうだ」

旅行の夢を語るゴニィ。
しかし、いつしか眠くなった石田はゴニィの肩にもたれかかった寝てしまう。
ゴニィはそれを嫌がるでもなく、石田を眠らせてままにしておく。

しばらく経ったころ、目を覚ますゴニィ。
ふと見ると石田の飛行機の時間が迫っている!
慌てて石田を起こすゴニィ。
石田も驚く。
ふたり、出国ゲートに向かって猛ダッシュ!

ようやく出国ゲートにたどり着く二人。
石田「また来るから!」
一旦は駆け出す石田。しかし数歩進んで戻ってくる。
かばんから慌ててさっきの雑誌を取り出す石田。
何事かを表紙に書き込みゴニィに渡す。
石田「また絶対来るから!!!」
と出国ゲートに駆け込んでいく。
先ほどの雑誌には「石田秀紀」と彼の名前が記されていた。



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(05年10月16日更新)