2010年7月

イエローキッド 必死剣鳥刺し
君は恋人 シティーボーイズの
Film noir
宇宙人東京に現わる シュアリー・サムデイ
タワーリング・
インフェルノ
超新星フラッシュマン 電撃戦隊チェンジマン
シャトルベース危機一髪
錆びた炎
続・光る眼
宇宙空間の恐怖
ショック療法 宇宙からの脱出 殺人魚 フライイングキラー
カモとねぎ 33号車應答せず 金星怪獣の襲撃
新・原始惑星の旅
踊る大捜査線 THE MOVIE3 
ヤツらを解放せよ!
ロストクライム
閃光
東京湾
左利きの狙撃者
ザ・コ―ヴ 瞬 またたき

イエローキッド


日時 2010年7月31日20:00〜
場所 川崎アートセンター・アルテリオ
監督 真利子哲也

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認知症の祖母と二人で暮らすボクサー志望の田村(遠藤要)はバイトも首になっていたが、
そんな時、彼の通うボクシングシムにボクサーの取材にきた漫画家、服部と出会う。
服部はそのジムのかつてのチャンピョン・三国(波岡一喜)と高校の同級生で、
服部の数ヶ月前に別れた彼女は今は三国と結婚しようとしていた。
ボクシングジムの先輩たちとタクシーと偽の交通事故を起こして金を巻き上げる田村。
やがて服部は田村をモデルにして新しいマンガ「イエローキッド」を描くことにしたのだが。

先日、7月13日に阿佐ヶ谷ロフトAで行われた日本映画の監督たちが集まってこれからの
日本映画について語るイベントにこの映画の真利子監督がゲストで来ていた。
私は「白日夢」のライターの井土紀州さんに会いに行ったのだが、そのイベントの中で
真利子監督のことを「今後活躍が期待される監督」と紹介され、その作品が
川崎アートセンターで上映される話をしていたので興味を持ち、観にいったのだ。

正直、期待はずれもいいとこ。
あまりのつまらなさに途中で帰りたくなった。
基本的に真利子監督が卒業した東京芸術大学の卒業制作として作られた映画。
カメラがしっかりしているので、低予算の映画にありがちな「ピントもぼけぼけ」状態では
ない。その点はまずほっとした。

でもそれだけなのだよ。
まあとにかく話が暗い。登場人物がそろって惨めで底辺から脱却しようとしている感じがない。
ただ惰性で生きてる感じなのだな。
こういうダメ人間の話は好きになれない。

でも漫画家が別れた彼女のアパートに行くと三国がいて、「なんだカッコつけて髭なんか
はやしやがって!」となじられて「ただ剃るのがめんどくさいだけで、そういうんじゃなくて」
というやりとりのあたりとか、この漫画家が偶然入った公衆トイレの個室で隣で男女がしている
のを聞いて思わず壁に別れた彼女の絵を描いてオナニーして、でも音を立ててしまい、となりの
カップルの男に個室の上から水をかけられるシーンなど、描写のねちねち感はよくできていた。
ただし私は好きではない。
ああいうのは観ているこちらまで惨めになるからちょっといやなのだよ。

で、田村は元々服部のマンガのファンで、そのことでやがて服部にシンパシーを感じるように
なったせいか、最後には三国を殴り殺してしまう。

なんか陰鬱として暗い映画だなあ。
この映画自体は好きになれないけど、さっき書いたようにシーンの描写には面白いところも
あったから、そのうち私が好きになる映画も撮るかも知れない。
今後、名前だけは覚えて意識するようにしていきます。



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必死剣鳥刺し


日時 2010年7月31日13:35〜
場所 新宿バルト9・シアター7
監督 平山秀幸

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奥州の小藩の武士・兼見(豊川悦司)は殿の側室、連子を刺し殺した。
最近の藩政は殿が連子を溺愛するあまり彼女の言いなりになっていたのだった。
そのために彼女は贅沢三昧、それをいさめる家臣たちは切腹を命じられる始末。
殿の従兄弟で別家・帯屋(吉川晃司)の進言も聞き入れない状態だったのだ。
兼見は打ち首と誰もが思ったが、中老・津田(岸部一徳)の取りなしにより、
しばらくの幽閉に決まった。
1年の幽閉が解け、津田は兼見にお城勤めを命じる。
津田とて兼見の剣の腕を見込んでのことだった。


藤沢周平原作の時代劇。
山田洋次の藤沢周平三部作が有名だが、やはりあの3本が藤沢映画化の基本を作った
といえるのではないか。
音楽は多用せず、淡々としかし力強く語っていく感じは山田作品に通じるものがある。

しかし今回は時系列を変えて、冒頭で側室・連子を殺すシーンから始まる。
同僚の家臣は兼見を「まじめで藩政や連子に対して不平不満を言っているのを
聞いたことがない」という。
映画はそれに至る兼見の心象風景を描き、彼がなぜ殺すに至ったかを描いていく。
このあたりはミステリーを見るような面白さも手伝ってぐいぐい引き込まれる。

後半、兼見を打ち首から救った津田は好人物として兼見を助けていく。
しかし岸部一徳が演じるのだから何かあるのだろうと思っていたら、やっぱりである。
藩の為を思って殿に進言する帯屋を切れという。

後半15分、殺陣の連続だ。
また「鳥刺し」というわざとは何かが謎を呼ぶ。
兼見独自の技で、誰も見たことがないという。
帯屋が倒されたあとで(この対決のラストもなかなかだが)やっぱり岸部一徳だから
今度は兼見も亡きものに使用とする。そして最後に・・・
というところでやめておこう。
藤沢周平ものらしい秘技だ。
この立ち回りの後半がスローモーションになるのが、やや不満だが、音楽も使わず、
いたづらにあおるような演出をしなかったのは好感が持てた。

ただこの技で兼見自身も命を落とす。
考えてみれば藤沢作品ではハッピーエンドが多かったように思うが、
今度は必ずしもハッピーとはいえない。
ここまで書かなかったけど、兼見は病気で妻を亡くしており、その姪(池脇千鶴)が
兼見を慕う感情も悲恋だ。

組織の不条理、その中での男の意地、そんなものを感じさせる大人のための娯楽作だ。



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君は恋人


日時 2010年7月31日10:30〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 斉藤武市
製作 昭和42年(1967年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)



映画俳優・浜田光夫は400日の病気療養を終え、撮影所に復帰した。
俳優仲間はみんな励まして迎えてくれる。
そして新作「君は恋人」の撮影は始まった。
低賃金だからと工場をやめた光夫が、ヤクザの仲間になっていく一方で、
彼を慕うトンカツ屋の娘(和泉雅子)との恋愛も描く映画。撮影は始まっていく・・・・

私は浜田光夫が病気療養で一時期休んだこと知らなかったというぐらい無知な
映画ファンだが、ネットで「病気復帰を祝ってスターがたくさん特別出演している映画」
と聞いて観にいった。
評判に違わぬ珍品だ。なぜこの映画が今まで話題にならないか不思議なくらい。

まず浜田光夫が撮影所にスターらしくオープンカーで乗り付ける。で部屋に入ると
川地民夫たちに出迎えられスタジオへ。そこにいるのは石原裕次郎の映画監督!
雑踏で通行人とぶつかる芝居を浜田がするのだが、そのぶつかる相手が太田雅子時代
の梶芽依子!
町工場をやめたミツオは今はチンピラの弟分をしているがそのチンピラが林家こん平。
そのチンピラたちの親分が宍戸錠だが、まじめなやくざ役ではなく今は表向きは
キャバレーの経営者。で拳銃の名手で宍戸錠らしく拳銃を右に左に持ち変えて
遊んで見せる。
この地域の元の親分(深江章喜)を殺すことになってミツオは志願する。
で、それを知った和泉雅子が何とか止めようとして舟木一夫がでてきて一曲歌ったり、
やくざのシノギが厳しくて困っている流し(荒木一郎)の助っ人に渋谷からジャニーズが
やってくる。(ちなみにマネージャー役がなんと岡田真澄!「急げ!若者」だけでなく
ここでもマネージャーをしていたのか!ただしオカマっぽい役で、ひょっとして
ジャニー喜多川がモデル?)
ついでにミツオのあこがれの恋人役で吉永小百合。

で映画は時々映画を作っている浜田光夫のパートになる。この映画の脚本家は
なんと渡哲也!
で水の江滝子もプロデューサー役で渡哲也に電話で脚本の直しを依頼する。
さらにその脚本の催促にやってくるのが浅丘ルリ子!
ここでボウリング場のシーンになり有名なプロボウラーも顔見せ出演。

話に戻るとミツオは深江章喜を殺すに当たって大活躍して一気に幹部候補生に。
ここでトンカツ屋に来ていたレコードのディレクター(葉山良二)にミツオは歌がうまいので
一度聞いててやってほしいと和泉雅子は売り込む。
しかしミツオはやがてやくざの抗争に巻き込まれ命を落とす。
ここでまたまた浜田光夫パートになり、今度は鉛筆の広告写真のモデルになっている。
で隣で写真を撮っていたスパイダースの面々に映画の話をすると「そんな暗い終わりかた
だめだ!」とみんな怒って脚本家(つまり渡哲也)の元へ。
「脚本書き直せ!」と家の前の道で近所の迷惑かえりみず、歌を演奏し始める!
映画的にはワンコーラスも歌えば脚本家は音を上げるものだが、スパイダースの見せ場を
作るためにまるまる2曲もフルコーラスで歌う。

脚本は書き直され、ミツオはやくざの世界から足を洗ってレコード会社へ。
そこで重役に歌を聞いてもらう。
その重役が待ってました小林旭!
テレビ番組「九ちゃん」(坂本九の番組ね)にゲスト出演した浜田光夫が九ちゃんと
デュエットするシーンも挿入。
あとどこかに二谷英明もでてたな。

びっくりマークの多い文章になったけど、ここまでオールスターで破天荒な映画は初めて見た
ともいえるかも知れない。
もっと酒の肴になっていい映画ですよ、これは。



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シティーボーイズのFilm noir


日時 2010年7月30日21:00〜
場所 テアトル新宿
監督 沖田修一、福田雄一、大竹まこと、きたろう

(詳しくはムービー・ウォーカーデータベースで)「俺の切腹」
(詳しくはムービー・ウォーカーデータベースで)「遠き少年の日々」
(詳しくはムービー・ウォーカーデータベースで)「Dark on Dark」
(詳しくはムービー・ウォーカーデータベースで)「ドキュメント 中村有志」


大竹まこと、きたろう、斉木しげるのシティーボーイズがなにかの事情で作った
事実上の自主映画。
一応劇場公開だけど、最初から劇場公開を目指したわけではなく、イベント的に
公開するだけだったと思われる。
1本20分程度の4本のオムニバス。

沖田修一監督「俺の切腹」、福田雄一監督「遠き少年の日々」大竹まこと監督
「Dark on Dark」きたろう監督「ドキュメント 中村有志」の4本。

「俺の切腹」幕末の時代、切腹が決まったある武士がその前日、辞世の句を
詠むが妻に「どうだ?」と聞いてみて迷いだし、「もののあわれ」がないから
「黄金虫」を入れてみたり「カブトムシではだめか?」と考えだし、捕まってからも
見張り(斉木しげる)に意見を聞いて混乱したり、さらに隣の房の者から意見が
でたりでますます混乱。
はたして辞世の句はどうなったか?「黄金虫、角が生えたらどんな虫、見たこと
もない虫」(こんな感じ)になったというオチ。
ややテンポが悪く、そして導入を重くしてしまったためにネタとしては面白いが、
やや消化不良。

「遠き少年の日々」疑似ドキュメンタリー形式。あるテレビドキュメンタリーの
ディレクターが河原で「水切り学校」なる看板を発見。会社をリストラされた男
(きたろう)が水切り遊びの学校を始めたという。生徒は一人(大竹まこと)。
やがて生徒と喧嘩になったり、きたろうの奥さんが「あんた何やってるの?」と
怒鳴りこんできたり、道場破り(斉木しげる)がやってきたりの日々。
正直、4本の中で一番面白かった。
ドキュメンタリー番組のパロディとして実によく出来ていて、最近一番笑った映画
と言える。
福田雄一はテレビのディレクターらしい。道理でテレビドキュメンタリーの作りを
よく知っている訳だ。

「Dark on Dark」爆乳の女を連れて、そのおっぱいを頭に載せて楽しんでもらって
金をもらう男(大竹まこと)の話。自らも女性相手に体を売るが「役立たず!金返せ!」
と怒鳴られる。
正直、ちょっと頭のいい人が映画を作るとこうなる、という見本のような面白くない映画。
道にわけのわからん大道芸人がならんだり、よくわからんカットやシーンが多かった。

ここで本日は大竹まことと室井佑月のトークイベントを約20分。
「大竹さんが今度映画を作るときはどんな映画がいいか」で取りとめもない、
でも面白トークでした。

そしてラストが「ドキュメント中村有志」
きたろうの友人らしい芸人の中村有志の変人ぶりを追ったドキュメント。
まあ楽屋オチで仲間内には受けるけどあまり一般には解りにくいネタのような気がする。

ソフト化されることもないかも知れないが、まあイベント的には楽しめる内容でしたね。



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宇宙人東京に現わる


日時 2010年7月28日21:00〜
場所 銀座シネパトス1
監督 島耕二
製作 昭和31年(1956年)

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日本、いや世界各地で謎の飛行物体が飛来し、その正体に噂が飛んでいた。
ある日、見明凡太郎や川崎敬三の天文学者が天体観測をしていると大きな飛行物体が
夜空に停止し、そこから小さな飛行物体が次々と降りていった。
翌日から各地で謎の生物の目撃情報が多発、見明博士の家にも現れる。
謎の生物たちの正体はパイラ星のパイラ人。その頃彼らは宇宙船で会議を開いていた。
「地球人にメッセージを伝えに来たが、彼らは我々の姿を見ると怖がってしまう。
仕方ない、我々が地球人の姿になろう」
見明博士やその従兄弟の物理学者の山形勲博士や川崎敬三が中禅寺湖に行ったとき、
人気歌手青空ひかりにそっくりな女性が浮かんでいるのを発見する。
それはもちろんパイラ人が化けたものだった!

日本初のカラーSF映画。まだシネスコではなく、スタンダードサイズ。
ヒトデ型のパイラ人のデザインは岡本太郎のデザインだというのは有名な話。
ポスターやスチルではビルよりも大きいパイラ人が描かれている。こういう絵を見ると、
パイラ人が地球侵略、をしないまでも巨大化したパイラ人と自衛隊の攻防を期待して
しまうが、全くそんなシーンはなし。

大体シナリオがいい加減、というか破綻している。
途中まではいいのだよ。中禅寺湖で発見された美人が、実は地球外生物らしいと疑い出す
あたりまでは(ややテンポはとろいものの)面白い。
パイラ人が地球に来た目的は「このままでは地球人は核兵器により滅びてしまう。
宇宙道徳により見かねて警告にやってきた」というもの。で宇宙人と気づかれてから
いきなり「ついでにいうならRという星がやってきて地球にぶつかる」と警告しておいて、
なぜか姿を消してしまう。

おいおいここで地球人と共同でRを撃滅してくれないのかよ。まあ地球の事は地球で
解決すべきだからな。
このあとは博士たちは右往左往するだけで大した進展はなし。
伏線として、山形勲博士がなんたらいう水爆より威力のある物質の化学式を発見している
ということがあって、謎の男たちに拉致されたりする。

で、いよいよRが近づき、原水爆保有国はいきがかりを捨ててすべての原水爆をRに
向けて撃ち込む!しかし効果なし。地球は大津波に見舞われる。
(ここで天文台は安全だからと、川崎敬三の恋人の幼稚園の先生が、子供たちを預かって
天文台の地下に避難していたが、洪水の水が地下室に進入して危機一髪になる。
ぜんぜん安全じゃない)
山形勲を誘拐した一団も山形博士をビルに監禁して椅子に縛っておいて、どっかに
いってその後、姿を表さない。
パイラ人に助けられた山形博士はその威力のある物質をパイラ人に作ってもらってRを撃破。
めでたし、めでたし。

でも根本的にシナリオに欠陥がある。
2本の別の映画のシナリオを無理矢理くっつけたような前半と後半で話が分かれて
いるのだな。
ここはやはりパイラ人が原水爆廃絶を訴えて地球にやってきたが、地球人は耳を貸さない。
それより地球人は「パイラ人は地球人に核兵器を廃絶させておいて、その後に攻めて
くるつもりだ!」と言ってパイラ人を攻撃する。怒ったパイラ人は巨大化して東京を破壊する!
とならなければなあ。
その方がポスターの絵にもあってるし、面白いと思うのだが。もっともその方が製作費は
高くなったろうけど。

ちなみにシナリオは意外に思うけど小国英雄。
パイラ人が登場するシーンで効果音がするが、その音は後に昭和ガメラが飛翔する
時の音に流用されている。



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シュアリー・サムデイ


日時 2010年7月19日14:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン5
監督 小栗旬

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
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小出恵介ら5人の仲間は女の子にもてようと文化祭でのバンドを計画。
しかし去年から文化祭はなくなっていた!彼らは文化祭復活を要求し、
発明好きの仲間に爆弾を作らせる。校長は要求をのむが誤って爆弾は爆発してしまう。
彼らは退学になり、その後うまくいかない・・・
そんなとき、小出恵介と勝地涼は金髪の女がベンツを奪うのを目撃する。奪われた男は
今はやくざのチンピラとなったかつての仲間だった。奪われたベンツには3億円が
積んであり、彼らはその金を取り替えさなければヤクザに殺される!

俳優・小栗旬の初監督作品。
彼は折に触れて「いつか監督をしたい」と言っていたからついに出来たかと思った。
しかしその私の気持ちには歓迎の気持ちではなく、もちろん否定的な気持ちだ。
なんだかんだ言っても監督としての素質を認められて監督になったわけではない。
正直、彼が監督をするぐらいなら映画を撮らせてあげたい監督は何人もいる。
人気俳優だからこそ、商売になるということで監督が出来たわけだ。

そんな訳で完全に否定的な目で観始める。
まず長い。
122分もある。青春映画でこれは長すぎ。
脚本の段階でも切れると思うが、演出の段階でも長くなったと思う。
「バカで最強だった俺たちを取り戻す!」とか「お前いきようとしたじゃないか!」とか
役者が見栄を切りまくって怒鳴りまくる。これが1回なら兎も角、何回もあるから
いい加減飽きてくる。
ヤクザがショッピングモールの噴水のところで5人をいびりまくるシーンも長い。

それと最近の人にありがちなカットの途中でスローモーションになったりの可変速な映像。
フィルムの時代は考えられなかったが、デジタルになってこういうチャラチャラした映像が
増えて困る。

そうは言っても映像的に魅力がないわけではない。
先に書いたショッピングモールで5人がヤクザにいびられたシーンで、ヤクザが去った後に
地面から噴水が出るシーンは見事だった。

また話としても、刑事の父親(竹中直人)がソープランドの案内紙の女の子(小西真奈美)に
丸をうち、それを母親と勘違いして小学生時代の主人公たちが歌舞伎町まで訪ねていく
エピソードはおもしろかった。
シーン単位で観るとおもしろい部分もあるのだが、ラストの処理(金を作るために銀行強盗でも
するか!となったときにバンドのシーンを挿入してテンポが乱れる)ももたつくし、
やはり最終的な編集の段階で100分以内に切らせる指示を出す人が必要だったのではないか?
監督が初めてだとやはり切り落とす事に抵抗を感じるだろうから2時間の映画になったが、
ここは第3者がズバッと切る指示を出さねばなるまい。
本来ならプロデューサーが役目なのだろうかが、この映画の場合、なぜか悪名高い山本叉一郎
なのでその辺は期待してはいけないのかも知れない。

あと、見る立場の私の問題ね。
こういう青春時代にやり残したことに落とし前をつける!みたいな話を楽しむには年を
取りすぎた。
そういった話が楽しめたのは私の場合、30ぐらいまでだったろう。
青春時代なんて遙か昔でもう忘れたよ。
ついでに書き加えておけば先のソープランドの話とか、割と下ネタ的笑いが多かったのは
意外だった。
やっぱり小栗旬ファンの女性がたくさん見に来る映画だろうから、そういう下ネタは避けると
思っていたので。



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タワーリング・インフェルノ


日時 2010年7月18日
場所 blu-ray
監督 ジョン・ギラ―ミン
製作 アーウィン・アレン
   1975年(昭和50年)

「タワーリング・インフェルノ」「名画座」に記しました。



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超新星フラッシュマン


日時 2010年7月17日21:25〜
場所 銀座シネパトス1
監督 渡邊亮徳
製作 昭和61年(1986年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)

「チェンジマン」に続いての上映。(今回は毎回2本立て)今度はオープニングに
「赤ん坊が5人フラッシュ星につれて行かれそれから20年が経った」という
ナレーションがつく。
それだけではさっぱりわからない。

今度も宇宙人が地球侵略を企む。
その首領は清水紘治。もうメイクとか「宇宙からのメッセージ」と似たようなもので、
その辺が東映らしさを感じる。
地球中の動物を誘拐し、その動物の特徴を掛け合わせ最強の攻撃兵器となる怪物を
完成させる。
早速地球攻撃となったが、子供の飼っていた犬も取り込んでしまったため、
その犬の子供が近寄ってくると母性本能が出たのか、攻撃をしなくなってしまう。

で、その子犬の争奪戦となるが、ヒーローのリーダーは「犬に頼っては行けない。
自分たちの力で倒すんだ!俺たちはフラッシュ星でその力を身につけたはずだ!」と
仲間を励まし戦い出す。

う〜ん、フラッシュ星で特殊能力を身につけた訳か。
と思っていたらやっぱり巨大戦艦みたいなのが登場し、怪獣化した怪物と対決する。
で、あわただしい戦いの上、勝つ。

最後には最初に動物を飼っていた子供たちのもとにたくさんの子犬や子供の動物が
届けられ多羅尾伴内みたいに「この動物たちには親がいません。みんながこの子たちの
お父さんお母さんになってやってください」という手紙が柱に貼り付けてある。
めでたしめでたし。

基本設定がわかってないから両方ともよくわからないまま終わった。



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電撃戦隊チェンジマン シャトルベース危機一髪


日時 2010年7月17日
場所 銀座シネパトス1
監督 渡邊亮徳
製作 昭和60年(1985年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


銀座シネパトスで東映=テレビ朝日の戦隊シリーズ放映開始35周年を記念しての
各番組の上映。
東映まんがまつりとかの番組で上映されたものだが、もとはテレビ放映したものを
劇場にて再公開したものだと思う。別に劇場用の新作ではあるまい。
尺も20分という30分番組枠だし。
でもスクリーンサイズはテレビのスタンダードではなくビスタサイズだった。
最初から映画上映することも考えていてこのエピソードはビスタで作ったのだろうか?

でヒーロー番組は「ウルトラマン」しか見ておらず、「仮面ライダー」も全くと
言っていいほど見ていない私だが、その後に登場した「戦隊シリーズ」はさらに見ていない。
初代の「ゴレンジャー」は一回ぐらい見たことがあるかも知れないが、まあ知らない。
従って今回上映のチェンジマンにいたってはタイトルも知らない。

まず基本設定を知らないので話についていけない。
5人のスーパーヒーローはシャトルベースと言われる巨大戦艦に乗っていて、
通常の隊員もいる。
はてはて「地球防衛軍」の「ウルトラ警備隊」みたいな設定なのだろうか?
しかもその長官らしき役で藤巻潤登場!

突然宇宙人から攻撃を受け、怪物がこのシャトルベースを占拠。一旦は脱出した5人の
ヒーローだが、この怪物が子供の作った無線機の出す周波数に弱いことを知り、
この子供から無線機を借りる。
敵もそれを知ってこの無線機の奪い合い。
ボートで湖を駆けるわ、ヘリコプターで逃げるわ、そのヘリコプターから飛び降りて
脱出するわでめちゃくちゃあわただしい。
とても20分の内容とは思えない展開の速さだ。

でしまいには怪物が巨大化し、怪獣となって戦いを挑む。
ヒーローたちは奪還したシャトルベースを使って戦い、最後には勝つ、といった感じで
エンディング。

大アクションから怪獣にいたるまで壮大なアクションの数々でいわゆるドラマ部分は
全くなし。
毎回こんな感じならものすごい製作費だ。
それとも今回は映画用のスペシャル編だったのだろうか?
よくわかりませんけど。



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錆びた炎


日時 2010年7月17日19:10〜
場所 銀座シネパトス1
監督 貞永方久
製作 昭和52年(1977年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


種村総合病院で血友病患者の少年が誘拐された。
血友病のため72時間おきの輸血が欠かせない。
次の輸血まであと28時間。
犯人は種村病院の理事長(丹波哲郎)に3600万円の身代金を払うよう要求。
「そこまで患者の面倒はみれない」と支払いを拒否する種村。
実は誘拐された子供は種村の息子が以前につきあっていた女が産んだ子供で、
種村の息子が父親から金を借りる形で支払うことになる。
身代金受け渡しの日、犯人はお手伝い(原田美枝子)に高田馬場に金を持って
くるよう指定する。

「犬神家の一族」に始まった横溝ミステリーブームの中で公開。
田宮二郎がイギリスで主演した「イエロードック」と2本立てで公開だった。
私はこの映画は封切りの時に見ている。
しかし「誘拐された子供が血友病患者」「身代金受け渡しは地下鉄を使って行われる」
の2点しか覚えておらず、丹波哲郎が出ていたことも知らなかった。
いや実はオープニングのクレジットでも見逃していたので、出てきた時は驚いた。

見た当時も気づいていたかも知れないが(いや私が「天国と地獄」を見たのは77年秋
のリバイバルの時だ)、前半は「天国と地獄」のパクリだ。
種村の家は高台の上に立っていて、どこからでも見張ることが出来る、誘拐された子供
の親でない人に身代金を要求する、特急列車ではないが地下鉄と言う電車を
使っての身代金の受け渡しなど。
その辺は見ていてゲンナリしてしまう。

また中島久之が脅迫電話をかけるのだが、冒頭に中島が登場するので犯人が
解ってしまう。ここは「天国と地獄」の山崎努のように冒頭ではでなくてもよかったのでは?

ところが後半の犯人が解ってくるあたりからこの映画は「天国と地獄」を離れ
オリジナルになる。
地下鉄を乗り換え乗り換え捜査陣を振り回すのだが、切符販売機に取り付けられた
点字を読んで移動するというのがミソ。

原田美枝子は弟が盲目なので点字が解った、という説明を刑事たちにする。
しかし刑事が原田美枝子に指で読むことを試してみると読めなかったことから
すべてが解る。
トリックにもなっていないし、そもそも地下鉄を乗り換えまくる必要もなかったのでは?
実際に受け渡しの瞬間を平幹二郎の刑事は見逃してしまっているし。
この辺が本格ミステリーとして弱い。

またここで急に冒頭に出てきた殺人事件を追う刑事で藤岡弘がやや唐突に登場。
そしてこの犯人が梶芽衣子の丹波哲郎の息子の嫁と疑われて二つの事件が
一気に結びつくのだが、この辺の処理が雑、というか説明が丁寧でないので
観客には唐突感が残る。
この事件を追う刑事の話も丁寧に描いておけば2つの事件が結び付いた時の
面白さはもっとあったのではないか?

そして犯人の動機が明らかになるが、恋人が病気になったときに救急車で運ばれたが
病院をたらいまわしにされたことを恨みに思っての犯行だったというわけ。
この辺の救急車のたらいまわし問題は現代に通じるものを感じた。

33年前は面白く感じなかったこの映画だが、一時救急車のたらいまわし問題が
社会問題にもなった後で見ると、実に起こりるような動機の内容だった。

もっとも子供が血友病であることがサスペンスを盛り上げる道具になっているのだが
この映画ではそれが有効になっているとは言い難い。いいかえれば少年が血友病で
なくても話はそれなりに盛り上がる。
また実際の血友病はこの映画に描かれているような「72時間以内に輸血をしないと
死ぬ」ということはないそうで、映画とは全く関係ないところで論争があったそうだ。
そのために映画が封印されなかったことは実によかったと思う。

あと関係ないけどひろみ麻耶がちょっと脱ぎ役でゲスト出演。



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続・光る眼 宇宙空間の恐怖


日時 2010年7月16日
場所 DVD
監督 アントン・M・リーダー
製作 1963年(昭和38年)

(詳しくはallcinemaで)



国連が世界各国の子供の知能を調査したところ、イギリス、ソ連、中国、
アメリカ、ナイジェリア、インドに驚異的な知能を持った子供がいることが
解った。しかもその子供には父親がおらず、母親たちは経験がなかったという。
この調査に中心的なイギリスの心理学者はその各国の子供をロンドンに
集めるが、この子供の自国のためだけに利用しようと考えた各国は
自国に子供たちを戻そうとする。
そんな時、リーダー的なイギリス少年のポールは各国の大使館にいた子供たちを
集め、ロンドンの廃屋となった教会に立てこもる。


「光る眼」というSF映画があったけど、その「続」がついた映画がこれ。
ネットで調べると日本公開の記述がないので、劇場未公開作品かも知れない。
現在、DVDで「光る眼」とカップリングで収録されている。
「続」がついているけど別に話は続きではない。
「宇宙空間の恐怖」とあるけど、別に宇宙は出てこない。
まあ同じネタを使った姉妹編とも言うべきだろう。

子供たちは宇宙人の子供かというとそうではなく、数百万年後の人類と
考えられるという、理屈で説明される。
数百万年後の人類がどうして20世紀に突然現れたかは説明なし。
別になくても構わないけど。

で、各国が彼らの驚異的な知能を軍事目的に利用しようとする。
いやおそらく他国が利用するだろうから、こっちもやらなきゃ!と追い立て
られるようにして彼らを利用することを考える。
しかししまいには「彼らの驚異的な知能はやがて他の人類にとって脅威となる!」
という理由で抹殺しようとする。

このあたりのモチーフ、というはテーマは人間の戦争に対する誘惑と恐怖、みたいな
ものを感じられ、子供を核兵器に置き換えて考えれば人間の愚かさを思わせる秀作
だろう。
しかし「ミステリーゾーン」のような30分ぐらいの映画なら成立したが
90分になると話が全然前に進まずに、やや飽きてくる。

結局、人類への脅威を感じて子供たちを抹殺しようとなる。しかし子供たちとの
話し合いが出来そうになったときに誤って教会の爆破命令が出てしまう。
ここははっきり言って「馬鹿か?」と突っ込みたくなった。
ここは白けたなあ。
あまりにも間違いがひどすぎるよ。
命令を出す機械の端子に誤ってドライバーが触れ、スイッチがオンになると言うんだもん。
それは間違いとしては馬鹿すぎる。

ラストカットはこのドライバーのアップで終わる。
監督にしてみれば「このドライバーの偶然の誤りが人類の運命を変えてしまった」と
言いたいのかも知れないけど、もう一ひねり欲しかった。



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ショック療法


日時 2010年7月15日
場所 DVD
監督 アラン・ジェシュア
製作 1973年(昭和48年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


仕事一筋で化粧もろくにせずに生きてきたおかげで男に逃げられ、
30代後半(いまでいうならアラフォー)になり自分の老いを感じた
エレーヌ(アニー・ジラルド)は友人に紹介された若返りの治療を
してくれる病院にやってきた。
院長は美形のデビレ(アラン・ドロン)。
彼の言うままに食事療法を行い、若返りの秘薬の注射も打つ。
他の患者も金持ちで上流階級の人々で平穏な日々が過ぎる。
しかし金に行き詰った友人が自殺。その日からエレーヌはこの病院に
疑いを持ち始めるのだが。

この映画が封切られた時はまだ映画を見初めていなかったが、映画を見始めた頃、
名画座(確か中日シネラマの1F)などでこの映画のポスターがは見かけていた。
今は映画のポスターで裸はNGだけど、70年代は映画ポスターに裸はありで、
この映画ではアラン・ドロンが全裸で海岸を走っている横の全身のスチルのポスターで、
タイトルが「ショック療法」で、映画は「療法」なのかも知れないがこちらは
めちゃくちゃ「ショック」で「療法」どころかトラウマになりそうなぐらいショックだった。

今回のDVDは「無修正」だそうで、amazonなどのレビューでは「アランドロンのナニが
写っている」とのことで気になった。
公開当時はナニは当然ボカシがあったわけだが、やっぱりアラン・ドロンの全裸が
売りだったのだろうか?
たぶん「売り」だな。ポスターからして「全裸のアラン・ドロン」だもん。

で、DVDのジャケットに記載してあった尺をみて驚いた。
83分ってB級映画の尺じゃん。
そんなことを思いながら映画を見始めたが、予想通りの展開になる。
この海岸のリゾート地のような病院(と言ってもリゾートホテルのような趣だが)
では何かが行われている!と思わせる。

ボーイをしているポルトガルの青年たち(あらすじ紹介を読むと「美青年」と
書いてあるけど、日本人から見るとフツーな感じ)はどうも貧血気味でふらふらしている。
たぶん血でも抜かれているんじゃないか?と思うとやっぱり最後はそれを主人公が知る、と
いう展開になる。(書いちゃったけど)

もちろんそれだけでは終わらずに、青年たちの血を抜くだけじゃなく・・・・と
いうショッキングな真相。
でもなにか悪いことをしているというのは予想通りでミステリーとしてはぜんぜん意外じゃない。
一応警察は主人公の言い分を取り合ってくれなかった、というオチはつくけど。

それよりもフランス人にとっては、ポルトガル人というのは「貧乏な国の人間」で不法就労を
してホテルのボーイなどをしていても違和感がない、という立場なのだなという
フランスとポルトガルの力関係みたいなのが見えたような気がした。
もちろん30数年前の映画だから、(その後スペインではオリンピックもあったし)今は
違うとも言えるのだが、少なくとも当時はそうだった、というのを知って勉強になった。

それにしてもあれで若返りの薬とはねえ、ホントに効くのか知らん?
女性に関してはアラン・ドロンのような美形が世話してくれるリゾートなら注射はしなくても
若返るような気がしますけどね。



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宇宙からの脱出


日時 2010年7月11日
場所 DVD
監督 ジョン・スタージェス
製作 1969年(昭和44年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


アメリカの宇宙ロケット・アイアンマン1号は5カ月の宇宙滞在を終え、
地球に帰還しようとしていた。しかし地上に向けてのロケットの噴射が
起こらず、地球に帰還できなくなった。
地上基地の責任者キース(グレゴリー・ペック)は救助船を発射するには
準備時間がない、費用の面からも救助断念を考えたが、世論が許さない
という大統領の判断で、救助船を打ち上げることに。
宇宙飛行士はダウディ(デヴィッド・ジャンセン)。
しかし台風のために発射は延期に。酸素残量の時間の関係で延期は
3人の救助計画打ち切りを意味する。
しかし台風の目に入ったときに発射すれば何とかなる。
ただちに発射準備に入った!

この映画は初見ではなく子供の頃、(小学生ぐらいか)にテレビ放送されたのを
見ている。
たしか2週に分けての放送だったように思う。
1969年というのはアポロ11号が月着陸をした年で、(いまから考えるとホント
に行ったのか?という意見もあるけど)有人宇宙飛行が現実的なものだった。

2本ぐらいB・C級SFを続けて見たので、こう行ったある程度まじめなSFを見る
とほっとする。
大宇宙や広い管制センターは是非大画面で見たかった。
うちのテレビは42インチだからある程度の大きさはあるけど、久しぶりに
「大スクリーンで見たいなあ」と思わせる画だ。

でお話の方なのだが、意外と派手な画は少ない。
宇宙で孤立している(この映画の原題は「MAROONED」で「孤立」と
いう意味のようだが)アイアンマンの3人の宇宙飛行士は座ったままで画的に
動きがない。
しかし考えて見れば、まじめに作れば作るほど宇宙を舞台にすると映画的
盛り上げり欠けてしまう。
何しろ広大だから時間の流れ方もゆっくりで地上からの制御がほとんどで、
現場で出来ることは少なくなる。
従って現場で修理をしようとする、といった画は作りにくくなる。
実際、「外にでて修理してみる」と船長は訴えるが「飛行士に直せるレベルではない」
と即却下。
画的に派手さがない分、しかしジリジリとしたサスペンスで見ている方ももどかしさ
が募る。
このあたりは下手をすると面白くならないのだが、これをサスペンスに出来るのはやはり
ジョン・スタージェスの演出であり、グレゴリー・ペックやジーン・ハックマンの
力なのだろう。

だから映画は割と会議のシーンが長かったりするのだが、いよいよ救助船出発!となるが
台風のために中止。
しかし台風の目に入った瞬間に発射成功。
ここからが見せ場になる。
もう救助船が向かったんだし大丈夫かと観客に思わせておいて、実は酸素残量が無く、
「3人なら間に合わないが、2人なら間に合う」という計算結果がでる。

グレゴリー・ペックは周りにスタッフがいない別室に行き、そこから話しかける。
「3人なら持たないが2人なら間に合う。あとは3人で相談してくれ」と言い放つ。
物事をはっきり言わないで以心伝心でわからせようとするなんて日本人だけかと思ったら、
アメリカ人もそういう状況があるのですね。勉強になります。

3人で話し合うももちろん結論は出ず、ジーン・ハックマンの操縦士は錯乱状態にさえなる。
結局船長が「修理を試みる」と言い残して船外にでる。(もちろん船長の真意は帰るつもりはない)
ここが泣かせどころだ。

そしていよいよ救助船到着。この救助船はほぼ何のトラブルもなく到着する。
だがここで突然ソ連の宇宙船が登場する。
ソ連には救助を依頼したが無理と判断した、というセリフがあったにも関わらず、
この登場は唐突。
しかもハッチを開けて自分のソ連船に入れようとするが失敗。返って事態を悪化させると
いうお邪魔野郎だ!
ようやく到着したアメリカの救助船から出たデビッド・ジャンセンが船外用小型ロケットで
宇宙を漂い始めたハックマンを救助!
そして(実はあまり必要ない)ソ連の飛行士とともにもう1名の飛行士に酸素を送ってそこで
「救出完了!」の知らせで地球は大喜び。

「さあ無事地球に帰還できるか?」という山が起こるかと思ったら唐突に「THE END」!
わっ、驚いたなあ。
何しろ準備不足でぶっつけ本番で打ち上げたロケットだから、「うまく行かない!」ってなって
そこはデビッド・ジャンセンが手動操縦でうまく着陸かと思ったのに。
また普通、グレゴリー・ペックあたりがなにか教訓的なセリフを言うのかと思ったらそれもなし。
なんだかB級映画みたいなエンディングだ。
考えて見ればデビッド・ジャンセンはあくまでテレビスターだし、ジーン・ハックマンは
「フレンチコネクション」前でまだスターにはなりきっていない時期。
となるとやっぱりスターはグレゴリー・ペック一人になる。
しかしペックが出ているのでなにか作品の格とか重量感が違ってくるのだな。
スターの存在はすごい。

あと子供の頃に見て記憶していたシーンの思い出。
船長の故郷の町(サンディエゴ)が宇宙船に向かって点滅信号を送るところ。
実際に宇宙からみ光の点滅がわかるにはどれぐらいのライトが必要かわからないけど、
このシーンは記憶に残っていた。



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殺人魚 フライングキラー


日時 2010年7月11日
場所 DVD
監督 ジェームズ・キャメロン
製作 1982年(昭和57年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


カリブ海のある島。
カップルが夜の海の水中でイイコトをしている時に何物かに襲われる。
海岸のホテルでは女性海洋生物学者・アンが生活費のためにホテルでスキューバダイビング
のインストラクターをしていた。
息子は知り合ったおじさんのヨットに乗りたいと言って喧嘩。
そのおじさんのヨットに行ってみると同じ年頃の女の子もいて息子は早速張り切る。
またヨット遊びで金を使ってしまった女の子二人組は全裸でヨットに横たわり
これからのことを思案中。
そんな時、アンが生徒たちを連れて海に出たが、最近難破した船の中に入ってしまった
生徒は何物かに食われてしまった。
アンを口説いてくる若者・タイラーと死体置き場に行ってみると激しく食いちぎられている。
ピラニアよりもっと強力な新種ではないかと疑い始めるのだが。


ジェームズ・キャメロンの初監督作品と言うことが売りのモンスター映画。
低予算だけど頑張っている。
海からの怪物が人間を襲う!というのは完全に「ジョーズ」で定番化しており、
不気味な音楽とかその怪物目線のカメラの動きなどで「襲われるぞ!襲われるぞ!」
の気分を盛り上げる。
また死体の中から殺人魚が飛び出すのだが、これなんか「エイリアン」だ。
70年代後半にこれらの映画が登場し、この「フライングキラー」もその影響下に
あると言っていいだろう。

で、本作は低予算のキワモノらしく、やたら裸が登場する。
冒頭から水中セックスが始まって、全裸でヨットに寝そべる二人組も登場する。
でアンの息子も同じ年頃の女の子と夜の島に行ってその川の中でキスまでするが
ティーンだからかその先は出てこない。

そういう裸のサービスはあるが、肝心のパニックシーンは少ない。
春分の日の次の満月に魚が産卵で海岸に上がってくるのを捕まえてフライにしよう!
というイベントがホテルであって、その時に宿泊客が海岸で待ち構えていたら
やってきたのは殺人魚だった!という訳だが、そのホテルのシーンは割と短い。
ホテルの部屋に侵入して逃げてもあちこちから魚が飛び出す!というのを
期待すると少し肩すかし。

まあ全体としてシーン、シーンではドキッとさせられて怖いのだが、殺人魚の
正体は、タイラーが「実は僕は軍の命令で殺人魚を開発した」とすぐに白状し
すぐにネタは解るし、細かい驚かし所ばかりで話が進展せず退屈したのも本音。

ジェームズ・キャメロン初監督作品として作品は残るでしょうけど、面白いかは
別の問題。
でも女性が主人公だったり後のキャメロン作品の要素は見える。



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カモとねぎ


日時 2010年7月10日19:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 谷口千吉
製作 昭和43年(1968年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)



森雅之、高島忠夫、砂塚秀夫の3人は詐欺師の仲間。
今日も高島忠夫が競艇場のボートのプロペラを折り曲げて曲げなかった2挺に賭けて
万舟券で一儲け。
しかしその儲けの300万円はある女(緑魔子)にまんまと奪われてしまう。
その女を捕まえた3人だったが、夫の保釈金に使って今はないという。金を取り戻すまでと
とその女もしぶしぶ仲間に加えた3人だったが。


東宝喜劇の一つのジャンルの詐欺師もの。
それほど期待せずに見たが、今まで見た数本の詐欺師もの(「馬鹿と鋏」「三匹の狸」など)
の中では一番面白かった。

競艇の次は町を歩いているときに捕まった「青少年のための街の浄化運動」のおばさんたち。
リーダー(山岡久乃)はどうやら次の議員選挙への運動も兼ねているらしい。
ピンク映画館から出てきたところをとっ捕まった高島忠夫と砂塚秀夫がうっとうしいこのおばさん
たちを何とか懲らしめてやろうとして狙ったのがこのおばさんたちの主催するバザー。
教育委員会の者だと偽って森雅之がおばさんたちと接触。「文部省選定の教育映画を観ましょう」
とばかりに図書室で映画を見せるのだが、これが途中からピンク映画になる。
バザーの金も頂戴し、おばさんたちも警察に「わいせつ図画陳列罪」で御用となる。

で次に狙ったのが、千葉の海岸にある石鹸工場。
この工場の中庭に不発弾が埋まっているという話を聞き出し、自衛隊に扮して潜入。
従業員を避難させてその間に金庫破りの特技をもつ緑魔子に金庫を開けさせる。
実はこの工場は排水で付近の海を汚し、そこでとれた魚を食べると病気になると噂されて
いるが証拠はない。
父親がこの被害にあっている娘役に桜井浩子。森雅之は髪の毛の長い女に弱い設定なので
(「戦時中、惚れた女が長い髪でその髪をもらって戦地に行き何度も助かった。しかし
帰ってみたらその女は空襲で死んでいた」というのが森の言い分)桜井浩子は腰までの
長い髪なので、森はつい弱みを見せて、石鹸工場の金庫にあった「排水には多量の水銀が
含まれている」の文書を渡す(ただしその件で物語の進展はない)

金庫には金がなく、あるのはその排水についての報告書と英語の文書。
実はこの英語の文書が米軍のためのナパーム弾の材料の発注書。
今度はこの文書をネタにこの石鹸工場の大阪本社を強請ろうとする。
一度はまともに恐喝して失敗。
今度は社長(東野英治郎)を誘拐。
ある部屋に監禁し、ここは沖縄の米軍基地だと思わせCIKに扮した森雅之が「恐喝してきた者に
何故金を払わない。このことが知れたら大変だ。彼らは金さえ払えば黙っている。すぐ金を
払うよう指示しろ!」と命令する。
そのだまし方のスケールがなんだか「スパイ大作戦」のようで爆笑した。
結局、金は企業から取り立てるものの、森雅之は高島忠夫や砂塚英夫に取られちゃうんだが。

やたらなんでも反対運動を起こすPTAとか企業による公害とかベトナム戦争とか社会問題の
時事ネタを盛り込んだ喜劇。
「ただの詐欺師コメディ」と思って見始めたら社会派な感じもして意外に面白かった。
拾いものだった。



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33号車應答せず


日時 2010年7月10日17:00〜
場所 ラピュタ阿佐ヶ谷
監督 谷口千吉
製作 昭和30年(1955年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)



村上(池部良)は警視庁の巡査でパトロールカーで都内各所を巡回し、110番通報に対し出動し
対応するのが今の仕事。
しかし新婚の妻(司葉子)は「人に嫌われたり危険が多い」ということで二人は喧嘩になりがち。
今日も先輩の警官(志村喬)と二人でパトカーに乗車。
強盗と連絡を受けると浮浪者のいたずらだったり、スピード違反のタクシーを捕まえたり、ぼったくり
カフェ(バー)の通報に対応したり(この場合、ぼったくりではなく、女給に高額なチップを
渡しただけだったのだが)、貧乏な夫婦が産気づいた妻を病院に送り届けたりの時間がすぎる。
その時、死体発見の通報が。その死体はさっきのスピード違反の運転手だ。
どうやら殺されて車を奪われたらしい。

冒頭「協賛 警視庁」の文字がでる。
警察官たちの日々の悲喜こもごもが描かれ、ドラマは速いテンポで進み、飽きさせない。
今でいうなら(というか最近はやってるのか?)テレビの特番「警視庁24時」みたいな内容だ。

恐らく各エピソードは取材に基づいてのことだろう。
池部=志村コンビがパトロールにでる前に麻薬犯が警察官を殺して逃亡中なので注意と示される。
この悪人が平田昭彦。
池部=志村コンビは子供が民家の塀を乗り越えているのをみて追いかけると、その家はおもちゃの
町工場を営む男の家。「浮浪児を引き取って育てている」という話だったが、それが表向きで子供
たちにひったくりをさせている悪い奴。さらに悪いことに子供たちをシャブづけにしている!
おっそろしいねえ。
しかも子供同士でクスリを打つときに腕に打とうとすると「バカ!すぐ解るじゃないか!足に打て!」
とくる。
昭和30年ってそんな時代なのか?
そういえば冒頭の警官の会議のシーンで「東京は2日に一人殺される」と言われる。殺人事件
ものすごく多くないか?

その悪い奴のおもちゃ工場の親父の仲間が例の平田昭彦。
最初にスピード違反で捕まったタクシーの乗客だったのが根岸明美。
この娘が志村喬のことを「うちのお父さんに似ている」と言ったが、それがこの工場の親父。
だから二人とも左頬に大きめなほくろがある。(志村喬のほくろはどうもシーンによって微妙に
位置や大きさが違う気がする)
根岸明美も悪い奴で、平気で人殺しもしちゃう女。
平田昭彦も言葉遣いは妙に丁寧で、この根岸明美とのコンビが不気味不気味。

二人は池部=志村を人質にしてパトカーを運転させ香港に高飛びするために浦安からボートに
乗ろうとするが、頻繁にパトカーと連絡をとる警視庁本部に怪しまれ、警察中を上げて33号車を捜索。
33号車は貨物列車にぶつかって横転。
平田昭彦や根岸明美は逃げるが、池部良が追いかけて単独で逮捕。メデタシ、メデタシ。

思ったよりエピソードも多く、サスペンスフルな出来で面白かった。
こういうテンポのいい作品は見ていて心地いい。
巡回中に出会った人々が後の大事件に絡む伏線になっていたり意外性がある。
脚本もよく出来ている。
谷口千吉のアクションっていまいちテンポにかけると思っていたが、この映画はよかった。
面白かった。



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金星怪獣の襲撃 新・原始惑星の旅


日時 2010年7月10日
場所 DVD
監督 デレク・トーマス
製作 1968年(昭和43年)

(DVD販売元HPへ)


金星探査に向かった宇宙船が金星着陸時に事故にあい、2時間後救出用ロケットが発射。
事故にあったロケットはロケットは無くなったものの、乗員2名とロボットは無事だった。
一方救出部隊も到着。先発隊の救助に向かうが、吸血植物や金星の恐竜、翼竜におそわれる。
先発隊もロボットの助けを借りて合流をはかるがこのロボットが使えない奴で、人間に薬を
飲ませようとしてこぼしたり、溶岩流を人間二人を肩に乗せて渡ろうとしたのに
「重量を減らさないといけない」と人間を溶岩の中に落とそうとしたりする。
なんとか合流する彼らだが、まだまだ危険は終わらない!


ソ連映画「火を噴く惑星」の改変版。
「原始惑星の旅」が有名だが、この映画も作られた。
上のストーリー紹介では書かなかったけど、この映画は非常に重要なサイドストーリーが
加えられる。
地球人の金星大冒険物語(ここはオリジナル映画の短縮と言っていいだろう)になんと金星美人が
登場するのだ。(ここが完全に追加撮影された部分だ)
7人の金髪美人が海岸で横たわっていて起きる感じで登場。この7人が貝殻ブラジャーをしている
というエロさ全開なのだな。

で、この7人が侵略者が来ている!おびえているうちはよかったが、彼らのいる海岸に先ほど人間が
殺した翼竜が打ち上げられる。
ここで「我々の神を殺した!」と怒り心頭。翼竜を偶像にしたものを拝んで、火山の爆発を願う。
しかし地球人たちはその溶岩流に苦戦しながらもなんとか脱出。
そして今度は地震を起こすお祈りなどをして改めて地球人へ攻撃を仕掛けるという、地球人たちが
出会った天変地異はすべて彼女たちが起こしたという展開。

でも結局、地球人は金星から脱出に成功。
驚いた金髪美人たちは今まで神とあがめてきた翼竜を「こんなのは偽物の神だ!」と罵倒し始める。
そこで新たな神が必要になり、その時またまた海岸に打ち上げられていた、例の人間を溶岩に
落とそうとしたりした使えないロボット(結局このロボットは溶岩流に流されるのだが)を新しい神
としてあがめ出す。

いや驚いた展開でいすから立ち上がりそうになったよ。
そこまで考えていないのかも知れないが、「神への反逆」なんてとてもB級SFで出てくるとは
思わなかったからさ。
「神への反逆、新しい神の創造」」なんて何だか宗教をテーマにしたような映画になって、
特に言いたいことがあったわけではないかも知れないけど、妙に高度な話に展開した気がして
とにかく驚いた。
この新版にはピーター・ボクダビノッチが絡んでいたそうだが、そのあたりがこの大改変のキーに
なるのかも知れない。



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踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!


日時 2010年7月6日18:20〜
場所 新宿ピカデリー・スクリーン1
監督 本広克之

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
(公式HPへ)


湾岸署も新庁舎に移転が決定。3日後の開署式に向けて引っ越しが始まった。
引っ越し対策本部長を命じられた青島刑事課強行犯係長だったが、そんな時、
管内でバスジャック事件が起こる。また近所の銀行では金庫が開けられる事件が。
しかし両事件とも被害はない。
しかしそれを上回る大事件が!拳銃保管庫から拳銃が3丁紛失したのだ!
そして犯人からかつて青島が逮捕した囚人たちの釈放要求が来た!

2003年の「レインボーブリッジを封鎖せよ!」以来7年ぶりの新作。
作れば大ヒット(それも並のヒットではなく日本映画史上に残るヒット)が
見込まれるにも関わらず、7年も新作が作られなかった「踊る大捜査線」。
表向き理由はメインキャストだったいかりや長介の死があげられ、週刊誌では
織田裕二と柳葉敏郎の不仲、織田裕二がやりたがらないなどあげられたが、
真偽のほどは解らない。

テレビシリーズの頃からのファンとしては出がらし感は拭えなくて
公開初日2日目にはいかなかったが、さりとて次の週末まで待てずに
平日の夜鑑賞という次第。

前2作がまるで楽しめなかった記憶しかなく、(なにがおもしろくなかったのか
さえ覚えていない。このHPを読み返して当時の感想を知った次第だ)
期待はしていなかったが、今回は自分でも驚くぐらい楽しんだ。
いつもの「踊る大捜査線」の世界があり、懐かしい登場人物たちの出演に
懐かしく楽しんだ。
つまり7年という歳月が、同窓会的楽しさを味わう気持ちを作ったのだろう。
警察側のキャラクターだけではなく、犯人たちも再登場。
今回メインの犯人となる小泉今日子なんて98年の映画版に出演している
(ああ、この頃は就職活動中だった!)のは憶えていたが、どんな事件だったか
まるで憶えていない。
でも妙に懐かしかった。
ラストで実行犯の中心とすれ違ったとき青島が「君、以前・・・」と言ったので
映画の冒頭で会っているのかと思ったらパンフレットを見て「えっ!」と言った。
それはすごい!
(テレビシリーズで子役で出演した方だそうだ!)

神田署長以下の3人は相変わらずボケまくっているし、恩田さんと青島くんの
関係も前のまんま。
事件が大きくなると本店(警視庁)が幅を利かせ、所轄は隅に追いやられる。
そこへ室井が登場し、青島たちに活躍の場を与え、見事に解決する。また3日間と
いう限定された時間の中で複数の事件が起こり、青島たちは大慌てになるという
パターンも基本的に同じ。
そして署長もたまには男気を見せる。
もうここまでいけば「寅さん」的ワンパターンである。
この枠組みを楽しみ、「あっ、こうなるな」と思った通りの展開になる点で、
シリーズものの「お決まり」を楽しむ世界だ。

しかし難点や無理、不満点もある。
まずはやむを得なかった点。
織田裕二だが、やはり42歳という年齢は隠せない。
映画は冒頭の会議室のシーンで織田のアップから始まるが、役柄、キャラクターは
20代の頃のままだが、(体型は保っているのでなんとか努力はしているのだが)
顔のはり艶では年齢を感じさせ、痛々しさが隠せない。
また恩田すみれとの関係もそのまま。20代後半(もしくは30代前半)の設定なら
「くっつかず離れず」の恋愛ドラマもありだったが、いまは青島は40を超えている。
無理がある。

神田署長。演じる北村総一朗は70を超えている。
いや〜警察官の定年は知らないけどこの歳で署長はいないでしょう。
そして湾岸署の引越し。
そもそもテレビシリーズでは新設の警察署だったが、もう引越し??
それはないのではないか?

青島の下に新刑事が二人いるが、若手の方(川野直輝)も中国からの研修生
ももう少しキャラクター説明があってもよかったのでは?
上映時間は2時間以上あるのだからそれぐらいの時間は作れるでしょう。

今回、ラストで署長もついに交代(新任の署長には「あっ!」と言った)
すべての根本からの設定を見直した「新・踊る大捜査線」を作るためには
署長も交代、庁舎の新しくする必要があったのだろう。
「今回が最終回とも言えるし、第1回とも言える」とスタッフが言っていた様だが
今度新作を作るときには設定を大幅に変更しなければならないだろう。
そのための中間点となったと言える。
(だからこそ新刑事の紹介も欲しかったのだが)

しかし脚本上で「やむを得ず」ではなく計算違いと思うの箇所が2箇所ある。
まずは青島の病気。
肺のレントゲンで再検査となるが、そんなこと他の人間(この場合は魚住課長)
の前で言うだろうか?
そしてそれが間違いだった、と言うことを青島本人ではなく、他人に伝言するだろうか?
そういう根本的な疑問も感じるが、「死ぬかも知れない」と言うのが(間違いだった、
というオチがつくのは容易に想像がつくが)神田署長たちと観客が解っているのは
おかしくはないか?
あれでは青島一人深刻になっていてマンガになるだけだ。

第2の欠点が湾岸署が扉が閉まってしまいどうしても解除できない問題。
ハッカーでつかまった者まで連れてきて解除させようとするが、解除できずに
「電源切ったほうがいいんじゃないですか?」で解決。
笑いどころなのかも知れないが、私はあまりに安易なオチに呆れた。
セキュリティは湾岸署の外の送電線を切られる場合や、自家発電が壊れた場合も想定すべき
だし、電源が切れたぐらいで扉が人力で持ち上がるようならそれも軽すぎる。
ここは正統派にサスペンスを盛り上げるべきだったのでは?

という欠点も抱えならがらも結構楽しんだ。
近い将来「4」も作られるのではないか?
「新・踊る大捜査線」も楽しみにしよう。



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ロストクライム 閃光


日時 2010年7月4日18:40〜
場所 角川シネマ新宿1
監督 伊藤俊也

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
(公式HPへ)

隅田川でラーメン屋の主人の他殺死体が上がった。
早速捜査本部が設置されたがベテラン刑事の滝口(奥田瑛二)は被害者の名前を聞くと
自ら捜査に参加を申し出る。
所轄の若手刑事片桐(渡辺大)は滝口から被害者が府中三億円強奪事件の犯人グループの
一人と疑われた人物だったと知らされる。
三億円事件犯たちの仲間割れか?
滝口たちは本部の意向を無視して捜査を始めるが。


かの有名な府中三億円事件をモチーフにした映画。
この事件はよく覚えている。
仕事で事件現場近くに行ったとき、わざわざ事件現場まで行った覚えがある。
今までに岡田裕介、織田裕二、ビートたけし、宮崎あおいなどが実行犯を演じてきた。

今回の映画では複数犯による犯行、今までの映像化では織田版に一番近い話だ。
おそらく白バイ警官の息子説が一番真相に近いのかも知れない。

書いちゃうけど今回の映画のあらすじは、現代に起こった三億円事件の犯人たちの
連続殺害事件の犯人は、事件当時、犯人と疑われてそのせいで自殺に追い込まれた男の
息子が父親を死に追いやった犯人に復讐していくという設定。
そして三億円事件の犯人は警察関係者の家族であり、そのことの発覚をおそれる警察が
事件のもみ消しに動く、という方向に映画の話は進んでいる。

でもちょっとここでフィクションが入りすぎている感じがして残念。
実際にそんな連続殺人事件はないだろうし、連続殺人を犯すのもちょっと飛躍しすぎている。

で映画の中で三億円事件そのものには詳しく説明されない。
どのようにグループが結成されたか、誰が計画をして実行犯以外のメンバーは具体的に
何をしたのか、また事件後、犯人たちはどのような人生を歩んだのか
(映画では大病院院長、銀座のクラブのママ、ヤクザ、ラーメンやの親父などてんで
バラバラの人生を歩んでいるが)その辺を詳しく知りたかった。

あと渡辺大の同棲している恋人が元ヘルス嬢とか奥田瑛二の死んだ妻とのラブシーンとか
三億円事件に関係ない描写が多いのも気になる。
その辺はスパッと切って「三億円事件」に集中した内容にして欲しかったな。

元白バイ警察官を夏八木勲、警察上層部を矢島健一、菅田俊、事件を追うジャーナリストに
武田真治らが出演。



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東京湾 左利きの狙撃者


日時 2010年7月4日15:55〜
場所 銀座シネパトス2
監督 野村芳太郎
製作 昭和37年(1962年)

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)


白昼の日本橋・繁華街で車の運転席にいた男(浜村純)がライフルで狙撃された。
刑事たちは狙撃場所を早速特定。
その狙撃が出来た場所の角度から犯人は左利きだったと推定された。
被害者の身元を洗う刑事たち。被害者の立ち回り先からある小料理屋が浮かび上がる。
西村晃の刑事たちがその小料理屋を張っていると男たちに連行される。彼らは麻薬捜査官で、
殺された男は実は麻薬捜査官でおとり捜査をしていたというのだ。
果たして犯人は?そして麻薬の販売組織は?

佐田啓二の第一回企画作品だそうでこの当時、佐田啓二もプロデューサー業に興味が
あったのかも知れない。
もっともこの後、交通事故で亡くなるのだが。
西村晃と組む若手刑事が石崎二郎という新人。
(第一回出演)と表記されるから期待の新人だったのかな?
でも正直全く魅力がなく、その後消えてしまったのも解るような存在感のなさだ。

で犯人は射撃の名手を考えられ、麻薬組織関係を洗う西村は行った先で戦争中の戦友
(玉川伊佐男)に再会する。
彼が左利きだったことを思い出した西村晃は彼を犯人と目星をつけ始める。
という感じで完全にイージーに犯人が解る。
そんな無理に西村晃の戦友にしなくても困るまいに。

でその後、玉川の妻がちょっと頭が弱くてどうしたとか石崎二郎と西村晃の妹が
つき合っていてそのことを西村晃が反対しているとかのエピソードが挿入されるが
はっきり言って不要。
最終的には西村は玉川に自首の約束をさせ、一日待ってやる。その一日に玉川は組織のボス
(加藤嘉)から金をもらってそれを実家の母に預け妻の面倒を見てもらおうとする。
それで実家に帰ろうとするところを西村に逃亡と思われ、列車の中で手錠をかけられる。

とまあここまでは何となく予想がつく展開だが、最後にどんでん返し並の展開になる。
西村は玉川に列車のデッキで手錠をかけるのだが、その列車の扉は乗客が開ける
ドア式のタイプ。それでもみ合っているうちに扉が開いてしまい、玉川の体は外にでてしまう。
西村は手首から血が出ながらもなんとか引っ張ろうとするが玉川の体は線路で飛び跳ねるばかり。
そこへ反対方向の列車とすれ違い、西村晃も外へ放り出されてしまう。
いきなりアクション映画になってびっくりした。

翌日死体は発見されるが、「手錠をかけているんだからやはり犯人と断定していいんでしょうか」
という刑事たちの会話があり、黒幕にはたどり着けずに映画は終わる。
何とも中途半端な終わり方だ。

あと昭和37年頃は「マタンゴ」でもそうだったが麻薬が社会問題になった時期だそうで、
そういう背景があっての社会派の刑事ドラマを作ろうとしたのだろう。
しかし玉川伊佐男の犯人が急に解ったり、ラストに急にアクション調になったり、
計算違いがある映画のように思う。



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ザ・コ―ヴ


日時 2010年7月3日19:45〜
場所 新宿ロフトプラスワン
監督 ルイ・シホヨス


(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
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リック・オリバーはかつては人気テレビ番組「わんぱくフリッパー」で
イルカの調教師として活躍した。しかしイルカと触れ合ううち、仲間のイルカの死に
直面したことで、今までの自分を反省。以後イルカの解放運動を行うようになる。
そして日本の和歌山県太地町でイルカ漁がおこなわれていることを知り、
映画製作者たちとその実態を暴こうとする。


今年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞を取り、日本で保守系団体(右翼とも違う)
による上映中止運動がおこった問題の映画。
この7月3日が東京渋谷のイメージフォーラムで封切りだったが、上映中止を求める団体
による抗議活動が行われ、鈴木邦男氏は殴られるなどの騒動があったそうだ。
(その騒動は見に行けばよかった)
当日夜、新宿ロフトプラスワンで上映&公開討論会が行われるので、こっちで見た。

で、肝心の映画だが、正直、映画としてはよくまとまっているし面白く作ってある。
描かれている内容の是非は後で書くが、社会派サスペンス映画としてよくまとめて
あるといって差し支えない。アカデミー賞を初め外国で賞を取ったのも納得だ。
まずリック・オリバーたちが太地町に行くとマスクとサングラスをかけて変装をしなければ
ならない異様さが示される。
そして太地町の警察や市役所の職員はイルカ漁が行われている地域に入ってはならないと
警告する。

太地町のイルカ漁を告発するためのスペシャルチームが結成される。(映画中のセリフを借りれば
「オーシャンズ11」のように)。その中で石の作りものの中にカメラを隠すことを思いつき、
特殊美術スタッフに造形を依頼する。
また水中音をとらえるために素潜りの世界チャンピョンにマイクの設置を依頼する。
そんな感じで日本に大量の機材を持ち込む。
そしてホテルを夜中にぬけだし、海に潜入。
このあたり尾行してくる車がいたり、警戒する警察官に見つかりそうになったりなど
「スパイ大作戦」とか悪党の悪事をあばくジャーナリストもののサスペンス映画みたいで
「映画として」面白く作ってある。

また太地町のイルカは水銀濃度が高くなっておりそれを日本政府は隠していて、イルカ肉を
鯨肉として販売しているとか日本政府の欺瞞を告発する。
そして映画は太地町の問題だけでなく、国際捕鯨委員会での日本の活動も問題にする。
いわく捕鯨には関係ないアフリカの国々を事実上買収し、日本に賛成票を投じさせているのだと。

そして映画のクライマックスはイルカ漁のシーン。
イルカの血で海が真っ赤に染まるシーンは画的に実に残虐に見える。正直見ていてつらい。
最後には今までそのインタビューシーンが時々出てきた水産庁の役人にそのイルカの血で
真っ赤に海が染まる漁のシーンを見せる。
意見を求められた役人、「この映像はどうやって撮ったんですか?」としれっとした顔をして
答えるシーンで映画はエンディングへ。
この役人の顔が役者でいいですねえ。
僕は日本人だから必ずしもそうは思わないが、僕がまったく違う国の人だったり、またこれが
日本ではなく違う国の話だっら「日本(または別の国)は悪い奴、憎し!」と思って映画館を
出るだろう。
映画という表現としては実にうまく作ってある。

しかし私は日本人だからこの映画の内容に疑問を感じる。
まず何を批判したいのがはっきりしない。
彼らが批判しているのは太地町のイルカ漁か、それとも日本の捕鯨か?
太地町の人々が遠洋捕鯨をしているわけではないのに、IWCの日本のロビー活動まで
批判の対象にされている。
鯨もイルカも同じ鯨科で仲間だからみんな一緒だという理屈で「捕鯨やイルカ漁をする
日本人は悪い!」となるかと思ったら、「日本人は水銀で汚染されたイルカ肉を鯨肉として
何も知らずに食べさせられている。政府にだまされている。何も知らない一般日本人は不幸だ」
となる。
太地町の人々は政府の国営事業でイルカ漁をしてるわけではないでしょう。
それに水銀の話は何も太地町のイルカに限ったことではなく、すべての海洋水産物に
言えるのではないか?

要するに批判する対象や根拠がバラバラで一貫性がないというのが私の印象。
「理屈ではない。何が何でもイルカや鯨を捕獲することは悪なのだ」という理由なら
一貫性があるといえる。
ちなみにこの映画のバックにはシーシェパードがついていて、捕鯨反対運動の一環として
作られたようだ。
実際、シーシェパードのメンバーもインタビューに答えているし。

いい方を変えれば外国映画でよく「変なニッポン」が登場する映画があるがこれも
その一つでしかないように思う。

まあ上映反対運動が起こった映画だが、その内容については私も完全には納得しかねるし、
反対する人の気持ちは理解できなくはない。
しかし攻撃すべきなのは映画館ではなく、製作者だろう。
その点では上映中止運動をした人々の気持ちは理解しかねる。



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瞬 またたき


日時 2010年7月3日14:25〜
場所 新宿バルト9・スクリーン2
監督 磯村一路

(詳しくはムービーウォーカー・データベースで)
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数ヶ月前にバイク事故で恋人を亡くした泉美(北川景子)。恋人の淳一(岡田将生)と
バイクで桜を見に行く途中でトラックと衝突したのだった。
彼女は助かったが、淳一は病院に運ばれて間もなく亡くなった。
しかし彼女には事故の時の記憶が全くない。
そのことが彼女を苦しめ、今は精神科に通っている。
医師(田口トモロヲ)は無理に思い出すことはないという。そんな時、その病院に通う
弁護士真希子(大塚寧々)と知り合い、彼女の助けを借りて病院や警察に事故の概要を
聞いて回るのだが。


またまた恋人の片方が死んでしまう映画。
よくもまあ次々と出来るもんだと呆れるのを越えて感心する。見に行った動機は岡田将生が
でているから。
しかし残念なことに岡田将生の出演場面は割と少ない。
主人公は北川景子で、岡田将生はその回想シーンしかでないのだな。

でもこの北川景子の泉美が実にめんどくさい女なのだ。
岡田将生との出会いからして美大生の岡田将生がバイトでどこかのお店の壁画に冬の景色を
描くバイトをしているときに、花を配達にきてつまづいて絵を台無しにしてしまうという
出会い。
そのシーンで何かの装置から雪みたいな泡がでてきてロマンチックな映像になるのだが、
絵を台無しにされた岡田将生はいい迷惑だ。

でたまたま精神科で知り合った弁護士に無理矢理自分の頼みを押しつける。弁護士の方は
専門外だしと断っているのに。弁護士が断っても頼んでくるのに対して
「あなた男だったらストーカーにされるわよ」とまで言われる。
卒業製作で悩んでいる岡田将生に頼まれもしないのには花の鉢植えを持ってきて
「これなんかどう?」と言ってきて岡田将生は困惑するシーンなど、ホントに
善意の押しつけななお嬢さんだ。
バイトの花屋もおばさんの店だからと甘えて休みまくるしホント現実にいたら
わがままな娘でお知りあいになりたくないタイプ。

で結局その事故の瞬間を思い出すのだが、別に大したどんでん返しがあるわけではない。
岡田将生が後ろから当たったような証言があったのだが、それはぶつかる直前に
振り向いて泉美を抱きしめて守ったからという訳。
事故直後、泉美はまだ意識のある時に、岡田将生の指が3本なくなっているのを付近を
探し回って1本、2本、3本と数える姿はもうホラー映画と見間違えるような狂気だ。
このシーン、ホントに怖い。

「ああ私は淳一に愛されていたんだなあ」とわかったところで終わればいいのに、
淳一の故郷の出雲に言って、出雲大社で偶然に突然に強引に菅井きんのばあさんと
知り合って黄泉の国と現実をつなぐ坂を紹介してもらいその坂に行って岡田将生の声が
聞こえてくるというシーンでラスト。

とにかくだらだら長いし、泉美のキャラクターは結構いってるし、おかしな脚本。
あと大塚寧々の弁護士が、昔父親がDVになって妹を傷つけさせてしまったことを
悩んでいるエピソードも不要。
どうしてこういう脚本が映画化のゴーサインがでたか理解不能な映画だった。
原作者もきっといやな女なんだろうな。



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