6月6日日時 2013年5月31日21:00〜 場所 K's cinema 監督 柏原寛司/石井良和/原隆仁/室賀厚/石田肇 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) アクション物のテレビ、映画の脚本家で知られる柏原寛司さんが率いるBASE KOM(KOMは柏原寛司、室賀厚、大川俊道の頭文字)が中心になって作ったアクション映画。 (とは言ってもいわゆる自主映画になる) 6人の監督による6話のオムニバス。 6月6日が運命の日としてその日に戦わざるを得ない運命を背負った二人の人物が時空を越えて登場。 エピソードをつなぐシーンとして、新聞部の高校生がある古い家に取材に行き、そこに置いてあった本などが話のつなぎとして出てくるが、あんまり関係ない。 (過去の話は有効だけど、未来の話なら出てこれなくなる) 第1話の「待つ男」(監督:柏原寛司) 旅の侍がいて道中、強盗の腕の立つ男に襲われる。 侍は数年前に兄が殺され、その仇討ち相手を捜しているのだ。その強盗の強さに恐れ入った侍は強盗に剣術の指南を申し出る。 そして強盗は「上達するには人を斬るのが一番」として旅の芸人を斬るように命じる。 その侍は何の躊躇もなく斬る。ここで私は「それはないだろう」と思ってしまった。 で、実は侍が探していた敵とはその強盗だった、というオチで最後は侍と強盗の戦いになる。 オチが読めたのであまり楽しくなかった。 第2話の「密命」(監督:石井良和) 終戦直前の日本。アメリカとの和平についての密書を運ぼうとする男と、それを阻止しようとする戦争継続派の男の対決。ここで日本に住んでいる見た目は外人の日本人が登場。アメリカの潜水艦が迎えに来てくれるということで海岸で待つのだが、その海岸に追っ手が来て対決、という展開。密使の方が勝のだが、ボートで海にでると結局アメリカの潜水艦の魚雷(!)で沈められるという「なんだかなあ」というオチ。 第3話「あと15分」(監督:原 隆仁) ゴスロリファッションの女とキャリアウーマン風の女(二人は小学校の同級生らしい)が日本橋付近で対決する話。 なんかよく解らない。 正直、このあたりからついていけなくなる。 第4話「世界は二人を待っている」(監督:室賀厚) いつも殴りあいの喧嘩をしているヤンキー高校生が二人。 そして現代(?)のシーンでサラリーマンとやくざ風の男が出てきてやくざ風の男が拳銃を買って二人で対決するようになる。これもなんだかヤンキー高校生の生まれ変わりがこのサラリーマンとやくざ男らしいのだが、そうすると時代がいつなのかよく解らなくなり、この辺から睡魔に襲われ始める。 第5話「一匹でも多くのブタを殺せ!」(監督:室賀厚) 2095年の未来。格差社会なのかテロが横行していてそれを取り締まる警官の話だが、もう途中で寝た。 第6話「ザ・デッド・プラネット 死せる惑星」(監督:石田肇) すいません、完全に寝ました。ワンカットも見てません。 でも映画自体の終わりになる未来っぽい公園で小さな男の子と女の子が一緒に遊んでいるカットは見ました。 対決する運命の二人は常に手のひらに傷がある二人なのだけど、最後の少年少女も傷があるのだが、その二人が和解してまあハッピーエンドで終わるみたい。 兎に角久々に途中で寝たから何にも言えないなあ、この映画に関しては。 (このページのトップへ) クロユリ団地日時 2013年5月25日18:55〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン2 監督 中田秀夫 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 二宮明日香(前田敦子)はクロユリ団地に家族で引っ越してきた。引っ越した翌日からは介護学校に入学。近所では砂場で遊んでいたミノルという少年と知り合った。 明日香の隣の部屋は挨拶に行っても出てくれない。翌朝から5時半に目覚ましがなってうるさくて眠れない。数日たってもう一度となりの部屋に行ってみた。扉が開いていたので入ってみたら老人(高橋昌也)が一人で死んでいた。 ショックを受ける明日香。しかし隣の部屋で何かを見てしまう明日香。今は誰もいないはず。家族に相談するも取り合ってくれない。そして学校では介護の実習中に「おまえしぬぞ」という声を聞く。遺品整理をしていた青年笹原(成宮寛貴)と知り合い相談するのだが。 中田秀夫の久々のホラー作品。 スプラッター系の血が飛び出たり、切り刻まれるようなタイプのホラーは苦手だが、前田敦子は最近聞く話では映画フリークでなにやら好感が持てたし、さらに競演が成宮寛貴なので観てみた。 面白かった。ホラー映画が特に好きという人にはたぶん不満があるのだろうが、私はコアなホラー映画ファンではないので、これぐらいのホラーがちょうどいい。 映画はこの後、明日香の家族にまで異変が起こる。家族が突然いなくなってしまうのだ。 学校での彼女の行動に疑問をもった先生(青山草太)が明日香の実家を訪ねてみると実は明日香の家族は明日香が子供の頃に事故で亡くなっているという。 家族で行ったバス旅行で交通事故があって明日香だけが奇跡的に生き残ったのだ。 明日香は父親に「絶対に旅行に行く」という約束が家族を殺してしまったと自分を責め続けているのだ。 映画の冒頭で家族が登場したとき、明日香の弟が小学校前の子供で、しかも朝食時に両親から時計をプレゼントされ弟に「(歳は僕と)そう変わらないくせに」と言われて「弟も歳が離れすぎているし、変だなあ」と思ったがそういう伏線だったのか!と感心する。 こういう展開が私は好きなのだな。 (実は明日香が冒頭スーツを着るので就職、もしくは就職の面接に行くのか、大学に入学したのかよく解らないのが難点。でも最初の家族の会話でも「介護学校入学おめでとう」とも言えないしなあ。何せあの朝食は明日香の記憶と妄想なのだから) しかし恐怖は終わらない。 明日香と友達になった少年、ミノルは何年も前にかくれんぼをしていてゴミ箱に隠れていたのだが、それに気づかずに焼却炉で燃やされるという事故で亡くなっているのだ。 明日香を「一緒に遊ぼ。約束したじゃない」と誘ってくる。 ミノルが明日香の部屋のドア越しに「約束したじゃない。嘘つき。どうして遊んでくれないの?」となじるシーンは迫力ありますねえ。扉を開けちゃいけないと思いつつ、開けてしまう明日香の心境になる。 笹原も自分の恋人を交通事故で植物人間にしてしまった過去を持ち、ミノルがそれを利用して笹原の彼女になって部屋に入る。そして床が割れ笹原はミノルによって焼却炉へ! 明日香は自分の部屋の床を叩き続ける。 一転して明日香はそれまで「叔父」と名乗っていた男の車に乗せられる。明日香は精神錯乱しており「お父さん、お母さん!」と叫ぶと男が「ここにいるよ!」と言う。 あれ?この男が明日香の親なの? では今までの両親が事故にあった話も明日香の妄想だったのか? すべてはミノル少年の霊が起こした妄想幻想を我々は観させられていたのか? 味のある、いいオチだったように思う。 面白かった。 (関係ないが、この映画の前に観た「百年の時計」にも青山草太が出ていた。こういう偶然はたまにある) (このページのトップへ) 百年の時計日時 2013年5月25日16:20〜 場所 テアトル新宿 監督 金子修介 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 香川県高松市美術館の学芸員・涼香(木南晴夏)はこの香川県出身の現代アートの芸術家・安藤行人(ミッキー・カーチス)の回顧展を開くことになり張り切っていた。 これを機会に行人に新作を作ってもらうことを提案していた。かつては世界的に話題になったアーティストの行人だったが、ここ20年は目立った活躍をしていない。 しかし行人を尊敬する涼香は彼に新作を作ってもらい、彼の素晴らしさを世に再認識させたかったのだ。 しかし行人は高松に到着しても行方をくらませたり、「新作は作らん、回顧展も中止だ!どうせお前も俺を使って一儲けしようと思ってるだけだろ」と涼香を困らせる。 自分自身の安藤作品への思いを語り行人を説得する涼香。 やがて行人は懐中時計を取りだし、「この時計は故郷を出発する日、琴電の車内である女性に貰った。その女性を探してほしい」と頼まれる。 涼香と行人はまずは地元のテレビに出演する。 香川県を走る高松琴平電気鉄道開業100周年を記念して作られたいわゆるご当地映画。実際の100年は平成23年(2011年)だそうだ。 「100年」という時間と「電車」を組み合わせて出来上がった映画だが、それを表現するアイデアに感心させられた。 話の大筋だが、テレビに出たことで時計の元の持ち主がわかり、琴電に勤める人が鉄道時計として使っていたことが解る。その時計は昭和30年代に古道具屋に売られ、それを由紀乃という女性(中村ゆり)が買っていったと解る。 しかし実際は行人はその女性の名前も素性も知っていて探させたという展開。 うん、最初から「由紀乃さんという人を探してほしい」という展開では面白くないのかも知れないけど、ちょっと無理があるような気がする。 そして行人は新作への意欲が沸いてくる。 琴電を使って100年という時を表現しようというのだ。走る特別列車の中で100年を回顧していく。 それに乗り込んだ登場人物たちが、そこで表現される戦争、高度経済成長、バブルなどの自分の過去と向き合っていく。 琴電は100年間、そういった乗客たちの人生をは運んできたのだ。(でも戦争は画にしやすいけど、高度経済成長とかは画にしにくいな、と思う) まさに琴電100年にふさわしい展開! そしてラストには由紀乃と再会する行人。 ミッキー・カーチスと水野久美が並ぶとなんだか往年の岡本喜八映画のようだった。(私はミッキー・カーチスというと岡本喜八映画を思い出すのだ) 老芸術家が故郷に残してきた恋人との再会、というモチーフは「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」を思い出した。正直、あちらの方がよかったように思うが、今回由紀乃と行人に会話がありすぎたと思う。 万感の思いを込めて見つめあう、その後の病室のシーンでは黙ってリンゴを剥いている、で十分ではなかったか? そういうちょっと惜しい!と思われる点もすこしあるけど、そうじていい映画だったと思う。 ヒットすることを願う。 あと若き日の行人を演じた近江陽一郎がよかった。 (このページのトップへ) 恐怖と欲望日時 2013年5月25日11:30〜 場所 オーディトリアム渋谷 監督 スタンリー・キューブリック 製作 1953年(昭和28年) (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) どこかの土地で起こっている架空の戦争。 飛行機が墜落し、4人が敵地に取り残された。コービー中尉(ケニス・ハーブ)、マック軍曹(フランク・シェヴィラ)、シドニー二等兵(ポール・マザースキー)、フレッチャー二等兵(スティーヴ・コルト)だ。武器は中尉 が持っているピストルしかない。「そもそも墜落したのは中尉の判断ミスのせい」と4人の中にもやや不信感がある。 近くの川を伝っていけば数キロで自軍の陣地に行ける。中尉は筏を組んで夜に川を下って降りる方法を計画する。 何とか筏を作り上げる彼ら。近くに敵兵が2名で見張りをしている小屋を発見。2まいならと4人で急襲。武器と食事にありつけた。しかし翌日、地元の女に見つかってしまった。その女を拘束し、シドニーに見張りを命じて近くを探索する中尉たち。しかしシドニーは敵地にいる恐怖から気が変になり、女に結婚を迫り拘束を解いたものの、女が逃げたので殺してしまう。シドニー自身もどこかへ走り去った。 軍曹は近くに敵の飛行場を発見。そこに敵の将軍がいる。 中尉は逃げることを第一に考えたたが、軍曹は「逃げるだけじゃなく将軍を殺して行きましょう」と提案する。 あのスタンリー・キューブリックの幻の初の劇映画監督作品。キューブリック自身が出来に不満があって、プリントを買い占めるまでして封印されたそうだ。それだけ頑張って封印したのに結局こうして世に出ました。日本では初上映になるそうだ。 正直出来はそれほどよくない。でもそれは後のスタンリー・キューブリックを知っているからそう思えるのであって、25歳の新人監督としては立派な出来だと思う。 普遍的な戦争、という設定で後の「突撃」を思い出した。 手柄を立てるのが目的で将軍を襲撃を計画する軍曹、軍曹は自分の存在の意義を表すために無謀な作戦を行う、敵の将軍とて実は戦争に嫌気がさしている、そしてその将軍を殺してみたら実は中尉と同じ顔をしていたという展開(実はここちょっと解りづらかった)、こういった要素は後の「博士の異常な愛情」などの戦争ものにつながっているように思える。 「処女作にその作家のすべての要素がある」とはよく言うけど、この映画もその定義にあてはまりそうだ。 「2001年宇宙の旅」とか「時計仕掛けのオレンジ」などでSF監督みたいな言われ方をすることもあるキューブリックだけど、戦争とか戦争を起こす欲望、というものが彼の創作意欲の根底にあるのでは?ということを知ることが出来た。 特に好きな監督ではないけれど、観てよかったと思う。 (このページのトップへ) トリコン!!! triple complex日時 2013年5月20日 場所 DVD 監督 佐々木浩久 製作 平成20年(2008年) (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) エース(進藤学)、キング(南圭介)、ジャック(八神蓮)とお互いを呼び合う彼らはトリプル探偵社の看板を掲げていた。彼らは同じ孤児院で育ち、小さい頃からいつも一緒だった。リーダーはちょっと年上のエース。 探偵社と言っても仕事はなく、犬の散歩や引っ越しの手伝いばかり。 そんな日々だったがある日帰ってみると「ダイヤ」と名乗る小さな女の子がいた。 3人のことを「パパ!」と呼ぶ。当惑する彼ら。 やがてダイヤは同じ施設で育った年上のお姉さんの京子の子供とわかる。そのダイヤを狙って怪しい男たちがやってきた!果たして事件展開は? 横浜光音座の近くに中古DVDショップがあって、光音座に行ったときには覗くようにしている。ここでは「となりの801ちゃん」という拾い物に出会ったこともあったし、他にも掘り出し物に出会ったこともある。 池島ゆたか監督の「ダブルサイコ(熟女の色香 豊潤な恥蜜)」を観て機嫌がよかったので「イケメンの探偵物か」ということで興味を持って買ってみた。 はっきり言って金と時間の無駄遣いだった。 面白くないのだよ。 その原因はまずは脚本にある。 事件がまったく進展しない。 小さな女の子が「パパ!」と言ってきて登場するきっかけはいい。で、その子がいちいち勘にさわる行動をするあたりから嫌になったが、家賃を払ってないことで大家のブスな娘とどうしたこうしたと笑わせようとする会話があるのだが、別に笑えないし、第一長い。 ブスな娘がいてイケメンに迫るというネタはもう見飽きた。 で、このダイヤが訳ありな筈なのに事件が全く起こらない。起きたのは30分を過ぎてから。 母親が京子と分かって自分たちが育った教会に行ってシスターに、京子の夫が放浪の画家で京子は最近病死したと聞く。 そして夫の足取りを追ううちに何で分かったかよく分からないが、その画家が時々手伝いに来ていた農家が分かる。そこに残してあったスケッチブックの破かれた部分にメモのあとがあって鉛筆でなぞったら喫茶店の名前が出てくる。で、画家の足取りを地図に印をつけていき、なぜかその店の場所が分かるっていう展開が分からん。 2008年の映画なんだから店の名前をネットで検索してみればいいじゃん。 でその店に行ったら画家の絵があったが、その絵はその画家に盗まれたという話。買い戻そうとして交渉に失敗しただけなのだが。 その店のマスターが峰岸徹という豪華キャスト。 実は絵に麻薬取引の関係する物の入ったロッカーの鍵が合ったため、画家やその絵を追っていたという話。 探偵物としてはご都合主義で話の展開が強引だし、その上キャラクターも大して魅力的じゃない。 主役の3人が「エース、キング、ジャック!」とポーズをとるから戦隊物出身なのかと思ったら、「テニスの王様・ミュージカル」の出身なんですね。 そして悪党と格闘になったとき、ダイヤを投げたり振り回したりする。明らかに人形なので興ざめ。 原作もなくオリジナルのようだが、もう少し脚本がなんとかならなかったかなあ。 イケメン3人組の探偵物と聞いて少しは面白そうな物を期待したが、所詮探偵ものには興味がない、テニミュのファンが満足すればいいだろ?という低い志で作ったとしか思えない映画だった。 もうちょっとプライド持って作ってよ。 (このページのトップへ) 浮気なぼくら日時 2013年5月19日18:53〜 場所 光音座2 監督 吉行由美 製作 平成13年(2001年) (詳しくはピンク映画データベースで) がっちゃんとタカユキ(千葉尚之)はつきあってもう2年。一緒に暮らし楽しい日々のはずだったが、がっちゃんは浮気ばかり。一夜限りのセックスを繰り返し、今日もがんちゃんの誕生日でタカユキはケーキを用意していたのに帰りは遅い。 実はがっちゃんは今日もヒロ(岡田智宏)という男の家に行ってセックスをしてきたのだ。 しかもその浮気を堂々と告げるがっちゃんに腹を立てたタカユキは怒って「僕も浮気してくる」と街へ飛び出してしまう。 新宿2丁目を歩くタカユキ。 がっちゃんは行き場を失い、とりあえずさっき出てきたヒロの部屋へ。そこでタカユキに対する不満を言うがっちゃん。 「僕は恋に夢中」と同じく脚本・今泉浩一、監督・吉行由美のコンビのゲイピンク。 いるんだよねえ、こういう一晩だけのつき合いを繰り返す人。橋口亮輔の「ハッシュ」の冒頭で高橋和也が泊めた男が朝帰る際に「これ、電話番号」と言って渡すが男は受け取らず帰る、というシーンがあったがそんな感じ。 あれ?「僕は恋に夢中」も「渚のシンドバッド」と共通項があると思ったが、この映画も何らか影響があるのかも? ゲイは男だからどうしても愛情とは別の浮気の(というか性欲の)虫が騒ぐ。で、相手も男だから女性と比べれば相手が見つかりやすい。ゲイには仲間が集まるスポットとかあってそういうすぐにやりたい奴とは出会えることが出来る。 映画では出てこないがヒロとがっちゃんもそういうところで出会ったのだろう。 ヒロを訪ねたがっちゃんだが、やっぱりタカユキのことが気になる。 タカユキの話ばかりするがっちゃんはやっぱりタカユキが心配で新宿へ。そして二人のことが気になるヒロも新宿へ。 タカユキは初めて入ったバーで無理矢理男とくっつけられるが外へ出たら男はなぜか上から落ちてきたバケツに当たって失神。 今度はタカユキは怪しい外人集団に襲われる。 でもかげながら救ってくれたのはみんながっちゃんだ。 そんな二人を邪魔したくなるのがヒロ。 タカユキはケイイチさんという優しそうなスーツのお兄さんと知り合うが、やっぱり体だけのつき合いには抵抗があって、その場を去る。 そして夜明けの新宿を二人で帰るがっちゃんとタカユキ。 ってこんな話。 途中、タカユキを見失ったがっちゃんが実はタカユキも浮気をしていた!と不安にかられたりして妄想するシーンがあるが、ここで草原の中をタカユキが歌いながら駆けていくカットがあるけど、こういう画ってやはり女性監督ならではと言っていいのかな? 「僕は恋に夢中」でも芝生の上での絡みとかファンタジックな画がありましたからねえ。 ゲイカップルの浮気をモチーフにした作品でそれなりに面白くはあったが、やっぱり「僕は恋に夢中」に比べると落ちる。 あとロケした新宿の風景がいい。 この後、同時上映の「僕は恋に夢中」を3回目の鑑賞。 (このページのトップへ) 熟女の色香 豊潤な恥蜜日時 2013年5月19日16:35〜 場所 光音座2 監督 池島ゆたか シナリオタイトル「ダブルサイコ」 (詳しくはピンク映画データベースで) めぐみは今は37歳。これまで男とつきあったことがない訳じゃないけど、ろくな男に出会わずにもはや結婚を諦めようとかいう歳だ。 そんな時、仕事でつきあいのある河中吉弥(樹かず)と街で出くわし、そのまま誘われるままにお酒を飲み、ホテルへ。 吉弥は結婚していたが、その妻マリコは8歳年上の47歳。そのせいか吉弥の浮気にも寛容だという。 やがて吉弥は妻と別れてめぐみと結婚しようという。 その言葉を信じるままに同棲を始める二人。 ある日、一緒に出勤すると駅で吉弥が「マリコが来ている」と赤いハイヒールを履いている女性の元へ先に行ってしまう。マリコは何しに来たのだろうか? 離婚に賛成していると言うけど女ってそんなに物わかりがいいものじゃない。実はマリコの憎悪は吉弥ではなく自分に向かっているのでは? 不安が大きくなったそんな頃、自分のマンションで赤いハイヒールを履いた女性とすれ違う。すれ違った時彼女はかすかに笑ったような気がした。 自分の部屋に行ってみると玄関にはゴミの山が巻かれていた。きっとあの女性がマリコで彼女がやったに違いない。 池島ゆたか監督が「サイコサスペンスに挑戦!」と聞いたので観に行く。上野オークラでも同時公開だが、上野はDVD上映で画質がめちゃくちゃ悪いので出きれば避けたい。光音座2での同時公開を聞き、わざわざ横浜まで見に来た。 (以下ネタバレあり) 面白い! 冒頭、吉弥が自宅マンションに女(日高ゆりあ)を連れ込む所から映画は始まる。そこへ実家に帰っていた妻が帰ってくる。女はなんとか逃げ出すが、吉弥との会話は聞こえてくる。「あらまた浮気してたの?いいのよ、別に。もう遅いんだから彼女も泊めて差し上げたら」という理解のありすぎることをいう。 そして吉弥の誕生日を祝う。 40歳になった吉弥。「妻は7歳年上で・・・」という。 「あれ?妻は8歳年上なんでしょ?」と疑問を言うめぐみ。 ここが伏線になる。 後半、めぐみが赤いハイヒールの女性におびえ、階段で落とされそうになったり、はたまた吉弥が赤いハイヒールの女性と親しく離している。そしてそれは結婚後も続く。 マリコは果たして吉弥の言うように物わかりのいい、母親のような姉のような寛大さを持っている女性なのか?それともめぐみに敵意を持つ恐怖の対象なのか? マリコと吉弥の間には何かある! 緊張感を持って映画は続く。 結婚後、マリコがどうしてもめぐみに会いたいと言う。 仕方なく吉弥についていくめぐみ。 吉弥たちが以前住んでいたマンションに入るめぐみ。 観客が今まで観ていた吉弥とマリコのマンションとは家具の数とかちょっと違う。そこにはマリコの位牌があった。 マリコを紹介する吉弥。しかしそこには誰もいない。 吉弥の口から女性の声でマリコの言う言葉が出てくる。 何かラストにどんでん返しがあるとは思っていたが、そう来たか! マリコが二重人格とか思わせておいてそうではなかった。 「ダブルサイコ」のタイトルはヒッチコックの「サイコ」から来ているのは間違いない。 「サイコ」と同様、母親が自分の中に生きている息子なのだ。 ラストの驚きは僕にとっては「サイコ」以上だった。 マクドナルドのダブルバーガーがハンバーグが2枚なら、こちらは驚きが「サイコ」の2倍だ。 だから「ダブルサイコ」のタイトルも納得だ。 (このページのトップへ) 覗き好きおばさん 牝の体臭に昇天日時 2013年5月19日15:36〜 場所 光音座2 監督 野上正義 夫(野上正義)と結婚して10数年。年の離れた夫の結婚だったが、しばらくはうまくいっていたが今は全くセックスレス状態な主人公。 最近は娘が大学に行って夫も出勤した後はもっぱらオナニーしていた。 その夫は実は自分の親友の由美と浮気をしていた。ある日、夫宛の宅配便が届くが開けてみたら大人のおもちゃだった。好奇心からそのおもちゃで遊んでみる。 思わず楽しんでしまってるとき、ふと気がつくと男が見ている。驚いて声を出したら下半身が痙攣してしまい「助けて〜」。 覗きの男・ナオトが思わず助けてくれた。 この映画を観る前に病院の看護婦ものを観たがそれに比べると明らかに見劣りする。 女優も主人公、友人の由美、女子大生の娘だが、娘の方は1回だけ彼氏との絡みがあるだけで主役ではない。 中心になるのはタイトルにもあるおばさんとその友人ということになる。 まあ好きな人もいらっしゃるでしょうから、否定はしませんが、熟女に興味のない方には少々つらい。 おばさんのたるんだおっぱい見ても何にも思わないもん。 で、話の方は由美と夫がカップル喫茶(というかハプニングバーみたいな感じ)に行って絡みをする。 主人公とナオトもやがては何回も家で絡むようになるが、「たまには外に行こう」ということで外に遊びに行く。 そこで入ったのがカップル喫茶。 野上正義がとなりのカップル(このときにはまだ気づいていない)に「よかったら一緒にしませんか?」と声をかけるシーンはバカバカしくて笑った。 で、自分の妻が浮気してると気づいて驚くのだが、そこはピンク映画なのでお互いに相手を交換し、夫婦とナオト由美のカップルでお互い楽しむところでお終い。 やっぱり熟女より若い子が出てる方がいいなあという感じ。でもタイトルに堂々と「おばさん」と言い放つセンスは正直だ。 (このページのトップへ) 下半身クリニック しぼり出す日時 2013年5月19日14:30〜 場所 光音座2 監督 的場ちせ 製作 平成9年(1997年) 公開時タイトル 「ピンサロ病院 ノーパン白衣」 看護学校を何とか卒業した小野さとみ(麻生みゆう)はやっと病院に看護婦として就職できた。 しかしこの病院は看護婦と患者がセックスしまくり。 セックス恐怖症のさとみには驚くことばかり。「セックスがいやならこの病院には勤められないかも?」と院長に言われるが、なんとか続けたいとお願いするさとみ。 さとみは以前男性に入れられたとき痛かった経験から恐怖症になったのだ。しかしご飯を飲み込むとき気持ちがいいと言う。その話を聞いた女医先生はさとみの性感帯が口の奥にあるのではと教えてあげる。 それを聞いたさとみはお口でのプレイを好むようになる。 特に足の骨折で入院してる宮田(樹かず)の大きなものには満足しているが、他の看護婦たちも離さない。 池島ゆたか監督の新作「ダブルサイコ」を観たついでに同時上映。 正直豪華なピンク映画だなあと思った。 後半、この病院に1ヶ月以上入院したものだけが入れるエグゼクティブルームがあるのだが、これは要は病院内ピンサロで、乱交状態になる。 ラストはこの部屋での乱交になるのだが、ワンカットの中に6人の女優が写っている。 一般映画でもエキストラの数が多いと豪華だなあと感じる私だが、同じように豪華さを感じる。 それだけでなく、プレイの方も看護婦がSで男性患者がMのSMプレイ、さとみのトイレでの放尿を除く医者(このシーン2回ある)、先に書いた乱交プレイ、男性を何人も並ばせてつぎつぎに口でしていくさとみなどなど、実にバリエーションに富んだ画作りをしている。 口の奥に性感帯があるなど往年のアメリカのポルノ映画「ディープ・スロート」を思い出した。 とにかく1時間の時間の中にプレイの種類、女優の数の多さ、とにかくただの時間稼ぎのような濡れ場ではなく次々と飽きさせない豪華さを感じた。 よかったと思う。 (このページのトップへ) 超いんらん やればやるほどいい気持ち日時 2013年5月18日18:50〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 池島ゆたか 製作 平成20年(2008年) (詳しくはピンク映画データベースで) 今はベッドで最期の時を迎えようとしている老映画監督(牧村耕次)がいた。 彼は夢想する。海岸で「映画」と自称する女性(日高ゆりあ)が現れる。 中年の頃の彼はピンク映画を撮っていた。 アフレコが終わった所、打ち上げに女優(倖田李梨)も助監督(川瀬陽太)も次の現場があるからと参加しない。 怪しいと思った監督はつけていくと二人はホテルで体を重ねていた。助監督の提案で3Pになる3人。 映画監督は若い頃は演劇青年だった。「ロミオとジュリエット」の稽古場では演出家に罵倒される日々。 実は彼は映画監督になりたいと言う。 数年後、彼はAV男優として出演していた。共演の女優(さっきの倖田李梨)と喧嘩になり、現場が止まるが控え室で女優と話すうちにいつしか体を重ねる。だが実はそれはAV監督の指示で撮影されていた。 やがて彼は映画監督になるチャンスが訪れる。 いまおか監督の「いくつになっても男と女」を見に行って今日、同時上映だった映画。 ツイッターなどで「池島ゆたか監督の最高傑作」などという意見も観たので、どんなものかと内容について何の予備知識もなく期待して観た。 ああ、こういう映画かあ、というのが率直な感想。 フェリニー二の「8 1/2」の感じである。 前も書いたけど私は「映画万歳!」というのを映画でやるのは手前味噌すぎて嫌いである。 池島監督の自伝的映画なのかどうかどうかはよく分からない。でも具体的なエピソードは兎も角、似たようなことを経験したり見聞してりしてるのだろう。(脚本は後藤大輔だけど)。演劇青年だった主人公がピンク映画監督になっていく下りは池島監督を思い出させた。 過去、現在、妄想の世界が混在し、正直分かりやすい映画ではない。だから直感的についてゆけるか、ということになると思うが、僕はあまりついていけなかった。 それは理解力のなさからくる難しさもあるけど、根本的に「映画万歳!」が照れるのだよ。 それはそんなにいいものならもっと映画をみんな見に来てるだろ?という根本的にある。 僕は映画は好きだけど、映画自体は世間的に観れば値段が高かったりめんどくさかったり、いろいろとマイナス要因もある。それを自画自賛で「映画万歳!」って言われてもねえ。 去年観た「囚われの淫獣」は映画そのものに疑問を呈した映画だったので、そういうものの方が僕にはあっているのだろう。 しかしながら「池島ゆたかの最高傑作」と呼び声も高い映画を映画館で観ておいたことはよかった。 映画そのものは好きではないけど、観ておく価値はあった。 (このページのトップへ) 裸の牝たち 見られていっちゃう日時 2013年5月18日16:40〜 場所 新橋ロマン劇場 監督 田中康文 製作 平成19年(2007年) 初公開タイトル 「裸の女王 天使のハメ心地」 (詳しくはピンク映画データベースで) ストリッパーのマリとリンはストリップの仕事に燃えていて、ビデオでしか見たことのない伝説のストリッパーマサエに憧れていた。 マリはお客のタカオと仲良くなっていて、今日もステージが終わった後ホテルへ。彼は山梨の大きな温泉宿の息子だという。 マリがタカオと出かけた後、リンのところへ怪しい男が訪ねてきた。マリのことを教えてほしいと言う。金で友達を売れないと断るリン。 一方リンはホストの男の入れ込んでいて金をせびられていた。もうこれ以上つきあいきれないと思ったリンは、タカオにプロポーズされたというマリと共にタカオの実家の旅館を訪ねることに。 その旅館を探す時、服を脱いで川で水浴びしていたらその服が変な男に盗まれてしまう。 仕方なく近所のしなびた旅館に入る二人。 そこにはマリの事を聞いてきた男がいた。実はこの旅館の主人(池島ゆたか)は雷に打たれたショックで頭がおかしくなり、奇行をつづけていたのだ。彼女たちの服を持っていったのもこの旅館の主人だった。 いまおかしんじ監督の「いくつになってもやりたい男と女」が上映されたので見に行って同時上映作品がこれ。 ストリッパーの物語。 池島ゆたかの主人がかみなりに打たれて「宇宙人がやってくる」と奇行を重ねる。 おきまりの感じもするがここは笑った。バカバカしくて。 で、主人の奥さん(つまり旅館のおかみ)が実はマリたちが憧れる伝説のストリッパーだったという展開。 ここでマリたちは彼女から踊りを教わる。 タカオの方は「こんな旅館売っぱらって東京でストリップ劇場をやる」と言いだし反対される。 いくら親が実は元ストリッパーでもそりゃ反対するわな。 マリたちも踊りの魅力を再確認し、やっぱりストリップの世界に戻っていく。 ストリッパーの踊りにかける情熱を描いたストリッパー賛歌。 面白かった。 (このページのトップへ) 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点日時 2013年5月17日21:50〜 場所 新宿バルト9・スクリーン6 監督 橋本一 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) ススキノのオカマバーで人気のまさこちゃん(ゴリ)は手品が上手でテレビのコンテストで優勝した。 その祝勝パーティの二日後、ススキノのゴミ置き場で死体で発見された。警察の捜査は進展せず、3ヶ月たっても犯人は分からない。俺(大泉洋)はちょっとさぼったものの、やっぱりこの事件は気になる。そこでもう一度調べてみようとまさこちゃんが勤めていた店に行ってみるとどうもみんな冷たい。 どうやらこの事件、北海道で人気の政治家・橡脇(渡部篤郎)が絡んでいるらしい。橡脇とまさこちゃんは15年前、新宿で愛人関係にあったらしい。その後本格的に政治活動に入ったのでまさこちゃんが身を引いたのだ。 まさこちゃんとの関係を知られるのを恐れた橡脇がやったのか? そんな時、俺をつける女性がいるのを見かける。 彼女も同じくまさこちゃん事件の真相を追っていた。彼女は実は有名なバイオリニスト弓子だった。弓子を依頼人にして、相棒の高田(松田龍平)とともに事件の真相へ。 一昨年の秋にヒットした「探偵はBARにいる」の続編。 今回の方がより盛りだくさんで、作り手の意気込みを感じる。 探偵が謎のマスク集団に襲われるが、市電を使ってのアクションシーンなどよかった。 また高田の車がエンストしやすいネタも今回はさすがに壊れてしまい、くどくどと同じネタで引っ張らないところがいい。 波岡一喜のチンピラが追っかけてきて、「あいつって誰だっけ?」という前作を忘れているので困った状態でもあったが、まあそれほど困らなかった。 しかしどうにも見終わって2点引っかかった。 ネタバレになるが、まさこ殺しは橡脇ではなく「おかま嫌い」の男がテレビで有名になったまさこちゃんがうっとうしくて憎らしくて殺したというオチ。 有名バイオリニストの弓子は実はまさこの妹で、まさこが金を稼いで弓子のバイオリニストの夢を実現させたという関係。 で、橡脇、もしくは橡脇の後援会の人間がまさこを殺した、という結論を探偵が下してしまい、それを聞いた弓子が橡脇を殺しにいくというのがクライマックス。 でもね、これ、大いに勘違いな訳だよ。 犯人は別にいたことが直後に分かるのだが、そもそも橡脇は何も悪いことはしていない。 まさこと橡脇の関係を聞いたことがあるオカマバーの後輩が失踪したので殺されたかと思われたが、橡脇によって金で口止めされていただけ。この程度なら犯罪とは言いにくい。 観客は橡脇が犯人でないことを知った上でこの弓子が橡脇を殺そうとするクライマックスになるのだが、これでは弓子が「単なる勘違いの大バカ」になってしまう。 これは乗れない。 そして橡脇の描き方。 彼は反原発の旗手として活躍する政治家なのだが、自分の後援会がやったかも知れないという疑いを前にして探偵に「あと3年仕事をさせてくれ!」と頭を下げる。 「反原発の前では、まさこの死はとるに足らない小さいこと」と言ってるようで、どうにも卑怯で手前勝手な理屈をいう政治家に見えてしまう。 そして「反原発」という正義の味方の下ではオカマともやってしまう「薄汚い下半身がだらしない奴」という印象にも見える。 そして彼を応援する自称「市民団体」が探偵を市電などで襲う。 これでは「反原発陣営」はごろつきのように見えてしまう。 なんだか「反原発運動」は偽善者で無法な卑怯者の集まりというスタンスをもってそれらを描いているように見えた。こちらのうがった見方かも知れないけど、どうにも気になった。 機会があったら監督たちに聞いてみたい。 このページのトップへ) 治療休暇日時 2013年5月16日21:10〜 場所 オーディトリアム渋谷 監督 梅澤和寛 自動車整備会社で働く西村はデブ。勤め先は零細企業で不況で仕事がないことを理由に社長から長期休暇を上司の吉崎から言われる。吉崎は社長に「そういうことは自分で言ってください」というが、社長はめんどくさがって取り合わない。 吉崎は西村に「ダイエットして社長を見返してやれ」とダイエットプログラム教室を紹介する。 とりあえず行ってみた西村だが、やる気はない。そんなとき、高校時代からの友人の岳人から連絡がある。岳人は大学生だが、留年しようかと思っていたが、母親に話したところ、今は離れて暮らしている父に相談しろと言う。 西村に会社の車を借りてもらって岳人の父親の元に向かう二人。そこへ岳人の彼女もついてきてしまう。 父親は留年してもいいよと言ってくれたが、岳人は父親の気の毒そうな姿を見て卒業して就職することにする。 帰りの車の中、岳人は彼女といちゃいちゃし始める。 CO2の作品上映。CO2というのは「CINEASTE ORGANIZATION OSAKA」の略。最後はOが二つだからCO2らしい。 CO2は全国から企画を募集し、選ばれた企画の製作費を補助し、製作し上映するというコンペ。2011年度企画のの東京上映会。 そんな自主映画を応援する企画は知らなかった。 過去には石井裕也、小栗はるひなどの作品も作られたそうだ。 で、今回は上映後のトークイベントにいまおかしんじ監督も参加なさるので行ってきた。 正直好きになれないなあ。話が小さいというかどうでもいいやる気のない男の話なのだよ。 西村はダイエットする気もなく始終、物を食っている。 岳人はパチンコでお菓子を彼女に飛ばしたりしている。どうもこの食べ物で遊ぶ感覚が好きでない。昔はそんなに気にならなくなったが、だんだん食べ物の大切さが私には身に染みてきたということか。 で、家に帰って来てから吉崎さんが「毎日飯食いに来ていいんだぞ」と言われて毎日行くようになる。 吉崎の高校生の娘は西村に「勉強教えて」と言って西村の部屋に行くが、実は別の男を勉強という名のデートをしている。西村は仕方なく喫茶店に入るが、ここでもなんだか嫌われる、という展開。 自分の都合だけで動いていく腹立つようなキャラクターしか登場しないし、内容も「だから何なんだ?」ということにしかならない。 上映後のトークイベントに監督登場。 西村みたいなデブで、「ああ自分を投影した話か」と思った。監督に言わせると岳人にも自分が入っているそうで。 吉崎さんの奥さんがあまりに我が物顔の西村に「出てって!」というあたりは少しはカタルシスがあったが、登場人物がどうにも幼稚な感じのする奴ばかりで、監督そのものも幼稚な奴に思えてしまった。 それに岳人もロン毛なのだが「かっこいいロン毛」ならいざ知らず、どうにもビジュアル的にもいらいらさせられる奴でそこも俺には減点。 とにかく俺にはあわない映画だなあ。 (このページのトップへ) ウォー・ゲーム日時 2013年5月12日 場所 Blu-ray 監督 ジョン・バダム 製作 1983年(昭和58年) 「ウォー・ゲーム」は「名画座」に記しました。 (このページのトップへ) ザ・チャイルド(リメイク版)日時 2013年5月11日21:20〜 場所 ヒューマントラストシネマ渋谷・シアター1 監督 マキノフ 製作 2012年 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 妻・ベスの3人目の出産を前にフランシスはベスと共にスペインの孤島にバカンスに出掛ける。 不思議なことにその島には大人が一人も見かけない。 食堂に行ってもホテルに行っても誰もいない。時折無線で誰かが呼び出しているが声が聞き取りづらく、その上英語ではないので何を行っているのか分からない。 そんな中、老人が少女によって殴るられ、その老人を複数の子供たちによって連れ去られ更なる暴行の果てに殺されるのをフランシスは目撃する。 この島から脱出しなければ。しかし夜になってしまい、ボートでの脱出は不可能だ。警察の刑務所に隠れる彼ら。 果たして・・・ 3月にオリジナル版を観た「ザ・チャイルド」。 その時にネットで調べていたらリメイク版が5月に公開予定だと知った。それで観に行った次第。 東京では渋谷で2週間レイトのみという規模の小さい公開。 オリジナル版にあった「戦争や紛争で一番最初に犠牲蜷るのは常に子供」というニュース映像がモンタージュされるシーンはばっさりカット。 まあもともと8分ぐらいあって長いなあと思っていたからそれもよしと思っていたのだが、最後までその部分は無かった。オリジナル版では島に行く前にフィルムを買うシーンで、その店でテレビを観た時にだめ押しで出てきたがそのシーンも無かった。 うーん、どうなんだろうねえ。 もちろん社会派の映画では無いことも知っているけど、この「常に犠牲になっていた子供たちがついに復讐を始めた!」というのがこの映画の肝だったと思うんです。 だからただのホラー、ショック映画じゃないテーマ性があって私は好きだったんです。 そこが無くなってしまったからなあ。 逆にいうとその部分をカットした以外はほとんど同じ。 話の流れもほぼ同じだから、シナリオはほとんど手を加えていないといってよい。 追加されたのは子供たちが死体を切り刻んで、指や耳をひもでつないで首飾りにしたり、目玉で遊ぶようなカット。 役者はもともとなじみのない方ばかりので、リメイクによくある「三船に比べたらだめ」「仲代達矢の方がよかった」という思いはないから、同じシナリオで同じような場所で作られた映画を観てると同じ映画を2回観てるのに近い気分になった。 理由の部分が無くなったこと以外はほとんど同じなので、下手に改変したリメイクよりはずっとよい。 でも「常に犠牲になっていた子供たちの復讐」というテーマ部分は切って欲しくなかったなあ。 (このページのトップへ) 名無しの十字架日時 2013年5月11日15:00〜 場所 ザ・グリソムギャング 監督 久保直樹 製作 平成24年(2012年) (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) かつては弱小のプロレス団体を運営していたが、いまは横浜でプロレスショップを営む三上(神尾佑)。プロレスグッズを売る傍らマニア向けに過去の試合のビデオを売ったり、ついでに裏ビデオも売っていた。 高利の借金もあり、そんな生活から抜けたいと思っていたある日、常連の客からかつて「虎と人間が格闘した試合」があったと聞かされる。そのビデオを入手してくれたら3000万円払うという。 三上はそれをきっかけに、多分相手は死んでいるだろうと突然いなくなったレスラーを雑誌などを見て探し始める。 どうにも見つからなかったが、そのビデオを観たという人の噂からボクサーかも知れないと思い探し始める。 心当たりのボクサーは新崎(小林聡)という男だった。彼のことを探すうち、彼女の恋人・雪江(松尾れい子)の焼死いていることを知る。 雪江のことを探すうち、彼女の友人だった清水愛という女性と知り合う。しかし実は彼女こそ雪江だった。 2012年の12月に銀座シネパトスでひっそり公開。 グリソム支配人が勧めるので観に行った。 あ〜確かに面白いことは面白いんだが、普通の探偵ものと同程度のおもしろさというのが正直な感想。 つまらなくはないけど、特別面白くないというのが正直なところ。 グリソム支配人が面白いのはプロレス、ボクシング、格闘技がモチーフになっているからだろう。 実際に元ボクサーの小林聡が準主演だし。 もっともこの人がボクサーだということは映画を見る前は知らなかった。 映画の中でその「虎対人間」のビデオを観た人の話では「相手の人間は突っ立っていた」という話から、「レスラーではなくボクサーではないか?」と気づくシーンがある。 ここが格闘技ファンには膝を打つようなやりとりらしい。 僕にはさっぱり分からんけど。 清水愛が実は雪江だった、と気づくのは聞き込みにいったオカマバーのチイママに写真を見せられたから。 このオカマバーのシーン、最初は従業員のオカマが出てきて、「詳しく聞きたかったら夕方またチイママのいるときにいらっしゃい」と言われて行ってみると同じオカマがいる。前の従業員は双子の弟だというのだ。 ここはてっきり同じオカマが2回面接したいがために(この店はなぜか従業員の面接として男のナニを見せるように言われるのだ。三上は別に働く訳じゃないが、「面接に合格だったら話してあげる」と言われてナニをだしてオカマが喜ぶシーンがあるのだ)偽の双子になったのかと思ったら、そういう訳ではないらしい。 で、最初自称「清水愛」に会ったとき、とりあえず財布からレシートを盗む。そのレシートから行きつけの美容室がわかり、清水愛に会おうとするが、「個人情報がどうの」と言われて聞き出せない。 そしたらその美容室の娘が教えてくれて、仕舞には援助交際まで迫られるというのは細かい展開として面白かった。 結局ビデオは雪江が持っていて、実は雪江が新崎に虎対人間の対決を勧めたと言うわけ。 だから雪江はその試合の主催者とつながっていて・・・という展開。 結局最後はその悪い主催者(大金持ちの息子という設定)を倒して、ビデオを売って3000万円は手に入る。 でもその3000万円を全部雪江、新崎に渡してしまうラストは少し三上がいい人過ぎる。 せめて自分の借金の返済分くらいは引いてもいい気がするがなあ。 でもまあ日本映画の探偵ものとしては面白かった。 こういう映画はちょこちょこ観てみたい。 (このページのトップへ) 藁の楯 わらのたて日時 2013年5月11日11:25〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン7 監督 三池崇史 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 幼女連続殺害事件の容疑者、清丸(藤原竜也)に財界の大物、蜷川(山崎努)によって彼を殺したら10億円という懸賞金がかけられた。通常なら新聞にそんな広告は出せない筈だが、そこは大物財界人の力だった。 やがて清丸が福岡県の警察に出頭した。自分をかくまっていた仲間に殺されそうになり、身の危険を感じたからだ。 48時間以内に警視庁に送致しなければならない。 警視庁は異例だが優秀なSPの銘苅(大沢たかお)と白岩(松嶋菜々子)の派遣、併せて警視庁捜査一課の奥村(岸谷五朗)、神箸(永山絢斗)そして福岡県警の関谷(伊武雅刀)の5人で移送することに。 しかし警察署の警官、病院の看護婦からまず狙われる清丸。はたして警視庁まで無事移送できるか!? どうにも思い出せないのだが、西村京太郎のトラベルミステリーで東京で逮捕された容疑者を札幌まで列車を乗り継ぎながら送致するという小説があった。なかなか面白かった記憶がある。 日本映画ではなかなか無かったタイプのロードムービー。 三池崇史監督というのが少し不安だったが、三池崇史監督は真面目に撮るときは撮る人というイメージがあるので(その代わり外していいときは徹底的に外すというイメージがある)本作は大丈夫だろう、という妙な安心感を持って観に行った。 いやいや面白い。 日本中の人間が対象を襲ってくる。警官や関係者ですら安心できない。 最初は飛行機での輸送を考えたが、整備士が飛行機に細工しようとしたというのがバレて急遽中止。 しかし今度はパトカー、装甲車を連ねての大輸送作戦に切り替えたが、タンクローリーが突っ込んでくる。 この何十台とパトカーをそろえてその中にタンクローリーが突っ込んでくる画は素晴らしい。感動ものだ。 次に移ったのが新幹線。 この新幹線、車体にオレンジのラインが引いてあるので、「JR西日本ではああいう車体が走っているのか?」と思ったら台湾新幹線を使ったそうだ。なるほど、だからエンドクレジットで台湾スタッフが出てくるんだ。てっきりパトカー対タンクローリーかと思った。 しかし自分たちの位置はなぜかサイトにアップされ、常に襲われる危険がつきまとう。この中に情報を流してる者がいる。 というところで岸谷五朗がちょっと怪しげなそぶりをするカットをワンカット入れる。 ここで岸谷が犯人らしいと分かってしまう。このカットは不要だったなあ。あとでそれが否定されるならともかく、その通りだったのだから。 新神戸駅での長江健次(懐かしい!)のシーンは伊武雅刀の見せ場たっぷり。このシーンの緊迫感は堪らない。 そして新幹線を乗っ取り(!)一挙東京へ。 しかし何者かによって線路に障害物が落とされ、徒歩で移動。 このあと車を拾うのだが、という展開。 正直、このあたりからだれる。 松嶋菜々子も大沢たかおも清まるを殺したくなるような環境にある。 この辺で妙にそれが噴出し、たっぷりと間合いをとったやりとりが続くので、正直つらい。 そして一挙に(飛ばして)警視庁前に。 ちょっとこの場面転換は切りすぎだとも思ったが、まあ同じようなことの繰り返しになるだけかも? 最後も山崎努の登場もちょっとテンポがまったりでだるい。 私自身は日本の司法というものは被害者の報復感情を満たすために存在せず、「犯罪を犯してそれを罪にしなければ国の秩序が保たれない」という姿勢に立っていると思うので、法の限界は感じている。 でも幼女暴行殺人という誰が考えても許せない犯罪なのがうまいというか巧妙。他の殺人だったら「被害者と加害者の関係」から情状酌量の余地、って奴を感じるのだが、これは大抵の人は感じないからなあ。 でも「ロリコン」っていう性欲は本当に不幸だと思う。 本人にも周りにも。 そんなことを抜きにしても大型サスペンスアクションだったわけで十分に楽しめた。 面白かった。 こういう大型アクション映画が出来ると言うことは日本にもまだ少しはまともな映画人が残ってる気がする。 (このページのトップへ) 舟を編む日時 2013年5月10日21:00〜 場所 新宿ピカデリー・スクリーン5 監督 石井裕也 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 玄武書房の辞書編集部。ここでは広辞苑クラスの辞書「大渡海」の出版の企画が通っていたが、ベテラン編集者の荒木(小林薫)の定年が迫っていた。代わりの若手が必要だ。社内を見渡したところ営業の馬締(松田龍平)がよさそう。彼は営業としては成績が上げられなかったが、いわゆる本の虫。ぴったりの人材だった。 辞書編集部には軽い感じだが、他の辞書編集部員にはない個性を持つ西岡(オダギリジョー)、縁の下の力持ちの佐々木、そして監修の国語学の大家、松本(加藤剛)がいる。 そんな頃、彼の下宿のおばさんの親戚のかぐや(宮崎あおい)が同じ下宿に住むことになり、馬締は一目惚れしてしまう。 徐々に進みだした「大渡海」だったが、「辞書は時間がかかって利益を生み出さない」という理由で出版中止の噂が出てくる。 石井裕也監督はたぶん初めての鑑賞。 辞書づくりの話と聞いて面白そうだとは思っていたが、予告編で松田龍平と宮崎あおいのラブストーリーが中心の映画の印象を受けたので、すこし観るのをためらったのだが、そこはピカデリーのポイントで鑑賞。 結果から言えば見逃さなくて正解だった。 予告では宮崎あおいとのラブストーリーが強調されている印象を受けたが、そこは映画ではほんの一部でしかない。 その辺は宣伝的にラブストーリーを強調したのだろう。 これはもうプロジェクトXである。 10数年かかるプロジェクトがある、適した人材が集められる、プロジェクトそのものが中止の危機に見回れる、プロジェクト半ばでそのチームから去るものが出る、分かってない新人が入ってきて感化されていく、そしていよいよプロジェクトも完成間近、そこで一大危機!という展開。 もう「黒部の太陽」や「富士山頂」、もっと言ってしまえば「七人の侍」「大脱走」の世界だ。 面白くない訳がない。 冒頭、「右を説明してみなさい」という命題が出る。 この当たり前のことを文章にするのが辞書なのだ。 「右」は最後まで出てくる命題だ。 そして完成後は新たなプロジェクトに向かっていく。 本作ではもう改訂版の準備を始めている。 実際、辞書作りというものはそういうものなのだろう。 主演の松田龍平はいままで危ないぽい役が多い印象があったが、ここでは万事控えめな役。ちょっと新たな松田龍平を観て彼を見直した。 オダキリジョーも同じ理由で、フツーの軽いサラリーマン役をさらりと演じていた。今まで観たオダギリジョー映画では一番いい。 そして重鎮加藤剛。若い頃は「下手な役者だなあ」というイメージがあったが、この映画では文字通りの重鎮役で映画が締まってた。 (このページのトップへ) セディック・バレ 第二部 虹の橋日時 2013年5月6日15:30〜 場所 ユーロスペース2 監督 ウェイ・ダーション (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 300人の戦士で日本に挑んだ彼ら。 抵抗を全く予期していなかった日本人はあわてふためく。 そんな中、先住民族に好意的だった日本人警官小島(安藤政信)の妻と子供が殺されたとの連絡が入る。 先住民族は日本の武器庫を襲って銃を手に入れる。山岳地帯になれている戦士たちはゲリラ戦に突入。火力では優勢な日本軍も太刀打ち出来ない。 業を煮やした日本軍司令官(河原さぶ)は毒ガスを使用しようすることにした。 山岳戦が得意の彼らもさすがに毒ガスには勝てない。 徐々に劣勢になっていく。 上映時間4時間45分の「セディックバレ」も完結。 いやでも3時間は必要だったと思うけど、4時間45分は長かった。もっとも台湾では別々の公開で同じ映画で2回儲けようと言う魂胆があったかも知れないが。 特に民謡みたいな歌のシーンが何回もあるのだが、これは長い。 台湾の人はここで泣くのかも知れないが、日本人だから感動するポイントが違う。 第2部はアクションに次ぐアクションで普通なら戦争アクション映画として楽しめるのだが、悪者が日本人だからいくら私が反日左翼の自虐史観の持ち主でも、日本人と外国人が戦っている戦争映画を観るとどうしても日本人に肩入れしてしまう。 いやもちろん悪いのは日本人なのだし、単純に極悪な連中として描かれる訳でもないのだが、なんとなくやられっぱなしは複雑だ。 で、すべての部族が抵抗したわけではなく、日本側についた部族もいた。「日本に抵抗してもあとで報復にあう。だから日本側についた方が得策だ」という理由だ。 その後の日本の敗北を知っている我々からすると裏切り者のように思えるが、当時ならそう考える人がいてもおかしくない。そんな説得力がある。 たぶんそれは朝鮮半島でもそうだったろう。 日本に抵抗するものもいれば協力するものもいる。 どちらかが全部ではない。 で、ラストは戦い終わってしばらくして桜(と言っても 日本のソメイヨシノとは異なる種だけど)が一面に咲いて(ってことは年を越えたのかな?)それを観ながら河原さぶが「立派な桜だ。日本軍をこれだけ手こずらせたとは今の日本では無くなった武士道の持ち主だったのか?」と自画自賛する。 いや別にいいけどね。 でもそこで安藤政信に「いや今は桜の季節ではありません」と言わせる。 その後、安藤政信の警官は対立する先住民族を扇動して自分の妻子を殺した部族を襲わせたようだ。 いい人のように描かれているけどそれだけでは無かったらしい。 しかしこういう事件もあって反日感情が強くてもおかしくない気がするのだが、今の台湾はきわめて親日的である。その辺の事情もどうなっているのか訊いてみたい。 霧社事件という日本ではあまり知られていない事件のことがよく分かり、歴史の勉強になった映画だった。 (このページのトップへ) セディック・バレ 第一部 太陽旗日時 2013年5月6日12:40〜 場所 ユーロスペース2 監督 ウェイ・ダーション (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 台湾の日本による統治が始まって30数年の頃。 その台湾の山岳地帯にはセディックと呼ばれる先住狩猟民族がいた。彼らは各部族に分かれ、狩り場の縄張り争いが代々続いている仲で、部族同士の関係は必ずしも良好ではない。 1930年(昭和5年)、この霧社地方でも日本人による統治が行われており、日本語教育もされ、日本の警察官が治安を管理していた。 しかし多くの日本の警察官は先住民族を「野蛮民族」と考え、明らかに下に見ていた。そんな中で小島(安藤正信)は先住民族たちに敬意を払っていた。 そんな頃、部族の長の長男の結婚式があり、たまたま通りかかった日本の警官に部族の者が酒を振る舞う。しかし日本の警官は「そんな唾で作ったような不潔な酒は飲めん」と拒否し、もみ合いになってしまう。 そんなきっかけから先住民族の日本人に対する敵意は頂点に達し、明後日の10月27日に行われる学校の運動会という日本人が集まっているところを襲撃することに。 各部族に呼びかけたが、日本軍に抵抗したら逆に襲われて負けてしまうことに決まっていると戦いに参加しない部族も少なくない。 そしてその朝、300人の戦士が日本に戦いを挑む! 第1部約2時間半、第2部約2時間15分の歴史超大作。 台湾映画史上最長の上映時間らしい。 美術監督に日本の種田陽平が参加。俳優では最近では海外の仕事が多いらしい安藤正信、河原さぶなどが出演。 霧社事件が始めるまでを描くのが第1部。 主人公の先住民族は日本ではなじみのない俳優たちなのでちょっと分かりづらい。でもまあ詳しい人間関係をのぞけば大体分かる。 美術も立派で安っぽさが感じられない。 また日本人の役者も衣装その他も立派でこちらも素晴らしい。 役者も美術も撮影も文句なしの状態で第2部へと進んでいく。 (このページのトップへ) リンカーン日時 2013年5月5日18:35〜 場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン9 監督 スティーブン・スピルバーグ (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) 1865年。前年の大統領選挙でリンカーンは再選された。しかし南北戦争はすでに4年目を迎え、敵味方ともに疲れが出ていた。 「戦争を終わらせるためには奴隷制度廃止の憲法改正賛成もやむを得ない。しかし戦争が終わってさえくれれば憲法改正には反対だ」という意見が多い。 南北戦争が終わってしかし奴隷制度が残るのではリンカーンも納得出来ない。 1月中に下院の3分の2の賛成を得て憲法改正させたい。 しかし賛成する共和党は56%にすぎない。あと20議席の民主党議員の賛成が必要だ。 買収をする事は本意ではない。リンカーンは密かにロビイストを使って、近く議席を失う民主党議員に議員後の役職を斡旋させることを条件に20票の賛成票を得ようとする。 この映画を観ているのは2013年5月。数年後にこの文章を読んだときのために書いておくけど、今の時期、安倍政権が憲法改正をさかんに叫んでいる。 しかも9条を改正しようというのではなく、夏の参院選で憲法改正条項の96条を改正して憲法を変えやすくしようとしている。 「いや別に9条を改正しようとは言ってませんよ。憲法の変えやすくするだけです。どう変えるかはこれから議論していきましょう」というスタンス。そうは言っても9条改正を始めとし、国民の権利抑制が目的なことはバレバレなんだが。 という映画に関係ない話をしてしまったが、どうしても今観るとこの話題を避けられない。なぜなら同じく3分の2条項がある憲法を改正する話なのだ。 南部が奴隷制度を保ちたいのは人件費に関わるからといういわゆる経済の部分と、やっぱり黒人は気持ち悪い、人間じゃないという異形のものに対する恐怖だろう。 そしてそれは現在の同性愛者の結婚問題にも引き継がれていると思う。 アメリカの議会制度がよく分からないので、すこし話は迷ったが(下院選挙が終わってもしばらくは議会議員でいられるというあたり)まあそれは細かくは気にしない。 リンカーンと言う人もなかなか策士で民主党議員の切り崩しに動く。(私が無知なだけなのだが、共和党=奴隷正反対、民主党=奴隷制度賛成という図式とは知らなかった) 共和党の実力者(トミー・リー・ジョーンズ)などの協力を得て最後は自らも説得に乗り出していく。 結果僅差で勝利。 しかしその3ヶ月後の4月、リンカーンは暗殺される。 この暗殺シーンがなかったのは少し驚いた。 スピルバーグの意図とは違う見方をされてしまう、今の日本だが、憲法改正したいならこれぐらいがんばらなきゃ。 安倍総理も観た方がいい映画ですね。 (このページのトップへ) 名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)日時 2013年5月5日15:40〜 場所 ユナイテッドシネマとしまえん・スクリーン3 監督 静野孔文 (詳しくはムービーウォーカー・データベースで) コナンたちは海上自衛隊イージス鑑の体験ツアーに当選。京都府舞鶴より乗艦した。しかしその朝、不審船が若狭湾で発見され、緊張が艦内に走っていた。 出航後すぐになにやらおかしな音がした。説明の担当自衛官は吸水口の音だと説明したが、コナンは不審に思った。 そんな頃、艦内ではその吸水口のフィルターから自衛官の右腕が発見され、その胴体は若狭湾のある港に発見された。 そしてコナンはこの艦が訓練にしてはおかしな廃船との遭遇事件を目撃する。 また同じく体験で乗り込んでいた勇気という少年の父親の行動がどうもおかしい。 遺体の正体は笹浦という海上自衛隊の隊員と判明。 イージス艦には謎の女性自衛官も乗船している。 彼女の正体は?勇気君の父親は?そして笹浦を殺したのは誰か? 海上自衛隊保安部、京都府警、警視庁、そして海上保安庁の合同捜査が始まった! コナンを見るのは2年ぶり。今回の映画はなにやら評判がいいので、ユナイテッドシネマの「1000円に割り引くクーポン券」が会員更新で手に入ったので見に行った。 設定からしてかなりやばい。 北朝鮮(とは言ってなくて映画では単に「某国」だけれども)の不審船がやってきてスパイがイージス艦の防衛システムを盗もうとして、イージス艦の秘密が漏れると技術提供をしてくれたアメリカとの信頼関係に重大な結果を及ぼすという訳。だからスパイを捕まえなければ!で、自衛隊は秘密を漏らしたのが自衛官なので、それは隠したい、でも海上保安庁や警察とも結束してオールジャパンで危機に立ち向かう展開。 すげえなあ。 日本の危機には省庁の垣根を飛び越えなければならないし、そのときにはそうします、という広報でいっぱい! しかも北朝鮮の別のスパイが京都、大阪、関空に移動していく様を「プラチナデータ」にも出てきた監視カメラと画像解析能力で瞬時にスパイの居所を探知! どうです、監視カメラがあるとこうやって悪い奴がすぐ見つかるんですよ、という宣伝広報に満ち満ちている。 で、イージス艦に見学者を装った怪しい奴がいて、こいつがスパイと思ったらやっぱりスパイだった。 おいおい普通観客に「こいつスパイだな」と思わせておいて実は違うっていう展開だろ。でもここは正直に悪そうに見える奴は悪い奴。 2013年春は安倍政権によって憲法改正が不安視されれいる時期。時期が違ったらそうは思わなかったかも知れないが、今自衛隊の宣伝映画を見させられると余計な勘ぐりをしてしまう。 そういう意味では公開時期が不幸だったのかも知れない。 (このページのトップへ) |