朝日映劇Presents

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2009年4月11日()〜4月12日(

“テロルの季節” vol.1

映画上映&トークイベント開催!!

一国の総理をも作り出す黒幕<フィクサー>、そのフィクサーを刺殺しようとする少年テロリスト。
対立する関西ヤクザ、政財界、右翼、検察、すべてを巻き込んでの一大ドラマが今展開される!


昭和54年東映作品
監督 降旗康男 脚本 高田宏治
出演 佐分利信 田村正和 狩場勉 尾藤イサオ 高橋悦史 松尾嘉代 
成田三樹夫 江波杏子 中尾彬 金田龍之介 梅宮辰夫 田中邦衛 
小林稔侍 曾我廻家明蝶 他オールスターキャスト

料金

時間
4月11日(
19:00〜上映のみ
映画上映のみ 1500円(ワンドリンク付き)

4月12日(
14:30〜16:40上映
16:50ごろ〜18:20頃
トークイベント
ゲスト:高田宏治さん(脚本)

19:00〜21:00 
ゲストを囲んだ懇親会
映画&トークイベント 3500円  

<オプション懇親会>
各日共イベント終了後に会場隣「もんじゃ焼き・根ぎし」でゲストとの懇親会(料金別途・飲み放題5000円)を予定 。

会場


ザ・グリソムギャング(21席 35mmにて上映)

小田急線・よみうりランド前駅より徒歩7分(地図参照)
 神奈川県川崎市麻生区高石3-26-6箕輪ビル1F
TEL 044-966-3479  (電話受付10:00〜21:00 不定休)
http://movie007.hp.infoseek.co.jp/

<イントロダクション>
70年代後半に日本映画に起こった大作ブーム。
その流れの中で作られたこの「日本の黒幕<フィクサー>」ですが、「大作ブームの一つ」というレベルを超えた、従来の東映やくざ映画の枠にさえ収まりきれない異彩を放っています。
当初予定された大島渚監督の交代劇など紆余曲折を経て完成した本作、その魅力の秘密を高田宏治さん(脚本)に伺っていきます。
※イベント回は満席が予想されます。確実にご入場いただくために電話予約をお願いいたします。
TEL 044−966−3479  (10:00〜21:00 不定休)


☆イベントゲスト、内容はやむを得ない事情により変更になる場合があります。
予めご了承ください。

☆混雑状況等、ご不明の点はお電話で<ザ・グリソムギャング>にお気軽にお問い合わせください。
<二つの事件と「日本の黒幕<フィクサー>」>〜今回の上映会に際して

この映画は昭和51年2月アメリカの上院外交委員会多国籍企業小委員会での公聴会でロッキード社の副会長だったコーチャンが「児玉誉士夫や小佐野賢治に金を送って売り込み工作を依頼した」と証言したいわゆる「ロッキード事件」、そしてその中心人物だった児玉誉士夫をモデルにしています。
そのロッキード社の金が田中角栄に流れたいうものでした。
児玉誉士夫と田中角栄の間には実際は小佐野賢治がいたわけですが、映画では小佐野賢治は省略され、田中角栄(映画では平山総理=金田龍之介)と児玉誉士夫(映画では山岡邦盟=佐分利信)の直接のつながりを描いています。

児玉誉士夫がなぜそんな政界に力を持つようになったかいうと、話は戦争中にまでさかのぼります。
彼は戦争中、海軍の軍属としてアジア各地から物資の調達を請け負う軍属だったのです。
その頃の彼の姿は「あゝ決選航空隊」という映画に出てきます。
もちろんこの映画は「ロッキード事件」前です。



アジア各地でさまざまな物資の調達を彼とその部下は行いました。
戦後そのお金は鳩山一郎率いる自由党(今の自民党の前身)の結党資金に使われます。
児玉にしてみれば「黒幕になろう」という野心より、「このお金はアメリカにとられるより戦後の日本のために役立てたい」という単純な気持ちだったようです。
しかし結党資金を出してもらった関係上、何かと政界から相談を受けるようになり、やがてはその資金力をバックに「日本の黒幕」となってしまったのです。

映画はロッキード事件(映画ではランドルフ社事件)に揺れる山岡邸に17歳ぐらいの少年テロリスト(狩場勉)が忍び込み、山岡を刺殺しようとするところから始まります。
少年テロリストというと忘れられないのが昭和35年10月におこった「社会党浅沼委員長刺殺事件」です。



17歳の山口二矢(やまぐち・おとや)が総選挙のための日比谷公会堂で行われていた党首討論会に乱入し、壇上で演説中の浅沼委員長をテレビ録画中に刺殺するというショッキングな事件でした。
この映像は現在youtubeで見ることができます。

短い映像はこちら↓


詳しい映像はこちら↓


ケネディ大統領暗殺事件より前ですから、暗殺の瞬間をとらえた世界初の事件だったと思います。

そしてこの事件に影響を受けた人物たちがいます。
その一人が大島渚です。

この「日本の黒幕」は最初は大島渚監督がメガホンをとる予定で進められていました。
そして脚本もあらかた出来上がっていたようです。
その大島版「日本の黒幕」は今年になって30年の時を経てやっと公開されました。
「大島渚著作集第3巻」に収められています)

映画ファンにこの「日本の黒幕」について話題を振るとほとんど全員「あの映画、最初は大島渚がとる予定だったんだよね」と言います。
「『日本の黒幕』と大島渚のつながりはわかるけど、浅沼事件と大島渚のつながりって?」と思われると思います。

浅沼事件の起こった昭和35年10月、ある一本の映画が封切られ、そして突如上映中止になったのでした。
それが大島渚監督の「日本の夜と霧」だったのです。
この一件が契機となって彼は松竹を退社し、創造社を結成、独立プロの映画作家の道を歩み始めるのです。
まあ、浅沼事件がなくてもいずれは松竹とは意見が合わなくなって退社したとは思います。
しかしそのきっかけとなった事件を起こした少年をモデルにしているかのような映画を作ろうするとは!
しかも大島は京都大学時代に京都府学蓮委員長という左翼の闘士だったわけです。
そんな大島が右翼少年をモデルにした映画を作ろうとするとは!

この映画の「少年テロリストが山口二矢がモデルだ」といった文章、意見、評論を私は読んだことがありません。
以上は私の想像の範囲を出ていません。
(もともとこの映画の感想、評論自体が少ないのですが)

そしてもう一つこの映画に扱われたと思われる事件があります。


ロッキード事件の渦中に児玉邸に飛行機で突っ込んだ右翼青年がいたのです。
(この人のことは最近全く耳にしません。右翼の世界では忘れられているのか?)
前野光保という映画俳優でした。
彼の考えは「私の父親のような中小企業の人は一生懸命働いても貧乏しているのに児玉のように楽をしても儲けている人間もいる」ということが許せなかったようです。
しかし児玉はこの前野に対し、「ロッキード事件で義憤を抱き、自分の命を捨てて俺に向かうとは大した男だ。まだまだ日本も捨てたもんじゃない」とその死に敬意を表していたそうです。

(今まで書いたことはこの映画の上映会を企画した時から気づいていたことではありません。児玉誉士夫、大島渚について調べていくうちに気がついたことが多いのですが)

結局大島渚と東映側の主張は相容れず、大島は降板、しかし映画は高田宏治さん(脚本)、降旗康男監督によって完成いたしました。
(高田さんは第1稿を書いていた可能性もあるのですが、よくわかりません)
「大島版を見たかった」という声も聞きますが、はたしてそれが面白かったかどうか。

大島渚、東映、高田宏治という異文化交流の結果に生まれた映画がこの完成版「日本の黒幕(フィクサー)」だったのではないかと思います。

このあたりの思いを持って高田さんに会ってみようと思います。

(09/04/05)

< 自主上映クラブ 朝日映劇主催>

<朝日映劇の上映作品>
2007年1月14日〜15日韓国映画「まぶしい一日」ゲスト 主演俳優 塩田貞治さん
2007年4月15日     韓国映画「まぶしい一日」
2007年7月28日〜29日「ゴジラ×メカゴジラ」ゲスト 手塚昌明監督
2007年9月1日〜2日  「F2グランプリ」ゲスト 小谷承靖監督 峰岸徹さん

2007年9月15日〜17日「軍旗はためく下に」ゲスト 丹波義隆さん
2007年10月29日〜30日「ゴジラの逆襲」ゲスト 小泉博さん
2007年12月22日〜23日「妖星ゴラス」ゲスト 久保明さん
2008年1月18日〜20日「急げ!若者」ゲスト 小谷承靖監督
2008年2月9日〜11日「マタンゴ」ゲスト 佐原健二さん、梶田興治監督、久保明さん、中野昭慶監督、小泉博さん

2008年3月1日〜2日「急げ!若者」ゲスト 小谷承靖監督
2008年5月23日〜24日「白と黒」ゲスト 堀川弘通監督
2008年6月21日〜22日「キングコング対ゴジラ」ゲスト 梶田興治監督 佐原健二さん

2008年8月30日〜31日「ロックよ、静かに流れよ」ゲスト 長崎俊一監督 増田久雄プロデューサー
2008年11月29日〜30日「日本のいちばん長い日」ゲスト 半藤一利さん 中丸忠雄さん
2008年12月27日〜28日「海底軍艦」ゲスト 梶田興治監督 中野昭慶監督 入江義夫さん 郡司隆夫さん