スパイ日時 2002年12月29日 場所 録画ビデオ(衛星劇場) 監督 山本薩夫 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 中央新報の社会部記者・須川(田宮二郎)は長崎の大村の 密入国管理事務所から韓国の学生運動で指名手配になった李起春 (山本学)が逃亡した事件ににおうものを感じ、調査にやってくる。 逃亡した当日警察庁外事課の鵜崎警部と名乗る男(中谷一郎)が やってきたという。 ところが警察庁には鵜崎という警部は実在しなかった。 果たして李起春はどこへ消えたか? その影には日・韓・朝・米にからんだ謀略機関が存在した! 日・韓・朝のスパイたちの起こした事件の背後にアメリカあり、 というポリティカルフィクション。 中谷一郎はもと旧日本軍の特務機関員で戦後も謀略機関で働いてる男。 この男と田宮二郎の須川が実は昔幼馴染だった(でも年齢が合わん気がするが) という友情とか、中谷一郎に拾われた薄幸の女(小川真由美)を挟んでの 田宮二郎との三角関係とかのドラマ部分が薄っぺらな分、作品の質を 落としてるのが難点。 もっとも山本薩夫なりに「映画はまず面白くなきゃいかん」というサービス精神 のあらわれだったとは思うのだが。 しかし、韓国の学生運動で指名手配になった李起春が日本で逮捕され、 その学生を脱走させ北朝鮮系の在日グループにもぐりこませスパイに させようという話は、妙に現実味があって恐い。 中谷一郎のボス(事件の黒幕)ははっきりしないが、「キャノン大佐から (中谷一郎を)紹介された」というセリフがあるから、戦後日本の数々の 謀略事件でたびたび名前のあがったキャノン機関の流れをくむグループ らしい。ってことはアメリカ側か。 また途中無理矢理、顔を整形させられた後の山本学の死体は醜悪で 見ごたえがあった。 北のスパイグループと見なされた東京の焼肉屋の店主(東野英治郎)が 「我々のことをスパイだと思われて迷惑な話さ。我々は日本での 朝鮮人の権利を守ろうとしてるだけ」と言うと田宮が 「スパイというものは常に戦争を想定し、何でも敵と見なしてしまう 被害妄想に取り付かれているのでしょう」というセリフが、 現実のスパイを言いえているようだった。 山本薩夫らしい社会派映画の面をもちながら娯楽映画としても 面白い、彼らしい映画だ。 北朝鮮問題が話題の今見ると、多分製作当時より現実味を帯びている。 (このページのトップへ) ゴジラVSビオランテ日時 2002年12月29日 場所 ビデオ 監督 大森一樹 (詳しい内容はキネ旬データベースで) ゴジラが新宿を襲った直後、サラジア国のバイオテクノロジー研究所が ゴジラの肉片を奪っていった。ゴジラの細胞を使って砂漠でも育つ 小麦を作り出そうというのだ。そこには日本人の白神博士(高橋幸治) とその娘、英理加(沢口靖子)が働いていた。 だがアメリカのバイオ産業のバイオメジャーによって研究所は爆破され、 白神博士の娘は死んだ。 5年後、ゴジラが東京に出現する。 自衛隊は黒木特佐(高嶋政伸)の決定の元、放射能を食べるバクテリア・ 抗核バクテリアをゴジラ細胞を使って作ることになり、生命科学研究所の 桐島(三田村邦彦)らに白神博士も研究チームに加わる。 完成した抗核バクテリアだが、バイオメジャーが渡すことを要求してくる。 国土庁にゴジラ対策室として出向していた権藤(峰岸徹)と 桐島が取引現場に向かう。しかしそこには抗核バクテリアを狙うサラジア国の 工作員が! 抗核バクテリアはサラジア国に奪われ、今度はゴジラも三原山より出現。 白神博士の住んでいた相模湖よりビオランテもあらわれ、白神博士のよると あれはバラの細胞とゴジラ細胞と英理加の細胞を組み合わせたものだという。 出動する自衛隊の「スーパーX2」。果たしてどちらが勝つか?! ストーリーを割と長く書いたけどこれでもまだ途中です。 スーパーX2を破ったゴジラは相模湖に向い、ビオランテと対決します。 その話は後にするとして、84年に復活したゴジラ映画だが、その後、 第2作が作られるまで5年を要し、「一般からストーリーを公募する」 という試行錯誤を行ってまで完成したのがこの「ゴジラVSビオランテ」 監督は大森一樹。 何年か前から東宝から「ゴジラを撮らないか?」と依頼があり2本ほど 撮った後の満を持してのゴジラ映画だった。 当時大森監督は日本の若手監督のホープと言われ(デビュー当時は 日本のスピルバーグとまでいわれた)東宝としても新しい活力で ゴジラを盛り上げたかったようです。 結論を言うなら平成ゴジラはイマイチ僕は好きでない作品が多いのだが、 その原因はこの「VSビオランテ」にあったようだ。 大胆に言えば「大森一樹はゴジラ映画を一時変な方向に持っていった犯人」 と言っていいかも。 ではどの辺がよくないのか? まずはストーリーが非常にわかりずらい。 バイオテクノロジーがどうした、遺伝子操作がどうしたと話がこ難しい。 豆腐の遺伝子組み替えがどうしたということがワイドショーでも 取上げられ、主婦も知ってる今見ると(2、3回目ということもあるが) 解るが、89年当時はまだ耳慣れない言葉でなじみがなかった。 多分に「大人が見ても楽しめる映画=話が複雑な映画」と判断したため、 こんな解りにくい話になったのだろう。 そしてビオランテが植物怪獣だという点。 もちろん植物怪獣は「ウルトラQ」のマンモスフラワーがあるし、 魅力的なのだが、対ゴジラとなるとほとんどじっとしていて 蔓のような触手を伸ばして巻きつけるだけで、なんとも面白みが ないのだよ。 2回戦のときは多少凶暴な顔つきになっているが、夜暗いのと 霧が濃いのと顔や腕のアップが多すぎることもあって 全体像がはっきりしないのだ。 これじゃ対戦が盛り上がらんなあ。 次にスーパーX2。これがずんどうでカッコよくない。 「ゴジラ(84)」に引き続きの登場だが、不恰好で画的に面白くないこと 極まりない。 そして前部がパカッと左右に開いてゴジラの放射能を受けて、それを 反射させる新兵器があるのだが、第1回戦でゴジラの熱線で焼ききれて しまい、案外使えない。 次に人物。自衛隊のヤングエリートの黒木特佐。若くしてゴジラ戦を指揮する のだが、あんまり優秀じゃないの。 ゴジラが駿河沖にいる時に、「福井県の原発を襲うに違いない。名古屋上陸を 想定し東海地方に全兵力を集中」と作戦を立てる。 権藤一佐に「もしあらわれなかったらどうする。俺なら確実に現れる若狭に 集中させるね」と言われてるように(権藤と黒木は別のところにいるので、 権藤の意見は黒木には届かない)ゴジラは大阪方面に現れるのだ。 東大でて防衛庁に入ったような(実際そういう人種はいないだろうが) いやみ〜〜〜な感じがする奴で好きになれない損な役回り。 そして新キャラクター、超能力少女・三枝未希(小高恵美)登場。 彼女はこの後レギュラーかするが、なんでゴジラに超能力まで加えなきゃならんのだ? 私はこの後の平成ゴジラシリーズで登場するこの三枝がずっと場違いな 印象があるのだ。 彼女は建設中の関西国際空港の建設現場に立って、いわゆる念力で ゴジラの大阪上陸を阻止せんとするのだが、画面に写らない念力と ゴジラの対決では面白くもなんともない。 あと細かいことだけどゴジラのことを「G」と呼んだり、伊福部昭の ゴジラのテーマ曲をロック風にアレンジした曲が登場したり、 不要なカーアクションが登場したり好きになれないなあ。 かといってこの作品全く魅力がないかと思えばそれは間違い。 峰岸徹の権藤一佐はぶつぶつ小言を言いながら軽快に活躍する ハードボイルドなキャラクターで、後の「VSスペースゴジラ」に登場する 柄本明の結城に通じるカッコいい男。 最後には大阪城近くのツインタワーに昇って抗核バクテリアを撃ちこむとこなど わたしにとってはゴジラ映画史上の名シーンと言っていいお気に入りのシーンなのだ。 そして図らずもビオランテを作ってしまった白神博士。 高橋幸治の虚無的な雰囲気がこちらもゴジラ史上の名博士になった。 あと官房長官に故・平田昭彦夫人の久我美子、防衛庁長官に「キャプテンウルトラ」の 中田博久らの出演はファンにはにやり。 長くなったけど、平成ゴジラの欠点の始まりを含みながら、しかし私のとっては ゴジラ史上に残る名キャラクター、権藤一佐と白神博士が登場したために、 名作と駄作の両方の側面をもった作品になったようだ。 (このページのトップへ) ゴジラ 2000 MILLENNIUM日時 2002年12月28日 場所 レンタルビデオ 監督 大河原孝夫 製作 1999年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) ゴジラ予知ネットと称する市井のゴジラ研究者グループの 代表・篠田(村田雅浩)達は根室でゴジラ出現に遭遇する。 一方、鹿島沖の日本海溝で科学者・宮田(佐野史郎)は六千万年前の 巨大な岩塊を発見する。内閣官房副長官で危機管理センター長の片桐 (阿部寛)の指示で引き上げる。 しかしそれは六千万年前に地球にやってきたUFOだったのだ。 やがてゴジラが東海村に上陸し、ミサイルでたち向かう自衛隊だが そこにUFOが飛来し、ゴジラと対決。一旦は引き下がったゴジラだが、 一方UFOは新宿に出現する。そこへあらわれたゴジラ。 ゴジラと対決するうち、UFOは怪獣オルガとなる。 果たしてどちらが勝つか? 95年に一旦シリーズは終了し、3年間のモスラシリーズの後の (途中アメリカ版「GODZILLA」を挟みながら)新ゴジラシリーズだ。 タイトルは99年の流行語「ミレニアム」が織り込まれている。 復活しての第1作だがあまり面白くない。 まず敵対するオルガだが、怪獣形になるのが最後の15分なのだ。 それまではべろんとした半球体でカッコよくないなあ。 最初は岩石に包まれていて、それがはがれ行く様子はよかったが、 半球体になってからがなかなか変化せずに魅力がない。 半球体の状態からさっさと次の形になればまだよかったのだが。 でも最後になって出てきた怪獣がなんだが「エイリアン」みたいな 形で面白くないなあ。 それに話は途中でこの見てて面白くないUFOが中心になり、ゴジラは 出てこない。あくまで主役はゴジラだと思うのだが。 ラスト、オルガが大きく口を開いてゴジラを飲み込んでいくところは 画的に面白かったが、その後、ゴジラがオルガのおなかの中で放射能 はいたら、それでやられちゃうんだもん。アホだな。 またドラマの方もかつて大学の研究室で一緒だった篠田と宮田、 そしてゴジラを倒そうとするエリート・片桐の三人の対立と 協力のドラマがしっかりしてれば、ドラマの方も面白くなったろうが、 その辺は希薄で面白みがない。 第一、主人公が村田雅浩じゃあねえ。華がないよ。もう少し2枚目 ふうな感じならなあ。村田雅浩はポイント的に出演してこそいいので あって主役のガラじゃない。 その中で佐野史郎が頑張っていた。 彼が会議の席で上着の前を前ボタンをかけた後、ネクタイが出ていることに気づき それを上着の内側に入れるシーンがあったが、これは「ゴジラ」の山根博士の 国会でのシーンのオマージュなのだろうか?? あと特撮。 本作からCG合成も盛んになり、ゴジラに打ち込まれるミサイル、 空を飛ぶUFOなどCGが多用。 しかしわずか数年前だがこの頃はまだ技術が低くて、CGに質感がなく、 なんとなく薄っぺらだ。 新宿を歩くゴジラも街はCGでゴジラと合成しているがイマイチ 安っぽい。ミニチュアワークの方が私は好きだ。 折角の復活ゴジラだが、本作は成功していない。 だが次回作以降、徐々に面白さを取り戻していくのである。 (このページのトップへ) ゴジラ対ヘドラ日時 2002年12月24日 場所 レンタルビデオ 監督 坂野義光 製作 1971年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 東京湾で船を襲う怪物が出現した。 そんな時、町の生物学者の山内博士(矢野明)たちは 海岸で大きなおたまじゃくし形の不思議な生き物を発見する。 しかし、それがヘドラの最初の形だった! やがて巨大化し、陸上に上がり飛行するヘドラ。 ヘドラの出す硫酸ミストに住民は次々とやられていく。 そこへゴジラが出現し、ヘドラと対決する。 富士の裾野で踊りながらヘドラに殺されていく若者たち(柴俊夫ら) 山内博士は電極版を使ってヘドラを乾燥させることを提案する。 果たしてヘドラを倒すことはできるか? なんとも不思議なゴジラ映画だ。 ヘドラはヘドロから生まれた怪獣。他のゴジラ映画と違い、社会派とでも 言うべきなのだろうか? ヘドラはヘドロを食い、工場の排ガスを吸って大きくなっていく。 海を泳ぐだけの第1期、陸上歩行も可能な第2期、飛行も可能になった第3期、 直立しゴジラと対峙する第4期。徐々に大きくなっていく様は恐怖がある。 その姿は実に醜悪で無気味だ。 そして最後にはゴジラよりも巨大になるのだ。 当時話題だった公害問題に対する作者の怒りが反映されている。 またオープニング曲、「美しい空を返せ!海を返せ!コバルト、カドミウムが どうしたこうした」のサイケ調(?)の歌も70年代っぽくてすごい。 こう書くとこの映画が面白そうな気がしてくるけど、はっきり言って 面白くない。 「町の科学者が出てきて怪獣を倒すヒントを見つけ、それで怪獣を倒す」 という従来のゴジラ映画の骨格は継承している。 しかし、ゴジラとヘドラの対決になっても音楽もほとんどなく、映画的な クライマックスに持っていこうとしていない。 つまり全然盛り上がらない。 出てくる自衛隊も数人だけだし。戦ってる迫力がないのだなあ。 襲われた街はテレビのニュースで出てくるだけだし、パニックシーンとか 都市の崩壊とか画的な見せ場がほとんどないのだよ。 もっとも演出力の問題というよりそれ以前に予算がなかったのかも知れない。 出演者はノースターだし、(柴俊夫が出演しているが、無名時代に別名での出演だ) 特撮シーンはチャチなのだ。 ヘドラとゴジラはナイトシーンでの対決が多いのだが、これが暗いのだよ。 スクリーンではなく、テレビ画面で見てるせいもあるかも知れんが、 (でも他の作品はもうちょっと明るかったぞ)「金がなくて周りの風景や バックを作るとこまで予算がまわらなかったから、暗くしてごまかそう!」 という感じがするのだなあ。 そして飛行するヘドラを追いかけるため、ゴジラは後ろを向いて放射能をはき、 その勢いで空を飛ぶという掟破りもするのだ。 いくらなんでもそれはないだろう。 監督はこれが第1回監督の坂野義光。劇場用作品で監督したのはこれ1本だけらしく、 あと解ってるのはこの後、あの封印された怪作「ノストラダムスの大予言」の脚本を 舛田利雄と共同で書いたというだけ。 でも「ノストラダムス〜」も書いてるって事は公害問題、環境問題に関心の ある方だったのかなあ。 10年ほど前にもビデオで見たときの感想は単なる盛り上がりのない つまらない映画だった。 しかし21世紀の今見ると、公害問題こそ聞かなくなったが、 今人類が直面してる「地球温暖化問題」と結びつけると実に恐い。 名作なのか駄作なのか判断に迷う。 ゴジラ映画としてのスペクタクル、ドラマ的な面白さなし。 極端に言えばATGのアート系のような作品だ。 このような社会派路線はこれ一本。 「核の恐怖を描いた第1作の路線に戻った作品」という気もするが、 やっぱり第1作はまず映画として面白かった。 でもこの作品は映画的な盛り上がりは一切なく、つまらない。 ワン・アンド・オンリーの異色作。 (このページのトップへ) ギャング・オブ・ニューヨーク日時 2002年12月23日13:25〜 場所 新宿ミラノ座 監督 マーティン・スコセッシ (公式HPへ) 1846年のニューヨーク。 アメリカ生まれの「ネイティブ・アメリカンズ」とアイルランド系移民の 集団「デッド・ラビッツ」はファイブ・ポインツと呼ばれる貧民街の 利権を争い、ついに対決をする。 「ネイティブ〜」のボス、ビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス) は「デッド〜」のリーダー、ヴァロン神父を殺す。 とここまでが前説。 16年の日々が経ち、少年院に入れられていたヴァロン神父の息子、 アムステルダム(レオナルド・ディカプリオ以下デカプー)は ファイブ・ポインツに帰ってくる。 帰ってきたら、かつて父の同士だった者はみんなビルの手下になっていた。 そしてデカプーはビルに近づき、喧嘩も強く仕事も出来、気に入られるのだが・・ という感じで話は進展。 「おお、なんか東映任侠映画みたいだな。スコッセシといえば 『タクシードライバー』、あの映画も任侠ものの影響受けてるといわれてたし、 この作品もその延長かな?さしずめデカプーが高倉健か菅原文太で ビルは安部徹か金子信雄、キャメロン・ディアスが藤純子といったところか。 で、いつになったら殴りこみかけるのかなあ。池部良は出てこないのか?」 などと考えていたら、後半になって突然、アイルランド系移民が推す候補と 「ネイティブ〜」が推す候補の選挙の話になってくる。 デカプーが票の取りまとめなんかはじめるし、そいで持って最後は貧民の 徴兵制反対に絡む大暴動になってくる。 鎮圧に軍隊も出動し、軍艦が出てきて艦砲射撃まで行われてしまう。 思わずどうなってるの?と言いたくたる。 1800年代のニューヨーク史と移民の子(デカプー)の復讐物語を からめての壮大なストーリー展開という企画ねらいはわかるが、 前半の極私的な物語と後半の歴史ドラマがうまく融合されていない。 (というか水と油) 予想された事だが2時間40分のただ長いだけの映画になってしまった。 デカプーはカッコよかったけどさ。 (体つきは逞しくなって、顔つきもシャープで評価していい) あとビル役のダニエル・デイ=ルイスね。彼が魅力ある敵役なので 前半が引き立つ。 復讐物語に終始するか、俯瞰的な歴史ドラマにするか、その割り切りが出来て いればもっと面白かったろう。 残念なことにどっちつかずの作品になってしまったようだ。 ラストシーンはNYの姿が1800年代から現代にいたる定点観測の 画で終るのだが、現代のシーンに貿易センタービルが巨大に立っているのは 複雑なものがあった。 あの9・11の所為でこの映画も1年公開が遅れたんだよなあ。 (このページのトップへ) メカゴジラの逆襲日時 2002年12月21日27:10〜 場所 浅草東宝 監督 本多猪四郎 製作 1975年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) メカゴジラの残骸を探索に行ったインターポールの面々だが すでにメカゴジラの残骸はなく、代わりに恐竜チタノザウルスに 襲われる。 その事件の調査の依頼を受けた一之瀬(佐々木勝彦)は15年前に 恐竜実在説を唱え学会から追放された真船博士(平田昭彦)が関係していると にらむ。 真船博士は娘・桂とともにブラックホール第三惑星人の力を借りて チタノザウルスをリモートコントロールする技術を開発した。 かつて実験中の事故で死にかけた桂をすくってくれたのは 第三惑星人だった。そしてメカゴジラの修理も行う真船博士。 彼を追放した世の中に対する復讐が始まる。 だがチタノザウルスにも弱点があった。超音波がリモートコントロールの 信号を乱し、制御不能に陥るのだ。 やがて出現するゴジラ。ゴジラ対メカゴジラ、チタノザウルスの 激闘が今始まる! 演出は久々の王道、本多猪四郎。 前作が東宝SFの王道を行くストーリー展開だったのに対し、 今回は真船博士の復讐物語に主軸を置いたストーリー展開。 「ゴジラが実在する世界で恐竜存在説を唱えて学会追放なんて矛盾している」 って批評をどこかで読んだ覚えがあるが、それはさておき話はちょっと暗い。 平田昭彦演じる真船博士はいつもの冷静な正義の科学者と違い、 髪は真っ白、ひげも真っ白とちょっと平田昭彦とはわかりにくいようなメイク。 自分を認めなかった世の中に復讐を誓うマッドサイエンティストとして 登場だがなかなか迫力がある。 で主役の佐々木勝彦だがこの人、「海軍特別年少兵」でも主役だったが なんとなく暗い、というか華がない。 岸田森も暗かったが、華があり暗いながらに画面をさらう何かがあった。 佐々木勝彦では単なる地味で映画が盛り上がらないなあ。 また肝心のゴジラは今回なかなか登場せず、後半の30分になってやっと登場。 前作はキングシーザーと2頭での対決だったが、今回は敵が2頭でゴジラ側は 1頭という不利。 しかしインターポールの開発した超音波妨害装置(?)によって メカゴジラたちのコントロールがさえぎられなんとか勝利。 でもメーサー砲のように画的な派手さはないから見所にはならん。 あとストーリーには直接関係ないが、真船博士の娘が死にかけた時に 第3惑星人にサイボーグの手術をされるシーンが出てくるが、 このときおなかを開いていて中の機械類(歯車とかそういうの)が 見えるのだが、それはいいとして手術台にのった格好で (作り物だが)おっぱいまで出してるのだよ。 ゴジラから血が噴出したり、おっぱいまで出したり、随分と迷走してるなあ。 改造人間って設定は当時の仮面ライダーに影響か知らん?? 出演は他にインターポールの日本署長に中丸忠雄、防衛軍司令官に 佐原健二、第三惑星人の手先(部下?)に沢村いき雄、漁師に小川安三など。 結果的に本多猪四郎を監督に持ってきたが、やはり作品の質の低下は 否めなかった。(ようはつまらんって事) この作品でゴジラシリーズは一旦終了。 もう興行的にきつかったようだ。 「テレビでの怪獣ブームもあり今さら怪獣映画には魅力がなかった」、 「低予算化が作品の質を落とした」等いろいろ要因はあるだろう。 そしてゴジラで育った世代が大人になり、ゴジラをもう一度みたい という時代が来るまで(随分じらされたが)ゴジラの復活は 1984年までお預けを食う事になる。 (このページのトップへ) 怪獣島の決戦 ゴジラの息子日時 2002年12月21日24:05〜 場所 浅草東宝 監督 福田純 製作 1967年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 南太平洋のゾルゲル島では密かに実験が行われていた。 食料問題解決のため、気象を人工的に変化させる実験のため 熱帯地方のこの島で人工的に雪を降らせようというのだ。 メンバーは楠見博士(高嶋忠夫)のほか6人(平田昭彦、 佐原健二、土屋義男、西城康彦ら) そこへルポライター真城(久保明)がニュースのにおいをかぎつけて やってくる。追い返そうとするが帰る方法もなく仕方なく 雑用係として参加させることとなる。 しかしこの島には体長3mはあろうかという大カマキリがいた。 実験は行われるが妨害電波のために失敗し、摂氏70度という高温に なってしまう。 温度が下がった時、大カマキリが巨大化したカマキラスが出現した。 また無人島だと思われたこの島だったが、サエコ(前田美波里)という 日本人の娘もいた。 やがて巨大な卵からゴジラの子供ミニラが誕生し、ゴジラも上陸した。 妨害電波だと思われたのはミニラが親を呼んでいたのだ! 巨大クモ・クモンガも登場する。 楠見博士たちの運命は? ミニラ初登場篇。 ゴジラ映画の子供化の象徴のミニラ登場だ。 ミニラがゴジラに言われて放射能をはく練習をするシーンはほほえましい、 ともいえるが、ゴジラの擬人化の象徴でもある。 この後2作ほどミニラは登場するが、僕は余りミニラが好きでない。 あんまりカッコよくないもん。顔もブサイクだし。 同じゴジラの子供なら「VSスペースゴジラ」に登場する リトルゴジラの方が好きですね。 でもこの映画ではぼくはカマキラス登場を評価したい。 子供の頃この映画は見ていて、今回何十年ぶりかに観たのだけど、 夜の闇の中を「キーキー」とか鳴きながら歩く大カマキリはよく憶えていた。 その後巨大化してカマキラスになるのだが、体がスマートでカッコいい。 映し方も常に手前にジャングルの木を置いて、人間が覗き込むような アングルばかりにしているカットもよい。 (最初の登場シーンは「キーキー」という鳴き声だけで、土屋義男が 「忌々しい野郎だ」というリアクションだけで期待させる演出もいいね) 怪獣ものは着ぐるみだと人間が入るため、どうしてもずんぐりとした 体型になってしまうのだが、カマキラスはシャープでカッコいい。 操演によるものだが、この操演型怪獣はこの作品に出てくるクモンガと カマキラスで終わってしまい、その後、同類の怪獣はあらわれていない。 新作ゴジラではまた操演型怪獣を復活して欲しいなあ。 体型も自由に作れるし、いいと思うのだが。 もっとも今ならCGでうまくできるだろうが。 出演は隊長以下のメンバーが主役級の役者で豪華な面々。 でも前田美波里が南国系の顔立ちをしてるので原住民かと 思ったら戦時中にこの島にやってきた学者の娘だって。 そんならあんな濃い顔立ちの南国系の人をキャスティングする必要も なかろうに。でもアロハシャツ系の衣装は似合ってましたが。 あと特筆すべきは土屋義男ね。「俺はこんな変な島耐えられない。早く帰ろう」 と常にわめく隊員役。なんだか「マタンゴ」を思い出した。 ラストシーン、降雪実験も成功し、救助の船に助けられるメンバーだが、雪の降る島で 抱き合っているゴジラ親子はなんだか切ないものがあった。 この後、「モスラ対ゴジラ」の上映。春にラピュタで見たのでレビュー省略。 (このページのトップへ) ゴジラ対メカゴジラ(’74)日時 2002年12月21日21:00〜 場所 浅草東宝 監督 福田純 製作 1974年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 浅草東宝でのゴジラ特集オールナイト。 春にラピュタ阿佐ヶ谷で見た作品もあるが、やはり封切館の大スクリーンで 見ると迫力がある。 沖縄海洋博の建設技師・清水(大門正明)と金城(田島令子)は 工事現場の洞窟から古代沖縄人の書いた壁画を発見する。 考古学者・和倉博士(小泉博)の協力を得て解読に成功する。 「黒い山が出現する時、邪悪な怪獣が現れて世界を滅ぼそうとする。 だが太陽が西から昇る時二匹の怪獣が現れて人々を救う」 というものだった。 やがてゴジラが出現、アンギラスを撃退する。そこへもう一頭のゴジラが 出現。なんと先に現れたのは宇宙人が作ったメカゴジラだったのだ。 計器の故障で一旦は引き上げたメカゴジラだったが、メカゴジラの 基地が沖縄にあると考えた宮島博士(平田昭彦)や清水たちは 空路、海路で沖縄に向かう。 だが宇宙人に捕まりメカゴジラの修理を強要される宮島博士。 清水たちを船中で狙う男たち(草野大吾、岸田森)は何者か? 沖縄でメカゴジラ、ゴジラ、キングシーサーの戦いが今始まる! 初代メカゴジラ登場! 古代人の壁画、そこに書かれた予言、宇宙人の侵略と東宝SFの 王道を行くストーリー展開。 シリーズ物には「ニセウルトラマン」「ニセ黄門」などニセモノが一度は 登場するのがセオリーみたいなもんだが、ゴジラもついにニセモノ登場。 一言で言って昭和ゴジラシリーズの後期の代表作と言っていい。 これで主役がスター級だったら言う事ないんだが。 (大門正明は昔なら久保明がやりそうな役どころ) 岸田森は実はインターポールの捜査官で清水たちを 宇宙人から護衛していたという役どころ。 ゴジラシリーズに彼が出演したのは確かこれ1本きりだが、 特撮スターとしての貫禄充分に活躍。 古代文字を解く学者に「モスラ」以来この手の役どころの 小泉博、不本意ながらメカゴジラの修理をするノーベル賞受賞学者に 平田昭彦博士、ワンシーンだけどフェリーの船長に佐原健二と 豪華なメンバー。 あとはブラックホール第三惑星人(なんじゃそれ?)に睦五郎。 脇は今福正雄、小川安三など東宝常連軍団も出演。 特撮面では最初はゴジラの皮を被っていて、途中本物のゴジラが登場し、 戦ううちに肩のあたりがきらりと光り、そして自ら皮がなくなって 全身宇宙金属になるシーンはなかなかです。 宇宙人が撃たれたりして死ぬ直前に姿がゴリラ状になるのですが (当時ヒット中だった猿の惑星シリーズの影響だと思うが) 草野大吾が顔を撃たれて、最初顔半分だけゴリラになって 半人間半ゴリラの顔になるあたりは面白い。 でも対アンギラス戦でメカゴジラがアンギラスの口を上下に開いて 口の両端から血が吹き出るとか、ラストのゴジラとの戦いで ミサイルを撃ち込まれたゴジラの体から血が吹き出たり、ちょっと 残酷だったと思う。あんまり痛そうなのはねえ。 これも東映ヤクザ映画とか東宝ニューアクション映画の影響なのか知らん? それとゴジラの造型、最近のゴジラとは違い、頭はでかくて体は細くて なんかバランス悪そう。目もでかくて迫力不足。 放射能はいてメカゴジラがうまくよけちゃって、指を鳴らして悔しがる 所は人間ぽっくていやだなあ。 もっともこの頃のゴジラはみんなそうなんだけど。 あと記しておきたいのは沖縄が舞台になってる点。 沖縄は1972年に日本に復帰し、沖縄県になったわけだけど、 75年の海洋博を控えちょっとした沖縄ブームだったわけですね。 沖縄行きフェリー・さんふらわあも登場し、タイアップミエミエです。 有名都市の破壊がないとか、住民が逃げるパニックシーンがないとか 主役がスターじゃないとか、ケチをつけたくなる点もあるけど、 その辺の欠点は当時の限界点と考え、昭和ゴジラの最後の名作になってます。 この後「怪獣総進撃」の上映。春にラピュタで見たのでレビュー省略。 (このページのトップへ) ゴジラVSスペースゴジラ日時 2002年12月21日 場所 レンタルビデオ 監督 山下賢章 製作 1994年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 南太平洋のバース島にGフォースの新庄(橋爪淳)と佐藤(米山善吉)がやってきた。 三枝(小高恵美)の超能力を使ってゴジラを操ろうというTプロジェクトのためだ。 そこには結城(柄本明)というゴジラ打倒に執念を燃やす男とベビーゴジラが成長した リトルゴジラがいた。 三枝、権藤(吉川十和子)大久保教授(斎藤洋介)も合流し、ゴジラに三枝の テレパシーを伝える受信機をつける事に成功する。 そこへ宇宙からスペースゴジラがやってきた。ゴジラもあらわれバース島で スペースゴジラの対決が始まる。 引き分けに終った今回だが、スペースゴジラは宇宙に飛び散った ゴジラ細胞から生まれた怪獣らしい。 やがてスペースゴジラは北海道から本州を縦断飛行し、福岡に降り立つ。 鹿児島に上陸し、福岡を目指すゴジラ。 Gフォースは新兵器モゲラ(Mobile Operation Godzilla Expert Aero-type)を 結城たちをオペーレーターに出撃させる。 福岡タワー周辺で、ゴジラ、モゲラ、スペースゴジラの戦いが今始まる! 前回の「VSメカゴジラ」がつまらなかった後だけに今回は面白い。 その面白さは主に結城という男のキャラクターに負う所が多い。 意外なほどに柄本明がいいのだ。 「VSビオランテ」で大阪のOBPビルでゴジラに殺された権藤(峰岸徹)の親友役。 親友を殺され復讐に燃える男だ。そして権藤の妹の登場し、大人の恋もある。 モゲラの出撃前に吉川十和子にジッポーを渡し、「オイルが切れた。入れといてくれ」 と去りげなく再会を誓うクサイほどの粋。 ふてくされたようにタバコをくわえ、戦闘に向かう姿は意外なほどカッコいい。 彼の代表作に数えていい。 また今まで男に縁のなかった三枝だが、今回は新庄との関係も気になってくる。 肝心のモゲラだが、前回のメカゴジラと違って強い。 途中、分離、合体をくりかえし見せ場も満載だ。 後半、30分以上は福岡タワーでの決戦だが、これがモゲラの大活躍によって 迫力ある戦いになっている。 「VSメカゴジラ」と違ってラストは主人公たちがちゃんとモゲラに乗り込んで 戦ってる点がよい。 ゴジラをテレパシーで操るTプロジェクトが失敗した後、大久保教授は三枝を誘拐して 国際的企業ブローカー(?)の下で研究を続けようとし、新庄や結城に助けられる、 というエピソードがあるけど、これはちょっと蛇足。 話がよそへ飛んでかえって全体の焦点をぼやかせかねないので、ここはなかったほうが よかったと思う。 でも斎藤洋介が後半マッドサイエンティストになって壊れたテレパシー発信機を 修理しようとするところはなかなかの迫力。昔なら岸田森がやりそうな役だった。 他の出演者では佐原健二が前作「VSメカゴジラ」に引き続きGフォース長官、 中尾彬が戦闘部隊司令官、上田耕一が同副官。 あとリトルゴジラね。ゴジラの子供、という設定はミニラが有名だけど、 こちらのほうが男前。美少年(?)な造型。 印象にはミニラの方が残るけど、やっぱりかっこ悪かったしブサイクだったよなあ。 でもラストに放射能はく練習してたけど、「VSメカゴジラ」の時、佐野量子が 「これはゴジラじゃなくてゴジラザウルスだから」って言ってたんじゃない?? ゴジラザウルスについては「VSキングギドラ」を参照しなきゃ。 結論として「平成ゴジラシリーズ」の中では一番の出来。 それも柄本明の結城というキャラクターに追うところが大。 ゴジラが出て来るだけではだめ。やはりドラマがしっかりしていなくては。 (このページのトップへ) ゴジラVSメカゴジラ(’93)日時 2002年12月16日 場所 レンタルビデオ 監督 大河原孝夫 製作 1993年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 度重なるゴジラの襲来についに国連Gフォースが結成され、 未来人が残したメカキングギドラの技術を参考に メカゴジラが作られた。 その頃ベーリング海のある孤島で、巨大な卵が発見される。 卵を日本に持ち帰る大前博士(川津祐介)と五条梓(佐野量子) だったが、その時ラドンとゴジラがあらわれ戦いあい、ラドンは敗れる。 そして卵は京都に運ばれやがて孵化する。生まれたのはベビーゴジラだった。 ベビーを取り戻そうと日本に上陸するゴジラ。迎え撃つメカゴジラだが 機能停止に陥ってしまう。なんとかゴジラを大阪湾に追いやる事に成功した。 今度は逆にベビーゴジラを使ってゴジラをおびき寄せようとする。 そこへベビーゴジラを救おうとラドンもあらわれる。 上陸を開始するゴジラ。迎え撃つ改良したメカゴジラ。 ラドンも加わり、幕張地区で決戦が始まる。 はっきり言って面白くない。 第一看板に誤りがある。「ゴジラVSメカゴジラ」と言う割には メカゴジラより印象にのこるのはベビーゴジラと佐野量子との交流なのだ。 メカゴジラははっきり言って弱く、最後にはコテンパンにやっつけられて しまうのだ。 だからタイトルは「ゴジラ&ベビーゴジラ」の方が内容には合っている。 また登場人物の性格(役割)もあいまい。 主役の高島政宏だが、「プティラノドン」ファンの技術者という設定で、 メカゴジラのメカニックなのか、メカゴジラのオペレーターなのか、 佐野量子の恋人なのかはっきりしないのだ。 結局どのポジションも中途半端で、主役の割にはただ画面をうろうろするだけで 何のために出てきたのすら解らなくなってしまう。 川津祐介の大前博士も平田昭彦がよく演じた博士のような活躍もせず、 途中から姿を消してしまう。(最後には少し出てくるけど) 小高恵美の超能力少女も「ゴジラVSビオランテ」以来のレギュラーだが ゴジラ映画に超能力の要素を持ち込むのはどうも賛成できなくて。 また国連Gフォースとなってゴジラ専門防衛軍が登場するが、国際色を 出そうとしたのか、幹部やメカゴジラのオペレーターに外国人がいたり、 違和感があるのだなあ。 なにか「ウルトラマンシリーズ」の地球防衛軍や科学特捜隊みたいで ちょっと場違いな印象が僕には残る。 そして肝心のメカゴジラのオペレーターが原田大二郎。 「Gメン75」に出てた頃は2枚目だったけど、途中から 3枚目になってしまって、この映画の頃は3枚目だったから ヒーローたるべきメカゴジラのオペレーターではミスキャスト。 あと懐かしい宮川一郎太(「家族ゲーム」の少年ね)も出てるが 活躍なし。ただいるだけ。 出演は他にGフォーズ長官に佐原健二、超能力センター長に顔見せ程度に 高嶋忠夫。親子共演を果たした。 あと音楽は伊福部昭が音楽監督を務め、全篇が伊福部サウンドなのが嬉しい。 特撮面では京都の清水寺や京都タワーとのカットかな。 ここは見ごたえがあった。 結果としてシナリオの焦点が定まらない、何に話のポイントを 置きたいのかはっきりしない失敗作だった。 (このページのトップへ) ゴジラ×メカゴジラ(’02)日時 2002年12月15日18:25〜 場所 日劇2 監督 手塚昌明 (公式HPへ) 昭和29年のゴジラ上陸、昭和35年のモスラ来襲、昭和36年のガイラ出現、 度重なる巨大生物の攻撃に日本は陸海空に加えて第4の自衛隊・対特殊生物自衛隊 (略称・特自)を編成した。そしてゴジラに対する新兵器として昭和29年に死亡した ゴジラの骨のDNAをベースにしたロボット兵器・三式機龍(メカゴジラ)を 開発する。 やがて上陸するゴジラ。機龍にも出動命令が下り、家城茜(釈由美子)の操縦の下、 ゴジラ対機龍の決戦が始まる! 実は今回あんまり期待していなかった。 「またメカゴジラか。一体何回目だ?」「釈由美子の女性ヒロインねえ」と マイナスな先入観しかなかったのだ。 ところがどっこい今回は面白い。昨年の「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」も面白かったが、今回はそれより面白いかも? 民間人のドラマ部分はかなり省き、「ゴジラ対自衛隊」のほぼ一点に絞った 戦争映画とでもいうような出来映え。 まずは今回は設定からしてニンマリ。 ゴジラのあと、モスラ、ガイラに襲われる、度重なる特殊生物対策のために 陸海空の他に作られた新しい自衛隊「対特殊生物自衛隊(略称・特自)」が 作られたという設定。 ゴジラ以外の怪獣ものを結びつけた設定は初めてだなあ。 それと今まで重要ではあったが主役ではなかった自衛隊を前面に持ってきたことが 特筆すべき点。 メカゴジラ(正式名称・三式機龍)を操る自衛隊は、以前登場したGフォースなる 「ウルトラマンシリーズ」の「科学特捜隊」「ウルトラ警備隊」の亜流ではなく、 リアルな自衛隊だ。 (特自の組織などパンフレットに詳しく書いてあり楽しい) 号令のかけ方、整列の仕方、敬礼など、僕だってもちろん本物の自衛隊は 知らないが、本格的な印象だ。 ここまで本格的っぽいのは久々ではないか? また最近の作品に多かった「何故ゴジラは日本を襲うのか?」と言った小理屈は抜き。 本当は少しあるのだが、上映時間1時間28分と短いためそんなことに時間は割かない。 それでいいと思う。 そして「ゴジラ対策新法」が制定されたり、世論動向をテレビのワイドショーで 解説されたり、水野久美(!)総理大臣がマスコミに「景気対策は?」と 質問されたり、メカゴジラの第1回戦が終了後、「内閣総辞職か?」との 活字が新聞に躍ったり、ポリティカルフィクションの様相も呈してくる。 (まるでゴジラ版「宣戦布告」だと私はクスクス) 戦闘シーンは「ゴジラがこうきたらこう応戦する。こうきたのでこうミサイルを 撃ち返す」などと対決の面白さがシナリオもちゃんとしている。 まるでよく出来た戦争映画を観るような決戦の面白さなのだ。 最後、アブソリュートゼロ(いわば冷凍光線)をゴジラに撃つ込んだ時、 ゴジラの反撃で品川プリンスホテルが崩壊するシーンには思わず 「あっ〜〜〜〜」と声を上げたくなった。 自宅で一人で見ていたら絶対上げたろう。 また特撮面では、CGと従来の着ぐるみがうまくミックスされていて 投げ飛ばされるゴジラなど、今までにないスピード感満載。 実は今まで怪獣映画は対決が始まるまでが面白くて対決になると モタモタしてつまらなくなる、ということがあったが、 今回は非常にスピード感のある激闘でみてて飽きない。 また暴走した機龍が夕陽をバックに静止したカット、夜の月をバックに 舞い降りる機龍(すごいカッコいい)オープニングの台風の 中から出現するゴジラなど画的にいいカットも多い。 釈由美子も「エイリアン」のリプリーを思わせるもの大活躍があり、 ラストの機龍に対する敬礼もピタッと決まっており、予想を裏切る良さだった。 あと水野久美の田中真紀子をモデル(服装などのルックス面)にした女性首相の 痛快さ。 ここ数年のゴジラでは一番面白かった。 映画が終った後、思わず拍手しそうになってしまった。 「宣戦布告」とこの「ゴジラ×メカゴジラ」、もちろん政治的な意図は全くない 映画だが、自衛隊がこう大活躍されると「自衛隊肯定」「憲法改正」なんて ことにつながらないかと心配になる。もちろんそれは杞憂であるに決まっている のだが。 (このページのトップへ) とっとこハム太郎
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