2006年3月

シリアナ
ブロークバックマウンテン 日本沈没 ローラ殺人事件 巨大猿怪獣コンガ
KONGA
救命艇 力道山 ウォーターズ 逃走迷路

シリアナ


日時 2006年3月25日19:15〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえんスクリーン3
監督 スティーブン・ギャガン


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CIAの中年工作員(ジョージ・クルーニー)、スイスの石油投資アナリスト(マット・ディモン)
アメリカのメジャー石油会社合併の法的手続きを引き受ける弁護士事務所、中東某国の王位継承問題、
貧困からテロリストとなる若者、これらの5つの物語を並行して描きながらバラバラだったそれらの
人物達がやがてはつながってくる。
そこには石油、つまりはエネルギーの争奪という数兆円の金が渦巻く陰謀と権力争いの世界だ。

話がわかりづらいという評判だったが、確かにちょっとわかりづらい。
それはこちらの中東情勢に対する無知と、登場人物の多さゆえに「え、あの人誰だっけ?」状態に
なってしまうのが原因。(いや、単に私が馬鹿なだけかも知れないが)
詳しい内容は見終わったあと、パンフレットと読んで復習した次第だ。
しかし全体的な陰謀は大体はわかるから、石油の背後に潜む恐ろしさは充分伝わってくる。

何しろ石油は現在のエネルギー、経済の根幹。
石油を制するものが世界を制するわけだ。
何百億ドル(何兆円)という小規模な国の国家予算に匹敵する金額が動く世界だ。
そこでは人間の2、3人(いや何十人、何百人)の命なんてどうでもいい世界になる。

人殺しもテロも裏切りもすべて起こって何もおかしくない世界だ。
イラク戦争も当然石油の利権が裏に絡んでいるわけだから、戦争そのものさえ起こさせてしまう。
そんな利権の世界なんだから何を曲げても日本の自衛隊も派遣させられる。
この世界では正しいも間違っているもない。
ただ、石油の利権争いがあるだけだ。

30年前、石油はあと30年でなくなるといわれた。
しかしパンフレットの解説を読むと、それは30年前の時点で見つかっている油田の埋蔵量から
算出した数字らしい。
その後、そして今後、新しい油田が発見されればまた埋蔵量は増えることになり、今の段階では
あと40年は持ちそうだということだ。
本当は地球温暖化のこともあって石油資源に頼るのは止めにすべきなのだが、こんな利権が絡んだ
世界では、新しいエネルギーの開発なんか絶対に阻止されてしまうのだろうなあ。
アメリカのメジャーがなんとしても妨害しそうだ。

そういう一部の資本家の金銭欲、権力欲によって欲しいがままにされた石油によって地球は
ボロボロにされていく。
やがて人類は最後の日を迎えるのだ。
いや、この映画ではそこまで言ってないけどさ。

でもそこまで想像させてしまう映画である。



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ブロークバック・マウンテン


日時 2006年3月25日15:30〜
場所 ユナイテッドシネマとしまえんスクリーン7
監督 アン・リー

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1963年のアメリカのワイオミング州のブロークバック・マウンテン。
ここでジャックとイニスという二人の青年が羊番の仕事に就き、数ヶ月二人きりで
山で暮らす生活をする。
やがて二人は同性愛に目覚め、肉体関係も持つようになる。
しかし山の仕事が終わり、二人は町に帰る。
イニスは前からの婚約者と結婚し、ジャックも金持ちの娘と結婚する。
そして4年後、二人は再会。そして20年にわたって、年に数回毎回一週間ほど
「釣り」と称して妻に偽って二人で山に行き逢瀬を楽しむ生活を送るのだが。


世間ではアカデミー賞だなんだと非常に評価が高いですが、私はまったく評価しません。
もう完全にノンケの人から見た「ゲイ」の映画で、見る方も「ああ、ゲイの人の愛って大変なのね。
愛って障害があるからこそ美しいのだわ。ゲイの人たちの愛って純粋でうつくしいわあああ」
と勝手解釈して帰るという映画だ。
そうじゃなくて私には単なる「穴なら何でもよい男達の話」です。
そんなやりチンの男の話を延々2時間見せられてもなあ。

まず、カウボーイのゲイ、っていうのからして安易。
これって日本風にいうと「短髪、マッチョ、六尺ふんどし」みたいなもので発想がものすごく
イージー。
そして二人が初めて肉体関係を持つシーン。
テントに入って抱き合って、ジーパンだけ脱いでいきなりズボっと肛門性交だ。
「ゲイ=アナルセックス(肛門性交)」とここでも発想が短絡的だ。

そしてジャックとイニスが別れた後だが、二人とも結婚する。
イニス前からの婚約者だし、ジャックにいたっては金持ち女と結婚する。
世間体で結婚しなければならないとか、そういう「自分の意思に反して」という結婚ではない。
少なくとも二人の苦悩は感じられない。
もうこうやって自分の意思で結婚することからして「穴だったら何でもいい男たち」だ。

そして再会してから年に数回二人で泊りがけで出かけている。
当然そこでは性行為もあったはず。
そしてイニスは結局離婚してしまうのだが、またウエイトレスの別の女と再婚話がでる。
後にイニスはジャックがメキシコに男を買いに言ったことを責めるが、あんたも充分やること
やっている。

さらにジャックは女や男娼だけでは飽き足らず、口うるさい女房との結婚生活に嫌気がさしている
牧場主任の男ともできてしまう(らしい。画面でははっきり出ないが)。
単なる「やりチン」だ。

それにねえ・・・・
ジャックは「年に数回、数日会えるだけ」と寂しさを訴えるが、私にしてみれば「年に数回も
二人っきりで数日間過ごして性行為がある」ならそれで充分じゃないの????
ゲイ、ホモ、同性愛がおおっぴらにできない社会ならそういうパートナーとめぐり合えただけ
幸せだ。

実際の同性愛者は「渚のシンドバット」に出てきたようにノンケに恋してしまい、それを告白する
ことすら許されがたい状況なのだから。
「ベニスに死す」のように、遠くから見つめていることしか出来ない事だってあるのだ。
日本では未だにゲイは嘲笑の対象だし(それはテレビのお笑い番組を見ればわかる)、時折
深夜の公園での「ホモ狩り」と称する殺人事件がある。

この映画の二人が、再会しても会うこともままならず、時々手紙でやりとりするだけ、会っても
一瞬目を合わせるだけ、という位追い詰められた恋愛なら僕ももっと共感したかも知れない。

しかし現状のこの映画では僕には全然共感できませんでしたね。
もっとも「Yahoo」の映画評や、他のサイトの映画評では好評のようです。
しかもノンケだけでなくゲイの人でも誉めている。
いや他の人がなんと言おうと俺はダメだけどな。



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日本沈没


日時 2006年3月19日15:00〜
場所 シネマバー・グリソムギャング
監督 森谷司郎
製作 昭和48年(1973年)


「日本沈没」に関しては「名画座」に記載しました。



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ローラ殺人事件


日時 2006年3月19日
場所 DVD
監督 オットー・プレミンジャー
製作 1944年(昭和19年)

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ニューヨークで若い女性アートデザイナー・ローラが自宅で散弾銃で顔を撃たれて殺された。
刑事が捜査に当たり関係者に聞き込みを開始する。
まずは彼女の後援者で彼女が有名になるきっかけを与えた高名な批評家ウォルド、彼女の
婚約者シェルビー、彼女のおば・アンの3人だ。
3人とも疑惑があったが、確証がない。
シェルビーはモデルのビビアンとも関係を持っていたが、ローラと結婚するつもりだった。
しかしローラは実は生きていて、殺されたのはモデルのビビアンだったのだ。
顔がつぶれていたため、背格好が似ていたために間違えられていたのだ。
犯人は誰か?

数年前にポール・スミスというジャズピアニストの買ったCDに、「ローラ」という曲が
収められており、その曲がそのアルバムでは一番気に入った曲でライナーノーツに
「ローラ殺人事件」という映画音楽です、という解説があったので、前から気になっていた
映画だった。
ところがCDで聞いた曲は映画には流れてこず、不思議に思ってそのCDのライナーノーツを
読み返してみると、CDに収録されていた曲が映画に流れていたわけではなく、単なる
ポール・スミスのカバー曲だったらしい。
この映画を見て時間を損した。

犯人のほうは別に意外でもなんでもなく、最初から疑われた一人がやっぱり犯人だったという話。
同時代の「マルタの鷹」のように粋なセリフが登場するわけでもなく、特別に大きなトリックが
あるわけでもなく(一応凶器の散弾銃が意外なところに隠されたいた、というのはあるけど
それほど意外ではない)今の2時間サスペンスのほうがまともかなあ?

それだけ。
特に見所なし。



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巨大猿怪獣コンガ
KONGA


日時 2006年3月18日
場所 輸入版DVD
監督 ジョン・レモンド
製作 1961年(昭和36年製作)イギリス映画



アフリカに小型飛行機が墜落した。乗っていた乗客のデッカー博士は死亡したと
思われたが、1年後、奇跡の生還を果たす。
彼はアフリカの原住民から貴重な植物の情報を聞き出し、その苗も持って帰ったのだ。
その植物は動物を巨大化させるものだった。
彼はアフリカから持ち帰ったチンパンジーのコンガ(KONGA)にその苗から抽出した
液を注射した。チンパンジーは見る見るうちに倍の大きさになる。
しかし、彼の研究は危険だということで大学の学長から研究を止められる(多分)。
怒ったデッカー博士はコンガにさらにクスリを注射し、2mぐらいに巨大化させ、深夜に
学長を殺させる。
ロンドン警視庁も捜査を開始するが、さっぱり手がかりがつかめない。
デッカー博士のうちには長年家政婦であり、研究の助手だったオールドミスがいた。
この彼女がデッカー博士に結婚を迫り、博士も了承する。
やがてホームパーティが開かれ、そのパーティにやってきたインド人風にターバンを
巻いたタゴー(Tagore)教授が自分と同じ研究をしているらしいとデッカー博士は知る
(多分)
その夜、お互いの研究についてもっと語り合おうとタゴー教授に誘われ、教授の自宅に
向ったデッカー博士はコンガを連れて行き、タゴー教授を殺させる。
デッカー博士は大学で講座を持っていたのだが、そこには美しい女学生が博士の研究に
熱心で、助手を願い出ていた。
若い女性に目がくらんだデッカー博士はその女学生をボーイフレンドから奪い取ろうと
ボーイフレンドに嫌がらせをする。ボーイフレンドのほうも嫉妬に狂ってつかみ合いの
喧嘩になるが、怒った博士はその晩またもやコンガに彼を殺させる。
女学生を家に招待する博士。しかし博士の新妻は嫉妬にくるい、コンガに殺させようと
さらにクスリを注射してしまう。
3階建てのビルぐらいの大きさになったコンガ!
博士の新妻はコンガに殺され、コンガは家の庭にある博士の植物研究のための温室に向う。
そこではデッカー博士が女学生に強引にキスを迫っていた。
コンガはデッカー博士をつかむ。女学生は温室の食虫植物に腕をくわえられてしまい、
逃げられなくなる。
博士の家の火災に駆けつける消防車。しかしそこには巨大猿となったコンガがいた。
警視庁に連絡が行き、軍隊も出動。
コンガはロンドン市街に向かい、ビッグベンの横で、軍隊からの総攻撃にあい一巻の終わり
となった。
欲にまみれたデッカー博士はコンガに殺されたのは言うまでもない。


大雑把に話を書くとこんな感じ。
ヨレヨレのB級作品だ。
実はアメリカでは去年の年末に本家「キングコング」の公開を当て込んでコングの亜流作品が
随分とDVD化された。(そのおかげでアメリカ版「キングコング対ゴジラ」や「キングコング
の逆襲」もツインパックで発売された)
この「KONGA」もそんな1本。「キネ旬データベース」で検索しても見つからないが
2,3の友人にこの映画のことを聞いてみると昔テレビでみた記憶があるという。
となると日本ではテレビのみ公開だったのかも知れない。
今回そのアメリカ発売版DVDを購入し、英語字幕で見たのだが、私の英語力でははっきり
わからなかったところもあるため、所々(多分)という書き方になってしまった。

DVDのジャケットを見るとロンドンのビックベンと巨大猿がツーショットで収まっている。
見るからにキングコングのパクリなわけで、はっきり言ってジャケットを見て買った次第だ。
しかしここまでヨレヨレの映画だとは思わなかった。

だってさあ、コンガはなかなか巨大にならないのだよ。
2mぐらいの大きさになって連続殺人をするのだからどっちかというと「モルグ街の殺人」だ。
30分作品で「ウルトラQ」か「トワイライトゾーン」の1本だったら面白かったかも知れないが
1時間半の映画にするのは無理がある。
結局は名誉欲と色欲に取り付かれた博士がやっぱり嫉妬に狂ったオールドミスに殺されちゃうん
だからなあ。

しかも巨大化するのは最後の5分ぐらいだし。
街を壊す予算がなかったのか、群衆シーンとコンガのカットバックとわずかな合成しかない。
んで戦車や飛行機との対決になるかと思ったら、一個中隊ぐらいの重機関銃とバズーカ砲と
機関銃の乱射でやられちまうんだもん。
でもやられるときはビッグベンの横に並んでやられるのだから、一応は「有名どころの建物と
ツーショット」という怪獣映画のセオリーは踏んでくれたからやや許す。

でもやっぱりヘロヘロヨレヨレ映画だったな。
そういう映画が決して嫌いではありませんが。



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救命艇


日時 2006年3月18日
場所 DVD
監督 アルフレッド・ヒッチコック
製作 昭和19年(1944年)


アメリカからイギリスに向う客船が大西洋でドイツUボートの魚雷によって
沈められた。
生き残った人々は救命ボートに集まる。そこには女性ジャーナリストや
大企業の社長、船員、看護婦、水兵らがいる。
しかしもう一人予期せぬ遭難者がやってくる。なんと反撃を受けて沈没した
Uボートの乗組員だった。
ドイツ人に対し不信感を抱きながらも運命共同体として彼らはフロリダ方面
に向おうとする。
しかし、一人が沈没の時の怪我が悪化し足を切らなければならなくなる。
ドイツ兵が自分は戦前は医者だった、自分ならなんとかできると言い出した。
不信感の中、仕方なくそのドイツ兵にその場での手術を依頼するのだが。

ヒッチコックの実験的サスペンス。
何しろ舞台は狭いボートの中のみ。オープニングは船が攻撃にあった後で
わずかに海の上に頭を出している煙突が沈んでいくところから始まる。
そしてスクリーンプロセスを駆使した洋上のボートのみでドラマは進行する。

話の中心はやはり最後にやってきたドイツ兵が信頼に値するかということだ。
何しろ戦時中の映画だ。ノルマンディー上陸作戦が1944年6月6日だから
形勢は連合軍に有利とはいえまだまだ戦争中だ。
いや、形勢はどうあれドイツ人に肉親や友人知人が殺された人がいることが
珍しくない時代だ。
そんな中、ドイツ人は信頼に値するかということが話の中心になる映画を作るのは
ものすごい余裕だ。
「そんなの信頼するに足らん!殺せ殺せ!」となって当然なのに。

結局手術をドイツ人に任せるのだが、嵐に遭いいつの間にかドイツ人が
リーダーシップをとるようになる。
彼は実はコンパスを隠し持っていて、彼一人正確な方角を知っており、船を友軍の
補給船の進路へと向わせていたのだ。

最後まで書いちゃうけど、手術の件で一旦はドイツ兵を信頼したアメリカ人たちだったが、
ドイツ兵が実は水や栄養剤を隠し持っていたと知る。
そしてドイツ兵に対する不審が頂点に達した人々はドイツ兵を海に投げ込んでしまう。
だが、今度は目の前でドイツの補給船が攻撃される。再び別のドイツ兵がボートに
転がり込んでくる。
補給船を攻撃した友軍船が近くにいるのだから彼らは助かる見込みを暗示しつつ、
再びやってきたドイツ兵を「彼を人間として扱うべきか?」と疑問を感じるところで
映画は終わる。

戦後の映画ならそれでも普通だが、最初にも書いたけど、1944年の映画。
ヒッチコックをはじめとする映画人の苦悩をも感じられる。
またこういう映画を作れてしまうアメリカのすごさも同時に感じた。



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力道山


日時 2006年3月12日13:15〜
場所 テアトル新宿
監督 ソン・ヘソン

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戦時中、相撲部屋で朝鮮人という理由で先輩力士からいじめにあっている力士がいた。
彼は部屋のタニマチの菅野(藤竜也)の目の止まるところとなり、力道山の四股名をもらう。
戦後、彼は持ち前の負けん気で順調に勝ち進んだが、朝鮮人であるという理由で
大関昇進は見送られる。
彼はバーで出会ったハロルド坂田の勧めでプロレスの世界へ。
そしてアメリカに行きプロレス修行をし、大成功を収める。
そして日本でプロレスをはじめ、大人気となるのだが・・・・

圧倒的迫力の映画。
力道山の困難に立ち向かうハングリーな迫力の生き方にはただただ圧倒される。
常に敵に向かって戦い続ける強い男の物語だ。

朝鮮人差別、相撲界という閉鎖的な組織、そして自分の地を求めてプロレス界へ。
菅野に目をかけてもらうときのように時にはハッタリも必要。
しかしトップに立ったら立ったでまた敵は増える。

彼はただ笑いたかっただけ。成功して笑いたかっただけ。
しかし心から笑える日は訪れない。
戦前戦後の日本を生き抜いた壮絶な男の物語。
男なら、その強さ(肉体的な強さだけでなくその生き方も含めて)に憧れるのは当然。

力道山を演じるソル・ギョングがすばらしい。
プロレスラーの肉体を作っただけでなく、日本語もほぼ完璧。こんな俳優見たことない。
またタニマチを演じる藤竜也の貫禄がすごい。
ここ2,3年活躍が目立つが、彼の最近の代表作になるのではないか。
最近、日本では貫禄のある俳優が少ないが、藤竜也には今後もその貫禄を生かした
大物役を演じてほしいものだ。

同時に戦前、昭和20年代、30年代を再現した美術もすばらしい。
「ALWAYS」なんていう甘っちょろい映画に感動する暇があったら、この映画を見ろ!
この強いドラマにひきつけられてやまない。
(もっとも事実には正確ではないようですから、その辺割り引いてみる必要もあるらしいですが)




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ウォーターズ


日時 2006年3月11日20:15〜
場所 新宿武蔵野館3
監督 西村了

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最近の日本映画を見ていると(実際に見なくてもチラシとか見ると)一体何の
目的でこの映画を作ったのだろうか?と思うことがある。
ベストセラーを映画化するとか有名スターが出てるとかとかいう何か金を稼ごうと
言う意図もない、監督の半ばわがままで作ったというような(よい、悪いは別にして)
作り手の創作意欲も感じられない、まるでやる気のない映画に出くわすのだ。
そういった映画は実際に見ないからこのサイトでも紹介されないのだが、見る前から
そんな印象を持っていたのがこの映画。

そうは言っても私は見たのだから多少は魅力があったからだ。
出演しているのが、小栗旬、松原敏伸などの今売り出し中の若手俳優だから。
まあ小栗はそれほどでもないのだが、松原は「きょうのできごと」で池脇千鶴にいじめられる
美青年を演じていて、その後どうしているか気になっていたのだ。

でもねえ。
見てる最中からもうとにかく詰まらんのだよ。
腹が立つ、というより「なんでこんなお客も入りそうもなくつまらない映画を作るのだ?」
という疑問ばかりが頭をかすめる。

お話のほうは「路上パフォーマンス」をやっている小栗旬を中心としてホストになろうと
面接して店長に「保証金」をだまされた男達が自分達でホストクラブをやろうとする、
という内容。
これがさっぱり面白くない。
「ホストの内幕もの」という内容ならホスト業界の裏の事情をそれこそ細かく取材して
脚本を作ったならともかく、脚本家は多分ホストクラブには1回ぐらいしか行ってないだろう。
ホストではないがテレビドラマの「お水の花道」のほうがドラマとしては数段面白かった。

歯の浮くようなありきたりなセリフの応酬で、特に最後の元銀行員と山口沙弥加の
最後のやり取り(「お金が泣いています。このお金は紙でできた涙のように見えます」)
というあたり、観ていた女性客は失笑してました。

また小栗旬が「一番大切なものは?」と問われて答えるのが「仲間」。
パンフレットによると監督がテーマにしたのは「友情」。
あのなあ、チープな青春ドラマを見てるようだ。それも学園もの。
こういう「仲間」とか「友情」とかを何の疑問もなく口にできるのは、中高生までである。
その辺の世代がこういうならともかく20歳過ぎた青年が口にしちゃいかんよ。
まるっきり子供だ。

そんな感じで高校生が書いた脚本みたいな内容で、しかも出てくる客が「結婚式ビジネス」
で急成長したベンチャー企業の社長達だけだ。
この辺に制作費のなさを感じてしまう。

もう少しこうすれば、と思うところもあるのだが、やる気のない製作姿勢の前では何を言っても
無駄だろう。
かつての量産体制の中で流れ作業的に作ったならともかく、そういう時代でもないしなあ。
もう少しまじめに映画作れよ。
こっちはお金を払うんだから。



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逃走迷路


日時 2006年3月5日
場所 DVD
監督 アルフレッド・ヒッチコック
製作 1942年(昭和17年)


「逃走迷路」に関しては「名画座」に記載しました。


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