2001年9月

ウォーターボーイズ テルミン
不思議惑星キン・ザ・ザ 忘れられぬ人々
宇宙大怪獣ドゴラ チェブラーシカ

ウォーターボーイズ


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日時 2001年9月29日 18:50〜
場所 新宿文化シネマ1
監督 矢口史靖

この映画のことを知ったのは確か「ムルデカ」を観にいった頃だと
思う。その頃から結構期待していた。

だってさあ、10代の高校生たちのビキニ姿のオンパレードでしょ。
しかもみんな引き締まった水泳体型。
それだけでも充分楽しむ価値はあるってもんです。

オープニングの妻夫木聡くんの競技会のシーンからしていいじゃありませんか。
痩せた美少年ファンとしてはたまりません。
ストーリーなんか半分どうでもよくて、妻夫木くん(ブッキー)や
他の4人のメンバー水着姿ばかりを楽しみに見ておりました。
特にゲーセンのシーンでTバックのブリーフをはいた三浦君がいいですね。
あとゲイの早乙女君も可愛い!!

この辺に関してはキリがないのでやめますが、
ストーリーとしては最近はなかった弱小スポーツチームがだんだん強くなる
というよくあるスポーツ映画。
自分にとってはこのジャンルの名作と言えばウォルター・マッソー、テイタム・オニールの
「がんばれ!ベアーズ」があるんだけど(「ベアーズ」の音楽だった「カルメン」が
この「ウォーターボーイズ」にも使われていた。偶然?)
「ベアーズ」のときほどラストが盛り上がらない。

なぜかを考えたが「ベアーズ」は野球の試合なので最後に勝つか負けるかが
一種の緊張感を生む。
しかし今度は敵のない「発表会が成功するか?」だからか。
いやそれにしても、「最後まで練習してもうまくいかなかった技が出来るか?」とか
そういう緊張感がないのが惜しい。

歌も「学園天国」じゃなく、同じフィンガー5の「恋のアメリカンフットボール」にして、
歌詞の通りに「うまく出来たらキスをしてもらえる、失敗したら
女の子は他の男に取られてしまう」というようなダブルの緊張感が欲しかった。

ラストのシンクロシーンは実際に俳優たちが1ヶ月半近く合宿して
練習した賜物だ。
この辺をきっちり作ったのは評価したい。
でも5人でやってた頃に比べ、ラストの発表会になって急にうまくなりすぎてるのが
ちょっと唐突。
それからブッキーも彼女とうまくいきすぎ。
ライバル出現とかもう少し波乱があってもよかったんじゃないかなあ。

最近ない明るい青春コメディだっただけに、この辺のひねりがないのが惜しい。
もう少しで今年のベストワンになったかも知れない作品だった。
本当に惜しい。



でも最近の青春もの、スポーツものって「ゲイキャラ」が定番になってきてるような気がする。
「ネバーランド」「卓球温泉」とか)気のせいかなあ。
これをゲイが市民権を得てきたと喜ぶべきか、ゲイを嘲笑の対象としてると見るべきなのか。
この辺の判断がちょっと難しい。

あと関係ないけど、去年の秋撮影して1年経って公開か。
今年のゴールデンウイークぐらいには公開させてあげたかったですね。
昔は作れば公開できたようなもんだったが、特に最近は作ってからの方が
大変なような気がする。
(橋口亮輔監督、高橋和也、田辺誠一主演のゲイ映画「ハッシュ!」とかさ)

もう一つ関係ない話をすれば「この映画がゴールデンウイークに公開されてたら、
知名度も上がっていて参議院に当選できたかも知れないな」と悔しがってるんじゃないかなあ、
フィンガー5の長男。


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テルミン

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日時 2001年9月29日 15:10〜
場所 恵比寿ガーデンシネマ
監督 スティーブ・M・マーティン

文化放送で夕方4時から「野村邦丸の気分はZUNZUN」という
ラジオ番組をやっていて移動中の車でよく聞くんだけど、
その中で世界初の電子楽器「テルミン」の紹介をしていた。
で先週「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観にいったら
発明者レオン・テルミンについての映画を上映中とのことで、
早速見てみた。

映画そのものは1900年代初めにニューヨークで活躍した
ロシア人テルミン博士を良く知る関係者の証言を集めたもので
それほどの映画ではないのだけれど、
折りたたんだライティングデスクを2回り小さくしたような
「ポヨヨヨヨヨ〜〜〜〜〜〜〜ン」と昔のSF映画に恐怖の効果音として
使われていた楽器の演奏風景が面白い。
詳しくは私のつたない説明より公式HPをご覧になった方がよくわかるだろう。

映画の中でテルミン博士が30代前半の時にテルミン奏者でお気に入りだった
18歳の女の子にバースデープレゼントに贈った「人が近づくと回転するケーキ」
というのがユーモラスだ。
あんなのを女の子の誕生日に贈るなんて粋だなあ。

その後KGBに軟禁されて軍事研究をやらされたらしい。
このあたりが「ソ連はひどい国」「KGBは悪の謀略機関」という
イメージ通りですね。

ラストシーンで95歳になったテルミン博士とその18歳だった女の子が
80歳になって再会する。
でもふたりの会話を聞いていると、ばあさんはしっかりしてるが、
テルミン博士は相手が誰なのかわかってないんじゃないかと少し不安になった。
(会話が少し噛み合ってない気がしたんだよね)

まあ映画は見なくても公式HPを見ればテルミンについては
一通りわかるので、一つ利口になれます。
HPを見れば充分って感じもするんですよね。


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不思議惑星キン・ザ・ザ

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日時 2001年9月23日20:30〜
場所 ユーロスペース
監督 ゲオルギー・ダネルヤ

「チェブラーシカ」を観にいった時の予告編でやっていた映画がこれだった。
内容を少しだけ紹介すると
「モスクワのある中年男が街角で異星人と名乗る男に出くわす。
それを信じない中年男だが、その異星人が持っていた空間移動装置を触ったとたん、
隣にいた青年とともに砂しかない惑星キン・ザ・ザに来てしまう。
この星の住人の間では「クー」という不思議な挨拶をしなければならないなど
地球とは全く違う習慣、文化をもっており戸惑うばかり。
果たして青年と男は無事地球に帰れるか」
といった内容だが、もちろんソ連映画なので
ハリウッド映画みたいなアクションサスペンスにはならない。

ハリウッドなら最初の惑星への空間移動を特撮を使って表現するだろうが、
(予算もなかったらしいが)夕方のモスクワから一瞬にして砂漠の景色に
なってしまうとこなど、かえってシンプルで逆に
主人公の「一瞬にして移動してしまった戸惑い」が表されていて
私は好きだ。

全くの異文化でふざけた形をした釣鐘型の空飛ぶ物体とか、
変な挨拶とか止まった観覧車みたいな建物とかペースの狂う事ばかりだ。
またマッチが異常に高価なものだったり、全体的にものすごくシニカルでユーモラスだ。

パンフレットなどを読むとキンザザの不条理な世界は旧ソ連社会の強烈な風刺らしいが
その辺を知らなくても地球人にはわからない不条理な社会は思わず笑ってしまう。
「クー」のポーズもそうだが、檻に入って弾けないバイオリンを弾きながら
無茶苦茶な歌を歌うとこなど爆笑を誘う。

ふたりのキンザザの人間と騙し騙され腹を探り合ってきた彼らだが
最後には友情を感じさせてさわやかだ。
またラストシーン、らせん状になったストーリーでまた最初に戻ってきたが
あることを(ここは一応伏せる)きっかけに中年男は「クー」をしてしまう。
中年男と青年は再会する。
やはりキンザザの記憶は現実なのだ。でも彼らはその経験から成長している。
いきなラストシーンだ。

なかなか見ごたえのある作品。
カルト的な人気があるのもうなずける気がした。
2時間10分は少し長くて冗長な気もするけど、見終わったら絶対に
「クー!」したくなります。

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忘れられぬ人々


日時 2001年9月15日 18:50〜
場所 テアトル新宿
監督 篠崎誠

この作品、予想以上の名作です。

実は私は三橋達也のファンのなのだ。
東宝時代のスマートな2枚目ぶりが大好きで。
私にとっての彼の代表作は岡本喜八監督「地獄の饗宴」。
和製ハードボイルドミステリーの名作だと思う。
次は「トラ!トラ!トラ!」「連合艦隊」などの航空参謀役などが好きな作品です。
その三橋氏の久々の主演映画ともなれば見なければなるまい。

正直言って期待はしてなかった。
ポスターなんかほのぼのとした感じで、しかも監督は37歳と聞けば、
(最近の日本の若手監督は信用していないので)
「また小津映画のオマージュみたいな自己満足的な作品なんだろうな」
と思っていたので。

とんでもない間違いだった。
かなり骨太な映画だ。
最初の方で街を見下ろす高台に立ち老人たちは言う。
「随分変わっちまった。最近の若い奴はなんだい?
あんな奴らのために戦ったんじゃねえや」
その若い奴らの一人として遠藤雅の就職に困った若者が登場する。
また最近の日本を震撼させた「オウム真理教」やその他のカルト教団を
連想させる悪徳集団が登場する。

こういう悪徳集団を生ん出しまった日本を作った自分たちの責任として
再び彼らは戦うのである。
また彼らの戦争体験が回想シーンとして登場する。
若い世代が戦争シーンを描く事に不安があったが、
洞窟に迫る火炎放射機、「自分を殺してくれ」と迫る戦友など
説得力ある描写だ。
パンフレットを読むと篠崎監督は私も大好きな深作欣二監督「軍旗はためく下に」
に深く感銘を受けたという。
それでわかった。
この監督は私と(映画鑑賞では)同じ体験をしている。
だからこそ理屈でなくわかる部分も多い。

豊田商事事件など日本人は金だけだが全てというような拝金主義になってしまった。
カルト集団が登場するが、オウムの上祐史裕などと監督は同世代。
上の世代が戦争を潜り抜け、苦労して作った戦後日本を
汚してしまうような集団が、監督と同じ世代の者が中心となっていることに
贖罪の意識があったのではないか。

だからこそ上の世代に対するお詫びとして、その間違った部分を
老人たちに直させる映画を撮ったのではないか。

そして三橋達也は戦友の形見として持ち帰ったハーモニカを
今度は戦友を殺したのと同じ米軍の兵隊の子供に渡し、
次の世代に渡したい戦争のない国への願いをたくすのだ。

なかなかの名作です。
「明るくて楽しくてハッピー!」しか考えてないような若手監督ばかりではない事が
わかり、それが何より嬉しかった。

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宇宙大怪獣ドゴラ


日時2001年9月15日 
場所 TSUTAYAレンタル
監督 本多猪四郎

昭和39年製作の東宝の怪獣映画。
このビデオを借りたのは例のNYのワールドトレードセンタービルテロ事件の前。
事件後ではこのような破壊スペクタクルの映画など見る気にはなれない。
怪獣映画の醍醐味は「みんなが良く知ってる建物が破壊される
現実にはありえないスペクタクルだ」と思っていた。
しかし現実に起こってみるとそんな気にはなれない。

気を取り直してみてみる。
あまり有名な作品ではないので期待してなかったが、
キャストは東宝の常連で占めていてなかなか豪華。
夏木陽介、藤山陽子、小泉博、田崎潤、天本英世、中村伸郎、
田島義文、藤田進、若林映子の面々。

何であまり語られる機会がないかを考えてみたが、
特撮の見所が少ない。
まずタイトルにあるドゴラだが、アメーバ状の宇宙生物で、
空にふわふわ浮いてるだけで形がはっきりしないため、キャラクターとして
まず弱い。
そしてゴジラではお決まりだった東京などの都市の破壊はなく、
九州の大きな橋が空に吸い上げられるくらい。
そしてドゴラも蜂の毒に弱いという設定で、人工の蜂の毒を
空中から散布し退治するという退治方法で画的に派手さがないんだな。

ストーリーも対ドゴラと並行して国際的なダイヤ窃盗団が登場し、
(東宝お決まりの怪しげな外人も登場する)まるで
怪獣映画と『国際秘密警察シリーズ』をあわせたようなノリ。
この辺のストーリー二本立てが不満だったが、
「東宝特撮全史」の解説を読むと、この作品以後、
対怪獣のメインストーリーと他のサイドストーリーという
ストーリーの二本立てという路線が始まったそうだ。
後期のゴジラが対怪獣だけのストーリーでないのが不満だったが、
作り手としてはワンパターン化を避けたかったのだろう。
(2001年3月に見たアメリカ映画「オクトパス」の二本立てストーリー
はこの作品あたりからの影響と言えるかもしれない)

派手さはない作品だが、東宝怪獣映画史の研究には見る価値がある作品でした。

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チェブラーシカ

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日時 2001年9月2日16:00〜 
場所 渋谷ユーロスペース
監督 ロマン・カチャーノフ

このHPの別館として「はらショー!サーシャ」という
NHK「ロシア語会話」という番組に出演中の塩田貞治くん
の応援ファンサイトをやってるもんで、その番組で紹介されたり
したから見た。

「わー、地味な映画だなあ」と言うのが率直な感想。
正体不明の可愛い動物「チェブラーシカ」わにの「ゲーナ」などが活躍する
1本20分のパペットアニメを3本をあわせたオムニバス映画なんだけど、
本国ロシアでは大ヒットし、キャラクターグッズも売れ、知らない人はいない
ぐらいに有名らしい。

ロシアではテレビでゴールデンタイムに放送され大変な人気だったと言う事なので
きっとあと何十本もあるんだろうなと思ったら今回公開の3本と今回公開されなかった
10分ほどの短編1本の計4本しかないらしい。

確かにチェブラーシカは可愛いし、わにのゲーナもなかなか魅力的なキャラクターだ。
しかしたった3本の短編しか存在しないキャラクターにそんなに人気が集中するとは?
やっぱりそれだけ娯楽が少ないんでしょうか?
旧ソ連時代のことなので、いまとはまた違うんだろうけど、
なんだか「寒くて暗くて貧乏で物がなくて、映画は長くて暗いのが多い」っていう
私のロシアに対する偏見のまんまがしてしまいました。

実際のところどうなんでしょうね、あの国は。

そんなことより予告篇でやってた「子供のいない夫婦が木の切り株を子供として育てる」
という円谷プロの「怪奇大作戦」的なチェコ映画「オテサーネク」、
「中央アジアのド田舎に少年を乗せたUFOが落っこちてきた!」という
ウズベキスタン映画「UFO少年アブドラジャン」、
怪しげなソ連SF映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」とか摩訶不思議なSF映画が公開予定で
こっちの方が楽しみですね。
実は今までユーロスペースって縁がなかったんですが、これからは通ってみようかな
って気になりました。

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