南の島に雪が降る | ハリー・ポッターと秘密の部屋 | 森の石松幽霊道中 | ナバロンの要塞 |
松川事件 | 海軍特別年少兵 | 眼下の敵 | 黒の超特急 |
原子怪獣現る | ブレードランナー | たそがれ清兵衛 | 火星超特急 |
9デイズ | ピカ☆ンチ | スターシップ・トゥルーパーズ | 荒野の七人 |
OUT | 吸血鬼ゴケミドロ | 恐竜・怪鳥の伝説 | 月世界征服 |
南の島に雪が降る日時 2002年11月30日 場所 録画ビデオ(衛星劇場) 監督 久松静司 (詳しい内容はキネ旬データベースで) 太平洋戦争末期、ニューギニアの部隊では内地では 役者をしていた加藤軍曹(加東大介)がいたことから 兵士の士気高揚のため演劇慰問部隊がつくられることになった。 各部隊から演芸に腕の憶えのあるものが続々と参集。 いよいよ第1回公演。衣装の着物や舞台装置の桜に 故郷を思い出し涙を流す兵士たち。 第1回公演は成功し、本格的な劇場が建設される。 やがて司令官から舞台上で雪を降らす演出を依頼される。 東北出身の兵士は泣きながらその雪を見ながら死んでいった。 主演、加東大介の実体験の映画化。 加東大介が自身を演じている。 出演は他に有島一郎、桂小金治、伴淳三郎、渥美清が演芸部隊の隊員、 ゲスト的にフランキー堺、三木のり平、小林桂樹、森繁久弥。 キャストを見ていただければ解ると思うが戦争映画というより 喜劇映画の側面が強い。 演芸部隊を編成するいわゆるオーディションのくだりとか、 田舎芝居しか出来ない伴淳三郎、エノケン一座のメンバーと偽る 渥美清など笑える。 ただし、全面的な喜劇ではなく、笑いの中から涙が出てくるという 「面白ろうてやがて哀しき」という言葉がぴったりの映画だ。 フランキー堺が手を怪我して昔のように弾けなくなったピアニストの役で 登場だが、たまたま演芸部隊の前を通りかかりピアノを弾かせてもらう。 彼は手を怪我しているので曲によっては弾けなかったりするのだが それでも懸命に弾き続ける。 数ヵ月後、フランキーの戦友(小林桂樹)が慰問部隊にやってくる。 慰問部隊の兵士が小林桂樹にフランキーのことを元気かと尋ねると 「あいつは死んだよ。でも生涯で一番いい演奏が出来たと喜んでた」 と答える。 このとき小林桂樹が実にあっさり答える。でもこのあっさり答えるところが 「死ぬのが当たり前の日常」を表していて逆にインパクトが強かった。 でもラストが「東北出身の兵士が芝居を見ながら息を引き取る」というものだが、 盛り上がりがイマイチなのが惜しい。 映画としてはもう少しクライマックス的な展開が欲しかった。 加東大介の手記に基づく話だけに作りにくかったのかも知れない。 「面白ろうてやがて哀しき」そんな表現がぴったりの社長シリーズの 面々による戦争映画だった。 (このページのトップへ) ハリー・ポッターと秘密の部屋日時 2002年11月28日 20:10〜場所 新宿ミラノ座 監督 クリス・コロンバス (公式HPへ) 昨年に引き続き、ヒットシリーズ第二弾。 ホグワーツが夏休みの間、意地悪なおじさんの家に帰っていたが、 新学期が近づくとトビーという小汚いない妖精がやってきて ホグワーツに帰ると悪い事が起きるからやめろという。 夏休みの後半は親友、ロン・ウィズリーの家で暮らした ハリーだったが、ホグワーツに出発の日、列車に乗り遅れてしまう。 そこでロンの家の空飛ぶ車で学校に向かう。 というここまではほんのオープニング。 この後、ホグワーツ学校では次々と不思議な事件が起こり それがこの学校の開校時の伝説とつながり・・・・ という感じで前作に続く面白さ。 2時間41分という長尺だけど見ていてホントあきない。 でも登場人物の説明とか一切なく、また前作に登場したシーンの話が 出てきたりするので前作を見てないと解りづらいだろう。 前作のレビューでも書いたけど、ブリティッシュトラッド・ファッションに レトロな建物、小道具で見ていてホッとしてくるものがある。 またCGによる映像技術も「スターウォーズ」のようなあざとさ(わざとらしさ) がなく、物語と溶け込んでいる。 この映画にとって21世紀の映像技術で映画化されることは 全く幸運だと思う。 原作は2000年代じゃなくても1950年代でも書く事は 出来たお話だが、当時の映像技術ではこうは成功しなかったろう。 主演のダニエル・ラドクリフのよさは改めて言うまでもないのだが、 今回、親友のロン・ウィズリーのルパート・グリントがよくなった。 前作では「ただのボケな奴だなあ」という印象しかなかったのだが、 キャラクターも前作よりはっきりしてきたし、ルパート・グリントの 好演もあって「ハリーを助ける親友」というキャラが立ってきた。 特にラストの食堂のシーンで、助かったハーマイオニーがハリーに 抱きついたあと、ロンとは握手するところの表情などなかなか見せ場を さらっている。 今後、ロン・ウィズリーの活躍も楽しみの一つだ。 あとハーマイオニー(エマ・ワトソン)が後半、石になってしまったため 活躍がないのが残念。 それと新キャラクターのロンの妹とか、ハリーにあこがれる新聞部(?) の新入生がもう少し説明&活躍が欲しかったな。 時間の関係で出来なかったとは思うけどさ。 というわけで今後の大予想。 すでに発売されている第3作、第4作は読んでないので読んだ方には 大笑いされるかも知れないのだが、大胆予想です。 そのうちハリーの両親の話も出てきて今まで両親だと思ってきた人は 実は違うという噂がたちます。そして本当の親は誰かという事になり スリザリンのドラコと兄弟ではないかと疑い出しちゃったりするわけで。 一方、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三角関係も微妙になり ロンもハーマイオニーが好きになり、ロンの妹がハリーを好きになり 関係は複雑になって、結局ハーマイオニーはロンと結婚し、 ハリーはロンの妹と結婚するのではないか??? 熱心なファンの方、笑い飛ばしてください。 第3作がますます楽しみになってきました。 あっそうそう、エンドロールがすべて終った後、ちょっとしたオチがありますので くれぐれもお見逃しなく! エンドロールの途中で帰っちゃうとちょっと損をします。 (このページのトップへ) 森の石松幽霊道中日時 2002年11月25日 場所 録画ビデオ 監督 佐伯幸三 製作 1959年(昭和34年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 暴れん坊の石松(フランキー堺)はヤクザになりたくて勘介親分(山茶花究) の喧嘩の助っ人をする。喧嘩の働きもあり勘介親分の子分になったと喜んだのも つかの間、代官所に捕まりそうになる。勘介親分が石松を売ったのだ。 それに腹を立てた石松は今度は清水次郎長(加東大介)の子分となる。 ある日石松は次郎長親分より金毘羅代参を命じられる。 そして途中伊勢によって伊勢の武蔵屋に手紙を届けるように言われる。 手紙は近くおこる武蔵屋と黒田屋の喧嘩に関する重大な内容だという。 途中、故郷に寄った石松だったが幼馴染のお清は死んでその赤ん坊が 石松の手に残された。そのままにしておくわけにも行かず、赤ん坊連れで 伊勢に向かう石松。石松を狙うヤクザもいる中、果たしてどうなる? 武蔵屋と黒田屋の喧嘩の勝敗はいかに? さすがに最近はなくなったが、一時は忠臣蔵と並んでよく製作された 「森の石松=清水の次郎長」もののフランキー堺主演のコメディ。 と言ってもあんまり笑えない。 今だから笑えないのではなく、もともとあんまり面白くなかったのだろう。 CSの「衛星劇場」で見たのだが、実は番組表の出演者欄に 「フランキー堺、鶴田浩二」と二人の名前があったので、 「鶴田が何かギャグというか面白い事でもやってくれるかも知れん。 だとしたら掘り出し物だ!」と期待して観たのだが、鶴田は次郎長の子分で 石松の兄貴分。 でも最初と最後の喧嘩のシーンぐらいしか出てこないのだよ。 いつもの2枚目でいいところだけさらっていく感じ。 やっぱり鶴田がコントをやるなんてありえなかったな。 でも旅の途中から登場する石松の懐の金を狙うお雪(八千草薫)なんだけど、 これが魅力的なんだなあ。 若い頃の八千草薫はきれいで勝気でちょっとお転婆で品があってと すごくいいんですよ。 同時代に見てたら絶対ファンになってますね。 この頃の彼女の映画はもう少し見てみたいです。 あとは石松の夢のシーンで村祭りでやぐらの上で太鼓を叩くんだけど、 それが和太鼓をドラム風に並べたのをフランキーがたたきます。 さすが元ジャズドラマーらしいシーンで楽しめましたね。 なおこの後の旅の続きを描いた「暴れん坊森の石松」 という作品があるらしい。多分まとめて企画されたのだろう。 昭和30年代の添え物映画ってこんな感じのが多かったのだろうな、 と思わせてくれる1編でした。 (このページのトップへ) ナバロンの要塞日時 2002年11月24日22:00〜 場所 NHK教育 監督 J・リー・トンプソン 製作 1961年(昭和36年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 1943年、エーゲ海はドイツ軍が制海権を握っていた。 カロス島に残っている英軍守備隊2000名を救出するには ナバロン島の沖合いを通過するしかない。 ところがナバロン島には難航不落の要塞に備えられた2門の巨砲がある。 この巨砲がある限りカロス島にはたどり着けない。 航空機からの攻撃も試みられたが失敗に終った。 そこで最後の作戦として、フランクリン少佐、マロリー大尉(グレゴリー・ペック) ミラー伍長(デビット・ニーブン)らを潜入させることにする。 独軍のカロス島総攻撃まであと1週間。彼らはそれまでにナバロンの巨砲を 破壊する事ができるか?! 言わずと知れた戦争アクション映画の名作。 この映画は中学生ぐらいにテレビの洋画劇場でも見ているが、あんまりいい記憶が なかった。しかし改めて観てその面白さを実感した。 今回ノーカットで見たが、地上波の2時間枠放送ではきっとズタズタの カット版だったのだろう。 (オリジナルの上映時間は2時間40分弱なのだから) ナバロン島に到着するまでに英軍の中のスパイがいたり、航行中に船のドイツ軍に よる検問、上陸時の暴風雨、その嵐の中での断崖の登頂、フランクリン少佐の 怪我、ドイツ軍に逮捕、脱走、仲間の裏切り、要塞への潜入、第一の爆弾の 発見、なかなか爆発しない第二の爆弾などなど危機また危機、逆転逆転また 逆転と形成がくるくる変わる面白さ。 今見るとスピード感では多少見劣りする感じもあるが、それにしても 脚本の出来がよいので今でも充分通用する面白さだ。 そしてこの作戦のメンバーそれぞれが抱える戦争に対しての疑問などの ドラマを含みつつ映画は進行する。 この辺のそれぞれの人物の性格がドラマの緊張感を増幅させている。 そしてラストのナバロンの巨砲が大爆発とともに海に落ちていくシーンでは 思わず「やった〜〜」と叫びたくなる。 連合軍が善玉、ドイツ軍が悪玉、と善悪がはっきり付けられた娯楽戦争映画を 作れた時代の名作。 面白かった。 (このページのトップへ) 松川事件日時 2002年11月24日 場所 録画ビデオ 監督 山本薩夫 製作 1961年(昭和36年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」の映画中にも登場した 松川事件の映画化。 昭和24年8月17日未明、福島県松川駅付近で列車脱線事故が起きた。 犯人として元国鉄職員赤間勝美をはじめ、国鉄労組組員10名、 東芝労組組員10名が逮捕された。 1審では全員有罪、2審では3名無罪他有罪の判決であった。 2審判決の日、裁判所はそれを不服とする被告、及び弁護団により 大いに荒れた。 その後、最高裁より高裁に差し戻しが命ぜられた。 差し戻し審の判決の日は近い。 映画はここで終る。 「松川事件」については詳しくはネットで検索されたい。 私がここで説明するより正しく詳しく理解できるだろう。 映画の製作は1961年(昭和36年) そして8月に差し戻し審の判決があり、全員無罪となるのだが、 映画はその判決前に製作されたので、映画のラストではまだ 被告の判決は確定されていない。 製作資金4千5百万円は鑑賞券を事前に売りカンパにより集めるという まさに真実を追究しようとする強い意志がみなぎる映画だ。 前半の1時間は映画の裁判の中心となる赤間さんが逮捕されるに至る 経緯と供述調書の映像にしたものが描かれる。 後半の2時間は裁判の様子が丁寧に描かれていく。 証人各人の供述、及び裁判の証言を再現シーンの連続で 真実を伝えようとする真摯な態度がひしひしと伝わってくる。 しかし正直って「映画としては」あんまり面白くない。 裁判シーンなどは証人と弁護人、裁判長をくり返し映すだけで 画としては面白みに欠ける。 フィクションな付け加え等は全くないので、ドラマとしては 面白くないのだなあ。 宇野重吉、宇津井健、千田是也らのスター級の役者が弁護士として 登場するが裁判所の中で弁護活動するだけだし、見せ場がほとんどない。 あえて言えばラストの2審判決を不服とする被告、弁護団が裁判長 (加藤嘉)に抗議するシーンがテンポのある抗議の応酬で見ごたえが あった。 (「裁判官はニヤニヤ笑っており真面目な態度が見受けられない」などと 応酬する所など) 映画の製作目的が「この松川事件のデタラメさをできるだけ正確に 知ってもらいたい」ということが目的だったろうから、あえて フィクションやドラマを付け加えるような誇張は避けたと 想像される。 でも松川事件も全員無罪となり、解決した今見るとちょっとしんどい。 その点「証人の椅子」は映画としての面白さもありよく出来ていた。 出演者は刑事に西村晃、検事に永井智雄、多々良純など。 西村晃はこういった意地悪な刑事役をやらせればピカイチだが この作品でも本領発揮。こんな刑事にねちねち追求されれば そりゃやってなくても「やった」って認めてしまいがちな 迫力があった。 いま同様の事件があったらマスコミはどう対応するだろう。 検察と一緒になって彼らを犯人にするだろうか? それとも真犯人の追及に向かうだろうか? 何しろマスコミは真実を報道しない。 売れる記事を報道するだけだからな。 (このページのトップへ) 海軍特別年少兵日時 2002年11月23日 場所 録画ビデオ 監督 今井正 製作 1972年(昭和47年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 太平洋戦争末期、「海軍特別年少兵」として14歳の少年たちが 軍人に志願する。 彼らの大半は貧農の子供たちであった。 厳しい訓練の中、時には自殺者を出しながら彼らは硫黄島に配属。 昭和20年2月、硫黄島は玉砕。彼らの若い命も散っていった。 東宝8.15シリーズ最終作。 8.15シリーズといえば「日本のいちばん長い日」「沖縄決戦」に代表されるように オールスターの大型戦争映画が続いていたが、今回はトップクレジットが 地井武男と佐々木勝彦というように全くのノースター。 で監督が今井正である。 この人の作品は数本しか見てないが、とにかく貧乏や戦争をテーマにした 作品が多い。 14歳にして戦場に向かっていった悲劇を真正面から何の照れもなく描き出す。 テーマが重く真面目なだけにこの作品を批判する事は、貧乏や戦争の悲劇を 理解しない極悪非道な性格と思われそうで思わず「いい作品だった」と 言わざるを得ない。 でも誤解を恐れずに言うならば「面白くなかった」。 別にこちらも「独立愚連隊西へ」とか「ナバロンの要塞」のような 戦争アクションを期待はしてません。 でもテーマの捉え方というものはあると思うんですよ。 「年少兵」をこう真正面に捉えられると「ああ悲しいね」で終わってしまう。 同じ年に製作された深作欣二の「軍旗はためく下に」の方が見る者に 与える影響は大きい(少なくとも私には) また同じ今井正でもこの前の作品「あゝ声なき友よ」の方が印象に残った。 要するにストーリーを引っ張っていく縦糸がないのだ。 「同じ年だが一方は貧乏で海軍年少兵を志願し、一方は金持ちの息子で・・・」とか 「戦後、元海軍特別年少兵の男があるきっかけで戦時中の記憶がよみがえる」とか (これでも面白くないか。あくまで一例ですから)同じ年少兵を扱うにしろ やり方をもう少し工夫して欲しかった。 山本薩夫ならもう少しうまくやったような気がするなあ。 その中で面白かったシーンを一つ。 小川真由美が年少兵の姉の役なのだが、女郎をしていて軍人から貰った 恩賜のタバコ(菊の紋が入った天皇から貰ったタバコ)をもっている。 ある時それを吸ってみるが火をつけてすぐに灰皿に置き、懐から 普段の自分のタバコを取り出し火をつける。 そこで一言、「やっぱり吸いつけてるタバコの方がおいしいわね」 今井正の天皇制批判のシーンだ。 ここはよかった。 (このページのトップへ) 眼下の敵日時 2002年11月23日 場所 録画ビデオ 監督 ディック・パウエル 製作 1957年(昭和32年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 第2次大戦下、大西洋を航行中のアメリカの駆逐艦はドイツの 潜水艦Uボートを偶然発見する。 Uボートは通常3隻の駆逐艦で攻撃を行うほどの手ごわい相手。 米駆逐艦対Uボートの対決が今始まる! 潜水艦物のジャンルの映画の話になると必ず登場すると言ってもいい このジャンルでは有名な映画。 今回はじめてみたけど、噂にたがわぬ面白さだ。 そりゃ特撮とかの映像の迫力では今の映画と比べると見劣りするが 艦長対艦長、(ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス) 男対男に絞った脚本がよく出来てるので 充分に楽しめる。 「こう逃げると見せかけてこう攻撃する」 「敵はきっとこうでるるから10分後に攻撃すればぴったりだ」 こういった駆け引きの応酬でそれがぴたりと当てはまり、 一時は劣勢だったUボートも最後の賭けに出て米駆逐艦を 魚雷攻撃! やっぱり映画はCG技術じゃない。脚本と演出だ。 米駆逐艦は沈没寸前まで行くのだが、まだ多少の航行は可能。 ロバート・ミッチャム艦長は甲板上でマットを燃やし、 火災発生を偽装。そこへ浮上してきたUボートに体当たり攻撃する! このあたりはゲーム的な面白さもあり、思わず引き込まれてしまう。 体当たりし、至近距離になった艦長ははじめてお互いの顔を見る。 そしてお互いの優秀さに敬意を評し、敬礼をかわす。 ここがプロとプロの男同士の友情!ってなわけで泣かせどころです。 ラストが実はちょっと意外だった。 そしてロバート・ミッチャム艦長はクルト・ユルゲンス艦長とその部下で 親友でもある副長にロープを投げ救出する。 (日本の戦争映画ではありえないシーンでちょっと驚いた) このあたりのシーンは、映画としては滅茶苦茶カッコよくて子供の頃に見たら 「大脱走」並にはまった事は僕の性格からして押して知るべしなのだが、 今見ると「ちょっとカッコよすぎない?」という意見なのだよ。 戦争ってそんなにフェアなもの物なのか???? 映画としては面白い。 だがまるでスポーツの試合のようにフェアに描かれすぎてるのがちょっと気になった。 飛躍して言えばちょっと戦争を美化しすぎてる気もする。 でも面白かった (このページのトップへ) 黒の超特急日時 2002年11月19日 場所 衛星劇場 監督 増村保造 製作 1964年(昭和39年) (詳しい内容はキネ旬データベースで) 岡山の田舎で細々と不動産屋を営む桔梗(田宮二郎) の元に東京の中江(加東大介)という男が訪ねてくる。 この辺の土地をまとめて買いたいが地主との交渉にあたって 欲しいという。 数ヶ月後、桔梗の働きで中江は土地の買収に成功した。 だがその土地は新幹線用地として公団に買い上げられた。 裏があると確信した桔梗は中江を恐喝し始める。 大映のビジネスサスペンス物「黒の〜」シリーズの1篇。 「犬シリーズ」のような2枚目半のより野望に燃えるぎらぎらとした 田宮二郎の方が私は断然好きですね。 こういった野望に燃えるアンチヒーローの集大成が「白い巨塔」の 財前教授なのですから。 映画の中でも「俺は絶対に大金が欲しい」という誓うように宣言するシーンは 案外田宮自身だったような気もしますが。 ストーリーの方は背後関係が実はそんな複雑ではないので、 割とそこが浅いのが少し残念だが、悪党、加東大介がなかなかの悪ぶりで 充分楽しめます。 最後、加東大介が事件の鍵を握る女性を殺す。 それを知った田宮が加東を恐喝し、金額を吊り上げるのだが、 加東が殺人を認めた時点で警察に逮捕させてしまうのがちょっと難。 今まで田宮も加東を恐喝するアンチヒーローとして活躍していたのが 「人殺しをしてまで金儲けはしようとは思わない」という理由で 最後になって正義感を出してしまうのがちょっとガッカリした。 ここは最後まで田宮にアンチヒーローを貫いて欲しかった。 ラストは田宮が岡山に帰る東海道線。 となりの乗客が並行して走る新幹線を見て 「さすが超特急は早いなあ」と言うのだが、田宮は「あんなもの見たくない」 とばかりに車窓のカーテンを閉める。 新幹線ごときに振り回され殺人まで犯してしまった自分たちを呪ってるか のようだが、約30年後のバブル期、日本中にこの映画の加東大介のような 男がいた。 今から見るとバブル期を予見したような映画にも見えてくる。 象徴的なラストシーンだった。 (このページのトップへ) 原子怪獣現る日時 2002年11月17日 場所 TSUTAYAレンタル 監督 ユージン・ルーリー (詳しい内容はキネ旬データベースで) 北極で水爆実験が行われた。 その結果を調査に行った科学者2人は北極の現場で 恐竜を目撃する。だが一人は恐竜の起こした雪崩によって 死んでしまう。 生き残った一人は恐竜の目撃を主張するが誰も信じてくれない。 訪ねていった古生物学者の助手(女性)だけは信じてくれた。 その頃カナダでは船が謎の怪物に襲われる事件が続いていた。 北極で恐竜を見た科学者はその恐竜が海流にのって南下していると 考え、襲われた船の生き残った乗組員を訪ねて何があったかを 訊こうとするが、「どうせ誰も信じてくれないから」と 話してくれない。 古生物学者の助手の提案により、古代の恐竜の復元想像図の中に 科学者が見た恐竜がいるかを探してみた。 同様のことをカナダの生き残りの船員にもやってもらう。 二人の選んだ恐竜は同じだった。 それを知った古生物学者はさすがに今度は信じる事にする。 海軍に頼み調査船を出してもらうが、古生物学者は 調査中に恐竜に殺されてしまう。 ついに恐竜はニューヨークに上陸した。 マンハッタンに上陸し暴れる恐竜。 一旦は海に帰ったが、再び上陸した。 主人公の科学者は自身が作った「アイソトープ爆弾」を恐竜に 発射し、恐竜を倒した。 こんな感じのお話。 長々と詳しく書いたけど、この映画に登場する怪獣は姿はティラノサウルスが 四足になったみたいで、顔はなんだかゴジラに似てるなあ、 ストーリーも「ゴジラ」(54)に似ていると思ったのでその共通点を書いてみたい。 1、怪獣が水爆実験によってよみがえる。 2、古生物学者が主要人物として登場し、その助手(「ゴジラ」では娘) と主人公が恋仲になる。 3、最初のうちは航海中の船を襲う。 4、ニューヨークに上陸し、アイアンフラットビル付近を襲う。 5、最後は主人公の開発した新兵器、アイソトープ爆弾で倒される。 新発見のように書いたけど、ネットで検索して見たら、この手の映画に詳しい人 の間ではこの「原子怪獣現る」は「ゴジラ(第1作)」の元ネタの映画として 知られていたらしい。 どうやら知らなかったのは私だけのようだ。 もちろん「ゴジラ」の方が山根博士(志村喬)や芹沢博士(平田昭彦)の登場により 格段にドラマ部分に厚みが出ており、その分映画の完成度を高めているのは 言うまでもない。 むしろ、ニューヨークに最初に上陸した地点が魚市場であったりして、むしろアメリカ版 「GODZILLA」(98、ローランド・エメリッヒ監督)の方にも影響を与えている。 アメリカ版「GODZILLA」は日本のゴジラファンにはかなり不評だったけど、 この「原子怪獣現る」のリメイクといえばみんな納得したろう。 あちこちで私と同意見の人は多いようだが。 なお特撮はレイ・ハリーハウゼン。日本のようにぬいぐるみではなく、 コマ撮りのチョコチョコした動きで頑張ってます。 (このページのトップへ) ブレードランナー日時 2002年11月17日 場所 DVD 監督 リドリー・スコット (詳しい内容はキネ旬データベースで) ハードボイルドSFの名作といわれてるこの「ブレードランナー」だが 実は見るのは今回が初めて。 公開は1982年だからもうほとんど大人だったけど、 なぜか見逃していた。その後完全版とか最終版とかいろいろ あったけど、最近の低価格DVD(1500円!!)で発売されたので 買って見た。(いわゆる最終版だ) 有名な映画らしいから、ストーリーは書かないけど、 正直言って僕にはあんまり面白くなかった。 話のテンポは遅くてなかなか進まないし、人間に反抗する人工知能 なんてSFではありふれてるじゃん。 でもこの映画に魅力がないかというとそういうわけではなく、 この映画の最大の魅力は、荒廃した未来都市のイメージだ。 日本語の看板、日本語の会話が乱れまくりの香港風ネオンが入り混じった アジア風無国籍タウンはなぜかカッコよい。 ハリソン・フォードは屋台でうどん食ってるしさ。 アメリカ風な町並みを見慣れたアメリカ人には余計に摩訶不思議な空間に 見えたことだろう。 最近の映画の(例えば2001年の「A.I.」)未来都市のイメージは この映画がスタイルを確立したと言っていいようだ。 「エイリアン」がその後の映画の宇宙生物の原型になったことと考え合わせると、 リドリー・スコットはその後の映画に多大な影響をあたえる作品を2本も 作ったのだから、やっぱり大した監督だ。 (このページのトップへ) たそがれ清兵衛日時 2002年11月16日18;30〜 場所 新宿ピカデリー3 監督 山田洋次 (公式HP) 庄内地方(今の山形県)の下級武士、井口清兵衛は 妻を亡くし二人の幼い娘とボケた母親を抱え仕事が終った後も 同僚の付き合いも断り、毎日まっすぐ家に帰る事から 「たそがれ清兵衛」と陰口を叩かれる始末。 だが実は彼はかつては戸田流の師範代で剣の使い手だった。 ある日、藩命としてある男を殺す事になる。 山田洋次初の時代劇。 山田洋次なら長屋の人情話みたいな時代劇を作るのかと 思ったら、ちょっと違った。 出世には興味がなく、娘の成長が何よりの楽しみで地道に生きる 姿は現代にも共感を呼ぶ。 また藩の命令で自分にとって不本意な仕事をしなければならない 所は現代の会社人間にも通じる所。 というか現代の「会社」というものに対する考え方は、 江戸時代の「お家」「藩」に使える武士に姿勢が理想とされるのだと 私は思っている。 つまり、今でも昔と似ているのではなく、知らず知らずのうちに 我々に染み付いた「お家」「藩」に対する考え方が、今でも 生き残ってるのだ。 ラストの狭い家の中での対決の迫力はなかなか。 相手役の田中泯がいい。映画初出演の方だそうだが この方のおかげで後半の盛り上がりは持ってるようなもの。 でも主役の真田広之がいただけない。 真田に関してはなぜかいつも僕は評価しないんだけど。 宮沢りえもそうだが顔が現代っぽすぎるのだ。 真田の役などもっと地味系の個性派俳優だったらもっと 面白かったと思う。(興行的には難しいかも知れないが) 時代考証に時間をかけたというだけあって、真田の着物が ボロボロのとこなどなかなかリアル。 実は今日DVDで「ブラックホークダウン」を見たのだが、 こちらもリアルな戦闘に終止していた。 世界の映画監督たちは、今までの映画で作られてきた「決まり事」に 飽きがきてるのかも知れない。 あと難を言えば上映時間がちょっと長い。もう少し刈り込んで 1時間40分ぐらいだったらもっとよかったと思う。 (このページのトップへ) 火星超特急日時 2002年11月16日 場所 TSUTAYAレンタル 監督 レスリー・セランダー 製作 1951年 (詳しい内容はキネ旬データベースで) アメリカ国防総省は火星行き有人ロケット計画を発表する。 この計画、多分火星にはたどり着けるだろうが、帰って 来れるかの保証はないというもの。 しかし乗組員は「到着する事に意義がある」と危険を顧みない。 途中、流星群にぶつかったりの危険はあったものの 何とか火星に到着する。火星に到着した時胴体着陸で ロケットは故障してしまった。 だが、火星には高度な文明を持つ火星人が住んでいた。 故障したロケットの修理は火星人の協力で行われる。 実は火星はまもなく死を迎えようとしてる星で、 彼らの本当の目的は地球人のロケットを奪い、それと 同じロケットを作り、地球に攻め込む事だった!! 後に「夜の大捜査線」「ミッドウエイ」などを手がける ウォルター・ミリッシュの製作。 別に意識してみたわけではなかったが、同時期の映画「月世界征服」の二番煎じ として作られたようだ。(火星人が着ている宇宙服は「月世界征服」の余りもん だったという話を他で読んだ) 火星行きの途中、無線が通じなくなってからの連絡方法は写真や手紙を 入れたカプセルを地球に向かって落とす(?)というもの。 火星についても「酸素が薄そうだから」という訳で酸素マスクをするだけだし。 科学考証全く無視。 でこういったBC級SFの魅力はなんと言っても訳のわからん怪生物、怪獣なのだが そういったものは一切登場しない。 火星人なんか全く人間と同じなんですよ。 (火星の女性や火星の服を来た地球人の乗組員はみんなミニスカなんだ。 このお色気路線がB級っぽいけど) 火星は地下都市を建設し、そこに住んでるんだけど、その街の様子が 「海底軍艦」のムー帝国に似ていた。案外、元ネタだったのかも知れない。 結局、火星人の計画を知った地球人は「ロケットの修理にはまだ1ヶ月 かかる」と火星人には思わせておいて、その実修理を終えてささっと逃げようと いうもの。 何とか脱出したところで唐突に「THE END」!! おいおい、火星の将来はどうなるんだい?? 地球で副パイロット(女性)と付き合っていたパイロットは火星人のミニスカねーちゃん と結婚するって言い出すし、副パイロットは一緒に火星に行った従軍記者と 結婚することになるという、どろどろの恋愛ドラマもあったりして子供には 見せにくい映画じゃない?これって。 B級ならB級らしくもうちょっと見せ場が欲しかったな。 (このページのトップへ) 9デイズ日時 2002年11月10日13:50〜 場所 新宿ミラノ座 監督 ジョエル・シュマッカー (公式HPへ) 東欧プラハでCIAのエージェントたちは旧ソ連から流出した 携帯型核爆弾を買い取ろうとしていた。 ところがそのCIAのメンバーの一人が第3者により 殺されてしまう。 なんとしても取引を成功させたいCIA(アンソニー・ホプキンスら) は死んだメンバーに双子の兄弟がいることを知り、その男(クリス・ロック) を身代わりに立て、作戦を継続させようとする。 果たして成功はなるか? 予告編を見る限り、旧ソ連から流失した携帯核爆弾を テロリストと奪い合う、それこそ「トータル・フィアーズ」的な 映画を想像(期待)していた。 だが見た映画はだいぶ異なっていた。 アンソニー・ホプキンスとクリス・ロックなる(日本では誰も知らない) コメディアンの「MIB」のようなバディ・ムービーだったのだ。 シリアスなサスペンス劇を期待した私としては、この声の甲高い、 エディマーフィーを安っぽくしたような男が登場する度、げんなりして しまった。 日本人にとっては(というか私にとっては)核兵器というのは 異常なまでの恐怖感があるので、核兵器を映画の中に登場させると 聞いただけで正座してしまうようなところがある。 映画のモチーフとして使う以上、それぐらい真剣に扱って欲しいアイテム なのだ。 断じてコメディタッチのバディムービーなどで扱って欲しくない。 そういう私の思いを完全に踏みにじるかのようなコメディタッチ・アクションで、 製作者の意図と私の思いはまるっきり平行線をたどってしまった。 「トータル・フィアーズ」の時も思ったけど、アメリカ人は核兵器の 恐さが全く解っていない。 ちょっと大きな爆弾ぐらいにしか思っていないのではないか? かつては「未知への飛行」「博士の異常な愛情」という核兵器の 威力の恐怖を描いた作品があったけど、完全にアメリカ人は忘れている。 アメリカ人が核兵器の恐ろしさを忘れた時、それを使うかもしれない。 そんな意味不明の恐ろしさが残った。 NYのワールドトレードセンターの跡地に広島の原爆資料館の別館を作ればいい。 そんな気さえしてくる。 あと邦題、「9デイズ」って言うけど原題は「BAD COMPANY」じゃん。 ひどい邦題だな、これ。 (このページのトップへ) ピカ☆ンチ
|